電子装置
【課題】モールド部材の破裂による電気的な接続不良が生じることが抑制された電子装置を提供する。
【解決手段】互いに離間された2つの配線と、配線間を電気的に接続する接続部材と、配線と接続部材とを被覆保護するモールド部材と、を有する電子装置であって、接続部材は、一方の配線と機械的及び電気的に接続される第1接続部と、他方の配線と機械的及び電気的に接続される第2接続部と、第1接続部と第2接続部とを連結する連結部と、から構成されており、連結部の断面積が、第1接続部及び第2接続部それぞれの断面積よりも小さく、連結部の少なくとも一部が、モールド部材から露出されている。
【解決手段】互いに離間された2つの配線と、配線間を電気的に接続する接続部材と、配線と接続部材とを被覆保護するモールド部材と、を有する電子装置であって、接続部材は、一方の配線と機械的及び電気的に接続される第1接続部と、他方の配線と機械的及び電気的に接続される第2接続部と、第1接続部と第2接続部とを連結する連結部と、から構成されており、連結部の断面積が、第1接続部及び第2接続部それぞれの断面積よりも小さく、連結部の少なくとも一部が、モールド部材から露出されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに離間された2つの配線と、配線間を電気的に接続する接続部材と、配線と接続部材とを被覆保護するモールド部材と、を有する電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、金属片を絶縁封止樹脂で覆い、該金属片の両端部を所定回路の実装面に接するように形成した表面実装型ジャンパ部品が提案されている。特許文献1に示される表面実装型ジャンパ部品では、金属片の一部分にハンダ部材が介在されており、金属片とハンダ部材とに所定の電流値を超えた電流(過電流)が流れると、ハンダ部材がジュール熱によって溶融し、金属片が電気的に分離される。このように、ハンダ部材は、過電流が所定回路に流れることを抑制するヒューズ機能を奏する。
【0003】
また、特許文献2には、一対の電極片間に導体ワイヤが接続され、導体ワイヤの周囲が樹脂によって封止された過電流遮断構造が提案されている。特許文献2に示される過電流遮断構造では、上記した導体ワイヤとして、径が一定の細い導体ワイヤを採用しており、導体ワイヤに過電流が流れると、導体ワイヤがジュール熱によって溶断し、一対の電極片間が電気的に分離される。このように、導体ワイヤは、過電流が電極片に流れることを抑制するヒューズ機能を奏する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−50377号公報
【特許文献2】特開2001−297685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1及び特許文献2いずれの構成においても、ヒューズ機能を奏する部材(ハンダ部材若しくは導体ワイヤであり、以下、これらをヒューズ部材と示す)が、樹脂(以下、モールド部材と示す)によって封止されている。そのため、発熱し易いヒューズ部材の熱が、ヒューズ部材の周囲に位置するモールド部材に印加され易く、ヒューズ部材の周囲に位置するモールド部材が気化し易くなる。ヒューズ部材からモールド部材への熱の印加が高まると、気化するモールド部材の量が増大し、その気化成分によって、モールド部材の一部が破裂する虞がある。モールド部材が破裂すると、溶融したヒューズ部材の構成材料が飛散し、その飛散したヒューズ部材の構成材料によって、意図しない配線間が接続され、電気的な接続不良が生じる虞がある。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、モールド部材の破裂による電気的な接続不良が生じることが抑制された電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、互いに離間された2つの配線と、配線間を電気的に接続する接続部材と、配線と接続部材とを被覆保護するモールド部材と、を有する電子装置であって、接続部材は、一方の配線と機械的及び電気的に接続される第1接続部と、他方の配線と機械的及び電気的に接続される第2接続部と、第1接続部と第2接続部とを連結する連結部と、から構成されており、連結部の断面積が、第1接続部及び第2接続部それぞれの断面積よりも小さく、連結部の少なくとも一部が、モールド部材から露出されていることを特徴とする。
【0008】
このように本発明によれば、接続部材が配線間を電気的に接続するジャンパ部品としての機能を奏する。また、連結部の断面積が、配線と機械的及び電気的に接続される第1接続部及び第2接続部それぞれの断面積よりも小さくなっており、連結部の抵抗が接続部の抵抗よりも高められている。このように、連結部がジュール熱によって発熱して溶断し易くなっており、連結部が配線間に過電流が流れることを抑制するヒューズ機能を奏する。
【0009】
そして、本発明では、ヒューズ機能を奏する連結部の少なくとも一部が、モールド部材から露出されている。これによれば、連結部からモールド部材へ伝達される熱の量も少なく、連結部の熱によって気化したモールド部材の気化成分によって、モールド部材の一部が破裂することが抑制される。すなわち、モールド部材の破裂によって溶融した連結部の構成材料が飛散し、その飛散した連結部の構成材料によって、意図しない配線間が電気的に接続される、という電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【0010】
また、連結部の少なくとも一部が外部に露出されているので、ヒューズ機能を奏する連結部を目視することができる。これにより、第1接続部と第2接続部との電気的な接続が切れたか否かを目視で確認することができる。すなわち、接続部材に過電流が流れたか否かを目視で確認することができる。
【0011】
また、接続部材の少なくとも一部が外部に露出されているので、配線に接続された電子素子などで発生した熱を、配線と、接続部材とを介して、外部に放出することができる。これによれば、放熱性が向上される。
【0012】
更に言えば、連結部が発熱し易くなっているので、接続部と配線との接続部位などの、接触抵抗のために抵抗が高まり易い部位が過剰に発熱することが抑制される。これにより、接続部と配線との接続部位の周囲に位置するモールド部材に過剰な熱が印加され、そのモールド部材が炭化して、接続部の周囲に位置する配線間が、炭化したモールド部材を介して電気的に接続される、という電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【0013】
また、連結部がヒューズ機能を奏するので、第1接続部及び第2接続部それぞれの断面積(抵抗)を、配線に流れる電流量に応じて設定変更することで、接続部材のジュール熱に対する耐久度を向上(調整)することができる。これにより、接続部材に過電流が流れていないにも関わらず、接続部材が溶断する、という電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【0014】
請求項2に記載のように、連結部における、モールド部材から露出された部位に絶縁部材が配置され、絶縁部材が、バネ部材の付勢力によって、連結部における、モールド部材から露出された部位に押し付けられて、連結部における、モールド部材から露出された部位が、絶縁部材によって被覆された構成が好ましい。
【0015】
接続部材に過電流が流れると、連結部がジュール熱によって発熱して溶融する。連結部が被覆されていない場合、その溶融した連結部の構成材料の一部が飛散し、その飛散した連結部の構成材料によって、意図しない配線間が電気的に接続される虞がある。これに対して、請求項2に記載の発明では、バネ部材の付勢力によって、モールド部材から露出された連結部の部位に絶縁部材が押し付けられて、その露出した部位が、絶縁部材によって被覆されている。これにより、溶融した連結部の構成材料が飛散することが抑制され、飛散した連結部の構成材料によって、意図しない配線間が電気的に接続される、という電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【0016】
また、接続部材は、絶縁部材とモールド部材とによって構成される空間内に配置されており、その空間はバネ部材の付勢力によって閉塞されている。したがって、連結部の熱によってモールド部材の一部が気化し、その気化成分によって空間の内圧がバネ部材の付勢力よりも強まると、上記した空間が開放され、気化成分が外部に放出される。このように、空間の内圧がバネ部材の付勢力よりも高まることが抑制されるので、上記した気化成分によってモールド部材の一部が破裂する、という不具合が生じことが抑制される。すなわち、モールド部材の破裂によって溶融した連結部の構成材料が飛散し、その飛散した連結部の構成材料によって、意図しない配線間が電気的に接続される、という電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【0017】
更に言えば、連結部と絶縁部材とが接触され、絶縁部材とバネ部材とが接触されている。そして、その接触状態がバネ部材の付勢力によって保持されるので、配線に接続された電子素子などで発生した熱を、配線と、接続部材と、絶縁部材及びバネ部材とを介して、外部に放出することができる。絶縁部材とバネ部材とは外部に設けられているので、連結部の一部が外部に露出された構成と比べて、外部に露出された面積が増大される。これにより、放熱性が向上される。
【0018】
請求項3に記載のように、配線と、接続部材と、モールド部材と、絶縁部材と、バネ部材とを収容するケースを有し、バネ部材が、ケースと、連結部及びモールド部材とによって挟持された構成を採用することができる。このように、バネ部材をケースと連結部及びモールド部材とで挟持することで、絶縁部材を連結部に押し付ける付勢力が、バネ部材から生じる。
【0019】
上記したバネ部材は、請求項4に記載のように、樹脂材料から構成しても良い。しかしながら、一般的に、金属材料のほうが絶縁材料よりもクリープ耐性に優れているので、バネ部材の付勢力を確保するためには、請求項5に記載のように、バネ部材を金属材料から構成するのが良い。または、請求項6に記載のように、バネ部材の表面が、絶縁部材によって被覆された構成を採用することもできる。なお、請求項6に記載の構成とは異なり、バネ部材と絶縁部材とが別個に形成されている場合、絶縁部材としては、請求項7に記載のように、シート状のものを採用することができる。
【0020】
請求項8及び請求項9に記載の作用効果は、請求項2に記載の作用効果と同様なので、その記載を省略する。同じく、請求項10に記載の作用効果は、請求項3に記載の作用効果と同様なので、その記載を省略する。
【0021】
バネ部材の形状としては、請求項11及び請求項12に記載のように、U字状若しくはL字状を採用することができる。
【0022】
請求項13に記載のように、接続部材は、1つの導電材料から形成された構成が良い。これによれば、例えば、特許文献1に示されるように、金属片とハンダ部材とによって、ジャンパ部品としての機能と、ヒューズとしての機能とを奏する部材が形成された構成と比べて、部品点数が低減される。
【0023】
導電材料としては、請求項14に記載のように、平板状のものを採用することができる。そして、接続部材を、請求項15に記載のように、導電材料をプレス加工することで、形成しても良い。また、連結部の断面積を、請求項16に記載のように、連結部をエッチングすることで、第1接続部及び第2接続部それぞれの断面積よりも小さく形成しても良い。なお、本発明に係る電子装置を、請求項17に記載のように、例えば、モータ駆動制御装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】モータ駆動制御装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1の接続部材と、連結部の露出部位を説明するための斜視図である。
【図3】絶縁バネを説明するための斜視図である。
【図4】連結部の露出部位を説明するための斜視図である。
【図5】金属バネと絶縁シートとを説明するための斜視図である。
【図6】絶縁バネと連結部及び絶縁バネとモールド部材との接触状態を示す斜視図であり、
【図7】図6に示すVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】連結部の露出状態を示す斜視図である。
【図9】連結部の変形例を説明するための斜視図である。
【図10】連結部の変形例を説明するための斜視図である。
【図11】バネの変形例を説明するための斜視図である。
【図12】モールド部材の変形例を示す斜視図である。
【図13】図12に示す凹部が絶縁バネによって閉塞された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る電子装置を、リードフレームにパワーMOSFETが搭載され、パワーMOSFETがモールド部材によって被覆されたモータ駆動制御装置に適用した場合の実施形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、モータ駆動制御装置の概略構成を示す斜視図である。図2は、図1の接続部材と、連結部の露出部位を説明するための斜視図である。図3は、絶縁バネを説明するための斜視図である。なお、図1及び図2では、便宜上、絶縁バネ50を省略している。
【0026】
図1に示すように、モータ駆動制御装置100は、要部として、リードフレーム10と、パワーMOSFET20と、接続部材30,31と、モールド部材40と、パワーMOSFET20と接続部材30,31とが搭載され、モールド部材40によってその一部が被覆されたリードフレーム10を収容するケース(図示略)と、を有する。このリードフレーム10は、上記したケースに収容され、後述する絶縁バネ50の付勢力によって、ケース内での配置位置が保持される。図1に示す接続部材30が、特許請求の範囲に記載の接続部材に相当し、図1に示す接続部材31が、従来の接続部材に相当する。接続部材30は、その断面積の一部が他の部位と比べて小さくなっていることを特徴とする。以下、接続部材30を第1接続部材30と示し、接続部材31を第2接続部材31と示す。
【0027】
図1に示すように、リードフレーム10は、パワーMOSFET20を搭載するための搭載面11と、該搭載面11と電気的に接続され、モールド部材40から端部が露出され、外部装置と電気的に接続される外部端子12と、を有する。パワーMOSFET20は、基板の厚さ方向に電流が流れるDMOSFETであり、リードフレーム10に搭載される面にドレイン電極(図示略)が形成され、ドレイン電極が形成された面の裏面に、ゲート電極21と、ソース電極22とが形成されている。
【0028】
接続部材30,31それぞれは、互いに離間された配線間を電気的に接続するものである。接続部材30,31それぞれは、一方の配線と機械的及び電気的に接続される第1接続部32と、他方の配線と機械的及び電気的に接続される第2接続部33と、第1接続部32と第2接続部33とを連結する連結部34と、を有する。そして、図2に示すように、第1接続部材30の連結部34の上面34aが、モールド部材40から露出されている。なお、本実施形態では、第2接続部材31の全てがモールド部材40によって被覆されている。
【0029】
本実施形態では、第1接続部材30の第1接続部32が、一方のパワーMOSFET20のソース電極22と機械的及び電気的に接続され、第1接続部材30の第2接続部33が、他方のパワーMOSFET20が搭載された搭載面11に接続されている。これにより、第1接続部材30を介して、一方のパワーMOSFET20のソース電極22と、他方のパワーMOSFET20のドレイン電極とが電気的に接続される。また、第2接続部材31の第1接続部32が、他方のパワーMOSFET20のソース電極22と機械的及び電気的に接続され、第2接続部材31の第2接続部33が、リードフレーム10における一方のパワーMOSFET20が搭載された搭載面11とは電気的に独立した部位と電気的に接続されている。これにより、第2接続部材31を介して、他方のパワーMOSFET20のソース電極22と、リードフレーム10における一方のパワーMOSFET20が搭載された搭載面11とは電気的に独立した部位とが電気的に接続される。
【0030】
第1接続部32及び第2接続部33は、それぞれ同一形状を成し、断面がくの字状に形成されている。そして、そのくの字を成す一方の平板部の一面がパワーMOSFET20やリードフレーム10との接続面としての機能を果たし、その一方の平板部の一端と、くの字を成す他方の平板部の一端とが連結されている。そして、その他方の平板部の他端と平板状の連結部34の端部とが連結されて、第1接続部32と第2接続部33とが、連結部34を介して連結されている。なお、第2接続部材31の連結部34の平面形状は、矩形状であるのに対して、第1接続部材30の連結部34の平面形状は、図2に示すように、一部がくびれた形状となっている。このくびれた部位が、後述する切り欠き部35に相当する。
【0031】
接続部材30,31それぞれは、1枚の導電材料をプレス加工することで形成される。本実施形態では、上記した導電材料として、平板状のものを採用している。図1及び図2に示すように、従来の接続部材である第2接続部材31は、その断面積が一定であるのに対して、本実施形態の特徴点である第1接続部材30は、断面積が一定とはなっていない。図2に示すように、連結部34に切り欠き部35が形成されて、連結部34の一部の断面積が、第1接続部32及び第2接続部33の断面積よりも小さくなっている。これにより、第1接続部材30に過電流が流れた際に、第1接続部材30の連結部34がジュール熱によって発熱し易くなっている。すなわち、第1接続部材30に過電流が流れた際に、連結部34がジュール熱によって溶融し、第1接続部32と第2接続部33とが電気的に分離され易くなっている。なお、上記した切り欠き部35は、連結部34をエッチングすることで形成される。
【0032】
図3に示すように、第1接続部材30の連結部34の上面34aには、絶縁バネ50が設けられる。この絶縁バネ50は、全体形状としてU字状を成し、絶縁部材によって形成される。絶縁バネ50は、第1平板部51と、第2平板部52と、第1平板部51と第2平板部52とを連結する屈曲部53と、を有する。この屈曲部53における凸状の部位が連結部34の上面34aに接触している。この絶縁バネ50は、上記した、パワーMOSFET20と接続部材30,31とが搭載され、モールド部材40によってその一部が被覆されたリードフレーム10を収容するケースの内壁面と、連結部34及びモールド部材40との間に配置され、これらによって挟持される。このように、絶縁バネ50が挟持されることで、絶縁バネ50が弾性変形し、その絶縁バネ50の付勢力によってリードフレーム10のケース内の配置位置が保持される。そして、弾性変形した絶縁バネ50によって、連結部34の上面34aが被覆される。
【0033】
モールド部材40は、接続部材30,31と、リードフレーム10及びパワーMOSFET20とを一体化し、その電気的な接続部位の一部を被覆保護するものである。図1及び図2に示すように、第1接続部材30の一部と、第2接続部材31の全てと、リードフレーム10の一部と、パワーMOSFET20の全てとが、モールド部材40によって被覆されている。これにより、接続部材30,31とパワーMOSFET20、及び、接続部材30,31とリードフレーム10それぞれの電気的な接続部位が被覆保護されている。なお、本実施形態では、図2に示すように、第1接続部材30の連結部34の上面34aが、モールド部材40から露出され、その露出された上面34aが、図3に示すように、絶縁バネ50によって被覆保護される。
【0034】
次に、本実施形態に係るモータ駆動制御装置100の製造方法を説明する。先ず、リードフレーム10を用意する。そして、リードフレーム10の搭載面11に、パワーMOSFET20を搭載する。その次に、パワーMOSFET20とリードフレーム10とを、接続部材30,31によって、機械的及び電気的に接続する。以上が、接続工程である。
【0035】
該接続工程終了後、パワーMOSFET20及び接続部材30,31が搭載されたリードフレーム10を、上型と下型とによって形成されるキャビティ内に配置する。その際、外部端子12の端部が上型と下型とによって挟持され、且つ、連結部34の上面34aが上型の内壁面に接触するように、リードフレーム10をキャビティ内に配置する。こうすることで、後述するモールド部材形成工程において、外部端子12の端部及び連結部34の上面34aが、モールド樹脂によって被覆されることが抑制される。以上が、配置工程である。
【0036】
配置工程終了後、キャビティ内に、タブレットから溶融したモールド樹脂を注入して、モールド樹脂を熱硬化反応して、固化する。これにより、モールド部材40を形成する。以上が、モールド部材形成工程である。
【0037】
モールド部材形成工程終了後、キャビティ内からリードフレーム10を取り出して、リードフレーム10における、搭載面11や、外部端子12を連結していた連結部位を除去する。これにより、電気的に分離することが必要な、搭載面11や外部端子12を電気的に分離する。以上が、分離工程である。
【0038】
分離工程終了後、パワーMOSFET20と接続部材30,31とが搭載され、モールド部材40によってその一部が被覆されたリードフレーム10を、図示しないケースに収容する。その際、連結部34の上面34aに絶縁バネ50の屈曲部53における凸状の部位が接触され、第1平板部51及び第2平板部52それぞれの端部がケースの内壁面と接触されるように、リードフレーム10と絶縁バネ50とをケース内に収納する。リードフレーム10と絶縁バネ50とのケースへの収納に伴って、絶縁バネ50が、ケースと、連結部34及びモールド部材40とによって挟持されて、絶縁バネ50が弾性変形する。これにより、絶縁バネ50と、モールド部材40とによって構成される空間内に第1接続部材30が配置され、その空間が、絶縁バネ50の付勢力によって閉塞される。すなわち、上面34aが絶縁バネ50によって被覆される。以上が、収容工程である。以上に示した工程を経ることで、本実施形態に係るモータ駆動制御装置100が形成される。
【0039】
次に、本実施形態に係るモータ駆動制御装置100の作用効果を説明する。なお、以下においては、特に断らない限り、第1接続部32、第2接続部33、及び連結部34は、第1接続部材30の構成材料を示す。
【0040】
上記したように、第1接続部材30は、パワーMOSFET20とリードフレーム10とを電気的に接続するジャンパ部品としての機能を奏する。そして、第1接続部材30の連結部34の断面積が、第1接続部32及び第2接続部33それぞれの断面積よりも小さくなっている。このように、連結部34の抵抗が高められ、連結部34がジュール熱によって発熱して溶断し易くなっており、第1接続部材30の連結部34がパワーMOSFET20とリードフレーム10との間に過電流が流れることを抑制するヒューズ機能を奏する構成となっている。
【0041】
そして、絶縁バネ50が、自身の付勢力によって、モールド部材40から露出された連結部34の上面34aに押し付けられて、上面34aが、絶縁バネ50によって被覆されている。これにより、第1接続部材30に過電流が流れた際に、溶融した連結部34の構成材料が飛散することが抑制され、飛散した連結部34の構成材料によって、意図しない配線間が電気的に接続されることが抑制される。
【0042】
また、第1接続部材30は、絶縁バネ50とモールド部材40とによって構成される空間内に配置され、その空間が、絶縁バネ50の付勢力によって閉塞されている。したがって、連結部34の熱によってモールド部材40の一部が気化し、その気化成分によって空間の内圧が絶縁バネ50の付勢力よりも強まると、上記した空間が開放され、気化成分が外部に放出される。このように、空間の内圧が絶縁バネ50の付勢力よりも高まることが抑制されるので、第1接続部材30の全てがモールド部材40によって被覆された構成とは異なり、上記した気化成分によってモールド部材40の一部が破裂する、という不具合が生じことが抑制される。すなわち、モールド部材40の破裂によって溶融した連結部34の構成材料が飛散し、その飛散した連結部34の構成材料によって、意図しない配線間が電気的に接続される、という電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【0043】
更に言えば、連結部34と絶縁バネ50とが接触され、その接触状態が絶縁バネ50の付勢力によって保持されている。これにより、パワーMOSFET20などで発生した熱を、第1接続部材30と絶縁バネ50とを介して、外部に放出することができる。絶縁バネ50は外部に設けられているので、連結部34の一部が外部に露出された構成と比べて、外部に露出された面積が増大される。これにより、放熱性が向上される。
【0044】
また、連結部34が発熱し易くなっているので、第1接続部32とパワーMOSFET20との接続部位や、第2接続部33と搭載面11との接続部位などの、接触抵抗のために抵抗が高まり易い部位が過剰に発熱することが抑制される。これにより、上記した各接続部位の周囲に位置するモールド部材40に過剰な熱が印加され、そのモールド部材40が炭化して、接続部32,33の周囲に位置するパワーMOSFET20の電極間が、炭化したモールド部材40を介して電気的に接続される、という電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【0045】
また、上記したジャンパ部品としての機能と、ヒューズ機能とを奏する第1接続部材30が、1つの導電材料によって形成されているので、金属片とハンダ部材とが、上記した2つの機能を奏する構成と比べて、部品点数が低減され、コストが低減される。
【0046】
また、連結部34の断面積が、第1接続部32及び第2接続部33それぞれの断面積よりも小さくなっている。これによれば、第1接続部32及び第2接続部33それぞれの断面積(抵抗)を、パワーMOSFET20間に流れる電流量に応じて設定変更することで、第1接続部材30のジュール熱に対する耐久度を向上(調整)することができる。すなわち、第1接続部材30に過電流が流れていないにも関わらず、第1接続部材30が溶断する、という不具合が生じることが抑制される。
【0047】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0048】
本実施形態では、本発明に係る電子装置を、モータ駆動制御装置に適用した場合を例示した。しかしながら、本発明に係る電子装置は、上記例に限定されず、民生の電気部品に適用することができる。
【0049】
本実施形態では、モールド部材40から、連結部34の上面34aが露出され、その露出した上面34aが、絶縁バネ50によって被覆された例を示した。しかしながら、モールド部材40から連結部34の少なくとも一部が露出された構成を採用することもできる。これによれば、ヒューズ機能を奏する連結部34を目視することができる。これにより、第1接続部32と第2接続部33との電気的な接続が切れたか否かを目視で確認することができる。すなわち、第1接続部材30に過電流が流れたか否かを目視で確認することができる。
【0050】
また、連結部34の少なくとも一部が外部に露出されるので、パワーMOSFET20で発生した熱を、連結部34(第1接続部材30)を介して、外部に放出することができる。このように、導電材料よりなる第1接続部材30を介して、パワーMOSFET20で発生した熱が外部に放出されるので、第1接続部材30の全てがモールド部材40によって被覆された構成と比べて、放熱性が向上される。
【0051】
なお、上記変形例とは異なり、モールド部材40によって連結部34の全てが被覆された構成の場合、発熱し易い連結部34の熱が、連結部34の周囲のモールド部材に印加され易く、連結部34の周囲に位置するモールド部材40が気化し易くなる。連結部34からモールド部材40への熱の印加が高まると、気化するモールド部材40の量が増大し、その気化成分によって、モールド部材40の一部が破裂する虞がある。モールド部材40が破裂すると、溶融した連結部34の構成材料が飛散し、その飛散した連結部34の構成材料によって、意図しない配線間が接続され、電気的な接続不良が生じる虞がある。これに対して、上記変形例では、連結部34の少なくとも一部がモールド部材40から露出されているので、連結部34からモールド部材40へ伝達される熱の量も少なく、気化成分によって、モールド部材40の一部が破裂することが抑制される。すなわち、モールド部材40の破裂によって溶融した連結部34の構成材料が飛散し、その飛散した連結部34の構成材料によって、意図しない配線間が電気的に接続される、という電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【0052】
本実施形態では、連結部34の上面34aがモールド部材40から露出された例を示した。しかしながら、図4に示すように、連結部34の上面34aと、側面34bとが露出された構成を採用することもできる。図4は、連結部の露出部位を説明するための斜視図である。
【0053】
なお、上記したように、連結部34の上面34aだけではなく、側面34bもモールド部材40から露出するためには、モールド樹脂が注入されるキャビティを構成する上型の内壁面に、連結部34の形状に応じた凹部を形成し、配置工程において、連結部34の上面34aと凹部の底面とが接触し、連結部34の側面34bと凹部の側面とが接触するように、リードフレーム10をキャビティ内に配置する。この状態で、上記したモールド部材形成工程を経ることで、連結部34の上面34aと側面34bとがモールド部材40から露出される。これによれば、本実施形態に示したように、上面34aのみが露出された構成と比べて、モールド部材40から露出される連結部34の表面積が増えるので、樹脂バリなどによって、モールド部材40から本来ならば露出される連結部34の表面が被覆されたとしても、モールド部材40から露出される連結部34の表面積を確保することができる。
【0054】
また、本実施形態では、連結部34の上面34aを被覆しつつ、第1接続部材30が配置される空間を閉塞する付勢力を印加する部材として、絶縁バネ50を採用した例を示した。しかしながら、上記した機能を奏する部材としては、上記例に限定されず、例えば、金属材料からなり、バネ性を有する物と、このバネ性を有する物の表面を被覆する絶縁性の物とから構成された部材を採用することもできる。一般的に、金属材料のほうが樹脂などの絶縁材料よりもクリープ耐性に優れているので、付勢力を確保するためには、本実施形態で示した絶縁バネ50よりも、上記した部材のほうが良い。
【0055】
なお、図4に示したように、連結部34の上面34aだけではなく、側面34bも露出した構成の場合、上記した絶縁バネ50の代わりに、連結部34のモールド部材40から露出された部位を被覆しつつ、第1接続部材30が配置される空間を閉塞する付勢力を印加する部材としては、図5に示すシート状の絶縁シート54と、U字状のバネ部材55とが採用される。絶縁シート54は、応力の印加によって形状が容易に変化する材料によって形成され、連結部34のモールド部材40から露出された部位を被覆する機能を奏する。バネ部材55は、絶縁シート54に付勢力を印加する機能を奏する。上記したバネ部材55としては、樹脂材料、金属材料どちらも採用することができる。しかしながら、上記したように、金属材料のほうが絶縁材料よりもクリープ耐性に優れているので、付勢力を確保するためには、バネ部材55を金属材料で形成するのが良い。図5は、金属バネと絶縁シートとを説明するための斜視図である。
【0056】
また、図4に示す構成の場合、図6及び図7に示すように、連結部34の形状に応じた凹部が形成された絶縁バネ50と、モールド部材40の上面40aとによって、モールド部材40から露出された連結部34の上面34a及び側面34bを被覆する空間を形成しても良い。この場合、絶縁バネ50は、連結部34だけではなく、モールド部材40とも接触されるので、絶縁バネ50の付勢力は、モールド部材40にも印加される。上記した空間は、絶縁バネ50の付勢力によって密閉される。図6は、絶縁バネと連結部及び絶縁バネとモールド部材との接触状態を示す斜視図であり、図7は、図6に示すVII−VII線に沿う断面図である。
【0057】
本実施形態では、図1及び図2に示すように、モールド部材40の上面40aから連結部34が露出される例を示した。しかしながら、図8に示すように、連結部34が、モールド部材40の側面40bから露出された構成を採用することもできる。図8は、連結部の露出状態を示す斜視図である。
【0058】
本実施形態では、第1接続部材30の連結部34の平面形状が、図2に示すように、一部がくびれた形状となることで、連結部34の一部の断面積が、第1接続部32及び第2接続部33の断面積よりも小さくなっている例を示した。しかしながら、連結部34の一部の断面積が、第1接続部32及び第2接続部33の断面積よりも小さい構成としては上記例に限定されず、例えば、図9及び図10に示す構成を採用することもできる。図9では、連結部34に、エッチングによって孔を穿つことで、連結部33の一部の断面積を、第1接続部32及び第2接続部33の断面積よりも小さくしている。図10では、連結部34におけるモールド部材40から露出された部位の厚さが薄くなるようにエッチングすることで、連結部33の断面積を、第1接続部32及び第2接続部33の断面積よりも小さくしている。図9及び図10は、連結部の変形例を説明するための斜視図である。
【0059】
本実施形態では、絶縁バネ50及びバネ55の全体形状がU字状である例を示した。しかしながら、バネ55の形状としては、上記例に限定されず、例えば図11に示すように、L字状を採用することもできる。図11は、バネの変形例を説明するための斜視図である。図11では、L字状を成すバネ55が、絶縁シート54を介して連結部34に付勢力を印加する構成となっている。なお、図示しないが、絶縁バネ50の形状としても、L字状を採用することができることは、言うまでもない。
【0060】
本実施形態では、図2に示すように、連結部34の上面34aと、モールド部材40の上面40aとが面一である例を示した。しかしながら、図12に示すように、連結部34の上面34aと、モールド部材40の上面40aとが面一でなくとも良い。図12では、上面34aと、モールド部材40における、連結部34の周囲に設けられた側壁とによって、凹部が形成されている。このような構成の場合、図13に示すように、上記した凹部の開口部が閉塞されるように、絶縁バネ50をモールド部材40の上面40aに設けても良い。この場合、絶縁バネ50と連結部34とは接触せず、絶縁バネ50とモールド部材40とが接触する。そして、上記した凹部と絶縁バネ50とによって構成される空間は、絶縁バネ50の付勢力によって密閉される。図12は、モールド部材の変形例を示す斜視図である。図13は、図12に示す凹部が絶縁バネによって閉塞された状態を示す斜視図である。
【0061】
本実施形態では、第2接続部材31の全てがモールド部材40によって被覆された例を示した。しかしながら、第2接続部材31も、第1接続部材30と同様に、その一部がモールド部材40から露出された構成を採用することもできる。この場合、第2接続部材31のモールド部材40から露出された部位も、絶縁バネ50若しくは絶縁シート54によって被覆される。
【0062】
本実施形態では、導電材料が平板状である例を示した。しかしながら、導電材料の形状は上記例に限定されず、例えば、棒状を採用することもできる。
【符号の説明】
【0063】
10・・・リードフレーム
20・・・パワーMOSFET
30・・・接続部材
40・・・モールド部材
50・・・絶縁バネ
100・・・モータ駆動制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに離間された2つの配線と、配線間を電気的に接続する接続部材と、配線と接続部材とを被覆保護するモールド部材と、を有する電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、金属片を絶縁封止樹脂で覆い、該金属片の両端部を所定回路の実装面に接するように形成した表面実装型ジャンパ部品が提案されている。特許文献1に示される表面実装型ジャンパ部品では、金属片の一部分にハンダ部材が介在されており、金属片とハンダ部材とに所定の電流値を超えた電流(過電流)が流れると、ハンダ部材がジュール熱によって溶融し、金属片が電気的に分離される。このように、ハンダ部材は、過電流が所定回路に流れることを抑制するヒューズ機能を奏する。
【0003】
また、特許文献2には、一対の電極片間に導体ワイヤが接続され、導体ワイヤの周囲が樹脂によって封止された過電流遮断構造が提案されている。特許文献2に示される過電流遮断構造では、上記した導体ワイヤとして、径が一定の細い導体ワイヤを採用しており、導体ワイヤに過電流が流れると、導体ワイヤがジュール熱によって溶断し、一対の電極片間が電気的に分離される。このように、導体ワイヤは、過電流が電極片に流れることを抑制するヒューズ機能を奏する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−50377号公報
【特許文献2】特開2001−297685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1及び特許文献2いずれの構成においても、ヒューズ機能を奏する部材(ハンダ部材若しくは導体ワイヤであり、以下、これらをヒューズ部材と示す)が、樹脂(以下、モールド部材と示す)によって封止されている。そのため、発熱し易いヒューズ部材の熱が、ヒューズ部材の周囲に位置するモールド部材に印加され易く、ヒューズ部材の周囲に位置するモールド部材が気化し易くなる。ヒューズ部材からモールド部材への熱の印加が高まると、気化するモールド部材の量が増大し、その気化成分によって、モールド部材の一部が破裂する虞がある。モールド部材が破裂すると、溶融したヒューズ部材の構成材料が飛散し、その飛散したヒューズ部材の構成材料によって、意図しない配線間が接続され、電気的な接続不良が生じる虞がある。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、モールド部材の破裂による電気的な接続不良が生じることが抑制された電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、互いに離間された2つの配線と、配線間を電気的に接続する接続部材と、配線と接続部材とを被覆保護するモールド部材と、を有する電子装置であって、接続部材は、一方の配線と機械的及び電気的に接続される第1接続部と、他方の配線と機械的及び電気的に接続される第2接続部と、第1接続部と第2接続部とを連結する連結部と、から構成されており、連結部の断面積が、第1接続部及び第2接続部それぞれの断面積よりも小さく、連結部の少なくとも一部が、モールド部材から露出されていることを特徴とする。
【0008】
このように本発明によれば、接続部材が配線間を電気的に接続するジャンパ部品としての機能を奏する。また、連結部の断面積が、配線と機械的及び電気的に接続される第1接続部及び第2接続部それぞれの断面積よりも小さくなっており、連結部の抵抗が接続部の抵抗よりも高められている。このように、連結部がジュール熱によって発熱して溶断し易くなっており、連結部が配線間に過電流が流れることを抑制するヒューズ機能を奏する。
【0009】
そして、本発明では、ヒューズ機能を奏する連結部の少なくとも一部が、モールド部材から露出されている。これによれば、連結部からモールド部材へ伝達される熱の量も少なく、連結部の熱によって気化したモールド部材の気化成分によって、モールド部材の一部が破裂することが抑制される。すなわち、モールド部材の破裂によって溶融した連結部の構成材料が飛散し、その飛散した連結部の構成材料によって、意図しない配線間が電気的に接続される、という電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【0010】
また、連結部の少なくとも一部が外部に露出されているので、ヒューズ機能を奏する連結部を目視することができる。これにより、第1接続部と第2接続部との電気的な接続が切れたか否かを目視で確認することができる。すなわち、接続部材に過電流が流れたか否かを目視で確認することができる。
【0011】
また、接続部材の少なくとも一部が外部に露出されているので、配線に接続された電子素子などで発生した熱を、配線と、接続部材とを介して、外部に放出することができる。これによれば、放熱性が向上される。
【0012】
更に言えば、連結部が発熱し易くなっているので、接続部と配線との接続部位などの、接触抵抗のために抵抗が高まり易い部位が過剰に発熱することが抑制される。これにより、接続部と配線との接続部位の周囲に位置するモールド部材に過剰な熱が印加され、そのモールド部材が炭化して、接続部の周囲に位置する配線間が、炭化したモールド部材を介して電気的に接続される、という電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【0013】
また、連結部がヒューズ機能を奏するので、第1接続部及び第2接続部それぞれの断面積(抵抗)を、配線に流れる電流量に応じて設定変更することで、接続部材のジュール熱に対する耐久度を向上(調整)することができる。これにより、接続部材に過電流が流れていないにも関わらず、接続部材が溶断する、という電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【0014】
請求項2に記載のように、連結部における、モールド部材から露出された部位に絶縁部材が配置され、絶縁部材が、バネ部材の付勢力によって、連結部における、モールド部材から露出された部位に押し付けられて、連結部における、モールド部材から露出された部位が、絶縁部材によって被覆された構成が好ましい。
【0015】
接続部材に過電流が流れると、連結部がジュール熱によって発熱して溶融する。連結部が被覆されていない場合、その溶融した連結部の構成材料の一部が飛散し、その飛散した連結部の構成材料によって、意図しない配線間が電気的に接続される虞がある。これに対して、請求項2に記載の発明では、バネ部材の付勢力によって、モールド部材から露出された連結部の部位に絶縁部材が押し付けられて、その露出した部位が、絶縁部材によって被覆されている。これにより、溶融した連結部の構成材料が飛散することが抑制され、飛散した連結部の構成材料によって、意図しない配線間が電気的に接続される、という電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【0016】
また、接続部材は、絶縁部材とモールド部材とによって構成される空間内に配置されており、その空間はバネ部材の付勢力によって閉塞されている。したがって、連結部の熱によってモールド部材の一部が気化し、その気化成分によって空間の内圧がバネ部材の付勢力よりも強まると、上記した空間が開放され、気化成分が外部に放出される。このように、空間の内圧がバネ部材の付勢力よりも高まることが抑制されるので、上記した気化成分によってモールド部材の一部が破裂する、という不具合が生じことが抑制される。すなわち、モールド部材の破裂によって溶融した連結部の構成材料が飛散し、その飛散した連結部の構成材料によって、意図しない配線間が電気的に接続される、という電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【0017】
更に言えば、連結部と絶縁部材とが接触され、絶縁部材とバネ部材とが接触されている。そして、その接触状態がバネ部材の付勢力によって保持されるので、配線に接続された電子素子などで発生した熱を、配線と、接続部材と、絶縁部材及びバネ部材とを介して、外部に放出することができる。絶縁部材とバネ部材とは外部に設けられているので、連結部の一部が外部に露出された構成と比べて、外部に露出された面積が増大される。これにより、放熱性が向上される。
【0018】
請求項3に記載のように、配線と、接続部材と、モールド部材と、絶縁部材と、バネ部材とを収容するケースを有し、バネ部材が、ケースと、連結部及びモールド部材とによって挟持された構成を採用することができる。このように、バネ部材をケースと連結部及びモールド部材とで挟持することで、絶縁部材を連結部に押し付ける付勢力が、バネ部材から生じる。
【0019】
上記したバネ部材は、請求項4に記載のように、樹脂材料から構成しても良い。しかしながら、一般的に、金属材料のほうが絶縁材料よりもクリープ耐性に優れているので、バネ部材の付勢力を確保するためには、請求項5に記載のように、バネ部材を金属材料から構成するのが良い。または、請求項6に記載のように、バネ部材の表面が、絶縁部材によって被覆された構成を採用することもできる。なお、請求項6に記載の構成とは異なり、バネ部材と絶縁部材とが別個に形成されている場合、絶縁部材としては、請求項7に記載のように、シート状のものを採用することができる。
【0020】
請求項8及び請求項9に記載の作用効果は、請求項2に記載の作用効果と同様なので、その記載を省略する。同じく、請求項10に記載の作用効果は、請求項3に記載の作用効果と同様なので、その記載を省略する。
【0021】
バネ部材の形状としては、請求項11及び請求項12に記載のように、U字状若しくはL字状を採用することができる。
【0022】
請求項13に記載のように、接続部材は、1つの導電材料から形成された構成が良い。これによれば、例えば、特許文献1に示されるように、金属片とハンダ部材とによって、ジャンパ部品としての機能と、ヒューズとしての機能とを奏する部材が形成された構成と比べて、部品点数が低減される。
【0023】
導電材料としては、請求項14に記載のように、平板状のものを採用することができる。そして、接続部材を、請求項15に記載のように、導電材料をプレス加工することで、形成しても良い。また、連結部の断面積を、請求項16に記載のように、連結部をエッチングすることで、第1接続部及び第2接続部それぞれの断面積よりも小さく形成しても良い。なお、本発明に係る電子装置を、請求項17に記載のように、例えば、モータ駆動制御装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】モータ駆動制御装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1の接続部材と、連結部の露出部位を説明するための斜視図である。
【図3】絶縁バネを説明するための斜視図である。
【図4】連結部の露出部位を説明するための斜視図である。
【図5】金属バネと絶縁シートとを説明するための斜視図である。
【図6】絶縁バネと連結部及び絶縁バネとモールド部材との接触状態を示す斜視図であり、
【図7】図6に示すVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】連結部の露出状態を示す斜視図である。
【図9】連結部の変形例を説明するための斜視図である。
【図10】連結部の変形例を説明するための斜視図である。
【図11】バネの変形例を説明するための斜視図である。
【図12】モールド部材の変形例を示す斜視図である。
【図13】図12に示す凹部が絶縁バネによって閉塞された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る電子装置を、リードフレームにパワーMOSFETが搭載され、パワーMOSFETがモールド部材によって被覆されたモータ駆動制御装置に適用した場合の実施形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、モータ駆動制御装置の概略構成を示す斜視図である。図2は、図1の接続部材と、連結部の露出部位を説明するための斜視図である。図3は、絶縁バネを説明するための斜視図である。なお、図1及び図2では、便宜上、絶縁バネ50を省略している。
【0026】
図1に示すように、モータ駆動制御装置100は、要部として、リードフレーム10と、パワーMOSFET20と、接続部材30,31と、モールド部材40と、パワーMOSFET20と接続部材30,31とが搭載され、モールド部材40によってその一部が被覆されたリードフレーム10を収容するケース(図示略)と、を有する。このリードフレーム10は、上記したケースに収容され、後述する絶縁バネ50の付勢力によって、ケース内での配置位置が保持される。図1に示す接続部材30が、特許請求の範囲に記載の接続部材に相当し、図1に示す接続部材31が、従来の接続部材に相当する。接続部材30は、その断面積の一部が他の部位と比べて小さくなっていることを特徴とする。以下、接続部材30を第1接続部材30と示し、接続部材31を第2接続部材31と示す。
【0027】
図1に示すように、リードフレーム10は、パワーMOSFET20を搭載するための搭載面11と、該搭載面11と電気的に接続され、モールド部材40から端部が露出され、外部装置と電気的に接続される外部端子12と、を有する。パワーMOSFET20は、基板の厚さ方向に電流が流れるDMOSFETであり、リードフレーム10に搭載される面にドレイン電極(図示略)が形成され、ドレイン電極が形成された面の裏面に、ゲート電極21と、ソース電極22とが形成されている。
【0028】
接続部材30,31それぞれは、互いに離間された配線間を電気的に接続するものである。接続部材30,31それぞれは、一方の配線と機械的及び電気的に接続される第1接続部32と、他方の配線と機械的及び電気的に接続される第2接続部33と、第1接続部32と第2接続部33とを連結する連結部34と、を有する。そして、図2に示すように、第1接続部材30の連結部34の上面34aが、モールド部材40から露出されている。なお、本実施形態では、第2接続部材31の全てがモールド部材40によって被覆されている。
【0029】
本実施形態では、第1接続部材30の第1接続部32が、一方のパワーMOSFET20のソース電極22と機械的及び電気的に接続され、第1接続部材30の第2接続部33が、他方のパワーMOSFET20が搭載された搭載面11に接続されている。これにより、第1接続部材30を介して、一方のパワーMOSFET20のソース電極22と、他方のパワーMOSFET20のドレイン電極とが電気的に接続される。また、第2接続部材31の第1接続部32が、他方のパワーMOSFET20のソース電極22と機械的及び電気的に接続され、第2接続部材31の第2接続部33が、リードフレーム10における一方のパワーMOSFET20が搭載された搭載面11とは電気的に独立した部位と電気的に接続されている。これにより、第2接続部材31を介して、他方のパワーMOSFET20のソース電極22と、リードフレーム10における一方のパワーMOSFET20が搭載された搭載面11とは電気的に独立した部位とが電気的に接続される。
【0030】
第1接続部32及び第2接続部33は、それぞれ同一形状を成し、断面がくの字状に形成されている。そして、そのくの字を成す一方の平板部の一面がパワーMOSFET20やリードフレーム10との接続面としての機能を果たし、その一方の平板部の一端と、くの字を成す他方の平板部の一端とが連結されている。そして、その他方の平板部の他端と平板状の連結部34の端部とが連結されて、第1接続部32と第2接続部33とが、連結部34を介して連結されている。なお、第2接続部材31の連結部34の平面形状は、矩形状であるのに対して、第1接続部材30の連結部34の平面形状は、図2に示すように、一部がくびれた形状となっている。このくびれた部位が、後述する切り欠き部35に相当する。
【0031】
接続部材30,31それぞれは、1枚の導電材料をプレス加工することで形成される。本実施形態では、上記した導電材料として、平板状のものを採用している。図1及び図2に示すように、従来の接続部材である第2接続部材31は、その断面積が一定であるのに対して、本実施形態の特徴点である第1接続部材30は、断面積が一定とはなっていない。図2に示すように、連結部34に切り欠き部35が形成されて、連結部34の一部の断面積が、第1接続部32及び第2接続部33の断面積よりも小さくなっている。これにより、第1接続部材30に過電流が流れた際に、第1接続部材30の連結部34がジュール熱によって発熱し易くなっている。すなわち、第1接続部材30に過電流が流れた際に、連結部34がジュール熱によって溶融し、第1接続部32と第2接続部33とが電気的に分離され易くなっている。なお、上記した切り欠き部35は、連結部34をエッチングすることで形成される。
【0032】
図3に示すように、第1接続部材30の連結部34の上面34aには、絶縁バネ50が設けられる。この絶縁バネ50は、全体形状としてU字状を成し、絶縁部材によって形成される。絶縁バネ50は、第1平板部51と、第2平板部52と、第1平板部51と第2平板部52とを連結する屈曲部53と、を有する。この屈曲部53における凸状の部位が連結部34の上面34aに接触している。この絶縁バネ50は、上記した、パワーMOSFET20と接続部材30,31とが搭載され、モールド部材40によってその一部が被覆されたリードフレーム10を収容するケースの内壁面と、連結部34及びモールド部材40との間に配置され、これらによって挟持される。このように、絶縁バネ50が挟持されることで、絶縁バネ50が弾性変形し、その絶縁バネ50の付勢力によってリードフレーム10のケース内の配置位置が保持される。そして、弾性変形した絶縁バネ50によって、連結部34の上面34aが被覆される。
【0033】
モールド部材40は、接続部材30,31と、リードフレーム10及びパワーMOSFET20とを一体化し、その電気的な接続部位の一部を被覆保護するものである。図1及び図2に示すように、第1接続部材30の一部と、第2接続部材31の全てと、リードフレーム10の一部と、パワーMOSFET20の全てとが、モールド部材40によって被覆されている。これにより、接続部材30,31とパワーMOSFET20、及び、接続部材30,31とリードフレーム10それぞれの電気的な接続部位が被覆保護されている。なお、本実施形態では、図2に示すように、第1接続部材30の連結部34の上面34aが、モールド部材40から露出され、その露出された上面34aが、図3に示すように、絶縁バネ50によって被覆保護される。
【0034】
次に、本実施形態に係るモータ駆動制御装置100の製造方法を説明する。先ず、リードフレーム10を用意する。そして、リードフレーム10の搭載面11に、パワーMOSFET20を搭載する。その次に、パワーMOSFET20とリードフレーム10とを、接続部材30,31によって、機械的及び電気的に接続する。以上が、接続工程である。
【0035】
該接続工程終了後、パワーMOSFET20及び接続部材30,31が搭載されたリードフレーム10を、上型と下型とによって形成されるキャビティ内に配置する。その際、外部端子12の端部が上型と下型とによって挟持され、且つ、連結部34の上面34aが上型の内壁面に接触するように、リードフレーム10をキャビティ内に配置する。こうすることで、後述するモールド部材形成工程において、外部端子12の端部及び連結部34の上面34aが、モールド樹脂によって被覆されることが抑制される。以上が、配置工程である。
【0036】
配置工程終了後、キャビティ内に、タブレットから溶融したモールド樹脂を注入して、モールド樹脂を熱硬化反応して、固化する。これにより、モールド部材40を形成する。以上が、モールド部材形成工程である。
【0037】
モールド部材形成工程終了後、キャビティ内からリードフレーム10を取り出して、リードフレーム10における、搭載面11や、外部端子12を連結していた連結部位を除去する。これにより、電気的に分離することが必要な、搭載面11や外部端子12を電気的に分離する。以上が、分離工程である。
【0038】
分離工程終了後、パワーMOSFET20と接続部材30,31とが搭載され、モールド部材40によってその一部が被覆されたリードフレーム10を、図示しないケースに収容する。その際、連結部34の上面34aに絶縁バネ50の屈曲部53における凸状の部位が接触され、第1平板部51及び第2平板部52それぞれの端部がケースの内壁面と接触されるように、リードフレーム10と絶縁バネ50とをケース内に収納する。リードフレーム10と絶縁バネ50とのケースへの収納に伴って、絶縁バネ50が、ケースと、連結部34及びモールド部材40とによって挟持されて、絶縁バネ50が弾性変形する。これにより、絶縁バネ50と、モールド部材40とによって構成される空間内に第1接続部材30が配置され、その空間が、絶縁バネ50の付勢力によって閉塞される。すなわち、上面34aが絶縁バネ50によって被覆される。以上が、収容工程である。以上に示した工程を経ることで、本実施形態に係るモータ駆動制御装置100が形成される。
【0039】
次に、本実施形態に係るモータ駆動制御装置100の作用効果を説明する。なお、以下においては、特に断らない限り、第1接続部32、第2接続部33、及び連結部34は、第1接続部材30の構成材料を示す。
【0040】
上記したように、第1接続部材30は、パワーMOSFET20とリードフレーム10とを電気的に接続するジャンパ部品としての機能を奏する。そして、第1接続部材30の連結部34の断面積が、第1接続部32及び第2接続部33それぞれの断面積よりも小さくなっている。このように、連結部34の抵抗が高められ、連結部34がジュール熱によって発熱して溶断し易くなっており、第1接続部材30の連結部34がパワーMOSFET20とリードフレーム10との間に過電流が流れることを抑制するヒューズ機能を奏する構成となっている。
【0041】
そして、絶縁バネ50が、自身の付勢力によって、モールド部材40から露出された連結部34の上面34aに押し付けられて、上面34aが、絶縁バネ50によって被覆されている。これにより、第1接続部材30に過電流が流れた際に、溶融した連結部34の構成材料が飛散することが抑制され、飛散した連結部34の構成材料によって、意図しない配線間が電気的に接続されることが抑制される。
【0042】
また、第1接続部材30は、絶縁バネ50とモールド部材40とによって構成される空間内に配置され、その空間が、絶縁バネ50の付勢力によって閉塞されている。したがって、連結部34の熱によってモールド部材40の一部が気化し、その気化成分によって空間の内圧が絶縁バネ50の付勢力よりも強まると、上記した空間が開放され、気化成分が外部に放出される。このように、空間の内圧が絶縁バネ50の付勢力よりも高まることが抑制されるので、第1接続部材30の全てがモールド部材40によって被覆された構成とは異なり、上記した気化成分によってモールド部材40の一部が破裂する、という不具合が生じことが抑制される。すなわち、モールド部材40の破裂によって溶融した連結部34の構成材料が飛散し、その飛散した連結部34の構成材料によって、意図しない配線間が電気的に接続される、という電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【0043】
更に言えば、連結部34と絶縁バネ50とが接触され、その接触状態が絶縁バネ50の付勢力によって保持されている。これにより、パワーMOSFET20などで発生した熱を、第1接続部材30と絶縁バネ50とを介して、外部に放出することができる。絶縁バネ50は外部に設けられているので、連結部34の一部が外部に露出された構成と比べて、外部に露出された面積が増大される。これにより、放熱性が向上される。
【0044】
また、連結部34が発熱し易くなっているので、第1接続部32とパワーMOSFET20との接続部位や、第2接続部33と搭載面11との接続部位などの、接触抵抗のために抵抗が高まり易い部位が過剰に発熱することが抑制される。これにより、上記した各接続部位の周囲に位置するモールド部材40に過剰な熱が印加され、そのモールド部材40が炭化して、接続部32,33の周囲に位置するパワーMOSFET20の電極間が、炭化したモールド部材40を介して電気的に接続される、という電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【0045】
また、上記したジャンパ部品としての機能と、ヒューズ機能とを奏する第1接続部材30が、1つの導電材料によって形成されているので、金属片とハンダ部材とが、上記した2つの機能を奏する構成と比べて、部品点数が低減され、コストが低減される。
【0046】
また、連結部34の断面積が、第1接続部32及び第2接続部33それぞれの断面積よりも小さくなっている。これによれば、第1接続部32及び第2接続部33それぞれの断面積(抵抗)を、パワーMOSFET20間に流れる電流量に応じて設定変更することで、第1接続部材30のジュール熱に対する耐久度を向上(調整)することができる。すなわち、第1接続部材30に過電流が流れていないにも関わらず、第1接続部材30が溶断する、という不具合が生じることが抑制される。
【0047】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0048】
本実施形態では、本発明に係る電子装置を、モータ駆動制御装置に適用した場合を例示した。しかしながら、本発明に係る電子装置は、上記例に限定されず、民生の電気部品に適用することができる。
【0049】
本実施形態では、モールド部材40から、連結部34の上面34aが露出され、その露出した上面34aが、絶縁バネ50によって被覆された例を示した。しかしながら、モールド部材40から連結部34の少なくとも一部が露出された構成を採用することもできる。これによれば、ヒューズ機能を奏する連結部34を目視することができる。これにより、第1接続部32と第2接続部33との電気的な接続が切れたか否かを目視で確認することができる。すなわち、第1接続部材30に過電流が流れたか否かを目視で確認することができる。
【0050】
また、連結部34の少なくとも一部が外部に露出されるので、パワーMOSFET20で発生した熱を、連結部34(第1接続部材30)を介して、外部に放出することができる。このように、導電材料よりなる第1接続部材30を介して、パワーMOSFET20で発生した熱が外部に放出されるので、第1接続部材30の全てがモールド部材40によって被覆された構成と比べて、放熱性が向上される。
【0051】
なお、上記変形例とは異なり、モールド部材40によって連結部34の全てが被覆された構成の場合、発熱し易い連結部34の熱が、連結部34の周囲のモールド部材に印加され易く、連結部34の周囲に位置するモールド部材40が気化し易くなる。連結部34からモールド部材40への熱の印加が高まると、気化するモールド部材40の量が増大し、その気化成分によって、モールド部材40の一部が破裂する虞がある。モールド部材40が破裂すると、溶融した連結部34の構成材料が飛散し、その飛散した連結部34の構成材料によって、意図しない配線間が接続され、電気的な接続不良が生じる虞がある。これに対して、上記変形例では、連結部34の少なくとも一部がモールド部材40から露出されているので、連結部34からモールド部材40へ伝達される熱の量も少なく、気化成分によって、モールド部材40の一部が破裂することが抑制される。すなわち、モールド部材40の破裂によって溶融した連結部34の構成材料が飛散し、その飛散した連結部34の構成材料によって、意図しない配線間が電気的に接続される、という電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【0052】
本実施形態では、連結部34の上面34aがモールド部材40から露出された例を示した。しかしながら、図4に示すように、連結部34の上面34aと、側面34bとが露出された構成を採用することもできる。図4は、連結部の露出部位を説明するための斜視図である。
【0053】
なお、上記したように、連結部34の上面34aだけではなく、側面34bもモールド部材40から露出するためには、モールド樹脂が注入されるキャビティを構成する上型の内壁面に、連結部34の形状に応じた凹部を形成し、配置工程において、連結部34の上面34aと凹部の底面とが接触し、連結部34の側面34bと凹部の側面とが接触するように、リードフレーム10をキャビティ内に配置する。この状態で、上記したモールド部材形成工程を経ることで、連結部34の上面34aと側面34bとがモールド部材40から露出される。これによれば、本実施形態に示したように、上面34aのみが露出された構成と比べて、モールド部材40から露出される連結部34の表面積が増えるので、樹脂バリなどによって、モールド部材40から本来ならば露出される連結部34の表面が被覆されたとしても、モールド部材40から露出される連結部34の表面積を確保することができる。
【0054】
また、本実施形態では、連結部34の上面34aを被覆しつつ、第1接続部材30が配置される空間を閉塞する付勢力を印加する部材として、絶縁バネ50を採用した例を示した。しかしながら、上記した機能を奏する部材としては、上記例に限定されず、例えば、金属材料からなり、バネ性を有する物と、このバネ性を有する物の表面を被覆する絶縁性の物とから構成された部材を採用することもできる。一般的に、金属材料のほうが樹脂などの絶縁材料よりもクリープ耐性に優れているので、付勢力を確保するためには、本実施形態で示した絶縁バネ50よりも、上記した部材のほうが良い。
【0055】
なお、図4に示したように、連結部34の上面34aだけではなく、側面34bも露出した構成の場合、上記した絶縁バネ50の代わりに、連結部34のモールド部材40から露出された部位を被覆しつつ、第1接続部材30が配置される空間を閉塞する付勢力を印加する部材としては、図5に示すシート状の絶縁シート54と、U字状のバネ部材55とが採用される。絶縁シート54は、応力の印加によって形状が容易に変化する材料によって形成され、連結部34のモールド部材40から露出された部位を被覆する機能を奏する。バネ部材55は、絶縁シート54に付勢力を印加する機能を奏する。上記したバネ部材55としては、樹脂材料、金属材料どちらも採用することができる。しかしながら、上記したように、金属材料のほうが絶縁材料よりもクリープ耐性に優れているので、付勢力を確保するためには、バネ部材55を金属材料で形成するのが良い。図5は、金属バネと絶縁シートとを説明するための斜視図である。
【0056】
また、図4に示す構成の場合、図6及び図7に示すように、連結部34の形状に応じた凹部が形成された絶縁バネ50と、モールド部材40の上面40aとによって、モールド部材40から露出された連結部34の上面34a及び側面34bを被覆する空間を形成しても良い。この場合、絶縁バネ50は、連結部34だけではなく、モールド部材40とも接触されるので、絶縁バネ50の付勢力は、モールド部材40にも印加される。上記した空間は、絶縁バネ50の付勢力によって密閉される。図6は、絶縁バネと連結部及び絶縁バネとモールド部材との接触状態を示す斜視図であり、図7は、図6に示すVII−VII線に沿う断面図である。
【0057】
本実施形態では、図1及び図2に示すように、モールド部材40の上面40aから連結部34が露出される例を示した。しかしながら、図8に示すように、連結部34が、モールド部材40の側面40bから露出された構成を採用することもできる。図8は、連結部の露出状態を示す斜視図である。
【0058】
本実施形態では、第1接続部材30の連結部34の平面形状が、図2に示すように、一部がくびれた形状となることで、連結部34の一部の断面積が、第1接続部32及び第2接続部33の断面積よりも小さくなっている例を示した。しかしながら、連結部34の一部の断面積が、第1接続部32及び第2接続部33の断面積よりも小さい構成としては上記例に限定されず、例えば、図9及び図10に示す構成を採用することもできる。図9では、連結部34に、エッチングによって孔を穿つことで、連結部33の一部の断面積を、第1接続部32及び第2接続部33の断面積よりも小さくしている。図10では、連結部34におけるモールド部材40から露出された部位の厚さが薄くなるようにエッチングすることで、連結部33の断面積を、第1接続部32及び第2接続部33の断面積よりも小さくしている。図9及び図10は、連結部の変形例を説明するための斜視図である。
【0059】
本実施形態では、絶縁バネ50及びバネ55の全体形状がU字状である例を示した。しかしながら、バネ55の形状としては、上記例に限定されず、例えば図11に示すように、L字状を採用することもできる。図11は、バネの変形例を説明するための斜視図である。図11では、L字状を成すバネ55が、絶縁シート54を介して連結部34に付勢力を印加する構成となっている。なお、図示しないが、絶縁バネ50の形状としても、L字状を採用することができることは、言うまでもない。
【0060】
本実施形態では、図2に示すように、連結部34の上面34aと、モールド部材40の上面40aとが面一である例を示した。しかしながら、図12に示すように、連結部34の上面34aと、モールド部材40の上面40aとが面一でなくとも良い。図12では、上面34aと、モールド部材40における、連結部34の周囲に設けられた側壁とによって、凹部が形成されている。このような構成の場合、図13に示すように、上記した凹部の開口部が閉塞されるように、絶縁バネ50をモールド部材40の上面40aに設けても良い。この場合、絶縁バネ50と連結部34とは接触せず、絶縁バネ50とモールド部材40とが接触する。そして、上記した凹部と絶縁バネ50とによって構成される空間は、絶縁バネ50の付勢力によって密閉される。図12は、モールド部材の変形例を示す斜視図である。図13は、図12に示す凹部が絶縁バネによって閉塞された状態を示す斜視図である。
【0061】
本実施形態では、第2接続部材31の全てがモールド部材40によって被覆された例を示した。しかしながら、第2接続部材31も、第1接続部材30と同様に、その一部がモールド部材40から露出された構成を採用することもできる。この場合、第2接続部材31のモールド部材40から露出された部位も、絶縁バネ50若しくは絶縁シート54によって被覆される。
【0062】
本実施形態では、導電材料が平板状である例を示した。しかしながら、導電材料の形状は上記例に限定されず、例えば、棒状を採用することもできる。
【符号の説明】
【0063】
10・・・リードフレーム
20・・・パワーMOSFET
30・・・接続部材
40・・・モールド部材
50・・・絶縁バネ
100・・・モータ駆動制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離間された2つの配線と、
前記配線間を電気的に接続する接続部材と、
前記配線と前記接続部材とを被覆保護するモールド部材と、を有する電子装置であって、
前記接続部材は、一方の前記配線と機械的及び電気的に接続される第1接続部と、他方の前記配線と機械的及び電気的に接続される第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部とを連結する連結部と、から構成されており、
前記連結部の断面積が、前記第1接続部及び前記第2接続部それぞれの断面積よりも小さく、
前記連結部の少なくとも一部が、前記モールド部材から露出されていることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記連結部における、前記モールド部材から露出された部位に絶縁部材が配置され、
前記絶縁部材が、バネ部材の付勢力によって、前記連結部における、前記モールド部材から露出された部位に押し付けられて、前記連結部における、前記モールド部材から露出された部位が、前記絶縁部材によって被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記配線と、前記接続部材と、前記モールド部材と、前記絶縁部材と、前記バネ部材とを収容するケースを有し、
前記バネ部材が、前記ケースと、前記連結部及び前記モールド部材とによって挟持されていることを特徴とする請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記バネ部材は、樹脂材料から成ることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記バネ部材は、金属材料からなることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の電子装置。
【請求項6】
前記バネ部材の表面が、前記絶縁部材によって被覆されていることを特徴とする請求項5に記載の電子装置。
【請求項7】
前記絶縁部材は、シート状であることを特徴とする請求項2〜5いずれか1項に記載の電子装置。
【請求項8】
前記連結部における、前記モールド部材から露出された部位に絶縁材料からなるバネ部材が配置され、
前記バネ部材が、自身の付勢力によって、前記連結部における、前記モールド部材から露出された部位に押し付けられて、前記連結部における、前記モールド部材から露出された部位が、前記バネ部材によって被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項9】
前記モールド部材における、前記連結部側の部位に凹部が形成され、
その凹部の底面の一部が、前記連結部における、前記モールド部材から露出された部位によって構成され、
前記凹部の開口部を覆うように、バネ部材が設けられ、
前記連結部における、前記モールド部材から露出された部位が、前記凹部と前記バネ部材とによって構成される空間内に設けられ、その空間が、前記バネ部材の付勢力によって密閉されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項10】
前記配線と、前記接続部材と、前記モールド部材と、前記バネ部材とを収容するケースを有し、
前記バネ部材が、前記ケースと、前記連結部及び前記モールド部材とによって挟持されていることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の電子装置。
【請求項11】
前記バネ部材はU字状であることを特徴とする請求項2〜10いずれか1項に記載の電子装置。
【請求項12】
前記バネ部材は、L字状であることを特徴とする請求項2〜10いずれか1項に記載の電子装置。
【請求項13】
前記接続部材は、1つの導電材料から形成されていることを特徴とする請求項1〜12いずれか1項に記載の電子装置。
【請求項14】
前記導電材料は、平板状であることを特徴とする請求項13に記載の電子装置。
【請求項15】
前記接続部材は、前記導電材料をプレス加工することで形成されることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の電子装置。
【請求項16】
前記連結部をエッチングすることで、前記連結部の断面積が、前記第1接続部及び前記第2接続部それぞれの断面積よりも小さくされたことを特徴とする請求項15に記載の電子装置。
【請求項17】
モータ駆動制御装置であることを特徴とする請求項1〜16いずれか1項に記載の電子装置。
【請求項1】
互いに離間された2つの配線と、
前記配線間を電気的に接続する接続部材と、
前記配線と前記接続部材とを被覆保護するモールド部材と、を有する電子装置であって、
前記接続部材は、一方の前記配線と機械的及び電気的に接続される第1接続部と、他方の前記配線と機械的及び電気的に接続される第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部とを連結する連結部と、から構成されており、
前記連結部の断面積が、前記第1接続部及び前記第2接続部それぞれの断面積よりも小さく、
前記連結部の少なくとも一部が、前記モールド部材から露出されていることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記連結部における、前記モールド部材から露出された部位に絶縁部材が配置され、
前記絶縁部材が、バネ部材の付勢力によって、前記連結部における、前記モールド部材から露出された部位に押し付けられて、前記連結部における、前記モールド部材から露出された部位が、前記絶縁部材によって被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記配線と、前記接続部材と、前記モールド部材と、前記絶縁部材と、前記バネ部材とを収容するケースを有し、
前記バネ部材が、前記ケースと、前記連結部及び前記モールド部材とによって挟持されていることを特徴とする請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記バネ部材は、樹脂材料から成ることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記バネ部材は、金属材料からなることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の電子装置。
【請求項6】
前記バネ部材の表面が、前記絶縁部材によって被覆されていることを特徴とする請求項5に記載の電子装置。
【請求項7】
前記絶縁部材は、シート状であることを特徴とする請求項2〜5いずれか1項に記載の電子装置。
【請求項8】
前記連結部における、前記モールド部材から露出された部位に絶縁材料からなるバネ部材が配置され、
前記バネ部材が、自身の付勢力によって、前記連結部における、前記モールド部材から露出された部位に押し付けられて、前記連結部における、前記モールド部材から露出された部位が、前記バネ部材によって被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項9】
前記モールド部材における、前記連結部側の部位に凹部が形成され、
その凹部の底面の一部が、前記連結部における、前記モールド部材から露出された部位によって構成され、
前記凹部の開口部を覆うように、バネ部材が設けられ、
前記連結部における、前記モールド部材から露出された部位が、前記凹部と前記バネ部材とによって構成される空間内に設けられ、その空間が、前記バネ部材の付勢力によって密閉されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項10】
前記配線と、前記接続部材と、前記モールド部材と、前記バネ部材とを収容するケースを有し、
前記バネ部材が、前記ケースと、前記連結部及び前記モールド部材とによって挟持されていることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の電子装置。
【請求項11】
前記バネ部材はU字状であることを特徴とする請求項2〜10いずれか1項に記載の電子装置。
【請求項12】
前記バネ部材は、L字状であることを特徴とする請求項2〜10いずれか1項に記載の電子装置。
【請求項13】
前記接続部材は、1つの導電材料から形成されていることを特徴とする請求項1〜12いずれか1項に記載の電子装置。
【請求項14】
前記導電材料は、平板状であることを特徴とする請求項13に記載の電子装置。
【請求項15】
前記接続部材は、前記導電材料をプレス加工することで形成されることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の電子装置。
【請求項16】
前記連結部をエッチングすることで、前記連結部の断面積が、前記第1接続部及び前記第2接続部それぞれの断面積よりも小さくされたことを特徴とする請求項15に記載の電子装置。
【請求項17】
モータ駆動制御装置であることを特徴とする請求項1〜16いずれか1項に記載の電子装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−146539(P2011−146539A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6188(P2010−6188)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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