説明

電子装置

【課題】端子を屈曲形状とせずにコネクタのハウジング直下に電子部品を配置でき、且つ、放熱性も向上することのできる電子装置を提供する。
【解決手段】電子装置は、一面に配置された電子部品を有する基板と、合成樹脂材料を用いて成形され、基板の一面に配置されたハウジングと、該ハウジングに保持されつつ一部がハウジングから突出して設けられた複数の端子を有するコネクタと、を備える。コネクタは、ハウジングにおける基板との対向面から端子が突出しつつ垂直に延びて、基板に挿入実装される縦型のコネクタである。そして、ハウジングには、金属材料を用いて形成された放熱部材が、基板との対向面に露出するように一体的に設けられ、端子は、放熱部材に形成された貫通孔を挿通し、電子部品の少なくとも1つが、基板におけるハウジングとの対向部分に実装されて、放熱部材の露出部分と熱的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に縦型コネクタを実装してなる電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、基板にコネクタを実装してなる電子装置として、特許文献1に示されるものが知られている。この電子装置(電子制御装置)では、ハウジング(コネクタ本体)における基板との対向面から端子(コネクタ端子)が延出されている。そして、端子が屈曲形状とされ、ハウジングにおける基板との対向面と基板の一面との間に電子部品が配置されている。また、シリコンゴムなどの放熱部材が、電子部品と端子(コネクタ端子)とに当接されている(特許文献1の図3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−40342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電子装置では、ハウジング、端子、基板とにより囲まれる空間を、電子部品の配置が可能な大きさとすべく、端子を屈曲形状として、基板の一面(電子部配置面)に沿う方向において、ハウジングよりも外側まで引き出している。
【0005】
このように端子を屈曲形状とすると、例えば以下に示す問題を生じる虞がある。1)近年コネクタの端子数は増加しており、実際、基板の一面に沿う方向において端子は多段に配置される。このため、多段に配置された端子全てを屈曲形状とすると、基板の一面に垂直な方向においても端子が多段に配置されることとなり、該垂直方向での小型化が困難となる。2)コネクタ、ひいては電子装置のコストが増大する。3)曲げ部分を有するため、端子の基板に対する実装位置の精度が低下する。
【0006】
また、上記したように、電子部品の熱を、放熱部材及び端子を介して外部空間に放出するようになっているが、周知のように端子の径は細いため、放熱には不十分である。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑み、端子を屈曲形状とせずにコネクタのハウジング直下に電子部品を配置でき、且つ、放熱性も向上することのできる電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1に記載の電子装置は、
一面に配置された電子部品を有する基板と、
合成樹脂材料を用いて成形され、基板の一面に配置されたハウジングと、該ハウジングに保持されつつ一部がハウジングから突出して設けられた複数の端子を有するコネクタと、を備える。
【0009】
そして、コネクタは、ハウジングにおける基板との対向面から端子が突出しつつ垂直に延びて、基板に挿入実装される縦型のコネクタであり、
ハウジングには、金属材料を用いて形成された放熱部材が、基板との対向面に露出するように一体的に設けられ、
端子は、放熱部材に形成された貫通孔を挿通し、
電子部品の少なくとも1つが、基板におけるハウジングとの対向部分に実装されて、放熱部材の露出部分と熱的に接続されていることを特徴とする。
【0010】
本発明では、縦型のコネクタを採用しており、端子は、ハウジングにおける基板との対向面から突出しつつ垂直に延びている。このように、端子は屈曲形状を有しておらず、直線形状となっている。これにより、基板の一面に垂直な方向において、端子が多段に配置されないため、コネクタ、ひいては電子装置の体格を小型化することができる。また、コネクタ、ひいては電子装置のコストを低減することができる。さらには、端子の基板に対する実装位置の精度を向上することができる。
【0011】
また、本発明では、ハウジングに放熱部材がインサートされ、この放熱部材の露出部分に電子部品が熱的に接続されている。したがって、従来の端子への放熱構造に較べて、放熱性を向上することができる。以上から、本発明によれば、端子を屈曲形状とせずにコネクタのハウジング直下に電子部品を配置でき、且つ、放熱性も向上することができる。
【0012】
請求項2に記載のように、放熱部材は、貫通孔を端子と同数有し、1つの貫通孔に1つの端子が挿通された構成としても良い。これによれば、基板の一面に沿う方向において、外形寸法を同じとしつつ放熱部材の配置面積をより大きくすることができる。すなわち、放熱性をより向上することができる。
【0013】
請求項3に記載のように、放熱部材は、ハウジングにおける基板の対向面とは異なる部分で、ハウジングから露出していることが好ましい。これによれば、放熱部材に伝達された熱を、ハウジングと基板との対向空間ではなく、ハウジングにおける基板の対向面とは異なる部分から放熱することができる。
【0014】
請求項4に記載のように、金属材料を用いて形成され、基板とコネクタの一部とを収容するケースを備え、放熱部材は、ハウジングにおける基板の対向面とは異なる部分で、ケースと熱的に接続された構成とすると良い。これによれば、放熱部材を介してケースへ熱を逃がすことができるため、放熱性をより向上することができる。
【0015】
請求項5に記載のように、ハウジングには、コネクタを基板に固定するためのナットが一体的に設けられ、
ナットは、放熱部材と熱的に接続されており、
基板に形成された貫通孔を通じて、ボルトがナットに締結された構成としても良い。
【0016】
これによれば、ボルト及びナットを通じて、基板の熱が放熱部材に伝達される。これにより、電子部品の温度の上昇を抑制することができる。
【0017】
請求項6に記載のように、ナットは、放熱部材と電気的に接続されており、ボルトは、所定電位に固定されると良い。これによれば、ボルト及びナットを介して放熱部材が所定電位(例えばグランド電位)に固定されるため、放熱部材(及びボルト、ナット)を電磁波シールドとして機能させることができる。これにより、放熱部材の直下に位置する電子部品の電磁両立性(EMC)を向上することができる。
【0018】
請求項7に記載のように、ハウジング及びナットの少なくとも1つが、基板の一面に接触して、基板の一面とハウジングにおける基板の対向面との間に、所定高さの空間を形成すると良い。これにより、コネクタのハウジングと基板との間に、電子部品を配置する所定高さを容易に確保することができる。
【0019】
請求項8に記載のように、電子部品は、柔軟性を有する熱伝導部材を介して放熱部材と熱的に接続されており、放熱部材は、熱伝導部材の接触部分に凹凸部を有しても良い。これによれば、熱伝導部材の位置ズレを抑制し、ひいては放熱性を向上することができる。また、熱伝導部材が柔軟性を有するため、線膨張係数差による熱応力などを熱伝導部材にて緩和することもできる。
【0020】
請求項9に記載のように、ハウジングは、放熱部材の各貫通孔の壁面を被覆しており、放熱部材の貫通孔内において、端子はハウジングと接触すると良い。これによれば、端子と放熱部材の接触を、より確実に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る電子装置の概略構成を示す斜視図であり、便宜上、基板が固定された上ケースと、下ケースとを分離した状態で図示している。
【図2】電子装置のうち、コネクタが実装された基板と上ケースとを示す斜視図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面を簡略化した図である。
【図4】電子装置のうち、コネクタの概略構成を示す平面図である。この図では、外部コネクタとの嵌合側(外面側)から見た平面図となっている。
【図5】コネクタの概略構成を示す内面視の平面図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】コネクタのうち、放熱プレートの概略構成を示す外面視の平面図である。なお、放熱プレートに固定されたナットも併せて図示している。
【図8】放熱プレートの概略構成を示す内面視の平面図である。なお、放熱プレートに固定されたナットも併せて図示している。
【図9】図8のIX−IX線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下に示す各図において、共通乃至関連する要素には同一の符号を付与するものとする。
【0023】
図1〜図3に示すように、電子装置10は、要部として、回路基板30と、縦型のコネクタ50と、ケース70と、を備えている。そして、この電子装置10は、例えば車両のエンジンを制御する防水型の電子制御装置(ECU)として構成されている。
【0024】
回路基板30は、電極としてのランドを含む配線や、配線間を接続するビアホール等が形成されてなる基板31に、マイコン、パワートランジスタ、抵抗、コンデンサ等の電子部品32が実装されて回路が構成されたものである。
【0025】
本実施形態では、電子部品32として、パワーMOSFETなどの発熱素子を含んでおり、電子部品32としての発熱素子の少なくとも一部が、基板31において、コネクタ50を構成するハウジング51(後述する本体部55)と対向する部分に実装されている。なお、図3では、ハウジング51との対向部分に実装された電子部品32以外の電子部品32について、図示を省略している。
【0026】
この回路基板30(基板31)には、回路基板30に構成された回路と外部機器などとを電気的に中継するコネクタ50が実装されている。コネクタ50(ハウジング51)は、図3に示すように、回路基板30の一面30aに配置されており、この一面30aに、上記した電子部品32が配置されている。なお、この一面30aが特許請求の範囲に記載の基板の一面に相当する。
【0027】
コネクタ50は、図4〜図6に示すように、ハウジング51と、ハウジング51に保持された複数の端子52と、を有している。さらに、本実施形態では、コネクタ50が、放熱プレート53とナット54を有している。この放熱プレート53が、特許請求の範囲に記載の放熱部材に相当する。
【0028】
ハウジング51は、PPSやPBTなどの合成樹脂材料を射出成形してなり、端子52を保持する保持部、該ハウジング51の保持部から突出する端子52の一端とともに、メス型の外部コネクタとの嵌合に供せられる嵌合部を有する本体部55と、この本体部55と回路基板30との間に所定のクリアランス(所定高さの空間)を確保するための支持部56と、を有している。支持部56は、本体部55から回路基板30に向けて突出しており、支持部56の突出先端が回路基板30の一面30aに当接することで、本体部55からの突出高さ分、上記クリアランスを確保できるようになっている。
【0029】
なお、ハウジング51のうち、図6に示す符号57は、放熱プレート53において端子52が挿通される貫通孔58の壁面を被覆する被覆部であり、符号59は、ハウジング51とケース70を構成する上ケース71との間をシールするシール材90(接着剤)が配置される突起部である。被覆部57は、貫通孔58の壁面を被覆するものの貫通孔58を完全に埋めてはおらず、被覆部57を有した状態で、貫通孔58は、端子52が挿通可能な孔を有している。
【0030】
端子52は、導電材料を用いて形成されており、屈曲部を有しておらず、直線状に延びている。また、その延伸方向が、回路基板30に実装された状態で、回路基板30の一面30aに略垂直となる。換言すれば、回路基板30(基板31)の厚さ方向に平行となる。このようにコネクタ50は所謂縦型のコネクタとして構成されている。
【0031】
また、端子52は、ハウジング51に保持されつつ一部がハウジング51から突出して設けられている。具体的には、図6に示すように、直線状に延びる端子52の両端がハウジング51から突出しており、一方は、本体部55の保持部から嵌合部側に突出している。また、他方は、本体部55における回路基板30との対向面55a(以下、下面55aと示す)から回路基板30に向けて突出している。
【0032】
このような端子52は、図6に示すように、放熱プレート53の貫通孔58(図7参照)を挿通するとともに、図3に示すように、回路基板30(基板31)の図示しない貫通孔をそれぞれ挿通して配置されている。そして、回路基板30の貫通孔壁面に設けられたランド(図示略)とはんだ(図示略)を介して電気的に接続されている。すなわち、コネクタ50の端子52は、回路基板30に挿入実装されている。
【0033】
放熱プレート53は、金属材料を用いて形成されており、ハウジング51を射出成形する際のインサート部品として、ハウジング51と一体的に設けられている。放熱プレート53を構成する金属材料としては、放熱性の観点から熱伝導性が高い材料が好ましい。また、熱応力の観点からハウジング51を構成する樹脂材料と線膨張係数差が小さい材料が好ましい。本実施形態では、ハウジング51がPPSからなり、放熱プレート53が黄銅からなる。PPS、黄銅の線膨張係数はともに20ppm/℃程度であるため、これにより熱応力を低減し、放熱プレート53のハウジング51に対する剥離を抑制することができる。
【0034】
また、図7〜図9に示すように、放熱プレート53は平板状をなしている。そして、その一面の一部は、ハウジング51の本体部55における下面55aと面一の関係をなし、これにより放熱プレート53は、本体部55の下面55aに露出している。本実施形態では、図5に示すように、本体部55の下面55aの大部分を、放熱プレート53のうち、本体部55の下面55aから露出する部分60(以下、下面側露出部分60と示す)がなしている。
【0035】
また、放熱プレート53の下面側露出部分60は、図5に示すように平面矩形状をなしており、その中心領域に図7〜図9に示す貫通孔58が形成されて、端子52が配置されている。この貫通孔58は、端子52の本数と同数形成されており、1つの貫通孔58に1つの端子52が挿通されている。そして、この中心領域を取り囲む周辺領域に対向して、上記した電子部品32が実装されている。なお、図5では、参考位置として、放熱プレート53の下面側露出部分60における電子部品32の対向部分を破線で示している。
【0036】
放熱プレート53の下面側露出部分60における電子部品32の対向部分には、図5及び図8に示すように、凹凸部61が形成されている。本実施形態では、平面矩形状の下面側露出部分60の四隅付近にそれぞれ凹凸部61が形成されている。そして、放熱プレート53における下面側露出部分60の凹凸部61に柔軟性を有する熱伝導部材91が配置され、この熱伝導部材91を介して、コネクタ50の直下に配置された電子部品32とハウジング51にインサート成形された放熱プレート53とが熱的に接続されている。このように凹凸部61を設けると、線膨張係数差による熱応力や、ケース70に印加された外力が電子部品32に作用するのを抑制しつつ、熱伝導部材91の位置ズレを抑制することができる。
【0037】
なお、熱伝導部材91としては、少なくともハウジング51を構成する樹脂よりも熱伝導性が高く、柔軟性、すなわち、完全な固体ではなく流動性を有する材料を採用することができる。例えば、シリコンをベースとし、金属酸化物を添加することにより、熱伝導率を向上した放熱ゲルなどを採用することができる。
【0038】
また、放熱プレート53は、回路基板30と対向する下面と反対の上面の一部がハウジング51から露出している。本実施形態では、図4及び図6に示すように、放熱プレート53の上面の一部(以下、上面側露出部分62と示す)が、ハウジング51の支持部56における回路基板30と反対の面と面一となっている。そして、この上面側露出部分62上に柔軟性を有する熱伝導部材92が配置され、この熱伝導部材92を介して放熱プレート53と上ケース71とが熱的に接続されている。この熱伝導部材92については、例えば上記熱伝導部材91と同じものを採用することができる。
【0039】
このような放熱プレート53には、ナット54が例えば圧入により固定されている。このナット54も放熱プレート53とともにハウジング51にインサートされており、ハウジング51の支持部56に配置されている。また、コネクタ50(ハウジング51)を回路基板30に固定するために、放熱プレート53に形成された貫通孔63と、ナット54の貫通孔64とが互いに連通して、1つの孔をなしている。そして、回路基板30の一面30aと反対の裏面側から、回路基板30に形成された図示しない貫通孔を通じて、ナット54の貫通孔64及び放熱プレート53の貫通孔63にボルト65(螺子)が挿入され、ボルト65とナット54との締結されている。これにより、コネクタ50(ハウジング51)が回路基板30に固定されている。なお、本実施形態では、ナット54の一端がハウジング51の支持部56の突出先端とほぼ面一となっており、締結状態で、ナット54の一端と支持部56の突出先端が回路基板30の一面30aに当接している。
【0040】
ケース70は、回路基板30と、コネクタ50における外部コネクタとの嵌合部分を除く部分とをその内部空間に収容するものである。本実施形態では、このケース70が金属材料を用いて形成されている。より詳しくはアルミニウムを用いたダイカストにより形成されている。また、ケース70の構成部材の個数は特に限定されるものではなく、1つの部材から構成されても良いし、複数の部材から構成されても良い。
【0041】
本実施形態では、図1に示すように、一面が開口された箱状の上ケース71と、上ケース71の開口部位を閉塞する底の浅い下ケース72との2つの部材を有している。これら上ケース71と下ケース72は、回路基板30の厚さ方向において分割された構造となっている。そして各ケース71,72には、その四隅の互いに対応する位置に固定用の孔73,74がそれぞれ形成されており、図示しない螺子が孔73,74に挿入されて、上ケース71と下ケース72とが螺子締結されている。この螺子締結状態で、回路基板30とコネクタ50の一部を収容する内部空間を備えたケース70が構成される。
【0042】
上ケース71には、図2に示すように、コネクタ50の嵌合部を外部に露出させるための開口部75が形成されている。本実施形態では、1つの回路基板30に3つのコネクタ50が実装されており、これら3つのコネクタ50に対応して、上ケース71に3つの開口部75が形成されている。そして、コネクタ50が実装された回路基板30は、その四隅に設けられた貫通孔に螺子76が挿通され、この螺子76により上ケース71に組み付けられている。
【0043】
なお、図1に示す符号77は、下ケース72の周縁部位に形成された突起部であり、図2に示す符号78は、上ケース71の周縁部位に形成され、突起部77が配置される溝部である。これら突起部77と溝部78の間に図示しないシール材が介在されている。このシール材は、上記したシール材90とともに、ケース70の内部空間が気密に封止して、内部空間に水が侵入するのを防止する機能を果たすものである。
【0044】
次に、上記した電子装置10の特徴部分の効果について説明する。
【0045】
先ず、本実施形態では、コネクタ50として縦型のコネクタを採用している。このため、端子52は、ハウジング51の本体部55の下面55a(回路基板30との対向面)から突出しつつ垂直に延びている。このように、端子52は屈曲形状を有しておらず、直線形状となっている。したがって、複数の端子52を有しながらも、回路基板30の一面30aに垂直な方向において、端子52が多段に配置されず、これによりコネクタ50、ひいては電子装置10の体格を小型化することができる。また、端子52の屈曲が不要であるため、コネクタ50、ひいては電子装置10のコストを低減することができる。さらには、屈曲部分を有すると、回路基板30(の対応するランド)に対する位置精度がばらつくが、本実施形態では屈曲部分を有さないため、端子52の位置精度を向上することができる。
【0046】
また、本実施形態では、ハウジング51に放熱プレート53がインサートされ、この放熱プレート53の下面側露出部分60に電子部品32が、熱伝導部材91を介して熱的に接続されている。特に本実施形態では、回路基板30の一面30aに沿う方向において、放熱プレート53をハウジング51よりも若干小さい程度の大きさ(図4〜図9参照)としている。したがって、従来の電子部品から端子への放熱構造に較べて、電子部品32の熱が伝達される熱マスが大きく、電子部品32が生じた熱を、コネクタ50のハウジング51にインサートされた放熱プレート53に効率よく伝達させることができる。すなわち、放熱性を向上することができる。
【0047】
以上から、本実施形態によれば、端子52を屈曲形状とせずに、コネクタ50のハウジング51直下に電子部品32を配置して、回路基板30におけるハウジング51直下のデッドスペースを有効に活用することができる。なおかつ、放熱性も向上することができる。
【0048】
特に本実施形態では、放熱プレート53が、下面側露出部分60だけでなく、回路基板30の一面30aと対向する部分とは異なる部分、具体的には上面側露出部分62にて、ハウジング51から露出している。このため、電子部品32から放熱プレート53に伝達された熱を、ハウジング51と回路基板30との対向空間ではなく、下面側露出部分60とは異なる部分から放熱することができる。すなわち、放熱性をより向上することができる。
【0049】
さらに本実施形態では、放熱プレート53が、上面側露出部分62にて上ケース71(ケース70)と熱的に接続されている。これにより、放熱プレート53(及び熱伝導部材91,92)を介して、電子部品32の熱を上ケース71に逃がし、上ケース71から電子装置10の外部空間へ放熱することができる。このため、放熱性をさらに向上することができる。なお、図3に、電子部品32から上ケース71への放熱経路を実線矢印で示している。
【0050】
また、本実施形態では、放熱プレート53と熱的に接続されるように、ハウジング51にナット54がインサートされており、ナット54にボルト65が締結されることで、コネクタ50(ハウジング51)が回路基板30に固定されている。そして、ボルト65の頭部は、回路基板30の一面30aと反対の面に接触している。したがって、ボルト65及びナット54を通じて、回路基板30の熱を放熱プレート53、ひいては上ケース71に放熱することができる。これにより、電子部品32の温度の上昇を抑制することができる。すなわち、放熱性をより向上することができる。なお、図3に、回路基板30から放熱プレート53への放熱経路を実線矢印で示している。
【0051】
また、本実施形態では、放熱プレート53において、端子52が挿通される貫通孔58の壁面に、ハウジング51の被覆部57が設けられている。これによれば、貫通孔58に挿入された端子52と放熱プレート53と接触を、より確実に防ぐことができる。
【0052】
(変形例)
上記した形態において、ナット54が放熱プレート53と電気的に接続され、ナット54に締結されたボルト65が所定電位に固定される構成とするとなお良い。
【0053】
これによれば、ボルト65及びナット54を介して放熱プレート53が所定電位(例えばグランド電位)に固定することができる。このため、放熱プレート53(及びボルト65、ナット54)を電磁波シールドとして機能させることができる。すなわち、放熱プレート53の直下に位置する電子部品32の電磁両立性(EMC)を向上することができる。
【0054】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0055】
本実施形態では、電子装置10がケース70を備える例を示した。しかしながら、電子装置10は、電子部品32を有する回路基板30と、放熱プレート53を有するコネクタ50を少なくとも備えれば良い。
【0056】
本実施形態では、回路基板30に3つのコネクタ50が実装される例を示したが、回路基板30の実装されるコネクタ50の個数は特に限定されるものではなく、1つでも良い。
【0057】
本実施形態では、ハウジング51の支持部56及びナット54がともに、回路基板30の一面30aに接触して、回路基板30とハウジング51(下面55a)との間に、所定のクリアランスを確保する例を示した。しかしながら、ハウジング51の支持部56及びナット54のいずれか一方のみが、回路基板30の一面30aに接触して所定のクリアランスを確保するようにしても良い。例えば、ナット54の端面がハウジング51の支持部56の突出先端よりも回路基板30側に僅かに突出し、これによりナット54の端面のみが回路基板30の一面30aと接するようにしても良い。
【0058】
本実施形態では、ナット40とボルト65によってコネクタ50(ハウジング51)が回路基板30に固定される例を示した。しかしながら、固定構造は上記例に限定されるものではない。例えば、支持部56先端がフックとされ、このフックが回路基板30の貫通孔を挿通して一面30aと反対の面に係止し、回路基板30を挟持することにより、コネクタ50が回路基板30に固定される構造としても良い。
【0059】
さらには、回路基板30の一面30aにスペーサが固定され、このスペーサ上にハウジング51が固定されることで、回路基板30とハウジング51(下面55a)との間に、所定のクリアランスを確保するようにしても良い。
【0060】
本実施形態では、放熱プレート53において、端子52が挿通される貫通孔58の壁面に、ハウジング51の被覆部57が設けられる例を示した。しかしながら、壁面が被覆部57によって覆われていない貫通孔58に、端子52を挿通するようにしても良い。
【0061】
本実施形態では、放熱プレート53が平板状である例を示したが、平板に限定されるものではない。放熱プレート53は、少なくともハウジング51における回路基板30との対向面から露出するものであれば良い。
【符号の説明】
【0062】
10・・・電子装置
30・・・回路基板
30a・・・一面
31・・・基板
32・・・電子部品
50・・・コネクタ
51・・・ハウジング
52・・・端子
53・・・放熱プレート(放熱部材)
54・・・ナット
70・・・ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面に配置された電子部品を有する基板と、
合成樹脂材料を用いて成形され、前記基板の一面に配置されたハウジングと、該ハウジングに保持されつつ一部が前記ハウジングから突出して設けられた複数の端子を有するコネクタと、を備える電子装置であって、
前記コネクタは、前記ハウジングにおける基板との対向面から前記端子が突出しつつ垂直に延びて、前記基板に挿入実装される縦型のコネクタであり、
前記ハウジングには、金属材料を用いて形成された放熱部材が、前記基板との対向面に露出するように一体的に設けられ、
前記端子は、前記放熱部材に形成された貫通孔を挿通し、
前記電子部品の少なくとも1つが、前記基板におけるハウジングとの対向部分に実装されて、前記放熱部材の露出部分と熱的に接続されていることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記放熱部材は、前記貫通孔を前記端子と同数有し、
1つの前記貫通孔に1つの前記端子が挿通されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記放熱部材は、前記ハウジングにおける基板の対向面とは異なる部分で、前記ハウジングから露出していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
金属材料を用いて形成され、前記基板と前記コネクタの一部とを収容するケースを備え、
前記放熱部材は、前記ハウジングにおける基板の対向面とは異なる部分で、前記ケースと熱的に接続されていることを特徴とする請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記ハウジングには、前記コネクタを前記基板に固定するためのナットが一体的に設けられ、
前記ナットは、前記放熱部材と熱的に接続されており、
前記基板に形成された貫通孔を通じて、ボルトが前記ナットに締結されていることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の電子装置。
【請求項6】
前記ナットは、前記放熱部材と熱的に接続されており、
前記ボルトは、所定電位に固定されることを特徴とする請求項5に記載の電子装置。
【請求項7】
前記ハウジング及び前記ナットの少なくとも1つが、前記基板の一面に接触して、前記基板の一面と前記ハウジングにおける基板の対向面との間に、所定高さの空間を形成することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の電子装置。
【請求項8】
前記電子部品は、柔軟性を有する熱伝導部材を介して前記放熱部材と熱的に接続されており、
前記放熱部材は、前記熱伝導部材の接触部分に凹凸部を有することを特徴とする請求項1〜7いずれか1項に記載の電子装置。
【請求項9】
前記ハウジングは、前記放熱部材の各貫通孔の壁面を被覆しており、
前記放熱部材の貫通孔内において、前記端子は前記ハウジングと接触することを特徴とする請求項1〜8いずれか1項に記載の電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−253141(P2012−253141A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123539(P2011−123539)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】