説明

電子装置

【課題】ECUの回路基板の反りを防止しつつ、カプラ側の端子と、回路基板側の電極との接触圧を安定化させ、かつケースに対するカプラの着脱が容易な構造を提供する。
【解決手段】ECU16は、回路基板16aと、回路基板16aを保持するケース20と、複数の導線29を収容するカプラ22とからなる。導線29の端子30が回路基板16aに設けられた電極32に対して接触するようにケース20にカプラ22が連結される。端子30の先端30aは、回路基板16aに対向するカプラ22の一つの面22bから突出している。面22bに、カプラ22とケース20とが連結したときに電極32が設けられている回路基板16aの面に当接する凸部22cがカプラ22に形成される。カプラ22およびケース20は、一対の係合突起50および係合凹部52又は52aを介して互いに着脱自在に連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に関するものであり、特に、電子部品が装着された回路基板、および回路基板に電気的に接続されるカプラを有する電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や自動二輪車等には、内燃機関(エンジン)を制御するための電子装置としてエンジン制御装置(以下、「ECU」という)が搭載される。ECUは、電子部品を含む回路が実装される回路基板(以下、単に「基板」という)を有する。この基板を有するECUには、複数のハーネスがカプラを介して接続されるのが一般的である。
【0003】
例えば、特許文献1には、ECUとハーネスとの接続を行う構造として、ECU側にカプラを備えるとともにハーネス側にもカプラを備え、それらカプラ同士を接続させるものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−203614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1によって開示されたコネクタの接続構造では、ECU側のカプラとハーネス側のカプラとが必要になり部品点数の増加が課題となる。また、自動二輪車等のように4輪車と比べてレイアウトスペースの制限がより厳しいものにおいては、ECUとハーネスとが組みつけられた状態での小型化が望まれる。
【0006】
さらに、ECUは、それが取り付けられる場所によって異なる熱影響によるECUの膨張量の違いにより反りが発生してしまうことが考えられるが、部品点数を少なくしつつECUの反りも防止できる構成が望まれる。
【0007】
本発明の目的は、ECU側とハーネス側の双方にカプラを設けることによる部品点数の増加を防止してECUとハーネスとが組み付けられた状態での小型化を図るとともに、ECUが取り付けられる場所によって異なる熱膨張量によるECUの反りを防止することができる電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための本発明は、回路基板と、該回路基板を保持するケースと、複数の導線を収容するカプラとからなり、前記導線の端子が前記回路基板に設けられた複数の電極に対してそれぞれ接触するように前記ケースに前記カプラを介して連結される電子装置において、前記端子の先端が、前記回路基板に対向する前記カプラの一つの面から突出され、前記複数の電極に対して直接接触し、前記カプラの前記一つの面に、該カプラとケースとが連結した状態で前記電極が設けられている前記回路基板の面に当接する凸部が形成されているとともに、前記カプラおよび前記ケースが、これらに設けられた一対の係合部を介して互いに着脱自在に連結されている点に第1の特徴がある。
【0009】
また、本発明は、前記端子の先端が前記カプラに形成された端子通孔から前記一つの面側に突出しており、前記凸部が、前記端子通孔を避けて、該端子通孔の間に配置されている点に第2の特徴があり、前記凸部が、前記複数の端子通孔から等間隔離れた位置に配置されているか、前記凸部が、前記複数の端子通孔に隣接して配置されている点に第3の特徴がある。
【0010】
また、本発明は、前記凸部が、柱状体である点に第4の特徴があり、前記凸部が、板状または格子状のリブである点に第5の特徴がある。
【0011】
また、本発明は、前記リブを構成する格子の縦横部材の交点が前記複数の端子通孔の間に位置するように構成されている点に第6の特徴がある。
【0012】
また、本発明は、前記回路基板が、前記電極が配置される部分を除いて樹脂モールドされている点に第7の特徴がある。
【0013】
また、本発明は、前記カプラと前記ケースとの係合部が、凸部および凹部からなり、凸部がケースおよびカプラの一方に設けられ、凹部がケースおよびカプラの他方に設けられている点に第8の特徴がある。
【0014】
さらに、本発明は、前記回路基板がエンジンのスロットル装置に装着されるエンジン制御装置の一部分を構成している点に第9の特徴がある。
【発明の効果】
【0015】
第1〜第10の特徴を有する本発明によれば、ハーネス側のカプラ端子をECUの基板の電極に直接接触させたのでECU側のカプラが不要となり、部品点数の削減(ECU側のカプラの削減)を図りつつ、ケースに対するカプラの連結状態で、該回路基板の反りも有効に防止することができる。
【0016】
特に、第2の特徴を有する本発明によれば、端子通孔を避けて、該端子通孔の間に配置された凸部が、電極の間で回路基板に当接して回路基板の反りを効果的に防止することができる。
【0017】
また、第3の特徴を有する本発明によれば、前記凸部が、前記複数の端子通孔に隣接して配置されているので、該凸部が回路基板に複数の点で当接するので、回路基板の反りを効果的に防止することができる。
【0018】
また、第4の特徴を有する本発明によれば、座屈に強い柱状体で凸部を構成しているので、回路基板の反りに対して大きい抗力を発生することができる。
【0019】
また、第5の特徴を有する本発明によれば、リブによってカプラの強度(剛性)を高められる。
【0020】
また、第6の特徴を有する本発明によれば、格子状のリブによってカプラの強度向上を図ることができるとともに、回路基板の広い領域にリブを当接させることができるので、回路基板の反りを抑制するとともに回路基板の保護性能も得られる。
【0021】
また、第7の特徴を有する本発明によれば、電極部分以外は樹脂モールドされているので、電極部分は回路基板の表面から落ち込んだ凹部を形成している。したがって、カプラ側の端子が凹部の周辺にずれることなく該凹部内に収まった状態となり、電極に対する端子先端の接触状態が安定化できる。
【0022】
また、第8の特徴を有する本発明によれば、凹凸形状の嵌め合いによって堅固な連結が可能であるし、カプラをゴムまたは樹脂で形成した場合に、カプラを変形させて、ケースからカプラを容易に取り外すこともできる。
【0023】
また、第9の特徴を有する本発明によれば、エンジンからの熱影響を受けやすいエンジン制御装置(ECU)に適用して、ECUの回路基板の変形(反り)を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子装置を含むスロットル装置の要部断面図である。
【図2】回路基板とカプラの要部拡大断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る電子装置を含むスロットル装置の要部断面図である。
【図4】第2実施形態に係る電子装置の回路基板の正面図である。
【図5】変形例に係る回路基板の正面図である。
【図6】変形例に係る回路基板に適合するカプラの斜視図である。
【図7】リブからなる凸部を有するカプラの正面図である。
【図8】リブからなる凸部を有するカプラの斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るECU一体型スロットル装置を適用した自動二輪車の側面図である。
【図10】図9のスロットル装置部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図9は、本発明の一実施形態に係るECU一体型スロットル装置を適用した自動二輪車1の側面図である。また、図10は、図9のスロットル装置部分の拡大図である。メインフレーム3の前方側端部には、フロントフォーク4を操向可能に支承するヘッドパイプ2が取り付けられる。後ろ下がりに延びるメインフレーム3の後端部には、ピボットプレート62と、メインフレーム3に前端が溶接されて後上がりに延びる左右一対のシートレール17と、シートレール17の中間部およびピボットプレート20間を結ぶ左右一対の補強フレーム21とが取り付けられる。
【0026】
フロントフォーク4の下端には前輪WFが軸支され、フロントフォーク4の上部には棒状の操向ハンドル63が連結される。フロントフォーク4には、前輪WFの上方を覆うフロントフェンダ6が支持される。メインフレーム3の下方には、シリンダ軸線をわずかに前上がりとした水冷単気筒のエンジンEが配置される。エンジンEは、ピボットプレート62と、メインフレーム3の中間部に設けられたハンガプレート64とを用いて支持される。
【0027】
ピボットプレート62を車幅方向に貫通するピボット65には、スイングアーム66の前端部が上下揺動可能に支承される。スイングアーム66の後端には、ドライブチェーン23を介してエンジンEの出力が伝達される後輪WRが回転自在に軸支される。シートレール17とスイングアーム66との間には、リヤクッション19が設けられる。左右一対のシートレール17の間には燃料タンク67が配設され、燃料タンク67の車体前方には、開閉式のシート15を開くことでアクセス可能な収納ボックス68が配設される。後輪WRの後部上方はリヤフェンダ69で覆われる。
【0028】
エンジンEのシリンダヘッド11の上部側壁には、吸気管を介してECU一体式のスロットル装置10が接続されている。吸気管の途中には、シリンダヘッド11の吸気ポートに向けて燃料を噴射する燃料噴射弁27(図10参照)が取り付けられる。スロットル装置10の上流端は、エアクリーナボックス7に接続される。エンジンEの下部から排気管71が引き出される。
【0029】
スロットル装置10には、エンジンEに供給される空気量を調節するバタフライ型のスロットルバルブ(図1に関して後述)が回動可能に支承され、該スロットルバルブに連なって配置されるプーリ142にスロットルワイヤ141が巻き掛けられる。
【0030】
メインフレーム3には、エンジンEの一部、スロットル装置10およびエアクリーナボックス7を覆う合成樹脂製の車体カバー13が取り付けられている。車体カバー13の車体前方には、乗員の脚部を前方から覆うレッグシールド8が配設されている。車体カバー13には、スロットル装置10の調節およびエンジンEからの熱抜きを可能とする開口部70が、車体側面視でスロットル装置10のやや後方に設けられている。
【0031】
図1は、本発明の一実施形態に係るECU(電子装置)を含むスロットル装置の要部を示す一部断面図である。スロットル装置10は、スロットルボディ12と、スロットルボディ12に組み入れられて回転自在に軸支されたバタフライ弁であるスロットルバルブ14と、スロットルバルブ14の開度等に基づいて燃料噴射量を制御するECU16とを含んでいる。スロットルバルブ14の軸(スロットル軸:軸線140で示している)は、図1の右方向に延び、スロットル軸の端部にはスロットルワイヤ141が係止されるワイヤプーリ142が取り付けられる。ECU16とスロットルボディ12との間には、スロットルセンサや図示しないアイドル調整弁を駆動するアクチュエータ等からなるデバイスユニット18が設けられる。
【0032】
ECU16は、スロットルボディ12に近い側の面(第1の面)24および第1の面24と反対側の面(第2の面)26の間に、それぞれコンデンサ等の電子部品や素子を実装するいわゆる両面電極となっている。ECU16およびデバイスユニット18は、ケース20に収容され、ケース20には、コネクタまたはカプラ(以下、「カプラ」で統一する)22が連結される。カプラ22は、樹脂またはゴム等、可撓性材料であるのが好ましい。
【0033】
基板16aの第1の面24には、デバイスユニット18とECU16とを電気的に接続するための第1の電極28が複数設けられる。カプラ22は複数の信号線(または導線)29の集合体(つまりハーネス)を収容している。そして、基板16aの第2の面26には、カプラ22に集束された各信号線29にそれぞれ設けられる端子30を電気的に接続するための、複数の第2の電極32が設けられる。
【0034】
前記第1の面24および第2の面26を含む基板16aの外表面16Sは、第1の電極28および第2の電極32を設けた部位を除き、樹脂材でモールドが施される。つまり第1の電極28および第2の電極32は、樹脂材でカバーされず、表面に露出している。樹脂モールド方法としては、加熱加圧した樹脂を加熱金型の中に注入する加圧成型方法(トランスファモールド成型)を使用するのがよい。
【0035】
第2の電極32は、基板16aの第2の面26に第2の電極32と同数だけ形成される凹部34に配置され、該凹部34から突出しないように第2の電極32および凹部34の寸法がそれぞれ決定される。凹部34は前記樹脂モールドによって形成される。
【0036】
前記端子30と基板16aに設けられる第2の電極32とは、これらの間に設けられる導電性ゴムからなる接触部品42によって電気的に接続される。接触部品42はカプラ22に形成される凹部38に収容されて位置決めがなされる。カプラ22は、凹部38によって各凹部38同士の間に形成される凸部の先端で、基板16aの第2の面26に当接している。
【0037】
ケース20の側壁外面には、係合用突起50が形成され、カプラ22の内壁には、前記係合用突起50が嵌る係合用凹部52が形成される。係合用凹部52は、カプラ22の側壁を貫通する開口であってもよい。ケース20の側壁内面およびカプラ22の側壁外面には、シール54を受け入れる凹部がそれぞれ形成される。カプラ22の側壁内周面がケース22の側壁外周面に係合して、係合用突起50が係合用凹部(または開口)52に係合することにより、カプラ22とケース20は堅牢に連結される。これにより、接触部品42は圧縮され、端子30と第2の電極32の電気的接続がより一層確実になる。なお、図示のように、ケース20とデバイスユニット18との間にもシール54を設けるのが好ましい。また、前記係合用凹部52をケース20側に設け、係合用突起50をカプラ22側に設けてもよい。
【0038】
次に、基板およびカプラを、拡大図を参照してさらに詳細に説明する。図2はカプラ22を基板16aから切り離した状態の要部拡大断面図である。図2において、カプラ22は、基板16aの第2の面26に対し、接触部品42が嵌っている凹部38を形成している部分22aの端面で当接する。
【0039】
カプラ22には、端子30および信号線29の先端部を収容するガイド孔36が設けられる。ガイド孔36は、使用が予定される信号線29の数に相当する数だけ形成される。図1および図2では、ガイド孔36を形成する壁が隣接する壁と一体となって単一のブロックを形成しているカプラ22を示したが、各ガイド孔36の壁は分離していてもよい。つまり、カプラ22に設けられる各ガイド孔36の隣接する壁同士を互いに分離させて、端子30や信号線29を1組ずつ収容する複数の筒状部分(シース)を形成するようにしてもよい。
【0040】
ガイド孔36は、基板16aの第2の面26と対向するカプラ22側の面に対して垂直ではなく、角度θを有して形成されている。前記接触部品42が収容される凹部38は、第2の面26と対向するカプラ22の表面に直角な方向に穿たれ、前記ガイド孔36とつながる。
【0041】
凹部38に収容される接触部品42は、周囲にリム46を有する円板状のベース48とベース48から第2の電極32に向けて延在している凸部44とからなる。この凸部44は、図1に示すように基板16aにカプラ22を結合させた場合に、圧縮されてリム46と凸部44との間に形成されている空間に拡がるから、信号線29の端子30と第2の電極32との電気的接触を良好にしつつ、カプラ22とケース20との連結が容易に行える。
【0042】
また、ハーネス側のカプラ端子をECUの基板の電極に直接接触させたのでECU側のカプラが不要となり、部品点数の削減(ECU側のカプラの削減)を図りつつ、ケースに対するカプラの連結状態で、該回路基板の反りも有効に防止することができる。
【0043】
複数の接触部品42のうち、隣接するもの同士の間に位置するカプラ22の部分22aは、基板16a側の、互いに隣接する凹部34同士の間で、第2の面26に当接する。このカプラ22の部分22aを、基板16aの第2の面26に当接するようにしたので、ケース20に対するカプラ22の脱着作業性を良好に維持しつつ、基板16aの変形(反り)を防止することができる。なお、この実施形態では、接触部品42を介して端子30を第2の電極32に当接するようにしたが、次に示すように、接触部品42を介さず、端子30を基板16a側に延長して第2の電極32に当接するようにしてもよい。
【0044】
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。図3は、ECUを含むスロットル装置の要部を示す一部断面図であり、図1と同符号は同一または同等部分を示す。この第2の実施形態では、信号線29の端子30と第2の電極32との間に接触部品42を介在させていない。
【0045】
したがって、端子30は、カプラ22がケース20に連結された状態で、直接第2の電極32と接触するように、基板16aの第2の面26と対向するカプラ22の面22bから基板16a側に延長して形成される。基板16aの第2の面26と対向する面22bは第2の面26に当接しておらず、面22bから基板16a側に突出させている複数の凸部22cで第2の面26に当接する。
【0046】
なお、第2の実施形態では、信号線29の周りにゴムブッシュ61を被せて、該ゴムブッシュ61の周囲がガイド孔36の内周面に当接させることで防水性をもたせている。
【0047】
図4は、基板16aの正面図、つまり基板16aをカプラ22側から見た図である。図4において、基板16aの第2の面26には、縦方向および横方向に等間隔で複数の凹部34(煩雑を避けて縦1列にだけ符号を付している)を整列配置している。そして、縦方向および横方向の双方で隣接する凹部34同士は点線で示す格子の交点の1つおきに、かつ互い違いに配置される。
【0048】
そして、このように配置された凹部34同士の間に、例えば、黒い丸印T(煩雑を避けるため縦1列にだけ符号を付している)で示すように4つの凹部34から等間隔離して、カプラ22側の凸部22cが当接する位置が決定される。
【0049】
こうして、第2の実施形態においても、図1、2を参照して説明した実施形態と同様、カプラ22の凸部22cを、基板16aの第2の面26に当接するようにしたので、ケース20に対するカプラ22の脱着作業性を良好に維持しつつ、基板16aの変形(反り)を防止することができる。
【0050】
基板16aに設けられる凹部34の数は図4に示した数に限定されず、必要に応じて変更できる。同様に、各凹部34間に当接されるカプラ22の凸部22cも全ての凹部34の、全ての中間点に対応するように配置することはなく、凸部22cの数は基板16aに反りを起こさせる使用環境などを考慮して任意に設定できる。
【0051】
なお、凹部34の配置は、縦方向および横方向で互い違いにするのに限らない。図5は、凹部34の配置の変形例に係る基板16aの正面図である。この例では、凹部34は、点線で示す線の交点の1つおきに配置しているが、それぞれは互い違いにはなっていない。そして、この場合も、カプラ22側は、基板16a上で4つの凹部34から等間隔離した位置(黒丸Tで示す)に、凸部22cが当接するように形成する。
【0052】
凹部34や凸部22cをどのような配置にするかは、端子30や第2電極32の数や基板16aの、取り得るサイズ等に応じて決定すればよい。なお、端子30の数や第2電極32の数が多くて、これらの配置間隔が小さい場合は、端子30を通す端子通孔60から等間隔離して凸部22cを配置するのがよい。しかし、端子30の数や第2電極32の数が少なくて、これらの配置間隔が大きい場合は、端子通孔60から等間隔離して凸部22cを配置するのではなく、端子通孔60に近接させて凸部22cを配置するのがよい。
【0053】
図6は、図5に示した凹部34の配置に適合するカプラ22を基板16aと対向する側の斜め方向から見た図である。図6において、端子30の先端30aはカプラ22の端子通孔60から突出しており、さらにその端部は図中で上方に折れ曲がっている。この端子30の先端30aの屈曲形状により、第2の電極32に広い面積で弾力的に端子30が当接できる。
【0054】
カプラ22の側壁(基板16aに対向する面と直交する面を有する壁)55には、ケース20の係合用突起50が嵌る係合用開口52aが形成されている。この係合用開口52aは前記係合用突起52に代わるものである。この係合用開口52aは、上下に設けられる側壁55だけでなく、横に設けられる側壁56にも形成される。したがって、ケース20の対応位置にも係合用開口52aに係合する係合用突起が設けられる。
【0055】
係合用開口52aを設ける側壁55および56は、該係合用開口52aに近接した位置にスリット57を有する。スリット57は側壁55や56の端面から切り込まれており、これによって、側壁55、56のうち係合用開口52aを有する部分が撓みやすくなるので、比較的小さい力で係合用開口52aにケース20の係合用突起59を嵌めやすくなる。なお、凸部22cは円柱状に限らず、多角柱状であってもよい。
【0056】
さらに、上述の実施形態では、カプラ22に設けた凸部22cを図6に示すような柱状のものであったが、凸部22cは柱状に限らない。図7は、柱状の凸部22cに代わるリブの例を示すカプラ22の正面図であり、図8は同斜視図である。図7および図8において、カプラ22から正面側(図7では紙面表側)に突出している端子30は縦3列、横4段で整列して配置され、これらの端子30の間を区切るように、カプラ22と一体的にリブ58が形成される。リブ58の高さは、カプラ22から突出している端子30の先端が基板16aの第2電極32と良好な接触状態を形成できるように、カプラ22の側壁55、56より低くしており、少なくとも端子30の先端がリブ58よりも正面側に突出するように設定する。しかも、ケース20に連結した状態で、リブ58の端面が基板16aの第2の面26に当接するように寸法を設定する。
【0057】
リブ58は図示のとおり、正面視で格子状に形成されており、格子を構成する縦横部材の交点58aは、複数の端子通孔60の間に位置している。好ましくは、端子通孔60から等間隔離れた位置に交点58aを配置するのが好ましい。端子通孔60の周りの強度をリブ58や凸部22cで均等に増大できるので、端子30と第2電極32との電気的接触圧を安定化することができる。
【0058】
なお、リブ58は格子状に限定するのではなく、縦方向または横方向に延びる単純な板状であってもよいし、端子通孔60の間に縦横部材の交点が位置する正面視十字形状の部材または部分、つまり格子状リブ58の一部分を構成するものであってもよい。
【0059】
上述のように、本実施形態によれば、基板16aと組み合わされた状態で、カプラ22側に設けられるハーネスの端子30および基板16a側の第2の電極32との間で電気信号を送受、または電圧を印加可能なようにする構造において、カプラ22側の、基板16aの第2の面26と対向する面に突出部(凸部22cまたはリブ58)を設けて、この突出部を基板16aに当接できるようにしたので、熱影響等による基板16aの反りを防止することができる。また、突出部を基板16aに当接させることによって、カプラ22と基板16aとの取り付け位置が固定化する、つまり一定の位置決めができるので、端子30と第2の電極との接触圧が安定化するという利点がある。
【0060】
本発明を、具体的な実施形態を参照して説明したが、本発明はこの実施形態に限定されることなく、当業者は、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で変形または応用することができる。
【0061】
例えば、基板16aの凹部34やカプラ22に設けられる突出部(凸部22cやリブ58)の配置は、適宜変更できる。要は、凹部34を避けて、互いに隣接する突出部間において基板16aに突出部の端面が当接するように配置されていればよい。
【0062】
また、実施形態では、電子装置はスロットル装置に組み込まれたECUとして説明した。しかし、これに限らず、モータやソレノイド等を駆動手段として制御される車両の電装機器、例えば、自動変速機、燃料供給装置、オルタネータ、および電源供給装置等の制御装置に使用され、基板とカプラとの連結部を必須とする電子装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0063】
10…スロットル装置、 12…スロットルボディ、 14…スロットルバルブ、 16…ECU(電子装置)、 16a…回路基板、 18…デバイスユニット、 20…カプラ、 22…ケース、 22c…凸部、 24…第1の面、 26…第2の面、 29…信号線(導線)、 30…端子、 32…第2の電極、 34…凹部、 36…ガイド孔、 42…接触部品(導電性ゴム)、 50…係合用突起、 52…係合用凹部、 55…カプラの側壁、 57…スリット、 58…リブ、 58a…格子の交点、 60…端子通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板(16a)と、該回路基板(16a)を保持するケース(20)と、複数の導線(29)を収容するカプラ(22)とからなり、
前記導線(29)の端子(30)が前記回路基板(16a)に設けられた複数の電極(32)に対してそれぞれ接触するように前記ケース(20)に前記カプラ(22)を介して連結される電子装置において、
前記端子(30)の先端(30a)が、前記回路基板(16a)に対向する前記カプラ(22)の一つの面(22b)から突出され、前記複数の電極(32)に対して直接接触し、
前記カプラ(22)の前記一つの面(22b)に、該カプラ(22)とケース(20)とが連結した状態で前記電極(32)が設けられている前記回路基板(16a)の面(26)に当接する凸部(22c)が形成されているとともに、
前記カプラ(22)および前記ケース(20)が、これらに設けられた一対の係合部(50、52または52a)を介して互いに着脱自在に連結されていることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記端子(30)の先端(30a)が、前記カプラ(22)に形成された端子通孔(60)から前記一つの面(22b)側に突出しており、
前記凸部(22c)が、前記端子通孔(60)を避けて、該端子通孔(60)の間に配置されていることを特徴とする請求項1記載の電子装置。
【請求項3】
前記端子(30)の先端(30a)が、前記カプラ(22)に形成された端子通孔(60)から前記一つの面(22b)側に突出しており、
前記凸部(22c)が、前記複数の端子通孔(60)から等間隔離れた位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の電子装置。
【請求項4】
前記端子(30)の先端(30a)が、前記カプラ(22)に形成された端子通孔(60)から前記一つの面(22b)側に突出しており、
前記凸部(22c)が前記複数の端子通孔(60)に隣接して配置されていることを特徴とする請求項1記載の電子装置。
【請求項5】
前記凸部(22c)が、柱状体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子装置。
【請求項6】
前記凸部(22c)が、板状のリブであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子装置。
【請求項7】
前記凸部(58)が、板状または格子状のリブであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子装置。
【請求項8】
前記リブ(58)を構成する格子の縦横部材の交点(58a)が前記複数の端子通孔(60)の間に位置するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の電子装置。
【請求項9】
前記回路基板(16a)は、前記電極(32)が配置される部分を除いて樹脂モールドされていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電子装置。
【請求項10】
前記カプラ(22)と前記ケース(20)の前記係合部が、凸部(50)および凹部(52)からなり、凸部がケース(20)およびカプラ(22)の一方に設けられ、凹部がケース(20)およびカプラ(22)の他方に設けられることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の電子装置。
【請求項11】
前記回路基板(16a)がエンジンのスロットル装置に装着されるエンジン制御装置(16)の一部分を構成していることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の電子装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−54017(P2012−54017A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193921(P2010−193921)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】