説明

電子走査型ミリ波レーダ装置およびコンピュータプログラム

【課題】 対象物に対する横方向の分離性能を向上させる電子走査型ミリ波レーダ装置を提供する。
【解決手段】 デジタル化されたビート信号をフーリエ変換し、これに基づいて所定のピッチ角度でビーム信号を生成する。次に、生成されたビーム信号から対象物の方位、距離を検出する。そして、検出された対象物の方位および距離に基づいて、フーリエ変換された各受信アンテナに対応するビート信号において略同じ距離に複数の対象物があるか否かを検出し、ビート信号に対し分離処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子走査型ミリ波レーダ装置およびこれに用いるコンピュータプログラムに関し、特に、車載用の対象物の検出に好適な電子走査型ミリ波レーダ装置およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車載用の電子走査型ミリ波レーダ装置には、そのビームの走査方式として、1本のビームを機械的に横方向に走査する機械式と、複数のビームを電子的に横方向に走査する電気式(例えば、特許文献1参照。)とが知られている。しかし、いずれの方式においても、対象物が隣接している場合に、横方向における対象物の分離性能を向上させるためには、送信アンテナから送信するビーム幅を狭くすることが必要であった。
【0003】
例えば、図7は、後方の車両に搭載された電子走査型ミリ波レーダ装置の送信アンテナから送信波を前方の2台の車両に送信し、前方の車両からの到来波を3チャンネルの受信アンテナで受信する場合を示しているが、図7(b)のように、送信波のビーム幅が広い場合には、中央のビームに対する到来波(受信波)が前方の2台の車両から到来波(受信波)となって受信されるために、各チャンネル間のレベル差が小さくなる。そのため、分離性能が悪化し、前方の2台の車両を明確に捉えることができないという問題がある。
【0004】
このため、上記の問題を解決するためには、図7(a)に示すように、送信波のビーム幅を狭くして、隣接チャンネルからの受信波のレベル差を大きくする必要がある。しかし、これを実現するためには、これに伴って、送信アンテナおよび受信アンテナの面積を大きくする必要があった(例えば、非特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平6−88869号公報
【非特許文献1】アンテナ工学ハンドブック、社団法人電子通信学会編、平成3年9月30日発行、P188〜P191
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、分離性能を向上させるためには、送信アンテナおよび受信アンテナの面積を大きくし、ビーム幅を狭くすることが有効ではあるが、送信アンテナおよび受信アンテナの面積を大きくすると、一方で、装置全体の小型化あるいはコストダウンが困難であるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、送信アンテナから送信されるビーム幅によらず、対象物に対する横方向の分離性能を向上させる電子走査型ミリ波レーダ装置およびコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、対象物からの到来波を受信する複数の受信アンテナ(例えば、実施形態における受信アンテナ1a〜1i)と、送信波を生成する送信波生成手段(例えば、実施形態におけるVCO10)と、送信波を送信する送信アンテナ(例えば、実施形態における送信アンテナ3)と、前記各受信アンテナにおいて受信された受信波と該送信波とを混合し、ビート信号を生成するミキサ(例えば、実施形態におけるミキサ2a〜2i)と、該ビート信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ(例えば、実施形態におけるA/Dコンバータ7)と、該デジタル化されたビート信号を各受信アンテナに対応づけて格納する記憶手段(例えば、実施形態におけるメモリ21)と、該格納されたビート信号をフーリエ変換するフーリエ変換手段(例えば、実施形態におけるフーリエ変換処理部22)と、該フーリエ変換された信号に基づいて、所定のピッチ角度でビーム信号を生成するデジタルビームフォーミング手段(例えば、実施形態におけるDBF処理部23)と、該生成されたビーム信号から前記対象物の方位を検出する方位検出手段(例えば、実施形態における方位検出部26)と、該生成されたビーム信号から前記対象物までの距離を検出する距離検出手段(例えば、実施形態における距離検出部24)と、前記フーリエ変換手段によりフーリエ変換された各受信アンテナに対応するビート信号から前記検出された対象物の方位および距離に基づいて、該ビート信号に対し分離処理を行う信号分離処理手段(例えば、実施形態における分離処理部27)と、を備えたことを特徴とする電子走査型ミリ波レーダ装置を提案している。
【0008】
請求項11に係る発明は、電子走査型ミリ波レーダ装置に用いられるコンピュータプログラムであって、各受信アンテナにおいて受信された受信波と送信波とを混合してビート信号を生成し、該ビート信号をデジタル信号に変換して、各受信アンテナに対応づけて格納する第1のステップと、該格納されたビート信号をフーリエ変換する第2のステップと、 該フーリエ変換された信号に基づいて、所定のピッチ角度でビーム信号を生成する第3のステップと、該生成されたビーム信号から対象物の方位を検出する第4のステップと、該生成されたビーム信号から対象物までの距離を検出する第5のステップと、該検出された対象物の方位および距離に基づいて、前記フーリエ変換された各受信アンテナに対応するビート信号において略同じ距離に複数の対象物があるか否かを検出する第6のステップと、 該ビート信号に対し分離処理を行う第7のステップと、をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムを提案している。
【0009】
これらの発明によれば、フーリエ変換された各受信アンテナに対応するビート信号から検出された対象物の方位および距離に基づいて、ビート信号に対し分離処理を行う構成となっている。したがって、複数の分離処理対象物を特定して適切に分離処理を実行することができる。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載された電子走査型ミリ波レーダ装置について、前記信号分離処理手段が、最大エントロピー法を用いて、信号の分離処理を行うことを特徴とする電子走査型ミリ波レーダ装置を提案している。
【0011】
この発明によれば、信号分離処理手段が最大エントロピー法を用いて、信号の分離処理を行う構成となっている。したがって、分離性能を向上させるために狭い幅の送信ビームを用いる必要がない。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載された電子走査型ミリ波レーダ装置について、前記信号分離処理手段が、前記フーリエ変換手段において生成された信号の実数部のみを用いて信号の分離処理を行うことを特徴とする電子走査型ミリ波レーダ装置を提案している。
【0013】
この発明によれば、信号分離処理手段がフーリエ変換された信号の実数部のみを用いて信号の分離処理を行う構成となっている。一般に、最大エントロピー法における複素演算はその処理が複雑であるが、本発明の構成によれば、信号分離処理手段がフーリエ変換後の複素データのうち実数部のみを使用して演算を行うため、演算処理を簡略化することができる。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項2に記載された電子走査型ミリ波レーダ装置について、前記信号分離処理手段が、前記フーリエ変換手段において生成された各受信アンテナに対応する信号の実数部あるいは虚数部を受信アンテナの配置にしたがって交互に切り替えて用いることにより信号の分離処理を行うことを特徴とする電子走査型ミリ波レーダ装置を提案している。
【0015】
この発明によれば、信号分離処理手段が、フーリエ変換された各受信アンテナに対応する信号の実数部あるいは虚数部を受信アンテナの配置にしたがって交互に切り替えて用いることにより信号の分離処理を行う構成となっている。したがって、隣接する受信アンテナにおける信号ベクトルごとに、複素数データの実数部、虚数部を交互に使用して演算処理を行うことにより、実数部あるいは虚数部のみを用いた演算処理において必要となる処理を排除できることから演算処理を簡素化することができる。
【0016】
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載された電子走査型ミリ波レーダ装置について、前記電子走査型ミリ波レーダ装置が車両に搭載されるとともに、 自車前方に対象物を判定する所定の判定エリアを設定する判定エリア設定手段(例えば、実施形態における判定エリア設定部32)と、少なくとも前記検出された対象物までの距離および該設定された判定エリアに基づいて、該判定エリア内にある対象物を分離対象とする分離対象判定手段(例えば、実施形態における分離対象判定部31)と、を備え、前記信号分離処理手段は、前記分離対象判定手段により前記判定エリア内にあると判定された対象物に基づくビート信号に対して、分離処理を行うことを特徴とする電子走査型ミリ波レーダ装置を提案している。
【0017】
この発明によれば、車両に電子走査型ミリ波レーダ装置が搭載され、自車前方に設けられた判定エリアに存在する対象物を分離対象として判定する構成を有しているため、判定エリア内にある対象物を優先的に分離対象とすることができる。また、判定エリアを設定したことから、演算負荷の高い最大エントロピー法を用いた場合であっても予め定められた処理時間内に分離処理を完了させることができる。
【0018】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載された電子走査型ミリ波レーダ装置について、自車の走行軌跡を推定する軌跡推定手段(例えば、実施形態における軌跡推定部33)を備え、前記判定エリア設定手段が、前記自車の推定走行軌跡に基づいて、自車前方に判定エリアを設定するとともに、前記分離対象判定手段が、前記検出された対象物の方位と距離および前記設定された判定エリアに基づいて、該判定エリア内にある対象物を分離対象として判定することを特徴とする電子走査型ミリ波レーダ装置を提案している。
【0019】
この発明によれば、自車の推定走行軌跡に基づいて判定エリアを設定する構成としたことから、自車の推定走行軌跡上に存在する対象物について、優先的に分離処理を実行することができる。そのため、自車の進行軌跡上に存在し、自車の走行の妨げになる可能性のある対象物に対して、優先的に分離処理を実行することができる。
【0020】
請求項7に係る発明は、請求項5または請求項6に記載された電子走査型ミリ波レーダ装置について、前記分離対象判定手段が、前記検出された対象物までの距離が第1の所定値以上のものを分離対象として判定することを特徴とする電子走査型ミリ波レーダ装置を提案している。
【0021】
この発明によれば、自車との相対距離が所定値以上の対象物に対して、これを分離対象とする構成とした。ここで、所定値とは、通常の対象物検知方法を用いたとしても、車両の制御上の問題がなく、分離性能を確保できるような近距離の値である。この発明においては、こうした近距離の対象物を分離処理の対象外としたことから、分離性能が低下する相対距離以遠の対象物に対して、優先的に分離処理を実行することができる。
【0022】
請求項8に係る発明は、請求項5または請求項7に記載された電子走査型ミリ波レーダ装置について、前記分離対象判定手段が、前記検出された対象物までの距離が第2の所定値以下のものを分離対象として判定することを特徴とする電子走査型ミリ波レーダ装置を提案している。
【0023】
この発明によれば、自車との相対距離が所定値以下の対象物に対して、これを分離対象とする構成とした。ここで、所定値とは、走行上、自車に対する危険度が低く、対象物からの受信信号レベルが微弱であって、正確な分離処理が期待できないような相対距離である。この発明においては、そうした遠距離の対象物を分離処理の対象外としたことから、分離処理の信頼性を高めて、自車にとって危険度の高い対象物に対して、優先的に分離処理を実行することができる。
【0024】
請求項9に係る発明は、請求項8に記載された電子走査型ミリ波レーダ装置について、前記第2の所定値は、前記第1の所定値よりも大きな値であることを特徴とする電子走査型ミリ波レーダ装置を提案している。
【0025】
この発明によれば、対象物を自車との相対距離によって限定したことから、走行上、自社に対する危険度が高く、かつ、十分な分離処理性能を期待できるエリア内の対象物に対して、優先的に分離処理を実行することができる。
【0026】
請求項10に係る発明は、請求項5から請求項9のいずれかに記載された電子走査型ミリ波レーダ装置について、前記分離対象判定手段が、前記検出された対象物との相対速度が自車に対して接近方向の値であるものを分離対象として判定することを特徴とする電子走査型ミリ波レーダ装置を提案している。
【0027】
この発明によれば、自車との相対速度が接近方向である対象物について分離処理を実行する構成となっている。そのため、自車前方に複数の対象物が検出された場合であっても、自車の走行上、妨げとなる自社に対して接近方向に移動する対象物に対して優先的に分離処理を実行することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、送信アンテナから送信されるビーム幅によらず、対象物に対する横方向の分離性能を向上させることができるという効果がある。
また、送信アンテナから送信されるビーム幅を分離性能に応じて、狭くする必要がないため、装置全体を小型化し、コストダウンを図ることができるという効果がある。
【0029】
さらに、最大エントロピー法を用いた分離処理部に入力するデータがフーリエ変換部において生成された信号の実数部のみであるため、処理時間を短縮することができるという効果がある。
【0030】
さらに、本発明においては、判定エリアを設定して対象物を限定したことから、演算処理能力の高いCPUでなくても分離処理を所定の処理時間内に実行できるため、装置全体のコストの上昇を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態に係る電子走査型ミリ波レーダ装置について図1から図14を参照して詳細に説明する。
【0032】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態に係る電子走査型ミリ波レーダ装置は、図1に示すように、受信アンテナ1a〜1iと、ミキサ2a〜2iと、送信アンテナ3と、分配器4と、フィルタ5a〜5iと、SW6と、A/Dコンバータ7と、制御部8と、三角波生成部9と、VCO(Voltage Controlled Oscillator)(送信波生成手段)10と、信号処理部20とから構成され、信号処理部20は、メモリ(記憶手段)21と、フーリエ変換処理部(フーリエ変換手段)22と、DBF(Digital Beam Forming)処理部(デジタルビームフォーミング手段)23と、距離検出部(距離検出手段)24と、速度検出部25と、方位検出部(方位検出手段)26と、分離処理部(信号分離処理手段)27とから構成されている。
【0033】
受信アンテナ1a〜1iは、対象物から到来する受信波を受信するアンテナであり、本実施形態においては、9個の受信アンテナで構成されている。ミキサ2a〜2iは、送信アンテナ3から送信される送信波と各受信アンテナ1a〜1iにおいて受信され増幅器により増幅された信号とを混合してビート信号を生成する。
【0034】
送信アンテナ3は、三角波生成部9において生成された信号をVCO10において周波数変調した送信信号を対象物に対して送信する。分配器4は、VCO10からの周波数変調信号をミキサ2a〜2iおよび送信アンテナ3に分配する。フィルタ5a〜5iは、ミキサ2a〜2iにおいて生成された各受信アンテナ1a〜1iに対応したチャンネルのビート信号に対して帯域制限を行う。
【0035】
SW6は、フィルタ5a〜5iを通過した各受信アンテナ1a〜1iに対応したチャンネルの信号を順次切り替えて、A/Dコンバータ7に供給する。A/Dコンバータ7は、SW6を介して入力される各受信アンテナ1a〜1iに対応したチャンネルごとのビート信号をデジタル信号に変換する。制御部8は、図示しないROM等に格納された制御プログラムに基づいて装置全体の制御を行う。
【0036】
次に、信号処理部20内のメモリ21は、A/Dコンバータ7においてデジタル変換されたデジタル信号を各受信アンテナ1a〜1iに対応したチャンネルごとに格納する。フーリエ変換処理部22は、メモリ21に格納された各受信アンテナ1a〜1iに対応したチャンネルごとの信号に対して、フーリエ変換処理を行う。DBF処理部23は、フーリエ変換処理部22においてフーリエ変換された各信号に対してデジタルビームフォーミング処理(DBF)を施すことにより、予め定められた角度ピッチを有するビームを生成する。
【0037】
距離検出部24は、デジタルビームフォーミング処理(DBF)された信号から対象物までの距離を検出する。速度検出部25は、デジタルビームフォーミング処理(DBF)された信号から対象物の速度を検出する。方位検出部26は、デジタルビームフォーミング処理(DBF)された信号から対象物に対する方位を検出する。
【0038】
分離処理部27は、フーリエ変換処理部22によりフーリエ変換された各受信アンテナ1a〜1iに対応するビート信号から、ほぼ同じ距離に複数の対象物があると判断したときに、フーリエ変換処理部22によりフーリエ変換された各受信アンテナ1a〜1iに対応するビート信号に対し分離処理を行う。本実施形態においては、分離処理に最大エントロピー法が用いられている。
【0039】
次に、図2を用いて、本実施形態に係る電子走査型ミリ波レーダ装置の処理について説明する。
制御部8からの制御信号によって三角波生成部9が三角波を生成し、これをVCO10に出力すると、VCO10が、この三角波信号を周波数変調し、送信信号を発生する。この送信信号は、分配器4を介してミキサ2a〜2iあるいは送信アンテナ3に供給され、送信アンテナ3は、この送信信号を前方に向けて電波として送信する。
【0040】
この送信波が対向車等の対象物により反射されて受信アンテナ1a〜1iにて受信信号として受信されると、ミキサ2a〜2iがこの受信信号とVCO10からの送信信号とを混合してドップラ周波数成分を含むビート信号を発生する。発生したビート信号は、各受信アンテナ1a〜1iに対応したチャンネルごとにフィルタ5a〜5iを通過して帯域制限された後、SW6に入力される。SW6は、所定のタイミングでスイッチを順次切り替えてフィルタ5a〜5iを通過した各受信アンテナ1a〜1iに対応する信号をA/Dコンバータ7に入力する。
【0041】
A/Dコンバータ7に入力された信号はデジタル信号に変換され、変換されたデジタル信号は、各受信アンテナ1a〜1iに対応したチャンネルごとに並べ替えられ、メモリ21の所定のエリアに格納される(ステップ101)。次に、メモリ21に格納されたデジタル信号は順次読み出され、フーリエ変換処理部22においてフーリエ変換の処理が行われる(ステップ102)。なお、このとき、フーリエ変換処理部22においては、メモリ21に格納されたデータのうち、実数部のみを入力する実フーリエ変換が実行される。
【0042】
続いて、フーリエ変換処理部22において、実フーリエ変換されたデータは、DBF処理部23に出力され、ここでデジタルビームフォーミング処理が実行される(ステップ103)。デジタルビームフォーミング処理は、フーリエ変換された各受信アンテナの受信信号を所定の周波数ポイントごとに空間軸方向において、さらにフーリエ変換することにより、任意のピッチを有するビームを形成するものである。
【0043】
距離検出部24および速度検出部25は、DBF処理部23においてデジタルビームフォーミング処理が実行されたビート信号の上昇部側及び下降部側の各ビート周波数を選択し、これら各ビート周波数を利用して所定の演算式により距離及び相対速度を算出する(ステップ104)。また、方位検出部26は、DBF処理部23においてデジタルビームフォーミング処理が実行されて生成された予め定められた角度ピッチを有するビーム信号に基づいて、対象物に対する方位を検出する(ステップ105)。
【0044】
次に、分離処理部27は、距離検出部24において検出された対象物までの距離、速度検出部25において検出された対象物の速度、方位検出部26において検出された対象物に対する方位に基づいて、受信波の到来方向の角度が所定の角度よりも広いか否かを判別し(ステップ106)、受信波の到来方向に角度が所定の角度よりも広いときには、分離処理を行い、複数の対象物の方位を出力する(ステップ107)。
【0045】
なお、本実施形態においては、分離処理部27における分離処理には、最大エントロピー法が用いられている。最大エントロピー法とは、有限な測定波形から、それだけでは測定不可能な大きなラグをもつ自己相関関数を情報エントロピーが最大になるように推定することによって高分解能のスペクトルを推定するものである。
【0046】
この概略について、図3を用いて説明する。例えば、ビート信号を自己回帰モデルで表すことを考える。ここで、ビート信号波形を数1と仮定するとすれば、このcos波は、オイラーの公式により、2つの減衰信号波形の和として表すことができるため、数2のようになる。
【0047】
【数1】

【0048】
【数2】

【0049】
数2は、横軸をtとすると図3に示すように表される。ここで、自己回帰モデルとは、現在の値(図3では、X(n))をそれよりも前の時刻の値(図3では、X(n−1)、X(n−2))で表現するモデルである。したがって、これを、単一cos信号波形の自己回帰モデルに適用すると、数3のようになる。なお、数3において、a、aは、自己回帰係数である。
【0050】
【数3】

【0051】
ここで、波源をm個とした場合、単一のcos波は、数3に示すように、2次の自己回帰モデルになることから、m個のcos波成分の和は、2m次の自己回帰モデルで表すことができる。
【0052】
したがって、ビート信号が2個の波源である場合には、各受信アンテナにおける信号ベクトルRx(i=0〜8)は、数4のように、4×4行列の行列式で表される。そして、この行列式に対して、最小二乗法やBurg法を用いて数5のように、自己回帰係数aを求めることにより、各受信アンテナにおける信号ベクトルRx(i=0〜8)の減衰定数および振動周波数を推定することができる。
【0053】
【数4】

【0054】
【数5】

【0055】
すなわち、最大エントロピー法を用いることにより、FFTでは分離できない周波数成分のピークを明瞭に分離することができる。よって、本実施形態において、例えば、図7(b)のように、各チャンネルにレベル差が発生しない場合においても、図8(b)のように、対象物を明確に分離することができる。
【0056】
また、分離処理部27においては、フーリエ変換処理部22において生成された各受信アンテナ1a〜1iごとの複素数データのうち、実数部あるいは虚数部のみを用いて、最大エントロピー法による処理を行っている。具体的に、複素数データの実数部のみを使用して演算を行う例について図4から図6を用いて説明する。
【0057】
複素数データの実数部のみを使用して演算を行うのは、演算処理を簡素化して処理時間を短縮するためであるが、複素数データの実数部のみを使用して演算を行うと、図4に示すように、各受信アンテナにおける信号ベクトル(図中、CH0からCH4)が実数軸上に集まってしまうために、最大エントロピー法による処理結果を用いた方位判別ができなくなってしまう。
【0058】
そこで、隣接する受信アンテナにおける信号ベクトルに対して、順次、90degずつ位相をずらす処理、すなわち、図5に示すように、CH0に対してCH1の位相を90degずらすことによりCH1*iとし、このCH1*iに対してCH2の位相を90degずらすことによりCH2*i*iとするような処理を順次行うことによって方位判別を可能としている。
【0059】
なお、これにより、図6に示すように、方位の検知範囲が複素数演算を行う場合の−180deg〜180degに比べて、−90deg〜90degと狭くなるが方位の判別については何ら支障はない。また、複素数データの虚数部のみを使用する演算も同様に行うことができる。
【0060】
さらに、上記の方法とは別に、隣接する受信アンテナにおける信号ベクトルごとに、複素数データの実数部、虚数部を交互に使用しても同様の処理を行うことができる。この場合には、位相を90degずらす処理が不要となるため、さらに、演算処理を簡素化して処理時間を短縮することができる。
【0061】
したがって、本実施形態によれば、最大エントロピー法を用いた信号の分離処理を行うことにより、送信アンテナから送信されるビーム幅によらず、対象物に対する横方向の分離性能を向上させることができる。また、最大エントロピー法を用いた分離処理部に入力するデータがフーリエ変換部において生成された信号の実数部あるいは虚数部のみであるため、処理時間を短縮することができる。さらに、隣接する受信アンテナにおける信号ベクトルごとに、複素数データの実数部、虚数部を交互に使用することにより、更なる処理時間の短縮を図ることができる。
【0062】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、図11に示すように、レーダの検知エリア内に対象物が複数存在する場合に、そのすべての対象物について分離処理を実行していたが、特に、演算の処理負荷が大きい最大エントロピー法を用いた分離処理においては、対象物が多いとその分、計算負荷が大きくなり、結果的に処理時間が長くなることが予想される。そこで、本実施形態においては、上記の第1の実施形態における問題点を改善するための実施形態について説明する。
【0063】
本実施形態に係る電子走査型ミリ波レーダ装置は、図9に示すように、受信アンテナ1a〜1iと、ミキサ2a〜2iと、送信アンテナ3と、分配器4と、フィルタ5a〜5iと、SW6と、A/Dコンバータ7と、制御部8と、三角波生成部9と、VCO(Voltage Controlled Oscillator)(送信波生成手段)10と、信号処理部20とから構成され、信号処理部20は、メモリ(記憶手段)21と、フーリエ変換処理部(フーリエ変換手段)22と、DBF(Digital Beam Forming)処理部(デジタルビームフォーミング手段)23と、距離検出部(距離検出手段)24と、速度検出部25と、方位検出部(方位検出手段)26と、分離処理部(信号分離処理手段)27と、分離対象判定部(分離対象判定手段)31と、判定エリア設定部(判定エリア設定手段)32と、軌跡推定部(軌跡推定手段)33とから構成されている。なお、第1の実施形態と同一の符号を付したものについては、同様の機能を有するものであることから、詳細な説明は省略する。
【0064】
分離対象判定部31は、判定エリア設定部32において設定された判定エリア内に存在する対象物を分離処理の対象として特定するものである。判定エリア設定部32は、自車前方に対象物を判定するためのエリアを設定するものであり、具体的には、軌跡推定部33から出力される自車の推定走行軌跡情報に基づいて判定エリアを特定する。軌跡推定部33は、図示しない車速センサからの車速情報や舵角センサからの舵角情報、ヨーセンサからのヨーレートおよびGPS等のナビゲーション装置からのナビゲーション情報に基づいて、自車の推定走行軌跡を推定する。
【0065】
次に、図10を用いて、本実施形態に係る電子走査型ミリ波レーダ装置の処理について説明する。
なお、図10においてS201からS205までの処理は、第1の実施形態におけるS101からS105までの処理と同様であるため、その詳細な説明については、省略する。
【0066】
受信アンテナ1a〜1iにおいて受信された受信信号に対して、フーリエ変換処理、DBF処理を行い、距離、速度、方位の検出が終了すると、次に、判定エリア設定部32により判定エリアの設定処理が実行される(ステップ206)。ここで、判定エリア設定部32は、例えば、図12に示すように、軌跡推定部33から得られる自車の推定走行軌跡から判定エリアをレーダの検知エリアと自車の推定走行軌跡が重なり合う部分に設定する。このように、判定エリアを設定し、以降の分離実施判定処理(ステップ207)、分離処理(ステップ208)を実行することにより、図12の場合には、対象物として注目すべき自車走行車線を走行しているオートバイと先行車との分離処理を優先して実行できる。すなわち、図12の例では、対象物が複数存在する場合であっても、推定走行軌跡により設定された判定エリア内に存在する対象物に対して優先的に分離処理を実行できるため、自車の走行上、障害となりうる可能性の高い対象物に対して分離処理を優先的に実行できる。
【0067】
<第3の実施形態>
本実施形態は、第2の実施形態の変形例に属するものであり、その構成および主要な処理手順は、第2の実施形態と同様であるが、判定エリア設定部および判定エリア設定処理に差異があるため、この点を中心に説明する。
本実施形態においては、判定エリア設定部32が、自車からの相対距離によりレーダの検知エリアを限定するように判定エリアを設定する。この場合の判定エリアの設定は、レーダの検知エリア内であって、自車との相対距離が所定値以上のエリアとしてもよい。これは、通常の対象物検知方法を用いたとしても車両を制御する上で問題がなく対象物の分離性能を確保できる近距離の対象物を除外して、対象物の分離性能が低下する所定の相対距離以遠の対象物に対して、分離処理を優先的に行うものである。なお、ここで、所定値とは、通常の対象物検知方法を用いたとしても、車両の制御上の問題がなく、分離性能を確保できるような近距離の値である。
【0068】
また、図13に示すように、判定エリアをレーダの検知エリア内であって、自車との相対距離が第1の所定値以上で、第2の所定値以下であるようなエリアとしてもよい。これは、自車に対して、遠方に存在する対象物は一般に、自車に対する危険度が比較的低い場合が多く、また、遠方に存在する対象物からの受信信号レベルは微弱なために、こうした受信信号に基づいた対象物の分離処理を行ったとしても必ずしも正確な分離処理が行えるとは限らないからである。ここで、第1の所定値とは、通常の対象物検知方法を用いたとしても、車両の制御上の問題がなく、分離性能を確保できるような近距離の値であり、第2の所定値とは、走行上、自車に対する危険度が低く、対象物からの受信信号レベルが微弱であって、正確な分離処理が期待できないような相対距離である。なお、図13においては、レーダの検知エリアを自車からの相対距離で限定する例について示したが、さらに、その検知エリアを軌跡推定部33から得られる自車の推定走行軌跡で限定してもよい。この場合、検知エリアを自車の推定走行軌跡でさらに限定することから、自車の走行上、危険度の高い対象物を優先的に分離することができる。
【0069】
<第4の実施形態>
本実施形態は、第2の実施形態の変形例に属するものであり、その構成および主要な処理手順は、第2の実施形態と同様であるが、判定エリア設定部および判定エリア設定処理に差異があるため、この点を中心に説明する。
本実施形態においては、検知エリア設定部31が検知エリアをレーダの検知エリアに対して軌跡推定部33から得られる自車の推定走行軌跡で限定し、さらに、分離処理の対象物を速度検出部25から得られる相対速度により、自車に対して接近方向に移動している対象物とするようにしている。すなわち、図14の例では、先行車がレーダの検知エリアと軌跡推定部33から得られる自車の推定走行軌跡とが重なり合うエリアに存在し、自車の車速が100km/hであるのに対して、先行車の車速が80km/hであって、先行車が20km/hで自車に接近してくる状況にあることから、本例では、こうした先行車が分離処理の対象物となる。図14の例では、レーダの検知エリアであり、かつ、軌跡推定部33から得られる自車の推定走行軌跡内に存在し、しかも、自車に対して、接近方向に移動する対象物を分離処理の対象としたことから、自車の走行上、危険度の高い対象物に対して優先的に分離処理を実行できる。
【0070】
以上、図面を参照して本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】第1の実施形態に係る電子走査型ミリ波レーダ装置の構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る電子走査型ミリ波レーダ装置の処理フローである。
【図3】最大エントロピー法における自己回帰モデルの概念を示す図である。
【図4】各受信アンテナから得られる複素数データのうち、実数部のみを用いて処理を行った場合の各信号ベクトルを示す図である。
【図5】図4に対して、順次位相を90degずつずらす処理を加えた場合の各信号ベクトルを示す図である。
【図6】複素数データを用いて処理を行った場合の検出範囲と、実数部のみを用いて処理を行った場合の検出範囲を示す図である。
【図7】従来の問題点を示す図である。
【図8】最大エントロピー法を用いた信号分離処理を行った場合の受信波スペクトラムを示した図である。
【図9】第2の実施形態に係る電子走査型ミリ波レーダ装置の構成図である。
【図10】第2の実施形態に係る電子走査型ミリ波レーダ装置の処理フローである。
【図11】第1の実施形態における検知エリアを示す図である。
【図12】第2の実施形態における検知エリアを示す図である。
【図13】第3の実施形態における検知エリアを示す図である。
【図14】第4の実施形態における検知エリアを示す図である。
【符号の説明】
【0072】
1a〜1i・・・受信アンテナ 2a〜2i・・・ミキサ 3・・・送信アンテナ 4・・・分配器 5a〜5i・・・フィルタ 6・・・SW 7・・・A/Dコンバータ 8・・・制御部 9・・・三角波生成部 10・・・VCO(送信波生成手段) 20・・・信号処理部 21・・・メモリ(記憶手段) 22・・・フーリエ変換処理部(フーリエ変換手段) 23・・・DBF処理部(デジタルビームフォーミング手段) 24・・・距離検出部(距離検出手段) 25・・・速度検出部 26・・・方位検出部(方位検出手段)27・・・分離処理部(信号分離処理手段) 31・・・分離対象判定部(分離対象判定手段) 32・・・判定エリア設定部(判定エリア設定手段) 33・・・軌跡推定部(軌跡推定手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物からの到来波を受信する複数の受信アンテナと、
送信波を生成する送信波生成手段と、
送信波を送信する送信アンテナと、
前記各受信アンテナにおいて受信された受信波と該送信波とを混合し、ビート信号を生成するミキサと、
該ビート信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータと、
該デジタル化されたビート信号を各受信アンテナに対応づけて格納する記憶手段と、
該格納されたビート信号をフーリエ変換するフーリエ変換手段と、
該フーリエ変換された信号に基づいて、所定のピッチ角度でビーム信号を生成するデジタルビームフォーミング手段と、
該生成されたビーム信号から前記対象物の方位を検出する方位検出手段と、
該生成されたビーム信号から前記対象物までの距離を検出する距離検出手段と、
前記フーリエ変換手段によりフーリエ変換された各受信アンテナに対応するビート信号から前記検出された対象物の方位および距離に基づいて、該ビート信号に対し分離処理を行う信号分離処理手段と、
を備えたことを特徴とする電子走査型ミリ波レーダ装置。
【請求項2】
前記信号分離処理手段が、最大エントロピー法を用いて、信号の分離処理を行うことを特徴とする請求項1に記載された電子走査型ミリ波レーダ装置。
【請求項3】
前記信号分離処理手段が、前記フーリエ変換手段において生成された各受信アンテナに対応する信号の実数部あるいは虚数部の一方のみを用いて信号の分離処理を行うことを特徴とする請求項2に記載された電子走査型ミリ波レーダ装置。
【請求項4】
前記信号分離処理手段が、前記フーリエ変換手段において生成された各受信アンテナに対応する信号の実数部あるいは虚数部を受信アンテナの配置にしたがって交互に切り替えて用いることにより信号の分離処理を行うことを特徴とする請求項2に記載された電子走査型ミリ波レーダ装置。
【請求項5】
前記電子走査型ミリ波レーダ装置が車両に搭載されるとともに、
自車前方に対象物を判定する所定の判定エリアを設定する判定エリア設定手段と、
少なくとも前記検出された対象物までの距離および該設定された判定エリアに基づいて、該判定エリア内にある対象物を分離対象とする分離対象判定手段と、
を備え、
前記信号分離処理手段は、
前記分離対象判定手段により前記判定エリア内にあると判定された対象物に基づくビート信号に対して、分離処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載された電子走査型ミリ波レーダ装置。
【請求項6】
自車の走行軌跡を推定する軌跡推定手段を備え、
前記判定エリア設定手段が、
前記自車の推定走行軌跡に基づいて、自車前方に判定エリアを設定するとともに、
前記分離対象判定手段が、
前記検出された対象物の方位と距離および前記設定された判定エリアに基づいて、該判定エリア内にある対象物を分離対象として判定することを特徴とする請求項5に記載された電子走査型ミリ波レーダ装置。
【請求項7】
前記分離対象判定手段が、
前記検出された対象物までの距離が第1の所定値以上のものを分離対象として判定することを特徴とする請求項5または請求項6に記載された電子走査型ミリ波レーダ装置。
【請求項8】
前記分離対象判定手段が、
前記検出された対象物までの距離が第2の所定値以下のものを分離対象として判定することを特徴とする請求項5または請求項7に記載された電子走査型ミリ波レーダ装置。
【請求項9】
前記第2の所定値は、前記第1の所定値よりも大きな値であることを特徴とする請求項8に記載された電子走査型ミリ波レーダ装置。
【請求項10】
前記分離対象判定手段が、
前記検出された対象物との相対速度が自車に対して接近方向の値であるものを分離対象として判定することを特徴とする請求項5から請求項9のいずれかに記載された電子走査型ミリ波レーダ装置。
【請求項11】
電子走査型ミリ波レーダ装置に用いられるコンピュータプログラムであって、
各受信アンテナにおいて受信された受信波と送信波とを混合してビート信号を生成し、該ビート信号をデジタル信号に変換して、各受信アンテナに対応づけて格納する第1のステップと、
該格納されたビート信号をフーリエ変換する第2のステップと、
該フーリエ変換された信号に基づいて、所定のピッチ角度でビーム信号を生成する第3のステップと、
該生成されたビーム信号から対象物の方位を検出する第4のステップと、
該生成されたビーム信号から対象物までの距離を検出する第5のステップと、
該検出された対象物の方位および距離に基づいて、前記フーリエ変換された各受信アンテナに対応するビート信号において略同じ距離に複数の対象物があるか否かを検出する第6のステップと、
該ビート信号に対し分離処理を行う第7のステップと、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−308542(P2006−308542A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−219027(P2005−219027)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(300052246)株式会社ホンダエレシス (105)
【Fターム(参考)】