説明

電子部品、電気光学装置、及び電子機器

【課題】 良好な樹脂の排出性を備えつつ、プラズマ処理を不要とした信頼性の高い、電子部品、電気光学装置、及び電子機器を提供する。
【解決手段】 矩形状のチップ基板50の能動面50A側に設けられたパッド24と、チップ基板50における周辺の各辺に沿って設けられた樹脂突起12と、パッド24に電気的に接続し、かつ樹脂突起12の表面に至る導電膜20から形成された導電部10と、を備えた電子部品121である。そして、樹脂突起12は、線状に連続する突条体からなり、チップ基板50の少なくとも1辺には、複数の樹脂突起12がこの辺の中央部に隙間Sを形成するようにして設けられてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品、電気光学装置、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の電子機器に搭載される回路基板や液晶表示装置などにおいて、半導体ICなどの電子部品を実装する技術が用いられている。例えば、液晶表示装置には、液晶パネルを駆動するための液晶駆動用のICチップ(電子部品)が実装される。このICチップは、液晶パネルを構成するガラス基板に直接実装される場合もあり、また、液晶パネルに実装されるフレキシブル基板(FPC)上に実装される場合もある。ところで、近年は電子機器の小型化に伴い、これらに実装されるICチップの小型化や狭ピッチ化等が望まれている。
【0003】
例えば、半導体素子が形成されたICチップの能動面上に、電極に接続する導電膜で覆われた樹脂突起を設けることで、樹脂の弾性力を有した圧接接合により、熱ストレスを緩和したICチップの高信頼性化を図ることができる。ここで、前記樹脂突起間をプラズマ処理を用いて除去することで、前記樹脂突起の狭ピッチ化を図る技術がある(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、前記の樹脂突起を形成する際にプラズマ処理を用いると、プラズマによるアンテナ比の問題から、ICチップ上に形成された配線部分が帯電(チャージアップ)することで、トランジスタの特性を変化させてしまう。このように、トランジスタ特性が変化してしまうと、ICチップの不良、製造歩留まりを低下させてしまうおそれがある。
そこで、ICチップを構成するチップ基板の能動面側の四辺における各辺に沿って線状に連続した樹脂突起を設けて、この樹脂突起の表面上にICチップのパッドに接続する導電膜からなる複数の導電部を設ける。このようにして、前記樹脂突起間を形成するプラズマ処理を行うことなく、複数の前記導電部によって狭ピッチ化を図った方法が考えられる。なお、前記樹脂突起は、前記ICチップの四隅となる端部にのみ隙間が設けられた状態となっている。
【特許文献1】特開2004−186333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような線状に連続する樹脂突起を備えたICチップを基板上に実装する際には、一般的には前記樹脂突起の厚みより厚い樹脂を前記基板の実装面に設けた後、前記ICチップを基板上に圧着・加熱しつつ実装する。すると、前記ICチップに設けられた樹脂突起が前記樹脂を押しのけるようになる。よって、押しのけられた樹脂は、前述した樹脂突起間の隙間からICチップの外部へと排出されるようになる。
このようにして、前記ICチップが基板上に圧着されることで、前記樹脂突起は潰れた状態で前記基板の電極と導電するようになり、この状態で前記樹脂を硬化させることでICチップは基板上に実装される。
【0005】
しかしながら、前記樹脂突起間の隙間が設けられたチップ基板の端部に比べて、前記樹脂突起間の隙間がないチップ基板の周辺の中央部は、樹脂を良好に排出することができない。すなわち、前記樹脂突起間の隙間が設けられたチップ基板の端部では、前記のチップ基板の中央部に比べて前記樹脂の排出量が多くなる。このように、前記チップ基板の周辺に沿って設けられた樹脂突起は、中央部と端部とで樹脂の排出性が異なるため、前記樹脂突起を均一に潰すことができない。したがって、ICチップを基板上に実装する際に、ICチップの位置によって導通性が変化するため、このICチップの信頼性を得る事が難しかった。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、良好な樹脂の排出性を備えつつ、プラズマ処理を不要とした信頼性の高い、電子部品、電気光学装置、及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子部品は、矩形状のチップ基板の能動面側に設けられたパッドと、前記チップ基板における周辺の各辺に沿って設けられた樹脂突起と、前記パッドに電気的に接続し、かつ前記樹脂突起の表面に至る導電膜から形成された導電部と、を備えた電子部品であって、前記樹脂突起は、線状に連続する突条体からなり、前記チップ基板の少なくとも1辺には、複数の前記樹脂突起がこの辺の中央部に隙間を形成するようにして設けられてなることを特徴とする。
【0008】
本発明の電子部品によれば、例えば樹脂突起の厚みより厚い樹脂を介して、基板上に電子部品が実装される場合に、前記樹脂突起が前記樹脂を押しのけつつ潰されることで、前記基板の接続端子と前記樹脂突起の表面に設けられた導電部とが導通されたものとなる。このとき、チップ基板の少なくとも1辺には、複数の前記樹脂突起がこの辺の中央部に隙間を形成するようにして設けられているので、前記樹脂は前記樹脂突起の隙間から排出されるようになる。よって、前記電子部品の中央部における樹脂の排出性を向上して、前記チップ基板の中央部及び端部において均一に樹脂を排出することができる。よって、前記樹脂突起が均一に潰されたものとなり、前記導電部と前記接続端子との密着性が高まり、信頼性の高い電子部品となる。
また、例えば前記樹脂突起を、例えばフォトリソグラフィ法等のパターニング処理によって形成することで、プラズマ処理を不要とし、プラズマ処理による電子部品のトランジスタ特性の変化を防止することで、信頼性の高い電子部品となる。
【0009】
また、前記電子部品においては、前記チップ基板における周辺の各辺に沿って、複数の前記樹脂突起が各辺の中央部に隙間を形成するようにして設けられてなることが好ましい。
このようにすれば、前述したように電子部品を実装した際に、チップ基板の周辺から樹脂を確実に樹脂を排出することで、樹脂の排出性を向上させ電子部品を前記の相手側基板に実装することができる。よって、より電子部品の信頼性が高いものとなる。
【0010】
また、前記電子部品においては、前記樹脂突起が、前記チップ基板の周辺と直交する方向に複数列設けられてなることが好ましい。
このようにすれば、パッドに接続する導電部の数を増やすことができ、電子部品を実装した際に、一の導電部が導通不能となった場合でも、他の導電部により前記の相手側基板の端子と導通することができる。よって、より電子部品の実装時の信頼性が高いものとなる。
【0011】
また、前記電子部品においては、前記樹脂突起が、前記チップ基板の周辺に沿って、千鳥状に配置されてなることが好ましい。
このようにすれば、樹脂突起、及びこの樹脂突起の表面上に形成された導電部の数を変化させることなく、樹脂突起の端部間の隙間を大きくすることができ、前述した電子部品の実装時の樹脂の排出性を向上させたものとなる。
【0012】
また、前記電子部品においては、前記樹脂突起が、前記チップ基板の周辺と直交する方向に対し、前記樹脂突起の端部の一部が重なるように設けられてなることが好ましい。
ところで、前記樹脂突起の端部を重ねないようにしてチップ基板上に配置した場合、前記樹脂突起の間隙には、前記導電部を形成することができない。そこで、本発明を採用すれば、前記チップ基板の周辺と直交する方向に対し、樹脂突起の端部の重なり部を備えているので、この重なり部上には導電部が形成されたものとなる。よって、前記樹脂突起の間隙の数を減らすことなく、樹脂突起を有効に利用しつつ、前述した電子部品の実装時の樹脂の排出性を維持することができる。
【0013】
本発明の電気光学装置によれば、前記の電子部品が、電気光学パネルを構成する基板上、及び回路基板上の少なくとも一方に実装されてなることを特徴とする。
本発明の電気光学装置によれば、前述したように良好な導通性を備え、プラズマ処理を不要にした信頼性の高い電子部品を備えているので、これを備えた電気光学装置も信頼性が高いものとなる。
【0014】
本発明の電子機器によれば、前記の電気光学装置を備えたことを特徴とする。
本発明の電子機器によれば、前述した信頼性の高い電気光学装置を備えているので、これを備えた電子機器も信頼性が高いものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の電子部品、電気光学装置、及び電子機器について説明する。
まず始めに、本発明の電子部品における第1の実施形態について説明する。図1は本実施形態における電子部品121の平面図である。
図1に示すように、電子部品121は、電子部品121は、例えばシリコンからなる矩形状のチップ基板50と、このチップ基板50の集積回路が形成された能動面50A側に設けられた、アルミニウムなどで構成される矩形状のパッド24と、を備えたものである。また、前記パッド24は、図1中鎖線で示すように、電子部品121の外周縁部に沿って複数配置されている。そして、前記チップ基板50には、このチップ基板50の能動面50A側における四辺(周辺)の各辺に沿って、線状に連続する突条体からなる樹脂突起12が形成されたものとなっている。前記樹脂突起12の表面には、前記パッド24に電気的に接続する導電膜20が形成されている。そして、この導電膜20と前記樹脂突起12とから、後述するバンプ電極(導電部)10が構成されたものとなっている。
【0016】
前記樹脂突起12は、前記チップ基板50の各辺の中央部に隙間を形成するようにして設けられている。また、前記樹脂突起12は、前記チップ基板50の各辺に沿って形成されているので、チップ基板50の各辺の端部には必ず隙間が形成された状態となっている。
具体的に本実施形態では、前記樹脂突起12は、前記各パッド24上に設けられ、前記パッド24の配列する方向に沿って配置されている。よって、隣り合うパッド24上に形成された前記樹脂突起12間には、このチップ基板50の外辺に直交する方向に対して隙間Sが生じたものとなる。よって、図1に示すように、前記樹脂突起12が前記チップ基板50の四辺の各辺の中央部に隙間Sを形成するようにして配置されたものとなる。
また、本実施形態の樹脂突起12は、前記チップ基板50の各辺と直交する方向に対して2列形成されている。
【0017】
なお、前記樹脂突起12を前記パッド24上に常に形成する必要は無く、前記チップ基板50の外辺の中央部に少なくとも隙間Sを生じさせるようにして配置されていれば、例えば各辺に沿って隣り合うパッド24上に形成してもよい。また、前記チップ基板50の四辺に沿って、同様にして各辺の中央部に隙間を形成するようにして複数の樹脂突起12が形成しているが、少なくとも1辺について前記の樹脂突起12を形成すれば後述する樹脂の排出性は十分となる。
【0018】
図2は、図1における1点鎖線Aで示した部分における前記電子部品121の電極構造の要部拡大図である。また、図3は、図2におけるA−A線矢視による電子部品121の側断面図である。
図3に示すように、前記パッド24の表面には、例えばSiNなどの絶縁材料からなるパッシペーション膜などの保護膜26が形成されている。そして、その保護膜26に形成された開口により、パッド24との電気的接続を可能とする接続部22w,22x,22y,22zが構成されている。
【0019】
そして、前記保護膜26の表面には、樹脂突起12が形成されたものとなっている。本実施形態では、前述したようにパッド24上に2列の樹脂突起12r,12sが形成されている。この樹脂突起12r,12sは、例えばポリイミド等の弾性樹脂材料を保護膜26の表面にコーティングし、フォトリソグラフィなどのパターニング処理を行うことによって形成されている。なお、本実施形態ではグレーマスクを用いたフォトリソグラフィを行うことにより、樹脂突起12r,12sは半球状に形成されたものとなっている。このようにして、前記樹脂突起を、フォトリソグラフィ法等のパターニング処理によって形成することで、プラズマ処理による電子部品のトランジスタ特性の変化を防止するようにしている。
【0020】
図2に示したように、前記樹脂突起12r、12sの線状方向と垂直な方向における断面は、半円形状となっている。このような突条の樹脂突起は、高さ寸法を精度よく形成することができる。
そして、前記樹脂突起12r,12sの表面には、図2,図3に示すように導電膜20が形成されている。この導電膜20は、Au、Cu、Ni等の導電性金属を蒸着やスパッタリングなどによって成膜し、適宜のパターニング処理を適用することによって構成できる。また、Cu,Ni,Alなどで構成された下地の導電膜の表面をさらにAuメッキ等で被覆し、導電接触性を高めることも可能である。
【0021】
前記樹脂突起12r,12sと前記導電膜20とによって、図3に示したように、前記チップ基板50上に半円板状のバンプ電極(導電部)10a,10bが形成されたものとなっている。
なお、本実施形態における前記導電膜20は、前記バンプ電極10a,10b毎に分割された状態に形成されている。前記バンプ電極10a,10bを構成する各導電膜20a,20bは、樹脂突起12r,12sの表面から、当該樹脂突起12の両側に配置された接続部22w,22x,22y,22zに延設されている。これにより、一のバンプ電極10aは複数の接続部22w,22xにおいてパッド24に導電接続された状態となっている。また、他のバンプ電極10bも複数の接続部22y,22zにおいてパッド24に導電接続された状態となっている。
そして、電子部品121に形成された複数のバンプ電極10a,10bを、後述するように基板の端子に導電接続することで実装可能となる。
【0022】
ところで、前記樹脂突起12の表面に前記導電膜20を形成した場合には、一般的な接合形態である金属間の合金接続に比べて、接続強度が低くなる。仮に、樹脂突起12の表面から導電膜20が剥離した場合には、バンプ電極10と後述する実装する基板の端子との導電接続が不良となるおそれがある。
【0023】
そこで、本実施形態における電子部品121は、相互に分離された複数の導電膜20a,20bを、樹脂突起12r,12sの表面に設ける構成としている。よって、電子部品における複数のバンプ電極10a,10bを、実装する基板の端子に導電接続する構成としている。したがって、一の導電膜(例えば20a)が樹脂突起12から剥離しても、同じパッド24に導電接続された他の導電膜(例えば20b)により、相手の基板の端子との導電接続を確保できるようになっている。
【0024】
なお、前記バンプ電極10a,10bは半円状に限られず、台形状、円錐状などとしてもよい。この場合、樹脂突起を前記各形状に形成して、その表面に導電膜20を形成すればよい。
さらに導電膜20は、樹脂突起12a,12bの表面から接続部22に対して延設されている。これにより、一のパッド24に対して、複数のバンプ電極10a,10bが導電接続された状態となっている。
【0025】
(実装構造体)
次に、本実施形態における電子部品121を後述する電気光学装置を構成するための基板111上に、実装した実装構造について説明する。
図4は、電子部品121が基板111上に実装された実装構造の説明図である。
この実装構造体を説明するに際し、先に前記電子部品121を基板111上に実装する方法について説明する。
【0026】
前記実装構造体を形成するためには、本実施形態では電子部品121を実装した際に保持するための樹脂として、例えばNCF(Non Conductive Film)122等を用いて、基板111上に実装する。なお、電子部品121を実装するための樹脂としては、前記NCF121に限定されることなく、同様の効果を有する樹脂層を適宜用いるようにしてもよい。
【0027】
このとき、NCF121は、予め電子部品121が実装される基板111上に設けられている。なお、このNCF121は、一般的に電子部品121に形成されているバンプ電極(樹脂突起12)10の厚みよりも厚くなっている。また、このNCF121は、前記電子部品121の能動面50Aより広く設けることで、前記NCF121によって前記電子部品121を基板111上に確実に実装できるようにしている。なお、前記NCF121を基板111の代わりに、前記電子部品121の能動面50Aに貼り付けた後、この電子部品121を基板111上に実装するようにしてもよい。
【0028】
その後、電子部品121を加熱しつつ加圧することで前記基板111上に実装する。このとき、前記電子部品121のバンプ電極10が、NCF122を押し退ける。すると、前記基板111と電子部品121との間隙には前記NCF122が充填された状態となり、この間隙において余分となったNCF121は、前記バンプ電極10を構成する樹脂突起12の隙間Sから排出されるようになる。
【0029】
ここで、前記樹脂突起12間に形成された隙間Sは、NCF121の排出性に影響するので、この隙間Sの配置や数は電子部品121の実装する際の信頼性に影響する。具体的には、NCF121の排出性が悪い領域は、前記電子部品121と基板111との間に介在するNCF121の量が多くなり、前記電子部品121の備える樹脂突起12が基板111に対して浮いた状態となってしまう。すると、後述するように樹脂突起12の押し潰れ量が減少することで、バンプ電極12と基板111上の電極111bxとの密着性を低下させてしまう。このように、電子部品121の能動面50A上での、NCF121の排出性にバラツキが生じると、電子部品121の基板111に対する実装時の信頼性が低下してしまう。
【0030】
本実施形態における電子部品121は、チップ基板50の四辺(周辺)の各辺に沿って、前述したように複数の前記樹脂突起12を備えたものである。そして、前記チップ基板50の各辺に沿う配列による樹脂突起12間には、チップ基板50の四辺の各辺の直交方向に向かう隙間Sが形成されている。また、図3に示したように、この隙間Sは各辺の中央部及び端部に形成されているので、電子部品121は、この隙間Sから前記電子部品121と基板111との間隙に対して余剰となったNCF121を基板111上に排出する。よって、前記電子部品12の中央部からNCF121を確実に排出することができる。また、本実施形態では、図1に示したように、樹脂突起10間の隙間をチップ基板50上に略均等に設けているので、前記チップ基板50の中央部及び端部においてより均一に前記NCF121を排出することができる。
【0031】
このようにして、電子部品121を基板111上に加熱加圧していくと、前記電子部品121の突起樹脂12からなるバンプ電極10が基板111上の端子111bxに接触する。さらに電子部品を加熱加圧することにより、前記バンプ電極10が押しつぶされて弾性変形する。そして、この状態で前記電子部品121に対する加熱加圧をやめる。すると、電子部品121と基板111との相対位置が固定され、樹脂突起12が弾性変形した状態で保持されたものとなる。これにより、温度変化に伴ってNCF122が熱膨張しても、バンプ電極10と端子111bxとの導電接触状態が保持されるので、電子部品121を基板111に対して確実に導電接続することができる。
すなわち、電子部品121は、NCF122を介して、基板111に実装されたものとなる。
このとき、図4に示すように、前記樹脂突起12が均一に潰されることで、前記樹脂突起12上に設けられたバンプ電極10と基板111上に設けられた端子111bxとが導電接続されるので、信頼性の高い実装構造体となる。
【0032】
このとき、本実施形態の電子部品121では、前述したように一のパッド24に対して、複数のバンプ電極10a,10bを導電接続する構成としている。そして、図4に示した実装構造体は、前記の一のパッド24上に設けられた複数のバンプ電極10a,10bを、相手側基板111における一の端子111bxに導電接続したものである。よって、複数のバンプ電極10a,10bのうち一のバンプ電極(例えば10a)における導電膜20が剥離した場合でも、同じパッド24に導電接続された他のバンプ電極(例えば10b)により、前記パッド24と基板111の端子111bxとの導電接続を確保できる。
また、複数のバンプ電極10a,10bを相手側基板111における一の端子111bxに導電接続しているので、導電接続部の電気抵抗を低減するようになる。
【0033】
ところで、前述したように電子部品121はNCF122を介して基板111に実装される。このとき、図2に示したように、導電膜20の形成されていない樹脂突条12の表面の一部を削ることでこの樹脂突起12の厚みを薄くし、基板111と樹脂突起12との間に間隙を形成することで、この間隙からNCF122の排出性を向上するようにしてもよい。
前記の間隙を形成する具体的な方法としては、図2に示したように、導電膜20a,20bが形成されていない樹脂突起12r,12sの一部を、Oガスを処理ガスとし、電子部品121に形成されているトランジスタ特性を変化させない強さのプラズマエッチングにより削る。なお、本発明におけるプラズマ処理を不要にしたとは、電子部品121のトランジスタ特性を変化させない程度の強さのプラズマ処理であれば適宜用いることができることを意味している。
このとき、金属材料からなる導電膜20a,20bは樹脂材料に比べてドライエッチングされにくいため、導電膜20a,20bの非形成領域における樹脂突起12r,12sのみを選択的に削ることができる。
よって、NCF122の排出性を向上した信頼性の高い電子部品121となる。
【0034】
本発明の電子部品121によれば、樹脂突起12の厚みより厚いNCF121を介して、基板111上に実装する際に、前記樹脂突起12が前記NCF121を押しのけつつ潰されることで、前記基板111の端子111bxと前記樹脂突起12に設けられたバンプ電極とが導通されたものとなる。このとき、チップ基板50の少なくとも1辺には、複数の前記樹脂突起12がこの辺の中央部に隙間を形成するようにして設けられているので、前記NCF121は前記樹脂突起12の隙間Sから排出されるようになる。よって、前記電子部品121の中央部におけるNCF121の排出性を向上して、前記チップ基板50の中央部及び端部において均一にNCF121を排出することができる。したがって、前記樹脂突起12が均一に潰されたものとなり、前記バンプ電極12と前記端子111bxとの密着性を高め、信頼性の高い電子部品121となる。
また、前記樹脂突起12を、フォトリソグラフィ法等のパターニング処理によって形成しているので、プラズマ処理による電子部品121のトランジスタ特性が変化することを防止でき、信頼性の高い電子部品121となる。
【0035】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態につき、図5を用いて説明する。
図5は、第2実施形態に係る電子部品の平面図である。第2実施形態の電子部品は、前記チップ基板50上に形成される樹脂突起12の配置が異なる以外は、前記第1実施形態と同じ構造を有している。なお、前記第1実施形態と同様の構成となる部分については、同一の符号を付して説明し、詳細な説明を省略することとする。また、図5においては、説明簡略化のため、電子部品が備えているパッド24、このパッドに接続する導電膜20、及びバンプ電極10の図示を省略している。
【0036】
図5に示すように、第2実施形態に係る電子部品においては、前記樹脂突起12が、矩形状の前記チップ基板50の長辺に沿って千鳥状に配置されたものとなっている。このとき、前記樹脂突起12は、チップ基板50の長辺の中央部に隙間Sを形成するように配置されている。なお、本実施形態における中央部に設けられる隙間Sとは、前記チップ基板50の中央部分における樹脂(NCF122)を排出するものである。
また、この樹脂突起12の表面には、前記第1の実施形態と同様に図示されない導電膜20が設けられ、バンプ電極10を構成している。
【0037】
本実施形態のように、前記樹脂突起12を千鳥状にチップ基板50に形成した場合、チップ基板50の長辺方向に沿って直線状に複数の樹脂突起12を配置する場合に比べて、隣り合う樹脂突起12間の最小距離が拡がって、隙間を大きく取ることができる。よって、前記第1の実施形態と同様に、前記電子部品121をNCF122を介して、基板111上に実装する際におけるNCF122の排出性をより向上できる。よって、本実施形態の電子部品は実装時の信頼性が高いものとなる。
【0038】
なお、本実施形態では、チップ基板50の長辺方向に形成した樹脂突起12を千鳥状に配置しているが、短辺方向に沿って形成する樹脂突起12を千鳥状に配置することで、よりNCF122の排出性を向上するようにしてもよい。また、前記電子部品121上に形成する樹脂突起12は、前述したように、チップ基板50の四辺のうちの一辺に沿って千鳥状に配置するようにしてもよい。また、千鳥状に配置された樹脂突起12の数を増やすことで、バンプ電極10の数を増加させ、NCF122の排出性を損なうことなく、電子部品の接続信頼性をより向上させるようにしてもよい。
【0039】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態につき、図6を用いて説明する。
図6は、第3実施形態の電子部品の平面図である。第3実施形態の電子部品は、前記チップ基板50上に形成される樹脂突起12が配置される位置が異なる以外は、前記第1実施形態及び第2の実施形態と同じ構造を有している。なお、前記第1実施形態と同様の構成となる部分については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略することとする。また、図6においては、説明簡略化のため、電子部品が備えているパッド24、及びこのパッドに接続する導電膜20からなるバンプ電極10の図示を省略している。
【0040】
図6に示すように、樹脂突起12がチップ基板50の外辺に沿って形成されていて、前記チップ基板50の長辺に沿って、このチップ基板50の長辺と直交する方向に向かって、前記樹脂突起12の端部の一部が重なるように配置形成されている。また、この樹脂突起12の表面には前記第1の実施形態と同様に図示されない導電膜20が設けられ、バンプ電極10を構成している。なお、本実施形態におけるチップ基板50の周辺の中央部に設けられる隙間とは、前記チップ基板50の中央部分における樹脂(NCF122)を排出する隙間Sを意味している。
【0041】
このように、前記樹脂突起12の端部の一部が重なるように形成されていると、例えば直線状に樹脂突起12を配置して前記樹脂突起12の端部を重ねないようにしてチップ基板50上に形成した場合、隣り合う樹脂突起12の隙間Sとなる位置には、バンプ電極10を形成できない。そこで、本実施形態では、前記チップ基板50の周辺に直交する方向において、樹脂突起12の端部の一部を重ねるようにして形成している。このとき、前記樹脂突起12の端部が重なっている部分では、隣り合う樹脂突起12はチップ基板50の周辺に沿う隙間が形成されたものとなる。
なお、前記の隙間となる部分には導電膜20が形成されたものとなる。しかしながら、この導電膜20の厚みは前記樹脂突起12の厚みに比べて十分薄いので、NCF122はこの隙間及び導電膜20上を通り、良好に基板111の外に排出することができる。また、前記の隙間は、前述したように前記チップ基板50の長辺方向に沿ったものであるが、NCF122等の樹脂は押し出される際に、等方向に広がるため、前記チップ基板50の中央部のNCF122を良好に押し出すことができるものである。
よって、樹脂突起12を有効に利用しつつ、前述した電子部品の実装時の樹脂の排出性を維持することができる。
【0042】
すなわち、前記チップ基板50の長辺方向に沿って配置された前記樹脂突起12は、前記長辺に直交する方向への隙間が形成されないため、前記チップ基板50の長辺方向に沿って、バンプ電極10を形成する位置の自由度が向上する。
【0043】
本実施形態の電子部品によれば、前記樹脂突起12の端部における重なり部にバンプ電極10を形成できるので、樹脂突起12間の隙間が減らず、NCF122の排出性は変化しない。また、前記樹脂突起12の端部を前述したように重ねない場合に、隙間となる部分に対してもバンプ電極10を形成することができ、樹脂突起12を効率的に使用できる
【0044】
なお、本発明の電子部品は、前記の実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、前記実施形態では、パッド24毎に形成した樹脂突起12上にバンプ電極10を複数形成したが、前記バンプ電極10をパッド24毎に形成することで電子部品121の狭ピッチ化を行ってもよい。
【0045】
次に、本発明の電子部品を備えた電気光学装置について説明する。
図7は、電気光学装置の一実施形態である液晶表示装置を示す模式図である。図7中符号100は、液晶表示装置である。この液晶表示装置100は、液晶パネル110と、液晶駆動用ICチップとしての本発明の例えば第1の実施形態による電子部品121を有している。また、必要に応じて、図示しない偏光板、反射シート、バックライト等の付帯部材が適宜に設けられる。
【0046】
(電気光学装置)
液晶パネル110は、ガラスやプラスチックなどで構成される前記の基板111及び112を備えている。前記基板111と対向基板112は相互に対向配置され、図示しないシール材などによって相互に貼り合わされている。基板111と対向基板112の間には図示しない電気光学物質である液晶が封入されている。この基板111の内面上にはITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電体で構成された電極111aが形成され、対向基板112の内面上には前記電極111aに対向配置される電極112aが形成されている。なお、電極111aおよび電極112aは直交するように配置されている。そして、電極111aおよび電極112aは基板張出部111Tに引き出され、その端部にはそれぞれ電極端子111bxおよび電極端子111cxが形成されている。また、基板張出部111Tの端縁近傍には入力配線111dが形成され、その内端部にも端子111dxが形成されている。
【0047】
基板張出部111T上には、例えば前述したNCF122を介して、電子部品121が実装される。この電子部品121は、例えば液晶パネル110を駆動する液晶駆動用ICチップである。電子部品121の下面には図示しない多数のバンプが形成されており、これらのバンプは基板張出部111T上の端子111bx,111cx,111dxにそれぞれ導電接続される。
【0048】
図7におけるA−A線矢視による側面断面は、前述した電子部品121が基板111上に実装された実装構造体を示した図4に対応したものとなっている。
図4に示したように、この電子部品121は、能動面側に設けられたパッド24に接続する複数のバンプ電極10の先端が、前記基板111の端子111bx,111dxに直接導電接触することで実装されたものとなっている。このとき、前記バンプ電極10と前記端子111bx,111dxとの間の導電接触部分の周囲にはNCF122が充填されたものとなっている。
よって、前述したように、前記電子部品121は、NCF121の排出性が高いので、前記バンプ電極10と前記端子111bxとを安定して導通させたものとなる。
【0049】
また、入力配線111dの外端部に形成された入力端子111dyには、異方性導電膜124を介してフレキシブル配線基板123が実装される。入力端子111dyは、フレキシブル配線基板123に設けられた、それぞれ対応する図示しない配線に導電接続される。そして、外部からフレキシブル配線基板123を介して制御信号、映像信号、電源電位などが入力端子111dyに供給され、電子部品121において液晶駆動用の駆動信号が生成されて、液晶パネル110に供給されるようになっている。
【0050】
このようにして、本実施形態の液晶表示装置100は、前記電子部品121を介して電極111aと電極112aとの間に適宜の電圧が印加されることにより、両電極111a,112aが対向配置される画素部分の液晶を再配向させて光を変調することができ、これによって液晶パネル110内の画素が配列された表示領域に所望の画像を形成することができる。
【0051】
本発明の液晶表示装置100によれば、前述したように良好な導通性を備え、プラズマ処理を不要にした信頼性の高い電子部品121を備えているので、これを備えた液晶表示装置100も信頼性が高いものとなる。
【0052】
(電子機器)
図8は、本発明に係る電子機器の一例を示す斜視図である。この図に示す携帯電話300は、前記の電気光学装置を小サイズの表示部301として備え、複数の操作ボタン302、受話口303、及び送話口304を備えて構成されている。
上述した電気光学装置は、前記携帯電話に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができ、いずれの場合にも電気的接続の信頼性に優れた電子機器を提供することができる。
【0053】
本発明の携帯電話300によれば、前述した信頼性の高い電気光学装置を備えているので、これを備えた携帯電話300も信頼性が高いものとなる。
【0054】
なお、本発明の技術範囲は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、各実施形態で挙げた具体的な材料や構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第1の実施形態に係る電子部品の平面図である。
【図2】図1におけるA部分の要部拡大図である。
【図3】図2におけるA−A線矢視による電子部品の側断面図である。
【図4】第1の実施形態に係る電子部品の実装構造の説明図である。
【図5】第2の実施形態に係る電子部品の平面図である。
【図6】第3の実施形態に係る電子部品の平面図である。
【図7】液晶表示装置を模式的に示す斜視図である。
【図8】携帯電話を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0056】
10…バンプ電極(導電部)、12…樹脂突起、20…導電膜、24…パッド、50…チップ基板、50A…能動面、100…液晶表示装置(電気光学装置)、110…液晶パネル(電気光学パネル)、121…電子部品、300…携帯電話(電子機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状のチップ基板の能動面側に設けられたパッドと、前記チップ基板における周辺の各辺に沿って設けられた樹脂突起と、前記パッドに電気的に接続し、かつ前記樹脂突起の表面に至る導電膜から形成された導電部と、を備えた電子部品であって、
前記樹脂突起は、線状に連続する突条体からなり、前記チップ基板の少なくとも1辺には、複数の前記樹脂突起がこの辺の中央部に隙間を形成するようにして設けられてなることを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記チップ基板における周辺の各辺に沿って、複数の前記樹脂突起が各辺の中央部に隙間を形成するようにして設けられてなることを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記樹脂突起が、前記チップ基板の周辺と直交する方向に複数列設けられてなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記樹脂突起が、前記チップ基板の周辺に沿って、千鳥状に配置されてなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子部品。
【請求項5】
前記樹脂突起が、前記チップ基板の周辺と直交する方向に対し、前記樹脂突起の端部の一部が重なるように設けられてなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子部品。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに一項に記載の電子部品が、電気光学パネルを構成する基板上、及び回路基板上の少なくとも一方に実装されてなることを特徴とする電気光学装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−196728(P2006−196728A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−7149(P2005−7149)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】