説明

電子部品および電子部品の実装方法

【課題】下面電極構造の電子部品に関し、より詳細には半田接合の確認が容易にできる電子部品に関するものである。
【解決手段】電子部品100はパッケージの下面に素子の端子と接続する電極200、210を配置した電子部品であり、パッケージを上下に貫通する貫通孔300、310を備え、その貫通孔の下部の開口部の全体、または一部が電極200、210の占める領域内に配置され、電極200、210を貫通して形成される、よう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は下面電極構造の電子部品に関し、より詳細には半田接合の良否を容易に確認できる電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラや携帯電話などのモバイル機器に使用される電子部品は、機器の高機能化に伴ってより小型化、薄型化が求められている。この要求を満たすために、電子部品の実装形態も変遷してきている。例えば、表面実装部品のダイオードやコンデンサ等の電子部品においては、下面に電極を配置した下面電極構造の電子部品が用いられるようになってきた。それ以前の電子部品の電極は、電子部品の下面の他に、端部や側面、上面に形成した構造が多く見られ、これらと較べて下面電極構造は、プリント基板上に形成するパッドの大きさを小さくできることから、より高い密度の実装が期待できるものである。
【0003】
図6はそのような下面電極構造の電子部品と実装の例を示すものである。
【0004】
図6(a)において、電子部品10は樹脂モールドのケースの一面に電極11、12を形成し、この面を下に向けてプリント基板に形成したパッド30、31と半田接合される。パッド30、31上にはクリーム半田40がシルクスクリーン印刷によって形成され、この上に電子部品10の電極11、12を位置合わせした状態でプリント基板全体をヒーターや赤外線で加熱し、クリーム半田40を溶融して接合がなされる。
【0005】
図6(b)は、加熱溶融後の状態を側面から示している。パッド30、31上のクリーム半田40が溶融後凝固して半田41となり、半田41は電子部品10の電極11、12とプリント基板20のパッド30、31とを接合している。
【0006】
プリント基板に実装後の下面電極構造の電子部品の半田接続の検査は、目視チェックが困難(上方からは電子部品に接続部分が隠れて見えないこと、および側面からは実装密度が高い場合に目視困難である)であるため、電気的な導通チェックあるいは回路機能のチェックにより接合の良否を判定しているのが一般的である。
【0007】
導通チェックの方法として、プリント基板のパッドを分割し、分割したパッド間の導通を調べる方法が知られている(特許文献1)。また、電子部品を実装したプリント基板のパッドの領域にX線を照射し、透過画像を得てパッド上に半田が溶融しているかどうかを調べ、半田接続の良否を判定する技術も知られている(特許文献2)。
【特許文献1】昭61−174795号公報
【特許文献2】特許第3613167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、プリント基板に実装した後の下面電極構造の電子部品の半田接合のチェックは、接合部分が見えないため困難を伴う。
【0009】
電気的に回路機能をチェックする方法は、半田の溶融が不完全で電子部品の電極とプリント基板のパッドとがルーズコンタクトの状態でも正常な回路動作を示すことが多く、信頼性に欠ける点で問題がある。
【0010】
プリント基板のパッドを分割して導通チェックする方法は、半田の溶融について考慮されているが、分割したパッドに導通チェックのためのプローブを当てる領域が必要となり、高い密度で実装する場合に問題となる。また、X線を用いてパッド上の半田溶融の透過画像を得る方法は検査の信頼性は高いと考えられるが、X線照射装置やX線から防護するための設備費用が発生し、試験コストは高いものとなる。
【0011】
本発明は、容易に溶融した半田の確認ができる下面電極構造の電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の電子部品は、パッケージ下面に電極を配置した電子部品であり、パッケージを上下に貫通する貫通孔を備える。そしてその貫通孔は、貫通孔下部の開口部の全体、または開口部の一部が電極の占める領域内に配置されて形成される。即ち、貫通孔はパッケージの上面から下面の電極を貫いて形成される。
【発明の効果】
【0013】
パッケージ下面の電極の領域に上下に貫通する貫通孔を設けたので、半田リフローの際に溶融した半田が貫通孔に入る。半田リフローの終了後に、パッケージ上面から貫通孔の深さを測り、深さが所定の値より小さければ半田が貫通孔に盛り上がった状態にあり半田接合が良好に行われた、と判断できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(実施形態その1)
本発明の電子部品と半田接合について図1〜図4を用いて説明する。
【0015】
図1は、本発明の電子部品100の構造を示すもので、ダイオードやコンデンサ等の素子を樹脂モールドした2端子の電子部品である。パッケージの外形寸法は、長さ、幅、高さがそれぞれ2.0mm、1.25mm、0.8mmである。電子部品100のパッケージの下面には素子の端子と接続する電極200、210を配置している。この電極200、210の長さと幅の寸法は、それぞれ0.7mm、1.2mmである。電極200、210の略中央の位置にパッケージの上下を貫通する貫通孔300、310を形成している。貫通孔300、310の直径は0.3mmで、貫通孔300、310の内壁はパッケージの樹脂が露出している。貫通孔300、310は、例えばドリルやCO2レーザ、あるいは樹脂ケースの成型等により形成が可能である。また、貫通孔300、310の径は、パッケージの大きさに応じて適切に定められてよい。
【0016】
図2は、図1に示す電子部品100をプリント基板500に実装する状態を示すものである。図2(a)はプリント基板500上に形成したパッド400、410のそれぞれにクリーム半田600を例えばスクリーン印刷により形成(塗布)しておく。電子部品100は、その電極200、210をパッド400、410に位置合わせして置かれ、加熱によりクリーム半田600を溶融させて半田接合を行う。
【0017】
図2(b)は、半田接合がなされた状態を貫通孔300、310を通る断面で示したものである。パッド400、410と電極200、210は、クリーム半田600が溶融した後に凝固した半田610により接合がなされている。また、貫通孔300、310には、下部の開口部から溶融した半田600が入り凝固している状態を示している。
【0018】
次に、本発明の電子部品のプリント基板への実装方法を図3のフローを用いて説明する。まず、プリント基板に形成されたパッドにクリーム半田をシルクスクリーン印刷法により形成する。クリーム半田が形成されたパッドに合わせて本発明の電子部品を載置する。例えば、CADデータを基に自動マウンタにより電子部品を載置する。プリント基板に搭載すべき全ての電子部品の載置が終了したら、そのプリント基板をリフロー炉に入れ、クリーム半田を溶融させる。リフロー炉は一般にプリヒート、リフロー、冷却の温度プロファイルの設定が可能である。所定時間を経てリフロー炉から出て来たプリント基板は半田接合が終了している状態にある(S100−S120)。
【0019】
続いて、半田接合の検査に入る。プリント基板の一つの電子部品に対して、まず電子部品の上面の高さを測定する。例えば、プリント基板を数値制御によるXYテーブル上に置き、XYテーブルの上方に設置したレーザ測長器のレーザヘッドにより測長を行う。
【0020】
電子部品の上面高さの測定に続いて、貫通孔の底面の高さの測長を行う。電子部品の上面高さの測定位置から貫通孔300の位置にXYテーブルを移動し、測長を行うことになる。取得した電子部品上面の高さと貫通孔底面の高さの測長データから、貫通孔300の深さ“d”を算出する。算出した“d”が、予め設定した値より小さければ、貫通孔に半田が入り、半田の溶融が充分に行われ半田接合の判定は合格と判定する。算出した“d”が、予め設定した値より大きければ半田の溶融が不充分であり、半田接合の判定は不合格と判定し、アラームを通知する。全ての貫通孔に対して深さの測長と判定を行い終了する(S130−S170)。
【0021】
図4はレーザ測長の例を示しており、図4(a)は電子部品100の上面を測長している状態を示している。図4(a)において、プリント基板500は図示しないXYテーブル上に置かれているものとする。また、図示しないレーザ測長器に接続したレーザヘッド700はXYテーブルの上方に配置されている。XYテーブルおよびレーザ測長器は、コンピュータに接続され、コンピュータは貫通孔の深さから半田接合の良否判定を行うアプリケーションプログラムとCADデータを備えているものとする。そして、コンピュータはCADデータを基にXYテーブルの位置制御を行い、レーザ測長器の測長指示、測長した値から貫通孔の深さの算出、算出した深さに基づく半田接合の良否判定を行う。
【0022】
図4(b)は、貫通孔の底面の高さの測長を行っている状態を示している。図4(a)による上面高さの測長データと図4(b)の貫通孔の底面高さの測長データをもとにコンピュータは上記に示した半田の接合状態を判定する。不合格のアラームは、CADデータから電子部品の部品番号が判るので、その部品番号を含めて通知するようにすればよい。
【0023】
ここでは貫通孔の深さの計測にレーザ測長器を用いたが、孔の深さを測ることができるものであればどのような方法であっても良い。
【0024】
また、図1に示した貫通孔300、310は、パッケージ下面の電極の略中央に開口部が位置するように形成したが、電極200、210が形成される領域であれば電極内のいずれの位置に配置するようにしてもよい。また、貫通孔300、310の開口部の一部が電極200、210にかかるように形成してもよい。
【0025】
(実施形態その2)
実施形態その1では、貫通孔の内壁は樹脂モールドの樹脂が露出したものであった。実施形態その2は、貫通孔の内壁を金属膜で被覆する形態である。図5は、貫通孔を金属膜で被覆した電子部品110の構造を断面図で示す(図5は、半田接合を行った状態を示している)。パッケージの寸法、貫通孔301、311の寸法は図1に示したものと同一である。
【0026】
貫通孔301、311の内壁は、例えば無電解メッキにより銅の皮膜を形成している。銅皮膜の厚さは15μm〜20μmである。半田リフローの工程で、溶融した半田は銅に対する濡れ性と表面張力により、毛細管現象により貫通孔の上部まで上昇する。このような状態で、貫通孔上部の開口部の半田の有無の検知は、例えば貫通孔の直径より小さな径の光(例えばレーザ光)を上方から垂直に照射し、その反射光の強さで半田の有無を判別できる。この方法は、高価なレーザ測長器が不要になる。
【0027】
もちろん、図4に示したように貫通孔の深さを測長するようにしてもよい。この場合は、図1に示す方法より半田接合の判定精度を向上できる。
【0028】
また、クリーム半田の量を適正に制御することにより、溶融した半田を貫通孔の開口部にまで上昇させ、半田の有無を目視で確認することも可能である。この場合は、検査設備は不要となる。
【0029】
貫通孔301、311の内壁に被覆した金属膜を鏡面にしてもよい。鏡面とすることで、貫通孔301、311の上部まで半田が上がらない状態であっても、上部の開口部から鏡面の反射を利用して貫通孔301、311の半田面の高さを目視、あるいはCCDカメラ等を用いて確認できる。
【0030】
また、貫通孔301、311の上部にレンズを配置してもよい。例えば、貫通孔を持つ樹脂ケースと樹脂によるレンズとを一体成型により作成する。半田の盛り上がりをレンズを通して目視やCCDカメラ等を用いて確認する(この場合、貫通孔の内壁は金属膜の被覆を行わず、樹脂ケースの樹脂が露出している)。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の電子部品の構造例(実施形態その1)である。
【図2】本発明の電子部品の実装例である。
【図3】本発明の電子部品の実装フロー例である。
【図4】貫通孔の深さ測長例である。
【図5】本発明の電子部品の構造例(実施形態その2)である。
【図6】従来の下面電極構造の電子部品の実装例である。
【符号の説明】
【0032】
10 電子部品
11 電極
12 電極
20 プリント基板
30 パッド
31 パッド
40 クリーム半田
41 半田
100 電子部品
110 電子部品
200 電極
210 電極
300 貫通孔
301 貫通孔
310 貫通孔
311 貫通孔
400 パッド
410 パッド
500 プリント基板
600 半田クレーム
610 半田
700 レーザヘッド


【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージの下面に電極を配置した電子部品であって、
前記電子部品は前記パッケージを貫通する貫通孔を備え、該貫通孔の一端の開口部の全体、または一部が前記電極の占める領域内に配置され、該電極を貫通して形成される
ことを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記貫通孔の内壁を所定の金属膜で被覆した
ことを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記被覆した内壁の金属膜は鏡面である
ことを特徴とする請求項2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記貫通孔の上部位置に所定倍率の凸レンズを配置した
ことを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
【請求項5】
パッケージの下面に電極を配置し、該電極の領域に上下に貫通する貫通孔を備えた電子部品の実装方法であって、
プリント基板に形成したパッド上に所定量のクリーム半田を塗布する工程と、
前記電子部品を前記パッドに載置し、加熱により前記クリーム半田をリフローする工程と、
前記電子部品の上面から前記貫通孔の深さを計測し、計測した深さにより半田接合の良否を判定する工程と
を有することを特徴とする電子部品の実装方法。
【請求項6】
パッケージの下面に電極を配置し、該電極の領域に上下に貫通し内壁に所定の金属膜を被覆した貫通孔を備えた電子部品の実装方法であって、
プリント基板に形成したパッド上に所定量のクリーム半田を塗布する工程と、
前記電子部品を前記パッドに載置し、加熱により前記クリーム半田をリフローする工程と、
前記電子部品の上面から前記貫通孔の半田の有無を検知し、該半田の有無により半田接合の良否を判定する工程と
を有することを特徴とする電子部品の実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−92998(P2010−92998A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260213(P2008−260213)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】