説明

電子部品の実装装置及び実装方法

【課題】加圧ツールによって加圧される基板の上面と、バックアップツールによって支持される下面を1つのテープで覆うことができる実装装置を提供することにある。
【解決手段】実装ステージ37の上面から外方に突出させた基板の側辺部の下面を支持するバックアップツール17と、バックアップツールの上方に下降方向に駆動可能に設けられバックアップツールに下面が支持された基板の側辺部の上面にTCP6を実装する加圧ツールと、バックアップツールと加圧ツールの長手方向の一端側に配置された供給リール42と、供給リールから加圧ツールの下端面に沿って引き出されたテープ41が基板の下面とバックアップツールの間及び基板の上面と加圧ツールの間に介在するよう反転させる反転ローラ45と、加圧ツールによってTCPを基板の側辺部に実装したならば、バックアップツールと加圧ツールの間に介在したテープを長手方向の一端側へ排出する巻き取りリール47を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば液晶表示装置に用いられるガラス製の基板に、TCP(Tape Carrier Package)などの電子部品を実装する実装装置及び実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置を製造する場合、ガラス製のパネルなどの基板に、電子部品であるTCPを実装するための実装装置が用いられる。TCPは上記基板の4つの辺のうち、少なくとも2つ或いは3つの辺に実装されることが多い。
【0003】
上記実装装置は上記基板が供給載置される実装ステージを有する。この実装ステージは上記基板の平面形状よりも面積の小さな載置面を有し、この載置面に上記基板が供給載置される。その際、上記基板は、上記TCPが実装される側辺部を上記実装ステージの載置面の周縁から外方に突出させて位置決め保持される。
【0004】
上記基板の側辺部には粘着性を有するテープ状の異方性導電部材が貼着されていて、この異方性導電部材に複数のTCPが所定間隔で仮圧着されてから本圧着される。
【0005】
基板の側辺部に複数のTCPを仮圧着したり、本圧着する場合、上記基板は側辺部の下面がバックアップツールの上端面によって支持される。仮圧着時には基板の側辺部の上面に複数のTCPが1つずつ供給されて実装され、本圧着時には仮圧着された複数のTCPを加圧ツールによって同時に加圧加熱するようにしている。上記基板にTCPを本圧着することで、熱硬化性の上記異方性導電部材は上記加圧ツールの熱によって溶融してから硬化する。それによって、基板の側辺部には複数のTCPが固着、つまり実装されることになる。
【0006】
TCPの本圧着を繰り返して行うと、溶融した異方性導電部材の一部が基板の側辺部の下面を支持するバックアップツールの上端面や加圧ツールの下端面に付着することがある。少なくともどちらか一方の端面に異方性導電部材が付着した状態で、基板の側辺部の上面が加圧ツールによって加圧されると、上記基板の異方性導電部材に対応する部分が破損するということがある。
【0007】
また、基板にはたとえば厚さが0.3mm程度の薄い研磨ガラス板が用いられる。研磨ガラス板は板面に微細な凹凸が形成された状態となる。そのため、基板にTCPを加圧実装する際、板面の凹凸に起因してTCPにずれが生じるということがある。
【0008】
さらに、上記加圧ツールは実装時に異方性導電部材を溶融させることができる温度、たとえば400〜500℃程度の高温度に加熱される。加圧ツールが高温度に加熱されると、その熱影響によって加圧ツールの下端面とバックアップツールの上端面との平行度に狂いが生じることがある。その場合、基板にTCPを均一な圧力で加圧することができなくなるということがある。
【0009】
そこで、従来は特許文献1に示されるようにバックアップツールの上端面と基板の上面、及び加圧ツールの下端面と基板の下面との間にクッション性を備えたシートを介在させ、上述した問題が発生するのを防止するようにしていた。
【0010】
すなわち、特許文献1には、第1シート支持機構を構成する一対のリールに両端が巻き付けられた第1のシートの中途部を加圧ツールの下端面に対向させて設け、同じく第2シート支持機構の一対のリールに両端が巻き付けられた第1のシートの中途部をバックアップツールの上端面に対向させて設けるようにしている。各シート支持機構は、一方のリールを回転駆動することで、他方のリールから繰り出されたシートを上記一方のリールで巻き取るようになっている。
【0011】
そして、上記加圧ツールを下降させて基板にTCPを実装する際、上記加圧ツールが下端面で上記第1のシートを介してTCPを介して基板の上面を加圧し、上記バックアップツールが上端面で上記第2のシートを介して基板の上記加圧ツールによって加圧された部分に対応する部分の下面を受けるようにしている。
【0012】
それによって、TCPを実装する際、溶融した異方性導電部材が加圧ツールの下端面やバックアップツールの上端面に付着するのを防止したり、各シートの持つクッション性によって基板の板面の微細な凹凸に起因するTCPのずれを防止し、さらには上記加圧ツールとバックアップツールの端面の平行度の狂いを吸収するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2007−115893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献1に示された構成によれば、基板の上面と下面とを第1のシートと第2のシートを介して加圧することで、上述した問題の発生を防止することができる。
【0015】
しかしながら、上記構成によると、加圧ツールの下端面と基板の上面に第1のシートを介在させるための第1シート支持機構と、バックアップツールの上端面基板の下面とに第2のシートを介在させるための第2シート支持機構が必要となる。つまり、2つのシートを基板の上面と下面とに対向させるために2つのシート支持機構が必要となる。
【0016】
そのため、2つのシート支持機構を設けることで、構成の複雑化や大型化を招くということがあったり、シートの交換などに際しては2つのシート支持機構に対してシートを供給しなければならないから、その作業に手間が掛かるということがあった。
【0017】
この発明は、1つのテープをバックアップツールの上端面と基板の下面との間及び加圧ツールの下端面と基板の上面との間に介在させることができるようにした電子部品の実装装置及び実装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明は、基板の側辺部に電子部品を実装する実装装置であって、
上面に上記基板が上記側辺部を外方に突出させて載置される実装ステージと、
この実装ステージの上面から外方に突出させた上記基板の側辺部の下面を支持する上端面を有するバックアップツールと、
このバックアップツールの上方に下降方向に駆動可能に設けられ上記バックアップツールの上端面によって下面が支持された上記基板の側辺部の上面に上記電子部品を加圧して実装する下端面を有する加圧ツールと、
テープが巻装されていて、上記バックアップツールと加圧ツールの長手方向の一端側に配置された供給リールと、
この供給リールから上記バックアップツールの上端面或いは上記加圧ツールの下端面のいずれか一方の端面に沿って引き出された上記テープを上記バックアップツールと加圧ツールの長手方向の他端側で他方の端面に沿うよう反転させ、上記テープを上記電子部品が実装される上記基板の下面と上記バックアップツールの間及び上記基板の上面と上記加圧ツールの間に介在させる反転ローラと、
上記加圧ツールによって上記電子部品を上記基板の側辺部に実装した後、上記バックアップツールと上記加圧ツールの間に介在した上記テープを上記長手方向の一端側へ排出する排出手段と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装装置にある。
【0019】
上記テープの上記バックアップツールの上端面に沿う部分は、この上端面と同じ高さに設定され、上記テープの上記加圧ツールの下端面に沿う部分は、上記加圧ツールが上下動するとき、この加圧ツールの上下動に同期して作動する変位駆動手段によって上下方向に変位されることが好ましい。
【0020】
上記変位駆動手段は、上記バックアップツールの長手方向の一端側と他端側とに設けられ上記テープの上記バックアップツールの上端面の外側に位置する部分が係合した一対の支持ローラと、この支持ローラを上記加圧ツールの上下動に連動させて駆動する駆動手段と
によって構成されていることが好ましい。
【0021】
この発明は、基板の側辺部に電子部品を実装する実装方法であって、
上記基板の側辺部の下面をバックアップツールの上端面に支持する工程と、
このバックアップツールの上方に配置された加圧ツールを下降させてその下端面で上記基板の側辺部の上面に上記電子部品を加圧して実装する工程と、
上記加圧ツールによって上記電子部品を加圧して上記基板の側辺部の上面に実装するときに、上記バックアップツールと上記加圧ツールの長手方向一端側に設けられた供給リールから引き出したテープを上記長手方向の他端側で反転させることで上記バックアップツールの上端面と上記基板の下面との間及び上記加圧ツールと上記基板の上面との間に介在させる工程と、
上記基板の側辺部の上面に上記電子部品を実装した後、上記バックアップツールと上記加圧ツールの間に介在した上記テープを上記長手方向の一端側へ排出する工程と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装方法にある。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、バックアップツールと加圧ツールの長手方向一端側に設けられた供給リールから引き出したテープを上記長手方向の他端側で反転させることで上記バックアップツールの上端面と上記基板の下面との間及び上記加圧ツールの下端面と上記基板の上面との間に介在させるようにした。
【0023】
そのため、1つのテープによってバックアップツールの上端面と加圧ツールの下端面を覆うことができるから、2つのテープを用いる場合に比べて構成の簡略化や小型化を図ることができるばかりか、テープの供給作業を容易に行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の一実施の形態を示す実装装置の構成図。
【図2】加圧ツールが上昇した状態にあるバックアップツールと加圧ツールの正面図。
【図3】加圧ツールが下降した状態にあるバックアップツールと加圧ツールの正面図。
【図4】2つの側辺部にTCPが実装された基板の斜視図。
【図5】この発明の他の実施の形態の排出手段を示す図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、この発明の一実施の形態を図1乃至図4を参照しながら説明する。
【0026】
図1はこの発明の一実施の形態に係る実装装置の概略的構成図を示す。この実装装置では、ガラス製の液晶セルからなる基板Wの周縁部に、粘着性を有するテープ状の異方性導電部材5を介して仮圧着された電子部品としてのTCP6が本圧着されるようになっている。
【0027】
上記基板Wは、一対のガラス板4aを図示しないシール剤を介して所定の間隔で接着し、これらの間に液晶が封入されるとともに、各ガラス板4aの外面には図4に示すように周縁部を除く全面にわたってそれぞれ偏光板4b(一方のみ図示)が貼着されている。
【0028】
下側のガラス板4aの側辺部の上面には上記TCP6が上記異方性導電部材5を介して仮圧着されており、仮圧着されてから後述するように本圧着される。図4は2つの側辺部にそれぞれ複数のTCP6が仮圧着された基板Wを示す斜視図である。
【0029】
図1に示すように、上記実装装置は加圧手段としての圧着ユニット11及び後述する実装ステージ37を水平方向(X、Y方向)、回転方向(θ方向)及び矢印で示す上下方向(Z方向)に移動させる位置決めユニット12を備えている。上記圧着ユニット11は架台13を有し、この架台13の上端に設けられた支持部14には加圧ツール15がシリンダ16によって上下駆動可能に設けられている。
【0030】
上記加圧ツール15にはヒータ15bが内蔵され、この加圧ツール15を数百度に加熱することができるようになっている。また、加圧ツール15の下端面は加圧面15aに形成され、この加圧面15aの下方にはバックアップツール17が上端面、つまり受け面17aを対向させて立設されている。
【0031】
図2に示すように、上記バックアップツール17は基板Wの側辺部の長さを支持できる長さを有し、上記加圧ツール15は上記バックアップツール17と対応する長さに設定されている。
【0032】
図1に示すように、上記位置決めユニット12は上記圧着ユニット11と対向する位置に配置されている。この位置決めユニット12はXステージ18を有し、このXステージ18にはX駆動源19によってX方向に駆動されるX可動体20が設けられている。
【0033】
なお、上記圧着ユニット11のバックアップツール17の長手方向と平行な方向である、図1の紙面に対して直交する方向をX方向(図2に矢印で示す)とし、このX方向と交差する方向をY方向とする。Y方向は図1に矢印で示す。
【0034】
上記X可動体20の上面にはYステージ21が一体的に設けられている。このYステージ21の上面にはY可動体22が設けられている。このY可動体22はY駆動源23によって上記X方向と直交するY方向に駆動されるようになっている。
【0035】
上記Y可動体22の上面には側面形状がクランク状の支持体25が立設されている。この支持体25の上端部の支持部26と上記Y可動体22との間にはねじ軸27とガイド軸28が軸線をX方向とY方向がなす平面に対して垂直にして設けられている。ねじ軸27は回転可能に設けられ、ガイド軸28は固定的に設けられている。
【0036】
上記ねじ軸27にはZ可動体29が螺合され、このZ可動体29には上記ガイド軸28がスライド可能に挿通されている。したがって、ねじ軸27を回転させれば、上記Z可動体29は回転することなく、上記ガイド軸28に沿って上下動するようになっている。
【0037】
上記ねじ軸27の上端部は上記支持部26の上面から突出し、その突出端には従動歯車30が嵌着されている。この従動歯車30には駆動歯車31が噛合している。この駆動歯車31は上記支持体25に設けられたZ駆動源32の駆動軸32aに同軸に固定されている。
【0038】
したがって、Z駆動源32が作動してその駆動軸32aが回転すれば、噛合した一対の歯車30、31を介してねじ軸27が回転されるから、上記Z可動体29が図1に矢印で示すZ方向に駆動されることになる。
【0039】
上記Z可動体29にはL字状の取付け部材34の一辺が固着されている。この取付け部材34の水平となった他辺の下面にはθ駆動源35が設けられ、上面にはθ駆動源35によって垂直軸線を中心にして回転駆動されるθ可動体36が設けられている。
【0040】
上記θ可動体36の上面には平面形状が矩形状の上記実装ステージ37がその中央部をθ可動体36の回転中心に一致させて設けられている。この実装ステージ37の上面37aには、真空ポンプによって吸着力が生じる吸引孔(ともに図示せず)が開口形成されていて、上記基板Wが吸着保持されるようになっている。
なお、基板Wは、図1に示すように、TCP6が仮圧着された2つの側辺部を実装ステージ37の側縁から外方へ突出させた状態で実装ステージ37上に保持される。
【0041】
上記基板Wの側辺部に仮圧着されたTCP6を本圧着するとき、図2に示すように基板WのTCP6が仮圧着された側辺部が上記加圧ツール15の加圧面15aと上記バックアップツール17の受け面17aとの間に、この受け面17aよりも高い位置から水平に進入した後、同図に矢印で示すZ方向下方に駆動されることで、図1に鎖線で示すように上記受け面17aに載置される。
【0042】
その状態で、上記加圧ツール15がシリンダ16によって下降方向に駆動されると、上記TCP6が加圧ツール15によって加圧加熱されるから、異方性導電部材5が溶融固化して上記TCP6が基板Wの側辺部に本圧着されることになる。
【0043】
上記TCP6を基板Wの側辺部に本圧着する際、上記基板Wの側辺部の上面と上記加圧ツール15の加圧面15aとの間、及び上記基板Wの側辺部の下面と上記バックアップツール17の受け面17aとの間には、1つのテープ41がU字状に屈曲されて後述するように介在させられる。
【0044】
上記テープ41は耐熱性とクッション性を備えた材料、たとえばフッ素樹脂などによって上記ヒータ15bの加圧面15a及び上記バックアップツール17の受け面17aの幅寸法よりも大きな幅寸法のテープ状に形成されている。
【0045】
上記テープ41は図2に示すように供給リール42に巻装されている。この供給リール42は、上記加圧ツール15と上記バックアップツール17との長手方向の一端側で、上昇位置にある上記加圧ツール15とほぼ同じ高さ位置に軸線を上記加圧ツール15の長手方向と直交させて回転可能に配置されている。
【0046】
上記テープ41は上記供給リール42から引き出され、上記加圧ツール15と上記バックアップツール17との長手方向の一端側に設けられた第1の支持ローラ43の下側と、上記長手方向の他端側に設けられた第2の支持ローラ44の上側に係合に係合している。
【0047】
それによって、上記テープ41の上記第1、第2の支持ローラ43,44の間に位置する部分は上記加圧ツール15の加圧面15aの長手方向全長にわたって所定の間隔で対向している。つまり、上記テープ41は上記加圧面15aに沿うよう上記第1、第2の支持ローラ43,44によってガイドされている。上記テープ41の上記加圧面15aに沿う部分を上部分41aとする。
【0048】
上記テープ41は上記第2の支持ローラ44に係合した後、上記加圧ツール15と上記バックアップツール17との長手方向の他端側に配設された反転ローラ45に係合してから一端側に向かうよう方向変換される。上記反転ローラ45は径方向の上端が上記バックアップツール17の受け面17aと同じ高さになるよう配置されている。
【0049】
上記反転ローラ45によって方向変換された上記テープ41は、上記バックアップツール17の受け面17aとほぼ同じ高さで、この受け面17aに沿って上記加圧ツール15と上記バックアップツール17との長手方向の一端側に導かれ、その一端側に上記反転ローラ45と同じ高さで配設されたガイドローラ46に係合し、回転駆動源47aによって回転駆動される巻き取りリール47に巻き取られる。この実施の形態では上記巻き取りリール47が排出手段を構成している。
【0050】
それによって、上記テープ41の上記反転ローラ45と上記ガイドローラ46との間に位置する部分は、上記バックアップツール17の受け面17aの長手方向全長にわたってこの受け面17aに接触する高さで設けられる。つまり、上記テープ41の反転した部分は上記反転ローラ45と上記ガイドローラ46によって上記受け面17aに沿うようガイドされる。上記テープ41の上記受け面17aに沿う反転した部分を下部分41bとする。
【0051】
上記テープ41の上部分41aと下部分41bは、加圧ツール15が上昇した状態において、上下方向に所定の間隔で離間している。したがって、図2に示すように実装ステージ37に保持された基板WのTCP6が実装された一側部が上記バックアップツール17の受け面17a上に位置決めされると、この基板Wの側辺部の上面と加圧ツール15の加圧面15aとの間に上記テープ41の上部分41aが介在し、基板Wの側辺部の下面とバックアップツール17の受け面17aとの間に上記下部分41bが介在することになる。
【0052】
上記第1の支持ローラ43と第2の支持ローラ44は、それぞれシリンダ48,49によって図2に示す上昇位置と図4に示す下降位置との間で上下駆動されるようになっている。上記支持ローラ43,44とシリンダ48,49とで変位駆動手段を構成している。なお、支持ローラ43,44を上下方向に駆動する手段はシリンダ48,49に代えてたとえばリニアモータなどの他の駆動源を用いるようにしてもよい。
【0053】
上記シリンダ48,49は、上記加圧ツール15を上下方向に駆動する上記シリンダ16と同期して駆動される。すなわち、加圧ツール15が下降方向に駆動されるとき、第1の支持ローラ43と第2の支持ローラ44は上記シリンダ48,49によって下方へ駆動される。
【0054】
それによって、上記テープ41の上部分41aは、図3に示すように上記加圧ツール15の加圧面15aによって上記バックアップツール17の受け面17aに載置された基板WのTCP6が仮圧着された側辺部の上面に押圧される。
【0055】
すなわち、上記基板Wの側辺部の上面と下面は、上記テープ41の上部分41aと下部分41bを介して上記加圧ツール15の加圧面15aと、上記バックアップツール17の受け面17aとで挟持加圧されるから、上記TCP6が基板Wの側辺部の上面に本圧着(実装)されることになる。
【0056】
上記基板Wの側辺部の上面と下面に上記テープ41の上部分41aと下部分41bが介在した状態で、上記TCP6の実装が行われると、上記テープ41によって加圧ツール15の加圧面15aやバックアップツール17の受け面17aに溶融物が付着するのを防止したり、基板Wの板面の凹凸によるTCP6の位置ずれを防止したり、さらに実装時における加圧ツール15の加圧面15aとバックアップツール17の受け面17aの平行度の狂いを吸収することが可能となる。
したがって、上記基板Wに対する上記TCP6の実装を確実に行なうことができる。
【0057】
基板WにTCP6を実装し終わると、上記シリンダ16によって上昇方向に駆動される上記加圧ツール15の上昇に同期して一対のシリンダ48,49が作動して支持ローラ43,44が上昇方向に駆動される。それによって、テープ41の上部分41aも上昇し、基板Wの側辺部の上面から離れることになる。
【0058】
このようにして加圧ツール15が上昇したならば、基板Wは下面がテープ41の下部分41bから離れる高さまで上昇させられて後退した後、たとえば水平方向に90度回転させられてTCP6が設けられた他の側辺部が加圧ツール15とバックアップツール17との間に位置決めされ、その側辺部に設けられたTCP6が上述したように実装されるということが繰り返して行われる。
【0059】
基板WのTCP6が実装された側辺部が後退して他の側辺部が加圧ツール15とバックアップツール17の間に位置決めされる間に、回転駆動源47aによって巻き取りリール47が回転駆動され、上記テープ41の前回の実装時に使用された部分である、加圧ツール15とバックアップツール17の間にある部分、つまり上部分41aと下部分41bが上記巻き取りリール47に巻き取られ、テープ41の未使用の部分が供給リール42から送り出されて加圧ツール15とバックアップツール17の間に上部分41a及び下部分41bとして位置決めされる。
【0060】
それによって、基板Wの他の側辺部に仮圧着されたTCP6を本圧着する際、上記基板Wの側辺部の上面と下面は汚れていない新たなテープ41を介して加圧ツール15とバックアップツール17によって加圧されることになる。したがって、TCP6の本圧着を繰り返して行っても、本圧着時に生じる溶融物が付着したテープ41を用いてTCP6の本圧着を行い、その溶融物によって基板Wを損傷させるのを防止することができる。
【0061】
なお、テープ41の巻き取り時に上部分41aと下部分41bを1回で巻き取るようにしたが、図3の左側に位置する未使用の反転部分の長さを加圧ツール15又はバックアップツール17の長さと同じ長さになるよう設定することで、巻き取り量が上記加圧ツール15又はバックアップツール17の長さと同じ長さだけ巻き取るようにすればよい。このようにすることで、生産性の向上を図ることが可能となる。
【0062】
このように、反転ローラ45によってテープ41を反転させることで、加圧ツール15の加圧面15aとバックアップツール17の受け面17aとの間でテープ41を上部分41aと下部分41bとにして介在させるようにしたから、1つのテープ41を上記加圧面15aと受け面17aに沿わせて設けることができる。
【0063】
そのため、上記構成の実装装置によれば、上記加圧面15aと受け面17aに別々のテープを沿わせ、各テープをそれぞれ供給して巻き取ることができるようにしていた従来に比べ、構成の簡略化や小型化を図ることが可能となる。
【0064】
上記テープ41の上部分41aを第1、第2の支持ローラ43,44によって上昇位置で保持し、これら支持ローラ43,44をシリンダ48,49によって加圧ツール15と同期させて上下動させるようにした。
【0065】
そのため、基板WにTCP6を実装するときには、上記支持ローラ43,44を下降させれば、上記テープ41の上部分41aが加圧ツール15に大きく引き伸ばされることなく加圧ツール15の加圧面15aと基板Wの側辺部上面との間に介在するから、上記テープ41が損傷したり、破断する虞をなくすることができる。
【0066】
TCP6の実装後に上記支持ローラ43,44が加圧ツール15に連動して上昇するため、上記テープ41の上部分41aが上昇し、上記下部分41bに対して所定の間隔で離間する。つまり、上昇した加圧ツール15とバックアップツール17との間で、上記上部分41aと下部分41bが上下方向に離間する。
【0067】
そのため、基板Wの側辺部をバックアップツール17の受け面17a上で位置決めするとき、その側辺部を上記加圧ツール15とバックアップツール17の間、つまり上記テープ41の下部分41bと上部分41aの間に確実かつ容易に挿入することができる。
【0068】
それによって、TCP6を実装する際、基板Wの側辺部の上下面に上記テープ41の上部分41aと下部分41bを確実に介在させることができる。
【0069】
上記テープ41の下部分41bは上記バックアップツール17の受け面17aと同じ高さになるよう反転ローラ45とガイドローラ46によって支持されている。そのため、TCP6の実装時にテープ41の下部分41bに張力が加わって伸びや破損が生じるのを防止することができる。
【0070】
上記一実施の形態では使用済みのテープを排出する排出手段として巻き取りリールを用いた例を挙げて説明したが、図5に示すようにテープ41のガイドローラ46にガイドされた部分よりも下流側の部分に開閉可能な固定チャック51と、この固定チャック51よりもテープ41の下流側に開閉可能な可動チャック52を設ける。
【0071】
上記可動チャック52は、テープ41を挟持した状態で、シリンダ53によってテープ41を排出する方向に駆動される構成となっている。上記固定チャック51と可動チャック52は交互に開閉される。
【0072】
それによって、可動チャック52がテープ41を挟持してシリンダ53によって駆動されるとき、固定チャック51は開放されているから、テープ41を排出方向に引き出すことができ、可動チャック52が開いて初期位置に戻るとき、テープ41は固定チャック51によって挟持されるため、弛みが生じることがない。
【0073】
このような構成であっても、上記テープ41の使用済みの部分を加圧ツール15とバックアップツール17の間から排出させることができる。なお、テープ41の排出される部分がシリンダ53のストロークよりも長い場合には、その長さに応じて上記シリンダ53により上記可動チャック52を複数往復動させればよい。
【0074】
また、供給リールから引き出されたテープを加圧ツールの加圧面に沿わせ、反転ローラによって反転させてからバックアップツールの受け面に沿わせた後、巻き取りリールによって巻き取るようにしたが、供給リールと巻き取りリールを上下逆の位置に配置し、供給リールから引き出されたテープをバックアップツールの受け面に沿わせ、反転ローラによって反転させた後、加圧ツールの加圧面に沿わせて巻き取りリールによって巻き取るようにしてもよい。
【符号の説明】
【0075】
6…TCP(電子部品)、15…加圧ツール、15a…加圧面(下端面)、17…バックアップツール、17a…受け面(上端面)、37…実装ステージ、41…テープ、42…供給リール、43…第1の支持ローラ(保持手段)、44…第2の支持ローラ(保持手段)、45…反転ローラ、47…巻取りリール(巻き取り手段)、48,49…シリンダ(保持手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の側辺部に電子部品を実装する実装装置であって、
上面に上記基板が上記側辺部を外方に突出させて載置される実装ステージと、
この実装ステージの上面から外方に突出させた上記基板の側辺部の下面を支持する上端面を有するバックアップツールと、
このバックアップツールの上方に下降方向に駆動可能に設けられ上記バックアップツールの上端面によって下面が支持された上記基板の側辺部の上面に上記電子部品を加圧して実装する下端面を有する加圧ツールと、
テープが巻装されていて、上記バックアップツールと加圧ツールの長手方向の一端側に配置された供給リールと、
この供給リールから上記バックアップツールの上端面或いは上記加圧ツールの下端面のいずれか一方の端面に沿って引き出された上記テープを上記バックアップツールと加圧ツールの長手方向の他端側で他方の端面に沿うよう反転させ、上記テープを上記電子部品が実装される上記基板の下面と上記バックアップツールの間及び上記基板の上面と上記加圧ツールの間に介在させる反転ローラと、
上記加圧ツールによって上記電子部品を上記基板の側辺部に実装した後、上記バックアップツールと上記加圧ツールの間に介在した上記テープを上記長手方向の一端側へ排出する排出手段と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装装置。
【請求項2】
上記テープの上記バックアップツールの上端面に沿う部分は、この上端面と同じ高さに設定され、上記テープの上記加圧ツールの下端面に沿う部分は、上記加圧ツールが上下動するとき、この加圧ツールの上下動に同期して作動する変位駆動手段によって上下方向に変位されることを特徴とする請求項1記載の電子部品の実装装置。
【請求項3】
上記変位駆動手段は、上記バックアップツールの長手方向の一端側と他端側とに設けられ上記テープの上記バックアップツールの上端面の外側に位置する部分が係合した一対の支持ローラと、この支持ローラを上記加圧ツールの上下動に連動させて駆動する駆動手段と
によって構成されていることを特徴とする請求項2記載の電子部品の実装装置。
【請求項4】
基板の側辺部に電子部品を実装する実装方法であって、
上記基板の側辺部の下面をバックアップツールの上端面に支持する工程と、
このバックアップツールの上方に配置された加圧ツールを下降させてその下端面で上記基板の側辺部の上面に上記電子部品を加圧して実装する工程と、
上記加圧ツールによって上記電子部品を加圧して上記基板の側辺部の上面に実装するときに、上記バックアップツールと上記加圧ツールの長手方向一端側に設けられた供給リールから引き出したテープを上記長手方向の他端側で反転させることで上記バックアップツールの上端面と上記基板の下面との間及び上記加圧ツールと上記基板の上面との間に介在させる工程と、
上記基板の側辺部の上面に上記電子部品を実装した後、上記バックアップツールと上記加圧ツールの間に介在した上記テープを上記長手方向の一端側へ排出する工程と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−182825(P2010−182825A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24111(P2009−24111)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】