説明

電子部品リペア装置および電子部品リペア方法

【課題】 レーザ加熱により高密度実装された微小な電子部品を容易にリペアすることが可能である電子部品リペア装置および電子部品リペア方法を提供する。
【解決手段】 加熱吸着ヘッド35の先端部分には、光ファイバ31内によって伝送されたレーザ光21の照射方向を定め、レーザ光を確実にリペア対象部品に照射するための光導波路40が設けられる。光導波路40は、レーザ光が、この先端部分のリペア対象部品と接触する先端面35aから出射されるように構成される。さらに、光導波路40内には、レーザ光の伝送方向と平行に延びる吸着孔23が設けられ、吸着孔23の一方の開口は、先端面35aに設けられる。吸着孔23の他方の開口は、真空吸着ホース36と接続し、真空源によって吸着孔23の内部空洞が真空状態となるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだなどの熱可塑性接合材を用いて電子回路基板上に電子部品を実装した際に、接合不良などが発生した電子部品をリペアする電子部品リペア装置および電子部品リペア方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯情報端末、モバイル機器などの小型薄型化、軽量化が急激に進んでおり、それに伴い表面実装用の小型電子部品(チップ部品)に関しても、サイズ1005(1.0mm×0.5mm)から0603(0.6mm×0.3mm)へ、さらには0402(0.4mm×0.2mm)へと小型化が進んでいる。加えて、チップ部品の実装には、プリント基板の配線パターンや電極パッドの配置を工夫して無駄なスペースの無い高密度実装基板設計が求められており、例えばチップ部品では実装間隔が0.2mm程度の実装が行われている。
【0003】
チップ部品をプリント配線基板にはんだ付けする従来の方法は、プリント配線基板表面の実装位置にチップ部品を取り付けるためのランドを形成し、印刷マスクを用いてはんだペーストをランドの全面に印刷、塗布し、この上にチップ部品を載置したのちリフロー加熱してはんだ付けするものである。
【0004】
図5は、はんだ付けの接合不良の一例を示す模式図である。図5は、チップ部品を実装した実装面を平面視した図である。
【0005】
上記のように、プリント配線基板12の表面に高密度実装を行う場合、リフロー加熱時にはんだの一部がランド上から流れ出し、隣接する電子チップ部品11間に、はんだボールやはんだブリッジ13を生じさせ、部品同士を短絡させてしまうという不良が生じる可能性がある。また、部品搭載機の搭載精度などの問題から、部品搭載時の部品位置ズレ14などにより隣接部品と接触したり、あるいは隣接部品のランドにはんだ付けされてしまう可能性がある。
【0006】
このような接合不良が起こった場合のリペア方法として、不良実装部品の交換、位置ずれの補正、はんだブリッジの除去などがある。これは、一旦プリント配線基板12表面に実装したチップ部品を取り外し、はんだ残渣を除去した後、はんだペーストを再度供給し、その後に修理したチップ部品または新しいチップ部品を取り付ける、リペア工程と呼ばれる工程が必要とされる。
【0007】
リペア工程では、一般に、リペア対象部品10およびその周辺のはんだ接合部をはんだの溶融温度以上に加熱し、はんだを溶融させてチップ部品を取り外し、プリント配線基板表面のランド上に残ったはんだを、はんだ吸引器、銅編み線にフラックスをコーティングしたウィックに吸収させるなどの方法で除去し、糸はんだあるいははんだペーストをランド上に新たに供給して、加熱することによりチップ部品の再実装が行われる。このときの加熱方法としては、はんだごて、熱風の吹き付け、ハロゲンランプ、レーザなどを利用する。
【0008】
リペア工程で用いられるリペア装置は、基板保持ステージ、加熱吸着ヘッドを備え、チップ部品を対象としてリペア対象部品とその周辺を加熱することではんだを溶融させ、吸着によりリペア対象部品を除去する。リペア対象部品除去後のはんだ残存量をレーザ変位系により測定し、適切なはんだ量を塗布してリペアを行う(特許文献1参照)。
【0009】
また、特許文献2には、リペア対象部品の真上から真空チャックすることでリペア対象部品を保持し、レーザ光をリペア対象部品の斜め上方から照射することによって、はんだを溶融させてリペア対象部品を除去するリペア装置が開示されている。
【0010】
【特許文献1】特開2004−241574号公報
【特許文献2】特開平5−235538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来のリペア装置では下記に示すような問題点が存在する。
高密度にチップ部品が実装されたプリント配線基板において、接合不良となったリペア対象部品をリペアする際に、熱風などの加熱源を用いるとリペア対象部品の周囲も加熱されるため、基板へのダメージや、周辺のはんだ接合部の酸化、はんだ接合部内の金属間化合物の成長によって周辺のはんだ接合部の接合強度が低下し、信頼性が低下するという問題がある。
【0012】
また、レーザを用いた局所加熱の場合、リペア対象部品が微小になると部品吸着機構がリペア対象部品を吸着固定した状態でレーザ光を照射しようとしても、この吸着機構によって光路が遮断されてしまうためにはんだを加熱できない。
【0013】
また、吸着機構を避けてリペア対象部品の斜め上方からレーザ光をはんだ接合部に照射しようとした場合、図6の模式図に示すように、リペア対象部品10に隣接する大型部品20がレーザ光の光路を遮断して加熱できず、さらにリペア対象部品10の加熱と吸着を同時に行う必要があるため、部品吸着ノズル22の吸着孔23と斜め方向から照射するレーザ光21の照射位置24との間に高い相対位置精度が要求されるという問題がある。
【0014】
本発明の目的は、レーザ加熱により高密度実装された微小な電子部品を容易にリペアすることが可能である電子部品リペア装置および電子部品リペア方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、電子部品を熱可塑性接合材で実装した基板を保持する基板保持ステージと、
レーザ光源と、
除去対象となる電子部品にレーザ光を照射するようにレーザ光源からレーザ光を伝送するとともに、当該電子部品を吸着する加熱吸着ヘッドとを具備し、
加熱吸着ヘッドによって前記電子部品にレーザ光を照射して当該電子部品を加熱し、熱可塑性接合部材を溶融させるとともに、当該電子部品を吸着して除去するように構成されることを特徴とする電子部品リペア装置である。
【0016】
また本発明は、加熱吸着ヘッドは、レーザ光を伝送する光導波路を備え、
前記光導波路は、その内部に設けられた空孔を真空状態にすることで空孔の開口に接する電子部品を真空吸着することを特徴とする。
【0017】
また本発明は、加熱吸着ヘッドは、レーザ光をレンズによって伝送する光学手段を備え、
前記光学手段は、レンズ周辺を覆うケースを備え、ケースの内部空間を真空状態にすることでケースに設けられた開口に接する電子部品を真空吸着することを特徴とする。
【0018】
また本発明は、熱可塑性接合材で基板に実装された除去対象となる電子部品に対し、加熱吸着ヘッドによって、レーザ光源からレーザ光を伝送して当該電子部品にレーザ光を照射し、当該電子部品を加熱して熱可塑性接合部材を溶融させるとともに、当該電子部品を吸着して除去することを特徴とする電子部品リペア方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、基板保持ステージに保持された基板上に実装された電子部品のうち、除去対象となる電子部品にレーザ光を照射するように加熱吸着ヘッドがレーザ光をレーザ光源から伝送するとともに、除去対象となる電子部品を吸着する。レーザ光の照射によって除去対象となる電子部品は加熱され、吸着されて基板上から除去される。
【0020】
これにより、除去対象となる電子部品のみを局所的に加熱することができ、加熱と同時に電子部品の吸着を行うことができる。レーザ光を直接電子部品にまで伝送することで、レーザ光を大型部品や部品吸着機構が遮断して加熱できないといった問題が発生しない。さらに、レーザ光の伝送構造と電子部品の吸着構造とが一体となっているので、レーザ光照射位置と部品吸着位置の高い相対位置精度が要求されないので、容易にリペアを行うことができる。
【0021】
また本発明によれば、加熱吸着ヘッドは、レーザ光を伝送する光導波路を備えており、光導波路の内部に設けられた空孔を真空状態にすることで空孔の開口に接する電子部品を真空吸着する。
【0022】
これにより、さらに容易にリペアを行うことができ、さらには、空孔内の真空度の変化によって、電子部品が取り外しできたかどうかを判断することができる。
【0023】
また本発明によれば、加熱吸着ヘッドは、レーザ光をレンズによって伝送する光学手段を備えており、レンズ周辺を覆うケースの内部空間を真空状態にすることでケースに設けられた開口に接する電子部品を真空吸着する。
【0024】
これにより、真空吸着孔をレーザ伝送経路の外側に配置することによって、レーザ光の損失を防止することができる。
【0025】
また本発明によれば、熱可塑性接合材で基板に実装された電子部品のうち、除去対象となる電子部品に対し、加熱吸着ヘッドによって、レーザ光源からレーザ光を伝送して当該電子部品にレーザ光を照射し、当該電子部品を加熱して熱可塑性接合部材を溶融させるとともに、当該電子部品を吸着して除去する。
【0026】
これにより、除去対象となる電子部品のみを局所的に加熱することができ、加熱と同時に電子部品の吸着を行うことができる。レーザ光を直接電子部品にまで伝送することで、レーザ光を大型部品や部品吸着機構が遮断して加熱できないといった問題が発生しない。さらに、レーザ光の伝送構造と電子部品の吸着構造とが一体となっているので、レーザ光照射位置と部品吸着位置の高い相対位置精度が要求されないので、容易にリペアを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下では本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の一形態であるリペア装置の構成を示す外観図である。図1に示すように、本発明のリペア装置は、リペアの対象となる微小電子部品が実装されたプリント配線基板(以下では単に「実装基板」という)を保持する基板保持ステージ32と、基板保持ステージ32に保持された状態の実装基板から、リペア対象部品を除去する加熱吸着ヘッド35とを備える。
【0028】
なお、本発明のリペア装置によるリペアの対象となるのは、熱可塑性の接合材によって基板表面に実装された電子部品である。熱可塑性の接合材は、たとえば、はんだなどの合金や他の金属、樹脂、導電性接着材、ガラスなど所定の温度以上で軟化、溶融することで接合性が失われ、電子部品が基板から容易に取り外し可能な材料であればよい。また、リペア対象の電子部品についても、チップ抵抗、チップコンデンサなど種々の電子部品を対象とすることができる。リペアする際に電子部品自身を加熱することで接合材を溶融させることになるので、リペア可能な接合材と電子部品の組み合わせとしては、接合材の溶融温度以上の高温であっても特性変化などが発生しない電子部品であればよい。
【0029】
基板保持ステージ32は、さらにx−y−θステージ33上に設けられる。x−y−θステージ33は、水平面内をx方向、x方向に直交するy方向に摺動可能に構成され、さらに中央に回転中心を有し、鉛直方向の回転軸まわりに回転可能に構成される。これにより、基板保持ステージ32を、x−y−θステージ33と同様にx方向、y方向に直線移動させ、さらに回転軸まわりに所定の角度θ角変位させることができる。加熱吸着ヘッド35は、zステージ34に設けられることにより、z方向(鉛直方向)にのみ移動可能に構成される。すなわち、加熱吸着ヘッド35は、水平面内で位置変位しないように構成される。
【0030】
したがって、加熱吸着ヘッド35とリペア対象部品との位置合わせは、x−y−θステージ33により平面方向を調整し、zステージ34により高さ方向を調整して行う。
【0031】
位置合わせについては、基板保持ステージ32に保持された実装基板を撮影可能なカメラを設け、撮影画像が映し出されるモニタを見ながら作業者がx−y−θステージ33およびzステージ34を操作して行うように構成されていてもよいし、カメラで撮影された画像に対して画像処理を施し、リペア対象部品を位置検出して自動でステージを移動させるように構成されていてもよい。
【0032】
加熱吸着ヘッド35は、局所加熱するためのレーザ光源であるレーザ光発振器30に、光ファイバ31を介して接続され、詳細は後述するが、その内部に設けられた光導波路によって、リペア対象部品と接触する先端部分までレーザ光が伝送される。また、加熱吸着ヘッド35は、その先端部分でリペア対象部品を真空吸着するために、真空吸引ホース36を介して真空ポンプなどの真空源に接続される。
【0033】
なお、加熱吸着ヘッド35に接続される真空源を、真空吸引ホース36を介して基板保持ステージ32に接続し、基板保持ステージ32内に設けられた複数の吸着孔を用いて真空吸着による実装基板の保持を行ってもよい。
【0034】
加熱吸着ヘッド35は、その先端部分において、レーザ光によるリペア対象部品の加熱と真空吸着とを行うことにより、レーザ光が遮蔽されることなく確実にリペア対象部品を加熱することができ、レーザ光照射位置と部品吸着位置とを位置合わせする必要がないので、高密度実装された微小な電子部品であっても容易にリペアすることができる。
【0035】
加熱吸着ヘッド35の先端部分は、リペア対象部品を加熱する際にレーザ光を照射する面積が、部品面積の50%以上となるように構成し、レーザ光照射によりリペア対象部品の全体を加熱するような形状がより好ましい。
【0036】
また上記レーザ光の出力はリペア対象部品10のサイズ、ワークの種類によって適宜変更可能であるが、リペア対象部品が微小サイズ(1005、0603、0402など)であることから、1〜40Wとすることが好ましい。レーザ光の種類は、リペア対象部品を加熱することが可能であれば特に限定されず、YAGレーザ、半導体レーザ、その他のレーザであってもよい。
【0037】
図2は、加熱吸着ヘッド35の先端部分の拡大図である。
加熱吸着ヘッド35の先端部分には、光ファイバ31内によって伝送されたレーザ光21の照射方向を定め、レーザ光を確実にリペア対象部品に照射するための光導波路40が設けられる。光導波路40は、レーザ光が、この先端部分のリペア対象部品と接触する先端面35aから出射されるように構成される。さらに、光導波路40内には、レーザ光の伝送方向と平行に延びる吸着孔23が設けられ、吸着孔23の一方の開口は、先端面35aに設けられる。吸着孔23の他方の開口は、真空吸引ホース36と接続し、真空源によって吸着孔23の内部空洞が真空状態となるように構成される。
【0038】
ここで、光ファイバ31は1本であっても良いし複数本であってもよい。そして光導波路40は、石英、半導体材料、ポリマーなどからなるものを用い、より好ましくは低損失で光を伝送できる石英系の材料が好ましい。また、光導波路40外表面は伝送するレーザ光が外部に漏出しないように、金属などのめっき層を設けることが好ましい。ここで、光導波路40の直径、吸着孔23の開口径は、リペア対象部品のサイズにより変更可能とすることが好ましく、例えば、リペア対象部品のサイズが0402の場合は、光導波路40の直径300μm、吸着孔の開口径100μmとし、サイズが0603の場合は、光導波路40の直径400μm、吸着孔の開口径150μmとするが、この値に限定するものではない。また、光導波路40先端部分には、リペア対象部品の加熱温度を測定するための熱電対を具備することが好ましい。
【0039】
図3は、他の実施形態の加熱吸着ヘッド35の先端部分の拡大図である。
加熱吸着ヘッド35として、レーザ光21の照射方向を定め、レーザ光を確実にリペア対象部品に照射する構成は、同じであるが本実施形態では、光導波路40の代わりに、光学系レンズ41およびケース42からなる光学手段を用いることによってリペア対象部品にレーザ光を照射する。
【0040】
光学系レンズ41は、内部空間に固定して配置可能なケース42で覆われ、ケース42の光ファイバ31との接続面からは、光学系レンズ41にレーザ光が入射するように、光ファイバ31の先端がケース42内に挿入される。
【0041】
ケース42内の光学系レンズ41は、光学系レンズ41に入射されたレーザ光が、1または複数のレンズによって、ケース42の光ファイバ31との接続面とは反対側のリペア対象部品への接触面において、レーザ光の照射面積が、部品面積の50%以上となるように構成される。たとえば、サイズが0402の部品の場合、レーザ光の照射部分の直径が250μm以上となるようにすれば、照射面積を部品面積の50%以上とすることができる。
【0042】
このリペア対象部品への接触面には開口が設けられ、開口はケース42の内部空間と外部とを連通させるための開口であり、ケース42の内部空間を真空吸着ホース36によって真空状態とすることで、リペア対象部品を吸着する。
【0043】
このような真空吸着孔をレーザ伝送経路の外側に配置した構成とすることで、光ファイバ31から加熱吸着ヘッド先端にレーザ光を伝送する際に損失が起こるといった問題が発生しないので好ましい。
【0044】
以下では、リペア工程について説明する。
実装基板12を基板保持ステージ32上に保持し、加熱吸着ヘッド35先端の光導波路40とリペア対象部品10とを位置合わせして接触させる。
【0045】
接触した状態でレーザ光を発振させ、加熱吸着ヘッド35からレーザ光をリペア対象部品10に照射して加熱し、接合部を溶融させる。レーザ加熱と同時に真空吸引によりリペア対象部品10を吸着保持し、接合材による接合力が真空吸引力よりも低下すると、リペア対象部品10が基板12から取り外すことができる。
【0046】
このとき、吸着孔23内の真空度は上昇するので、検出手段により真空度を検出することでリペア対象部品10の取り外しが完了したことを判断することができる。
【0047】
次に、新しい電子部品11を加熱吸着ヘッド35の先端に真空吸着させ、リペア対象部品10を除去後のランドに接合材を塗布する。加熱吸着ヘッド35と実装対象のランドとを位置合わせし、接触させる。接触させた状態で、レーザ光を発振し、新しい電子部品11を加熱して接合材を溶融させ、真空吸着を終了する。こうすることでリペア工程が完了する。
【実施例】
【0048】
本発明によるリペア装置を用いた実施例を以下に示す。
図4は、実施例の加熱吸着ヘッド35と、これを用いたリペア方法を示す模式図である。
【0049】
本実施例では、0603サイズの電子部品11を、部品実装間隔0.2mmにて大型部品20と隣接させて基板12に表面実装を行った。ここで使用したはんだ材料はいずれもSn−3Ag−0.5Cuであり、リフローによりはんだ接合を行った。
【0050】
リペア対象部品10は、大型部品20に隣接した0603サイズの電子部品とした。ここで、使用した加熱吸着ヘッド35の構成は、図2に示した光導波路40を用いたものである。リペア装置の全体構成は、図1に示した通りである。
【0051】
加熱吸着ヘッド35先端の光導波路40は、光導波路40の直径を400μmとし、吸着孔の開口径150μmとした。光導波路40の材質は石英を用い、外表面はアルミニウムめっきした。このような構造とすることでリペア対象部品10の上面の50%程度の面積にレーザ光を照射し、加熱することができる。
【0052】
リペア工程は、まず基板12を基板保持ステージ32上に搭載し、真空吸着により保持する。その後、x−y−θステージ33とzステージ34を操作し、加熱吸着ヘッド35先端の光導波路40とリペア対象部品10とを位置合わせして接触させる。
【0053】
接触した状態でレーザ光を発振させ、光ファイバ31、光導波路40を通じてレーザ光をリペア対象部品10に照射して加熱し、はんだ接合部を溶融させる。ここで本実施例ではレーザ光としてYAGレーザを用い、出力を1.5Wとした。そして、レーザ加熱と同時に真空吸引によりリペア対象部品10を吸着保持し、はんだの接合力が真空吸引力よりも低下したとき、真空吸引力によりリペア対象部品10が基板12から取り外され、吸着孔23内の真空度は上昇する。この真空度上昇を真空吸引ホース36の先に具備した圧力検出手段により検出することによりリペア対象部品10の取り外しが完了したことを判断し、その後、zステージ34を操作して、基板上からリペア対象部品10を除去した。なお、レーザ加熱開始から真空度が上昇するまで約0.5秒間であった。
【0054】
そして、新しい0603サイズの電子部品11を加熱吸着ヘッド35の先端に真空吸着させ、リペア対象部品10を除去した後のランドにはんだペーストをディスペンサーにより塗布した。部品除去の際と同様にx−y−θステージ33とzステージ34を操作しながら加熱吸着ヘッド35とリペア対象部品除去後のランドとの位置合わせをし、接触させた。この状態で、レーザ光を発振し、新しい電子部品11を加熱して約0.5秒後、はんだを溶融させた状態で真空吸着を終了し、zステージ34を上昇させた。こうすることでリペア工程が完了した。なお本実施例では部品の再実装時に部品取り外し時と同様にYAGレーザを用い、レーザ出力を1.5Wとした。
【0055】
このように、本発明のリペア装置における加熱吸着ヘッドを用いることにより、サイズの小さな電子部品が狭隣接に高密度実装された実装基板においても容易かつ効率的にリペアを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の一形態であるリペア装置の構成を示す外観図である。
【図2】加熱吸着ヘッド35の先端部分の拡大図である。
【図3】他の実施形態の加熱吸着ヘッド35の先端部分の拡大図である。
【図4】実施例の加熱吸着ヘッド35と、これを用いたリペア方法を示す模式図である。
【図5】はんだ付けの接合不良の一例を示す模式図である。
【図6】従来のリペア装置によるリペア方法を示す模式図である。
【符号の説明】
【0057】
10 リペア対象部品
11 電子部品
12 プリント配線基板
13 ブリッジ
20 大型部品
21 レーザ光
22 部品吸着ノズル
23 吸着孔
24 照射位置
30 レーザ光発振器
31 光ファイバ
32 基板保持ステージ
33 x−y−θステージ
34 zステージ
35 加熱吸着ヘッド
36 真空吸引ホース
40 光導波路
41 光学系レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を熱可塑性接合材で実装した基板を保持する基板保持ステージと、
レーザ光源と、
除去対象となる電子部品にレーザ光を照射するようにレーザ光源からレーザ光を伝送するとともに、当該電子部品を吸着する加熱吸着ヘッドとを具備し、
加熱吸着ヘッドによって前記電子部品にレーザ光を照射して当該電子部品を加熱し、熱可塑性接合部材を溶融させるとともに、当該電子部品を吸着して除去するように構成されることを特徴とする電子部品リペア装置。
【請求項2】
加熱吸着ヘッドは、レーザ光を伝送する光導波路を備え、
前記光導波路は、その内部に設けられた空孔を真空状態にすることで空孔の開口に接する電子部品を真空吸着することを特徴とする請求項1記載の電子部品リペア装置。
【請求項3】
加熱吸着ヘッドは、レーザ光をレンズによって伝送する光学手段を備え、
前記光学手段は、レンズ周辺を覆うケースを備え、ケースの内部空間を真空状態にすることでケースに設けられた開口に接する電子部品を真空吸着することを特徴とする請求項1記載の電子部品リペア装置。
【請求項4】
熱可塑性接合材で基板に実装された除去対象となる電子部品に対し、加熱吸着ヘッドによって、レーザ光源からレーザ光を伝送して当該電子部品にレーザ光を照射し、当該電子部品を加熱して熱可塑性接合部材を溶融させるとともに、当該電子部品を吸着して除去することを特徴とする電子部品リペア方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−164310(P2009−164310A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341456(P2007−341456)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】