電子部品供給装置および該電子部品供給装置を用いた表面実装機
【課題】部品の供給動作を安定させることができる電子部品供給装置および表面実装機を提供する。
【解決手段】本発明の電子部品供給装置は、実装機本体に装着され、部品ECが収納された中空長尺状の容器4を振動させて、部品を所定の位置に送り出すようにした電子部品供給装置であって、容器4を保持する容器保持部37と、容器保持部37を振動させる振動の発生源となる振動発生装置39と、振動発生装置39の駆動状態を制御するコントローラ32とを有し、コントローラ32は、互いに異なる周波数の振動を少なくとも2つ含む振動パターンに基づいて振動発生装置39を駆動し、前記少なくとも2つの振動の周波数と各周波数での振動の継続時間とをそれぞれ任意に設定可能に構成されている。
【解決手段】本発明の電子部品供給装置は、実装機本体に装着され、部品ECが収納された中空長尺状の容器4を振動させて、部品を所定の位置に送り出すようにした電子部品供給装置であって、容器4を保持する容器保持部37と、容器保持部37を振動させる振動の発生源となる振動発生装置39と、振動発生装置39の駆動状態を制御するコントローラ32とを有し、コントローラ32は、互いに異なる周波数の振動を少なくとも2つ含む振動パターンに基づいて振動発生装置39を駆動し、前記少なくとも2つの振動の周波数と各周波数での振動の継続時間とをそれぞれ任意に設定可能に構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品が収納された中空長尺状の容器を振動させて、部品を所定の位置に送り出すように構成された電子部品供給装置および該電子部品供給装置を用いた表面実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品をプリント基板上の所定の位置に実装する表面実装機が知られている。表面実装機には、電子部品を所定の部品供給位置に順次供給する部品供給装置が備えられる。
【0003】
部品供給装置には、種々のタイプがあるが、その一種として、中空長尺状のスティック内に収容された電子部品を、振動により、順次部品供給位置に移動させるマルチスティックフィーダが知られている。
【0004】
従来のマルチスティックフィーダは、主に、複数のスティックが載置される容器保持部と、振動の発生源である振動発生装置と、容器保持部に間隔を空けて固定され、振動発生装置により発生させた振動を受けて容器保持部を振動させる一対の振動板と、振動板の外側に突出した振動発生装置の両端部を支持する振動防止板等の各種支持部材とによって構成されている。
【0005】
このようなマルチスティックフィーダでは、容器保持部上に、複数のスティックが、先端側が後端側より低くなるような傾斜した姿勢で載置される。そして、振動発生装置によって発生させた所定の振動が容器保持部およびスティック内の電子部品へと伝わると、スティック内の電子部品が、スティックの長手方向に移動する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許登録第3994557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の技術では、マルチスティックフィーダで電子部品を供給する場合に、振動させるか、あるいは、振動させないかという二つに一つを選択するON/OFF制御を採用して振動発生装置を駆動していた。
【0008】
このようなON/OFF制御では、作用する振動が単調になるため、電子部品を動き出させるべき時に、静止摩擦力が作用して電子部品が動き出さずに留まっているといった事態や、また、電子部品を停止させるべき時に、慣性力が作用して電子部品が部品吸着位置からずれた位置まで移動してしまうといった事態が発生していた。そのため、電子部品を部品吸着ポイントに正確に位置させることができず、部品の供給動作が安定しない、という問題がある。
【0009】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、部品の供給動作を安定させることができる電子部品供給装置および該電子部品供給装置を用いた表面実装機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電子部品供給装置は、実装機本体に装着され、部品が収納された中空長尺状の容器を振動させて、部品を所定の位置に送り出すようにした電子部品供給装置であって、前記容器を保持する容器保持部と、該容器保持部を振動させる振動の発生源となる振動発生装置と、該振動発生装置の駆動状態を制御するコントローラとを有し、該コントローラは、互いに異なる周波数の振動を少なくとも2つ含む振動パターンに基づいて前記振動発生装置を駆動し、前記少なくとも2つの振動の周波数と各周波数での振動の継続時間とをそれぞれ任意に設定可能に構成されていることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、コントローラが、互いに異なる周波数の振動を少なくとも2つ含む振動パターンに基づいて前記振動発生装置を駆動し、前記少なくとも2つの振動の周波数と各周波数での振動の継続時間とをそれぞれ任意に設定可能に構成されている。つまり、振動発生装置の振動状態は所望に応じて調整され、部品を移動させるために部品に作用させる力を状況に応じてより適正にコントロールできるようになる。したがって、部品の供給動作を安定させることができる。
【0012】
また、コントローラが、比較的大きな周波数の振動により部品を始動させる起動区間と、該起動区間のときよりも小さい所定の周波数の振動により部品を移動させる移動区間と、周波数が時間の経過とともに0に向かって減衰するような振動により部品を所定の位置で停止させる停止区間とを含む振動パターンに基づいて前記振動発生装置を駆動するように構成されていることが好ましい。
【0013】
この発明によれば、振動パターンが、比較的大きな周波数の振動により部品を始動させる起動区間と、起動区間のときよりも小さい一定周波数の振動により部品を移動させる移動区間と、周波数が時間の経過とともに0に向かって減衰するような振動により部品を所定の位置で停止させる停止区間とを含み、この振動パターンに基づいて振動発生装置が駆動するように構成されている。つまり、部品の移動開始時、部品の移動時および停止時で、容器に対して異なる振動を作用させることが可能となり、部品の移動を開始すべき時に部品が動き出さなかったり、部品を停止させるべき時に所定の位置で停止しなかったりすることを極力防いで、それぞれの段階に応じた適切な振動が与えられ、スムーズに部品が送り出される。
【0014】
また、前記コントローラが、複数種類の振動パターンから、供給される部品の種類に対応した振動パターンを選択して、選択した振動パターンに基づいて前記振動発生装置を駆動するように構成されていることが好ましい。
【0015】
この発明によれば、複数種類の振動パターンから、部品の種類に対応した振動パターンが選択されるので、供給動作を部品の違いに応じて微妙に調整することができ、部品の形態や重さに応じて異なる供給動作を実現することができる。
【0016】
また、前記容器保持部には、複数の容器が保持され、前記コントローラは、前記複数の容器から供給される複数種類の部品のうち、最も送り出し難い部品に対応した振動パターンを選択するように構成されていることが好ましい。
【0017】
この発明によれば、振動パターンの選択時に、最も送り出し難い部品に対応した振動パターンが選択されるので、複数種類の部品を供給する場合であっても、最も送り出し難い部品が所定の位置に未到達になるような事態を防ぐことができる。したがって、部品の種類に関わらず確実に部品を所定の位置に送り出すことができる。
【0018】
本発明の表面実装機は、基台上に搬入された基板の所定の位置に、電子部品供給装置から供給された部品を搬送して実装する表面実装機であって、前記電子部品供給装置として、上記のいずれかに記載の電子部品供給装置を用いていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、部品の供給動作を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】表面実装機を概略的に説明する平面図である。
【図2】電子部品供給装置を説明するための側面図である。
【図3】電子部品供給装置の部分拡大図である。
【図4】電子部品供給装置の一部の背面図である。
【図5】電子部品供給装置の振動発生装置を説明するための概念図である。
【図6】実装機本体側に設けられた本体側コントローラと電子部品供給装置側に設けられたコントローラとを説明するための概念図である。
【図7】振動発生装置のモータ回転数と時間との関係を説明するグラフである。
【図8】振動発生装置を駆動させた際の振幅と時間との関係を説明するためのグラフであり、(a)は前後方向の振幅を示し、(b)は上下方向の振幅を示す。
【図9】振動発生装置を駆動させる際のフローチャートである。
【図10】振動発生装置のモータ回転数と時間との関係を説明するグラフであり、移動区間を調整した振動パターンである。
【図11】振動発生装置のモータ回転数と時間との関係を説明するグラフであり、定常値および最大値を増減させて調整した振動パターンである。
【図12】振動発生装置のモータ回転数と時間との関係を説明するグラフであり、移動区間、定常値および最大値を調整した振動パターンである。
【図13】振動パターンの他の形態を説明するためのグラフであり、(a)は移動区間においてモータ回転数の増加および減少を繰り返す振動パターンを示し、(b)は移動区間においてモータ回転数が時間の経過とともに増加する振動パターンを示し、(c)は移動区間においてモータ回転数が時間の経過とともに減少する振動パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下で、本実施の形態の電子部品供給装置について、図面を用いて詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1のマルチスティックフィーダ(電子部品供給装置)3が装着された表面実装機を概略的に説明するための平面図である。
【0022】
表面実装機は、基台10上で水平方向に移動可能に設けられたヘッドユニット14が、部品供給部Supから供給された電子部品ECを吸着・搬送し、基台10上の所定の位置に搬入されたプリント基板(基板)Pの所定の位置に装着するように構成されている。
【0023】
具体的には、実施の形態1の表面実装機は、図1に示されるように、基台10と、基台10上の所定の位置にプリント基板Pを搬送する一対のコンベア11と、プリント基板Pに実装される電子部品ECを順次供給する部品供給部Supと、部品供給部Supで供給された電子部品ECを部品供給部Supからプリント基板Pまで搬送する部品搬送手段(後に詳述する)と、電子部品ECを吸着するための交換用の複数のノズルを保管するノズルステーション16と、部品搬送手段によって保持された電子部品ECの姿勢を下方からカメラで認識する部品撮像手段15と、これらを統括的に制御する本体側コントローラ5(図6参照)とを備えている。
【0024】
プリント基板Pは、一対のコンベア11を跨ぐように載置される。そして、一対のコンベア11の作動により、プリント基板Pは基台10上の所定の位置まで搬送される。以下では、プリント基板Pの搬送方向をX方向、X方向に直交する方向であって水平な方向をY方向、X方向とY方向によって形成されるX−Y平面に直交する方向をZ方向として説明する。
【0025】
部品供給部Supは、一対のコンベア11の外側に配置されている。部品供給部Supは、テープフィーダ2と、マルチスティックフィーダ3とを含む。この部品供給部Supについては、後に詳しく説明する。
【0026】
部品搬送手段は、基台10上に固定されたY方向移動手段12と、Y方向移動手段12によってY方向に移動可能に支持されたX方向移動手段13と、X方向移動手段13によってX方向に移動可能に支持されたヘッドユニット14とを備えている。
【0027】
上記ヘッドユニット14は、基台10上をXY方向に自在に移動可能に構成されている。すなわち、Y方向移動手段12のサーボモータ12aが駆動すると、サーボモータ12aの駆動力を受けてY方向移動手段12のボールねじ軸12bが回転を始める。X方向移動手段13は、ボールねじ軸12bにボールナット12cを介して取り付けられており、ボールナット12cのボールねじ軸12bの長手方向への移動と共に固定レール12dに沿ってY方向へ移動する。また、X方向移動手段13のサーボモータ13aが駆動すると、サーボモータ13aの駆動力を受けてX方向移動手段13のボールねじ軸13bが回転を始める。ヘッドユニット14は、ボールねじ軸13bにボールナット(図示しない)を介して取り付けられており、ボールナットのボールねじ軸13bの長手方向への移動と共にX方向へ移動する。
【0028】
また、ヘッドユニット14は、電子部品ECを吸着し、Z方向に昇降させる複数の吸着ヘッド14aを備えている。本実施の形態では、ヘッドユニット14に6本の吸着ヘッド14aがX方向に平行な列をなすように並べて配置されている。各吸着ヘッド14aは、図示しない昇降機構によって、ヘッドユニット14に対してZ方向に昇降するように構成され、また、各吸着ヘッド14aは、図示しない回転機構によって、ヘッドユニット14に対して自軸回りに回転するように構成されている。また、各吸着ヘッド14aには、先端に電子部品吸着用のノズルが装着されている。
【0029】
表面実装機では、上述の部品搬送手段によって、電子部品ECを部品供給部Supからプリント基板Pへ搬送・実装する作業が繰り返し行われる。そして、プリント基板Pへの実装作業が終わると、プリント基板Pはコンベア11によって基台10上から搬出される。
【0030】
また、表面実装機の基台10には、本体側コントローラ5(図6参照)が設けられている。本体側コントローラ5は、表面実装機を統括的に制御する主制御部51と、各種プログラム、実装順序、部品情報、後に詳述する複数の振動パターンなどを記憶する記憶部52と、サーボモータ12a、13aの駆動を制御するモータ制御部53と、各種カメラで撮像した画像を処理する画像処理部54と、表面実装機の各部との情報のやり取りを担う通信制御部55と、実装機本体側と各種入出力装置との間の制御を行うI/O制御部56とを含む。
【0031】
ここで、部品供給部Supについて説明する。部品供給部Supには、長手方向に沿って電子部品が収納されたテープを巻き取りながら、IC、トランジスタ、コンデンサなどの比較的小さな電子部品ECを順次部品供給位置に供給する複数のテープフィーダ2と、中空長尺状のスティック(容器)4内に収容された電子部品ECを、振動により、順次部品供給位置に移動させるマルチスティックフィーダ3とが備えられている。そして、マルチスティックフィーダ3およびテープフィーダ2は、部品供給部Sup全体として、各種フィーダの部品供給位置がX方向の一直線上に並ぶように、基台10に対して取り付けられている。
【0032】
各テープフィーダ2は、長手方向に沿って多数の電子部品ECを収容したテープと、テープが巻き付けられたリールと、リールを回転させることでテープを間欠的に送り出す送り出し機構とを備えている。各テープフィーダ2は、基台10に備えられたフィーダベースに対して組み付けられる。
【0033】
図2は、マルチスティックフィーダ3を説明するための側面図である。図3は、マルチスティックフィーダ3の部分拡大図である。図4は、マルチスティックフィーダ3の一部の背面図である。
【0034】
マルチスティックフィーダ3は、図2に示されるように、複数のスティック(容器)4を保持する容器保持部37と、容器保持部37を振動させる振動の発生源となる振動発生装置39と、容器保持部37の下面の4箇所にそれぞれ上端部が固定された4枚の振動板36と、振動板36の下端部を支持する振動板支持用部材35と、振動板支持用部材35に、防振部材34を介して連結される基部材33と、基部材33に固定され、表面実装機本体に装着される装着部材31と、装着部材31に固定され、振動発生装置39の駆動を制御するコントローラ32とを備えている。
【0035】
容器保持部37は、トレイ状の底板37aと、底板37aの上方へ突出するとともに、後方へ延びるように設けられた側板37bとを含む。
【0036】
底板37aの上面には、電子部品ECが収容された中空長尺状(横断面は長方形状)の複数のスティック4が、スティック4の長手方向をY方向に平行な状態にして載置される。各スティック4には、互いに異なる種類の電子部品ECが収容されている。そのため、スティック4の幅は、内部に収容される電子部品ECの種類(重さ、移動方向の長さなど)に応じて異なっている。各スティック4は、側板37bによって、後方側が所定の高さに支持され、先端側が後端側より低くなるように傾斜した姿勢で容器保持部37上に配置される。
【0037】
このほか、容器保持部37の前方側端部であって、底板37aの上部には、各スティック4の先端を押え付けるための押え付け機構、スティック4から供給された電子部品ECの通路となる送路、電子部品ECを送路上の所定の位置(すなわち、部品供給位置)に停止させるためのストッパ30などが設けられている。
【0038】
図5は、マルチスティックフィーダ3の振動発生装置39を説明するための概念図であり、図2のV−V線断面図である。本実施の形態の振動発生装置39は、振動の周波数と、各周波数での振動の継続時間とを任意に設定可能に構成されている。
【0039】
振動発生装置39は、図5に示されるように、モータ39aと、モータ39aの回転運動を電子部品ECの供給方向の往復運動に変換する偏芯軸39bを備えたクランク機構と、偏芯軸39bに一端部が回転自在に連結され、他端部が容器保持部37の底板37aの下面に回動自在に連結されるコンロッド(連結部材)39cと、モータ39aおよびクランク機構を振動板支持用部材35に吊り下げるようにして所定の高さに支持する吊設板39dとを含む。
【0040】
モータ39aは、その回転軸の軸線がX方向(スティック4の長手方向に直交する方向)に平行になるように設けられている。モータ39aの回転軸には第1ギヤ39a1が固定されている。クランク機構の偏芯軸39bには、一方の端部に第2ギヤ39a2が備えられている。第1ギヤ39a1は、第2ギヤ39a2と噛み合い、モータ39aの回転運動に連動させて、偏芯軸39bを回転させる。偏芯軸39bは、コンロッド39cに対する動力伝達部分の中心軸Tが第2ギヤ39a2の回転中心軸Axからδ(たとえば、0.1〜0.3mm程度)ずれるように設定されている。そして、偏芯軸39bに一端部が回転自在に連結されたコンロッド39cは、偏芯軸39bの回転運動を受けて、Y方向およびZ方向に微細に往復運動し、この運動を容器保持部37に伝達する。このように、コンロッド39cが、容器保持部37の底板37aに連結されているので、振動発生装置39により発生させた所定の振動を容器保持部37に直接伝達することができる。また、モータ39aの回転数を適宜調整することで、所望の振動を発生させることができる。
【0041】
吊設板39dは、その両側部を振動板支持用部材35(後述の平板部35a)の上面に載せた状態で固定される。
【0042】
振動板36は、容器保持部37の底板37aの前方側(コンベア11に近い側)に固定された前側振動板36aと、底板37aの後方側(コンベア11から遠い側)に固定された後側振動板36bとを一組とする2対の板材からなる。具体的には、容器保持部37には、4枚の振動板36の上端部が、それぞれ、取付金具を介して固定される。そして、前側振動板36aおよび後側振動板36bは、容器保持部37の底板37aに対して、側面視(図2および図3に示す状態)で所定の角度傾いた状態で、所定の間隔を空けて固定されている。
【0043】
振動板36は、容器保持部37を介して振動発生装置39の振動が伝達されると、容器保持部37の振動を増幅させるように振動する。このように振動発生装置39および振動板36の振動を受けて、容器保持部37は、スティック4内に収容された電子部品ECを所定の速度で部品供給位置に移動させるように振動する。
【0044】
振動板支持用部材35は、Y方向に延び、容器保持部37の底板37aとほぼ平行な姿勢で設けられる平板部35aと、平板部35aの前端(コンベア11に近い側の端)に、下方へ突出するように設けられ、側面視で略L字状を呈した前方支持部35bと、平板部35aの後端(コンベア11から遠い側の端)に、下方へ突出するように設けられ、側面視で略L字状を呈した後方支持部35cとを含む。前方支持部35bには、前側振動板36aの下端部が固定され、後方支持部35cには、後側振動板36bの下端部が固定されている。このように、平板部35aから下方に突出した前方支持部35bおよび後方支持部35cで各振動板36a、36bを固定することによって、各振動板36a、36bの上端部の固定位置と下端部の固定位置との間が所定の距離だけ確保されている。また、平板部35aには、開口35a1が所定の位置に形成されている(図3および図4参照)。上述の吊設板39dは、この開口35a1を跨ぐように設けられ、コンロッド39c、クランク機構およびモータ39aは、この開口35a1に挿通された状態で配置されている。したがって、振動板支持用部材35が設けられていても、振動発生装置39は、振動板支持用部材35に形成された開口35a1内に配置されるので、設置位置について制約を受け難い。
【0045】
防振部材34は、振動発生装置39によって発生した振動が、基部材33に伝達され、さらには、装着部材31を経て表面実装機本体に伝達するのを防止するための部材である。したがって、防振部材34は、振動板支持用部材35と基部材33との間を隔てるように設けられる。防振部材34は、ブロック状の防振ゴムと、この防振ゴムを上下両端側から挟み込む一対の取付部材とにより構成される。本実施の形態では、防振部材34を振動板支持用部材35の下面の4隅に、1つずつ配備している。このように、弾性を有する部材を介して、振動板支持用部材35と基部材33とが連結されることで、振動エネルギーは、基部材33に伝達される手前で吸収される。
【0046】
基部材33は、振動板支持用部材35の下方に、平面視で振動板支持用部材35と重なるように略水平に配置された板状の部材である。基部材33は、防振部材34に対して着脱自在に設けられるとともに、装着部材31に対してネジなどにより固定されている。言い換えれば、基部材33は、4個の防振部材34によって支持される振動板支持用部材35を支持する部材でもある。
【0047】
また、基部材33には、所定の位置に、所定の大きさの開口33aが形成されている。振動発生装置39は、この開口33a内に配備される。したがって、振動発生装置39と基部材33とをほぼ同じ高さに配置しながら、基部材33と振動発生装置39との干渉を回避することができる。つまり、基部材33に対して、振動発生装置39の位置を高さ方向にずらす必要がないので、マルチスティックフィーダ3を垂直方向にコンパクトにすることができる。
【0048】
装着部材31は、マルチスティックフィーダ3を実装機本体に装着するためのY方向に延びる部材である。装着部材31は、Y方向前方側に突出して設けられ、フィーダベースの所定の位置に差し込むことで、装着部材31を位置決めする位置決めピン31aと、フィーダベースの所定の部位を挟み込んで、装着部材31をフィーダベースに対して取り付けるクランプ31bとを所定の位置に備えている。装着部材31は、基部材33の下面を支持するとともに、装着部材31には振動発生装置39の駆動を制御するためのコントローラ32が、下方へ突出するように固定されている。
【0049】
このように、本実施の形態では、側面視で、前側振動板36aと後側振動板36bとの間に、各種支持部材(基部材33、防振部材34、振動板支持用部材35)および振動発生装置39が配備されている。これにより、容器保持部37の支持位置(つまり、前側振動板36aおよび後側振動板36bの固定位置)をY方向に離間し、容器保持部37の支持状態を安定させて、容器保持部37の揺動を抑制する。さらに、各種支持部材および振動発生装置39が、水平方向に広がらないように前側振動板36aと後側振動板36bとの間に収められている。これによって、マルチスティックフィーダ3は全体としてコンパクトな構成を実現している。
【0050】
コントローラ32は、図6に示されるように、主制御部32Aと、各種プログラム、振動発生装置39のモータ39aの駆動状態を制御するための振動パターンを記憶する記憶部32Bと、モータ39aを駆動するモータ駆動部32Cと、モータ駆動部32Cに流れる電流を検出する電流検出部32Dと、マルチスティックフィーダ3側のコントローラ32と実装機本体側の本体側コントローラ5との間で情報のやり取りを担う通信制御部32Fとを含む。振動発生装置39は、互いに異なる周波数の振動を少なくとも2つ含む振動パターンに基づいてコントローラ32によって制御される。
【0051】
たとえば、コントローラ32は、電子部品ECが部品供給位置まで移動したのち、振動発生装置39の駆動を停止させる。具体的には、コントローラ32内のタイマに設定された所定の時間(電子部品ECが部品供給位置まで移動するのに要する時間)が経過したタイミングで、振動発生装置39の振動を停止させる。
【0052】
ここで、本実施の形態において、容器保持部37に作用させる振動の時間的な変化(以下、振動パターンという)について説明する。図7は、起動区間A、移動区間Bおよび停止区間Cを、モータ回転数と時間との関係で説明するグラフである。図8は、振動発生装置を駆動させた際の容器保持部37における電子部品ECの走行部の振幅と時間との関係を説明するためのグラフであり、(a)は前後方向(Y方向)の振幅を示し、(b)は上下方向の振幅を示す。
【0053】
具体的には、図7に示されるように、比較的大きな周波数の振動により部品を始動させる起動区間Aと、この起動区間Aのときよりも小さい一定周波数の振動により部品を所定の速度で移動させる移動区間Bと、周波数が時間の経過とともに減少するような振動により部品を所定の位置で停止させる停止区間Cとを含む。
【0054】
具体的には、起動区間Aは、振動発生装置39の駆動開始時から所定の時間(図7中の第1切り替えポイントT1まで)作用させる振動であり、電子部品ECに対して最大静止摩擦力を超えるような力を作用させるために、モータ39aの回転数を大きく増加させて、振動周波数を増大し、容器保持部37に対して大きな加速度を作用させている。これによって、振動発生装置39の駆動開始時における電子部品ECの出遅れを回避し、電子部品ECが適切なタイミングでスムーズに動き出す。
【0055】
また、移動区間Bは、起動区間Aの後、起動区間Aに引き続いて所定の時間(図7中の第1切り替えポイントT1から第2切り替えポイントT2まで)作用させる振動であり、モータ39aの回転数を一定に保ち、振動周波数を一定に維持し、容器保持部37に対して一定の加速度を作用させている。これによって、スティック4から供給される電子部品ECの移動速度を所定の速度に保つ。
【0056】
また、停止区間Cは、移動区間Bの後、移動区間Bに引き続いて所定の時間(図7中の第2切り替えポイントT2から停止ポイントT3まで)作用させる振動であり、モータ39aの回転数を時間の経過とともに減少させて、振動周波数を減少させ、容器保持部37に対して作用する加速度を徐々に小さくなるように変化させ、電子部品ECを停止した状態に至らしめている。これによって、モータ39aの回転を完全に停止させた際に、慣性力で電子部品ECがストッパ30に大きな速度で衝突して跳ね返り、部品吸着位置からずれてしまうのを防ぐ。
【0057】
このように、モータ39aの回転数を増減させて振動の周波数を変化させることで、容器保持部37は、図8(a)および図8(b)に示されるように、上下方向および前後方向(Y方向)に振動する。すなわち、容器保持部37の振幅の大きさは、周波数の変化に対応して変化し、起動区間Aでは、振幅が増幅して他の2区間B、Cより大きな振幅で振動し、移動区間Bでは、起動区間Aより小さく一定の振幅で振動し、停止区間Cでは、時間の経過に伴って振幅が減衰する。
【0058】
そして、振動パターンの各区間A、B、Cの長さ(振動継続時間)や、周波数などは、供給される電子部品ECの種類(重さ、移動方向の長さなど)に基づいて決定される。そして、これらの振動パターンは、電子部品ECの種類と対応づけられて、実装機本体側の本体側コントローラ5の記憶部52に記憶されている。
【0059】
この電子部品供給装置の動作について以下で詳しく説明する。
【0060】
図9は、振動発生装置39を駆動させる際のフローチャートである。
【0061】
振動発生装置39を駆動させる際には、図9に示されるように、実装機本体側の本体側コントローラ5およびマルチスティックフィーダ3側のコントローラ32は、それぞれに設けられた通信制御部55、32Fを介して情報をやり取りしながら、振動発生装置39の駆動を制御する。
【0062】
具体的には、まず、実装機本体側の本体側コントローラ5では、主制御部51が記憶部52に保存された実装プログラム内の部品情報から振動パターン(周波数、振動継続時間等)を選択的に取得する(ステップS1)。記憶部52には、図10〜図12に示されるような、モータ39aの回転数や振動継続時間が異なる振動パターンが複数種類保存されている。そして、本体側コントローラ5の主制御部51は、複数種類の振動パターンから、電子部品ECの種類に対応した振動パターンを選択する。したがって、供給動作を、電子部品ECの違いに応じて微妙に調整することができ、電子部品ECの形態や重さに応じて異なる供給動作を実現することができる。
【0063】
ここで、図10〜図12中の第2切り替えポイントT2、モータ回転数の定常値N1およびモータ回転数の最大値N2について説明する。図10中の第2切り替えポイントT2a、T2b、T2cは、T2a<T2b<T2cの関係にあり、図10中の停止ポイントT3a、T3b、T3cは、T3a<T3b<T3cの関係にある。また、図11中のモータ回転数の定常値N1a、N1b、N1cは、N1a<N1b<N1cの関係にあり、図11注のモータ回転数の最大値N2a、N2b、N2cは、N2a<N2b<N2cの関係にある。また、図12中の第2切り替えポイントT2a、T2b、T2cは、T2a<T2b<T2cの関係にあり、停止ポイントT3a、T3b、T3cは、T3a<T3b<T3cの関係にあり、図12中のモータ回転数の定常値N1a、N1b、N1cは、N1a<N1b<N1cの関係にあり、図12中のモータ回転数の最大値N2a、N2b、N2cは、N2a<N2b<N2cの関係にある。
【0064】
主制御部51は、マルチスティックフィーダ3から供給される複数種類の電子部品ECのうち、最も送り出し難い電子部品ECに対応する振動パターンを取得する。ここで、最も送り出し難い電子部品ECとは、たとえば、最も重い、あるいは、部品の移動方向の長さが最も長い電子部品ECである。振動パターンの選択時に、最も送り出し難い電子部品ECに対応した振動パターン(たとえば、図11の符号S1や図12の符号S2で示されるモータ回転数(つまり、振動数)が他より大きな振動パターン)が選択されると、複数種類の電子部品ECを供給する場合であっても、最も送り出し難い部品が所定の位置に未到達になるような事態を防ぐことができる。したがって、複数種類の電子部品ECが容器保持部37の底板37a上に供給される場合であっても、電子部品ECの種類に関わらず確実に電子部品ECを所定の位置に送り出すことができる。
【0065】
つぎに、主制御部51は、通信制御部32Fを介して実装機本体側からマルチスティックフィーダ3側へ駆動命令および振動パターンを送信する(ステップS2)。
【0066】
そして、マルチスティックフィーダ3側のコントローラ32では、通信制御部32Fを介して実装機本体側から送信された駆動命令および振動パターンを主制御部32Aが受信して取得する(ステップS3)。そして、主制御部32Aは、取得した駆動パターンを記憶部32Bに記憶させる。
【0067】
つぎに、主制御部32Aは、ステップS3で取得した振動パターンにて振動発生装置39を駆動する(ステップS4)。具体的には、周波数を増加させる起動区間A、所定の周波数を維持する移動区間B、周波数を減少させる停止区間Cを経て、振動発生装置39の駆動を完了する(ステップS5)。
【0068】
振動発生装置39の駆動が完了すると、マルチスティックフィーダ3側のコントローラ32では、主制御部32Aが通信制御部32Fを介して駆動完了を通知する信号を実装機本体側の本体側コントローラ5に送信する(ステップS6)。
【0069】
つぎに、実装機本体側の本体側コントローラ5では、主制御部51が通信制御部55を介してステップS6でマルチスティックフィーダ3側のコントローラ32から送信された駆動完了を通知する信号を受信して、振動発生装置39の駆動処理を終了する(ステップS7)。
【0070】
以上の実施の形態によれば、コントローラ32が、互いに異なる周波数の振動を少なくとも2つ含む振動パターンに基づいて振動発生装置39を駆動し、振動の周波数と各周波数での振動の継続時間とをそれぞれ任意に設定可能に構成されている。つまり、振動発生装置39の振動状態は所望に応じて調整され、電子部品ECを移動させるために電子部品ECに作用させる力をより正確にコントロールできるようになる。したがって、電子部品ECの供給動作を安定させることができる。
【0071】
さらに、振動パターンが、比較的大きな周波数の振動により部品を始動させる起動区間Aと、この起動区間Aのときよりも小さい所定の周波数の振動により部品を移動させる移動区間Bと、周波数が時間の経過とともに0に向かって減衰するような振動により部品を所定の位置で停止させる停止区間Cとを含み、この振動パターンに基づいて振動発生装置39のモータ39aが駆動するように構成されている。つまり、電子部品ECの移動開始時、電子部品ECの移動時および停止時で、スティック4に対して異なる振動を付与することが可能となり、電子部品ECの移動を開始させるべき時に電子部品ECが動き出さなかったり、電子部品ECを停止させるべき時に電子部品ECが所定の位置で停止しなかったりすることを極力防いで、それぞれの段階に応じた適切な振動が与えられ、スムーズに電子部品ECが送り出される。
【0072】
なお、上記実施の形態では、振動パターンが実装機本体側の本体側コントローラ5の記憶部52に記憶されている形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、振動パターンがマルチスティックフィーダ3のコントローラ32の記憶部32Bに記憶されている形態であってもよい。
【0073】
また、上記実施の形態では、モータ回転数が移動区間Bにおいて、一定である振動パターンについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図13は、振動パターンの他の形態を説明するためのグラフである。たとえば、図13(a)に示されるように、移動区間Bにおいてモータ回転数(振動数)の増加および減少を繰り返す振動パターンであってもよいし、図3(b)に示されるように、移動区間Bにおいてモータ回転数(振動数)が時間の経過とともに増加する振動パターンであってもよいし、図3(c)に示されるように、移動区間Bにおいてモータ回転数(振動数)が時間の経過とともに減少する振動パターンであってもよい。
【符号の説明】
【0074】
10 基台
3 マルチスティックフィーダ(電子部品供給装置)
32 コントローラ
37 容器保持部
39 振動発生装置
4 スティック(容器)
EC 電子部品(部品)
A 起動区間
B 移動区間
C 停止区間
P プリント基板(基板)
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品が収納された中空長尺状の容器を振動させて、部品を所定の位置に送り出すように構成された電子部品供給装置および該電子部品供給装置を用いた表面実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品をプリント基板上の所定の位置に実装する表面実装機が知られている。表面実装機には、電子部品を所定の部品供給位置に順次供給する部品供給装置が備えられる。
【0003】
部品供給装置には、種々のタイプがあるが、その一種として、中空長尺状のスティック内に収容された電子部品を、振動により、順次部品供給位置に移動させるマルチスティックフィーダが知られている。
【0004】
従来のマルチスティックフィーダは、主に、複数のスティックが載置される容器保持部と、振動の発生源である振動発生装置と、容器保持部に間隔を空けて固定され、振動発生装置により発生させた振動を受けて容器保持部を振動させる一対の振動板と、振動板の外側に突出した振動発生装置の両端部を支持する振動防止板等の各種支持部材とによって構成されている。
【0005】
このようなマルチスティックフィーダでは、容器保持部上に、複数のスティックが、先端側が後端側より低くなるような傾斜した姿勢で載置される。そして、振動発生装置によって発生させた所定の振動が容器保持部およびスティック内の電子部品へと伝わると、スティック内の電子部品が、スティックの長手方向に移動する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許登録第3994557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の技術では、マルチスティックフィーダで電子部品を供給する場合に、振動させるか、あるいは、振動させないかという二つに一つを選択するON/OFF制御を採用して振動発生装置を駆動していた。
【0008】
このようなON/OFF制御では、作用する振動が単調になるため、電子部品を動き出させるべき時に、静止摩擦力が作用して電子部品が動き出さずに留まっているといった事態や、また、電子部品を停止させるべき時に、慣性力が作用して電子部品が部品吸着位置からずれた位置まで移動してしまうといった事態が発生していた。そのため、電子部品を部品吸着ポイントに正確に位置させることができず、部品の供給動作が安定しない、という問題がある。
【0009】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、部品の供給動作を安定させることができる電子部品供給装置および該電子部品供給装置を用いた表面実装機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電子部品供給装置は、実装機本体に装着され、部品が収納された中空長尺状の容器を振動させて、部品を所定の位置に送り出すようにした電子部品供給装置であって、前記容器を保持する容器保持部と、該容器保持部を振動させる振動の発生源となる振動発生装置と、該振動発生装置の駆動状態を制御するコントローラとを有し、該コントローラは、互いに異なる周波数の振動を少なくとも2つ含む振動パターンに基づいて前記振動発生装置を駆動し、前記少なくとも2つの振動の周波数と各周波数での振動の継続時間とをそれぞれ任意に設定可能に構成されていることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、コントローラが、互いに異なる周波数の振動を少なくとも2つ含む振動パターンに基づいて前記振動発生装置を駆動し、前記少なくとも2つの振動の周波数と各周波数での振動の継続時間とをそれぞれ任意に設定可能に構成されている。つまり、振動発生装置の振動状態は所望に応じて調整され、部品を移動させるために部品に作用させる力を状況に応じてより適正にコントロールできるようになる。したがって、部品の供給動作を安定させることができる。
【0012】
また、コントローラが、比較的大きな周波数の振動により部品を始動させる起動区間と、該起動区間のときよりも小さい所定の周波数の振動により部品を移動させる移動区間と、周波数が時間の経過とともに0に向かって減衰するような振動により部品を所定の位置で停止させる停止区間とを含む振動パターンに基づいて前記振動発生装置を駆動するように構成されていることが好ましい。
【0013】
この発明によれば、振動パターンが、比較的大きな周波数の振動により部品を始動させる起動区間と、起動区間のときよりも小さい一定周波数の振動により部品を移動させる移動区間と、周波数が時間の経過とともに0に向かって減衰するような振動により部品を所定の位置で停止させる停止区間とを含み、この振動パターンに基づいて振動発生装置が駆動するように構成されている。つまり、部品の移動開始時、部品の移動時および停止時で、容器に対して異なる振動を作用させることが可能となり、部品の移動を開始すべき時に部品が動き出さなかったり、部品を停止させるべき時に所定の位置で停止しなかったりすることを極力防いで、それぞれの段階に応じた適切な振動が与えられ、スムーズに部品が送り出される。
【0014】
また、前記コントローラが、複数種類の振動パターンから、供給される部品の種類に対応した振動パターンを選択して、選択した振動パターンに基づいて前記振動発生装置を駆動するように構成されていることが好ましい。
【0015】
この発明によれば、複数種類の振動パターンから、部品の種類に対応した振動パターンが選択されるので、供給動作を部品の違いに応じて微妙に調整することができ、部品の形態や重さに応じて異なる供給動作を実現することができる。
【0016】
また、前記容器保持部には、複数の容器が保持され、前記コントローラは、前記複数の容器から供給される複数種類の部品のうち、最も送り出し難い部品に対応した振動パターンを選択するように構成されていることが好ましい。
【0017】
この発明によれば、振動パターンの選択時に、最も送り出し難い部品に対応した振動パターンが選択されるので、複数種類の部品を供給する場合であっても、最も送り出し難い部品が所定の位置に未到達になるような事態を防ぐことができる。したがって、部品の種類に関わらず確実に部品を所定の位置に送り出すことができる。
【0018】
本発明の表面実装機は、基台上に搬入された基板の所定の位置に、電子部品供給装置から供給された部品を搬送して実装する表面実装機であって、前記電子部品供給装置として、上記のいずれかに記載の電子部品供給装置を用いていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、部品の供給動作を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】表面実装機を概略的に説明する平面図である。
【図2】電子部品供給装置を説明するための側面図である。
【図3】電子部品供給装置の部分拡大図である。
【図4】電子部品供給装置の一部の背面図である。
【図5】電子部品供給装置の振動発生装置を説明するための概念図である。
【図6】実装機本体側に設けられた本体側コントローラと電子部品供給装置側に設けられたコントローラとを説明するための概念図である。
【図7】振動発生装置のモータ回転数と時間との関係を説明するグラフである。
【図8】振動発生装置を駆動させた際の振幅と時間との関係を説明するためのグラフであり、(a)は前後方向の振幅を示し、(b)は上下方向の振幅を示す。
【図9】振動発生装置を駆動させる際のフローチャートである。
【図10】振動発生装置のモータ回転数と時間との関係を説明するグラフであり、移動区間を調整した振動パターンである。
【図11】振動発生装置のモータ回転数と時間との関係を説明するグラフであり、定常値および最大値を増減させて調整した振動パターンである。
【図12】振動発生装置のモータ回転数と時間との関係を説明するグラフであり、移動区間、定常値および最大値を調整した振動パターンである。
【図13】振動パターンの他の形態を説明するためのグラフであり、(a)は移動区間においてモータ回転数の増加および減少を繰り返す振動パターンを示し、(b)は移動区間においてモータ回転数が時間の経過とともに増加する振動パターンを示し、(c)は移動区間においてモータ回転数が時間の経過とともに減少する振動パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下で、本実施の形態の電子部品供給装置について、図面を用いて詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1のマルチスティックフィーダ(電子部品供給装置)3が装着された表面実装機を概略的に説明するための平面図である。
【0022】
表面実装機は、基台10上で水平方向に移動可能に設けられたヘッドユニット14が、部品供給部Supから供給された電子部品ECを吸着・搬送し、基台10上の所定の位置に搬入されたプリント基板(基板)Pの所定の位置に装着するように構成されている。
【0023】
具体的には、実施の形態1の表面実装機は、図1に示されるように、基台10と、基台10上の所定の位置にプリント基板Pを搬送する一対のコンベア11と、プリント基板Pに実装される電子部品ECを順次供給する部品供給部Supと、部品供給部Supで供給された電子部品ECを部品供給部Supからプリント基板Pまで搬送する部品搬送手段(後に詳述する)と、電子部品ECを吸着するための交換用の複数のノズルを保管するノズルステーション16と、部品搬送手段によって保持された電子部品ECの姿勢を下方からカメラで認識する部品撮像手段15と、これらを統括的に制御する本体側コントローラ5(図6参照)とを備えている。
【0024】
プリント基板Pは、一対のコンベア11を跨ぐように載置される。そして、一対のコンベア11の作動により、プリント基板Pは基台10上の所定の位置まで搬送される。以下では、プリント基板Pの搬送方向をX方向、X方向に直交する方向であって水平な方向をY方向、X方向とY方向によって形成されるX−Y平面に直交する方向をZ方向として説明する。
【0025】
部品供給部Supは、一対のコンベア11の外側に配置されている。部品供給部Supは、テープフィーダ2と、マルチスティックフィーダ3とを含む。この部品供給部Supについては、後に詳しく説明する。
【0026】
部品搬送手段は、基台10上に固定されたY方向移動手段12と、Y方向移動手段12によってY方向に移動可能に支持されたX方向移動手段13と、X方向移動手段13によってX方向に移動可能に支持されたヘッドユニット14とを備えている。
【0027】
上記ヘッドユニット14は、基台10上をXY方向に自在に移動可能に構成されている。すなわち、Y方向移動手段12のサーボモータ12aが駆動すると、サーボモータ12aの駆動力を受けてY方向移動手段12のボールねじ軸12bが回転を始める。X方向移動手段13は、ボールねじ軸12bにボールナット12cを介して取り付けられており、ボールナット12cのボールねじ軸12bの長手方向への移動と共に固定レール12dに沿ってY方向へ移動する。また、X方向移動手段13のサーボモータ13aが駆動すると、サーボモータ13aの駆動力を受けてX方向移動手段13のボールねじ軸13bが回転を始める。ヘッドユニット14は、ボールねじ軸13bにボールナット(図示しない)を介して取り付けられており、ボールナットのボールねじ軸13bの長手方向への移動と共にX方向へ移動する。
【0028】
また、ヘッドユニット14は、電子部品ECを吸着し、Z方向に昇降させる複数の吸着ヘッド14aを備えている。本実施の形態では、ヘッドユニット14に6本の吸着ヘッド14aがX方向に平行な列をなすように並べて配置されている。各吸着ヘッド14aは、図示しない昇降機構によって、ヘッドユニット14に対してZ方向に昇降するように構成され、また、各吸着ヘッド14aは、図示しない回転機構によって、ヘッドユニット14に対して自軸回りに回転するように構成されている。また、各吸着ヘッド14aには、先端に電子部品吸着用のノズルが装着されている。
【0029】
表面実装機では、上述の部品搬送手段によって、電子部品ECを部品供給部Supからプリント基板Pへ搬送・実装する作業が繰り返し行われる。そして、プリント基板Pへの実装作業が終わると、プリント基板Pはコンベア11によって基台10上から搬出される。
【0030】
また、表面実装機の基台10には、本体側コントローラ5(図6参照)が設けられている。本体側コントローラ5は、表面実装機を統括的に制御する主制御部51と、各種プログラム、実装順序、部品情報、後に詳述する複数の振動パターンなどを記憶する記憶部52と、サーボモータ12a、13aの駆動を制御するモータ制御部53と、各種カメラで撮像した画像を処理する画像処理部54と、表面実装機の各部との情報のやり取りを担う通信制御部55と、実装機本体側と各種入出力装置との間の制御を行うI/O制御部56とを含む。
【0031】
ここで、部品供給部Supについて説明する。部品供給部Supには、長手方向に沿って電子部品が収納されたテープを巻き取りながら、IC、トランジスタ、コンデンサなどの比較的小さな電子部品ECを順次部品供給位置に供給する複数のテープフィーダ2と、中空長尺状のスティック(容器)4内に収容された電子部品ECを、振動により、順次部品供給位置に移動させるマルチスティックフィーダ3とが備えられている。そして、マルチスティックフィーダ3およびテープフィーダ2は、部品供給部Sup全体として、各種フィーダの部品供給位置がX方向の一直線上に並ぶように、基台10に対して取り付けられている。
【0032】
各テープフィーダ2は、長手方向に沿って多数の電子部品ECを収容したテープと、テープが巻き付けられたリールと、リールを回転させることでテープを間欠的に送り出す送り出し機構とを備えている。各テープフィーダ2は、基台10に備えられたフィーダベースに対して組み付けられる。
【0033】
図2は、マルチスティックフィーダ3を説明するための側面図である。図3は、マルチスティックフィーダ3の部分拡大図である。図4は、マルチスティックフィーダ3の一部の背面図である。
【0034】
マルチスティックフィーダ3は、図2に示されるように、複数のスティック(容器)4を保持する容器保持部37と、容器保持部37を振動させる振動の発生源となる振動発生装置39と、容器保持部37の下面の4箇所にそれぞれ上端部が固定された4枚の振動板36と、振動板36の下端部を支持する振動板支持用部材35と、振動板支持用部材35に、防振部材34を介して連結される基部材33と、基部材33に固定され、表面実装機本体に装着される装着部材31と、装着部材31に固定され、振動発生装置39の駆動を制御するコントローラ32とを備えている。
【0035】
容器保持部37は、トレイ状の底板37aと、底板37aの上方へ突出するとともに、後方へ延びるように設けられた側板37bとを含む。
【0036】
底板37aの上面には、電子部品ECが収容された中空長尺状(横断面は長方形状)の複数のスティック4が、スティック4の長手方向をY方向に平行な状態にして載置される。各スティック4には、互いに異なる種類の電子部品ECが収容されている。そのため、スティック4の幅は、内部に収容される電子部品ECの種類(重さ、移動方向の長さなど)に応じて異なっている。各スティック4は、側板37bによって、後方側が所定の高さに支持され、先端側が後端側より低くなるように傾斜した姿勢で容器保持部37上に配置される。
【0037】
このほか、容器保持部37の前方側端部であって、底板37aの上部には、各スティック4の先端を押え付けるための押え付け機構、スティック4から供給された電子部品ECの通路となる送路、電子部品ECを送路上の所定の位置(すなわち、部品供給位置)に停止させるためのストッパ30などが設けられている。
【0038】
図5は、マルチスティックフィーダ3の振動発生装置39を説明するための概念図であり、図2のV−V線断面図である。本実施の形態の振動発生装置39は、振動の周波数と、各周波数での振動の継続時間とを任意に設定可能に構成されている。
【0039】
振動発生装置39は、図5に示されるように、モータ39aと、モータ39aの回転運動を電子部品ECの供給方向の往復運動に変換する偏芯軸39bを備えたクランク機構と、偏芯軸39bに一端部が回転自在に連結され、他端部が容器保持部37の底板37aの下面に回動自在に連結されるコンロッド(連結部材)39cと、モータ39aおよびクランク機構を振動板支持用部材35に吊り下げるようにして所定の高さに支持する吊設板39dとを含む。
【0040】
モータ39aは、その回転軸の軸線がX方向(スティック4の長手方向に直交する方向)に平行になるように設けられている。モータ39aの回転軸には第1ギヤ39a1が固定されている。クランク機構の偏芯軸39bには、一方の端部に第2ギヤ39a2が備えられている。第1ギヤ39a1は、第2ギヤ39a2と噛み合い、モータ39aの回転運動に連動させて、偏芯軸39bを回転させる。偏芯軸39bは、コンロッド39cに対する動力伝達部分の中心軸Tが第2ギヤ39a2の回転中心軸Axからδ(たとえば、0.1〜0.3mm程度)ずれるように設定されている。そして、偏芯軸39bに一端部が回転自在に連結されたコンロッド39cは、偏芯軸39bの回転運動を受けて、Y方向およびZ方向に微細に往復運動し、この運動を容器保持部37に伝達する。このように、コンロッド39cが、容器保持部37の底板37aに連結されているので、振動発生装置39により発生させた所定の振動を容器保持部37に直接伝達することができる。また、モータ39aの回転数を適宜調整することで、所望の振動を発生させることができる。
【0041】
吊設板39dは、その両側部を振動板支持用部材35(後述の平板部35a)の上面に載せた状態で固定される。
【0042】
振動板36は、容器保持部37の底板37aの前方側(コンベア11に近い側)に固定された前側振動板36aと、底板37aの後方側(コンベア11から遠い側)に固定された後側振動板36bとを一組とする2対の板材からなる。具体的には、容器保持部37には、4枚の振動板36の上端部が、それぞれ、取付金具を介して固定される。そして、前側振動板36aおよび後側振動板36bは、容器保持部37の底板37aに対して、側面視(図2および図3に示す状態)で所定の角度傾いた状態で、所定の間隔を空けて固定されている。
【0043】
振動板36は、容器保持部37を介して振動発生装置39の振動が伝達されると、容器保持部37の振動を増幅させるように振動する。このように振動発生装置39および振動板36の振動を受けて、容器保持部37は、スティック4内に収容された電子部品ECを所定の速度で部品供給位置に移動させるように振動する。
【0044】
振動板支持用部材35は、Y方向に延び、容器保持部37の底板37aとほぼ平行な姿勢で設けられる平板部35aと、平板部35aの前端(コンベア11に近い側の端)に、下方へ突出するように設けられ、側面視で略L字状を呈した前方支持部35bと、平板部35aの後端(コンベア11から遠い側の端)に、下方へ突出するように設けられ、側面視で略L字状を呈した後方支持部35cとを含む。前方支持部35bには、前側振動板36aの下端部が固定され、後方支持部35cには、後側振動板36bの下端部が固定されている。このように、平板部35aから下方に突出した前方支持部35bおよび後方支持部35cで各振動板36a、36bを固定することによって、各振動板36a、36bの上端部の固定位置と下端部の固定位置との間が所定の距離だけ確保されている。また、平板部35aには、開口35a1が所定の位置に形成されている(図3および図4参照)。上述の吊設板39dは、この開口35a1を跨ぐように設けられ、コンロッド39c、クランク機構およびモータ39aは、この開口35a1に挿通された状態で配置されている。したがって、振動板支持用部材35が設けられていても、振動発生装置39は、振動板支持用部材35に形成された開口35a1内に配置されるので、設置位置について制約を受け難い。
【0045】
防振部材34は、振動発生装置39によって発生した振動が、基部材33に伝達され、さらには、装着部材31を経て表面実装機本体に伝達するのを防止するための部材である。したがって、防振部材34は、振動板支持用部材35と基部材33との間を隔てるように設けられる。防振部材34は、ブロック状の防振ゴムと、この防振ゴムを上下両端側から挟み込む一対の取付部材とにより構成される。本実施の形態では、防振部材34を振動板支持用部材35の下面の4隅に、1つずつ配備している。このように、弾性を有する部材を介して、振動板支持用部材35と基部材33とが連結されることで、振動エネルギーは、基部材33に伝達される手前で吸収される。
【0046】
基部材33は、振動板支持用部材35の下方に、平面視で振動板支持用部材35と重なるように略水平に配置された板状の部材である。基部材33は、防振部材34に対して着脱自在に設けられるとともに、装着部材31に対してネジなどにより固定されている。言い換えれば、基部材33は、4個の防振部材34によって支持される振動板支持用部材35を支持する部材でもある。
【0047】
また、基部材33には、所定の位置に、所定の大きさの開口33aが形成されている。振動発生装置39は、この開口33a内に配備される。したがって、振動発生装置39と基部材33とをほぼ同じ高さに配置しながら、基部材33と振動発生装置39との干渉を回避することができる。つまり、基部材33に対して、振動発生装置39の位置を高さ方向にずらす必要がないので、マルチスティックフィーダ3を垂直方向にコンパクトにすることができる。
【0048】
装着部材31は、マルチスティックフィーダ3を実装機本体に装着するためのY方向に延びる部材である。装着部材31は、Y方向前方側に突出して設けられ、フィーダベースの所定の位置に差し込むことで、装着部材31を位置決めする位置決めピン31aと、フィーダベースの所定の部位を挟み込んで、装着部材31をフィーダベースに対して取り付けるクランプ31bとを所定の位置に備えている。装着部材31は、基部材33の下面を支持するとともに、装着部材31には振動発生装置39の駆動を制御するためのコントローラ32が、下方へ突出するように固定されている。
【0049】
このように、本実施の形態では、側面視で、前側振動板36aと後側振動板36bとの間に、各種支持部材(基部材33、防振部材34、振動板支持用部材35)および振動発生装置39が配備されている。これにより、容器保持部37の支持位置(つまり、前側振動板36aおよび後側振動板36bの固定位置)をY方向に離間し、容器保持部37の支持状態を安定させて、容器保持部37の揺動を抑制する。さらに、各種支持部材および振動発生装置39が、水平方向に広がらないように前側振動板36aと後側振動板36bとの間に収められている。これによって、マルチスティックフィーダ3は全体としてコンパクトな構成を実現している。
【0050】
コントローラ32は、図6に示されるように、主制御部32Aと、各種プログラム、振動発生装置39のモータ39aの駆動状態を制御するための振動パターンを記憶する記憶部32Bと、モータ39aを駆動するモータ駆動部32Cと、モータ駆動部32Cに流れる電流を検出する電流検出部32Dと、マルチスティックフィーダ3側のコントローラ32と実装機本体側の本体側コントローラ5との間で情報のやり取りを担う通信制御部32Fとを含む。振動発生装置39は、互いに異なる周波数の振動を少なくとも2つ含む振動パターンに基づいてコントローラ32によって制御される。
【0051】
たとえば、コントローラ32は、電子部品ECが部品供給位置まで移動したのち、振動発生装置39の駆動を停止させる。具体的には、コントローラ32内のタイマに設定された所定の時間(電子部品ECが部品供給位置まで移動するのに要する時間)が経過したタイミングで、振動発生装置39の振動を停止させる。
【0052】
ここで、本実施の形態において、容器保持部37に作用させる振動の時間的な変化(以下、振動パターンという)について説明する。図7は、起動区間A、移動区間Bおよび停止区間Cを、モータ回転数と時間との関係で説明するグラフである。図8は、振動発生装置を駆動させた際の容器保持部37における電子部品ECの走行部の振幅と時間との関係を説明するためのグラフであり、(a)は前後方向(Y方向)の振幅を示し、(b)は上下方向の振幅を示す。
【0053】
具体的には、図7に示されるように、比較的大きな周波数の振動により部品を始動させる起動区間Aと、この起動区間Aのときよりも小さい一定周波数の振動により部品を所定の速度で移動させる移動区間Bと、周波数が時間の経過とともに減少するような振動により部品を所定の位置で停止させる停止区間Cとを含む。
【0054】
具体的には、起動区間Aは、振動発生装置39の駆動開始時から所定の時間(図7中の第1切り替えポイントT1まで)作用させる振動であり、電子部品ECに対して最大静止摩擦力を超えるような力を作用させるために、モータ39aの回転数を大きく増加させて、振動周波数を増大し、容器保持部37に対して大きな加速度を作用させている。これによって、振動発生装置39の駆動開始時における電子部品ECの出遅れを回避し、電子部品ECが適切なタイミングでスムーズに動き出す。
【0055】
また、移動区間Bは、起動区間Aの後、起動区間Aに引き続いて所定の時間(図7中の第1切り替えポイントT1から第2切り替えポイントT2まで)作用させる振動であり、モータ39aの回転数を一定に保ち、振動周波数を一定に維持し、容器保持部37に対して一定の加速度を作用させている。これによって、スティック4から供給される電子部品ECの移動速度を所定の速度に保つ。
【0056】
また、停止区間Cは、移動区間Bの後、移動区間Bに引き続いて所定の時間(図7中の第2切り替えポイントT2から停止ポイントT3まで)作用させる振動であり、モータ39aの回転数を時間の経過とともに減少させて、振動周波数を減少させ、容器保持部37に対して作用する加速度を徐々に小さくなるように変化させ、電子部品ECを停止した状態に至らしめている。これによって、モータ39aの回転を完全に停止させた際に、慣性力で電子部品ECがストッパ30に大きな速度で衝突して跳ね返り、部品吸着位置からずれてしまうのを防ぐ。
【0057】
このように、モータ39aの回転数を増減させて振動の周波数を変化させることで、容器保持部37は、図8(a)および図8(b)に示されるように、上下方向および前後方向(Y方向)に振動する。すなわち、容器保持部37の振幅の大きさは、周波数の変化に対応して変化し、起動区間Aでは、振幅が増幅して他の2区間B、Cより大きな振幅で振動し、移動区間Bでは、起動区間Aより小さく一定の振幅で振動し、停止区間Cでは、時間の経過に伴って振幅が減衰する。
【0058】
そして、振動パターンの各区間A、B、Cの長さ(振動継続時間)や、周波数などは、供給される電子部品ECの種類(重さ、移動方向の長さなど)に基づいて決定される。そして、これらの振動パターンは、電子部品ECの種類と対応づけられて、実装機本体側の本体側コントローラ5の記憶部52に記憶されている。
【0059】
この電子部品供給装置の動作について以下で詳しく説明する。
【0060】
図9は、振動発生装置39を駆動させる際のフローチャートである。
【0061】
振動発生装置39を駆動させる際には、図9に示されるように、実装機本体側の本体側コントローラ5およびマルチスティックフィーダ3側のコントローラ32は、それぞれに設けられた通信制御部55、32Fを介して情報をやり取りしながら、振動発生装置39の駆動を制御する。
【0062】
具体的には、まず、実装機本体側の本体側コントローラ5では、主制御部51が記憶部52に保存された実装プログラム内の部品情報から振動パターン(周波数、振動継続時間等)を選択的に取得する(ステップS1)。記憶部52には、図10〜図12に示されるような、モータ39aの回転数や振動継続時間が異なる振動パターンが複数種類保存されている。そして、本体側コントローラ5の主制御部51は、複数種類の振動パターンから、電子部品ECの種類に対応した振動パターンを選択する。したがって、供給動作を、電子部品ECの違いに応じて微妙に調整することができ、電子部品ECの形態や重さに応じて異なる供給動作を実現することができる。
【0063】
ここで、図10〜図12中の第2切り替えポイントT2、モータ回転数の定常値N1およびモータ回転数の最大値N2について説明する。図10中の第2切り替えポイントT2a、T2b、T2cは、T2a<T2b<T2cの関係にあり、図10中の停止ポイントT3a、T3b、T3cは、T3a<T3b<T3cの関係にある。また、図11中のモータ回転数の定常値N1a、N1b、N1cは、N1a<N1b<N1cの関係にあり、図11注のモータ回転数の最大値N2a、N2b、N2cは、N2a<N2b<N2cの関係にある。また、図12中の第2切り替えポイントT2a、T2b、T2cは、T2a<T2b<T2cの関係にあり、停止ポイントT3a、T3b、T3cは、T3a<T3b<T3cの関係にあり、図12中のモータ回転数の定常値N1a、N1b、N1cは、N1a<N1b<N1cの関係にあり、図12中のモータ回転数の最大値N2a、N2b、N2cは、N2a<N2b<N2cの関係にある。
【0064】
主制御部51は、マルチスティックフィーダ3から供給される複数種類の電子部品ECのうち、最も送り出し難い電子部品ECに対応する振動パターンを取得する。ここで、最も送り出し難い電子部品ECとは、たとえば、最も重い、あるいは、部品の移動方向の長さが最も長い電子部品ECである。振動パターンの選択時に、最も送り出し難い電子部品ECに対応した振動パターン(たとえば、図11の符号S1や図12の符号S2で示されるモータ回転数(つまり、振動数)が他より大きな振動パターン)が選択されると、複数種類の電子部品ECを供給する場合であっても、最も送り出し難い部品が所定の位置に未到達になるような事態を防ぐことができる。したがって、複数種類の電子部品ECが容器保持部37の底板37a上に供給される場合であっても、電子部品ECの種類に関わらず確実に電子部品ECを所定の位置に送り出すことができる。
【0065】
つぎに、主制御部51は、通信制御部32Fを介して実装機本体側からマルチスティックフィーダ3側へ駆動命令および振動パターンを送信する(ステップS2)。
【0066】
そして、マルチスティックフィーダ3側のコントローラ32では、通信制御部32Fを介して実装機本体側から送信された駆動命令および振動パターンを主制御部32Aが受信して取得する(ステップS3)。そして、主制御部32Aは、取得した駆動パターンを記憶部32Bに記憶させる。
【0067】
つぎに、主制御部32Aは、ステップS3で取得した振動パターンにて振動発生装置39を駆動する(ステップS4)。具体的には、周波数を増加させる起動区間A、所定の周波数を維持する移動区間B、周波数を減少させる停止区間Cを経て、振動発生装置39の駆動を完了する(ステップS5)。
【0068】
振動発生装置39の駆動が完了すると、マルチスティックフィーダ3側のコントローラ32では、主制御部32Aが通信制御部32Fを介して駆動完了を通知する信号を実装機本体側の本体側コントローラ5に送信する(ステップS6)。
【0069】
つぎに、実装機本体側の本体側コントローラ5では、主制御部51が通信制御部55を介してステップS6でマルチスティックフィーダ3側のコントローラ32から送信された駆動完了を通知する信号を受信して、振動発生装置39の駆動処理を終了する(ステップS7)。
【0070】
以上の実施の形態によれば、コントローラ32が、互いに異なる周波数の振動を少なくとも2つ含む振動パターンに基づいて振動発生装置39を駆動し、振動の周波数と各周波数での振動の継続時間とをそれぞれ任意に設定可能に構成されている。つまり、振動発生装置39の振動状態は所望に応じて調整され、電子部品ECを移動させるために電子部品ECに作用させる力をより正確にコントロールできるようになる。したがって、電子部品ECの供給動作を安定させることができる。
【0071】
さらに、振動パターンが、比較的大きな周波数の振動により部品を始動させる起動区間Aと、この起動区間Aのときよりも小さい所定の周波数の振動により部品を移動させる移動区間Bと、周波数が時間の経過とともに0に向かって減衰するような振動により部品を所定の位置で停止させる停止区間Cとを含み、この振動パターンに基づいて振動発生装置39のモータ39aが駆動するように構成されている。つまり、電子部品ECの移動開始時、電子部品ECの移動時および停止時で、スティック4に対して異なる振動を付与することが可能となり、電子部品ECの移動を開始させるべき時に電子部品ECが動き出さなかったり、電子部品ECを停止させるべき時に電子部品ECが所定の位置で停止しなかったりすることを極力防いで、それぞれの段階に応じた適切な振動が与えられ、スムーズに電子部品ECが送り出される。
【0072】
なお、上記実施の形態では、振動パターンが実装機本体側の本体側コントローラ5の記憶部52に記憶されている形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、振動パターンがマルチスティックフィーダ3のコントローラ32の記憶部32Bに記憶されている形態であってもよい。
【0073】
また、上記実施の形態では、モータ回転数が移動区間Bにおいて、一定である振動パターンについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図13は、振動パターンの他の形態を説明するためのグラフである。たとえば、図13(a)に示されるように、移動区間Bにおいてモータ回転数(振動数)の増加および減少を繰り返す振動パターンであってもよいし、図3(b)に示されるように、移動区間Bにおいてモータ回転数(振動数)が時間の経過とともに増加する振動パターンであってもよいし、図3(c)に示されるように、移動区間Bにおいてモータ回転数(振動数)が時間の経過とともに減少する振動パターンであってもよい。
【符号の説明】
【0074】
10 基台
3 マルチスティックフィーダ(電子部品供給装置)
32 コントローラ
37 容器保持部
39 振動発生装置
4 スティック(容器)
EC 電子部品(部品)
A 起動区間
B 移動区間
C 停止区間
P プリント基板(基板)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装機本体に装着され、部品が収納された中空長尺状の容器を振動させて、部品を所定の位置に送り出すようにした電子部品供給装置であって、
前記容器を保持する容器保持部と、
該容器保持部を振動させる振動の発生源となる振動発生装置と、
該振動発生装置の駆動状態を制御するコントローラとを有し、
該コントローラは、互いに異なる周波数の振動を少なくとも2つ含む振動パターンに基づいて前記振動発生装置を駆動し、前記少なくとも2つの振動の周波数と各周波数での振動の継続時間とをそれぞれ任意に設定可能に構成されていることを特徴とする電子部品供給装置。
【請求項2】
前記コントローラが、比較的大きな周波数の振動により部品を始動させる起動区間と、該起動区間のときよりも小さい所定の周波数の振動により部品を移動させる移動区間と、周波数が時間の経過とともに0に向かって減衰するような振動により部品を所定の位置で停止させる停止区間とを含む振動パターンに基づいて前記振動発生装置を駆動するように構成されている請求項1記載の電子部品供給装置。
【請求項3】
前記コントローラが、複数種類の振動パターンから、供給される部品の種類に対応した振動パターンを選択して、選択した振動パターンに基づいて前記振動発生装置を駆動するように構成されている請求項1または2記載の電子部品供給装置。
【請求項4】
前記容器保持部には、複数の容器が保持され、前記コントローラは、前記複数の容器から供給される複数種類の部品のうち、最も送り出し難い部品に対応した振動パターンを選択するように構成されている請求項3に記載の電子部品供給装置。
【請求項5】
基台上に搬入された基板の所定の位置に、電子部品供給装置から供給された部品を搬送して実装する表面実装機であって、
前記電子部品供給装置として、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子部品供給装置を用いた表面実装機。
【請求項1】
実装機本体に装着され、部品が収納された中空長尺状の容器を振動させて、部品を所定の位置に送り出すようにした電子部品供給装置であって、
前記容器を保持する容器保持部と、
該容器保持部を振動させる振動の発生源となる振動発生装置と、
該振動発生装置の駆動状態を制御するコントローラとを有し、
該コントローラは、互いに異なる周波数の振動を少なくとも2つ含む振動パターンに基づいて前記振動発生装置を駆動し、前記少なくとも2つの振動の周波数と各周波数での振動の継続時間とをそれぞれ任意に設定可能に構成されていることを特徴とする電子部品供給装置。
【請求項2】
前記コントローラが、比較的大きな周波数の振動により部品を始動させる起動区間と、該起動区間のときよりも小さい所定の周波数の振動により部品を移動させる移動区間と、周波数が時間の経過とともに0に向かって減衰するような振動により部品を所定の位置で停止させる停止区間とを含む振動パターンに基づいて前記振動発生装置を駆動するように構成されている請求項1記載の電子部品供給装置。
【請求項3】
前記コントローラが、複数種類の振動パターンから、供給される部品の種類に対応した振動パターンを選択して、選択した振動パターンに基づいて前記振動発生装置を駆動するように構成されている請求項1または2記載の電子部品供給装置。
【請求項4】
前記容器保持部には、複数の容器が保持され、前記コントローラは、前記複数の容器から供給される複数種類の部品のうち、最も送り出し難い部品に対応した振動パターンを選択するように構成されている請求項3に記載の電子部品供給装置。
【請求項5】
基台上に搬入された基板の所定の位置に、電子部品供給装置から供給された部品を搬送して実装する表面実装機であって、
前記電子部品供給装置として、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子部品供給装置を用いた表面実装機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−272684(P2010−272684A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123092(P2009−123092)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
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