説明

電子部品供給装置

【課題】電子部品の安定した供給が可能な電子部品供給装置を実現する。
【解決手段】電子部品供給装置が備えている従動スプロケットが部品収容テープAの搬送に伴い回転する際、従動スプロケットの歯部230の前面230fはスプロケット孔Hの内面に接触しないため、その従動スプロケットの歯部230が部品収容テープAを振動させたりすることなくスプロケット孔Hからスムーズに抜け出るので、従動スプロケットは、搬送されている部品収容テープAの向きや姿勢を安定させて、部品収容テープAが円滑に搬送されるように案内することができ、電子部品供給装置は所定の部品供給位置に向けて安定した電子部品の供給を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品実装装置に着脱自在に備えられ、電子部品実装装置に電子部品を供給する電子部品供給装置(電子部品フィーダ)が知られている。
電子部品供給装置は、所定ピッチ毎に形成されたポケット内に電子部品を収容した部品収容テープを所定の部品供給位置に搬送して、電子部品を電子部品実装装置に向けて順次供給する装置である。
【0003】
例えば、電子部品供給装置は、部品収容テープを搬送するために回転駆動する搬送スプロケットを備えており、部品収容テープには等間隔に並んだ穴(スプロケット孔)が設けられている。この穴に搬送スプロケットが係合し回転することで、部品収容テープを搬送するようになっている。
また、部品収容テープを円滑に搬送するために、部品収容テープの蛇行を規制する機能を有する従動スプロケットを備えた電子部品供給装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−29297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術において、部品収容テープの走行精度を高くするために、従動スプロケットの歯部Gが、図14(a)に示すように、例えばインボリュート曲線形状などの膨らみのある曲線形状を有している場合、図14(b)に示すように、部品収容テープAの搬送移動に伴い回転する従動スプロケットの歯部Gの前面が、部品収容テープAのスプロケット孔Hの内面に密接するため、部品収容テープAが従動スプロケットの歯部Gに押され、従動スプロケットの回転方向に押し込まれてしまうことがある。そして、従動スプロケットの歯部Gがスプロケット孔Hから抜ける際に部品収容テープAが跳ね上がることがあり、その際の振動が部品供給位置の部品収容テープAに伝わってしまい、電子部品実装装置への部品供給に不具合が生じることがあった。
また、部品収容テープAの振動を抑えるために、従来技術においては、図10に示すように、フレーム10aの上面に設けられた部品収納テープ走行面に対して、テープ押さえ部26により、少なくとも従動スプロケットから搬送スプロケットの間において部品収容テープAを密着させる構造としていた。
【0006】
本発明の目的は、電子部品の安定した供給が可能な電子部品供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
複数の電子部品を収容する部品収容テープに形成されたスプロケット孔に歯部が歯合した状態で回転し、前記部品収容テープを一方向に搬送する搬送スプロケットと、
前記搬送スプロケットの回転に伴い搬送される前記部品収容テープのスプロケット孔に歯部が歯合して回転する従動スプロケットと、
を備えた電子部品供給装置において、
前記搬送スプロケットの歯部は、前記搬送スプロケットの回転時に前記スプロケット孔の内面と回転方向の前面側と後面側が共に当接し、
前記搬送スプロケットの回転による前記部品収容テープの搬送に伴い、前記従動スプロケットの歯部が前記スプロケット孔に歯合して、前記スプロケット孔の内面が、前記従動スプロケットの回転方向の後方から前記従動スプロケットの歯部の後面側に当接し、前記従動スプロケットの歯部の前面側と前記スプロケット孔の内面は離間していることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子部品供給装置において、
前記従動スプロケットの歯部の前面側の少なくとも一部に、前記歯部が歯先に向かって先細るように傾斜する平面が形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電子部品供給装置において、
前記従動スプロケットの歯部において異なる面が交わる稜線部分は、R形状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電子部品供給装置が備えている従動スプロケットが、搬送スプロケットの回転によって搬送される部品収容テープの移動に伴い回転する際、従動スプロケットの歯部の前面側はスプロケット孔の内面から離間しており接触しないため、従動スプロケットの歯部は部品収容テープを振動させたりすることなくスプロケット孔からスムーズに抜け出るので、部品収納テープを搬送するに際し、フレームの上面に設けられた部品収納テープ走行面に対して、テープ押さえ部により部品収容テープを常に密着させる構造を備えなくとも、従動スプロケットは、搬送されている部品収容テープの向きや姿勢を安定させて、部品収容テープが円滑に搬送されるように案内することができる。
そして、この電子部品供給装置は、部品収容テープを好適に案内して円滑に搬送することができるので、電子部品の安定した供給が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る電子部品供給装置が備えられる電子部品実装装置を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る電子部品供給装置を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る電子部品供給装置のテープ送り機構を示す斜視図である
【図4】電子部品供給装置のテープ送り機構における支持部を示す側面図である。
【図5】図4のV−V線における断面図である。
【図6】本発明に係る電子部品供給装置の搬送スプロケットおよび従動スプロケットを示す側面図(a)と、従動スプロケットの歯部を示す拡大図(b)である。
【図7】従動スプロケットの歯部を示す斜視図である。
【図8】従動スプロケットの歯部が部品収容テープのスプロケット孔に歯合した状態を示す説明図(上面図)である。
【図9】従動スプロケットの歯部が部品収容テープのスプロケット孔に歯合した状態を示す説明図(側面図)である。
【図10】電子部品供給装置のテープ送り機構を示す側面図である。
【図11】電子部品供給装置のテープ送り機構を示す拡大図である。
【図12】従動スプロケットの歯部の変形例を示す斜視図(a)と、その歯部が部品収容テープのスプロケット孔に歯合した状態を示す説明図(b)である。
【図13】従動スプロケットの歯部の変形例を示す斜視図(a)と、その歯部が部品収容テープのスプロケット孔に歯合した状態を示す説明図(b)である。
【図14】従来の従動スプロケットの歯部を示す側面図(a)と、その歯部が部品収容テープのスプロケット孔に歯合した状態を示す説明図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明に係る電子部品供給装置(電子部品フィーダ)は、電子部品実装装置に着脱自在に備えられ、電子部品を収容する部品収容テープを部品供給位置に送り出すことにより、電子部品実装装置に電子部品を供給するものである。
【0013】
図1は、電子部品供給装置10が備えられる電子部品実装装置1の斜視図であり、図2は、電子部品供給装置10の斜視図である。
以下、図示のように、水平面において互いに直交する二方向をそれぞれX軸方向とY軸方向とし、これらに直交する鉛直方向をZ軸方向というものとする。
【0014】
電子部品実装装置1は、図1に示されるように、各構成部材がその上面に載置される基台2と、基板PをX軸方向に沿って前工程から後工程に搬送する基板搬送手段3と、電子部品供給装置10が備えられるフィーダ収納部4と、電子部品供給装置10により供給される電子部品を基板Pに搭載する搭載ヘッド6と、搭載ヘッド6をX、Y軸の各方向に移動するヘッド移動手段7等を有している。
【0015】
基板搬送手段3は、図示しない搬送ベルトを備えており、その搬送ベルトにより基板PをX軸方向に沿って前工程側から後工程側へ搬送する。
また、基板搬送手段3は、搭載ヘッド6により電子部品を基板Pへ実装するため、所定の部品実装位置において基板Pの搬送を停止し、基板Pを支持することも行う。
【0016】
フィーダ収納部4は、基台2上に設けられている。フィーダ収納部4は、電子部品供給装置10がその長手方向を基板Pの搬送方向と直交し、複数の電子部品供給装置10が並列するように着脱自在に備えられるようになっている。
【0017】
搭載ヘッド6は、後述する梁部材72に備えられており、下方(Z軸方向)に突出する所定数の吸着ノズル6aを有している。この吸着ノズル6aは、吸着保持する電子部品の大きさや形状に応じて交換できるように、着脱可能に備えられている。
吸着ノズル6aは、例えば、図示しない空気吸引手段と接続されており、吸着ノズル6aに形成されている図示しない貫通穴にバキュームエアを通すことにより、吸着ノズル6aの下端である先端部に電子部品を吸着保持することを可能としている。また、その空気吸引手段には図示しない電磁弁が備えられており、その電磁弁によりバキュームエアの通気の切り替えが可能であり、空気吸引手段の空気吸引状態と大気開放状態とを切り替える。つまり、空気吸引状態としたときにバキュームエアを貫通穴に通して電子部品を吸着可能とし、大気開放状態としたときに吸着ノズル6aの貫通穴内を大気圧状態とし、吸着した電子部品の吸着を解除する。
【0018】
また、搭載ヘッド6には、吸着ノズル6aをZ軸方向に移動させる図示しないZ軸移動手段と、吸着ノズル6aをZ軸を軸中心として回転させる図示しないZ軸回転手段と、を備えている。
Z軸移動手段(図示省略)は、搭載ヘッド6上に設けられており、吸着ノズル6aをZ軸方向に移動させる移動手段であり、吸着ノズル6aはこのZ軸移動手段を介してZ軸方向に移動自在に搭載ヘッド6に備えられている。Z軸移動手段としては、例えば、サーボモータとベルトの組み合わせ、サーボモータとボールネジの組み合わせ等を適用することができる。
Z軸回転手段(図示省略)は、搭載ヘッド6上に設けられており、吸着ノズル6aを回転させる回転駆動手段であり、吸着ノズル6aはこのZ軸回転手段を介してZ軸を軸中心に回転自在に搭載ヘッド6に備えられている。Z軸回転手段としては、例えば、角度調節モータと、この角度調節モータの回転角度量を検出するエンコーダ等により構成される。
【0019】
ヘッド移動手段7は、搭載ヘッド6をX軸方向に移動するX軸移動手段7aと、搭載ヘッド6をY軸方向に移動するY軸移動手段7bと、により構成されている。
【0020】
X軸移動手段7aは、基板搬送手段3の基板搬送路上に、基板Pの搬送方向と垂直な方向(Y軸方向)に跨る様に備えられているガイド部材71,71に支持され、X軸方向に延在する梁部材72の側面に設けられている図示しないレール状の支持部材と、その支持部材に支持されている搭載ヘッド6をX軸方向に移動させる図示しない駆動手段を備えている。この駆動手段としては、例えば、リニアモータ、サーボモータとベルトの組み合わせ、サーボモータとボールネジの組み合わせ等を適用することができる。
【0021】
Y軸移動手段7bは、ガイド部材71,71の上面に設けられている図示しないレール状の支持部材と、その支持部材に支持されている梁部材72をY軸方向に移動させる図示しない駆動手段を備えている。この駆動手段としては、例えば、リニアモータ、サーボモータとベルトの組み合わせ、サーボモータとボールネジの組み合わせ等を適用することができる。
梁部材72はこのY軸移動手段7bによってガイド部材71,71の上面をY軸方向に移動自在に備えられており、搭載ヘッド6は梁部材72を介してY軸方向に移動自在となる。
【0022】
そして、搭載ヘッド6はヘッド移動手段7によって、X軸方向、Y軸方向に移動するとともに、電子部品供給装置10の部品供給位置16に供給された部品収容テープAが保持する電子部品を、搭載ヘッド6の吸着ノズル6aにより吸着し、基板搬送手段3における部品実装位置の基板Pへ実装するようになっている。
【0023】
電子部品供給装置10は、図2に示されるように、電子部品供給装置10のフレーム10aに取り外し自在にセットされ、キャリアテープBとカバーテープCとからなる部品収容テープAが巻かれるリール11と、部品収容テープAを搬送方向に送り出すテープ送り機構20と、部品収容テープAにおけるカバーテープCをキャリアテープBから剥離する剥離部13と、剥離部13で引き剥がされたカバーテープCを回収する回収リール14等を備えている。
この電子部品供給装置10は、テープ送り機構20によってリール11に巻かれた状態の部品収容テープAを搬送方向(図2中の矢印参照)に送り出し、その搬送経路の途中である剥離部13においてキャリアテープBからカバーテープCを剥離する。剥離されたカバーテープCは、回収リール14に順次巻き取られることにより回収リール14に回収される。このカバーテープCが剥離されたことにより、キャリアテープBのポケットhが露出される。
キャリアテープBはその凹部であるポケットhに収納し保持する電子部品dを、所定の部品供給位置16に搬送した後、装置本体の下方に搬送されて、電子部品供給装置10の外部へ排出される。
なお、電子部品供給装置10の部品供給位置16に送り出されたキャリアテープBのポケットh内に保持される電子部品dは、搭載ヘッド6の吸着ノズル6aにより吸着されて、基板Pへ送られて実装される。
【0024】
テープ送り機構20は、図3から図5に示すように、電子部品供給装置10のフレーム10aに軸支される搬送スプロケット21と、搬送スプロケット21を回転駆動させる駆動部22と、従動スプロケット23と、従動スプロケット23を支持する支持部24と、従動スプロケット23の回転を規制する回転規制部25と、部品収容テープAを従動スプロケット23に押し当てるテープ押さえ部26等を備えている。
なお、部品収容テープAには、スプロケットの歯部が歯合する円形状のスプロケット孔Hが形成されている。また、部品収容テープAのキャリアテープB側には、電子部品dが収納される矩形状のポケットhが形成されている。
【0025】
搬送スプロケット21は、その回転中心となる回転軸がフレーム10aに軸支されている。この搬送スプロケット21は、複数の電子部品dを収容する部品収容テープAに形成されたスプロケット孔Hに歯部が歯合した状態で回転可能に備えられている。
駆動部22は、例えば、モータ及びモータの駆動を伝達するギアなどからなり、この駆動部22により搬送スプロケット21は回転駆動される。
そして、駆動部22によって搬送スプロケット21が所定方向に回転されると、搬送スプロケット21の歯部が歯合している部品収容テープAが、上流から下流側に向かう一方向の経路に沿って搬送される。その際、搬送スプロケット21の歯部は、部品収容テープAに形成されたスプロケット孔Hの内面と、図14(b)のように回転方向の前面側と後面側が共に当接して回転しながら部品収容テープAを部品供給位置16に向けて搬送するようになっており、スプロケット穴Hと搬送スプロケット21の歯部とに隙間が無いので、部品収容テープAは所定の部品供給位置16に正確に搬送される。
【0026】
従動スプロケット23は、支持部24を介してフレーム10aに回転可能に備えられており、その回転中心となる回転軸23aが支持部24に軸支されている。
この従動スプロケット23は、搬送スプロケット21の回転駆動により一方向に搬送される部品収容テープAのスプロケット孔Hに歯部230が歯合した状態で、その部品収容テープAの搬送移動に伴って回転されるようになっている。
なお、従動スプロケット23は、部品収容テープAが円滑に搬送されるように、搬送スプロケット21の回転駆動によって搬送されている部品収容テープAの向きや姿勢を安定させる機能を有している。
【0027】
従動スプロケット23の歯部230は、図6から図9に示すように、側面視した際に、左右非対称となる形状を有しており、歯部230の前面230fと後面230rは異なる面形状を呈している。
歯部230の前面230fは、その歯底から歯先の少なくとも一部が平面形状に形成されており、前面230f側の少なくとも一部に歯部230が歯先に向かって先細るように傾斜する平面が形成されている。また、歯部230の後面230rは、例えばインボリュート曲線形状に基づく膨らみのある曲面に形成されている。
なお、この従動スプロケット23において、その回転軸23aの回転中心から半径方向に延在して歯部230の歯先の先端を通る仮想線Lを設けた場合に、その仮想線Lを境に前面230fと後面230rを区分でき、本実施形態では、従動スプロケットの回転方向の前方を向く面を前面230f、従動スプロケットの回転方向の後方を向く面を後面230rとする。
また、従動スプロケット23の歯部230において異なる面(例えば、前面、後面、側面)が交わる稜線部分は、R形状など丸みを帯びた形状に形成されている(図7、図8参照)。
【0028】
そして、図8、図9に示すように、従動スプロケット23の歯部230が部品収容テープAのスプロケット孔Hに歯合した際、搬送により移動する部品収容テープAのスプロケット孔Hの内面が、従動スプロケット23の回転方向の後方から従動スプロケット23の歯部230の後面230r側に当接することで、移動する部品収容テープAに押されるようにして、従動スプロケット23が回転するようになっている。
特に、スプロケット孔Hの内面が、従動スプロケット23の歯部230の後面230r側に当接した際、従動スプロケット23の歯部230の前面230f側とスプロケット孔Hの内面は離間しており、回転する従動スプロケット23の歯部230の前面230fは、スプロケット孔Hの内面に接触しないようになっている。
これは、従動スプロケット23の歯部230の前面230fが、歯底から歯先近傍に亘る平面形状であって、歯部230が歯先に向かって先細る傾斜面を有していることにより、前面と後面がともにインボリュート曲線形状に基づく膨らみのある曲面を有する従来の従動スプロケットの歯部G(図14(a)参照)に比べて、歯部230の根元の前後方向(略回転方向に沿う方向)の幅が小さくなり、歯合した歯部230とスプロケット孔Hとの間に隙間ができるようになったことによる。
【0029】
また、従動スプロケット23の歯部230の稜線部分は、R形状など丸みを帯びた形状を有しているので、その歯部230がスプロケット孔Hに歯合した際に、スプロケット孔Hの内面に歯部230のエッジが食い込むなどして、部品収容テープAを傷付けてしまうようなことはない。
【0030】
そして、この従動スプロケット23は、支持部24によって、部品収容テープA側に付勢されるとともに、部品収容テープAと接離する方向に移動可能に支持されている。
【0031】
支持部24は、図4、図5に示すように、例えば、従動スプロケット23の回転軸23aが内接する長穴41aを有するガイド部材41と、長穴41a内に配された回転軸23aを支持凹部42aで支えるプッシャ42と、プッシャ42を介して回転軸23aを長穴41aの先端側である上方に付勢する圧縮ばね43等を備えている。なお、プッシャ42と圧縮ばね43とで付勢部材が構成されている。
また、従動スプロケット23は、スラスト方向のがたつきを抑えるために、フランジ軸44によってフレーム10aに取り付けられている。
【0032】
ガイド部材41は、略五角形状を呈して上下方向に延在する長穴41aを有しており、フレーム10aに固定されている。その長穴41aの左右の幅は、回転軸23aの外径とほぼ同じサイズに形成されており、回転軸23aの左右両端が長穴41aの左右内面に摺接するように、上下方向に移動可能になっている。
そして、ガイド部材41は、その長穴41aに保持する従動スプロケット23の回転軸23aをその軸方向と直交する上下方向に移動可能に支持し、従動スプロケット23を上下方向に案内するようになっている。
また、長穴41aの上端である先端側は略V字形状を成す当接面41bとなっている。
【0033】
プッシャ42は、フレーム10aとガイド部材41の間に配されており、プッシャ42は、長穴41aの当接面41bと接離する上下方向に移動可能に備えられている。
このプッシャ42の上部であって、長穴41aの当接面41bと対向する箇所に、回転軸23aが収まる支持凹部42aが形成されている。この支持凹部42aで回転軸23aを支えて、回転軸23aを当接面41bとの間の位置で支持するようになっている。
圧縮ばね43は、プッシャ42の下部とフレーム10aの間に備えられており、プッシャ42を上方の当接面41b側に付勢して、そのプッシャ42を介して回転軸23aを弾性的に支持している。
【0034】
そして、プッシャ42と圧縮ばね43とによって上方に付勢された回転軸23aが長穴41aの先端側の当接面41bに接した際に、当接面41bと回転軸23aとが2箇所で接することにより回転軸23aの配置が拘束されて、その回転軸23aの軸心が搬送スプロケット21の軸心に対する所定位置に位置決めされるようになっている。この位置決めされた配置は、従動スプロケット23と搬送スプロケット21の回転の位相や周期が一致するなど、各スプロケットが連動して好適に回転する適正な配置となっている。
なお、回転軸23aが長穴41aの当接面41bに接する状態において、従動スプロケット23の歯部が部品収容テープAのスプロケット孔Hに歯合するようになっている。換言すれば、従動スプロケット23の歯部が部品収容テープAのスプロケット孔Hに歯合した状態において、従動スプロケット23の回転軸23aが長穴41aの当接面41bに接触するようになっている。
また、従動スプロケット23の歯部が部品収容テープAのスプロケット孔Hに歯合せずに、その従動スプロケット23が部品収容テープAに押された場合、支持部24の圧縮ばね43が収縮し、従動スプロケット23が部品収容テープAから離間する方向に移動して、回転軸23aが長穴41aの当接面41bから離間する。回転軸23aが当接面41bから離間するように従動スプロケット23が移動すると、その従動スプロケット23が回転規制部25に当接するようになっている。
【0035】
回転規制部25は、例えば、弾性変形可能なブレーキ部材であり、従動スプロケット23に当接した際に、従動スプロケット23に回転抵抗(摩擦トルク)を付与し、その従動スプロケット23の回転を規制する機能を有する。
具体的に、回転規制部25は、従動スプロケット23の歯部が部品収容テープAのスプロケット孔Hに歯合せずに、その部品収容テープAに押された従動スプロケット23が部品収容テープAから離間する方向に移動した際に、従動スプロケット23に当接してその従動スプロケット23の回転を規制する。なお、回転規制部25が弾性変形可能であるため、回転規制部25に当接した従動スプロケット23が損傷することはない。
【0036】
テープ押さえ部26は、部品収容テープAを挟んで従動スプロケット23の上端側に対向する位置に備えられており、所定の経路に沿って搬送される部品収容テープAを従動スプロケット23に押し当てる機能を有する。
そして、テープ押さえ部26は、従動スプロケット23の歯部が部品収容テープAのスプロケット孔Hから外れてしまわないように、部品収容テープAを従動スプロケット23に押し当てている。また、テープ押さえ部26は、部品収容テープAのスプロケット孔Hに歯合していない従動スプロケット23の歯部をスプロケット孔Hに歯合させるように、部品収容テープAを従動スプロケット23に押し当てている。
【0037】
次に、電子部品供給装置10におけるテープ送り機構20の動作について説明する。
【0038】
図10に示すように、搬送スプロケット21の歯部を、部品収容テープAのスプロケット孔Hに歯合させた状態で、搬送スプロケット21を回転させると、部品収容テープAは所定の経路に沿って搬送される。
そして、支持部24によって部品収容テープA側に付勢された従動スプロケット23の回転軸23aが長穴41aの当接面41bに接触し、その従動スプロケット23の歯部230が部品収容テープAのスプロケット孔Hに歯合している状態において、従動スプロケット23は搬送される部品収容テープAの移動に伴い好適に回転する。具体的に、従動スプロケット23の回転軸23aが長穴41aの当接面41bに接触していることで、従動スプロケット23の回転軸23aの軸心が搬送スプロケット21の軸心に対して所定位置に位置決めされており、その位置決めされた配置において従動スプロケット23と搬送スプロケット21の回転の相関が適正になっているので、従動スプロケット23は好適に回転する。
【0039】
この従動スプロケット23が回転することによる駆動力は、例えば、電子部品供給装置10の回収リール14を回転させる駆動力として利用することが可能である。なお、従動スプロケット23の回転に伴う駆動力は、回収リール14の回転のために用いられること限らず、回転する従動スプロケット23を、その他任意の作動箇所の駆動源として利用することができる。
【0040】
ここで、従動スプロケット23の歯部230の稜線部分は、R形状など丸みを帯びているので、スプロケット孔Hの内面が歯部230の後面230r側を押すようにして従動スプロケット23を回転させる際に、部品収容テープA(スプロケット孔H)は歯部230との接触によって損傷することなく、従動スプロケット23を好適に回転させることができる。
特に、部品収容テープAの移動に伴い回転する従動スプロケット23の歯部230の前面230fはスプロケット孔Hの内面に接触せずに、その歯部230はスプロケット孔Hからスムーズに抜け出るので、従動スプロケット23はより好適に回転する。
つまり、回転する従動スプロケット23の歯部230がスプロケット孔Hからスムーズに抜け出ることができるため、従来のように、従動スプロケット23の歯部230に部品収容テープAが押し込まれることはなく、押し込まれた反動で部品収容テープAが跳ね上がり振動することもないので、部品収納テープAを搬送するに際し、フレーム10aの上面に設けられた部品収納テープ走行面に対して、テープ押さえ部26により部品収容テープAを常に密着させる構造を備えなくとも、部品収容テープAはスムーズに搬送されて、部品供給位置16での安定した部品供給を可能にする。
【0041】
このように、従動スプロケット23の歯部230の前面230fがスプロケット孔Hの内面に接触せずに、その歯部230がスプロケット孔Hからスムーズに抜け出るようにすることで、この従動スプロケット23は、部品収容テープAを円滑に搬送するために部品収容テープAの蛇行を規制する機能(部品収容テープAの向きや姿勢を安定させる機能)や、部品収容テープAを部品供給位置16に案内して適性に位置決めする機能が高められている。つまり、本発明の従動スプロケット23は、部品収容テープAを安定して搬送するため有効な優れた補助機能を有しているといえる。
【0042】
ところで、図11に示すように、電子部品供給装置10に何らかの不具合が生じてしまった際に、部品収容テープAのスプロケット孔Hに歯合していた従動スプロケット23の歯部が外れてしまうことがある。
この場合、部品収容テープAのスプロケット孔Hに歯部が歯合していない従動スプロケット23は、部品収容テープAに押されて部品収容テープAから離間する方向に移動し、回転規制部25に当接する。回転規制部25に当接した従動スプロケット23は、その回転が規制されて一時的に止まる。
一方、搬送スプロケット21の回転は継続されているので、部品収容テープAは回転が止まった従動スプロケット23上を滑るように搬送される。
ここで、テープ押さえ部26が、所定の経路に沿って搬送される部品収容テープAを従動スプロケット23に押し当てており、また、支持部24が、従動スプロケット23を部品収容テープA側に付勢しているので、部品収容テープAと従動スプロケット23は互いに突き合わされた状態になっている。そして、テープ押さえ部26と支持部24によって部品収容テープAと従動スプロケット23が突き合わされている状態で、搬送スプロケット21の回転により搬送されている部品収容テープAのスプロケット孔Hが回転停止中の従動スプロケット23の歯部230に対応する位置になると、その歯部230がスプロケット孔Hを捕らえるように従動スプロケット23が支持部24により押し上げられて、従動スプロケット23の歯部230が部品収容テープAのスプロケット孔Hに歯合する。そして、従動スプロケット23が回転を再開する。
【0043】
このように、本実施形態の電子部品供給装置10は、テープ送り機構20に備えられる回転規制部25によって、歯部がスプロケット孔Hに歯合していない従動スプロケット23の回転を規制するとともに、支持部24による付勢によって従動スプロケット23の歯部を搬送中である部品収容テープAのスプロケット孔Hに自動的に且つ速やかに歯合させることができる。
なお、回転規制部25が備えられていないと、搬送される部品収容テープAの底面に引き摺られるように、従動スプロケット23が回転してしまい、従動スプロケット23の歯部がスプロケット孔Hを捕らえることができない。そして、スプロケット孔Hに歯合していない従動スプロケット23の歯部が破損してしまうトラブルや、歯部が突き当たった部品収容テープAが損傷してしまうトラブルが生じる恐れがある。つまり、回転規制部25が備えることにより、スプロケット孔Hに歯部230が歯合していない従動スプロケット23が回転し続けてしまうことを防ぎ、従動スプロケット23の歯部230が破損してしまうトラブルや、歯部230が突き当たった部品収容テープAが損傷してしまうトラブルを低減することができる。
【0044】
また、本実施形態における電子部品供給装置10のテープ送り機構20が、従動スプロケット23の歯部230を部品収容テープAのスプロケット孔Hに自動的に歯合させる機能は、スプロケット孔Hから歯部230が外れてしまったトラブル時に実行されるだけではない。
例えば、電子部品供給装置10の使用開始時に、部品収容テープAのスプロケット孔Hを搬送スプロケット21の歯部のみに歯合させた状態で、搬送スプロケット21を回転させると、スプロケット孔Hに歯部230が歯合していない従動スプロケット23は、回転規制部25によって回転が規制されているが、搬送スプロケット21の回転により搬送される部品収容テープAのスプロケット孔Hが、従動スプロケット23の歯部230に対応する位置に送られて来ると、速やかに従動スプロケット23が支持部24によって押し上げられ、スプロケット孔Hと歯部230が歯合して従動スプロケット23が自動的に回転し始めるようにすることができる。
これにより、電子部品供給装置10の使用開始時に、部品収容テープAのスプロケット孔Hを従動スプロケット23の歯部230に歯合させる作業を省くことができる。また、従動スプロケット23の歯部230にスプロケット孔Hをはめ込む作業を見落としてしまうことによるトラブルを防止することができる。
【0045】
以上のように、本発明に係る電子部品供給装置10は、従動スプロケット23の歯部230が部品収容テープAのスプロケット孔Hに歯合して、スプロケット孔Hの内面が従動スプロケット23の歯部230の後面230r側に当接した際、従動スプロケット23の歯部230の前面230f側とスプロケット孔Hの内面が離間する形状に形成された歯部230を有する従動スプロケット23を備えている。
そして、この電子部品供給装置10が備えている従動スプロケット23が部品収容テープAの搬送に伴い回転する際、従動スプロケット23の歯部230の前面230fはスプロケット孔Hの内面に接触しないため、部品収容テープAを振動させたりすることなく歯部230がスプロケット孔Hからスムーズに抜け出るので、従動スプロケット23は、搬送されている部品収容テープAの向きや姿勢を安定させて、部品収容テープAが円滑に搬送されるように案内することができる。
つまり、本発明に係る電子部品供給装置10は、部品収容テープAを円滑に搬送し、好適に案内することが可能であるので、所定の部品供給位置16で安定した部品供給を行うことができる。
【0046】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、図12(a)(b)に示すように、従動スプロケット23の歯部230が略円錐形状を呈し、その前面230f側の少なくとも一部に歯部230が歯先に向かって先細るように傾斜する平面が形成されているものであってもよい。
なお、この略円錐形状の歯部230の底面の径は、円形状のスプロケット孔Hの径と略同じサイズに形成されており、また、歯部230の後面230rは、例えばインボリュート曲線形状に基づく膨らみのある曲面に形成されている。
このような形状の歯部230を有する従動スプロケット23であっても、部品収容テープAの搬送に伴い回転する際に、従動スプロケット23の歯部230の前面230fはスプロケット孔Hの内面に接触せず、部品収容テープAを振動させたりすることなく、歯部230がスプロケット孔Hからスムーズに抜け出るので、従動スプロケット23は好適に回転することができる。
そして、このような従動スプロケット23であっても、搬送されている部品収容テープAの向きや姿勢を安定させて、部品収容テープAが円滑に搬送されるように案内することができる。
【0047】
また、図13(a)(b)に示すように、従動スプロケット23の歯部230が略円錐形状を呈し、その略円錐形状の歯部230の底面の径が、円形状のスプロケット孔Hの径よりも小さなサイズに形成されているものであってもよい。なお、この略円錐形状の歯部230の周面(前面及び後面を含む面)は、例えばインボリュート曲線形状に基づく膨らみのある曲面に形成されている。
このような形状の歯部230を有する従動スプロケット23であっても、部品収容テープAの搬送に伴い回転する際に、従動スプロケット23の歯部230の前面側はスプロケット孔Hの内面に接触せず、部品収容テープAを振動させたりすることなく、歯部230がスプロケット孔Hからスムーズに抜け出るので、従動スプロケット23は好適に回転することができる。
そして、このような従動スプロケット23であっても、搬送されている部品収容テープAの向きや姿勢を安定させて、部品収容テープAが円滑に搬送されるように案内することができる。
【0048】
なお、本発明の適用は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 電子部品供給装置
20 テープ送り機構
21 搬送スプロケット
22 駆動部
23 従動スプロケット
23a 回転軸
230 歯部
230f 前面
230r 後面
A 部品収容テープ
H スプロケット孔
h ポケット
d 電子部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子部品を収容する部品収容テープに形成されたスプロケット孔に歯部が歯合した状態で回転し、前記部品収容テープを一方向に搬送する搬送スプロケットと、
前記搬送スプロケットの回転に伴い搬送される前記部品収容テープのスプロケット孔に歯部が歯合して回転する従動スプロケットと、
を備えた電子部品供給装置において、
前記搬送スプロケットの歯部は、前記搬送スプロケットの回転時に前記スプロケット孔の内面と回転方向の前面側と後面側が共に当接し、
前記搬送スプロケットの回転による前記部品収容テープの搬送に伴い、前記従動スプロケットの歯部が前記スプロケット孔に歯合して、前記スプロケット孔の内面が、前記従動スプロケットの回転方向の後方から前記従動スプロケットの歯部の後面側に当接し、前記従動スプロケットの歯部の前面側と前記スプロケット孔の内面は離間していることを特徴とする電子部品供給装置。
【請求項2】
前記従動スプロケットの歯部の前面側の少なくとも一部に、前記歯部が歯先に向かって先細るように傾斜する平面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品供給装置。
【請求項3】
前記従動スプロケットの歯部において異なる面が交わる稜線部分は、R形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−77668(P2013−77668A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216022(P2011−216022)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】