説明

電子部品及び電子部品の製造方法

【課題】半導体装置及び配線基板の接続信頼性がより向上した電子部品等を提供する。
【解決手段】本発明に係る電子部品は、第1基板と、前記第1基板の第1の面に位置する電極と、前記第1基板の前記第1の面に形成される第1樹脂突起と、前記第1基板の前記第1の面に形成される第2樹脂突起と、前記電極と接続し、前記第1樹脂突起の少なくとも一部を覆う第1の部分と、前記第2樹脂突起の少なくとも一部を覆う第2の部分と、を有する第1配線と、第2基板と、前記第2基板の第2の面に位置する第2配線と、前記第2基板の前記第2配線と接する突起電極であって、前記第1の部分および前記第2の部分と接する前記突起電極と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品及び電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶表示装置等のガラス基板へのCOG実装用半導体装置またはプラスチック等からなるフィルム基板へのCOF実装用半導体装置として、樹脂突起と、その上に形成された複数の配線から構成された外部端子を有する半導体装置が知られている(特許文献1)。このような半導体装置を用いることで、外部端子を配線基板に押し当てて電気的に接続する際、外部端子の樹脂突起の弾性力でもって物理的ダメージを回避しながら導通性を確保することができる。
【0003】
このような半導体装置は、近年、液晶表示装置等の高解像度化の要求によって、外部端子数が増加している。これによれば、配線基板と接着される実装面において外部端子が占める面積が増加するため、配線基板と半導体装置との間に接着剤が介在する領域が減少し、接続信頼性が低下する可能性がある。また、半導体装置側の外部端端子(例えばAu)と基板側の端子の膜種の組み合わせによっても接続信頼性が低下する可能性がある。
【0004】
以上から、上述の半導体装置が配線基板に実装された電子部品であって、半導体装置及び配線基板の接続信頼性がより向上した電子部品とその製造方法が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−81350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、半導体装置及び配線基板の接続信頼性がより向上した電子部品とその製造方法を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本形態に係る電子部品は、第1基板と、前記第1基板の第1の面に位置する電極と、前記第1基板の前記第1の面に形成される第1樹脂突起と、前記第1基板の前記第1の面に形成される第2樹脂突起と、前記電極と接続し、前記第1樹脂突起の少なくとも一部を覆う第1の部分と、前記第2樹脂突起の少なくとも一部を覆う第2の部分と、を有する第1配線と、第2基板と、前記第2基板の第2の面に位置する第2配線と、前記第2基板の前記第2配線と接する突起電極であって、前記第1の部分および前記第2の部分と接する前記突起電極と、を含む。
【0008】
本発明によれば、半導体装置及び配線基板の接続信頼性がより向上した電子部品を提供することができる。
【0009】
(2)本形態に係る電子部品は、第1基板と、前記第1基板の第1の面に位置する電極と、前記第1基板の前記第1の面に形成され、凹部を有する樹脂突起と、前記電極と接続し、前記凹部を覆う第3の部分を有する第1配線と、第2基板と、前記第2基板の第2の面に位置する第2配線と、前記第2基板の前記第2配線と接する突起電極であって、前記第3の部分と接する前記突起電極と、を含む。
【0010】
本発明によれば、半導体装置及び配線基板の接続信頼性がより向上した電子部品を提供することができる。
【0011】
(3)本形態に係る電子部品において、前記突起電極の材質の展性は、前記第2配線の材質よりも高くてもよい。
【0012】
(4)本形態に係る電子部品において、前記突起電極の材質の導電率は、前記第2配線の材質よりも高くてもよい。
【0013】
(5)本形態に係る電子部品において、前記第2配線は、酸化インジウムスズを含み、前記突起電極は、金または銅を含んでいてもよい。
【0014】
(6)本形態に係る電子部品の製造方法は、第1の面に電極が位置している第1基板を準備する工程と、前記第1基板の前記第1の面に第1樹脂突起を形成する工程と、前記第1基板の前記第1の面に第2樹脂突起を形成する工程と、前記電極と接続し、前記第1樹脂突起の少なくとも一部を覆う第1の部分と、前記第2樹脂突起の少なくとも一部を覆う第2の部分と、を有する第1配線を形成する工程と、第2の面に位置する第2配線と、前記第2配線と接する突起電極と、を有する第2基板を準備する工程と、前記突起電極が、前記第1の部分および前記第2の部分と接するように、前記第1基板と前記第2基板とを接続する工程と、を含む。
【0015】
本発明によれば、半導体装置及び配線基板の接続信頼性がより向上した電子部品の製造方法を提供することができる。
【0016】
(7)本形態に係る電子部品の製造方法は、第1の面に電極が位置している第1基板を準備する工程と、前記第1基板の前記第1の面に、凹部を有する樹脂突起を形成する工程と、前記電極と接続し、前記凹部を覆う第3の部分を有する第1配線を形成する工程と、第2の面に位置する第2配線と、前記第2基板の前記第2配線と接する突起電極と、を有する第2基板を準備する工程と、前記突起電極が、前記第3の部分と接するように、前記第1基板と前記第2基板とを接続する工程と、を含む。
【0017】
本発明によれば、半導体装置及び配線基板の接続信頼性がより向上した電子部品の製造方法を提供することができる。
【0018】
(8)本形態に係る電子部品の製造方法において、前記第1基板と前記第2基板とを接続する工程の前では、前記突起電極の形状は、錐状であってもよい。
【0019】
(9)本形態に係る電子部品の製造方法において、前記第1基板と前記第2基板とを接続する工程は、前記第1基板及び前記第2基板を位置合わせする工程を含み、前記位置合わせする工程は、前記第1の部分と前記第2の部分との間の領域と、前記突起電極と、が対向するように前記第1基板及び前記第2基板を位置合わせしてもよい。
【0020】
(10)本形態に係る電子部品の製造方法において、前記第1基板と前記第2基板とを接続する工程は、前記第1基板および前記第2基板を位置合わせする工程を含み、前記位置合わせする工程は、前記第3の部分と、前記突起電極と、が対向するように前記第1基板および前記第2基板を位置合わせしてもよい。
【0021】
(11)本形態に係る電子部品の製造方法において、前記第1基板と前記第2基板とを接続する工程後の前記第1樹脂突起および前記第2樹脂突起の形状は、前記第1基板と前記第2基板とを接続する工程前の前記第1樹脂突起および前記第2樹脂突起の形状と異なっていてもよい。
【0022】
(12)本形態に係る電子部品の製造方法において、前記第1基板と前記第2基板とを接続する工程後の前記樹脂突起の形状は、前記第1基板と前記第2基板とを接続する工程前の前記樹脂突起の形状と異なっていてもよい。
【0023】
(13)本形態に係る電子部品の製造方法において、前記第1基板と前記第2基板とを接続する工程後の前記突起電極の形状は、前記第1基板と前記第2基板とを接続する工程前の前記突起電極の形状と異なっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係る電子部品に適用される半導体装置を模式的に示す平面図及び断面図。
【図2】本実施形態に係る電子部品に適用される半導体装置の変形例を模式的に示す平面図及び断面図。
【図3】本実施形態に係る電子部品に適用される半導体装置の製造方法を模式的に示す断面図。
【図4】本実施形態に係る電子部品に適用される配線基板を模式的に示す断面図。
【図5】本実施形態に係る電子部品に適用される配線基板の製造方法を模式的に示す断面図。
【図6】本実施形態に係る電子部品及び電子部品の製造方法を模式的に示す断面図。
【図7】本実施形態に係る電子部品の一例を模式的に示す斜視図。
【図8】本実施形態に係る電子部品及び電子部品の製造方法の変形例を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明を適用した実施形態の一例について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施形態のみに限定されるものではない。本発明は、以下の実施形態及びその変形例を自由に組み合わせたものを含むものとする。
【0026】
本実施形態に係る電子部品は、半導体装置と配線基板とを含む。したがって、まず本実施形態に係る電子部品に適用される半導体装置及び配線基板をそれぞれ説明した後に、本実施形態に係る電子部品を説明する。
【0027】
1.1 半導体装置
以下、図面を参照して、本実施形態に係る電子部品に適用される半導体装置100について説明する。
【0028】
半導体装置100は、後述される配線基板200に実装される半導体装置である。
【0029】
図1(A)は、本実施形態に係る電子部品に適用される半導体装置100を模式的に示す平面図である。図1(B)は、図1(A)に示す半導体装置100のIB−IB線の要部を模式的に示す断面図である。図1(C)は、図1(A)に示す半導体装置100のIC−IC線の要部を模式的に示す断面図である。
【0030】
図1(A)に示すように、本実施形態に係る電子部品に適用される半導体装置100は、半導体基板である第1基板10を有する。図1(A)に示すように、第1基板10は、チップ状をなしていてもよい。第1基板10は、例えば、長手方向の2つの辺と短手方向の2つの辺(長手方向の辺よりも短い辺)とを有する半導体チップであってもよい。あるいは、第1基板10は、複数の第1基板10からなる半導体ウエハーであってもよい(図示せず)。例えば、第1基板10は、シリコン基板であってもよい。図1(B)に示すように、第1基板10には、集積回路1が形成される。集積回路1の構成は特に限定されないが、例えば、トランジスター等の能動素子や、抵抗、コイル、コンデンサー等の受動素子を含んでいてもよい。
【0031】
図1(B)に示すように、第1基板10は、第1の面11を有する。第1の面11は、後述される電極14等が形成される面である。
【0032】
図1(A)及び図1(B)に示すように、第1基板10は、第1の面11上に電極14が形成される。電極14は、第1基板10の内部に形成された集積回路1と内部配線(図示せず)によって電気的に接続されていてもよい。電極14は、第1基板10の内部配線の一部であってもよい。図1(A)に示すように、電極14は複数形成されていてもよい。例えば、図1(A)に示すように、複数の電極14は、第1基板10の周縁部に沿って形成されていてもよい。電極14の材質は、導電性を有する限り、特に限定されない。例えば、電極14は、アルミニウム(Al)又は銅(Cu)等の金属で形成されていてもよい。電極14は、単層の導電層であってもよいし、アルミニウム等の金属拡散を防止するバリア層を含む、複数の導電層の積層体であってもよい。
【0033】
図1(B)に示すように、第1基板10は、第1の面11の上に形成された絶縁層16を有する。絶縁層16はパッシベーション膜であってもよい。絶縁層16は、電極14の少なくとも一部を、それぞれ露出させるように形成されていてもよい。つまりは、絶縁層16は、電極14の上に位置する開口部16aを有していてもよい。絶縁層16は、電気的絶縁性を有する膜であれば、特に限定されない。例えば、絶縁層16は、SiOやSiN等の無機絶縁膜であってもよい。あるいは、絶縁層16は、ポリイミド樹脂等の有機絶縁膜であってもよい。
【0034】
図1(A)及び図1(B)に示すように、本実施形態に係る電子部品300に適用される半導体装置100は、第1の面11の上方に(絶縁層16の上に)形成された第1樹脂突起21と第2樹脂突起22と、を有する。図1(A)及び図1(B)に示すように、第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22は、電極14に隣接して形成される。また、第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22は互いに離間して形成される。第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22は、互いに同じ方向に延びるように形成されていてもよい。第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22の延びる方向は、後述される第1配線30が延びる方向と直交する方向であってもよい。ここで、第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22でもって樹脂部20とするとき、図1(A)に示すように、樹脂部20は、複数形成されていてもよい。
【0035】
図1(B)に示すように、第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22の間隔を間隔aとする。図1(A)及び図1(B)に示すように、第1樹脂突起21は、第2樹脂突起22よりも電極14に近い位置に形成される。言い換えれば、電極14と第2樹脂突起22との間に第1樹脂突起21が配置される。
【0036】
第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22の間隔を間隔aは、後述される配線基板200の突起電極130の幅Aよりも小さくなるように設定される。第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22の間隔aは特に限定されないが、例えば、5μm以上、30μm以下の範囲で形成してもよい。
【0037】
第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22の形状は、第1の面11の上方において突起する形状であればよく、特に限定されるものではない。第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22の形状は、実質的に同じ形状であってもよい。図1(A)に示すように、第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22は、複数の電極14が並設された方向に沿って延びるように形成されていてもよい。図1(B)に示すように、第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22の表面は、曲面であってもよい。図1(B)に示すように、第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22は、第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22が延びる方向に対して垂直な断面において、略半円の断面形状を有していてもよい。
【0038】
ここで、図1(B)に示すように、第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22は、絶縁層16からの最大の高さが高さbとなるように形成される。ここで、高さbとは、第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22の後述される第1配線30が形成される部分の高さであって、かつ、最大のもの(最も厚みを有する部分)とする。第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22は、実質的に高さが同じとなるように形成される。第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22の高さbは特に限定されないが、例えば、5μm以上、30μm以下の範囲で形成してもよい。
【0039】
また、ここで、図1(B)に示すように、第1樹脂突起21の頂点(最大の高さとなる位置)をP1とし、第2樹脂突起22の頂点(最大の高さとなる位置)をP2とし、P1とP2との間隔を間隔cとする。間隔cは特に限定されないが、後述される突起電極130の幅A以上であってもよい。これによれば、第1基板10及び第2基板110を位置合わせする工程において、位置合わせ許容範囲をより広く設定することができ、適切な接合のために必要となされるアライメント精度を抑制することができる。詳細は後述される。
【0040】
また、図1(C)に示すように、第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22の後述される第1配線30が形成されない部分において、凹部(図示の例では、凹部21a)が形成されていてもよい。凹部の深さは、特に限定されない。これによれば、外部端子の配線間の距離が大きくなり、マイグレーションを防止することができる。また、接着剤を介して、半導体装置を配線基板へ押し当てて実装する際、凹部から不要な接着剤が排出されるため、接着剤の排出性が向上する。
【0041】
第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22の材料は特に限定されず、既に公知となっているいずれかの樹脂材料を適用することができる。例えば、第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22は、公知の感光性樹脂材料から形成されていてもよい。具体的には、第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22は、ポリイミド樹脂、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、ベンゾシクロブテン(BCB;benzocyclobutene)、ポリベンゾオキサゾール(PBO;polybenzoxazole)、フェノール樹脂等の樹脂で形成されていてもよい。
【0042】
図1(A)及び図1(B)に示すように、本実施形態に係る電子部品300に適用される半導体装置100は、電極14と接続し、第1樹脂突起21の少なくとも一部を覆う第1の部分31と、第2樹脂突起22の少なくとも一部を覆う第2の部分32と、を有する第1配線30を有する。図1(A)及び図1(B)に示すように、第1配線30は、絶縁層16の開口部16a内の電極14に接続し(導通し)、開口部16aから絶縁層16の上を介して第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22の上に至るように設けられる。つまりは、図1(B)に示すように、第1配線30は、第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22の頂点P1及びP2を連続して覆うように形成される。第1配線30の平面視における形状は特に限定されず、図1(A)及び図1(B)に示すように、電極14から第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22に延びるように形成されていてもよい。
【0043】
また、図1(B)に示すように、第1樹脂突起21と第2樹脂突起22を連続して覆うことで、第1の部分31及び第2の部分32から構成される凹部36が形成される。凹部36は、第1樹脂突起21の頂点P1と第2樹脂突起22の頂点P2との間の領域に形成される。凹部36は、第1配線30の絶縁層16の上に形成された底面部分と、その底面部分に連続した両側面部分(第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22の上に形成された部分)から構成される。凹部36の幅は、P1とP2との間隔cと等しい。
【0044】
第1配線30の構造及び材料は、特に限定されるものではない。例えば、第1配線30は単層で形成されていてもよい。あるいは、図1(B)に示すように、第1配線30は、複数の層の積層体となるように形成されていてもよい。第1配線30は、例えば、樹脂などの材料と密着性の高い第1の導電層30aと、導電性の高い第2の導電層30bとを含んでいてもよい。具体的には、第1の導電層30aは、チタンタングステン(TiW)、チタンナイトライド(TiN)、チタン(Ti)及びニッケルクロム合金(Ni−Cr)などの少なくとも1つを含む層であってもよい。第2の導電層30bは、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)及び銅(Cu)などの少なくとも1つを含む層であってもよい。
【0045】
以上により、本実施形態に係る電子部品に適用される半導体装置100が構成される。
【0046】
(変形例)
なお、本実施形態に係る電子部品に適用される半導体装置100の構造は、上記において説明したものに限られない。以下において、変形例に係る半導体装置101について、図面を参照しながら説明する。
【0047】
図2(A)及び図2(B)は、半導体装置100の変形例である半導体装置101を説明する図である。図2(A)は、半導体装置101を模式的に示す平面図である。図2(B)は、図2(A)に示す半導体装置101のIIB−IIB線の要部を模式的に示す断面図である。
【0048】
図2(A)及び図2(B)に示すように、第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22は、連続し、一体的な部材である樹脂突起23であってもよい。
【0049】
図2(B)に示すように、樹脂突起23は、第1基板10の第1の面11の上方(絶縁層16の上)に形成され、凹部26を有する。図2(A)及び図2(B)に示すように、樹脂突起23は、2つの頂点P1及びP2を有する。言い換えれば、樹脂突起23は、第1の突起部分23a(P1)及び第2の突起部分23b(P2)を有する。凹部26は、第1の突起部分23a及び第2の突起部分23bによって形成される窪み部分であり、第1の突起部分23a(P1)及び第2の突起部分23b(P2)の間に設けられる。ここで、図2(B)に示すように、凹部26の高さ(最も薄い部分の厚み)を高さdとする。図2(B)に示すように、高さdは、高さbよりも低い(d<b)。
【0050】
図2(B)に示すように、第1配線30は、電極14と接続し、凹部26を覆う第3の部分33を有する。第3の部分33は、凹部26を覆う配線であれば、特に限定されない。例えば、図2(B)に示すように、第3の部分33は、樹脂突起23の第1の突起部分23a(P1)から第2の突起部分23b(P2)までを覆う部分であってもよい。
【0051】
なお、上記の樹脂突起23及び第1配線30以外の構成に関しては、既に半導体装置100において説明された各部材と同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0052】
1.2 半導体装置の製造方法
以下、図面を参照して、本実施形態に係る電子部品に適用される半導体装置100の製造方法について説明する。
【0053】
図3(A)〜図3(E)は、本実施形態に係る電子部品に適用される半導体装置100の製造方法の一例を模式的に説明する要部の断面図である。
【0054】
図3(A)に示すように、電極14及び絶縁層16が第1の面11に形成された第1基板10(半導体ウエハーまたはチップ)を準備する。第1基板10の内部には集積回路1が形成されている。第1基板10、電極14及び絶縁層16との詳細な構成は、上述されているために省略する。
【0055】
図3(B)に示すように、電極14及び絶縁層16の上に、樹脂前駆体組成物からなる樹脂材料膜50が形成される。樹脂材料膜50は、熱硬化性を有した熱硬化性樹脂組成物であってもよいし、感光性を有した感光性樹脂組成物であってもよい。以下の本実施の形態では、感光性を有した樹脂材料膜50を用いた場合の製造方法の一例について後述する。
【0056】
樹脂材料膜50は、第1基板10の第1の面11の上方において全面的に塗布されて形成されてもよい。また、樹脂材料膜50は、塗布された後、プリベークされてもよい。また、樹脂材料膜50は、例えばシート状物であってもよい。樹脂材料膜50は、ポリイミド樹脂、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、ベンゾシクロブテン(BCB;benzocyclobutene)、ポリベンゾオキサゾール(PBO;polybenzoxazole)、フェノール樹脂、アクリル樹脂等の樹脂であってもよい。
【0057】
次に、図3(C)に示すように、樹脂材料膜50を図示しないマスク等の露光装置によって露光した後、現像液によって現像し、パターニングを行って、第1の樹脂層51及び第2の樹脂層52を形成する。第1の樹脂層51は、後述される熱処理工程(キュアリング)の後に第1樹脂突起21となる樹脂層であり、第2の樹脂層52は、後述される熱処理工程(キュアリング)の後に第2樹脂突起22となる樹脂層である。第1の樹脂層51及び第2の樹脂層52の配置は、キュアリング(熱処理)の後、第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22が所望の間隔aでもって配置されるように設定される。
【0058】
本工程における露光現像処理工程は、公知のフォトリソグラフィー技術を用いることができる。例えば、樹脂材料膜50がポジ型のレジストである場合、マスク(図示せず)は、第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22が形成される領域において、樹脂材料膜50が露光処理されないように配置される。また、樹脂材料膜50がネガ型のレジストである場合は、第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22が形成される領域においてマスクが配置されない。マスクは、遮光性を有していればよく、例えば、クロム等の遮光膜が形成されたガラス板であってもよい。マスクが所定配置に配置された後、図示しない光源ランプから例えば紫外線の照射が行われて、露光処理が行われる。現像処理工程に用いられる現像液は、不要な樹脂層を除去できる公知の現像液であればよく、例えば、有機アルカリ現像液であってもよい。
【0059】
第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22を形成する工程は、図3(D)に示すように、熱処理工程において、第1の樹脂層51及び第2の樹脂層52を(キュアリング)することによって、第1の樹脂層51及び第2の樹脂層52を変形させる工程をさらに含む。
【0060】
加熱する手段は特に限定されず、図示しない熱源から赤外線を照射することによって加熱してもよい。第1の樹脂層51及び第2の樹脂層52が加熱されることによって粘性が低下し、第1の樹脂層51及び第2の樹脂層52の自重と表面張力の作用によって、第1の樹脂層51及び第2の樹脂層52は形状を変形させることができる。その結果、図3(D)に示すように、上面形状が滑らかな曲線を有し、その断面が略半円形状である第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22が形成される。
【0061】
次に、図3(E)に示すように、開口部16aの内側に位置する電極14の上から絶縁層16上を介し、第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22の上に至るまで、第1配線30を形成する。その形成には、公知の技術を用いることができ、例えばスパッタリングを適用してもよい。その後、所望の形状にパターニング(エッチング)され、第1配線30が形成される。例えば、図示はしないが、第1の導電層30aを構成する第1の導電膜をスパッタリングにて形成し、その上に第2の導電層30bを構成する第2の導電膜をスパッタリングにて形成してもよい。そして、第2の導電膜をパターニングし、第2の導電層30bを形成してもよい。そして、第2の導電層30bをエッチングマスクとして、第1の導電膜をエッチングし、第1の導電層30aを形成してもよい。
【0062】
第1基板10が半導体ウエハーである場合、第1配線30が形成された後、所望のサイズに切断(ダイシング)され、半導体装置100を形成してもよい(図示せず)。
【0063】
以上の工程により、本実施形態に係る電子部品に適用される半導体装置100を製造することができる。
【0064】
(変形例)
以下、変形例に係る半導体装置101の製造方法について説明する。
【0065】
半導体装置101の製造方法は、上述された半導体装置100の製造方法の第1の樹脂層51及び第2の樹脂層52を形成する工程においてのみ相違する。
【0066】
図3(C)に示すように、樹脂材料膜50をパターニングして第1の樹脂層51及び第2の樹脂層52が形成されるが、変形例に係る半導体装置101の製造方法においては、熱処理後に、第1の樹脂層51及び第2の樹脂層52が一体化して樹脂突起23となるように配置される。第1の樹脂層51及び第2の樹脂層52を熱処理する工程において、上述されたように、第1の樹脂層51及び第2の樹脂層52が加熱されることによって粘性が低下し、第1の樹脂層51及び第2の樹脂層52の自重と表面張力の作用によって、第1の樹脂層51及び第2の樹脂層52は形状を変形させる。言い換えれば、第1の樹脂層51及び第2の樹脂層52は、水平方向(第1の面11の面内方向)に広がるように変形する。したがって、第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22を形成する場合の第1の樹脂層51及び第2の樹脂層52の配置よりも、第1の樹脂層51及び第2の樹脂層52の配置をより近接して配置することで、熱処理後には一体化した樹脂突起23が形成される。
【0067】
以上の工程により、変形例に係る半導体装置101を製造することができる。
【0068】
2.1 配線基板
以下、図面を参照して、本実施形態に係る電子部品に適用される配線基板200について説明する。
【0069】
配線基板200は、半導体装置100(101)が実装される配線基板である。
【0070】
図4は、本実施形態に係る電子部品に適用される配線基板200を模式的に説明する断面図である。
【0071】
図4に示すように、本実施形態に係る電子部品に適用される配線基板200は、第2配線120が形成される第2の面111を有する第2基板110と、第2基板110の第2配線120の上方に形成される突起電極130と、を含む。
【0072】
図4に示すように、第2基板110は、後述される第2配線120が形成される第2の面111を有する。第2基板110は、光透過性を有する材料または構成であってもよい。例えば、第2基板110の材料は、無機系の材料であることができる。このとき、第2基板110は、ガラス基板やセラミックス基板であってもよい。第2基板110が、ガラス基板である場合、配線基板200は、電気光学パネル(液晶パネル・エレクトロルミネッセンスパネル等)の一部であってもよい。また、第2基板110は、ガラス基板の上にアモルファスシリコンから形成されたTFT(Thin Film Transistor)素子が形成されていてもよい。あるいは、第2基板110は、有機系の材料であってもよく、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる基板又はフィルムであってもよい。あるいは、第2基板110としてポリイミド樹脂からなるフレキシブル基板を使用してもよい。フレキシブル基板としてFPC(Flexible Printed Circuit)や、TAB(Tape Automated Bonding)技術で使用されるテープを使用してもよい。
【0073】
第2配線120は、図4に示すように、第2の面111の上に形成された配線であり、電気的接続部121を有する。図示はされないが、第2配線120は、複数形成されていてもよい。電気的接続部121は、第2配線120のうち、後述される突起電極130が形成される部分である。第2配線120は、例えば、液晶を駆動する電極(走査電極、信号電極、対向電極等)に電気的に接続されていてもよい。第2配線120は、酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、チタンタングステン(TiW)などの金属膜、金属化合物膜、又は、それらの複合膜によって形成されていてもよい。また、第2配線120は、その一部が第2基板110の内側を通るように形成されていてもよい。
【0074】
第2配線120は、図4に示すように、電気的接続部121において、中間層122が形成されていてもよい。中間層122は、第2配線120と突起電極130との間に形成される導電層である。中間層は、例えば、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、チタンタングステン(TiW)、チタンナイトライド(TiN)などの金属膜、又は、それらの複合膜によって形成されていてもよい。中間層122を設けることにより、第2配線120と突起電極130との密着性を向上させることができる。
【0075】
突起電極130は、図4に示すように、第2配線120の電気的接続部121の上方に形成されていてもよい。図4に示すように、中間層122が形成される場合、突起電極130は、中間層122の上に形成されていてもよい。突起電極130は、図4に示すように、先端部分131を有し、先端部分131に近いほど径が細くなる形状を有する。なお、図示はされないが、先端部分131においては、実質的に丸みを有する形状を有していてもよいし、部分的に平坦面を有していてもよい。突起電極130は、例えば、円錐や四角錐のような錐状形状であってもよい。
【0076】
また、図示はされないが、突起電極130は、第2基板110の第2の面111の上において第2配線120と当接するように形成されていてもよい。
【0077】
ここで、図4に示すように、第2配線120が延びる方向における突起電極130の幅(最も長い部分)を幅Aとし、突起電極130の最大の高さ(最も厚みを有する部分)を高さBとする。突起電極130が円錐であり、突起電極130の接地する面の形状が円である場合、突起電極130の幅Aは、該円の直径とする。幅Aは特に限定されないが、例えば、5μm以上、30μm以下であってもよい。また、高さBは、第1基板10と第2基板110とを接続した場合に、突起電極130が、少なくとも第1の部分31及び第2の部分32と接するように適宜設定される。
【0078】
突起電極130の形状の寸法は、半導体装置100が配線基板200に実装される際に、排出したい接着剤250の量を考慮して決定してもよい。半導体装置100が配線基板200に実装される場合、第1基板10と第2基板110との間に接着剤250を設けて、第1基板10及び第2基板110を押圧力によって接触させる(図6(B)参照)。この工程において突起電極130を押し付けることにより排出したい接着剤250の体積と同じ体積となるように、突起電極130の形状の寸法を決定してもよい。詳細は後述される。
【0079】
突起電極130の材質の展性は、第2配線120の材質よりも高くてもよい。言い換えれば、突起電極130は、第2配線120よりも高い圧力などによって破壊されずに箔状に広げられる材質から形成される。また、突起電極130の材質の導電率は、第2配線120の材質よりも高くてもよい。言い換えれば、突起電極130は、第2配線120よりも電気を通しやすい材質から形成される。更に、突起電極130の材質の弾性率は、第2配線120の材質よりも低くてもよい。言い換えると、突起電極130は第2配線120よりも変形しやすくてもよい。突起電極130は、例えば、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)及び銅(Cu)などの少なくとも1つを含む。このような材質を選択することによれば、第1基板10と第2基板110とを接続した場合、突起電極130が変形しやすいため、より確実に第1基板10及び第2基板110を押圧することができる。言い換えれば、突起電極130は、コンプライアントバンプであってもよい。
【0080】
以上により、本実施形態に係る電子部品に適用される配線基板200が構成される。
【0081】
2.2 配線基板の製造方法
以下、図面を参照して、本実施形態に係る電子部品に適用される配線基板200の製造方法について説明する。
【0082】
図5(A)〜図5(C)は、本実施形態に係る電子部品に適用される配線基板200の製造方法を模式的に説明する断面図である。
【0083】
図5(A)に示すように、第2配線120が形成された第2基板110を準備する。準備する工程は、第2基板110の上に、第2配線120を形成する工程を含んでいてもよい。その形成には、公知の技術を用いることができ、例えばスパッタリングを適用してもよい。その後、所望の形状にパターニング(エッチング)され、第2配線110が形成される。また、第2配線120を形成する工程は、熱処理する工程を含む。熱処理する工程は、第2配線120が形成される第2基板110の材質及び構成を考慮して温度設定することを含む。例えば、第2基板110が、ガラス基板からなり、ガラス基板の上にアモルファスシリコンから形成されたTFT(Thin Film Transistor)素子が形成され、第2配線120の材質が、酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)であった場合、熱処理の温度は、400℃以下に設定される。望ましくは、熱処理の温度は、150℃以下に設定される。
【0084】
図5(A)に示すように、中間層122となる導電層122aが形成されていてもよい。この場合、まず、第2配線120となる第1導電膜を形成し、その上に導電層122aとなる第2導電膜を形成する。次に、第2導電膜の上にレジストを形成し、第2導電膜をパターニングし、導電層122aを形成する。次に、レジストを除去し、導電層122aをマスクとして第1導電膜をパターニングし、第2配線120を形成してもよい。
【0085】
次に、図5(A)に示すように、第2配線120が形成された第2の面111の上に、突起電極130の材質からなる導電層130aを形成する。導電層130aの形成には、公知の技術を用いることができ、例えばスパッタリングを適用してもよい。
【0086】
次に、図5(B)に示すように、レジスト層140をマスクとして形成し、等方エッチングを行うことにより突起電極130を形成してもよい図4参照。等方エッチングには、ウェットエッチング又はプラズマエッチングを適用することができる。等方エッチングの後、レジスト層140は適宜除去される。
【0087】
図5(C)に示すように、突起電極130をマスクとして、導電層122aをエッチングし、中間層122を形成してもよい。
【0088】
なお、以上においては、等方エッチングを適用した場合について説明したが、配線基板200の製造方法はこれに限定されず、例えば、公知のインクジェット技術により導電材料の液滴を滴下することで突起電極130を形成したり、公知のフォトリソグラフィー技術等により突起電極130を形成したりしてもよい。
【0089】
3.1 電子部品の製造方法
以下、図面を参照して、本実施の形態に係る電子部品300の製造方法について説明する。
【0090】
図6(A)〜図6(C)は、本実施の形態に係る電子部品300の製造方法を説明する図であり、図6(C)は、本実施の形態に係る電子部品300を説明する図である。
【0091】
図6(A)に示すように、本実施の形態に係る電子部品300の製造方法は、半導体装置100を準備する工程(S1)と、配線基板200を準備する工程(S2)と、半導体装置100の第1基板10と配線基板200の第2基板110とを接続する工程(S3)と、を有する。
【0092】
半導体装置100を準備する工程(S1)は、「1.1 半導体装置」及び「1.2 半導体装置の製造方法」の項で説明したように、電極14が形成される第1の面11を有する第1基板10を準備する工程(図3(A)参照)と、第1基板10の第1の面11の上方に第1樹脂突起21を形成する工程(図3(B)〜図3(D)参照)と、第1基板10の第1の面11の上方に第2樹脂突起22を形成する工程(図3(B)〜図3(D)参照)と、電極14と接続し、第1樹脂突起21の少なくとも一部を覆う第1の部分31と、第2樹脂突起22の少なくとも一部を覆う第2の部分32と、を有する第1配線30を形成する工程(図3(E)参照)と、を含む。なお、半導体装置100を準備する工程(S1)の詳細は上述されているため、省略する。
【0093】
配線基板200を準備する工程(S2)は、「2.1 配線基板」及び「2.2 配線基板の製造方法」の項で説明したように、第2配線120が形成された第2の面111と、第2配線120の上方に形成される突起電極130と、を有する第2基板110を準備する工程(図5(A)及び図5(B)参照)を含む。なお、配線基板200を準備する工程(S2)の詳細は上述されているため、省略する。
【0094】
半導体装置100の第1基板10と配線基板200の第2基板110とを接続する工程(S3)は、第1基板10及び第2基板110を位置合わせする工程(S3−1)と、第1基板10及び第2基板110の間に接着剤を配置する工程(S3−2)と、第1基板10と第2基板110とを接続する工程(S3−3)と、を含む。
【0095】
位置合わせする工程(S3−1)は、図6(A)に示すように、第1の部分31と第2の部分32との間の領域(図示の例では、「幅c」で示される領域)である凹部36と、突起電極130と、が対向するように(例えば、第1の面11の法線方向から見た場合にオーバーラップするように)第1基板10及び第2基板110を位置合わせする。ここで、本実施形態に係る電子部品の製造方法においては、突起電極130の先端部分131が、少なくとも凹部36とオーバーラップするように位置合わせすればよい。
【0096】
接着剤を配置する工程(S3−2)は、図6(A)に示すように、半導体装置100の第1の面11と、配線基板200の第2の面111との間に接着剤250を設ける。本工程では、予め、配線基板200側に接着剤250を設けておいてもよいが、特に限定されるものではなく、半導体装置100側に設けられていてもよい。接着剤250は、例えば、フィルム状の接着剤を利用してもよい。接着剤250は、絶縁性の接着剤であってもよい。接着剤250は、公知のNCF(Non−conductive Film)接着剤であってもよい。
【0097】
第1基板10と第2基板110とを接続する工程(S3−3)は、図6(B)に示すように、突起電極130が、第1の部分31及び第2の部分32と接するように、第1基板10と第2基板110との間に押圧力を加えることで押圧して、突起電極130と第1配線30とを接続させる。
【0098】
本工程において、半導体装置100と配線基板200と加えられた押圧力によって、図6(B)に示すように、第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22を弾性変形させることができる。言い換えれば、第1基板10と第2基板110とを接続する工程後の第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22の形状は、本工程前の第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22の形状と異なる。したがって、第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22の弾性力によって、発生する応力を緩和しつつ、突起電極130と第1配線30とを押し付けることができるため、半導体装置の信頼性を低下させることなく、電気的な接続信頼性の高い電子部品を提供することができる。
【0099】
また、本工程において、半導体装置100と配線基板200と加えられた押圧力によって、図6(C)に示すように、突起電極130を弾性変形させてもよい。言い換えれば、第1基板10と第2基板110とを接続する工程後の突起電極130の形状は、本工程前の突起電極130の形状と異なってもよい。上述のように、突起電極130は金(Au)など展性が比較的高い材質からなる。したがって、図6(C)に示すように、突起電極130は、第1基板10側に押し付けられた場合、先端部分131が平坦化してもよい。これによれば、突起電極130を確実に第1樹脂突起21と第2樹脂突起22との間に埋め込むことができるため、突起電極130によって接着剤250をより確実に押し出すことできる。つまりは、接着剤250の排出性がより向上し、突起電極130と第1配線30との間に接着剤250が残留しにくくなり、ボイドが形成されにくくすることができるため、半導体装置の信頼性を低下させることなく、電気的な接続信頼性の高い電子部品を提供することができる。
【0100】
次に、図6(B)及び図6(C)に示すように、第1基板10と第2基板110とを接続する工程(S3−3)の後、接着剤250を硬化させて、接着層251を形成してもよい。接着層251によって、第1基板10(半導体装置100)と第2基板110(配線基板200)との接合状態を維持してもよい。
【0101】
図6(B)及び図6(C)に示すように、以上の工程により、本実施形態に係る電子部品300を製造することができる。また、図示はしないが、さらに検査工程や切り出し工程等を経て、本実施の形態に係る電子部品300を製造してもよい。
【0102】
図7には、電子部品300の一例として、表示デバイスである場合の電子部品300を示す。表示デバイスは、EL(Electrical Luminescence)表示デバイスであってもよい。また、表示デバイスは、液晶表示デバイスであって、例えば、TFT(Thin Film Transistor)液晶デバイスであってもよい。そして、半導体装置100は、表示デバイスである電子部品300を制御するドライバーICであってもよい。
【0103】
本実施の形態に係る電子部品300の製造方法は、例えば、以下の特徴を有する。
【0104】
本実施の形態に係る電子部品300の製造方法によれば、接続信頼性が向上した電子部品300の製造方法を提供することができる。詳細は後述される。
【0105】
本実施形態に係る電子部品300の製造方法によれば、錐状の形状の突起電極130を備えた配線基板200と半導体装置100とを接続する。これによれば、突起電極130と第1配線30とが電気的に接続する領域における接着剤250を積極的に押し出して排出することができるため、突起電極130と第1配線30とが電気的に接続する領域に接着剤250が残留しにくく、かつ、空気が残留するボイドが形成されにくい。したがって、電子部品300の製造方法によれば、半導体装置100と配線基板200との電気的な接続信頼性を向上させることができる。
【0106】
また、本実施の形態に係る電子部品300の製造方法によれば、第1基板10及び第2基板110を位置合わせ工程において、突起電極130の先端部分131と、第1の部分31と第2の部分32との間の領域(凹部36)と対向させる。一般的に、ICチップなどの半導体装置を配線基板に実装する場合、半導体装置の外部端子と、配線基板の電気的接続部とをポイントとポイントで接続するため、比較的高いアライメント精度が要求される。これに対し、本実施形態に係る電子部品300の製造方法によれば、突起電極130は先端部分131を有する錐状の形状であり、第1配線30には、凹部36が形成される。言い換えれば、エリア(凹部36)に対してポイント(先端部分131)を位置合わせすればよい。これによれば、第1基板10と第2基板110との接続工程において、凹部36が、突起電極130の位置を補正するガイドとしての機能を奏することができる。したがって、電子部品300の製造方法によれば、位置合わせ許容範囲をより広く設定することができ、適切な接合のために必要となされるアライメント精度を抑制することができる。
【0107】
また、本実施の形態に係る電子部品300の製造方法によれば、第1基板10と第2基板110とを接続する工程後の第1樹脂突起21、第2樹脂突起22及び突起電極130の形状は、本工程前の形状と異なっていてもよい。これによれば、第1基板10と第2基板110とを接続する工程において、第1基板10側の第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22と、第2基板110側の突起電極130との相互の弾性変形によって、応力を緩和し、第1基板10や第2基板110に対する物理的ダメージを緩和しつつ、第1基板10及び第2基板110を確実に電気的に接続させることができる。したがって、電子部品300の製造方法によれば、半導体装置100と配線基板200との電気的な接続信頼性を向上させることができる。
【0108】
また、本実施の形態に係る電子部品300の製造方法によれば、配線基板200側の構成の材料選択性を向上させることで、電子部品300の設計の自由度を高めることができる。以下に詳細を説明する。
【0109】
例えば、第2基板110がガラス基板であって、アモルファスシリコンから形成されたTFT素子が形成され、第2配線120の材質が、酸化インジウムスズ(ITO)であった場合、高い温度のプロセスを経ると、第2配線120の表面は、グレイン状態が変化し、表面がより平坦化した第2配線120が形成される。したがって、低温プロセスによる第2配線120の場合、第2配線120の表面における微細な凹凸に接着剤が入り込んで硬化することで接着力が高まるアンカー効果は小さくなる。以上の理由から、このような構成の配線基板200に対して半導体装置100を実装する場合、接着剤による接続信頼性が著しく低下する。
【0110】
これに対し、本実施の形態に係る電子部品300の製造方法によれば、突起電極130が、第1の部分31及び第2の部分32と接するように、第1基板10と第2基板120とを接続するため、突起電極130が凹部36に入り込み、アンカー効果を生じさせることができる。したがって、電子部品300の製造方法によれば、接続強度を向上させることができることから、上記の材質及び構成の配線基板200であっても、半導体装置100と配線基板200との接続信頼性を向上させることができる。言い換えれば、配線基板200側の構成の材料選択性を向上させることで、電子部品300の設計の自由度を高めることができる。
【0111】
(変形例)
以下において、「1.1 半導体装置」の(変形例)の項で説明した半導体装置101を適用した電子部品300の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0112】
図8(A)及び図8(B)は、半導体装置101を適用した場合の電子部品300の製造方法を説明する図である。
【0113】
図8(A)に示すように、半導体装置101を適用した場合、位置合わせする工程(S3−1)は、凹部26(第1の突起部分23a(P1)及び第2の突起部分23b(P2)の間の領域)を覆う第3の部分33と、突起電極130と、が対向するように(例えば、第1の面11の法線方向から見た場合にオーバーラップするように)第1基板10及び第2基板110を位置合わせする。好適には、突起電極130の先端部分131が、凹部26の領域内に位置するように位置合わせする。
【0114】
第1基板10と第2基板110とを接続する工程(S3−3)では、図8(B)に示すように、突起電極130が、第3の部分33と接するように、第1基板10と第2基板110との間に押圧力を加えることで押圧して、突起電極130と第1配線30とを接続させる。本工程において、樹脂突起23は、図8(B)に示すように、第1樹脂突起21及び第2樹脂突起22と同様に弾性変形してもよい。また、図示はされないが、突起電極130も同様に弾性変形し、先端部分131の一部が平坦化していてもよい。
【0115】
半導体装置101を適用した場合の電子部品300の製造方法も、半導体装置100を適用した電子部品300の製造方法と同様の特徴及び効果を備える。
【0116】
また、半導体装置101を適用した場合の電子部品300の製造方法によれば、突起電極130が押し当てられる凹部26には、第1基板10と突起電極130との間に樹脂突起23が形成されている。これによれば、押圧時において、より応力を緩和することができる。したがって、半導体装置101と配線基板200との接続信頼性をより向上させることができる。
【0117】
3.2 電子部品
以下、図面を参照して、本実施の形態に係る電子部品300について説明する。なお、本実施の形態に係る電子部品300は、半導体装置100と配線基板200とを含む。半導体装置100と配線基板200は上述されているため、その詳細は省略する。
【0118】
図6(B)及び図6(C)は、本実施の形態に係る半導体装置100を適用した電子部品300を説明する図である。また、図8は、変形例に係る半導体装置101を適用した場合の電子部品300を説明する図である。
【0119】
図6(B)及び図6(C)に示すように、電子部品300の突起電極130は、第1配線30の第1の部分31及び第2の部分32と接する。言い換えれば、突起電極130は、第1配線30が延びる方向において、第1の部分31及び第2の部分32に挟まれるように形成される。
【0120】
図6(B)に示すように、突起電極130は、円錐または四角錐の錐状であってもよい。言い換えれば、第1配線30が延びる方向において、突起電極130の断面形状は、二等辺三角形であってもよい。この場合、絶縁層16と突起電極130の先端部分131との間には、第1配線30のみが配置され、樹脂層は形成されない。
【0121】
また、図6(C)に示すように、突起電極130は、先端部分131が平坦化していてもよい。第1配線30が延びる方向において、突起電極130の断面形状は、台形であってもよい。この場合、絶縁層16と突起電極130の先端部分である平坦面131との間には、第1配線30のみが配置され、樹脂層は形成されない。
【0122】
次に、図8(B)に示すように、変形例に係る半導体装置を適用した電子部品300の突起電極130は、第1配線30の第3の部分33と接する。言い換えれば、突起電極130は、樹脂突起23に覆われるように形成される。この場合、絶縁層16と突起電極130の先端部分131との間には、第1配線30及び樹脂突起23(凹部26)が配置される。
【0123】
以上により、本実施形態に係る電子部品300が構成される。
【0124】
本実施の形態に係る電子部品300は、例えば、以下の特徴を有する。
【0125】
本実施の形態に係る電子部品300によれば、第1の部分31及び第2の部分32と接する突起電極130を有する。これによれば、電子部品300は、半導体装置100(101)と配線基板200との電気的接続部において、突起電極130が、第1配線30の凹部36(凹部26)に入り込んだ構造となっているため、物理的なアンカー効果が生じる。したがって、接続強度を向上させることができることから、半導体装置100(101)及び配線基板200の接続信頼性がより向上した電子部品300を提供することができる。
【0126】
また、本実施の形態に係る電子部品300によれば、配線基板200側の構成の材料選択性を向上させることで、電子部品300の設計の自由度を高めることができる。「3.1 電子部品の製造方法」の項で説明したように、例えば、第2基板110がガラス基板であって、アモルファスシリコンから形成されたTFT素子が形成され、第2配線120の材質が、酸化インジウムスズ(ITO)であった場合は、接着剤による半導体装置100及び配線基板200の接続信頼性が低下する。しかしながら、本実施形態に係る電子部品によれば、上述のように、突起電極130と凹部36によるアンカー効果を生じさせることができるため、接続強度を向上させることができる。したがって、設計の自由度を高めることができる電子部品300を提供することができる。
【0127】
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、複数を適宜組み合わせることが可能である。
【0128】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0129】
1 集積回路、10 第1基板、11 第1の面、12 第2の面、14 電極、16 絶縁層、16a 開口部、20 樹脂部、21 第1樹脂突起、22 第2樹脂突起、23 樹脂突起、23a 第1の突起部分、23b 第2の突起部分、26 凹部、30 第1配線、30a 第1の導電層、30b 第2の導電層、31 第1の部分、32 第2の部分、33 第3の部分、36 凹部、50 樹脂材料膜、51 第1の樹脂層、52 第2の樹脂層、100、101 半導体装置、110 第2基板、111 第2の面、120 第2配線、121 電気的接続部、122 中間層、130 突起電極、131 先端部分、140 レジスト層、200 配線基板、250 接着剤、251 接着層、300 電子部品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板の第1の面に位置する電極と、
前記第1基板の前記第1の面に形成される第1樹脂突起と、
前記第1基板の前記第1の面に形成される第2樹脂突起と、
前記電極と接続し、前記第1樹脂突起の少なくとも一部を覆う第1の部分と、前記第2樹脂突起の少なくとも一部を覆う第2の部分と、を有する第1配線と、
第2基板と、
前記第2基板の第2の面に位置する第2配線と、
前記第2基板の前記第2配線と接する突起電極であって、前記第1の部分および前記第2の部分と接する前記突起電極と、
を含む、電子部品。
【請求項2】
第1基板と、
前記第1基板の第1の面に位置する電極と、
前記第1基板の前記第1の面に形成され、凹部を有する樹脂突起と、
前記電極と接続し、前記凹部を覆う第3の部分を有する第1配線と、
第2基板と、
前記第2基板の第2の面に位置する第2配線と、
前記第2基板の前記第2配線と接する突起電極であって、前記第3の部分と接する前記突起電極と、
を含む、電子部品。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記突起電極の材質の展性は、前記第2配線の材質よりも高い、電子部品。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項において、
前記突起電極の材質の導電率は、前記第2配線の材質よりも高い、電子部品。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項において、
前記第2配線は、酸化インジウムスズを含み、前記突起電極は、金または銅を含む、電子部品。
【請求項6】
第1の面に電極が位置している第1基板を準備する工程と、
前記第1基板の前記第1の面に第1樹脂突起を形成する工程と、
前記第1基板の前記第1の面に第2樹脂突起を形成する工程と、
前記電極と接続し、前記第1樹脂突起の少なくとも一部を覆う第1の部分と、前記第2樹脂突起の少なくとも一部を覆う第2の部分と、を有する第1配線を形成する工程と、
第2の面に位置する第2配線と、前記第2配線と接する突起電極と、を有する第2基板を準備する工程と、
前記突起電極が、前記第1の部分および前記第2の部分と接するように、前記第1基板と前記第2基板とを接続する工程と、
を含む、電子部品の製造方法。
【請求項7】
第1の面に電極が位置している第1基板を準備する工程と、
前記第1基板の前記第1の面に、凹部を有する樹脂突起を形成する工程と、
前記電極と接続し、前記凹部を覆う第3の部分を有する第1配線を形成する工程と、
第2の面に位置する第2配線と、前記第2基板の前記第2配線と接する突起電極と、を有する第2基板を準備する工程と、
前記突起電極が、前記第3の部分と接するように、前記第1基板と前記第2基板とを接続する工程と、
を含む、電子部品の製造方法。
【請求項8】
請求項6または7において、
前記第1基板と前記第2基板とを接続する工程の前では、前記突起電極の形状は、錐状である、電子部品の製造方法。
【請求項9】
請求項6において、
前記第1基板と前記第2基板とを接続する工程は、前記第1基板および前記第2基板を位置合わせする工程を含み、
前記位置合わせする工程は、前記第1の部分と前記第2の部分との間の領域と、前記突起電極と、が対向するように前記第1基板および前記第2基板を位置合わせする、電子部品の製造方法。
【請求項10】
請求項7において、
前記第1基板と前記第2基板とを接続する工程は、前記第1基板および前記第2基板を位置合わせする工程を含み、
前記位置合わせする工程は、前記第3の部分と、前記突起電極と、が対向するように前記第1基板および前記第2基板を位置合わせする、電子部品の製造方法。
【請求項11】
請求項6において、
前記第1基板と前記第2基板とを接続する工程後の前記第1樹脂突起および前記第2樹脂突起の形状は、前記第1基板と前記第2基板とを接続する工程前の前記第1樹脂突起および前記第2樹脂突起の形状と異なる、電子部品の製造方法。
【請求項12】
請求項7において、
前記第1基板と前記第2基板とを接続する工程後の前記樹脂突起の形状は、前記第1基板と前記第2基板とを接続する工程前の前記樹脂突起の形状と異なる、電子部品の製造方法。
【請求項13】
請求項6から12のいずれか1項において、
前記第1基板と前記第2基板とを接続する工程後の前記突起電極の形状は、前記第1基板と前記第2基板とを接続する工程前の前記突起電極の形状と異なる、電子部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−195358(P2012−195358A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56620(P2011−56620)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】