説明

電子部品実装配線基板

【課題】半田により電子部品を固定する構造において、耐久性の高い電子部品実装配線基板1を提供する。
【解決手段】絶縁性基材10の一方の面に形成され、実装部21bを備えた第一導体層21と、実装部21bの上に形成された第二導体層22と、第二導体層22の上に形成された半田層30と、半田層30と接続する端子41を備えた電子部品40と、絶縁性基材10の他方の面10Rのうち実装部21bに対応する部分を含む所定領域80aに設けられた補強層80と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品が実装された電子部品実装配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
導電粉が混入された熱硬化性樹脂で形成されたランド部を含む第1層と、導電粉が混入された熱可塑性樹脂で形成された第1層の上面を覆う第2層と、この第2層を覆う半田によって電子部品が固定される構造が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−2260822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、半田によって電子部品を固定する従来の構造では、基板に曲げ方向の外力が加えられた場合に、半田と電子部品の接合界面に応力が集中し、破損しやすいという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、曲げ方向の外力に対して耐久性の高い電子部品実装配線基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の発明は、絶縁性基材の一方の面に形成され、実装部を備えた第一導体層と、前記第一導体層と接続する導電性接合部と、前記導電性接合部と接続する端子を備えた電子部品と、前記絶縁性基材の他方の面のうち前記実装部に対応する部分を含む所定領域に設けられた補強層と、を有することにより上記課題を解決する。
【0007】
また、第二の発明は、絶縁性基材の一方の面に形成され、実装部を備えた第一導体層と、前記第一導体層と接続する導電性接合部と、前記導電性接合部と接続する端子を備えた電子部品と、前記実装部を囲む前記絶縁性基材の一方の面の所定領域及び/又は前記絶縁性基材の他方の面のうち前記実装部に対応する部分を囲む所定領域に設けられた補強層と、を有することにより上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0008】
第一の発明では、絶縁性基材の他方の面のうち、電子部品の実装部に対応する部分を含む所定領域に補強層を設けたので、基板に曲げ方向の外力が加えられた場合に、補強層により対抗することができる。これにより、電子部品の接合界面に集中するのを防止し、曲げ方向の外力に対する耐久性の高い電子部品実装配線基板を提供することができる。
また、第二の発明では、実装部を囲む絶縁性基材の一方の面の所定領域及び/又は絶縁性基材の他方の面のうち実装部に対応する部分を囲む所定領域に補強層を設けたので、基板に曲げ方向の外力が加えられた場合に、補強層にて対抗することができる。これにより、電子部品の接合界面に集中するのを防止し、曲げ方向の外力に対する耐久性が高い電子部品実装配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】本発明の第1実施形態に係る電子部品実装配線基板の実装部周辺を示す平面図である
【図1B】図1AのIB-IB線に沿う断面図である。
【図2A】同実施形態に係る電子部品実装配線基板の製造方法を示す断面工程図(その1)である。
【図2B】同実施形態に係る電子部品実装配線基板の製造方法を示す断面工程図(その2)である。
【図2C】同実施形態に係る電子部品実装配線基板の製造方法を示す断面工程図(その3)である。
【図2D】同実施形態に係る電子部品実装配線基板の製造方法を示す断面工程図(その4)である。
【図2E】同実施形態に係る電子部品実装配線基板の製造方法を示す断面工程図(その5)である。
【図2F】同実施形態に係る電子部品実装配線基板の製造方法を示す断面工程図(その6)である。
【図2G】同実施形態に係る電子部品実装配線基板の製造方法を示す断面工程図(その7)である。
【図3A】第1実施形態の変形例に係る電子部品実装配線基板の実装部周辺を示す平面図である
【図3B】図3AのIIIB-IIIB線に沿う断面図である。
【図4A】本発明の第2実施形態に係る電子部品実装配線基板の実装部周辺を示す平面図である
【図4B】図4AのIVB-IVB線に沿う断面図である。
【図5A】本発明の第2実施形態の変形例に係る電子部品実装配線基板の実装部周辺を示す平面図である
【図5B】図5AのVB−VB線に沿う断面図である。
【図6A】本発明の第1実施形態に係る実装基板の断面を、電子顕微鏡によって撮影した画像である。
【図6B】図6Aにおいて、銅の分布を示した図である。
【図6C】図6Aにおいて、銀の分布を示した図である。
【図7A】第二導体層内部の元素分析を行なった結果を示す図である。
【図7B】第二導体層と半田層との界面近傍で元素分析を行なった結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
《第1実施形態》
以下、図面に基づいて本実施形態の電子部品実装配線基板1を説明する。
図1A及び図1Bに示すように、本実施形態の電子部品実装配線基板1は、絶縁性基材10と、この絶縁性基材10の一方の面10aに形成され、実装部21bを備えた第一導体層21と、実装部21bの上に形成された第二導体層22と、第二導体層22の上に形成された半田層30(30A,30Bを含む)と、半田層30と接続する電極端子などの端子41Bを備えた電子部品40と、電子部品40と絶縁性基材10との間に形成された空間50に充填された樹脂部60と、第一導体層21と第二導体層22の露出面に形成されたレジスト層70と、実装部21bの絶縁性基材10の他方の面10Rを含む、この他方の面10Rの所定領域80aに設けられた補強層80と、を備えている。
【0011】
本実施形態における絶縁性基材10は、ポリエチレンテレフタレートPETやポリエチレンナフタレートPENなどの可撓性を有し、厚さが10μm〜250μmの樹脂製シートである。
【0012】
この絶縁性基材10の主面には、LED(Light Emitting Diode)、抵抗、ダイオード(Diode)その他の電子部品40が実装される実装部21bを備える第一導体層21が形成されており、さらに、この実装部21bの上には第二導体層22が形成されている。これら第一導体層21と第二導体層22の厚さは、例えば1〜100μmであり、導電性ペーストを用いたスクリーン印刷により形成される。
【0013】
また、第一導体層21と第二導体層22は、両者の抵抗値が近く、また界面で生じる化学反応が極力抑制される材料からそれぞれ構成されることが好ましい。本実施形態の第一導体層21は少なくとも銀を含む第一部材からなり、第二導体層22は少なくとも銅を含む第二部材からなる。第一部材としては、銀に加え、白金、金、ニッケル、パラジウム等が含まれた合金を用いることができ、第二導体層22としては、銅に加え、銀、金、白金、ニッケル、パラジウム等が含まれた合金を用いることができる。
【0014】
また、図1A,図1Bに示すように、第一導体層21の実装部21bとその周囲を除いた部分や第二導体層22の端部などの露出部分は、レジスト層70により被覆され、保護されている。
【0015】
レジスト層70は、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂をベースにしたカーバーコートインクを用いて、スクリーン印刷により形成される。レジスト層70の厚さは、適用する電子機器等に応じて適宜設定できるが、例えば20μm〜40μmである。電子部品40を実装するため、レジスト層70が厚すぎると、実装特性(接続性や機械強度等)が低下する恐れがある。一方、レジスト層70が薄すぎると、レジストとしての特性を満たすことが困難となる。
【0016】
このように、第一導体層21と第二導体層22の露出面を覆うレジスト70を設けたことにより、電気の導通部分(第一導体層21、第二導体層22および半田層30の接続部位)に水分が浸入することを防止することができ、耐マイグレーション特性の向上を図ることができる。
【0017】
また、同図に示すように、電子部品40の下側の面40a(実装面)と絶縁性基材10の一方の面10Rとの間、及び対向する2つの半田層30A,30Bの間に形成される空間50には樹脂が充填され、樹脂部60が形成されている。この樹脂部60により電子部品40と絶縁性基材10とが接着されるので、電子部品実装配線基板1の構造を補強することができる。
【0018】
さらに、同図に示すように、第二導体層22の上には、半田層30が形成されている。半田層30は、電子部品40の端子41と第一導体層21及び第二導体層22とを電気的に接続させる。本実施形態の半田層30は、少なくとも錫を含む第三部材からなる。第三部材としては、錫に加え、ビスマスBiを更に含むものが好ましい。特に、端子41が錫を含む場合は、錫と相性のよい、Sn−Bi系半田、例えば組成比がSn/Bi=58/42のSn42Bi58半田を用いることが好ましい。なお、Biの含有量は適宜に設定することができる。また、絶縁性基材10がPET等のフィルムであるメンブレン基板に電子部品40を半田付けする場合は、融点が165℃以下であるSn−Bi系低融点半田を用いることが好ましい。なぜなら、通常の鉛フリー半田は、融点が180℃以上と高温であるため、絶縁性基材10や電子部品40にダメージを与える恐れがあるからである。
【0019】
また、錫を含む半田層30は、銀を含む第一部材から構成された第一導体層21とのぬれ性が悪いものの、銅を含む第二部材から構成された第二導体層22とのぬれ性は良好である。このように銀を含む第一部材から構成された第一導体層21と錫を含む半田層30との間に、銅を含む第二部材から構成された第二導体層22を介在させたことにより、半田層30と第一導体層21との電気的接続の信頼性を向上させることができる。また、錫を含んだ半田層30と銀を含んだ第一導体層21とが接触しないので、ガルバニック腐食の発生を防止することができる。
【0020】
さらに、第一導体層21に含まれる銀と第二導体層22に含まれる銅の抵抗値が近く、第一導体層21と第二導体層22との接触界面で化学反応が生じにくいため、電気的接続の信頼性を向上させることができる。
なお、第二導体層22及び半田層30は、導電性ペーストなどを用いて導電性接合部として形成してもよい。この場合、導電性接合部は、第一導体層21と電子部品40の端子41と電気的に接続される。
【0021】
続いて、補強層80について説明する。図1A,図1Bに示すように、本実施形態の電子部品実装配線基板1は、絶縁性基材10の他方の面のうち実装部21bに対応する部分を含む所定領域80aに設けられた補強層80を備えている。つまり、本実施形態の電子部品実装配線基板1は、絶縁性基材10において、実装部21bの裏面となる他方の面10Rの所定領域に、絶縁性基材10とは異なる補強層80を備えている。
【0022】
補強層80は、光硬化性樹脂を用いたスクリーン印刷により形成される。補強層80の厚さは、絶縁性基材10の厚さ、電子部品40の大きさなどに応じて適宜設定することができるが、10μm〜500μm、又は50μm〜300μmとすることが好ましい。
【0023】
また、補強層80の材料としては、紫外線硬化性樹脂のほか、可視光硬化性樹脂、可視光乃至近赤外線硬化性樹脂などの光硬化性樹脂を用いることが好ましい。光硬化性樹脂を用いることにより、加熱工程を経ることなく補強層80を形成することができるため、電子部品10に熱によるダメージを与えることがない。また、同様の観点から、光硬化性樹脂のほか、常温で硬化する二液性の硬化樹脂、例えば、2液ウレタン樹脂、2液エポキシ樹脂を用いてもよい。
【0024】
また、補強層80が設けられる所定領域の形状は、特に限定されないが、その所定領域の外縁が、電子部品40の実装位置の中心に対して点対称又は中心を通る直線に対して線対称であることが好ましい。例えば、図1Aに示す電子部品40の実装位置の中心位置Qを基準に点対称となる円形や多角形などの線形により所定領域を設定してもよいし、図1Aに示す電子部品の実装位置の中心位置Qを通る直線x,yに対して線対称となる円形や多角形などの線形により所定領域を設定してもよい。
【0025】
本実施形態のように、電子部品40が実装される実装部21bの裏面である絶縁性基材10の他方の面10Rの所定領域に補強層80を設けることにより、絶縁性基材10に大きな外力が加わっても、これを補強層80で受けることができる。したがって、曲げ応力が電子部品40の実装部21bに集中することを防止でき、応力集中によって生じる回路欠損や断線不良を防止し、電子部品実装配線基板1の曲げ方向の外力に対する耐久性を向上させることができる。
また、本実施形態の補強層80は、絶縁性基板10に対して接着性を有する未硬化の光硬化性樹脂などを塗布したのち硬化させるので、別の補強板を絶縁性基板10に接着剤を用いて貼り付ける方法に比べて製造工程が簡易となり、製造コストを低減することができる。
【0026】
特に、絶縁性基材10が柔らかく可とう性が高い場合において、絶縁性基材10に曲げ方向の外力が作用し、絶縁性基材10は曲げ方向の外力に追従することができるが、実装部21bにおいて電子部品40等と接合する半田層30は硬く、曲げ方向の外力に追従することができない。その結果、半田層30及びその接合界面に応力が集中するため、接合界面や第一導体層21の基板回路に亀裂が発生し、最終的には回路が断線してしまう恐れがある。これに対し、本実施形態の電子部品実装配線基板1は、補強層80により電子部品40の実装部21bに応力が集中することを防止できるので、電子部品実装配線基板1の曲げ方向の外力に対する耐久性を向上させ、断線不良を防止することができる。
【0027】
一般に、電子部品実装配線基板1に加わる曲げ方向の力が大きいほど、電子部品実装配線基板1の電気的性能に与える影響が大きい。具体的に、電子部品実装配線基板1を異なる曲率の円筒状の曲げ冶具に沿わせた場合に、その前後において接続抵抗値の変化を観察すると、円筒状の曲げ冶具の断面の直径Rが小さくなるほど接続抵抗値の上昇が大きくなる傾向がある。つまり、電子部品実装配線基板1に大きな曲げ方向の外力が加わったとき、電子部品実装配線基板1の電気的性能に悪影響が生じるおそれがある。これに対し、本実施形態の電子部品実装配線基板1は、補強層80を備えるので、曲げ方向の外力を与えても曲がり難いため、曲げ方向の外力によって生じる電気的性能の劣化を抑制することができる。
【0028】
以上のように、本実施形態に係る電子部品実装配線基板1は、曲げ方向の外力に対して良好な耐久性を示すので、量産時に製品を扱う場面において、オペレータの作業により与えられる力、又は製品組み立て時に与えられる力によって生じる不良品の発生を抑制することができる。
【0029】
また、電子部品40の実装位置を基準として点対称又は線対称な所定領域に補強層80を設けることにより、絶縁性基材10に作用した外力により生じた応力をバランスよく分散させることができ、絶縁性基材10に実装された電子部品40の実装部21bにかかる応力を緩和することができる。
【0030】
次に製造方法を説明する。
まず、図2Aに示すように、絶縁性基材10の一方の面10aに、銀を含む導電性ペーストなどの第一部材を、例えばスクリーン印刷で塗布し、加熱乾燥させ、実装部21bを備える第一導体層21を形成する。
【0031】
次に、図2Bに示すように、第一導体層21の実装部21b上に、銅を含む導電性ペーストなどの第二部材を、例えばスクリーン印刷で塗布し、加熱乾燥させ、第二導体層22を形成する。
【0032】
次に、図2Cに示すように、第二導体層22の半田層30を塗布する部分を除き、第一導体層21と第二導体層22の露出面を被覆するようにレジスト材料をスクリーン印刷で印刷し、その後、加熱乾燥させてレジスト層70を形成する。
【0033】
次に、図2Dに示すように、電子部品40が実装される領域に、スクリーン印刷もしくはディスペンサーで樹脂を塗布し、樹脂層60を形成する。
【0034】
次に、図2Eに示すように、第二導体層22の上に、例えばスクリーン印刷やディスペンサーにより、錫を含むSn/Bi系低融点半田材料などの第三部材を塗布し、半田層30を形成する。
【0035】
次に、図2Fに示すように、半田層30が形成された位置に電子部品40の端子41の位置を合わせてマウントし、加熱工程を経て電子部品40を実装する。
【0036】
次に、図2Gに示すように、電子部品40が実装された基板1を裏返し、電子部品40の実装部21bの裏側となる、他方の面10Rの所定領域に光硬化性樹脂をスクリーン印刷で印刷し、その後、所定波長の光を照射し、補強層80を形成する。
【0037】
以上の工程により、本実施形態の電子部品実装配線基板1を得ることができる。
【0038】
<変形例>
図3A,3Bは、本実施形態の変形例に係る他の電子部品実装配線基板1の一例を示す図である。図3Aは平面図、図3Bは断面図である。
【0039】
図3A,3Bに示す電子部品実装配線基板1は、2つの補強層80を備えている。同図に示すように、本変形例では、電子部品40の端子41と接する各半田層30A及び30Bの位置に相当する実装部21b1と21b2の各裏面側に、それぞれ補強層80が設けられている。
【0040】
本例のように、補強層80は、連続した一の所定領域ではなく、分割された複数の所定領域に設けてもよい。この場合においても、その各所定領域80aの外縁が、電子部品40の実装位置の中心に対して点対称又は中心を通る直線に対して線対称であることが好ましい。
【0041】
《第2実施形態》
続いて、第2実施形態について説明する。
図4A,4Bは、第2実施形態に係る他の電子部品実装配線基板1の一例を、示す図である。図4Aは平面図、図4Bは断面図である。
【0042】
図4A,4Bに示す電子部品実装配線基板1は、絶縁性基材10の他方の面10Rのうち実装部21bに対応する部分を囲む所定領域80bに設けられた補強層80を備えている。同図に示すように、本実施形態の補強層80は、実装部21bの絶縁性基材10の他方の面10Rの所定領域80aには形成されておらず、実装部21bを囲む所定領域80bに設けられている。この場合においても、その各所定領域80bの外縁が、電子部品40の実装位置の中心に対して点対称又は中心を通る直線に対して線対称であることが好ましい。
【0043】
このように、本実施形態の補強層80は、実装部21bの絶縁性基材10の他方の面10Rの所定領域80a、つまり電子部品10の裏側には形成されていないので、補強層80の形成過程において多少の加熱が許容される。つまり、光硬化性樹脂に限定されず、低温硬化型の樹脂を用いて補強層80を形成することができる。また、光硬化性樹脂や常温において硬化する二液性の硬化樹脂を用いる場合であっても若干の加熱により、硬化速度を上げて処理時間を短縮させることができる。
【0044】
<変形例>
図5A,5Bは、本実施形態の変形例に係る他の電子部品実装配線基板1の一例を示す図である。図5Aは平面図、図5Bは断面図である。
【0045】
図5A,5Bに示す電子部品実装配線基板1は、実装部21bを囲む絶縁性基材10の一方の面10aの所定領域80bに設けられた補強層80を備えている。図4A,4Bに示す本実施形態の電子部品実装配線基板1と同様に、本例の補強層80は、実装部21bに対応する所定領域80aには形成されておらず、実装部21bを囲む所定領域80bに設けられている。ただし、図4A,4Bに示す本実施形態の電子部品実装配線基板1とは異なり、補強層80が電子部品40の実装面と同じ絶縁性基材10の一方の面10a側に形成されている。この場合においても、その各所定領域80bの外縁が、電子部品40の実装位置の中心に対して点対称又は中心を通る直線に対して線対称であることが好ましい。
【0046】
本例の補強層80は、前述した本実施形態の電子部品実装配線基板1と同様に、補強層80の形成過程において多少の加熱が許容されるとともに、絶縁性基材10の他方の面10Rを平坦に保ち、電子部品実装配線基板1の高さを低く抑えることができ、設計上の自由度を拡大することができる。
【0047】
《第3実施形態》
続いて、第3実施形態について説明する。
【0048】
上述した第1実施形態及び第2実施形態の電子部品実装配線基板1では、第二導体層22を形成する第二部材として、さらに銀を含むものを用いることができる。この銀を含む第二部材としては、例えば銀メッキ銅粉が挙げられる。この銀メッキ銅粉は、銅粉が銀メッキでコーティングされているので、銅粉の酸化が抑制される。このため、導電性の向上が図れる。図6Aは、第二導体層22として銀メッキ銅粉を用いて作製された第1実施形態の電子部品実装配線基板1において、その断面を電子顕微鏡で撮影して得られた画像である。撮影倍率は、2000倍である。
【0049】
図6Bは、図6Aにおいて、銅の分布を検出した図である。図6Cは、図6Aにおいて、銀の分布を検出した図である。また、図7Aは、銀メッキ銅粉を用いて作製された第二導体層22に関し、その内部の元素分析を行なった結果ある。図7Bは、銀メッキ銅粉を用いて作製された第二導体層22と半田層30との界面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、エネルギー分散型X線分光法(EDS)を用いて元素分析を行う、SEM−EDS組成分析により行なった結果である。
【0050】
図6A〜6C及び図7A〜7Bに示すように、銀メッキ銅粉を用いて第二導体層22を作製した場合では、第二導体層22と半田層30との界面には、銀が存在していない。したがって、第二導体層22をなす第二部材として、銀メッキ銅粉を用いた場合は、第二導体層22と半田層30との間でガルバニック腐食が生じるのを抑制できる。さらには、銅粉の酸化を防止することで、導電性の向上が図ることができる。
【0051】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0052】
1…電子部品実装配線基板
10…絶縁性基材
10a…絶縁性基材の一方の面(表面)
10R…絶縁性基材の他方の面(裏面)
21…第一導体層
21b…実装部
22…第二導体層,導電性接合部
30(30A、30B)…半田層,導電性接合部
40…電子部品
41(41A、41B)…端子
42…電子部品の本体
50…空間
60…樹脂部
70…レジスト層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基材の一方の面に形成され、実装部を備えた第一導体層と、
前記第一導体層と接続する導電性接合部と、
前記導電性接合部と接続する端子を備えた電子部品と、
前記絶縁性基材の他方の面のうち前記実装部に対応する部分を含む所定領域に設けられた補強層と、を有する電子部品実装配線基板。
【請求項2】
絶縁性基材の一方の面に形成され、実装部を備えた第一導体層と、
前記第一導体層と接続する導電性接合部と、
前記導電性接合部と接続する端子を備えた電子部品と、
前記実装部を囲む前記絶縁性基材の一方の面の所定領域及び/又は前記絶縁性基材の他方の面のうち前記実装部に対応する部分を囲む所定領域に設けられた補強層と、を有する電子部品実装配線基板。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子部品実装配線基板であって、
前記所定領域の外縁は、前記電子部品の実装位置の中心に対して点対称又は前記中心を通る直線に対して線対称である電子部品実装配線基板。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の電子部品実装配線基板であって、
前記導電性接合部は、前記実装部の上に形成された第二導体層と、前記第二導体層の上に形成された半田層とを有する電子部品実装配線基板。
【請求項5】
請求項4に記載の電子部品実装配線基板であって、
前記第一導体層は、銀を含む第一部材からなり、
前記第二導体層は、銅を含む第二部材からなり、
前記半田層は、錫を含む第三部材からなることを特徴とする電子部品実装配線基板。
【請求項6】
請求項5に記載の電子部品実装配線基板であって、
前記第二部材は、さらに銀を含むことを特徴とする電子部品実装配線基板。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の電子部品実装配線基板であって、
前記電子部品と前記絶縁性基材との間に形成された空間に樹脂層が形成されていることを特徴とする電子部品実装配線基板。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載の電子部品実装配線基板であって、
前記第一導体層の露出面にレジスト層が形成されていることを特徴とする電子部品実装配線基板。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項に記載の電子部品実装配線基板であって、
前記補強層は、光硬化性樹脂からなることを特徴とする電子部品実装配線基板。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【公開番号】特開2011−9397(P2011−9397A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150595(P2009−150595)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】