説明

電子部品装着方法及びその装置

【課題】供給ステージの電子部品載置面を傾斜可能に設けるとともに、電子部品を吸着するピッカの電子部品吸着面を傾斜角度に傾斜して設けて、搭載ヘッドに設ける駆動軸を少なくし、電子部品装着装置のコンパクト化、装着の高速化を可能とする電子部品装着方法及び電子部品装着装置を提供する。
【解決手段】基板1上面に対して電子部品2を所定の傾斜角度で位置合わせして装着する電子部品装着方法及び装置に次の手段を採用する。第1に、装着しようとする電子部品を載置する供給ステージ31の電子部品載置面17を上記傾斜角度に傾斜可能に設ける。第2に、電子部品を吸着するピッカ19の電子部品吸着面を前記傾斜角度に傾斜して設ける。第3に、供給ステージに載置された電子部品を前記傾斜角度に傾斜してから、ピッカで吸着して基板に装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上面に対して電子部品を所定の傾斜角度で位置合わせして装着する電子部品装着方法及び電子部品装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に電子部品を装着する際に、水平な基板に電子部品を傾斜させて、基板と電子部品の間に一定の角度をもたせて装着するという要求がある。しかし、この要求に適正に対応できる装置は存在しなかった。
【0003】
基板の反りなどに対応して電子部品を装着するのに、その基板の反った傾斜面に電子部品を装着する方法及びその装置が、特許文献1に示されている。そもそも特許文献1に示される電子部品装着装置は、基板と電子部品の装着面同志を平行にして装着しようとするものであるが、この方法及び装置を用いて基板の水平面に電子部品を傾斜した状態で装着しようとすると、水平な電子部品載置面に準備された電子部品を装着ヘッドで吸着して、該装着ヘッドを所定角度に傾斜させることになる。
【0004】
このような装置では、装着ヘッドに4つの駆動軸を設ける必要があり、電子部品装着装置が複雑で重量のあるものとなり、コンパクト化、高速化という装置の現代的要求に応えられるものではなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2006−24619号公開特許公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するため、供給ステージの電子部品載置面を傾斜可能に設けるとともに、電子部品を吸着するピッカの電子部品吸着面を傾斜角度に傾斜して設けて、装着ヘッドに設ける駆動軸を少なくし、電子部品装着装置のコンパクト化、装着の高速化を可能とする電子部品装着方法及び電子部品装着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、上記課題を解決するため、基板上面に対して電子部品を所定の傾斜角度で位置合わせして装着する電子部品装着方法に次の手段を採用する。
第1に、装着しようとする電子部品を載置する供給ステージの電子部品載置面を上記傾斜角度に傾斜可能に設ける。
第2に、電子部品を吸着するピッカの電子部品吸着面を前記傾斜角度に傾斜して設ける。
第3に、供給ステージに載置された電子部品を前記傾斜角度に傾斜してから、ピッカで吸着して基板に装着する。
【0008】
第2の発明は、第1の発明に、第1の発明におけるピッカを第1の発明での電子部品吸着面と直交する軸を中心に回動可能に設け、基板と電子部品との位置合わせ時に、前記ピッカを回動することに伴い発生する上下方向のズレ量を補正するようにした点を付加した電子部品装着方法である。
【0009】
第3の発明は、電子部品を載置する供給ステージと、上面に基板を指示する基板ステージと、電子部品を吸着可能なピッカを有し供給ステージに載置された電子部品を基板ステージ上の基板に装着する装着ヘッドとを備え、電子部品を基板の上面に対して所定の傾斜角度で位置合わせして装着する装着装置であって、前記供給ステージの電子部品載置面を前記傾斜角度に傾斜可能に設けるとともに、前記装着ヘッドにおける前記ピッカの電子部品吸着面を前記傾斜角度に傾斜するように設けたことを特徴とする電子部品装着装置である。
【0010】
第4の発明は、第3の発明に、前記基板ステージ上方に撮像手段を設け、撮像手段の画像に基づいて、ピッカに吸着された電子部品と基板とを撮像して位置合わせをする点を付加した電子部品装着装置であり、第5の発明は、第3の発明または第4の発明に、供給ステージ上に電子部品を供給する電子部品供給手段を設け、供給ステージは該電子部品供給手段により電子部品が供給される際には電子部品載置面は水平とし、ピッカにより電子部品を取り上げる際には、電子部品載置面を傾斜した状態にした点を付加した電子部品装着装置である。
【0011】
第6の発明は、第3の発明または第4の発明または第5の発明に、前記ピッカを前記電子部品吸着面と直交した軸を中心にして回動する回動手段を介して装着ヘッドに設けるとともに、装着ヘッドと基板ステージとの相対高さを変更する上下動手段を設け、基板と電子部品の位置合わせ時に前記回動手段によりピッカを回動したときの上下方向のズレ量を前記上下動手段により補正するようにした点を付加した電子部品装着装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、電子部品の供給ステージの電子部品載置面を所望の傾斜角度に傾斜可能に設け、更に、電子部品を吸着するピッカの電子部品吸着面をその傾斜角度に傾斜して設けることにより、装着ヘッドに設ける駆動軸を少なくすることができる電子部品装着方法及び電子部品装着装置となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に従って、実施例と共に本発明の実施の形態について説明する。図1は、実施例にかかる電子部品装着装置の概略を示す全体正面説明図であり、図2は、同装置の概略を示す全体平面説明図である。
【0014】
実施例にかかる電子部品装着装置は、基板1の上面に対して電子部品2を所定の傾斜角度で位置合わせして装着する装置である。具体的には、図6(イ)、(ロ)に示されるように基板1に対して電子部品2を傾斜させた上、接合剤27を介して装着する装置である。電子部品装着装置を図1及び図2に従って、その概要を説明すると、電子部品供給部3と、電子部品中継部4と、電子部品装着部5とが設けられている。
【0015】
電子部品装着装置には、電子部品供給部3と、電子部品中継部4と、電子部品装着部5の各部の上方に、位置ズレ検出のための第1のカメラ6,第2のカメラ7,第3のカメラ8が設置され、更に、電子部品供給部3と電子部品中継部4の間で電子部品2の移送を行う中継ヘッド9、電子部品中継部4より電子部品2を受け取って基板1に装着する装着ヘッド10及び接合剤27を塗布するディスペンサ11、接合剤27を硬化させる紫外線を照射するUV照射器20が装備されている。
【0016】
電子部品供給部3は、X軸方向(図2中左右方向)及びY軸方向(図2中上下方向)へ移動可能なXYテーブル30よりなり、XYテーブル30の上面には、別途搬送されてきた電子部品2が載置される。
【0017】
電子部品中継部4の詳細は、図3及び図4に示されている。電子部品中継部4は、本発明における供給ステージとなる中継ステージ31と、中継ステージ31をY軸方向へ移動可能とするY軸駆動機構32と、中継ステージ31を傾斜させる傾斜機構33を有している。図中符号34は、Y軸駆動モータであり、符号35は、傾斜駆動モータである。
【0018】
傾斜機構33の詳細は図示されていないが、傾斜機構33に、傾斜駆動モータ35により回動するボールねじを設け、他方、中継ステージ31の底面を、側面円弧形の曲面に形成し、この底面にボールねじとの係合部を設け、該係合部とボールねじを係合させ、ボールねじの回動により中継ステージ31が傾斜するように構成されている。
【0019】
中継ステージ31の上面は、電子部品載置面17とされている。電子部品載置面17は、中継ステージ31の傾斜機構33により基板1に対して装着しようとする電子部品2の所望の傾斜角度に傾斜させられる。このため、電子部品載置面17の中央部には吸着穴38が形成されている。吸着穴38は、図示しない吸引装置と接続され、電子部品載置面17に載置された電子部品2を吸着保持し、落下することを防止している。
【0020】
電子部品装着部5は、基板1が載置される基板ステージ12と、該基板ステージ12をX軸方向及びY軸方向へ移動させるX軸駆動機構13、Y軸駆動機構14とを備えている。尚、基板ステージ12には、上端に高さ基準面15を有する接触式変位計16が備え付けられている。
【0021】
中継ヘッド9は、図示しない吸引装置と接続されたピックアップノズル36と、該ピックアップノズル36を昇降させるZ軸駆動機構37、ピックアップノズル36をXYテーブル30より中継ステージ31まで移動させる移動機構を有している。
【0022】
装着ヘッド10は、図5に詳細に示されるように、取付板23に上下動手段としてのZ軸駆動機構24と回動手段としてのθ軸駆動機構25を介して図示しない吸引装置と接続されたピッカ19とレーザ変位計18とを取り付けたもので、該取付板23は、X軸駆動機構22に装備されている。従って、装着ヘッド10は、X軸方向(図1、図2中左右方向)に移動可能である。尚、装着ヘッド10付近にはUV照射器20が設置されている。UV照射器20は、接合剤27を硬化させ電子部品2を基板1に装着するための紫外線を照射するものであり、図5に示されるようにピッカ19の電子部品吸着面21付近を照射できるように設置されており、電子部品2の装着時に基板1と電子部品2の間の接合剤27を照射する。
【0023】
Z軸駆動機構24は、取付板23に固定され、Z軸駆動機構24のボールねじ29にナット部材40が装着されている。Z軸駆動機構24のZ軸駆動モータが動作し、ボールねじ29が回動すると、ボールねじ29に装着されているナット部材40は上下動する。
【0024】
θ軸駆動機構25は、ナット部材40に傾斜角変更ブロック28を介して固定され、ピッカ19の電子部品吸着面21と直交する方向に設けた回転軸39を中心にピッカ19を回動自在に装着したものである。
【0025】
ピッカ19の先端部には電子部品吸着面21が形成されている。電子部品吸着面21は、供給ステージである中継ステージ31の電子部品載置面17の傾斜角度に傾斜している。この傾斜角度は、傾斜角変更ブロック28により決定される。従って傾斜角変更ブロック28を交換することにより、異なる傾斜角に変更することができる。電子部品吸着面21を有するピッカ19の先端部は、装着される電子部品2の種類に対応して変更できるよう交換アタッチメント26とされている。従って、交換アタッチメント26の先端が電子部品吸着面21となる。
【0026】
次に本実施例にかかる電子部品装着装置による装着方法を図1に従って説明する。第1段階として、中継ヘッド9のピックアップノズル36にてピックアップしようとする電子部品2がピックアップ位置に至るようにXYテーブル30がX軸方向及びY軸方向に移動する。ピックアップ位置では第1のカメラ6が、電子部品2を撮像し、位置ズレを検出し、この位置ズレをXYテーブル30にて補正する。
【0027】
第2段階として、位置ズレの補正の間に、ピックアップノズル36が、ピックアップ位置に移動し、下降してXYテーブル30上の電子部品2をピックアップする。その後、ピックアップノズル36は、上昇し、XYテーブル30と反対側X軸方向に配置されている中継ステージ31上方に至り、下降して中継ステージ31に電子部品2を載置する。このとき中継ステージ31の電子部品載置面17は水平状態である。
【0028】
第3段階として、中継ステージ31をY軸方向に移動させるとともに、中継ステージ31の電子部品載置面17を電子部品2を装着する所定の傾斜角度に傾斜させる。この時点で第2のカメラ7により中継ステージ31上の電子部品2を撮像し位置ズレを検出する。
【0029】
第4段階として、第2のカメラ7での撮像までに、電子部品装着部5では、レーザ変位計18で基板1の上面の高さを測定しておき、第2のカメラ7での撮像後ただちに装着ヘッド10は、中継ステージ31上に移動し、下降して、電子部品2をピッカ19で吸着する。尚、吸着前に装着ヘッド10のX軸駆動機構22と中継ステージ31のY軸駆動機構32により第2のカメラ7で検出した位置ズレを補正している。また、このとき、電子部品装着部5では、ディスペンサ11が基板1に接合剤を塗布する。
【0030】
第5段階として、その後、電子部品2を吸着保持したピッカ19は、電子部品装着部5の装着位置上方の装着理想位置に移動する。尚、ピッカ19の電子部品吸着面21はあらかじめ電子部品2を装着する傾斜角度に設定されている。この時点で、第3のカメラ8が、基板1のアライメントマークと電子部品2を合わせて撮像し、両者の位置ズレを検出して、X軸方向、Y軸方向、θ軸方向及びZ軸方向の各移動量を算出する。この位置ズレをピッカ19及び基板ステージ12を相対移動させて補正する。尚、θ軸方向の位置ズレを検出した場合にはθ軸方向の移動に伴い生じるZ軸方向のズレを補正するようにしている。
【0031】
第6段階として、第4段階で測定した基板1の上面の高さにもとづいて、ピッカ19は下降して、電子部品2を基板1上面に対して所定の角度を保って接合剤27に押しつけて、UV照射器20により、UV照射を行い、接合剤27を硬化させて装着を完了する。尚、ピッカ19による装着中(上記第4段階から第6段階までの工程)に、電子部品供給部3及び中継ステージ31での工程(上記第1段階から第5段階までの工程)を並行して進めている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施例にかかる電子部品装着装置の概略を示す全体正面説明図
【図2】同装置の概略を示す全体平面説明図
【図3】電子部品中継部を示す側面説明図
【図4】電子部品中継部を示す平面説明図
【図5】ピッカの取付状態を示す説明図
【図6】基板に対する電子部品の装着状態を示す説明図で、(イ)は側面説明図であり、(ロ)は平面説明図である。
【符号の説明】
【0033】
1・・・基板
2・・・電子部品
3・・・電子部品供給部
4・・・電子部品中継部
5・・・電子部品装着部
6・・・第1のカメラ
7・・・第2のカメラ
8・・・第3のカメラ
9・・・中継ヘッド
10・・・装着ヘッド
11・・・ディスペンサ
12・・・基板ステージ
13・・・X軸駆動機構
14・・・Y軸駆動機構
15・・・基準面
16・・・接触式変位系
17・・・電子部品搭載面
18・・・レーザ変位計
19・・・ピッカ
20・・・UV照射器
21・・・電子部品吸着面
22・・・X軸駆動機構
23・・・Y軸駆動機構
24・・・Z軸駆動機構
25・・・θ軸駆動機構
26・・・交換アタッチメント
27・・・接合剤
28・・・傾斜角変更ブロック
29・・・ボールねじ
30・・・XYテーブル
31・・・中継ステージ
32・・・Y軸駆動機構
33・・・傾斜機構
34・・・Y軸駆動モータ
35・・・傾斜駆動モータ
36・・・ピックアップノズル
37・・・Z軸駆動機構
38・・・吸着穴
39・・・回転軸
40・・・ナット部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上面に対して電子部品を所定の傾斜角度で位置合わせして装着する装着方法であって、
装着しようとする電子部品を載置する供給ステージの電子部品載置面を前記傾斜角度に傾斜可能に設けるとともに、
電子部品を吸着するピッカの電子部品吸着面を前記傾斜角度に傾斜して設け、
供給ステージに載置された電子部品を前記傾斜角度に傾斜してから、ピッカで吸着して基板に装着することを特徴とする電子部品装着方法。
【請求項2】
前記ピッカを前記電子部品吸着面と直交する軸を中心に回動可能に設け、
基板と電子部品との位置合わせ時に、前記ピッカを回動することに伴い発生する上下方向のズレ量を補正するようにした請求項1に記載の電子部品装着方法。
【請求項3】
電子部品を載置する供給ステージと、上面に基板を支持する基板ステージと、電子部品を吸着可能なピッカを有し供給ステージに載置された電子部品を基板ステージ上の基板に装着する装着ヘッドとを備え、電子部品を基板の上面に対して所定の傾斜角度で位置合わせして装着する装着装置であって、
前記供給ステージの電子部品載置面を前記傾斜角度に傾斜可能に設けるとともに、前記装着ヘッドにおける前記ピッカの電子部品吸着面を前記傾斜角度に傾斜するように設けたことを特徴とする電子部品装着装置。
【請求項4】
前記基板ステージ上方に撮像手段を設け、撮像手段の画像に基づいて、ピッカに吸着された電子部品と基板とを撮像して位置合わせをする請求項3に記載の電子部品装着装置。
【請求項5】
供給ステージ上に電子部品を供給する電子部品供給手段を設け、供給ステージは該電子部品供給手段により電子部品が供給される際には電子部品載置面は水平とし、ピッカにより電子部品を取り上げる際には、電子部品載置面を傾斜した状態にした請求項3または4に記載の電子部品装着装置。
【請求項6】
前記ピッカを前記電子部品吸着面と直交した軸を中心にして回動する回動手段を介して装着ヘッドに設けるとともに、装着ヘッドと基板ステージとの相対高さを変更する上下動手段を設け、基板と電子部品の位置合わせ時に前記回動手段によりピッカを回動したときの上下方向のズレ量を前記上下動手段により補正するようにした請求項3から5のいずれかに記載の電子部品装着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−40684(P2010−40684A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200385(P2008−200385)
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】