説明

電子部品装着装置

【課題】プリント基板への装着時に電子部品が吸着ノズルから離れない持ち帰り現象が極力起こらないようにして、プリント基板の生産性の向上を図ること。
【解決手段】吸着ノズル18は下端部の吸着筒部20とこれに接続固定された本体筒部21とから構成され、円柱状の吸着筒部20の中央部には吸引通路20Aが形成されると共に側面には下端部から中間部まで延びた一対の平行な平面部20Bが形成され、また前記本体筒部21の中央部には一端が真空源(図示せず)に連通すると共に他端が前記吸引通路20Aに連通する吸引通路21Aが形成されている。そして、吸着ノズル18が真空源による真空吸引によって電子部品25を吸着している状態でも、外気を前記吸引通路20A及び21Aに導入すべく前記吸着ノズル18の下端部から上方に向けて延びたスリット22が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空源に連通する吸引通路が形成された吸着ノズルにより部品供給装置から取り出した電子部品をプリント基板上に装着する電子部品装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電子部品装着装置は、例えば特許文献1などに開示されている。一般に、電子部品を部品供給装置から取り出す吸着ノズルの下端面は平面であるため、吸着して取り出すときに、電子部品と密着しすぎて、プリント基板への装着時に電子部品が吸着ノズルから離れず、いわゆる持ち帰り現象が起こる事態が発生する。特に、電子部品の微小化に伴い、軽い電子部品の場合に起こり易い。
【特許文献1】特開2002−299897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このような持ち帰り現象が起こると、リカバリー装着をしなければならず、プリント基板の生産性の向上が図れない。
【0004】
そこで本発明は、プリント基板への装着時に電子部品が吸着ノズルから離れない持ち帰り現象が極力起こらないようにして、プリント基板の生産性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため第1の発明は、真空源に連通する吸引通路が形成された吸着ノズルにより部品供給装置から取り出した電子部品をプリント基板上に装着する電子部品装着装置において、真空吸引によって電子部品を吸着している状態でも、外気を前記吸引通路に導入すべく前記吸着ノズルの下端部から上方に向けて延びたスリットを形成したことを特徴とする。
【0006】
また第2の発明は、真空源に連通する吸引通路が形成された吸着ノズルにより部品供給装置から取り出した電子部品をプリント基板上に装着する電子部品装着装置において、真空吸引によって電子部品を吸着している状態でも、外気を前記吸引通路に導入すべく前記吸着ノズルの外側面から前記吸引通路に連通する連通路を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、プリント基板への装着時に電子部品が吸着ノズルから離れない持ち帰り現象が極力起こらないようにして、プリント基板の生産性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、部品供給装置と電子部品装着装置本体とから構成される電子部品装着装置について説明する。この電子部品装着装置は、いわゆる多機能型チップマウンタであり、各種電子部品をプリント基板Pに実装できる。
【0009】
図1は電子部品装着装置の平面図であり、電子部品装着装置本体1は、機台2と、この機台2の中央部に左右方向に延在するコンベア部3と、機台2の前部(図示の下側)および後部(図示の上側)にそれぞれ配設した2組の部品装着部4、4および2組の部品供給部5、5とを備えている。そして、部品供給部5には、電子部品供給装置である複数個の部品供給ユニット6が着脱自在に組み込まれて電子部品装着装置が構成される。
【0010】
前記コンベア部3は、中央のセットテーブル8と、左側の供給コンベア9と、右側の排出コンベア10とを有している。プリント基板Pは、供給コンベア9からセットテーブル8に供給され、セットテーブル8で電子部品の装着を受けるべく不動に且つ所定の高さにセットされる。そして、電子部品の装着が完了したプリント基板Pは、セットテーブル8から排出コンベア10を介して下流側装置に排出される。
【0011】
各部品装着部4には、ヘッドユニット13を移動自在に搭載したXYステージ12が配設されると共に、部品認識カメラ14及びノズルストッカ15が配設されている。ヘッドユニット13には、電子部品を吸着および装着するための2つの装着ヘッド16、16と、プリント基板Pの位置を認識するための1台の基板認識カメラ17とが搭載されている。なお、通常、両部品装着部4、4のXYステージ12、12は交互運転となる。
【0012】
前記各XYステージ12はY軸駆動モータによりビーム12AがY方向に移動し、X軸駆動モータにより前記ヘッドユニット13がX方向に移動し、結果としてヘッドユニット13はXY方向に移動することとなる。
【0013】
各部品供給部5には、後述するがフィーダベース19上に多数の部品供給ユニット6を、横並びに且つ着脱自在に備えている。各部品供給ユニット6には、多数の電子部品を各収納部に一定の間隔で収容した収納テープが搭載されており、収納テープを間欠送りすることで、部品供給ユニット6の先端から部品装着部4に電子部品が1個ずつ供給される。
【0014】
この電子部品装着装置本体1の記憶部に格納された装着データに基づく運転は、先ずXYステージ12を駆動しヘッドユニット13を部品供給ユニット6に臨ませた後、装着ヘッド16に設けた吸着ノズル18を下降させるにより所望の電子部品をピックアップする(取出す)。続いて装着ヘッド16を上昇させてから、XYステージ12を駆動して電子部品を部品認識カメラ14の直上部まで移動させ、その吸着姿勢及び吸着ノズル18に対する位置ずれを認識する。次に、装着ヘッド16をセットテーブル8上の基板Pの位置まで移動させ、基板認識カメラ17で基板Pの位置を認識した後、前記部品認識カメラ14及び基板認識カメラ17による認識結果に基づき前記XYステージ12のX軸駆動モータ、Y軸モータ及び吸着ノズル18のθ軸モータを補正移動させ、上下軸モータにて下降させて電子部品をプリント基板P上に装着する。
【0015】
次に、図2乃至図4に基づき、装着ヘッド16に設けられる吸着ノズル18の第1の実施形態について説明する。先ず、吸着ノズル18は下端部の吸着筒部20とこれに接続固定された本体筒部21とから構成され、円柱状の吸着筒部20の中央部には吸引通路20Aが形成されると共に側面には下端部から中間部まで延びた一対の平行な平面部20Bが形成され、また前記本体筒部21の中央部には一端が真空源(図示せず)に連通すると共に他端が前記吸引通路20Aに連通する吸引通路21Aが形成されている。
【0016】
そして、前記吸着ノズル18が前記真空源による真空吸引によって電子部品25を吸着している状態でも、外気を前記吸引通路20A及び21Aに導入すべく前記吸着ノズル18の下端部から上方に向けて延びたスリット22が形成される。即ち、両平面部20Bにそれぞれ中央の吸引通路20Aに連通するように一対のスリット22が形成される。
【0017】
なお、このスリット22は、1つでも、2つ以上の複数でもよく、電子部品25の重さなどを考慮して、個数やサイズを考慮すればよい。
【0018】
従って、図5乃至図7に示すように、両平面部20Bの形成によって細長くなった吸着筒部20の底面の長手方向と概ね直方体形状の電子部品25の長手方向とが重なるようにして電子部品25を吸着する。この場合、吸着筒部20の底面は電子部品25の上面より少し広く形成され、且つ電子部品25の電極25Aがスリット22の位置に一致しないように吸着ノズル18が電子部品25を吸着保持する。
【0019】
このため、吸着ノズル18が電極25Aを破損したり、破損されて剥離された電極25Aの一部が吸着ノズル18、即ち吸着筒部20の底面に貼付して、ときにこの電極25Aの一部が接着作用を果たしてプリント基板Pへの装着の際に吸着筒部20の底面から離れないことが起こらず、また前記真空吸引によって電子部品25を吸着している状態でも、スリット22を介して外気が前記吸引通路20A及び21Aに導入されるので吸着力が弱まるのでプリント基板Pへの装着の際のいわゆる持ち帰り現象が起こらない。従って、真空源による真空吸引を解除すると共に逆に空気を吹出してプリント基板P上へ電子部品25を確実に装着することができる。
【0020】
特に、前記電子部品25は、いわゆる「1005」とか「0603」とか呼ばれている微小な極めて軽いチップ部品にあっては、前記スリット22がない状態では吸着力が強すぎるので、スリット22を形成する効果が顕著である。しかも、吸着ノズル18のサイズや、電子部品25のサイズによっても、真空源に基づく真空圧の調整をしなものにあっては、特にその効果が顕著となる。
【0021】
次に、図8乃至図10に基づき、装着ヘッド16に設けられる吸着ノズル18の第2の実施形態について説明する。先の実施形態で説明した同一の図番は、同一又は類似の機能を果たすものとし、ここでは説明は省略する。真空吸引によって電子部品を吸着している状態でも、外気を前記吸引通路20A(21A)に導入すべく前記吸着ノズル18の吸着筒部20の平面部20Bでない両側面20Cに連通路23を形成する。即ち、両側面20Cから前記吸引通路20Aに連通する一対の連通路23を形成し、電子部品25の吸着保持の際の吸着力を弱める。
【0022】
なお、この連通路23は、1つでも、2つ以上の複数でもよく、電子部品25の重さなどを考慮して、個数や径のサイズを考慮すればよい。
【0023】
従って、図11乃至図13に示すように、両平面部20Bの形成によって細長くなった吸着筒部20の底面の長手方向と概ね直方体形状の電子部品25の長手方向とが重なるようにして電子部品25を吸着する。この場合、吸着筒部20の底面は平面状態であって、電子部品25の上面より少し広く形成される。
【0024】
このため、吸着ノズル18が電極25Aを破損したり、破損されて剥離された電極25Aの一部が吸着ノズル18、即ち吸着筒部20の底面に貼付して、ときにこの電極25Aの一部が接着作用を果たしてプリント基板Pへの装着の際に吸着筒部20の底面から離れないことが起こらず、また前記真空吸引によって電子部品25を吸着している状態でも、連通路23を介して外気が前記吸引通路20A及び21Aに導入されるので吸着力が弱まるのでプリント基板Pへの装着の際のいわゆる持ち帰り現象が起こらない。従って、真空源による真空吸引を解除すると共に逆に空気を吹出してプリント基板P上へ電子部品25を確実に装着することができる。
【0025】
なお、この電子部品装着装置として、いわゆる多機能チップマウンタを例にして説明したが、これに限らずロータリテーブル型などの高速型チップマウンタに適用してもよい。
【0026】
以上のように本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】電子部品装着装置の平面図である。
【図2】電子部品を吸着保持していない状態の第1の実施形態の吸着ノズルの正面図である。
【図3】電子部品を吸着保持していない状態の第1の実施形態の吸着ノズルの側面図である。
【図4】電子部品を吸着保持していない状態の第1の実施形態の吸着ノズルの底面図である。
【図5】電子部品を吸着保持している状態の第1の実施形態の吸着ノズルの正面図である。
【図6】電子部品を吸着保持している状態の第1の実施形態の吸着ノズルの側面図である。
【図7】電子部品を吸着保持している状態の第1の実施形態の吸着ノズルの底面図である。
【図8】電子部品を吸着保持していない状態の第2の実施形態の吸着ノズルの正面図である。
【図9】電子部品を吸着保持していない状態の第2の実施形態の吸着ノズルの側面図である。
【図10】電子部品を吸着保持していない状態の第2の実施形態の吸着ノズルの底面図である。
【図11】電子部品を吸着保持している状態の第2の実施形態の吸着ノズルの正面図である。
【図12】電子部品を吸着保持している状態の第2の実施形態の吸着ノズルの側面図である。
【図13】電子部品を吸着保持している状態の第2の実施形態の吸着ノズルの底面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 電子部品装着装置本体
6 部品供給ユニット
16 装着ヘッド
18 吸着ノズル
20 吸着筒部
20A 吸引通路
21 本体筒部
21A 吸引通路
22 スリット
23 連通路
25 電子部品


【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空源に連通する吸引通路が形成された吸着ノズルにより部品供給装置から取り出した電子部品をプリント基板上に装着する電子部品装着装置において、真空吸引によって電子部品を吸着している状態でも、外気を前記吸引通路に導入すべく前記吸着ノズルの下端部から上方に向けて延びたスリットを形成したことを特徴とする電子部品装着装置。
【請求項2】
真空源に連通する吸引通路が形成された吸着ノズルにより部品供給装置から取り出した電子部品をプリント基板上に装着する電子部品装着装置において、真空吸引によって電子部品を吸着している状態でも、外気を前記吸引通路に導入すべく前記吸着ノズルの外側面から前記吸引通路に連通する連通路を形成したことを特徴とする電子部品装着装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−266331(P2007−266331A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−89737(P2006−89737)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(300022504)株式会社日立ハイテクインスツルメンツ (607)
【Fターム(参考)】