説明

電子部品

【課題】蛇行した線状導体からなるコイルを内蔵した電子部品において、コイルの高周波特性の劣化を抑制する。
【解決手段】積層体12aは、絶縁体層16a〜16dが積層されてなる。外部電極は、積層体12aの側面に設けられ、かつ、接地電位が印加される。コイルLは、絶縁体層16c上に設けられている線状導体18であって、蛇行した形状を有する線状導体18からなる。グランド導体20,22は、外部電極に電気的に接続され、かつ、z軸方向から平面視したときに、線状導体18が蛇行することにより該線状導体18によって三方が囲まれた領域A1〜A3内に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関し、より特定的には、コイルを内蔵している電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子部品としては、例えば、特許文献1に記載のチップ型LCフィルタが知られている。特許文献1に記載のチップ型LCフィルタでは、2つのコイル及び1つのコンデンサがT型のローパスフィルタを構成している。2つのコイルは、蛇行している蛇行導体により構成されている。このような蛇行導体が用いられることにより、コイルの長さを大きくすることができ、コイルのインダクタンス値を大きくすることができる。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のチップ型LCフィルタは、高周波特性が劣化するという問題を有する。より詳細には、蛇行導体がジグザグに形成されているので、蛇行導体の一部が近接した状態で平行に延在してしまう。この場合、近接した蛇行導体の間で浮遊容量が発生する。浮遊容量は、相対的に低い周波数の高周波信号を通過させにくく、相対的に高い周波数の高周波信号を通過させやすい性質を有している。よって、チップ型LCフィルタに入力する高周波信号の周波数が高くなると、該高周波信号は、浮遊容量を介して近接した蛇行導体間を通過してしまう。その結果、特許文献1に記載のチップ型LCフィルタは、ローパスフィルタであるにもかかわらず、比較的に高い周波数の高周波信号を通過させてしまう。すなわち、特許文献1に記載のチップ型LCフィルタでは、高周波特性が劣化してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−53048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、蛇行した線状導体からなるコイルを内蔵した電子部品において、コイルの高周波特性の劣化を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る電子部品は、複数の絶縁体層が積層されてなる積層体と、前記積層体の表面に設けられているグランド用外部電極と、前記絶縁体層上に設けられている線状導体であって、蛇行した形状を有する線状導体からなるコイルと、前記グランド用外部電極に電気的に接続され、かつ、積層方向から平面視したときに、前記線状導体が蛇行することにより該線状導体によって囲まれた領域内に設けられているグランド導体と、を備えていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、蛇行した線状導体からなるコイルを内蔵した電子部品において、コイルの高周波特性の劣化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態ないし第3の実施形態に係る電子部品の外観斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係る電子部品の積層体の分解図である。
【図3】第1の実施形態に係る電子部品の等価回路図である。
【図4】比較例として作製したモデルの積層体の分解図である。
【図5】積層体を有する電子部品の等価回路図である。
【図6】コンピュータシミュレーションの結果を示したグラフである。
【図7】第2の実施形態に係る電子部品の積層体の分解図である。
【図8】第2の実施形態に係る電子部品の等価回路図である。
【図9】第3の実施形態に係る電子部品の積層体の分解図である。
【図10】第3の実施形態に係る電子部品の等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係る電子部品について説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態ないし第3の実施形態に係る電子部品10a〜10cの外観斜視図である。図2は、第1の実施形態に係る電子部品10aの積層体12aの分解図である。図3は、第1の実施形態に係る電子部品10aの等価回路図である。以下では、電子部品10aの積層方向をz軸方向と定義し、z軸方向から平面視した場合に、電子部品10aの長辺が延在している方向をx軸方向と定義し、電子部品10aの短辺が延在している方向をy軸方向と定義する。
【0011】
電子部品10aは、図1及び図2に示すように、積層体12a、外部電極14(14a〜14d)、コイルL、コンデンサC及びグランド導体20,22を備えている。
【0012】
積層体12aは、図1に示すように、直方体状をなしており、図2に示すように、絶縁体層16(16a〜16d)がz軸方向の正方向側から負方向側へとこの順に並ぶように積層されることにより構成されている。絶縁体層16は、長方形状をなしており、誘電体セラミックにより作製されている。なお、図2において、絶縁体層16c,16d間に点線が記載されているのは、絶縁体層16b,16cが、絶縁体層16c,16d間に複数層交互に積層されていることを意味している。
【0013】
外部電極14aは、高周波信号が入出力する端子であり、図1に示すように、積層体12aのx軸方向の負方向側の側面(表面)に設けられている。外部電極14bは、高周波信号が入出力する端子であり、図1に示すように、積層体12aのx軸方向の正方向側の側面(表面)に設けられている。外部電極14cは、接地電位が印加される端子であり、図1に示すように、積層体12aのy軸方向の負方向側の側面(表面)に設けられている。外部電極14dは、接地電位が印加される端子であり、図1に示すように、積層体12aのy軸方向の正方向側の側面(表面)に設けられている。
【0014】
コイルLは、図2に示すように、絶縁体層16c上に設けられ、かつ、蛇行した形状を有する線状導体18により構成されている。線状導体18は、y軸方向に往復しながら、絶縁体層16cのx軸方向の負方向側の短辺を起点としてx軸方向の負方向側から正方向側へと向かう形状をなしている。これにより、積層体12aでは、線状導体18に三方を囲まれた領域A1〜A3が形成されている。具体的には、領域A1は、線状導体18により、x軸方向の正方向側及び負方向側並びにy軸方向の正方向側が囲まれている。領域A2は、線状導体18により、x軸方向の正方向側及び負方向側並びにy軸方向の負方向側が囲まれている。領域A3は、線状導体18により、x軸方向の正方向側及び負方向側並びにy軸方向の正方向側が囲まれている。
【0015】
コイルLは、図3に示すように、外部電極14a,14bの間に電気的に接続されている。すなわち、線状導体18の一方の端部は、図2に示すように、外部電極14aに直接に接続されている。また、線状導体18の他方の端部は、図2に示すように、後述するコンデンサ導体24aを介して外部電極14bに電気的に接続されている。
【0016】
コンデンサCは、図3に示すように、コイルLと外部電極14bとの間と、外部電極14c,14dとの間に電気的に接続されており、コイルLと共にL型のローパスフィルタ(ノイズフィルタ)を構成している。コンデンサCは、図2に示すように、長方形状のコンデンサ導体24a,24bにより構成されている。
【0017】
コンデンサ導体24bは、図2に示すように、線状導体18が設けられている絶縁体層16c上に設けられており、該線状導体18に直接に接続されていると共に、外部電極14bに直接に接続されている。
【0018】
コンデンサ導体24aは、図2に示すように、絶縁体層16b上に設けられており、外部電極14c,14dに直接に接続されている。コンデンサ導体24bは、絶縁体層16bを挟んでコンデンサ導体24bと対向している。これにより、コンデンサ導体24a,24b間には容量が発生している。
【0019】
グランド導体20,22はそれぞれ、線状導体18が設けられている絶縁体層16c上に設けられ、外部電極14c,14dに直接に接続されている。すなわち、グランド導体20,22には、接地電位が印加されている。また、グランド導体20の一部は、z軸方向から平面視したときに、領域A1,A3内に設けられている。より詳細には、グランド導体20は、y軸方向に延在する棒状導体20a,20bを有している。棒状導体20a,20bはそれぞれ、領域A1、A3に対してy軸方向の負方向側から進入している。これにより、棒状導体20a,20bはそれぞれ、領域A1,A3内において、線状導体18の互いに平行にy軸方向に延在している部分の間に位置している。また、グランド導体22は、y軸方向に延在する棒状導体22a,22bを有している。棒状導体22aは、領域A2に対してy軸方向の正方向側から進入している。これにより、棒状導体22aは、領域A2内において、線状導体18の互いに平行にy軸方向に延在している部分の間に位置している。また、棒状導体22bは、線状導体18とコンデンサ導体24aとの間に位置している。以上のように構成されたグランド導体20,22と線状導体18との間には、図3に示すように、浮遊容量Cpが発生している。
【0020】
(効果)
以上のように構成された電子部品10aでは、以下に説明するように、コイルLの高周波特性の劣化を抑制することができる。より詳細には、特許文献1に記載のチップ型LCフィルタでは、蛇行導体がジグザグに形成されているので、蛇行導体の一部が近接した状態で平行に延在してしまう。この場合、近接した蛇行導体の間で浮遊容量が発生する。浮遊容量は、相対的に低い周波数の高周波信号を通過させにくく、相対的に高い周波数の高周波信号を通過させやすい性質を有している。よって、チップ型LCフィルタに入力する高周波信号の周波数が高くなると、該高周波信号は、浮遊容量を介して近接した蛇行導体間を通過してしまう。その結果、特許文献1に記載のチップ型LCフィルタは、ローパスフィルタであるにもかかわらず、比較的に高い周波数の高周波信号を通過させてしまう。すなわち、特許文献1に記載のチップ型LCフィルタでは、高周波特性が劣化してしまう。
【0021】
一方、電子部品10aでは、線状導体18が蛇行することにより該線状導体18により三方が囲まれている領域A1〜A3に、グランド導体20,22が設けられている。これにより、線状導体18とグランド導体20,22との間には、浮遊容量Cpが発生している。しかしながら、グランド導体20,22には、接地電位が印加されている。よって、線状導体18の高周波信号の周波数が高くなっても、該高周波信号は、浮遊容量Cpを通過して接地側へと流れていく。これにより、周波数が高い高周波信号は、線状導体18(すなわち、コイルL)を通過することができない。その結果、電子部品10aでは、コイルLの高周波特性の劣化を抑制することができる。すなわち、電子部品10aでは、高周波特性に優れたローパスフィルタを得ることができる。
【0022】
また、線状導体18に囲まれている領域A1〜A3に接地電位が印加されているグランド導体20,22が設けられている。そのため、線状導体18において、互いに平行に延在している部分の間が、グランド導体20,22に静電シールドされる。その結果、線状導体18において、互いに平行に延在している部分の間で高周波信号が飛ぶことが抑制される。
【0023】
本願発明者は、電子部品10aが奏する効果をより明確にするために、以下に説明するコンピュータシミュレーションを行った。図4は、比較例として作製したモデルの積層体512の分解図である。図5は、積層体512を有する電子部品の等価回路図である。
【0024】
まず、図2に示す構造を有する積層体12aを備えた電子部品10aのモデルを第1のモデルとして作製した。また、比較例として、図4に示す構造を有する積層体512を備えた電子部品のモデルを第2のモデルとして作製した。第1のモデルと第2のモデルとの相違点は、グランド導体20,22の有無である。これにより、比較例に係る電子部品の等価回路では、図5に示すように、浮遊容量Cpは発生していない。その代わりに、コイルLに対して並列に浮遊容量Cp' が発生している。なお、第1のモデル及び第2のモデルのサイズは、3.2mm×1.6mm×1.3mmである。また、絶縁体層16の比誘電率を500とし、絶縁体層16の厚みを50μmとした。
【0025】
以上のような第1のモデル及び第2のモデルに対して、周波数を変化させながら高周波信号を入力させたときの挿入損失の変化をコンピュータに計算させた。図6は、コンピュータシミュレーションの結果を示したグラフである。縦軸は挿入損失を示し、横軸は周波数を示している。図6から明らかなように、第1のモデルの方が第2のモデルよりも高周波における(共振周波数付近における)挿入損失が大きい。これは、第1のモデルのコイルLの高周波特性が、第2のモデルのコイルLの高周波特性よりも優れていることを示している。よって、本コンピュータシミュレーションにより、電子部品10aでは、コイルLの高周波特性の劣化を抑制することができることがわかる。
【0026】
また、電子部品10aでは、グランド導体20,22は、線状導体18が設けられている絶縁体層16c上に設けられている。よって、グランド導体20,22が絶縁体層16c以外の絶縁体層16に設けられた場合に比べて、グランド導体20,22が絶縁体層16cに設けられた場合の方が、浮遊容量Cpが発生し易くなる。その結果、より効果的に高い周波数の高周波信号が、浮遊容量Cpを通過して接地側へと流れていくようになる。よって、電子部品10aでは、コイルLの高周波特性の劣化をより効果的に抑制することができる。
【0027】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態に係る電子部品10bの積層体12bの分解図である。図8は、第2の実施形態に係る電子部品10bの等価回路図である。なお、電子部品10bの絶縁体層16a,16dの構成は、電子部品10aの絶縁体層16a,16dの構成と同じであるので、図7では、絶縁体層16b,16cの構成のみ示してある。
【0028】
電子部品10bは、図8に示すように、T型ローパスフィルタを構成している。具体的には、電子部品10bは、図1及び図7に示すように、積層体12b、外部電極14(14a〜14d)、コイルL1,L2、コンデンサC1及びグランド導体120,122を備えている。
【0029】
積層体12bの構成及び外部電極14a〜14dの構成は、第1の実施形態における積層体12aの構成及び外部電極14a〜14dの構成と同じであるので、説明を省略する。
【0030】
コイルL1は、図7に示すように、絶縁体層16c上に設けられ、かつ、蛇行した形状を有する線状導体118aにより構成されている。線状導体118aは、y軸方向に往復しながら、絶縁体層16cのx軸方向の負方向側の短辺を起点としてx軸方向の負方向側から正方向側へと向かう形状をなしている。これにより、積層体12bでは、線状導体118aに三方を囲まれた領域A4が形成されている。具体的には、領域A4は、線状導体118aにより、x軸方向の正方向側及び負方向側並びにy軸方向の負方向側が囲まれている。
【0031】
線状導体118aの一方の端部は、図7に示すように、外部電極14aに直接に接続されている。線状導体118aの他方の端部は、図7に示すように、後述するコンデンサ導体124aに直接に接続されている。
【0032】
コイルL2は、図7に示すように、絶縁体層16c上に設けられ、かつ、蛇行した形状を有する線状導体118bにより構成されている。線状導体118bは、y軸方向に往復しながら、絶縁体層16cのx軸方向の正方向側の短辺を起点としてx軸方向の正方向側から負方向側へと向かう形状をなしている。これにより、積層体12bでは、線状導体118bに三方を囲まれた領域A5が形成されている。具体的には、領域A5は、線状導体118bにより、x軸方向の正方向側及び負方向側並びにy軸方向の正方向側が囲まれている。
【0033】
線状導体118bの一方の端部は、図7に示すように、外部電極14bに直接に接続されている。線状導体118bの他方の端部は、図7に示すように、後述するコンデンサ導体124bに直接に接続されている。
【0034】
コンデンサC1は、図7及び図8に示すように、コイルL1とコイルL2との間と、外部電極14c,14dとの間に電気的に接続されており、コイルL1,L2と共にT型のローパスフィルタ(ノイズフィルタ)を構成している。コンデンサC1は、図7に示すように、長方形状のコンデンサ導体124a,124bにより構成されている。
【0035】
コンデンサ導体124bは、図7に示すように、線状導体118a,118bが設けられている絶縁体層16c上に設けられており、該線状導体118a,118bに直接に接続されている。
【0036】
コンデンサ導体124aは、図7に示すように、絶縁体層16b上に設けられており、外部電極14c,14dに直接に接続されている。コンデンサ導体124bは、絶縁体層16bを挟んでコンデンサ導体124aと対向している。これにより、コンデンサ導体124a,124b間には容量が発生している。
【0037】
グランド導体120,122はそれぞれ、線状導体118a,118bが設けられている絶縁体層16c上に設けられ、外部電極14c,14dに直接に接続されている。すなわち、グランド導体120,122には、接地電位が印加されている。また、グランド導体120の一部は、z軸方向から平面視したときに、領域A5内に設けられている。より詳細には、グランド導体120は、y軸方向に延在する棒状導体120a,120bを有している。棒状導体120bは、領域A5に対してy軸方向の負方向側から進入している。これにより、棒状導体120bは、領域A5内に位置している。また、棒状導体120aは、線状導体118aとコンデンサ導体124aとの間に位置している。
【0038】
また、グランド導体122の一部は、z軸方向から平面視したときに、領域A4内に設けられている。より詳細には、グランド導体122は、y軸方向に延在する棒状導体122a,122bを有している。棒状導体122aは、領域A4に対してy軸方向の正方向側から進入している。これにより、棒状導体122aは、領域A4内に位置している。また、棒状導体122bは、線状導体118bとコンデンサ導体124aとの間に位置している。
【0039】
以上のように構成されたグランド導体120,122と線状導体118a,118bとの間には、図8に示すように、浮遊容量Cpが発生している。
【0040】
以上のような構成を有する電子部品10bにおいても、電子部品10aと同様に、コイルLの高周波特性の劣化を抑制することができる。すなわち、電子部品10bでは、高周波特性に優れたローパスフィルタを得ることができる。
【0041】
(第3の実施形態)
図9は、第3の実施形態に係る電子部品10cの積層体12cの分解図である。図10は、第3の実施形態に係る電子部品10cの等価回路図である。なお、電子部品10cの絶縁体層16a,16dの構成は、電子部品10cの絶縁体層16a,16dの構成と同じであるので、図9では、絶縁体層16b,16cの構成のみ示してある。
【0042】
電子部品10cは、図10に示すように、π型ローパスフィルタを構成している。具体的には、電子部品10cは、図1及び図9に示すように、積層体12b、外部電極14(14a〜14d)、コイルL3、コンデンサC2,C3及びグランド導体220,222を備えている。
【0043】
積層体12cの構成及び外部電極14a〜14dの構成は、第1の実施形態における積層体12aの構成及び外部電極14a〜14dの構成と同じであるので、説明を省略する。
【0044】
コイルL3は、図9に示すように、絶縁体層16c上に設けられ、かつ、蛇行した形状を有する線状導体218により構成されている。線状導体218は、絶縁体層16cの中心近傍において、y軸方向に往復しながら、x軸方向の負方向側から正方向側へと向かう形状をなしている。これにより、積層体12cでは、線状導体218に三方を囲まれた領域A6が形成されている。具体的には、領域A6は、線状導体218により、x軸方向の正方向側及び負方向側並びにy軸方向の正方向側が囲まれている。
【0045】
線状導体218の一方の端部は、図9に示すように、後述するコンデンサ導体224aに直接に接続されている。線状導体218の他方の端部は、図9に示すように、後述するコンデンサ導体224cに直接に接続されている。
【0046】
コンデンサC2は、図9及び図10に示すように、外部電極14aとコイルL3との間に電気的に接続されている。コンデンサC2は、図9に示すように、長方形状のコンデンサ導体224a,224bにより構成されている。
【0047】
コンデンサ導体224bは、図9に示すように、線状導体218が設けられている絶縁体層16c上に設けられており、該線状導体218及び外部電極14aに直接に接続されている。コンデンサ導体224aは、図9に示すように、絶縁体層16b上に設けられており、外部電極14c,14dに直接に接続されている。コンデンサ導体224bは、絶縁体層16bを挟んでコンデンサ導体224aと対向している。これにより、コンデンサ導体224a,224b間には容量が発生している。
【0048】
コンデンサC3は、図9及び図10に示すように、外部電極14bとコイルL3との間に電気的に接続されている。コンデンサC3は、図9に示すように、長方形状のコンデンサ導体224c,224dにより構成されている。
【0049】
コンデンサ導体224dは、図9に示すように、線状導体218が設けられている絶縁体層16c上に設けられており、該線状導体218及び外部電極14bに直接に接続されている。コンデンサ導体224cは、図9に示すように、絶縁体層16b上に設けられており、外部電極14c,14dに直接に接続されている。コンデンサ導体224dは、絶縁体層16bを挟んでコンデンサ導体224cと対向している。これにより、コンデンサ導体224c,224d間には容量が発生している。
【0050】
グランド導体220,222はそれぞれ、線状導体218が設けられている絶縁体層16c上に設けられ、外部電極14c,14dに直接に接続されている。すなわち、グランド導体220,222には、接地電位が印加されている。また、グランド導体220の一部は、z軸方向から平面視したときに、領域A6内に設けられている。より詳細には、グランド導体220は、y軸方向に延在する棒状導体220aを有している。棒状導体220aは、領域A6に対してy軸方向の負方向側から進入している。これにより、棒状導体220aは、領域A6内に位置している。
【0051】
また、グランド導体222は、y軸方向に延在する棒状導体222a,222bを有している。棒状導体222a,222bはそれぞれ、線状導体218とコンデンサ導体224a,224cとの間に位置している。
【0052】
以上のように構成されたグランド導体220,222と線状導体218との間には、図10に示すように、浮遊容量Cpが発生している。
【0053】
なお、線状導体20a,20b,22a,22b,120a,120b,122a,122b,220a,222a,222bは、幅の狭い棒状をなしているが、棒状ではなく広い幅を有していてもよい。
【0054】
以上のような構成を有する電子部品10cにおいても、電子部品10aと同様に、コイルLの高周波特性の劣化を抑制することができる。すなわち、電子部品10cでは、高周波特性に優れたローパスフィルタを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上のように、本発明は、電子部品に有用であり、特に、蛇行した線状導体からなるコイルを内蔵した電子部品において、コイルの高周波特性の劣化を抑制できる点において優れている。
【符号の説明】
【0056】
A1〜A6 領域
C,C1〜C3 コンデンサ
Cp 浮遊容量
L,L1〜L3 コイル
10a〜10c 電子部品
12a〜12c 積層体
14a〜14d 外部電極
16a〜16d 絶縁体層
18,118a,118b,218 線状導体
20a,20b,22a,22b,120a,120b,122a,122b,220a,222a,222b 棒状導体
20,22,120,122,220,222 グランド導体
24a,24b,124a,124b,224a,224b,224c,224d コンデンサ導体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の絶縁体層が積層されてなる積層体と、
前記積層体の表面に設けられているグランド用外部電極と、
前記絶縁体層上に設けられている線状導体であって、蛇行した形状を有する線状導体からなるコイルと、
前記グランド用外部電極に電気的に接続され、かつ、積層方向から平面視したときに、前記線状導体が蛇行することにより該線状導体によって囲まれた領域内に設けられているグランド導体と、
を備えていること、
を特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記グランド導体は、前記線状導体が設けられている前記絶縁体層上に設けられていること、
を特徴とする請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記電子部品は、
前記積層体の表面に設けられ、かつ、第1の信号用外部電極及び第2の信号用外部電極を、
更に備えており、
前記コイルは、前記第1の信号用外部電極と前記第2の信号用外部電極との間に電気的に接続されていること、
を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の電子部品。
【請求項4】
前記電子部品は、
前記コイルと前記第2の信号用外部電極との間と、前記グランド用外部電極との間に電気的に接続されているコンデンサを、
更に備え、
前記コイル及び前記コンデンサは、ノイズフィルタを構成していること、
を特徴とする請求項3に記載の電子部品。
【請求項5】
前記コンデンサは、前記線状導体と接続されている第1のコンデンサ導体、及び、前記絶縁体層を挟んで該第1のコンデンサ導体と対向している第2のコンデンサ導体を含んでいること、
を特徴とする請求項4に記載の電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−223136(P2011−223136A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87486(P2010−87486)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】