電子音楽装置及びプログラム
【課題】 画面表示を記録再生することに伴う画面の再現に基づいて音色効果パラメータの制御をも再現することができる電子音楽装置の提供。
【解決手段】 操作子の操作に従って第1表示オブジェクト又は第2表示オブジェクトの表示位置が変更制御されて画面が更新されることにあわせて、各オブジェクトの表示位置の変更履歴を記憶する。変更履歴に従って再現した画面を順次に表示する際に、該画面上における各オブジェクトの表示位置関係が変わることに応じて、第1表示オブジェクト又は第2表示オブジェクトに対応付けられた音色効果パラメータの制御値を決定する。すなわち、各オブジェクトの表示位置の変更履歴のみを記録し、これに基づき再現した画面上の各オブジェクトの位置関係に従って音色効果パラメータを制御する。このように、単に画面を再現するための変更履歴を記憶するだけで画面の再現と共に音色効果パラメータの制御をも再現することができる。
【解決手段】 操作子の操作に従って第1表示オブジェクト又は第2表示オブジェクトの表示位置が変更制御されて画面が更新されることにあわせて、各オブジェクトの表示位置の変更履歴を記憶する。変更履歴に従って再現した画面を順次に表示する際に、該画面上における各オブジェクトの表示位置関係が変わることに応じて、第1表示オブジェクト又は第2表示オブジェクトに対応付けられた音色効果パラメータの制御値を決定する。すなわち、各オブジェクトの表示位置の変更履歴のみを記録し、これに基づき再現した画面上の各オブジェクトの位置関係に従って音色効果パラメータを制御する。このように、単に画面を再現するための変更履歴を記憶するだけで画面の再現と共に音色効果パラメータの制御をも再現することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、制御操作子の操作に応じて予め関連付けられている音色効果パラメータの制御を行う電子音楽装置及びプログラムに関する。特に、ユーザが視覚的に楽しみながら音色効果パラメータの制御を行うことができる画面を提示する一方で、該画面表示を記録再生することに伴う前記画面の再現に基づいて音色効果パラメータの制御をも再現することができるようにした技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子楽器などの電子音楽装置において、例えばモジュレーションホイールやスライダーさらにはジョイスティックなどの制御操作子に対し、楽音制御のための例えばボリューム、ピッチ、LFOなどといった各種の音色効果パラメータを予め関連付けておくことで、前記制御操作子の操作に応じて該関連付けられた音色効果パラメータの制御を行う(詳しくは制御値(パラメータ値)を決定する)ことができるようにしたものが知られている。こうした装置に関連するものとしては、例えば下記に示す特許文献1に記載されている装置がその一例である。特許文献1に記載されている従来の装置においては、平面上のX軸方向及びY軸方向におけるジョイスティックの操作情報に音色効果パラメータの制御値を予め割り当てておき、ジョイスティックを二次元操作することによって割り当て済みの音色効果パラメータの制御値が決定されて、これに基づき楽音を制御するようになっている。また、ジョイスティックによる二次元操作(詳しくは前記操作情報)を演奏中の曲の時間経過にあわせて記録しておき、これを再生することで曲演奏にあわせて適宜に変化する音色効果パラメータの制御値を再現するようにした技術も開示されている。
【特許文献1】特開平03-213898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来の装置では曲演奏にあわせて音色効果パラメータを再現するのであるが、その際には再現した音色効果パラメータの制御値をそのまま数値や所定のメータ表示等で表示することがせいぜいできるだけであり、そうした表示はユーザにとって何ら面白みのあるものではなく、また直感的にはわかりづらいものであった。そこで、こうした音色効果パラメータを再現する際に、ユーザが視覚的に楽しむことができる画面を提示するものが従来から望まれていた。しかし、従来の装置においてそのようにするためには、ジョイスティックの操作情報だけでなく画面を再現するための画面表示情報などを別途記録する必要があり、そのためにそれらの各情報を記憶するのに必要とする記憶領域が非常に大きくなってしまう点、またそれぞれの情報を別個に記録するだけでなくそれぞれの情報においてそれらの情報記録時に演奏中であった曲に時間的にリンクさせる必要があるために、単にジョイスティックの操作情報のみを記録する場合に比べると処理に時間がかかる点などの不都合が生じることから、未だそのような装置は実現されていない。
【0004】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、ユーザが視覚的に楽しむことができる画面を記録しこれを再現するだけで、画面の再現にあわせて該画面の記録時点における音色効果パラメータの制御をも同時に再現することができるようにした電子音楽装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る電子音楽装置は、音色効果パラメータに基づく効果を楽音に対して付与する電子音楽装置であって、いずれか一方が前記音色効果パラメータに対応付けられた第1表示オブジェクトと第2表示オブジェクトとを少なくとも含む画面を表示する表示器と、前記画面に表示された第1表示オブジェクト又は第2表示オブジェクトの表示位置を変更するよう指示する操作子と、前記操作子の操作に従って、前記第1表示オブジェクト又は前記第2表示オブジェクトの表示位置を変更制御して前記画面を更新する表示制御手段と、前記画面更新に応じた第1表示オブジェクト又は第2表示オブジェクトの各表示位置の変更履歴を記憶する履歴記憶手段と、前記画面の再現指示を行う指示手段と、前記画面の再現指示に応じて、前記記憶した表示位置の変更履歴に従って再現した画面を前記表示器に順次に表示する画面再現手段と、前記再現した画面上における前記第1表示オブジェクトと前記第2表示オブジェクトとの表示位置関係に応じて、前記第1表示オブジェクト又は前記第2表示オブジェクトに対応付けられた音色効果パラメータの制御値を決定する決定手段と、前記決定した音色効果パラメータの制御値に基づき楽音制御を実行する楽音制御手段とを具える。
【0006】
この発明によると、表示器にいずれか一方が音色効果パラメータに対応付けられた第1表示オブジェクトと第2表示オブジェクトとを少なくとも含む画面を表示しておき、操作子の操作に従って前記各表示オブジェクトの表示位置が変更制御されて画面が更新されることにあわせて、前記第1表示オブジェクト又は第2表示オブジェクトの各表示位置の変更履歴を記憶する。そして、前記画面の再現が指示された場合には、前記記憶した表示位置の変更履歴に従って再現した画面を前記表示器に表示すると共に、該再現した画面上における第1表示オブジェクトと第2表示オブジェクトとの表示位置関係に応じて、第1表示オブジェクト又は第2表示オブジェクトに対応付けられた音色効果パラメータの制御値を決定し、決定した音色効果パラメータの制御値に基づき楽音制御を実行する。このようにして、画面上における各オブジェクトの表示位置の変更履歴のみを記録し、これに基づき画面を再現した際に、画面上の各表示オブジェクトの表示位置関係のみに従って音色効果パラメータの制御値を決定するようにしたことから、単に画面を再現するための画面表示情報(各オブジェクトの表示位置の変更履歴)のみだけで画面を再現することにあわせて音色効果パラメータの制御をも再現することができる。
【0007】
本発明は装置の発明として構成し実施することができるのみならず、方法の発明として構成し実施することができる。また、本発明は、コンピュータまたはDSP等のプロセッサのプログラムの形態で実施することができるし、そのようなプログラムを記憶した記憶媒体の形態で実施することもできる。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、再現した画面上における第1表示オブジェクトと第2表示オブジェクトとの表示位置関係に応じて音色効果パラメータの制御値を決定することから、単に画面を再現するための画面表示情報である各表示オブジェクトの表示位置の変更履歴のみを記憶しておき、該画面表示情報に基づいて画面を再現するだけで画面記録時点における音色効果パラメータをも同時に再現することができるようになる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に従って詳細に説明する。
【0010】
図1は、この発明に係る電子音楽装置の全体構成の一実施例を示したハード構成ブロック図である。本実施例に示す電子音楽装置は例えば電子楽器であって、マイクロプロセッサユニット(CPU)1、リードオンリメモリ(ROM)2、ランダムアクセスメモリ(RAM)3からなるマイクロコンピュータによって制御される。CPU1は、この電子音楽装置全体の動作を制御するものである。このCPU1に対して、データ及びアドレスバス1Dを介してROM2、RAM3、検出回路4,5、表示回路6、音源・効果回路7、記憶装置8、通信インタフェース(I/F)9がそれぞれ接続されている。更に、CPU1は、タイマ割込み処理(インタラプト処理)における割込み時間や各種時間を計時するタイマ(図示せず)を具えている。例えば、タイマはクロックパルスを発生し、発生したクロックパルスをCPU1に対して処理タイミング命令として与えたり、あるいはCPU1に対してインタラプト命令として与える。CPU1は、これらの命令に従って各種処理を実行する。
【0011】
ROM2は、CPU1により実行あるいは参照される各種制御プログラムや各種データ等を格納する。RAM3は、CPU1が所定のプログラムを実行する際に発生する各種データなどを一時的に記憶するワーキングメモリとして、あるいは現在実行中のプログラムやそれに関連するデータを一時的に記憶するメモリ等として使用される。RAM3の所定のアドレス領域がそれぞれの機能に割り当てられ、レジスタやフラグ、テーブル、メモリなどとして利用される。この実施例では一例として、「パラメータ制御画面」(図3参照)をディスプレイ6Aに表示するために参照される音色パラメータデータや、「パラメータ制御画面」を再現するためのデータであって、ユーザによる制御操作子やオブジェクト操作子等の操作に伴う「パラメータ制御画面」上における各オブジェクトの時間的な配置位置(表示位置)の変化を記録する履歴情報データ,ステップ配置情報データ,リアルタイム配置情報データ等がある。これらの詳細については、後述する(図2参照)。
【0012】
演奏操作子4Aは、楽音の音高を選択するための複数の鍵を備えた例えば鍵盤等のようなものであって、各鍵に対応してキースイッチを有しており、この演奏操作子4A(鍵盤等)はユーザ自身の手弾きによるマニュアル演奏に使用することができるのは勿論のこと、音色の選択や音色効果パラメータ等を設定する手段などとして使用することもできる。検出回路4は、演奏操作子4Aの各鍵の押圧及び離鍵を検出することによって検出出力を生じる。なお、本明細書において、「音色」とはピアノやギターなどの一般的な単一の音色を示すことに限らず、1つの「音色」を複数の音色エレメントで構成する場合の所謂「音色エレメント」や、複数の単一の音色を組み合わせて1つの音色セットにした所謂「パフォーマンス」など、音色の1要素や複数の単一の音色からなる音色グループなどを含むものである。
【0013】
操作子(スイッチ等)5Aは、例えば演奏の際に使用する音色を選択する選択スイッチ、ボリューム、ピッチ、LFOなどの各種の音色効果パラメータをその操作量(例えば0〜128、-64〜+64など)に応じた分だけ制御する(言い換えるならば、楽音に効果を付与する際に用いられる各種音色効果に係る制御値を操作量に応じて決定する)、例えばモジュレーションホイール、ピッチベンドホイール、アフタータッチ、ノブ、スライダー、リボンコントローラなどの制御操作子、フットスイッチなどの切り替え指示操作子、「パラメータ制御画面」(図3参照)の編集を行うための画面編集スイッチ、履歴情報データ(図2(B)参照)に基づくオブジェクトの配置情報をステップ記録するステップ記録の開始/終了を指示するあるいはリアルタイム記録するリアルタイム記録の開始/終了を指示するためのそれぞれの記録開始/終了スイッチ、履歴情報データに記録する記録対象のオブジェクトを指定する(つまりは、再現する音色効果パラメータを指定する)指定スイッチ、ステップ再生又はリアルタイム再生の開始/終了を指示するためのそれぞれの再生開始/終了スイッチ等の各種の操作子を含んで構成される。なお、上記各制御操作子に対しては、ユーザが制御対象とする音色効果パラメータを任意に関連付けることができる。
【0014】
勿論、操作子5Aは上記した以外にも音高、音色、効果等を選択・設定・制御するための数値データ入力用のテンキーや文字データ入力用のキーボード、あるいはディスプレイ6Aに表示された各種画面の位置を指定したり画面上に表示されたオブジェクトをクリック&ドラッグするためのポインタなどを操作するマウス(二次元ポインティング操作子又はオブジェクト操作子などと呼ぶ)等の各種操作子を含んでいてもよい。検出回路5は、上記操作子5Aの操作状態を検出し、その操作状態に応じたスイッチ情報等をデータ及びアドレスバス1Dを介してCPU1に出力する。
【0015】
表示回路6は例えば液晶表示パネル(LCD)やCRT等から構成されるディスプレイ6Aに、「パラメータ制御画面」(図3参照)等の各種画面を表示するのは勿論のこと、ROM2や記憶装置8に記憶されている各種データあるいはCPU1の制御状態などを表示することができる。ユーザはディスプレイ6Aに表示されるこれらの各種情報を参照することで、演奏の際に使用する音色や曲の選択さらに音色効果パラメータの設定などを容易に行うことができる。なお、ディスプレイ6Aはタッチパネルであってよく、その場合には画面がタッチ操作されたことを検出する手段を具備してなることは言うまでもない。この場合、ディスプレイ6Aは所謂ソフトスイッチを具え、タッチパネルとしてマウス等と同様にディスプレイ6Aに表示された「パラメータ制御画面」の各オブジェクトの表示位置や形状などを変更制御できる二次元ポインティング操作子(オブジェクト操作子)を兼ねるものとなる。
【0016】
音源・効果回路7は複数のチャンネルで楽音信号の同時発生が可能であり、データ及びアドレスバス1Dを経由して与えられた演奏情報を入力し、この演奏情報に基づいて楽音を合成し楽音信号を発生する。また、楽音を合成する際には、設定された音色効果パラメータ毎の制御値(パラメータ値)に基づいて種々の効果を付与することができるようになっている。こうした音源・効果回路7から発生される楽音信号は、アンプやスピーカなどを含むサウンドシステム7Aから発音される。音源・効果回路7とサウンドシステム7Aの構成には、従来のいかなる構成を用いてもよい。例えば、音源・効果回路7はFM、PCM、物理モデル、フォルマント合成等の各種楽音合成方式のいずれを採用してもよく、また専用のハードウェアで構成してもよいし、CPU1によるソフトウェア処理で構成してもよい。
【0017】
記憶装置8は、例えば音色パラメータデータ、ステップ配置情報データ,リアルタイム配置情報データ(図2参照)などの各種データの他、CPU1が実行する各種制御プログラム等を記憶する。なお、上述したROM2に制御プログラムが記憶されていない場合、この記憶装置8(例えばハードディスク)に制御プログラムを記憶させておき、それをRAM3に読み込むことにより、ROM2に制御プログラムを記憶している場合と同様の動作をCPU1にさせることができる。このようにすると、制御プログラムの追加やバージョンアップ等が容易に行える。なお、記憶装置8はハードディスク(HD)に限られず、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD‐ROM・CD‐RAM)、光磁気ディスク(MO)、あるいはDVD(Digital Versatile Disk)等の様々な形態の記憶媒体を利用する記憶装置であればどのようなものであってもよい。あるいは、フラッシュメモリなどの半導体メモリであってもよい。
【0018】
通信インタフェース(I/F)9は、図示を省略した外部機器と当該電子音楽装置との間でMIDI形式の演奏データを送受信するMIDI入出力インタフェース、MIDI以外のデータや制御プログラムなどの各種情報を送受信するデータ入出力インタフェースとしての機能を備えた、例えばRS-232C、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)、IEEE1394(アイトリプルイー1394)、ブルートゥース(商標)、赤外線送受信器等のインタフェースである。あるいは、LAN(Local Area Network)やインターネット、電話回線等の有線あるいは無線の通信ネットワークを介して、本電子音楽装置とネットワーク上の外部機器(例えばサーバ装置)とを接続することができ、電子音楽装置とサーバ装置との間でMIDIデータや各種情報などを送受信することができるネットワークインタフェースであってもよい。こうした通信インタフェース9は、有線あるいは無線のものいずれかでなく双方を具えていてよい。
【0019】
なお、上述した電子音楽装置において、演奏操作子4Aは鍵盤楽器の形態に限らず、弦楽器や管楽器、あるいは打楽器等どのようなタイプの形態でもよい。また、電子音楽装置は演奏操作子4Aやディスプレイ6Aあるいは音源・効果回路7などを1つの装置本体に内蔵したものに限らず、それぞれが別々に構成され、MIDIインタフェースや各種ネットワーク等の通信手段を用いて各装置を接続するように構成されたものであってもよいことは言うまでもない。さらに、本発明に係る電子音楽装置は電子楽器に限らず、ミキサやパーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯型通信端末、またカラオケ装置やゲーム装置など、音色効果パラメータに従って楽音を制御できるものであればどのような形態の装置・機器であってもよい。
【0020】
次に、音色パラメータデータ、履歴情報データ,ステップ配置情報データ,リアルタイム配置情報データについて図2を用いて説明する。図2(A)は、音色パラメータデータのデータ構成の一実施例を示す概念図である。音色パラメータデータは曲の演奏中にユーザが操作子を操作して音色パラメータ制御を行う際に参照する「パラメータ制御画面」(図3参照)をディスプレイ6Aに表示するためのデータであって、ROM2や記憶装置8等に音色毎に多数記憶されており、ユーザによる音色の選択に応じて該当するデータが特定されるようになっている。
【0021】
図2(A)に示すように、音色パラメータデータは大きく分けると1乃至複数のソースオブジェクトデータと1乃至複数のデスティネーションオブジェクトデータから構成される。ソースオブジェクトデータは「パラメータ制御画面」に表示可能なソースオブジェクトOS及びレールオブジェクトR(図3参照)に関連する情報であって、ソース種類,レールデータ,その他のデータからなる。ソース種類は画面に表示する個々のソースオブジェクトOSに対応付ける制御操作子の種類を定義するデータであって、例えばモジュレーションホイール、ピッチベンドホイール、アフタータッチ、ノブ、スライダー、リボンコントローラなど当該機器が具えている既存の制御操作子の中からいずれか1つを定義する。
【0022】
レールデータはソースオブジェクトOSと組み合わされて対に表示されるレールオブジェクトRの表示態様を特徴付けるデータであって、例えばレールオブジェクトRの表示開始位置を示す始点位置及び表示終了位置を示す終点位置(具体的には画面の座標である)、レールオブジェクトRの線分種類(直線や曲線さらには折れ線や閉曲線、あるいはそれらの線分を複数組み合わせたものであってもよい)、また前記線分種類が曲線や折れ線や閉曲線である場合にはそれらの線分における1乃至複数の中間表示位置(座標)などを定義する。その他のデータは、ソースオブジェクトOSの表示態様(例えば形状や表示色など)や初期表示位置(座標)などを定義する。ユーザは「パラメータ制御画面」を編集する際に、レールオブジェクトRの始点・終点位置や向き(デスティネーションオブジェクトODの中心までの距離を含む)、また有効エリアKAの内外それぞれに位置するレールオブジェクトRの線分の長さなどを調整することによって、制御操作子によるパラメータ制御の制御態様を任意に変更することができる。
【0023】
デスティネーションオブジェクトデータは「パラメータ制御画面」に表示可能なデスティネーションオブジェクトOD(図3参照)に関連する情報であって、音色効果パラメータ種類,有効エリアデータ,その他データからなる。音色効果パラメータ種類は個々のデスティネーションオブジェクトODに対応付ける各種音色効果の種類を定義するデータであって、例えばボリューム、ピッチ、LFOなどの当該機器が具えている音源・効果回路7において楽音に付与しうる音色効果のうちのいずれかを定義する(1乃至複数であってよい)。有効エリアデータは、個々のデスティネーションオブジェクトOD毎に画面上に規定される有効エリアKA(図3参照)を特徴付ける例えば大きさや形状(円形状、星形状、楕円形状など適宜の形状であってよい)等の範囲を指定するデータである。その他データは、デスティネーションオブジェクトODの表示態様(例えば形状や表示色など)や初期表示位置(座標)などを定義する。
【0024】
図2(B)は、「パラメータ制御画面」を再現するための履歴情報データのデータ構成の一実施例を示す概念図である。履歴情報データは例えばRAM3などに構成されたリングバッファに記録されるデータであって、少なくとも現時点から過去に演奏された直前の曲1小節分の間において、ディスプレイ6Aに表示された「パラメータ制御画面」(図3参照)上における指定オブジェクトの配置位置の時間的な変化を所定の時間(例えば1ミリ秒:こうした単位時間をtickと呼ぶ)毎に繰り返し記録する。1tick毎における配置情報(一時点の配置情報)としては、ユーザにより記録対象に指定されたオブジェクトに関して、そのオブジェクトのディスプレイ6A上の配置位置(X座標,Y座標)が記録される。ここに示す実施例においては、ソースオブジェクト1とデスティネーションオブジェクト1の組が指定されている。
【0025】
なお、上記指定オブジェクトは、上記音色パラメータデータのソースオブジェクトデータ及びデスティネーションオブジェクトデータに対応付けられている。すなわち、ユーザが履歴情報データに記録する対象として指定できるオブジェクトは、上記した音色パラメータデータに含まれるソースオブジェクトデータとデスティネーションオブジェクトデータに基づき「パラメータ制御画面」に表示されるソースオブジェクト(及びレールオブジェクト)とデスティネーションオブジェクトのうちのいずれかの組み合わせである。こうしたソースオブジェクトとデスティネーションオブジェクトの組み合わせは1対1に限らない。例えば、1つのソースオブジェクトと複数のデスティネーションオブジェクトの組み合わせを指定するなどしてよい。この場合、ソースオブジェクトに対応付けられている1つの制御操作子の操作に伴って、複数のデスティネーションオブジェクトそれぞれに対応付けられている複数の音色効果パラメータを同時に制御することができる(後述する図4(f)参照)。
【0026】
図2(C)は、「パラメータ制御画面」を再現するためのステップ配置情報データ及びリアルタイム配置情報データのデータ構成の一実施例を示す概念図である。ステップ配置情報データは、前記履歴情報データに記録された複数のtick毎の配置情報の中から、任意のタイミング(ステップ)の配置情報のみを抜き出して記録したデータである。すなわち、履歴情報データに比べると飛び飛びの適宜の時間の配置情報が記録される。履歴情報データから配置情報を抜き出してステップ配置情報データに記録する任意のタイミング(ステップ)は、ユーザが都度指定することができる。そして、ユーザは該ステップ配置情報データを利用することによって、任意のタイミング(ステップ)で記録しておいた「パラメータ制御画面」上の各オブジェクトの配置位置を再現することが、例えばフットスイッチを操作するなどして任意に行うことができる(所謂ステップシーケンサ)。勿論、タイマ再生に従ってステップ毎に順番に「パラメータ制御画面」を自動的に再現することもできる。
【0027】
他方、リアルタイム配置情報データは、ユーザによる記録開始から記録終了までの指示に応じてリアルタイムに所定の時間毎に配置情報を記録する。したがって、ユーザ指示に応じた時間範囲分(例えば1曲全部であってもよい)の配置情報が記録されており、該リアルタイム配置情報データに記録された配置情報を記録開始時から記録終了時まで順次に読み出すと、前記時間範囲における「パラメータ制御画面」上の各オブジェクトの配置位置の時間的な変化を再現することができる。なお、上記した履歴情報データ、ステップ配置情報データ、リアルタイム配置情報データのそれぞれは、それらが生成された際に演奏中であった曲とリンクされているとよい。また、履歴情報データ及びリアルタイム配置情報データについては、さらに1tick毎の配置情報が記録時に演奏中であった曲の演奏位置にリンク付けられていてよい。つまりは、時間情報を記録していてよい。
【0028】
ここで、上記した音色パラメータデータに基づいてディスプレイ6Aに表示される「パラメータ制御画面」の表示例を図3に示し、またこの「パラメータ制御画面」を利用しての制御操作子と音色効果パラメータとの関連付け(パッチング)を確立/解除する動作の具体例を図4に示す。図3は、「パラメータ制御画面」の一実施例を示す概念図である。該「パラメータ制御画面」は複数のソースオブジェクトOS(上述したように、1つのレールオブジェクトRと組み合わされて対に表示される)と複数のデスティネーションオブジェクトODとを同時に表示可能であるが、ここでは説明を理解しやすくするために1つのソースオブジェクトOS(対をなすレールオブジェクトRを含む)と1つのデスティネーションオブジェクトODとを表示した場合を例に示している。すなわち、「パラメータ制御画面」に表示する対象のソースオブジェクトOSとデスティネーションオブジェクトODはユーザが任意に選択することができてよく、音色パラメータデータからユーザ選択に応じたオブジェクトデータを参照して画面上に必要なオブジェクトのみを表示する(なお、このオブジェクト選択が履歴情報データに記録する対象のオブジェクトを指定する操作であってもよい)。
【0029】
図3に示すように「パラメータ制御画面」には、ソースオブジェクトデータに基づくソースオブジェクトOS(第1表示オブジェクト)及びレールオブジェクトR(軌道)と、デスティネーションオブジェクトデータに基づくデスティネーションオブジェクトOD(第2表示オブジェクト)とが表示される。ソースオブジェクトOSの表示態様としては、図示したような円状の図形表示に限らず多角形や星型等の任意形状の図形表示であってもよいし、制御操作子の形状を模したアイコンなどの図形表示であってもよい。また、図示した例では省略したが、図形表示だけでなくソースオブジェクトOSに対応付けられている制御操作子の名称やその略称、記号などを表示するようにしてもよい。さらに、複数のソースオブジェクトOSを同時に表示するような場合には、ソースオブジェクトOSごとに色や形状などの表示態様を異ならせて表示するとよい。デスティネーションオブジェクトODについてもソースオブジェクトOSと同様に適宜の形状で表示してよいし、またデスティネーションオブジェクトODに対応付けられている音色効果パラメータの名称等を表示するようにしてもよい。
【0030】
上記ソースオブジェクトOSは各種の音色効果パラメータを制御することが可能な制御ソースを表すもので、例えばモジュレーションホイール、ピッチベンドホイール、アフタータッチ、ノブ、スライダー、リボンコントローラなどの制御操作子が制御ソースとして対応付けられる。レールオブジェクトRはソースオブジェクトOSと対に付随表示されるものであって、制御操作子の操作に応じて対応付けられているソースオブジェクトOSを画面上で移動表示させる際の軌道を規定する。すなわち、制御操作子の操作に応じてソースオブジェクトOSはレールオブジェクトR上を移動するように表示制御されるようになっており、この実施例では制御操作子の操作量が「最小(min)」(例えば0,-64など)の状態であるときにレール始点に位置するように、また操作量が「最大(max)」(例えば128,+64など)の状態であるときにレール終点に位置するように、制御操作子の時々の操作量の増減に応じた分だけレールオブジェクトR上を移動するようにしてソースオブジェクトOSの表示制御がなされる(そのようにレールオブジェクトRの線分上の所定位置と制御操作子の操作量(図示の例では-64〜+64)との対応関係が形成される)。すなわち、レールオブジェクトRの線分長さは制御操作子が動作可能な範囲全体を表すことから、ユーザはレールオブジェクトR上におけるソースオブジェクトOSの位置から、制御操作子をどの程度まで動作させているかを容易に把握することができるようになっている。
【0031】
他方、デスティネーションオブジェクトODは、ボリューム、ピッチ、LFO、ビブラートなどの楽音に付与することが可能な各種の音色効果に関するパラメータのいずれかと対応付けられており、制御操作子の操作(あるいはソースオブジェクトOSの操作)に応じて制御値を決定する制御対象の音色効果パラメータを表す。デスティネーションオブジェクトODには個別に有効エリアKAが配置されている。この有効エリアKAは、ソースオブジェクトOSに対応付けられている制御操作子と該エリアを有するデスティネーションオブジェクトODに対応付けられている音色効果パラメータとを関連付ける又は関連付けをやめる(パッチングを確立/解除する)境界・範囲を表すものであって、ユーザが視認できるように画面上に表示してもよいし表示しなくてもよい。すなわち、該有効エリアKA外にソースオブジェクトOSが位置している場合には関連付けがなされていないことを表し、該有効エリアKA内にソースオブジェクトOSが位置している場合には関連付けがなされていることを表す。
【0032】
ユーザはマウス等の二次元ポインティング操作子(オブジェクト操作子)を操作して、ソースオブジェクトOS、レールオブジェクトR、デスティネーションオブジェクトOD、有効エリアKAのそれぞれについて、表示位置や表示態様等を任意に変更することができる。ソースオブジェクトOS(又はレールオブジェクトR)の表示位置を変更(移動)した際には、基本的に付随表示している対のレールオブジェクトR(又はソースオブジェクトOS)も一緒に表示位置が変更(移動)される。なお、ソースオブジェクトOSのみをレールオブジェクトRから外して他の位置に移動させることもできるようになっていてよい。
【0033】
レールオブジェクトRについては、その表示向きや線分長さ(つまりはレール始点位置又は/及びレール終点位置を変更する)やその形状などを変更することもできる。レールオブジェクトRは図示のように基本的に連続する直線で表示されるものであるが、後述する図13(c)に示すように直線以外であってもよく、また図13(d)に示すように連続していなくてもよい。有効エリアKAについては、その範囲を拡大縮小することができる。レールオブジェクトRの線分長さを変えたり、有効エリアKAの範囲を拡大縮小したりした場合には、パラメータを制御できる制御操作子の操作範囲が限定される(詳しくは後述する)。勿論、レールオブジェクトRの表示位置や表示向き等を変更した場合には、その変更にあわせて付随表示している対のソースオブジェクトOSの表示位置も変更される。こうした「パラメータ制御画面」における各オブジェクトの表示位置や表示態様等が変更された場合には、音色パラメータデータの該当するオブジェクトデータを更新することは言うまでもない。また、レールオブジェクトRの線分の長さが変更された場合には、制御操作子の操作量とレールオブジェクトRの線分上におけるソースオブジェクトOSの表示移動量との対応関係も変更される。この対応関係は、制御操作子の種類毎に予め用意された所定の演算式やテーブル等によるものなど、どのようなものであってもよい。
【0034】
制御操作子と音色効果パラメータとのパッチングを確立/解除する動作としては、制御操作子を操作することなくマウス等の二次元ポインティング操作子(オブジェクト操作子)だけを操作する場合と、二次元ポインティング操作子を操作した後にさらに制御操作子を操作する場合とがある。そして、パッチングを確立した際には、関連付けられた制御操作子と音色効果パラメータとに関して図示を省略した関連付け情報が生成されてRAM3等に記憶される。この関連付け情報は、互いに関連付けられた制御操作子と音色効果パラメータとを指し示すデータ、それらに対応するソースオブジェクトOSやデスティネーションオブジェクトODの表示位置、ソースオブジェクトOSの表示位置とデスティネーションオブジェクトODの表示位置との距離(表示間隔)などを含んでなる。なお、パッチングを解除した際には該当の関連付け情報を削除してよい。
【0035】
図4は、図3に示した「パラメータ制御画面」におけるパッチングの確立/解除動作の概略を示す概念図である。図4(a)は、ソースオブジェクトOS及びレールオブジェクトRが共に有効エリアKA内に入っていない状態を示す。図4(b)及び図4(c)は、レールオブジェクトRの全部が(ソースオブジェクトOSと共に)有効エリアKA内に入っている状態を示す。ここで、図4(b)はレールオブジェクトRの向きがデスティネーションオブジェクトOD(の中心)に向いているが、図4(c)はレールオブジェクトRの向きがデスティネーションオブジェクトOD(の中心)に向いていない。図4(d)は、レールオブジェクトRの一部が有効エリアKA内に入っている状態を示す。
【0036】
図4(a)に示すように、二次元ポインティング操作子を操作してソースオブジェクトOS及びレールオブジェクトRを共に有効エリアKA外の位置まで移動させたとしても、パッチングが確立されない。この場合にはレールオブジェクトR上を移動するソースオブジェクトOSが絶対に有効エリアKA内に入ることはないので、二次元ポインティング操作子を操作した後にさらに制御操作子を操作したとしてもパッチングを確立することができない。そこで、図4(a)の表示状態にあるソースオブジェクトOS及びレールオブジェクトR(又はデスティネ ーションオブジェクトOD及び有効エリアKA)をクリック&ドラッグ操作して、図4(b)又は図4(c)の表示状態つまりソースオブジェクトOSが有効エリアKA内に位置した表示状態まで移動させると、パッチングを確立することができる。反対に図4(b)又は図4(c)の表示状態にあるソースオブジェクトOS及びレールオブジェクトR(又はデスティネーションオブジェクトOD及び有効エリアKA)をクリック&ドラッグ操作して、図4(a)の表示状態にまで移動させるとパッチングを解除することができる。このように、ユーザは制御操作子を操作しなくとも二次元ポインティング操作子を操作するだけでも、パッチングを確立/解除することができる。
【0037】
一方、図4(a)の表示状態にあるソースオブジェクトOS及びレールオブジェクトR(又はデスティネーションオブジェクトOD及び有効エリアKA)をクリック&ドラッグ操作し、図4(d)に示すようにレールオブジェクトRの一部が有効エリアKA内に入っているが、ソースオブジェクトOSは有効エリアKA外に位置している状態(図中において点線で示す)で操作をやめた場合、このままではパッチングが確立されない。この場合には、二次元ポインティング操作子を操作した後にさらにソースオブジェクトOSに対応付けられている制御操作子を操作し、ソースオブジェクトOSが有効エリアKA内に位置するまでその操作を行うことによってパッチングを確立することができる(図中において実線で示す)。反対に、ソースオブジェクトOSが有効エリアKA外に位置する状態まで制御操作子を操作するとパッチングを解除できる。
【0038】
図4(e)は、1つのデスティネーションオブジェクトODに複数のレールオブジェクトR1,R2の一部が共に同じ有効エリアKAに入っている状態を示す。上述したように、制御操作子の操作にあわせてソースオブジェクトが有効エリアKA内に入るとパッチングが確立されるのであるが、図示のように一方のソースオブジェクトOS1,OS2のいずれかが有効エリアKA内に位置しており既にパッチングが確立されている場合には、後から有効エリアKA内に入ったもう一方のソースオブジェクトOS1,OS2のいずれかを優先してパッチングを確立する(つまり降着優先とする)。例えば既に一方のソースオブジェクトOS1が有効エリアKA内に位置しているにもかかわらず、後からソースオブジェクトOS2を有効エリアKA内に入れた場合には(図中点線から実線表示への移動)、ソースオブジェクトOS2に関してパッチングが確立される(ソースオブジェクトOS1に関してパッチングを解除する)。そして、ソースオブジェクトOS2を有効エリアKA外に出すまで制御操作子を操作すると、ソースオブジェクトOS2に関してパッチングが解除される一方でソースオブジェクトOS1に関してパッチングが再度確立される。こうすることで、2つの制御操作子で1つの同じパラメータを制御することのないようにしている。
【0039】
なお、図4(e)に示すような表示状態にならないように、画面編集の際に例えば図4(d)に示す表示状態においてさらに他のレールオブジェクトの一部を有効エリアKA内に入れるようにクリック&ドラッグ操作しようとしても、そうした操作を行うことができないように制限してもよい(この場合、確立済みのパッチングを優先する)。
【0040】
図4(f)は、1つのソースオブジェクトOSが複数のデスティネーションオブジェクトOD1,OD2のそれぞれの有効エリアKA1,KA2内に同時に入る状態を示す。この場合には、制御操作子の操作にあわせて1つのソースオブジェクトOSが同時に複数の有効エリアKA1,KA2内に入ることから、ソースオブジェクトOSに関してデスティネーションオブジェクトOD1,OD2の両方についてパッチングが確立される。反対に、ソースオブジェクトOSが有効エリアKA1,KA2外に位置する状態まで制御操作子を操作すると、デスティネーションオブジェクトOD1,OD2の両方について同時にパッチングを解除できる。こうすることで、1つの制御操作子で同時に2つのパラメータを制御することができるようにしている。なお、この場合にはソースオブジェクトOSと複数のデスティネーションオブジェクトOD1,OD2それぞれとの距離(表示間隔)に応じて、それぞれのパラメータの制御値が決定される。
【0041】
図4(g)は、1つのソースオブジェクトOSが複数のデスティネーションオブジェクトOD1,OD2の有効エリアKA1,KA2内に順次に入る状態を示す。この場合、制御操作子の操作に応じてソースオブジェクトOSが図の左から右へと移動するのにあわせて、有効エリアKA1と有効エリアKA2を順次に横切る。この際に、ソースオブジェクトOSが有効エリアKA1内に入るとデスティネーションオブジェクトOD1とのパッチングが確立され、有効エリアKA1外に出るとデスティネーションオブジェクトOD1とのパッチングが解除される。そして、さらに制御操作子の操作に応じてソースオブジェクトOSが図の左から右へと移動するのにあわせて、ソースオブジェクトOSが有効エリアKA2内に入るとデスティネーションオブジェクトOD2とのパッチングが確立され、有効エリアKA2外に出るとデスティネーションオブジェクトOD2とのパッチングが解除される。この場合、1つの制御操作子において所定の操作範囲毎にそれぞれ異なるパラメータを制御することができる。
【0042】
上述したように、操作者による二次元ポインティング操作子などの適宜のユーザインタフェースの操作に応じて、ソースオブジェクトOS及びレールオブジェクトR,デスティネーションオブジェクトOD及び有効エリアKAを画面上の任意の表示位置に移動することができ、また制御操作子の操作に応じてソースオブジェクトOSをレールオブジェクトR上で移動させる(こうした各オブジェクトの配置位置の時間的な変化が履歴情報データなどとして記録される)。そして、ソースオブジェクトOSが有効エリアKA内に位置する場合には、ソースオブジェクトOSに対応付けられている制御操作子と該有効エリアKAを有するデスティネーションオブジェクトODに対応付けられている音色効果パラメータとの関連付け(パッチング)が確立される。他方、ユーザインタフェースや制御操作子の操作により有効エリアKA外にソースオブジェクトOSが移動されると、制御操作子と音色効果パラメータとの関連付け(パッチング)が解除される。
【0043】
次に、本実施例に示す電子音楽装置において、「パラメータ制御画面」を記録再生することに伴う前記画面の時間的変化の再現に基づき音色効果パラメータの制御を再現する処理について、図5を用いて説明する。図5は、音色効果パラメータの制御を再現する「メイン処理」の一実施例を示すフローチャートである。当該処理は、本電子音楽装置の電源オンに応じて開始され、電源オフに応じて終了される。
【0044】
ステップS1は、初期設定を行う。初期設定としては、例えば履歴情報データ,ステップ配置情報データ,リアルタイム配置情報データのクリアや「パラメータ制御画面」を表示する。具体的には、ユーザによる音色選択スイッチの操作に応じて予め用意された多数の音色の中からいずれかを選択すると、該音色の選択に応じて記憶手段8等に記憶されている多数の音色パラメータデータの中からいずれかの音色パラメータデータが特定され、該特定された音色パラメータデータに含まれるオブジェクトデータに従ってソースオブジェクトOS及びレールオブジェクトR、デスティネーションオブジェクトOD(及び有効エリアKA)を反映した「パラメータ制御画面」をディスプレイ6A上に表示する。
【0045】
ステップS2は、制御操作子の操作に基づく処理を実行する。当該処理では、制御操作子の操作に応じて「パラメータ制御画面」に表示されているソースオブジェクトOSのうち前記制御操作子に対応付けられているソースオブジェクトOSの表示を更新する。ステップS3は、オブジェクト操作に基づく処理を実行する。ここで、オブジェクト操作とは上記した制御操作子の操作ではなく二次元ポインティング操作子(オブジェクト操作子)の操作による例えばクリック&ドラッグ操作等であって、ソースオブジェクトOS,レールオブジェクトR,デスティネーションオブジェクトODの各オブジェクトを直接指定してそれらの移動・変形操作を行うことである。この場合には、オブジェクト操作子の操作に応じて「パラメータ制御画面」に表示されている各オブジェクトの表示を更新する。
【0046】
ステップS4は、履歴情報の記録処理を実行して履歴情報データを生成する。ステップS5は、履歴情報の再生処理を実行して「パラメータ制御画面」の時間的な表示変化を再現する。ステップS6は、ステップ記録処理を実行してステップ記録配置情報データを生成する。ステップS7は、ステップ記録配置情報データに基づいてステップ再生処理を実行する。ステップS8は、リアルタイム記録/再生処理を実行する。上記ステップS2〜S8に記載した各処理の詳細な説明については後述する(図6〜図12参照)。
【0047】
ステップS9は、ユーザによる演奏操作子4の操作に応じて発生されるノートイベント、予め記憶装置8等に記憶しておいた曲データの再生に応じて発生されるノートイベント、さらには通信インタフェース9を介して外部機器から取得されたノートイベント等に基づき、楽音生成を音源・効果回路7に指示する。ステップS10は、「パラメータ制御画面」に表示されているソースオブジェクトOSとデスティネーションオブジェクトODとの表示位置関係に応じて楽音を制御する。すなわち、ソースオブジェクトOSとデスティネーションオブジェクトODとの距離(表示間隔)に応じて、該当する音色効果パラメータの制御値を決定し、該決定した制御値を音源・効果回路7に対して供給する。このようにして、記録再生した「パラメータ制御画面」表示を再現することによって、ユーザが過去に行った制御操作子やオブジェクト操作子を操作することに伴う音色効果パラメータ制御が再現されて、該再現された音色効果パラメータに従う所定の効果が楽音に付与される。
【0048】
図6は、「制御操作子の操作に基づく処理」(図5のステップS2参照)の一実施例を示すフローチャートである。ステップS21は、制御操作子の状態(操作されたか否か)を検出する。ステップS22は、操作された制御操作子にソースオブジェクトOSが対応付けられているか否かを判定する。操作された制御操作子にソースオブジェクトOSが対応付けられていない場合には(ステップS22のno)、「パラメータ制御画面」に表示されているどのソースオブジェクトOSについても表示を更新する(移動表示する)必要がないので、特に何の処理も行うことなく当該処理を終了する。操作された制御操作子にソースオブジェクトOSが対応付けられている場合には(ステップS22のyes)、ソースオブジェクトOSは操作反映可能か否かを判定する(ステップS23)。ソースオブジェクトは操作反映可能でないと判定した場合には(ステップS23のno)、当該処理を終了する。例えばソースオブジェクトOSがドラッグ中又は「パラメータ制御画面」の再現中に制御操作子が操作された場合には、ソースオブジェクトOSは操作反映可能でないものとして判定されて、制御操作子の操作を「パラメータ制御画面」上のオブジェクト表示に反映しない。
【0049】
一方、ソースオブジェクトOSは操作反映可能であると判定した場合には(ステップS23のyes)、制御操作子の操作に応じて該当のソースオブジェクトOSの表示位置を更新する(ステップS24)。この場合には、制御操作子の操作量に基づいてレールオブジェクトR上での対応位置を計算し、前記計算後のレールオブジェクトR上の対応位置にソースオブジェクトOSを配置して表示する。この際には、前記計算後の位置までレールオブジェクトR上を移動するようにソースオブジェクトOSの表示を更新する。また、レールオブジェクトR上を移動したソースオブジェクトOSがデスティネーションオブジェクトODの有効エリアKA内に位置しない場合に該ソースオブジェクトOSに関して既にパッチングが確立されていれば、そのパッチングを解除して関連付け情報を削除する。ソースオブジェクトOSがデスティネーションオブジェクトODの有効エリアKA内に位置する場合に未だパッチングが確立されていなければ、そのパッチングを確立して関連付け情報を生成する。
【0050】
図7は、「オブジェクト操作処理」(図5のステップS3参照)の一実施例を示すフローチャートである。ステップS31は、ソースオブジェクトOSやデスティネーションオブジェクトODに対するオブジェクト操作子による操作(マウス等の二次元ポインティング操作子の操作)が「パラメータ制御画面」上で行われたか否かを判定する。オブジェクト操作が行われていない場合には(ステップS31のno)、当該処理を終了する。一方、オブジェクト操作が行われた場合には(ステップS31のyes)、オブジェクト操作に応じて該当の各オブジェクトの表示位置を更新する(ステップS32)。すなわち、オブジェクト操作子の操作が行われた場合には、操作された位置にソースオブジェクトOSやデスティネーションオブジェクトODを配置して表示する。つまり、この場合には適宜に位置にオブジェクトを移動できる。なお、この場合においても、ソースオブジェクトOSとデスティネーションオブジェクトODの有効エリアKAとの位置関係によって、パッチングの確立や解除が行われることは言うまでもない。
【0051】
図8は、「履歴情報の記録処理」(図5のステップS4参照)の一実施例を示すフローチャートである。ステップS41は、ユーザ操作に応じて記録対象オブジェクトの指定を設定/解除する。すなわち、配置されている複数オブジェクトのうちユーザが記録対象オブジェクトとしたい一部あるいは全部をオブジェクト操作子等で指定し、以降、記録対象オブジェクトとなったオブジェクトの現在位置が記録されてゆく。また、記録対象オブジェクトのうち記録をやめたい一部あるいは全部をオブジェクト操作子等で指定し、以降、それらの現在位置は記録されなくなる。ステップS42は、タイマによる時刻計時において所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していないと判定した場合には(ステップS42のno)、当該処理を終了する。一方、所定時間が経過したと判定した場合には(ステップS42のyes)、履歴情報データの再生(再現)中か否かを判定する(ステップS43)。履歴情報データの再生中と判定した場合には(ステップS43のyes)、履歴情報データの再生位置に記録対象オブジェクトの現在位置を上書きあるいは挿入によって更新記録する(ステップS44)。履歴情報データの再生中でないと判定した場合には(ステップS43のno)、履歴情報データの書き込み位置を進めて上記したステップS2又はステップS3における「パラメータ制御画面」の各オブジェクトの表示位置の更新に応じた記録対象オブジェクトの現在位置を記録する(ステップS45)。
【0052】
図9は、「履歴情報の再生処理」(図5のステップS5参照)の一実施例を示すフローチャートである。ステップS51は、制御操作子のうち例えばリボンコントローラなどのような過去の演奏、詳しくは過去(数秒から数分単位)に再生された曲演奏位置及び/又は過去の音色効果パラメータの制御値といった機器設定などを容易な操作で再現することができるように予め設定済みのした操作子(これを他の制御操作子と区別するために履歴操作子と呼ぶ)を、ユーザが操作中であるか否かを判定する。ユーザがリボンコントローラ(履歴操作子)を操作中であると判定した場合には(ステップS51のyes)、その操作に応じて履歴情報データにおける配置情報の再生位置を変更する(ステップS52)。そして、変更後の再生位置から配置情報を順次に自動的に読み出して、記録対象オブジェクトの表示位置を更新する(ステップS53)。すなわち、過去の「パラメータ制御画面」の再現を行う。なお、この表示位置の更新に合わせて、ソースオブジェクトOSとデスティネーションオブジェクトODの有効エリアKAとの位置関係によって、パッチングの確立や解除が行われることは言うまでもない。
【0053】
他方、ユーザはリボンコントローラ(履歴操作子)の操作中でないと判定した場合には(ステップS51のno)、現時点においてリボンコントローラ操作に応じた自動再生中であって、その履歴情報データの現在の再生位置が最新の記録位置より過去の位置であるか否かを判定する(ステップS54)。自動再生中の再生位置が最新の記録位置より過去の位置であると判定した場合には(ステップS54のyes)、所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS55)。自動再生中の再生位置が最新の記録位置より過去の位置でない又は所定時間が経過していないと判定した場合には(ステップS54がno又はステップS55がno)、当該処理を終了する。一方、所定時間が経過したと判定した場合には(ステップS55のyes)、再生位置を1つ進めて(ステップS56)ステップS53の処理へ行く。
【0054】
図10は、「ステップ記録処理」(図5のステップS6参照)の一実施例を示すフローチャートである。ステップS61は、ステップ記録開始/終了スイッチのユーザ操作に応じて配置記録であるステップ配置情報データの初期化を行う。ステップS62は、指定スイッチ等のユーザ操作に応じてステップ記録する記録対象オブジェクトを設定する。ステップS63は、ステップ記録を割り当てる任意の操作子(例えばフットスイッチなど)を操作するなどしてユーザが現時点の記録操作を行ったか否かを判定する。ユーザが現時点の記録操作を行ったと判定した場合には(ステップS63のyes)、ステップ配置情報データに上記したステップS2又はステップS3における「パラメータ制御画面」の各オブジェクトの表示位置の更新に応じた記録対象オブジェクトの現在位置を追記する(ステップS64)。
【0055】
図11は、「ステップ再生処理」(図5のステップS7参照)の一実施例を示すフローチャートである。ステップS71は、ステップ再生開始/終了スイッチのユーザ操作に応じてタイマ再生をオン/オフする。ステップS72は、タイマ再生中であって所定時間が経過したか否かを判定する。タイマ再生中であって所定時間が経過したと判定した場合には(ステップS72のyes)、ステップ配置情報データの再生位置(ステップ)を1つ進めて(ステップS76)から後述のステップS75の処理を行う。一方、タイマ再生中であって所定時間が経過していないと判定した場合には(ステップS72のno)、ユーザがステップ割り当て済みのフットペダル等を操作してステップ配置情報データの再生位置をステップ単位に移動する操作(前進、後退、先頭又は任意のステップへジャンプする等)を行ったか否かを判定する(ステップS73)。ユーザが再生位置を移動する操作を行っていないと判定した場合には(ステップS73のno)、当該処理を終了する。ユーザが再生位置を移動する操作を行ったと判定した場合には(ステップS73のyes)、ステップ配置情報データの再生位置(ステップ)を変更する(ステップS74)。
【0056】
ステップS75は、上記自動進行又は変更されたステップ配置情報データの再生位置(ステップ)の配置情報に従って記録対象オブジェクトの表示位置を更新する。すなわち、過去の「パラメータ制御画面」の再現を行う。なお、この表示位置の更新に合わせて、ソースオブジェクトOSとデスティネーションオブジェクトODの有効エリアKAとの位置関係によって、パッチングの確立や解除が行われることは言うまでもない。
【0057】
図12は、「リアルタイム記録/再生処理」(図5のステップS8参照)の一実施例を示すフローチャートである。ステップS81は、リアルタイム記録開始/終了スイッチ又はリアルタイム再生開始/終了スイッチ等のユーザ操作に応じてリアルタイム記録又はリアルタイム再生の再生/停止の切り替えを行う。ステップS82は、リアルタイム再生の停止中であるか否かを判定する。停止中である場合には(ステップS82のyes)、当該処理を終了する。一方、停止中でないと判定した場合には(ステップS82のno)、タイマによる時刻計時において所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS83)。所定時間が経過したと判定した場合には(ステップS83のyes)、リアルタイム記録中であるか否かを判定する(ステップS84)。記録中であると判定した場合には(ステップS84のyes)、リアルタイム配置情報データに上記したステップS2又はステップS3における「パラメータ制御画面」の各オブジェクトの表示位置の更新に応じた記録対象オブジェクトの現在位置を記録する(ステップS85)。記録中でないと判定した場合(すなわちリアルタイム再生中である場合)には(ステップS84のno)、再生位置の配置情報で記録対象オブジェクトの表示位置を更新する(ステップS86)。すなわち、過去の「パラメータ制御画面」の再現を行う。なお、この表示位置の更新に合わせて、ソースオブジェクトOSとデスティネーションオブジェクトODの有効エリアKAとの位置関係によって、パッチングの確立や解除が行われることは言うまでもない。
【0058】
制御操作子と音色効果パラメータとのパッチング確立後においては、さらに「パラメータ制御画面」においてソースオブジェクトOSがレールオブジェクトR上を移動表示されると、有効エリアKA内に位置するソースオブジェクトOSの表示位置とデスティネーションオブジェクトODの表示位置との距離(表示間隔)に対応して予め決められている制御値に従って、音色効果パラメータが決定されることは既に上述したとおりである。そこで、ここでは再現された「パラメータ制御画面」に従って行われる音色効果パラメータの制御の具体例について、図13を用いて説明する。図13は、再現された「パラメータ制御画面」に従って行われる音色効果パラメータ制御の再現について説明するための概念図である。図13に示した各図においては、左図に再現される「パラメータ制御画面」の具体例を、右図に再現される「パラメータ制御画面」上でのオブジェクトの移動量(記録時における制御操作子の操作量に対応する)と再現される音色効果パラメータの制御量との関係を表すグラフをそれぞれ示している。
【0059】
図13(a)は、3つの各表示パターン(A,B,C)におけるパラメータ制御を説明するための図である。この図13(a)において、AパターンはデスティネーションオブジェクトODの中心位置にレールオブジェクトRのレール終点が位置している場合、BパターンはデスティネーションオブジェクトODの中心位置までレールオブジェクトRのレール終点が位置していない場合、CパターンはデスティネーションオブジェクトODの中心にレールオブジェクトRが向いていない場合である。これらの各パターンでは、「パラメータ制御画面」の再現に応じてソースオブジェクトOSが有効エリアKA内に入るとパッチングが確立されて、それ以降のさらなる「パラメータ制御画面」の再現に応じて制御値が決定される(パラメータ制御が開始される)ようになっている。
【0060】
図中のAパターン(又はBパターン)とCパターンとを比べると、パラメータ制御が開始される操作量及びパラメータ制御可能な操作量の範囲に違いが生じていることが理解できる。この違いは、有効エリアKA外に位置するレールオブジェクトRの線分の長さの違いによって生ずる。すなわち、有効エリアKA外に位置するレールオブジェクトRの線分の長さが短いほど、操作量が小さい(例えば0や-64などに近い)うちにパッチングが確立されるので(図中a点、b点参照)、制御操作子の動作範囲のうちパラメータ制御可能な範囲が広くなる。すなわち、制御操作子の動作範囲のうち一部範囲でのみパラメータ制御を行うことができる。他方、例えば図4(b)に示したようなレールオブジェクトRが初めから完全に有効エリアKA内に入っている場合には、制御操作子の動作範囲全てにわたってパラメータ制御を行うことができる。
【0061】
AパターンとBパターンさらにはCパターンを比べると、操作量に応じた制御値の変化量(パラメータのきき具合であって、グラフの傾きで表される)が異なっていることが理解できる。この違いは、レールオブジェクトRのレール終点位置の違いによって生ずる。レールオブジェクトRのレール終点位置がデスティネーションオブジェクトODの中心に遠いほど制御値の変化量は小さくなる。また、操作量に応じた制御値の変化量が小さくなると、操作量が最大であっても予め決められている制御量の最大値(ここでは100%と表示)までの制御値を決定することがない。Cパターンはc点まで制御値が操作量に応じて増加するが、c点以降からは操作量に応じて減少している。これは、Cパターンにおいて、c点まではソースオブジェクトOSがデスティネーションオブジェクトODの中心に近づき、c点を過ぎるとソースオブジェクトOSがデスティネーションオブジェクトODの中心から遠ざかることによる。なお、図示の例では、Bパターンにおけるレール終点からデスティネーションオブジェクトODの中心までの距離と、CパターンにおけるソースオブジェクトOSがデスティネーションオブジェクトODの中心に最も近づく位置とを等しくすることで、Bパターンの最大制御値とCパターンの最大制御値とが等しくなるようにしている。このように図13(a)左図に示す再現された「パラメータ制御画面」によると、上記したような音色効果パラメータの制御が再現される。
【0062】
図13(b)は、複数の有効エリアKA1,KA2の互いに重なり合う範囲において、レールの始点を一方のデスティネーションオブジェクトODの中心に位置させると共に、レールの終点を他方のデスティネーションオブジェクトODの中心に位置させた場合である。この場合、制御操作子の操作開始前においては、ソースオブジェクトOSはデスティネーションオブジェクトOD1の中心に最も近い一方でデスティネーションオブジェクトOD2の中心からは最も近い位置にある。そして、制御操作子の操作に応じて、ソースオブジェクトOSはデスティネーションオブジェクトOD1の中心から遠ざかる一方でデスティネーションオブジェクトOD2の中心に近づく。したがって、デスティネーションオブジェクトOD1に関しては制御値が順次に減少し、デスティネーションオブジェクトOD2に関しては制御値が順次に増加する。また、ソースオブジェクトOSは1つのレールオブジェクトR上を移動することから、上記制御値の減少/増加の変化量は同じである。このように、図13(b)左図に示す再現された「パラメータ制御画面」によると、1つの制御操作子の操作に応じて2つの異なるパラメータをクロスフェード制御するような音色効果パラメータの制御が再現される。
【0063】
図13(c)は、レールオブジェクトRを直線ではなく曲線形状とした場合である。図13(d)は、レールオブジェクトRを連続した直線ではなく不連続な直線形状(ここでは4つの直線F,G,H,Iの例を示す)とした場合である。これらの場合には、レールオブジェクトRの形状に従って操作量と制御値との変化態様(変化量の傾きや制御値の減少/増加など)が変わる。図示のように、例えばレールオブジェクトRの形状が曲線であって、デスティネーションオブジェクトODに近づいたり遠ざかったりしているような場合には、操作量に応じた制御値もレールオブジェクトRの形状に近い変化態様を示す。また、レールオブジェクトRの形状が不連続な直線であるような場合には、レールオブジェクトRの形状が不連続である時点(図中におけるd点、e点、f点)においてその操作量がわずかな違いであったとしても、その時点の前後での制御値を大きく変化させることができるようになる。このように図13(c)又は図13(d)左図に示す再現された「パラメータ制御画面」によると、上記したような音色効果パラメータの制御が再現される。
【0064】
以上のように、「パラメータ制御画面」(図3参照)上における各オブジェクトの配置位置(表示位置)を記録しておき、これに基づき「パラメータ制御画面」を再現した際に、再現した画面上の各表示オブジェクトの表示位置関係に従って音色効果パラメータの制御値を決定するようにしたことから、単に画面を再現するための画面表示情報(上述した履歴情報データ,ステップ配置情報データ,リアルタイム配置情報データ)だけで「パラメータ制御画面」を再現することにあわせて音色効果パラメータの制御をも再現することができるようになる。
また、ユーザは「パラメータ制御画面」(図3参照)上における表示オブジェクトの表示位置関係から、直感的に制御操作子と音色効果パラメータとの関連付け(パッチング)の確立/解除や、制御操作子の操作量と音色効果パラメータの制御値との関係を把握しやすい。さらに、「パラメータ制御画面」上におけるソースオブジェクトOSを、レールオブジェクトOD上を移動するようにして制御対象を表すデスティネーションオブジェクトODに近づけたり遠ざけたりするようにして画面を再現することから、ユーザはこれらの表示オブジェクトの位置関係の変化を視覚的に楽しむことができる。
さらに、画面を再現するための画面表示情報と曲データだけで、ユーザ自身により音色効果パラメータが制御された曲と共に「パラメータ制御画面」を動画などとして保存することができることから、特にインターネットなどを介して前記動画をアップしたりダウンロードしたりする際に係る通信時間が少なくてすみ有利である。
【0065】
なお、履歴情報データやリアルタイム配置情報データに記録する配置情報としては、タイマによる計時に従う所定の時間間隔(tick)毎に、記録対象のオブジェクトの配置位置(表示位置)が変更されていてもいなくてもそれらの配置位置を記録するようにしたがこれに限らず、記録対象のオブジェクトの配置位置が変更された場合にのみその配置位置を時間情報と共に記録するようにしてもよい。
なお、履歴情報データ及びステップ配置情報データ及びリアルタイム配置情報データはファイルに保存しておき、後ほど該保存したファイルを読み出して再生してよいことは言うまでもない。
なお、デスティネーションオブジェクトODの有効エリアKAの形状は真円形状に限らず、楕円形や多角形、自由曲線よる閉曲線など、任意の形状であってよい。複数の形状の中からいずれかを選択できるようにしてよい。また、有効エリアKA内におけるデスティネーションオブジェクトODの中心とソースオブジェクトOSとの距離(表示間隔)は絶対的な距離(表示間隔)を求めるようにしてもよいし、有効エリアKA内に仮想的な等距離線を設けておき、ソースオブジェクトOSが最も近接している等距離線に基づいて前記距離(表示間隔)を近似して求めるようにしてもよい。
【0066】
なお、上述した実施例ではソースオブジェクトOSが有効エリアKA内に位置する場合にパッチングを確立するようにしたがこれに限らず、レールオブジェクトRの一部が有効エリアKA内に位置すればパッチングを確立するようにしてもよい。ただし、この場合であっても、ソースオブジェクトOSが有効エリアKA内に入るまでは制御量を音源・効果回路7に供給しない。
なお、二次元ポインティング操作子(オブジェクト操作子)は上記したマウスやタッチパネルに限らない。例えば矢印キーやパッドのようなものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】この発明に係る電子音楽装置の全体構成の一実施例を示したハード構成ブロック図である。
【図2】本電子音楽装置で用いる各種データのデータ構成の一実施例を示す概念図であって、図2(A)は音色パラメータデータ、図2(B)は履歴情報データ、図2(C)はステップ配置情報データ及びリアルタイム配置情報データを示す。
【図3】パラメータ制御画面の一実施例を示す概念図である。
【図4】パラメータ制御画面におけるパッチング動作の概略を示す概念図である。
【図5】メイン処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図6】制御操作子の操作に基づく処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図7】オブジェクト操作処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図8】履歴情報の記録処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図9】履歴情報の再生処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図10】ステップ記録処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図11】ステップ再生処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図12】リアルタイム記録/再生処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図13】再現されたパラメータ制御画面に従って行われる音色効果パラメータ制御の再現について説明するための概念図である。
【符号の説明】
【0068】
1…CPU、2…ROM、3…RAM、4,5…検出回路、4A…演奏操作子、5A…操作子、6…表示回路、6A…ディスプレイ、7…音源・効果回路、7A…サウンドシステム、8…記憶装置、9…通信インタフェース、1D…データ及びアドレスバス、OS…ソースオブジェクト、OD…デスティネーションオブジェクト、R…レールオブジェクト、KA…有効エリア
【技術分野】
【0001】
この発明は、制御操作子の操作に応じて予め関連付けられている音色効果パラメータの制御を行う電子音楽装置及びプログラムに関する。特に、ユーザが視覚的に楽しみながら音色効果パラメータの制御を行うことができる画面を提示する一方で、該画面表示を記録再生することに伴う前記画面の再現に基づいて音色効果パラメータの制御をも再現することができるようにした技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子楽器などの電子音楽装置において、例えばモジュレーションホイールやスライダーさらにはジョイスティックなどの制御操作子に対し、楽音制御のための例えばボリューム、ピッチ、LFOなどといった各種の音色効果パラメータを予め関連付けておくことで、前記制御操作子の操作に応じて該関連付けられた音色効果パラメータの制御を行う(詳しくは制御値(パラメータ値)を決定する)ことができるようにしたものが知られている。こうした装置に関連するものとしては、例えば下記に示す特許文献1に記載されている装置がその一例である。特許文献1に記載されている従来の装置においては、平面上のX軸方向及びY軸方向におけるジョイスティックの操作情報に音色効果パラメータの制御値を予め割り当てておき、ジョイスティックを二次元操作することによって割り当て済みの音色効果パラメータの制御値が決定されて、これに基づき楽音を制御するようになっている。また、ジョイスティックによる二次元操作(詳しくは前記操作情報)を演奏中の曲の時間経過にあわせて記録しておき、これを再生することで曲演奏にあわせて適宜に変化する音色効果パラメータの制御値を再現するようにした技術も開示されている。
【特許文献1】特開平03-213898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来の装置では曲演奏にあわせて音色効果パラメータを再現するのであるが、その際には再現した音色効果パラメータの制御値をそのまま数値や所定のメータ表示等で表示することがせいぜいできるだけであり、そうした表示はユーザにとって何ら面白みのあるものではなく、また直感的にはわかりづらいものであった。そこで、こうした音色効果パラメータを再現する際に、ユーザが視覚的に楽しむことができる画面を提示するものが従来から望まれていた。しかし、従来の装置においてそのようにするためには、ジョイスティックの操作情報だけでなく画面を再現するための画面表示情報などを別途記録する必要があり、そのためにそれらの各情報を記憶するのに必要とする記憶領域が非常に大きくなってしまう点、またそれぞれの情報を別個に記録するだけでなくそれぞれの情報においてそれらの情報記録時に演奏中であった曲に時間的にリンクさせる必要があるために、単にジョイスティックの操作情報のみを記録する場合に比べると処理に時間がかかる点などの不都合が生じることから、未だそのような装置は実現されていない。
【0004】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、ユーザが視覚的に楽しむことができる画面を記録しこれを再現するだけで、画面の再現にあわせて該画面の記録時点における音色効果パラメータの制御をも同時に再現することができるようにした電子音楽装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る電子音楽装置は、音色効果パラメータに基づく効果を楽音に対して付与する電子音楽装置であって、いずれか一方が前記音色効果パラメータに対応付けられた第1表示オブジェクトと第2表示オブジェクトとを少なくとも含む画面を表示する表示器と、前記画面に表示された第1表示オブジェクト又は第2表示オブジェクトの表示位置を変更するよう指示する操作子と、前記操作子の操作に従って、前記第1表示オブジェクト又は前記第2表示オブジェクトの表示位置を変更制御して前記画面を更新する表示制御手段と、前記画面更新に応じた第1表示オブジェクト又は第2表示オブジェクトの各表示位置の変更履歴を記憶する履歴記憶手段と、前記画面の再現指示を行う指示手段と、前記画面の再現指示に応じて、前記記憶した表示位置の変更履歴に従って再現した画面を前記表示器に順次に表示する画面再現手段と、前記再現した画面上における前記第1表示オブジェクトと前記第2表示オブジェクトとの表示位置関係に応じて、前記第1表示オブジェクト又は前記第2表示オブジェクトに対応付けられた音色効果パラメータの制御値を決定する決定手段と、前記決定した音色効果パラメータの制御値に基づき楽音制御を実行する楽音制御手段とを具える。
【0006】
この発明によると、表示器にいずれか一方が音色効果パラメータに対応付けられた第1表示オブジェクトと第2表示オブジェクトとを少なくとも含む画面を表示しておき、操作子の操作に従って前記各表示オブジェクトの表示位置が変更制御されて画面が更新されることにあわせて、前記第1表示オブジェクト又は第2表示オブジェクトの各表示位置の変更履歴を記憶する。そして、前記画面の再現が指示された場合には、前記記憶した表示位置の変更履歴に従って再現した画面を前記表示器に表示すると共に、該再現した画面上における第1表示オブジェクトと第2表示オブジェクトとの表示位置関係に応じて、第1表示オブジェクト又は第2表示オブジェクトに対応付けられた音色効果パラメータの制御値を決定し、決定した音色効果パラメータの制御値に基づき楽音制御を実行する。このようにして、画面上における各オブジェクトの表示位置の変更履歴のみを記録し、これに基づき画面を再現した際に、画面上の各表示オブジェクトの表示位置関係のみに従って音色効果パラメータの制御値を決定するようにしたことから、単に画面を再現するための画面表示情報(各オブジェクトの表示位置の変更履歴)のみだけで画面を再現することにあわせて音色効果パラメータの制御をも再現することができる。
【0007】
本発明は装置の発明として構成し実施することができるのみならず、方法の発明として構成し実施することができる。また、本発明は、コンピュータまたはDSP等のプロセッサのプログラムの形態で実施することができるし、そのようなプログラムを記憶した記憶媒体の形態で実施することもできる。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、再現した画面上における第1表示オブジェクトと第2表示オブジェクトとの表示位置関係に応じて音色効果パラメータの制御値を決定することから、単に画面を再現するための画面表示情報である各表示オブジェクトの表示位置の変更履歴のみを記憶しておき、該画面表示情報に基づいて画面を再現するだけで画面記録時点における音色効果パラメータをも同時に再現することができるようになる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に従って詳細に説明する。
【0010】
図1は、この発明に係る電子音楽装置の全体構成の一実施例を示したハード構成ブロック図である。本実施例に示す電子音楽装置は例えば電子楽器であって、マイクロプロセッサユニット(CPU)1、リードオンリメモリ(ROM)2、ランダムアクセスメモリ(RAM)3からなるマイクロコンピュータによって制御される。CPU1は、この電子音楽装置全体の動作を制御するものである。このCPU1に対して、データ及びアドレスバス1Dを介してROM2、RAM3、検出回路4,5、表示回路6、音源・効果回路7、記憶装置8、通信インタフェース(I/F)9がそれぞれ接続されている。更に、CPU1は、タイマ割込み処理(インタラプト処理)における割込み時間や各種時間を計時するタイマ(図示せず)を具えている。例えば、タイマはクロックパルスを発生し、発生したクロックパルスをCPU1に対して処理タイミング命令として与えたり、あるいはCPU1に対してインタラプト命令として与える。CPU1は、これらの命令に従って各種処理を実行する。
【0011】
ROM2は、CPU1により実行あるいは参照される各種制御プログラムや各種データ等を格納する。RAM3は、CPU1が所定のプログラムを実行する際に発生する各種データなどを一時的に記憶するワーキングメモリとして、あるいは現在実行中のプログラムやそれに関連するデータを一時的に記憶するメモリ等として使用される。RAM3の所定のアドレス領域がそれぞれの機能に割り当てられ、レジスタやフラグ、テーブル、メモリなどとして利用される。この実施例では一例として、「パラメータ制御画面」(図3参照)をディスプレイ6Aに表示するために参照される音色パラメータデータや、「パラメータ制御画面」を再現するためのデータであって、ユーザによる制御操作子やオブジェクト操作子等の操作に伴う「パラメータ制御画面」上における各オブジェクトの時間的な配置位置(表示位置)の変化を記録する履歴情報データ,ステップ配置情報データ,リアルタイム配置情報データ等がある。これらの詳細については、後述する(図2参照)。
【0012】
演奏操作子4Aは、楽音の音高を選択するための複数の鍵を備えた例えば鍵盤等のようなものであって、各鍵に対応してキースイッチを有しており、この演奏操作子4A(鍵盤等)はユーザ自身の手弾きによるマニュアル演奏に使用することができるのは勿論のこと、音色の選択や音色効果パラメータ等を設定する手段などとして使用することもできる。検出回路4は、演奏操作子4Aの各鍵の押圧及び離鍵を検出することによって検出出力を生じる。なお、本明細書において、「音色」とはピアノやギターなどの一般的な単一の音色を示すことに限らず、1つの「音色」を複数の音色エレメントで構成する場合の所謂「音色エレメント」や、複数の単一の音色を組み合わせて1つの音色セットにした所謂「パフォーマンス」など、音色の1要素や複数の単一の音色からなる音色グループなどを含むものである。
【0013】
操作子(スイッチ等)5Aは、例えば演奏の際に使用する音色を選択する選択スイッチ、ボリューム、ピッチ、LFOなどの各種の音色効果パラメータをその操作量(例えば0〜128、-64〜+64など)に応じた分だけ制御する(言い換えるならば、楽音に効果を付与する際に用いられる各種音色効果に係る制御値を操作量に応じて決定する)、例えばモジュレーションホイール、ピッチベンドホイール、アフタータッチ、ノブ、スライダー、リボンコントローラなどの制御操作子、フットスイッチなどの切り替え指示操作子、「パラメータ制御画面」(図3参照)の編集を行うための画面編集スイッチ、履歴情報データ(図2(B)参照)に基づくオブジェクトの配置情報をステップ記録するステップ記録の開始/終了を指示するあるいはリアルタイム記録するリアルタイム記録の開始/終了を指示するためのそれぞれの記録開始/終了スイッチ、履歴情報データに記録する記録対象のオブジェクトを指定する(つまりは、再現する音色効果パラメータを指定する)指定スイッチ、ステップ再生又はリアルタイム再生の開始/終了を指示するためのそれぞれの再生開始/終了スイッチ等の各種の操作子を含んで構成される。なお、上記各制御操作子に対しては、ユーザが制御対象とする音色効果パラメータを任意に関連付けることができる。
【0014】
勿論、操作子5Aは上記した以外にも音高、音色、効果等を選択・設定・制御するための数値データ入力用のテンキーや文字データ入力用のキーボード、あるいはディスプレイ6Aに表示された各種画面の位置を指定したり画面上に表示されたオブジェクトをクリック&ドラッグするためのポインタなどを操作するマウス(二次元ポインティング操作子又はオブジェクト操作子などと呼ぶ)等の各種操作子を含んでいてもよい。検出回路5は、上記操作子5Aの操作状態を検出し、その操作状態に応じたスイッチ情報等をデータ及びアドレスバス1Dを介してCPU1に出力する。
【0015】
表示回路6は例えば液晶表示パネル(LCD)やCRT等から構成されるディスプレイ6Aに、「パラメータ制御画面」(図3参照)等の各種画面を表示するのは勿論のこと、ROM2や記憶装置8に記憶されている各種データあるいはCPU1の制御状態などを表示することができる。ユーザはディスプレイ6Aに表示されるこれらの各種情報を参照することで、演奏の際に使用する音色や曲の選択さらに音色効果パラメータの設定などを容易に行うことができる。なお、ディスプレイ6Aはタッチパネルであってよく、その場合には画面がタッチ操作されたことを検出する手段を具備してなることは言うまでもない。この場合、ディスプレイ6Aは所謂ソフトスイッチを具え、タッチパネルとしてマウス等と同様にディスプレイ6Aに表示された「パラメータ制御画面」の各オブジェクトの表示位置や形状などを変更制御できる二次元ポインティング操作子(オブジェクト操作子)を兼ねるものとなる。
【0016】
音源・効果回路7は複数のチャンネルで楽音信号の同時発生が可能であり、データ及びアドレスバス1Dを経由して与えられた演奏情報を入力し、この演奏情報に基づいて楽音を合成し楽音信号を発生する。また、楽音を合成する際には、設定された音色効果パラメータ毎の制御値(パラメータ値)に基づいて種々の効果を付与することができるようになっている。こうした音源・効果回路7から発生される楽音信号は、アンプやスピーカなどを含むサウンドシステム7Aから発音される。音源・効果回路7とサウンドシステム7Aの構成には、従来のいかなる構成を用いてもよい。例えば、音源・効果回路7はFM、PCM、物理モデル、フォルマント合成等の各種楽音合成方式のいずれを採用してもよく、また専用のハードウェアで構成してもよいし、CPU1によるソフトウェア処理で構成してもよい。
【0017】
記憶装置8は、例えば音色パラメータデータ、ステップ配置情報データ,リアルタイム配置情報データ(図2参照)などの各種データの他、CPU1が実行する各種制御プログラム等を記憶する。なお、上述したROM2に制御プログラムが記憶されていない場合、この記憶装置8(例えばハードディスク)に制御プログラムを記憶させておき、それをRAM3に読み込むことにより、ROM2に制御プログラムを記憶している場合と同様の動作をCPU1にさせることができる。このようにすると、制御プログラムの追加やバージョンアップ等が容易に行える。なお、記憶装置8はハードディスク(HD)に限られず、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD‐ROM・CD‐RAM)、光磁気ディスク(MO)、あるいはDVD(Digital Versatile Disk)等の様々な形態の記憶媒体を利用する記憶装置であればどのようなものであってもよい。あるいは、フラッシュメモリなどの半導体メモリであってもよい。
【0018】
通信インタフェース(I/F)9は、図示を省略した外部機器と当該電子音楽装置との間でMIDI形式の演奏データを送受信するMIDI入出力インタフェース、MIDI以外のデータや制御プログラムなどの各種情報を送受信するデータ入出力インタフェースとしての機能を備えた、例えばRS-232C、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)、IEEE1394(アイトリプルイー1394)、ブルートゥース(商標)、赤外線送受信器等のインタフェースである。あるいは、LAN(Local Area Network)やインターネット、電話回線等の有線あるいは無線の通信ネットワークを介して、本電子音楽装置とネットワーク上の外部機器(例えばサーバ装置)とを接続することができ、電子音楽装置とサーバ装置との間でMIDIデータや各種情報などを送受信することができるネットワークインタフェースであってもよい。こうした通信インタフェース9は、有線あるいは無線のものいずれかでなく双方を具えていてよい。
【0019】
なお、上述した電子音楽装置において、演奏操作子4Aは鍵盤楽器の形態に限らず、弦楽器や管楽器、あるいは打楽器等どのようなタイプの形態でもよい。また、電子音楽装置は演奏操作子4Aやディスプレイ6Aあるいは音源・効果回路7などを1つの装置本体に内蔵したものに限らず、それぞれが別々に構成され、MIDIインタフェースや各種ネットワーク等の通信手段を用いて各装置を接続するように構成されたものであってもよいことは言うまでもない。さらに、本発明に係る電子音楽装置は電子楽器に限らず、ミキサやパーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯型通信端末、またカラオケ装置やゲーム装置など、音色効果パラメータに従って楽音を制御できるものであればどのような形態の装置・機器であってもよい。
【0020】
次に、音色パラメータデータ、履歴情報データ,ステップ配置情報データ,リアルタイム配置情報データについて図2を用いて説明する。図2(A)は、音色パラメータデータのデータ構成の一実施例を示す概念図である。音色パラメータデータは曲の演奏中にユーザが操作子を操作して音色パラメータ制御を行う際に参照する「パラメータ制御画面」(図3参照)をディスプレイ6Aに表示するためのデータであって、ROM2や記憶装置8等に音色毎に多数記憶されており、ユーザによる音色の選択に応じて該当するデータが特定されるようになっている。
【0021】
図2(A)に示すように、音色パラメータデータは大きく分けると1乃至複数のソースオブジェクトデータと1乃至複数のデスティネーションオブジェクトデータから構成される。ソースオブジェクトデータは「パラメータ制御画面」に表示可能なソースオブジェクトOS及びレールオブジェクトR(図3参照)に関連する情報であって、ソース種類,レールデータ,その他のデータからなる。ソース種類は画面に表示する個々のソースオブジェクトOSに対応付ける制御操作子の種類を定義するデータであって、例えばモジュレーションホイール、ピッチベンドホイール、アフタータッチ、ノブ、スライダー、リボンコントローラなど当該機器が具えている既存の制御操作子の中からいずれか1つを定義する。
【0022】
レールデータはソースオブジェクトOSと組み合わされて対に表示されるレールオブジェクトRの表示態様を特徴付けるデータであって、例えばレールオブジェクトRの表示開始位置を示す始点位置及び表示終了位置を示す終点位置(具体的には画面の座標である)、レールオブジェクトRの線分種類(直線や曲線さらには折れ線や閉曲線、あるいはそれらの線分を複数組み合わせたものであってもよい)、また前記線分種類が曲線や折れ線や閉曲線である場合にはそれらの線分における1乃至複数の中間表示位置(座標)などを定義する。その他のデータは、ソースオブジェクトOSの表示態様(例えば形状や表示色など)や初期表示位置(座標)などを定義する。ユーザは「パラメータ制御画面」を編集する際に、レールオブジェクトRの始点・終点位置や向き(デスティネーションオブジェクトODの中心までの距離を含む)、また有効エリアKAの内外それぞれに位置するレールオブジェクトRの線分の長さなどを調整することによって、制御操作子によるパラメータ制御の制御態様を任意に変更することができる。
【0023】
デスティネーションオブジェクトデータは「パラメータ制御画面」に表示可能なデスティネーションオブジェクトOD(図3参照)に関連する情報であって、音色効果パラメータ種類,有効エリアデータ,その他データからなる。音色効果パラメータ種類は個々のデスティネーションオブジェクトODに対応付ける各種音色効果の種類を定義するデータであって、例えばボリューム、ピッチ、LFOなどの当該機器が具えている音源・効果回路7において楽音に付与しうる音色効果のうちのいずれかを定義する(1乃至複数であってよい)。有効エリアデータは、個々のデスティネーションオブジェクトOD毎に画面上に規定される有効エリアKA(図3参照)を特徴付ける例えば大きさや形状(円形状、星形状、楕円形状など適宜の形状であってよい)等の範囲を指定するデータである。その他データは、デスティネーションオブジェクトODの表示態様(例えば形状や表示色など)や初期表示位置(座標)などを定義する。
【0024】
図2(B)は、「パラメータ制御画面」を再現するための履歴情報データのデータ構成の一実施例を示す概念図である。履歴情報データは例えばRAM3などに構成されたリングバッファに記録されるデータであって、少なくとも現時点から過去に演奏された直前の曲1小節分の間において、ディスプレイ6Aに表示された「パラメータ制御画面」(図3参照)上における指定オブジェクトの配置位置の時間的な変化を所定の時間(例えば1ミリ秒:こうした単位時間をtickと呼ぶ)毎に繰り返し記録する。1tick毎における配置情報(一時点の配置情報)としては、ユーザにより記録対象に指定されたオブジェクトに関して、そのオブジェクトのディスプレイ6A上の配置位置(X座標,Y座標)が記録される。ここに示す実施例においては、ソースオブジェクト1とデスティネーションオブジェクト1の組が指定されている。
【0025】
なお、上記指定オブジェクトは、上記音色パラメータデータのソースオブジェクトデータ及びデスティネーションオブジェクトデータに対応付けられている。すなわち、ユーザが履歴情報データに記録する対象として指定できるオブジェクトは、上記した音色パラメータデータに含まれるソースオブジェクトデータとデスティネーションオブジェクトデータに基づき「パラメータ制御画面」に表示されるソースオブジェクト(及びレールオブジェクト)とデスティネーションオブジェクトのうちのいずれかの組み合わせである。こうしたソースオブジェクトとデスティネーションオブジェクトの組み合わせは1対1に限らない。例えば、1つのソースオブジェクトと複数のデスティネーションオブジェクトの組み合わせを指定するなどしてよい。この場合、ソースオブジェクトに対応付けられている1つの制御操作子の操作に伴って、複数のデスティネーションオブジェクトそれぞれに対応付けられている複数の音色効果パラメータを同時に制御することができる(後述する図4(f)参照)。
【0026】
図2(C)は、「パラメータ制御画面」を再現するためのステップ配置情報データ及びリアルタイム配置情報データのデータ構成の一実施例を示す概念図である。ステップ配置情報データは、前記履歴情報データに記録された複数のtick毎の配置情報の中から、任意のタイミング(ステップ)の配置情報のみを抜き出して記録したデータである。すなわち、履歴情報データに比べると飛び飛びの適宜の時間の配置情報が記録される。履歴情報データから配置情報を抜き出してステップ配置情報データに記録する任意のタイミング(ステップ)は、ユーザが都度指定することができる。そして、ユーザは該ステップ配置情報データを利用することによって、任意のタイミング(ステップ)で記録しておいた「パラメータ制御画面」上の各オブジェクトの配置位置を再現することが、例えばフットスイッチを操作するなどして任意に行うことができる(所謂ステップシーケンサ)。勿論、タイマ再生に従ってステップ毎に順番に「パラメータ制御画面」を自動的に再現することもできる。
【0027】
他方、リアルタイム配置情報データは、ユーザによる記録開始から記録終了までの指示に応じてリアルタイムに所定の時間毎に配置情報を記録する。したがって、ユーザ指示に応じた時間範囲分(例えば1曲全部であってもよい)の配置情報が記録されており、該リアルタイム配置情報データに記録された配置情報を記録開始時から記録終了時まで順次に読み出すと、前記時間範囲における「パラメータ制御画面」上の各オブジェクトの配置位置の時間的な変化を再現することができる。なお、上記した履歴情報データ、ステップ配置情報データ、リアルタイム配置情報データのそれぞれは、それらが生成された際に演奏中であった曲とリンクされているとよい。また、履歴情報データ及びリアルタイム配置情報データについては、さらに1tick毎の配置情報が記録時に演奏中であった曲の演奏位置にリンク付けられていてよい。つまりは、時間情報を記録していてよい。
【0028】
ここで、上記した音色パラメータデータに基づいてディスプレイ6Aに表示される「パラメータ制御画面」の表示例を図3に示し、またこの「パラメータ制御画面」を利用しての制御操作子と音色効果パラメータとの関連付け(パッチング)を確立/解除する動作の具体例を図4に示す。図3は、「パラメータ制御画面」の一実施例を示す概念図である。該「パラメータ制御画面」は複数のソースオブジェクトOS(上述したように、1つのレールオブジェクトRと組み合わされて対に表示される)と複数のデスティネーションオブジェクトODとを同時に表示可能であるが、ここでは説明を理解しやすくするために1つのソースオブジェクトOS(対をなすレールオブジェクトRを含む)と1つのデスティネーションオブジェクトODとを表示した場合を例に示している。すなわち、「パラメータ制御画面」に表示する対象のソースオブジェクトOSとデスティネーションオブジェクトODはユーザが任意に選択することができてよく、音色パラメータデータからユーザ選択に応じたオブジェクトデータを参照して画面上に必要なオブジェクトのみを表示する(なお、このオブジェクト選択が履歴情報データに記録する対象のオブジェクトを指定する操作であってもよい)。
【0029】
図3に示すように「パラメータ制御画面」には、ソースオブジェクトデータに基づくソースオブジェクトOS(第1表示オブジェクト)及びレールオブジェクトR(軌道)と、デスティネーションオブジェクトデータに基づくデスティネーションオブジェクトOD(第2表示オブジェクト)とが表示される。ソースオブジェクトOSの表示態様としては、図示したような円状の図形表示に限らず多角形や星型等の任意形状の図形表示であってもよいし、制御操作子の形状を模したアイコンなどの図形表示であってもよい。また、図示した例では省略したが、図形表示だけでなくソースオブジェクトOSに対応付けられている制御操作子の名称やその略称、記号などを表示するようにしてもよい。さらに、複数のソースオブジェクトOSを同時に表示するような場合には、ソースオブジェクトOSごとに色や形状などの表示態様を異ならせて表示するとよい。デスティネーションオブジェクトODについてもソースオブジェクトOSと同様に適宜の形状で表示してよいし、またデスティネーションオブジェクトODに対応付けられている音色効果パラメータの名称等を表示するようにしてもよい。
【0030】
上記ソースオブジェクトOSは各種の音色効果パラメータを制御することが可能な制御ソースを表すもので、例えばモジュレーションホイール、ピッチベンドホイール、アフタータッチ、ノブ、スライダー、リボンコントローラなどの制御操作子が制御ソースとして対応付けられる。レールオブジェクトRはソースオブジェクトOSと対に付随表示されるものであって、制御操作子の操作に応じて対応付けられているソースオブジェクトOSを画面上で移動表示させる際の軌道を規定する。すなわち、制御操作子の操作に応じてソースオブジェクトOSはレールオブジェクトR上を移動するように表示制御されるようになっており、この実施例では制御操作子の操作量が「最小(min)」(例えば0,-64など)の状態であるときにレール始点に位置するように、また操作量が「最大(max)」(例えば128,+64など)の状態であるときにレール終点に位置するように、制御操作子の時々の操作量の増減に応じた分だけレールオブジェクトR上を移動するようにしてソースオブジェクトOSの表示制御がなされる(そのようにレールオブジェクトRの線分上の所定位置と制御操作子の操作量(図示の例では-64〜+64)との対応関係が形成される)。すなわち、レールオブジェクトRの線分長さは制御操作子が動作可能な範囲全体を表すことから、ユーザはレールオブジェクトR上におけるソースオブジェクトOSの位置から、制御操作子をどの程度まで動作させているかを容易に把握することができるようになっている。
【0031】
他方、デスティネーションオブジェクトODは、ボリューム、ピッチ、LFO、ビブラートなどの楽音に付与することが可能な各種の音色効果に関するパラメータのいずれかと対応付けられており、制御操作子の操作(あるいはソースオブジェクトOSの操作)に応じて制御値を決定する制御対象の音色効果パラメータを表す。デスティネーションオブジェクトODには個別に有効エリアKAが配置されている。この有効エリアKAは、ソースオブジェクトOSに対応付けられている制御操作子と該エリアを有するデスティネーションオブジェクトODに対応付けられている音色効果パラメータとを関連付ける又は関連付けをやめる(パッチングを確立/解除する)境界・範囲を表すものであって、ユーザが視認できるように画面上に表示してもよいし表示しなくてもよい。すなわち、該有効エリアKA外にソースオブジェクトOSが位置している場合には関連付けがなされていないことを表し、該有効エリアKA内にソースオブジェクトOSが位置している場合には関連付けがなされていることを表す。
【0032】
ユーザはマウス等の二次元ポインティング操作子(オブジェクト操作子)を操作して、ソースオブジェクトOS、レールオブジェクトR、デスティネーションオブジェクトOD、有効エリアKAのそれぞれについて、表示位置や表示態様等を任意に変更することができる。ソースオブジェクトOS(又はレールオブジェクトR)の表示位置を変更(移動)した際には、基本的に付随表示している対のレールオブジェクトR(又はソースオブジェクトOS)も一緒に表示位置が変更(移動)される。なお、ソースオブジェクトOSのみをレールオブジェクトRから外して他の位置に移動させることもできるようになっていてよい。
【0033】
レールオブジェクトRについては、その表示向きや線分長さ(つまりはレール始点位置又は/及びレール終点位置を変更する)やその形状などを変更することもできる。レールオブジェクトRは図示のように基本的に連続する直線で表示されるものであるが、後述する図13(c)に示すように直線以外であってもよく、また図13(d)に示すように連続していなくてもよい。有効エリアKAについては、その範囲を拡大縮小することができる。レールオブジェクトRの線分長さを変えたり、有効エリアKAの範囲を拡大縮小したりした場合には、パラメータを制御できる制御操作子の操作範囲が限定される(詳しくは後述する)。勿論、レールオブジェクトRの表示位置や表示向き等を変更した場合には、その変更にあわせて付随表示している対のソースオブジェクトOSの表示位置も変更される。こうした「パラメータ制御画面」における各オブジェクトの表示位置や表示態様等が変更された場合には、音色パラメータデータの該当するオブジェクトデータを更新することは言うまでもない。また、レールオブジェクトRの線分の長さが変更された場合には、制御操作子の操作量とレールオブジェクトRの線分上におけるソースオブジェクトOSの表示移動量との対応関係も変更される。この対応関係は、制御操作子の種類毎に予め用意された所定の演算式やテーブル等によるものなど、どのようなものであってもよい。
【0034】
制御操作子と音色効果パラメータとのパッチングを確立/解除する動作としては、制御操作子を操作することなくマウス等の二次元ポインティング操作子(オブジェクト操作子)だけを操作する場合と、二次元ポインティング操作子を操作した後にさらに制御操作子を操作する場合とがある。そして、パッチングを確立した際には、関連付けられた制御操作子と音色効果パラメータとに関して図示を省略した関連付け情報が生成されてRAM3等に記憶される。この関連付け情報は、互いに関連付けられた制御操作子と音色効果パラメータとを指し示すデータ、それらに対応するソースオブジェクトOSやデスティネーションオブジェクトODの表示位置、ソースオブジェクトOSの表示位置とデスティネーションオブジェクトODの表示位置との距離(表示間隔)などを含んでなる。なお、パッチングを解除した際には該当の関連付け情報を削除してよい。
【0035】
図4は、図3に示した「パラメータ制御画面」におけるパッチングの確立/解除動作の概略を示す概念図である。図4(a)は、ソースオブジェクトOS及びレールオブジェクトRが共に有効エリアKA内に入っていない状態を示す。図4(b)及び図4(c)は、レールオブジェクトRの全部が(ソースオブジェクトOSと共に)有効エリアKA内に入っている状態を示す。ここで、図4(b)はレールオブジェクトRの向きがデスティネーションオブジェクトOD(の中心)に向いているが、図4(c)はレールオブジェクトRの向きがデスティネーションオブジェクトOD(の中心)に向いていない。図4(d)は、レールオブジェクトRの一部が有効エリアKA内に入っている状態を示す。
【0036】
図4(a)に示すように、二次元ポインティング操作子を操作してソースオブジェクトOS及びレールオブジェクトRを共に有効エリアKA外の位置まで移動させたとしても、パッチングが確立されない。この場合にはレールオブジェクトR上を移動するソースオブジェクトOSが絶対に有効エリアKA内に入ることはないので、二次元ポインティング操作子を操作した後にさらに制御操作子を操作したとしてもパッチングを確立することができない。そこで、図4(a)の表示状態にあるソースオブジェクトOS及びレールオブジェクトR(又はデスティネ ーションオブジェクトOD及び有効エリアKA)をクリック&ドラッグ操作して、図4(b)又は図4(c)の表示状態つまりソースオブジェクトOSが有効エリアKA内に位置した表示状態まで移動させると、パッチングを確立することができる。反対に図4(b)又は図4(c)の表示状態にあるソースオブジェクトOS及びレールオブジェクトR(又はデスティネーションオブジェクトOD及び有効エリアKA)をクリック&ドラッグ操作して、図4(a)の表示状態にまで移動させるとパッチングを解除することができる。このように、ユーザは制御操作子を操作しなくとも二次元ポインティング操作子を操作するだけでも、パッチングを確立/解除することができる。
【0037】
一方、図4(a)の表示状態にあるソースオブジェクトOS及びレールオブジェクトR(又はデスティネーションオブジェクトOD及び有効エリアKA)をクリック&ドラッグ操作し、図4(d)に示すようにレールオブジェクトRの一部が有効エリアKA内に入っているが、ソースオブジェクトOSは有効エリアKA外に位置している状態(図中において点線で示す)で操作をやめた場合、このままではパッチングが確立されない。この場合には、二次元ポインティング操作子を操作した後にさらにソースオブジェクトOSに対応付けられている制御操作子を操作し、ソースオブジェクトOSが有効エリアKA内に位置するまでその操作を行うことによってパッチングを確立することができる(図中において実線で示す)。反対に、ソースオブジェクトOSが有効エリアKA外に位置する状態まで制御操作子を操作するとパッチングを解除できる。
【0038】
図4(e)は、1つのデスティネーションオブジェクトODに複数のレールオブジェクトR1,R2の一部が共に同じ有効エリアKAに入っている状態を示す。上述したように、制御操作子の操作にあわせてソースオブジェクトが有効エリアKA内に入るとパッチングが確立されるのであるが、図示のように一方のソースオブジェクトOS1,OS2のいずれかが有効エリアKA内に位置しており既にパッチングが確立されている場合には、後から有効エリアKA内に入ったもう一方のソースオブジェクトOS1,OS2のいずれかを優先してパッチングを確立する(つまり降着優先とする)。例えば既に一方のソースオブジェクトOS1が有効エリアKA内に位置しているにもかかわらず、後からソースオブジェクトOS2を有効エリアKA内に入れた場合には(図中点線から実線表示への移動)、ソースオブジェクトOS2に関してパッチングが確立される(ソースオブジェクトOS1に関してパッチングを解除する)。そして、ソースオブジェクトOS2を有効エリアKA外に出すまで制御操作子を操作すると、ソースオブジェクトOS2に関してパッチングが解除される一方でソースオブジェクトOS1に関してパッチングが再度確立される。こうすることで、2つの制御操作子で1つの同じパラメータを制御することのないようにしている。
【0039】
なお、図4(e)に示すような表示状態にならないように、画面編集の際に例えば図4(d)に示す表示状態においてさらに他のレールオブジェクトの一部を有効エリアKA内に入れるようにクリック&ドラッグ操作しようとしても、そうした操作を行うことができないように制限してもよい(この場合、確立済みのパッチングを優先する)。
【0040】
図4(f)は、1つのソースオブジェクトOSが複数のデスティネーションオブジェクトOD1,OD2のそれぞれの有効エリアKA1,KA2内に同時に入る状態を示す。この場合には、制御操作子の操作にあわせて1つのソースオブジェクトOSが同時に複数の有効エリアKA1,KA2内に入ることから、ソースオブジェクトOSに関してデスティネーションオブジェクトOD1,OD2の両方についてパッチングが確立される。反対に、ソースオブジェクトOSが有効エリアKA1,KA2外に位置する状態まで制御操作子を操作すると、デスティネーションオブジェクトOD1,OD2の両方について同時にパッチングを解除できる。こうすることで、1つの制御操作子で同時に2つのパラメータを制御することができるようにしている。なお、この場合にはソースオブジェクトOSと複数のデスティネーションオブジェクトOD1,OD2それぞれとの距離(表示間隔)に応じて、それぞれのパラメータの制御値が決定される。
【0041】
図4(g)は、1つのソースオブジェクトOSが複数のデスティネーションオブジェクトOD1,OD2の有効エリアKA1,KA2内に順次に入る状態を示す。この場合、制御操作子の操作に応じてソースオブジェクトOSが図の左から右へと移動するのにあわせて、有効エリアKA1と有効エリアKA2を順次に横切る。この際に、ソースオブジェクトOSが有効エリアKA1内に入るとデスティネーションオブジェクトOD1とのパッチングが確立され、有効エリアKA1外に出るとデスティネーションオブジェクトOD1とのパッチングが解除される。そして、さらに制御操作子の操作に応じてソースオブジェクトOSが図の左から右へと移動するのにあわせて、ソースオブジェクトOSが有効エリアKA2内に入るとデスティネーションオブジェクトOD2とのパッチングが確立され、有効エリアKA2外に出るとデスティネーションオブジェクトOD2とのパッチングが解除される。この場合、1つの制御操作子において所定の操作範囲毎にそれぞれ異なるパラメータを制御することができる。
【0042】
上述したように、操作者による二次元ポインティング操作子などの適宜のユーザインタフェースの操作に応じて、ソースオブジェクトOS及びレールオブジェクトR,デスティネーションオブジェクトOD及び有効エリアKAを画面上の任意の表示位置に移動することができ、また制御操作子の操作に応じてソースオブジェクトOSをレールオブジェクトR上で移動させる(こうした各オブジェクトの配置位置の時間的な変化が履歴情報データなどとして記録される)。そして、ソースオブジェクトOSが有効エリアKA内に位置する場合には、ソースオブジェクトOSに対応付けられている制御操作子と該有効エリアKAを有するデスティネーションオブジェクトODに対応付けられている音色効果パラメータとの関連付け(パッチング)が確立される。他方、ユーザインタフェースや制御操作子の操作により有効エリアKA外にソースオブジェクトOSが移動されると、制御操作子と音色効果パラメータとの関連付け(パッチング)が解除される。
【0043】
次に、本実施例に示す電子音楽装置において、「パラメータ制御画面」を記録再生することに伴う前記画面の時間的変化の再現に基づき音色効果パラメータの制御を再現する処理について、図5を用いて説明する。図5は、音色効果パラメータの制御を再現する「メイン処理」の一実施例を示すフローチャートである。当該処理は、本電子音楽装置の電源オンに応じて開始され、電源オフに応じて終了される。
【0044】
ステップS1は、初期設定を行う。初期設定としては、例えば履歴情報データ,ステップ配置情報データ,リアルタイム配置情報データのクリアや「パラメータ制御画面」を表示する。具体的には、ユーザによる音色選択スイッチの操作に応じて予め用意された多数の音色の中からいずれかを選択すると、該音色の選択に応じて記憶手段8等に記憶されている多数の音色パラメータデータの中からいずれかの音色パラメータデータが特定され、該特定された音色パラメータデータに含まれるオブジェクトデータに従ってソースオブジェクトOS及びレールオブジェクトR、デスティネーションオブジェクトOD(及び有効エリアKA)を反映した「パラメータ制御画面」をディスプレイ6A上に表示する。
【0045】
ステップS2は、制御操作子の操作に基づく処理を実行する。当該処理では、制御操作子の操作に応じて「パラメータ制御画面」に表示されているソースオブジェクトOSのうち前記制御操作子に対応付けられているソースオブジェクトOSの表示を更新する。ステップS3は、オブジェクト操作に基づく処理を実行する。ここで、オブジェクト操作とは上記した制御操作子の操作ではなく二次元ポインティング操作子(オブジェクト操作子)の操作による例えばクリック&ドラッグ操作等であって、ソースオブジェクトOS,レールオブジェクトR,デスティネーションオブジェクトODの各オブジェクトを直接指定してそれらの移動・変形操作を行うことである。この場合には、オブジェクト操作子の操作に応じて「パラメータ制御画面」に表示されている各オブジェクトの表示を更新する。
【0046】
ステップS4は、履歴情報の記録処理を実行して履歴情報データを生成する。ステップS5は、履歴情報の再生処理を実行して「パラメータ制御画面」の時間的な表示変化を再現する。ステップS6は、ステップ記録処理を実行してステップ記録配置情報データを生成する。ステップS7は、ステップ記録配置情報データに基づいてステップ再生処理を実行する。ステップS8は、リアルタイム記録/再生処理を実行する。上記ステップS2〜S8に記載した各処理の詳細な説明については後述する(図6〜図12参照)。
【0047】
ステップS9は、ユーザによる演奏操作子4の操作に応じて発生されるノートイベント、予め記憶装置8等に記憶しておいた曲データの再生に応じて発生されるノートイベント、さらには通信インタフェース9を介して外部機器から取得されたノートイベント等に基づき、楽音生成を音源・効果回路7に指示する。ステップS10は、「パラメータ制御画面」に表示されているソースオブジェクトOSとデスティネーションオブジェクトODとの表示位置関係に応じて楽音を制御する。すなわち、ソースオブジェクトOSとデスティネーションオブジェクトODとの距離(表示間隔)に応じて、該当する音色効果パラメータの制御値を決定し、該決定した制御値を音源・効果回路7に対して供給する。このようにして、記録再生した「パラメータ制御画面」表示を再現することによって、ユーザが過去に行った制御操作子やオブジェクト操作子を操作することに伴う音色効果パラメータ制御が再現されて、該再現された音色効果パラメータに従う所定の効果が楽音に付与される。
【0048】
図6は、「制御操作子の操作に基づく処理」(図5のステップS2参照)の一実施例を示すフローチャートである。ステップS21は、制御操作子の状態(操作されたか否か)を検出する。ステップS22は、操作された制御操作子にソースオブジェクトOSが対応付けられているか否かを判定する。操作された制御操作子にソースオブジェクトOSが対応付けられていない場合には(ステップS22のno)、「パラメータ制御画面」に表示されているどのソースオブジェクトOSについても表示を更新する(移動表示する)必要がないので、特に何の処理も行うことなく当該処理を終了する。操作された制御操作子にソースオブジェクトOSが対応付けられている場合には(ステップS22のyes)、ソースオブジェクトOSは操作反映可能か否かを判定する(ステップS23)。ソースオブジェクトは操作反映可能でないと判定した場合には(ステップS23のno)、当該処理を終了する。例えばソースオブジェクトOSがドラッグ中又は「パラメータ制御画面」の再現中に制御操作子が操作された場合には、ソースオブジェクトOSは操作反映可能でないものとして判定されて、制御操作子の操作を「パラメータ制御画面」上のオブジェクト表示に反映しない。
【0049】
一方、ソースオブジェクトOSは操作反映可能であると判定した場合には(ステップS23のyes)、制御操作子の操作に応じて該当のソースオブジェクトOSの表示位置を更新する(ステップS24)。この場合には、制御操作子の操作量に基づいてレールオブジェクトR上での対応位置を計算し、前記計算後のレールオブジェクトR上の対応位置にソースオブジェクトOSを配置して表示する。この際には、前記計算後の位置までレールオブジェクトR上を移動するようにソースオブジェクトOSの表示を更新する。また、レールオブジェクトR上を移動したソースオブジェクトOSがデスティネーションオブジェクトODの有効エリアKA内に位置しない場合に該ソースオブジェクトOSに関して既にパッチングが確立されていれば、そのパッチングを解除して関連付け情報を削除する。ソースオブジェクトOSがデスティネーションオブジェクトODの有効エリアKA内に位置する場合に未だパッチングが確立されていなければ、そのパッチングを確立して関連付け情報を生成する。
【0050】
図7は、「オブジェクト操作処理」(図5のステップS3参照)の一実施例を示すフローチャートである。ステップS31は、ソースオブジェクトOSやデスティネーションオブジェクトODに対するオブジェクト操作子による操作(マウス等の二次元ポインティング操作子の操作)が「パラメータ制御画面」上で行われたか否かを判定する。オブジェクト操作が行われていない場合には(ステップS31のno)、当該処理を終了する。一方、オブジェクト操作が行われた場合には(ステップS31のyes)、オブジェクト操作に応じて該当の各オブジェクトの表示位置を更新する(ステップS32)。すなわち、オブジェクト操作子の操作が行われた場合には、操作された位置にソースオブジェクトOSやデスティネーションオブジェクトODを配置して表示する。つまり、この場合には適宜に位置にオブジェクトを移動できる。なお、この場合においても、ソースオブジェクトOSとデスティネーションオブジェクトODの有効エリアKAとの位置関係によって、パッチングの確立や解除が行われることは言うまでもない。
【0051】
図8は、「履歴情報の記録処理」(図5のステップS4参照)の一実施例を示すフローチャートである。ステップS41は、ユーザ操作に応じて記録対象オブジェクトの指定を設定/解除する。すなわち、配置されている複数オブジェクトのうちユーザが記録対象オブジェクトとしたい一部あるいは全部をオブジェクト操作子等で指定し、以降、記録対象オブジェクトとなったオブジェクトの現在位置が記録されてゆく。また、記録対象オブジェクトのうち記録をやめたい一部あるいは全部をオブジェクト操作子等で指定し、以降、それらの現在位置は記録されなくなる。ステップS42は、タイマによる時刻計時において所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していないと判定した場合には(ステップS42のno)、当該処理を終了する。一方、所定時間が経過したと判定した場合には(ステップS42のyes)、履歴情報データの再生(再現)中か否かを判定する(ステップS43)。履歴情報データの再生中と判定した場合には(ステップS43のyes)、履歴情報データの再生位置に記録対象オブジェクトの現在位置を上書きあるいは挿入によって更新記録する(ステップS44)。履歴情報データの再生中でないと判定した場合には(ステップS43のno)、履歴情報データの書き込み位置を進めて上記したステップS2又はステップS3における「パラメータ制御画面」の各オブジェクトの表示位置の更新に応じた記録対象オブジェクトの現在位置を記録する(ステップS45)。
【0052】
図9は、「履歴情報の再生処理」(図5のステップS5参照)の一実施例を示すフローチャートである。ステップS51は、制御操作子のうち例えばリボンコントローラなどのような過去の演奏、詳しくは過去(数秒から数分単位)に再生された曲演奏位置及び/又は過去の音色効果パラメータの制御値といった機器設定などを容易な操作で再現することができるように予め設定済みのした操作子(これを他の制御操作子と区別するために履歴操作子と呼ぶ)を、ユーザが操作中であるか否かを判定する。ユーザがリボンコントローラ(履歴操作子)を操作中であると判定した場合には(ステップS51のyes)、その操作に応じて履歴情報データにおける配置情報の再生位置を変更する(ステップS52)。そして、変更後の再生位置から配置情報を順次に自動的に読み出して、記録対象オブジェクトの表示位置を更新する(ステップS53)。すなわち、過去の「パラメータ制御画面」の再現を行う。なお、この表示位置の更新に合わせて、ソースオブジェクトOSとデスティネーションオブジェクトODの有効エリアKAとの位置関係によって、パッチングの確立や解除が行われることは言うまでもない。
【0053】
他方、ユーザはリボンコントローラ(履歴操作子)の操作中でないと判定した場合には(ステップS51のno)、現時点においてリボンコントローラ操作に応じた自動再生中であって、その履歴情報データの現在の再生位置が最新の記録位置より過去の位置であるか否かを判定する(ステップS54)。自動再生中の再生位置が最新の記録位置より過去の位置であると判定した場合には(ステップS54のyes)、所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS55)。自動再生中の再生位置が最新の記録位置より過去の位置でない又は所定時間が経過していないと判定した場合には(ステップS54がno又はステップS55がno)、当該処理を終了する。一方、所定時間が経過したと判定した場合には(ステップS55のyes)、再生位置を1つ進めて(ステップS56)ステップS53の処理へ行く。
【0054】
図10は、「ステップ記録処理」(図5のステップS6参照)の一実施例を示すフローチャートである。ステップS61は、ステップ記録開始/終了スイッチのユーザ操作に応じて配置記録であるステップ配置情報データの初期化を行う。ステップS62は、指定スイッチ等のユーザ操作に応じてステップ記録する記録対象オブジェクトを設定する。ステップS63は、ステップ記録を割り当てる任意の操作子(例えばフットスイッチなど)を操作するなどしてユーザが現時点の記録操作を行ったか否かを判定する。ユーザが現時点の記録操作を行ったと判定した場合には(ステップS63のyes)、ステップ配置情報データに上記したステップS2又はステップS3における「パラメータ制御画面」の各オブジェクトの表示位置の更新に応じた記録対象オブジェクトの現在位置を追記する(ステップS64)。
【0055】
図11は、「ステップ再生処理」(図5のステップS7参照)の一実施例を示すフローチャートである。ステップS71は、ステップ再生開始/終了スイッチのユーザ操作に応じてタイマ再生をオン/オフする。ステップS72は、タイマ再生中であって所定時間が経過したか否かを判定する。タイマ再生中であって所定時間が経過したと判定した場合には(ステップS72のyes)、ステップ配置情報データの再生位置(ステップ)を1つ進めて(ステップS76)から後述のステップS75の処理を行う。一方、タイマ再生中であって所定時間が経過していないと判定した場合には(ステップS72のno)、ユーザがステップ割り当て済みのフットペダル等を操作してステップ配置情報データの再生位置をステップ単位に移動する操作(前進、後退、先頭又は任意のステップへジャンプする等)を行ったか否かを判定する(ステップS73)。ユーザが再生位置を移動する操作を行っていないと判定した場合には(ステップS73のno)、当該処理を終了する。ユーザが再生位置を移動する操作を行ったと判定した場合には(ステップS73のyes)、ステップ配置情報データの再生位置(ステップ)を変更する(ステップS74)。
【0056】
ステップS75は、上記自動進行又は変更されたステップ配置情報データの再生位置(ステップ)の配置情報に従って記録対象オブジェクトの表示位置を更新する。すなわち、過去の「パラメータ制御画面」の再現を行う。なお、この表示位置の更新に合わせて、ソースオブジェクトOSとデスティネーションオブジェクトODの有効エリアKAとの位置関係によって、パッチングの確立や解除が行われることは言うまでもない。
【0057】
図12は、「リアルタイム記録/再生処理」(図5のステップS8参照)の一実施例を示すフローチャートである。ステップS81は、リアルタイム記録開始/終了スイッチ又はリアルタイム再生開始/終了スイッチ等のユーザ操作に応じてリアルタイム記録又はリアルタイム再生の再生/停止の切り替えを行う。ステップS82は、リアルタイム再生の停止中であるか否かを判定する。停止中である場合には(ステップS82のyes)、当該処理を終了する。一方、停止中でないと判定した場合には(ステップS82のno)、タイマによる時刻計時において所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS83)。所定時間が経過したと判定した場合には(ステップS83のyes)、リアルタイム記録中であるか否かを判定する(ステップS84)。記録中であると判定した場合には(ステップS84のyes)、リアルタイム配置情報データに上記したステップS2又はステップS3における「パラメータ制御画面」の各オブジェクトの表示位置の更新に応じた記録対象オブジェクトの現在位置を記録する(ステップS85)。記録中でないと判定した場合(すなわちリアルタイム再生中である場合)には(ステップS84のno)、再生位置の配置情報で記録対象オブジェクトの表示位置を更新する(ステップS86)。すなわち、過去の「パラメータ制御画面」の再現を行う。なお、この表示位置の更新に合わせて、ソースオブジェクトOSとデスティネーションオブジェクトODの有効エリアKAとの位置関係によって、パッチングの確立や解除が行われることは言うまでもない。
【0058】
制御操作子と音色効果パラメータとのパッチング確立後においては、さらに「パラメータ制御画面」においてソースオブジェクトOSがレールオブジェクトR上を移動表示されると、有効エリアKA内に位置するソースオブジェクトOSの表示位置とデスティネーションオブジェクトODの表示位置との距離(表示間隔)に対応して予め決められている制御値に従って、音色効果パラメータが決定されることは既に上述したとおりである。そこで、ここでは再現された「パラメータ制御画面」に従って行われる音色効果パラメータの制御の具体例について、図13を用いて説明する。図13は、再現された「パラメータ制御画面」に従って行われる音色効果パラメータ制御の再現について説明するための概念図である。図13に示した各図においては、左図に再現される「パラメータ制御画面」の具体例を、右図に再現される「パラメータ制御画面」上でのオブジェクトの移動量(記録時における制御操作子の操作量に対応する)と再現される音色効果パラメータの制御量との関係を表すグラフをそれぞれ示している。
【0059】
図13(a)は、3つの各表示パターン(A,B,C)におけるパラメータ制御を説明するための図である。この図13(a)において、AパターンはデスティネーションオブジェクトODの中心位置にレールオブジェクトRのレール終点が位置している場合、BパターンはデスティネーションオブジェクトODの中心位置までレールオブジェクトRのレール終点が位置していない場合、CパターンはデスティネーションオブジェクトODの中心にレールオブジェクトRが向いていない場合である。これらの各パターンでは、「パラメータ制御画面」の再現に応じてソースオブジェクトOSが有効エリアKA内に入るとパッチングが確立されて、それ以降のさらなる「パラメータ制御画面」の再現に応じて制御値が決定される(パラメータ制御が開始される)ようになっている。
【0060】
図中のAパターン(又はBパターン)とCパターンとを比べると、パラメータ制御が開始される操作量及びパラメータ制御可能な操作量の範囲に違いが生じていることが理解できる。この違いは、有効エリアKA外に位置するレールオブジェクトRの線分の長さの違いによって生ずる。すなわち、有効エリアKA外に位置するレールオブジェクトRの線分の長さが短いほど、操作量が小さい(例えば0や-64などに近い)うちにパッチングが確立されるので(図中a点、b点参照)、制御操作子の動作範囲のうちパラメータ制御可能な範囲が広くなる。すなわち、制御操作子の動作範囲のうち一部範囲でのみパラメータ制御を行うことができる。他方、例えば図4(b)に示したようなレールオブジェクトRが初めから完全に有効エリアKA内に入っている場合には、制御操作子の動作範囲全てにわたってパラメータ制御を行うことができる。
【0061】
AパターンとBパターンさらにはCパターンを比べると、操作量に応じた制御値の変化量(パラメータのきき具合であって、グラフの傾きで表される)が異なっていることが理解できる。この違いは、レールオブジェクトRのレール終点位置の違いによって生ずる。レールオブジェクトRのレール終点位置がデスティネーションオブジェクトODの中心に遠いほど制御値の変化量は小さくなる。また、操作量に応じた制御値の変化量が小さくなると、操作量が最大であっても予め決められている制御量の最大値(ここでは100%と表示)までの制御値を決定することがない。Cパターンはc点まで制御値が操作量に応じて増加するが、c点以降からは操作量に応じて減少している。これは、Cパターンにおいて、c点まではソースオブジェクトOSがデスティネーションオブジェクトODの中心に近づき、c点を過ぎるとソースオブジェクトOSがデスティネーションオブジェクトODの中心から遠ざかることによる。なお、図示の例では、Bパターンにおけるレール終点からデスティネーションオブジェクトODの中心までの距離と、CパターンにおけるソースオブジェクトOSがデスティネーションオブジェクトODの中心に最も近づく位置とを等しくすることで、Bパターンの最大制御値とCパターンの最大制御値とが等しくなるようにしている。このように図13(a)左図に示す再現された「パラメータ制御画面」によると、上記したような音色効果パラメータの制御が再現される。
【0062】
図13(b)は、複数の有効エリアKA1,KA2の互いに重なり合う範囲において、レールの始点を一方のデスティネーションオブジェクトODの中心に位置させると共に、レールの終点を他方のデスティネーションオブジェクトODの中心に位置させた場合である。この場合、制御操作子の操作開始前においては、ソースオブジェクトOSはデスティネーションオブジェクトOD1の中心に最も近い一方でデスティネーションオブジェクトOD2の中心からは最も近い位置にある。そして、制御操作子の操作に応じて、ソースオブジェクトOSはデスティネーションオブジェクトOD1の中心から遠ざかる一方でデスティネーションオブジェクトOD2の中心に近づく。したがって、デスティネーションオブジェクトOD1に関しては制御値が順次に減少し、デスティネーションオブジェクトOD2に関しては制御値が順次に増加する。また、ソースオブジェクトOSは1つのレールオブジェクトR上を移動することから、上記制御値の減少/増加の変化量は同じである。このように、図13(b)左図に示す再現された「パラメータ制御画面」によると、1つの制御操作子の操作に応じて2つの異なるパラメータをクロスフェード制御するような音色効果パラメータの制御が再現される。
【0063】
図13(c)は、レールオブジェクトRを直線ではなく曲線形状とした場合である。図13(d)は、レールオブジェクトRを連続した直線ではなく不連続な直線形状(ここでは4つの直線F,G,H,Iの例を示す)とした場合である。これらの場合には、レールオブジェクトRの形状に従って操作量と制御値との変化態様(変化量の傾きや制御値の減少/増加など)が変わる。図示のように、例えばレールオブジェクトRの形状が曲線であって、デスティネーションオブジェクトODに近づいたり遠ざかったりしているような場合には、操作量に応じた制御値もレールオブジェクトRの形状に近い変化態様を示す。また、レールオブジェクトRの形状が不連続な直線であるような場合には、レールオブジェクトRの形状が不連続である時点(図中におけるd点、e点、f点)においてその操作量がわずかな違いであったとしても、その時点の前後での制御値を大きく変化させることができるようになる。このように図13(c)又は図13(d)左図に示す再現された「パラメータ制御画面」によると、上記したような音色効果パラメータの制御が再現される。
【0064】
以上のように、「パラメータ制御画面」(図3参照)上における各オブジェクトの配置位置(表示位置)を記録しておき、これに基づき「パラメータ制御画面」を再現した際に、再現した画面上の各表示オブジェクトの表示位置関係に従って音色効果パラメータの制御値を決定するようにしたことから、単に画面を再現するための画面表示情報(上述した履歴情報データ,ステップ配置情報データ,リアルタイム配置情報データ)だけで「パラメータ制御画面」を再現することにあわせて音色効果パラメータの制御をも再現することができるようになる。
また、ユーザは「パラメータ制御画面」(図3参照)上における表示オブジェクトの表示位置関係から、直感的に制御操作子と音色効果パラメータとの関連付け(パッチング)の確立/解除や、制御操作子の操作量と音色効果パラメータの制御値との関係を把握しやすい。さらに、「パラメータ制御画面」上におけるソースオブジェクトOSを、レールオブジェクトOD上を移動するようにして制御対象を表すデスティネーションオブジェクトODに近づけたり遠ざけたりするようにして画面を再現することから、ユーザはこれらの表示オブジェクトの位置関係の変化を視覚的に楽しむことができる。
さらに、画面を再現するための画面表示情報と曲データだけで、ユーザ自身により音色効果パラメータが制御された曲と共に「パラメータ制御画面」を動画などとして保存することができることから、特にインターネットなどを介して前記動画をアップしたりダウンロードしたりする際に係る通信時間が少なくてすみ有利である。
【0065】
なお、履歴情報データやリアルタイム配置情報データに記録する配置情報としては、タイマによる計時に従う所定の時間間隔(tick)毎に、記録対象のオブジェクトの配置位置(表示位置)が変更されていてもいなくてもそれらの配置位置を記録するようにしたがこれに限らず、記録対象のオブジェクトの配置位置が変更された場合にのみその配置位置を時間情報と共に記録するようにしてもよい。
なお、履歴情報データ及びステップ配置情報データ及びリアルタイム配置情報データはファイルに保存しておき、後ほど該保存したファイルを読み出して再生してよいことは言うまでもない。
なお、デスティネーションオブジェクトODの有効エリアKAの形状は真円形状に限らず、楕円形や多角形、自由曲線よる閉曲線など、任意の形状であってよい。複数の形状の中からいずれかを選択できるようにしてよい。また、有効エリアKA内におけるデスティネーションオブジェクトODの中心とソースオブジェクトOSとの距離(表示間隔)は絶対的な距離(表示間隔)を求めるようにしてもよいし、有効エリアKA内に仮想的な等距離線を設けておき、ソースオブジェクトOSが最も近接している等距離線に基づいて前記距離(表示間隔)を近似して求めるようにしてもよい。
【0066】
なお、上述した実施例ではソースオブジェクトOSが有効エリアKA内に位置する場合にパッチングを確立するようにしたがこれに限らず、レールオブジェクトRの一部が有効エリアKA内に位置すればパッチングを確立するようにしてもよい。ただし、この場合であっても、ソースオブジェクトOSが有効エリアKA内に入るまでは制御量を音源・効果回路7に供給しない。
なお、二次元ポインティング操作子(オブジェクト操作子)は上記したマウスやタッチパネルに限らない。例えば矢印キーやパッドのようなものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】この発明に係る電子音楽装置の全体構成の一実施例を示したハード構成ブロック図である。
【図2】本電子音楽装置で用いる各種データのデータ構成の一実施例を示す概念図であって、図2(A)は音色パラメータデータ、図2(B)は履歴情報データ、図2(C)はステップ配置情報データ及びリアルタイム配置情報データを示す。
【図3】パラメータ制御画面の一実施例を示す概念図である。
【図4】パラメータ制御画面におけるパッチング動作の概略を示す概念図である。
【図5】メイン処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図6】制御操作子の操作に基づく処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図7】オブジェクト操作処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図8】履歴情報の記録処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図9】履歴情報の再生処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図10】ステップ記録処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図11】ステップ再生処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図12】リアルタイム記録/再生処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図13】再現されたパラメータ制御画面に従って行われる音色効果パラメータ制御の再現について説明するための概念図である。
【符号の説明】
【0068】
1…CPU、2…ROM、3…RAM、4,5…検出回路、4A…演奏操作子、5A…操作子、6…表示回路、6A…ディスプレイ、7…音源・効果回路、7A…サウンドシステム、8…記憶装置、9…通信インタフェース、1D…データ及びアドレスバス、OS…ソースオブジェクト、OD…デスティネーションオブジェクト、R…レールオブジェクト、KA…有効エリア
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音色効果パラメータに基づく効果を楽音に対して付与する電子音楽装置であって、
いずれか一方が前記音色効果パラメータに対応付けられた第1表示オブジェクトと第2表示オブジェクトとを少なくとも含む画面を表示する表示器と、
前記画面に表示された第1表示オブジェクト又は第2表示オブジェクトの表示位置を変更するよう指示する操作子と、
前記操作子の操作に従って、前記第1表示オブジェクト又は前記第2表示オブジェクトの表示位置を変更制御して前記画面を更新する表示制御手段と、
前記画面更新に応じた第1表示オブジェクト又は第2表示オブジェクトの各表示位置の変更履歴を記憶する履歴記憶手段と、
前記画面の再現指示を行う指示手段と、
前記画面の再現指示に応じて、前記記憶した表示位置の変更履歴に従って再現した画面を前記表示器に順次に表示する画面再現手段と、
前記再現した画面上における前記第1表示オブジェクトと前記第2表示オブジェクトとの表示位置関係に応じて、前記第1表示オブジェクト又は前記第2表示オブジェクトに対応付けられた音色効果パラメータの制御値を決定する決定手段と、
前記決定した音色効果パラメータの制御値に基づき楽音制御を実行する楽音制御手段と
を具える電子音楽装置。
【請求項2】
前記画面再現手段は、前記指示手段による前記画面の1回の再現指示毎に前記記憶した表示位置の変更履歴を1つだけ読み出して1つの画面を再現する、又は前記指示手段による前記画面の1回の再現指示に応じて前記記憶した表示位置の変更履歴を順次に読み出して複数の画面を連続的に再現し、前記決定手段は画面が再現されるたびに変化する前記第1表示オブジェクトと前記第2表示オブジェクトとの表示位置関係に応じて音色効果パラメータの制御値を決定することを特徴とする請求項1に記載の電子音楽装置。
【請求項3】
コンピュータに、
いずれか一方が楽音に効果を付与するための音色効果パラメータに対応付けられた第1表示オブジェクトと第2表示オブジェクトとを少なくとも含む画面を表示器に表示する手順と、
前記画面に表示された第1表示オブジェクト又は第2表示オブジェクトの表示位置を変更するよう指示する手順と、
前記変更指示に従って、前記第1表示オブジェクト又は前記第2表示オブジェクトの表示位置を変更制御して前記画面を更新する手順と、
前記画面更新に応じた第1表示オブジェクト又は第2表示オブジェクトの各表示位置の変更履歴を記憶手段に記憶する手順と、
前記画面の再現指示を行う手順と、
前記画面の再現指示に応じて、前記記憶した表示位置の変更履歴に従って再現した画面を前記表示器に順次に表示する手順と、
前記再現した画面上における前記第1表示オブジェクトと前記第2表示オブジェクトとの表示位置関係に応じて、前記第1表示オブジェクト又は前記第2表示オブジェクトに対応付けられた音色効果パラメータの制御値を決定する手順と、
前記決定した音色効果パラメータの制御値に基づき楽音制御を実行する手順と
を実行させるためのプログラム。
【請求項1】
音色効果パラメータに基づく効果を楽音に対して付与する電子音楽装置であって、
いずれか一方が前記音色効果パラメータに対応付けられた第1表示オブジェクトと第2表示オブジェクトとを少なくとも含む画面を表示する表示器と、
前記画面に表示された第1表示オブジェクト又は第2表示オブジェクトの表示位置を変更するよう指示する操作子と、
前記操作子の操作に従って、前記第1表示オブジェクト又は前記第2表示オブジェクトの表示位置を変更制御して前記画面を更新する表示制御手段と、
前記画面更新に応じた第1表示オブジェクト又は第2表示オブジェクトの各表示位置の変更履歴を記憶する履歴記憶手段と、
前記画面の再現指示を行う指示手段と、
前記画面の再現指示に応じて、前記記憶した表示位置の変更履歴に従って再現した画面を前記表示器に順次に表示する画面再現手段と、
前記再現した画面上における前記第1表示オブジェクトと前記第2表示オブジェクトとの表示位置関係に応じて、前記第1表示オブジェクト又は前記第2表示オブジェクトに対応付けられた音色効果パラメータの制御値を決定する決定手段と、
前記決定した音色効果パラメータの制御値に基づき楽音制御を実行する楽音制御手段と
を具える電子音楽装置。
【請求項2】
前記画面再現手段は、前記指示手段による前記画面の1回の再現指示毎に前記記憶した表示位置の変更履歴を1つだけ読み出して1つの画面を再現する、又は前記指示手段による前記画面の1回の再現指示に応じて前記記憶した表示位置の変更履歴を順次に読み出して複数の画面を連続的に再現し、前記決定手段は画面が再現されるたびに変化する前記第1表示オブジェクトと前記第2表示オブジェクトとの表示位置関係に応じて音色効果パラメータの制御値を決定することを特徴とする請求項1に記載の電子音楽装置。
【請求項3】
コンピュータに、
いずれか一方が楽音に効果を付与するための音色効果パラメータに対応付けられた第1表示オブジェクトと第2表示オブジェクトとを少なくとも含む画面を表示器に表示する手順と、
前記画面に表示された第1表示オブジェクト又は第2表示オブジェクトの表示位置を変更するよう指示する手順と、
前記変更指示に従って、前記第1表示オブジェクト又は前記第2表示オブジェクトの表示位置を変更制御して前記画面を更新する手順と、
前記画面更新に応じた第1表示オブジェクト又は第2表示オブジェクトの各表示位置の変更履歴を記憶手段に記憶する手順と、
前記画面の再現指示を行う手順と、
前記画面の再現指示に応じて、前記記憶した表示位置の変更履歴に従って再現した画面を前記表示器に順次に表示する手順と、
前記再現した画面上における前記第1表示オブジェクトと前記第2表示オブジェクトとの表示位置関係に応じて、前記第1表示オブジェクト又は前記第2表示オブジェクトに対応付けられた音色効果パラメータの制御値を決定する手順と、
前記決定した音色効果パラメータの制御値に基づき楽音制御を実行する手順と
を実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−66602(P2010−66602A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−233890(P2008−233890)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]