説明

電子黒板装置

【課題】電子黒板装置において、内部メモリに記録されたデータを、特定の者にのみ開示することを可能とすることで、セキュリティー管理を行える電子黒板装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、請求項1に記載するように、書き込みシートと、この書き込みシートに書き込まれた筆記画像を読み取る読取り装置と、この読取り装置で読取られた情報を記憶する内部メモリと、この内部メモリに記録された情報を出力するための外部接続端子とを有する電子黒板装置であって、前記外部接続端子に接続される外部メモリであって、前記外部接続端子へ接続される機器への出力の際、出力データを暗号化して出力するデータ暗号化手段を有することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子黒板装置であって、特に外部記憶媒体あるいはパーソナルコンピュータによって、書込み情報を取り出すことが可能な電子黒板装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子黒板装置は、白色の書込みシートに、マーカーで文字や図形を記入すると共に、この記入した表面を光学センサーにて画像情報として読み取り、読み取った画像情報を縮小して紙に印刷し、或いは記録する機能を有することを特徴としている。
【0003】
特開平6−83539号には、電子黒板装置にメモリーカードを接続し、電子黒板の筆記画像データを外部に取り出すことが可能な電子黒板装置が示されている。
また、特開2000−49992号には、電子黒板装置をネットワークサーバーに接続し、筆記画像データをそのサーバーに記録するシステムにおいて、そのサーバーに記録された電子黒板装置の画像データをアクセス権を有するもののみに開示する技術が示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平6−83539号
【特許文献2】特開2000−49992号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、セキュリティーについて何ら考慮されていないため、電子黒板装置に書き込まれた情報を誰でも取り出すことができる。しかしながら、電子黒板装置の書き込み情報を特定の人にのみ開示したいとの要望がある。
例えば、電子黒板装置の主な用途が、機密に関する会議の過程の書込みである利用者などから、特に要望がある。
上記特許文献2では、電子黒板装置の筆記情報を、一端サーバーに保存して、アクセス権限のあるもののみに情報を開示するのであるため、セキュリティー性を保つことができる。
しかしながら、LANへの接続手段、及び通信手段が必要となると共に、セキュリティー性を必要とせず、簡単に外部メモリに情報を保存したいという利用者には、このようなシステムは不便となる。
【0006】
これらのセキュリティー重視の機能と、利便性重視の機能を達成するに際し、これらを別々に製品化すると、電子黒板装置の製造コストや、販売、在庫管理が煩雑となる。
このため、簡単にセキュリティー機能を実現することができる電子黒板装置が望まれた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、請求項1に記載するように、書き込みシートと、この書き込みシートに書き込まれた筆記画像を読み取る読取り装置と、この読取り装置で読取られた情報を記憶する内部メモリと、この内部メモリに記録された情報を出力するための外部接続端子とを有する電子黒板装置であって、前記外部接続端子に接続される外部メモリであって、前記外部接続端子へ接続される機器への出力の際、出力データを暗号化して出力するデータ暗号化手段を有することを特徴としている。
【0008】
更に、前記データ暗号化手段は、データを暗号化すると共に、復号鍵を入力することで復号する実行形式の出力ファイルを作成することを特徴し、或いは、前記データ暗号化手段によって暗号化されたデータファイルは、別途設けられた復号プログラムを用い、復号鍵を入力することで復号することを特徴としている。
この暗号化ファイルを出力データとすることで、簡易にセキュリティ管理を実現するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、容易に電子黒板装置内のデータを取り出すことが可能となると共に、復号鍵を有しない者は、その暗号データを復号できないため、セキュリティーを確保することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0011】
以下、図に沿って本発明の一実施例を説明する。
図1は本発明の一実施例を示す正面図である。
1は電子黒板本体、2は本体の表面において、マーカーによって書き込みを行う書込みシートであり、3はこの書込みシートの移動指示や、書込みシートの書込み面を捜査し、筆記画像情報の読込みを行う指示、或いは読込んだデータを図示しないプリンタで印刷する指示などを行う操作パネル、4は外部メモリを接続するための接続端子である。
尚、本実施例では、接続端子4は、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)端子、外部メモリ5は、USBメモリを用いている。
【0012】
図2を用いて、本実施例の電子黒板装置の制御部の構成、及び動作について説明する。
6は書込みシート2に書き込まれた文字や絵を本体1の裏面で読み込めるように、書込みシート2の表面を照明するための光源部、7は書込みシート2の記載内容を読み込むレンズと撮像素子で構成された読取装置(イメージスキャナ)である。
8はモータであり、書込みシート2は、画像読込み時に、このモータ8によって、移送される。
9は本実施例装置の動作を制御するCPUであり、10は読取り装置によって読取られた画像情報を記録する内部メモリ、11は外部メモリに対して、内部メモリのデータを暗号化して出力する暗号化手段である。13は内部メモリ10のデータを図示しないプリンタに出力するためのプリンタ接続端子である。
【0013】
操作パネル3によって、コピーを指示するボタンが押されると、CPU9の制御信号によりモータ8は駆動され、書込みシート2は、モータ8によって、移送される。
その移送動作に連動して、CPU9の制御信号により光源6及び読取り装置7は駆動され、光源部6付近で書込みシートは、この光源部6によって照明され、読取装置7で画像が順次、縦長のライン状に取込まれる。本実施例では、撮像素子として、CCDラインセンサが用いられている。また、光源部6では、複数の半導体発光素子(LED)が縦長のライン状に配置されたものが用いられている。
【0014】
読取り装置7によって、ライン毎に読取られた画像データは、内部メモリ10で、合成されて1枚の画像データに構成される。
この1枚の画像データは、プリンタ接続端子13を介して、図示しないプリンターに伝送され、プリンターによって印刷が行われる。
【0015】
外部メモリ5が、外部接続端子4に接続されると、内部メモリ10に記録された画像データは、暗号化手段11によって暗号化され、外部メモリ5に出力され記録される。
データの暗号化に際しては、共通鍵暗号方式が用いられている。
これは、暗号化鍵と複合化鍵が同一の暗号化方式であり、公開鍵暗号化方式に比べて、高速に暗号化が可能である。
また、暗号化されたデータファイルは、例えばパソコンに読み込んで、この暗号化ファイルをダブルクリックすることで、復号鍵の入力画面が表示され、復号鍵を入力することで自動的に復号される実行形式のファイルである。
【0016】
尚、図3に示すように、複数の外部接続端子4を有するインターフェース回路12を用い、外部メモリ5の他、パーソナルコンピュータ13を接続する機能を有するものであってもよい。
パソコンを接続した場合、暗号化されたファイルは直接にパソコン13に読み込まれる。
【0017】
尚、特定の外部メモリ5に復号鍵を設定し、この専用外部メモリ5のみが暗号ファイルを復号できるようにしてもよい。
この場合は、復号鍵を秘密に管理でき、また利用者が復号鍵を覚える必要がなくなる。
【0018】
また、電子黒板装置の操作パネル3に、通常モードと暗号化モードの選択ボタンを用意してもよい。
この場合は、一般的なセキュリティーとしては問題であるが、例えば、筆記画像情報を外部メモリに記録して保存しておきたい場合に、電子黒板装置内の内部メモリに記録されたデータは、すぐに消去し、外部メモリに記録したデータを、暗号化して保存するといった利用ができる。
【0019】
本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、例えば、読取りシート上の書込み画像を読取る方式は、読取りシート表面をスキャナーが移動して読取る方式でもよい。
また、外部メモリは、USBメモリに限定されず、種々の異なる方式の例えばSDカードであってもよい。
【0020】
また、暗号化方式は、暗号化を秘密鍵で行い、復号を公開鍵で行う公開鍵暗号化方式を採用してもよい。
また、暗号化したファイルは自動的に復号する実行形式ではなく、専用のプログラムによってのみ復号が可能なファイルとしてもよい。
尚、暗号化したファイルを復号するに際しては、上述の実行形式ファイルないしは復号専用プログラムに復号鍵を内蔵させ、簡単なパスワードを設定し、このパスワードの入力によって、復号鍵を読み出して、暗号化ファイルの復号を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、機密情報のセキュリティー管理を必要とする会議室などで利用される電子黒板装置として用いることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の実施例の形態に係る主要な構成を示す正面図である。
【図2】図2は、本発明の実施例の制御部に係る構成図である。
【図3】図3は、本発明の第2の実施例の制御部に係る構成図である。
【符号の説明】
【0023】
2:書込みシート
3:操作パネル
4:外部接続端子
5:外部メモリ
11:暗号化手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
書き込みシートと、この書き込みシートに書き込まれた筆記画像を読み取る読取り装置と、この読取り装置で読取られた情報を記憶する内部メモリと、この内部メモリに記録された情報を出力するための外部接続端子とを有する電子黒板装置であって、前記外部接続端子に接続される外部メモリであって、前記外部接続端子へ接続される機器への出力の際、出力データを暗号化して出力するデータ暗号化手段を有することを特徴とする電子黒板装置。
【請求項2】
前記外部接続端子は、USB端子であり、外部メモリはUSBメモリであることを特徴とする請求項1項記載の電子黒板装置。
【請求項3】
前記USBメモリに、暗号化されたデータを復号する復号鍵を内蔵させたことを特徴とする請求項2項記載の電子黒板装置。
【請求項4】
前記データ暗号化手段は、データを暗号化すると共に、復号鍵を入力することで復号する実行形式の出力ファイルを作成することを特徴とする請求項1項記載の電子黒板装置。
【請求項5】
前記データ暗号化手段によって暗号化されたデータファイルは、別途設けられた復号プログラムを用い、復号鍵を入力することで復号することを特徴とする請求項1項記載の電子黒板装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−279743(P2008−279743A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−150937(P2007−150937)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000113034)プラスビジョン株式会社 (70)
【Fターム(参考)】