説明

電気使用契約支援システム及び操作ロック機能付き遮断器

【課題】 不正操作を簡単にかつ確実に防止しつつ、電気を迅速に再使用する。
【解決手段】 携帯端末3は、管理サーバから操作ロック解除情報を含む二次元コードを、ネットワークを介して受信して表示部に表示させ、二次元コード処理装置6は、表示された二次元コードを撮像部13によって撮像して読み取り、配線用遮断器5のロック機構の駆動部を制御して、操作ロックを解除させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電力会社とユーザとの間の電気使用契約に係る処理を支援するために用いられる電気使用契約支援システム及び操作ロック機能付き遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、入居時の電気使用申込みの受付けは、電話やインターネットを利用して行われ、申込みの受付け後に、再び使用可能とするために、電力会社社員が電気使用開始場所へ行って、廃止時に外された計量器の二次側をつなげるか、又は廃止時に「切り」操作された屋内のブレーカを、ユーザが「入り」操作して、使用開始可能とする。
【0003】
こうしたブレーカは、過負荷や漏電の際の遮断を目的として設置されている。したがって、ブレーカが「切り」の状態から誰でも「入り」の状態とすることが可能で、ユーザが電力会社へ電気使用の申込みをしないまま使用する場合がある。この場合、電力会社は、契約者(使用者)を確定するために、現地で確認を行う必要がある。
【0004】
無断使用を防止するためには、契約廃止時に計量器の二次側を切断して電気の使用をできなくする方法があるが、電気使用申込み時に、早期の再使用が難しくなる。特に集合住宅等の出入りが激しい需要場所では、清掃等のための短時間の使用であっても、迅速な対応が難しく手間もかかる。
【0005】
このため、遠隔遮断機能を有する積算電力量計において、遠隔遮断操作機から、制御信号を受信すると、演算回路がこれを解読し、正しい遮断信号が送られてきたと判断した場合に、遮断器を動作させて負荷回路を遮断させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、こうした通信機能付きの電力量計を用いて遠隔操作する場合は、通信障害等によって操作ができなくなる可能性もある。
【0006】
また、制御所からの操作指令に従い、電気所に設置された遮断器を現地で直接操作する場合に、誤操作を防止するために、遮断器にICタグを取り付け、現地の責任者がICタグリーダ機能を有する携帯端末を携帯し、中央制御装置で、携帯端末から送られてきた音声情報とICタグに記憶されたコード情報とを解析し、この解析内容と、事前に通知した操作指令内容とが一致するか否かを判定する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−209898号公報
【特許文献2】特開2006−270367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来技術を不正操作防止のために適用したとしても、例えば、確実性や手軽さの点で問題がある。
【0009】
この発明は、前記の課題を解決し、不正操作(特に、「入り」操作による電気の不正使用)を簡単にかつ確実に防止しつつ、電気を迅速に再使用することができる電気使用契約支援システム及び操作ロック機能付き遮断器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、電力供給者と電力受給者との間の電気使用契約に係る処理を支援するために用いられる電気使用契約支援システムであって、電力供給先に配置され、少なくとも入り操作を阻止するための操作ロック機能及び操作ロックを解除するための操作ロック解除機能を有する遮断器と、前記遮断器に接続され、前記遮断器の操作ロック機能及び操作ロック解除機能を制御する操作ロック制御装置と、前記電力受給者が用いる携帯端末と、前記携帯端末とネットワークを介して接続可能な前記電力供給者が用いる情報処理装置とを備え、前記情報処理装置は、前記遮断器の操作ロックを解除するための操作ロック解除情報を記憶するロック解除情報記憶手段を有し、前記携帯端末は、前記情報処理装置から前記操作ロック解除情報を前記ネットワークを介して取得する第1のロック解除情報取得手段と、取得した前記操作ロック解除情報を前記操作ロック制御装置に供給するために用いられるロック解除情報供給手段とを有し、前記操作ロック制御装置は、前記携帯端末から前記操作ロック解除情報を取得するために用いられる第2のロック解除情報取得手段を有し、取得した前記操作ロック解除情報に基づいて、前記遮断器の操作ロックを解除する制御を行うことを特徴としている。
【0011】
請求項1の発明では、携帯端末は、情報処理装置から操作ロック解除情報をネットワークを介して取得し、取得した操作ロック解除情報を操作ロック制御装置に供給し、操作ロック制御装置は、携帯端末から操作ロック解除情報を取得し、取得した操作ロック解除情報に基づいて、遮断器の操作ロックを解除する制御を行う。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載の電気使用契約支援システムであって、前記ロック解除情報供給手段は、前記操作ロック解除情報を表示するロック解除情報表示手段を含み、前記第2のロック解除情報取得手段は、前記ロック解除情報表示手段に表示された前記操作ロック解除情報を撮像するロック解除情報撮像手段を含み、前記操作ロック制御装置は、撮像された前記操作ロック解除情報に基づいて、前記遮断器の操作ロックを解除する制御を行うことを特徴としている。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の電気使用契約支援システムであって、前記操作ロック解除情報は、二次元コードを用いて構成され、前記操作ロック制御装置は、前記操作ロック解除情報を読み取るための二次元コード読取手段を有することを特徴としている。
【0014】
請求項4の発明は、電力供給者と電力受給者との間の電気使用契約に係る処理を支援するために用いられる電気使用契約支援システムを構成し、電力供給先に配置される操作ロック機能付き遮断器であって、少なくとも入り操作を阻止するための操作ロック機能及び操作ロックを解除するための操作ロック解除機能を有する遮断器本体と、前記遮断器本体に接続され、前記遮断器本体の操作ロック機能及び操作ロック解除機能を制御する操作ロック制御装置とを備え、前記操作ロック制御装置は、前記電力受給者が用いる携帯端末から前記遮断器本体の操作ロックを解除するための操作ロック解除情報を取得するロック解除情報取得手段を有し、取得した前記操作ロック解除情報に基づいて、前記遮断器本体の操作ロックを解除する制御を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、携帯端末は、情報処理装置から操作ロック解除情報をネットワークを介して取得し、取得した操作ロック解除情報を操作ロック制御装置に供給し、操作ロック制御装置は、携帯端末から操作ロック解除情報を取得し、取得した操作ロック解除情報に基づいて、遮断器の操作ロックを解除する制御を行うので、不正操作を簡単にかつ確実に防止しつつ、電気を迅速に再使用することができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、操作ロック解除情報を表示と撮像とによって円滑に伝達することができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、操作ロック解除情報を二次元コードを用いて構成するので、迅速に読み取ることができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、操作ロック制御装置は、携帯端末から操作ロック解除情報を取得し、取得した操作ロック解除情報に基づいて、遮断器本体の操作ロックを解除する制御を行うので、不正操作を簡単にかつ確実に防止しつつ、電気を迅速に再使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の一実施の形態による電気使用契約支援システムの構成を説明するための説明図である。
【図2】同電気使用契約支援システムの構成を説明するための説明図である。
【図3】同電気使用契約支援システムの管理サーバの構成を示すブロック図である。
【図4】同電気使用契約支援システムの携帯端末の構成を示すブロック図である。
【図5】同電気使用契約支援システムの二次元コード処理装置の構成を示すブロック図である。
【図6】同携帯端末の電気使用開始時の動作を説明するための処理手順図である。
【図7】同二次元コード処理装置の電気使用開始時の動作を説明するための処理手順図である。
【図8】同二次元コード処理装置の電気使用開始時の動作を説明するための処理手順図である。
【図9】同二次元コード処理装置の電気使用終了時の動作を説明するための処理手順図である。
【図10】同携帯端末の電気使用終了時の動作を説明するための処理手順図である。
【図11】この発明の一実施の形態の変形例による二次元コード処理装置の電気使用終了時の動作を説明するための処理手順図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、この発明の実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。
【0021】
図1及び図2は、この発明の一実施の形態による電気使用契約支援システムの構成を説明するための説明図、図3は、同電気使用契約支援システムの管理サーバの構成を示すブロック図、図4は、同電気使用契約支援システムの携帯端末の構成を示すブロック図、図5は、同電気使用契約支援システムの二次元コード処理装置の構成を示すブロック図、図6は、同携帯端末の電気使用開始時の動作を説明するための処理手順図、図7及び図8は、同二次元コード処理装置の電気使用開始時の動作を説明するための処理手順図、図9は、同二次元コード処理装置の電気使用終了時の動作を説明するための処理手順図、図10は、同携帯端末の電気使用終了時の動作を説明するための処理手順図である。
【0022】
図1及び図2に示すように、この実施の形態の電気使用契約支援システム1は、電力会社(電力供給者)において用いられる管理サーバ2と、ユーザ(電力受給者)が用いる携帯端末3,3,…とがネットワーク4を介して接続可能とされ、各携帯端末3は、電力供給先の例えば住戸に配置された配線用遮断器(ブレーカ)5にケーブル7を介して接続された二次元コード処理装置6との間で、操作ロック解除情報(以下、単にロック解除情報という。)又は操作ロック設定情報(以下、単にロック情報という。)を含む二次元コードの授受を可能とされて概略構成されている。
【0023】
管理サーバ2は、電気使用契約処理を支援するために用いられ、図3に示すように、所定のプログラムに従って構成各部を制御する制御部16と、各種制御プログラムやデータが記憶される記憶部17と、データ通信を行うための通信部18と、キーボードを含む操作部19と、液晶ディスプレイ等を含む表示部21とを有している。
【0024】
制御部16は、CPU(Central Processing Unit)等からなり、記憶部17に記憶された所定の制御プログラムに従って構成各部を制御する。この実施の形態の管理サーバ2においては、電子メール送受信処理等が実行される。
【0025】
管理サーバ2は、電子メール送受信処理で、電子メール本文に添付して、配線用遮断器5に対応したロック解除情報を含む二次元コードを、対応する携帯端末3宛へメールサーバ(不図示)を介して送信する。また、管理サーバ2は、携帯端末3からロック完了情報を含む二次元コードを受信すると、受付完了通知を携帯端末3宛へ送信する。
【0026】
記憶部17は、ROM、RAM等の半導体メモリや、HD(ハードディスク)、CD−ROM等が装着されるHDD、CD−ROMドライブ等から構成されている。記憶部17は、各種プログラムを記憶するプログラム記憶部と、ユーザ情報や、契約情報、設備情報等の各種情報を記憶する情報記憶部とを有している。例えば設備情報は、配線用遮断器5に対応付けられたロック情報及びロック解除情報(操作ロック解除情報)を含んでいる。この実施の形態では、ロック情報及びロック解除情報は、同一としても良いし、異ならせても良い。また、契約毎に変更しても良いし、定期的又は不定期的に変更しても良いし、配線用遮断器5や二次元コード処理装置6に対応させて固定しても良い。
ロック情報及びロック解除情報は、契約番号情報や、配線用遮断器5や二次元コード処理装置6の識別情報を含んでいても良い。
【0027】
携帯端末3は、ユーザが用い、例えば携帯電話機から構成され、図4に示すように、所定のプログラムに従って構成各部を制御する制御部23と、メーラやブラウザを含む各種制御プログラムやデータが記憶される記憶部24と、アンテナ25と、所定のプロトコルに従ってデータ通信を行うための無線通信部26と、テンキー等を含む操作部27と、液晶ディスプレイ等を含む表示部28と、電子カメラユニットを含む撮像部29と、送話部31と、音声出力部32と、受話部33とを有している。なお、携帯端末3としては、無線通信機能を有した移動可能なパーソナルコンピュータ等を用いても良い。
【0028】
制御部23は、CPU等からなり、記憶部24に記憶された所定の制御プログラムに従って構成各部を制御する。この実施の形態の携帯端末3においては、電子メール送受信処理や、表示制御処理、撮像処理、二次元コード読取(認識)処理等が実行される。
【0029】
携帯端末3は、例えば、二次元コード処理装置6の設置箇所で、表示部28を二次元コード処理装置6の撮像部13に向けた状態で、所定の操作によって、表示制御処理で、受信したロック解除情報を含む二次元コードを表示部28に表示させる。携帯端末3は、撮像部29を二次元コード処理装置6の表示部14に向けた状態で、所定の操作によって、撮像処理で、表示部14に表示された二次元コードを撮像し、二次元コード読取処理で、撮像された画像情報に基づいて二次元コードを読み取り記憶部24に記憶させる。
【0030】
携帯端末3は、電子メール送受信処理で、読み取った電子メールアドレス宛へメールサーバを介してロック完了情報を含む二次元コードを送信する。ここで、二次元コードは、画像情報として送信されても良いし、読取内容が送信されても良い。こうして、管理サーバ2へロック完了情報を含む二次元コードが送信される。携帯端末3は、管理サーバ2から受付完了通知を受信すると、表示部28に表示させる。
【0031】
記憶部24は、ROM、RAM等の半導体メモリ等から構成され、各種プログラムを記憶するプログラム記憶部と、受信情報や設定情報等の各種情報を記憶する情報記憶部とを有している。
【0032】
配線用遮断器5は、モールドケース内に接触子や、消弧装置、開閉機構、引外装置等が収納され、操作ハンドル9により開閉可能とされて構成されているとともに、ロック操作ボタン11を含むロック機構を有している。
【0033】
このロック機構は、上記モールドケース内に配置され、操作ハンドル9の上記モールドケース内の開閉機構を作動させる側に接触して、「入り」操作を妨げるように操作ハンドル9の変位を制止する制止位置と、操作ハンドル9との干渉を回避する回避位置との間で変位可能な例えば棒状のロック部材と、ロック部材を制止位置に配置するように付勢するばね部材等の付勢部材と、付勢部材による付勢力に抗してロック部材を例えば係止により回避位置に保持する保持部材と、例えば保持部材による係止を解除して付勢部材によりロック部材を制止位置に変位させるロック操作ボタン11と、二次元コード処理装置6の制御によりロック部材を保持部材によって保持されるまで回避位置へ変位させるための例えばプランジャ形のソレノイド等を含む駆動部とを有している。
【0034】
また、ロック操作ボタン11の押下により二次元コード処理装置6がロック操作を検知可能なように構成されている。なお、ロック部材を、例えば、水平に保った状態で配置する場合に、上記制止位置と回避位置とを、水平方向に沿って配置しても良いし、鉛直方向に沿って配置しても良い。
【0035】
二次元コード処理装置6は、所定のプログラムに従って構成各部を制御する制御部35と、各種制御プログラムやデータが記憶される記憶部36と、電子カメラユニットを含む撮像部13と、液晶ディスプレイ等を含む表示部14と、入出力部39とを有している。なお、二次元コード処理装置6の構成各部のための電源は、配線用遮断器5の一次側から供給されるようにしても良いし、電池を用いて構成しても良い。
【0036】
制御部35は、CPU等からなり、記憶部36に記憶された所定の制御プログラムに従って構成各部を制御する。
【0037】
この実施の形態の二次元コード処理装置6においては、撮像処理や、二次元コード読取(認識)処理、ロック解除制御処理、ロック操作検知処理、表示制御処理等が実行される。二次元コード処理装置6は、撮像処理で、表示部28に表示された二次元コードを撮像し、二次元二次元コード読取処理で、画像情報に基づいて二次元コードを読み取り、読取内容と、画像情報とを記憶部36に記憶させる。二次元コード処理装置6は、ロック解除制御処理で、配線用遮断器5の駆動部を制御して操作ロックを解除させる。ここで、二次元コード処理装置6は、予め記憶部36に記憶したロック解除情報と、読み取った内容とを照合して一致した場合に、操作ロックを解除させるようにしても良い。二次元コード処理装置6は、ロック操作ボタン11が押下されると、ロック操作検知処理でこれを検知し、表示制御処理で、二次元コードを表示させる。この二次元コードは、読取内容に、ロック完了を示すコード、電子メール送信先、電子メール機能立上げコードが付加されている。
【0038】
次に、図6乃至図10を参照して、電気使用契約支援システム1の動作について説明する。まず、電気使用開始時の動作から説明する。ユーザは、携帯端末3の通話機能を用いて電力会社に対して電気使用開始の申込みを行う。電力会社では、受付けを完了すると、ロック解除情報を発行する。管理サーバ2は、使用申込受付完了通知を含む電子メール本文に添付して、配線用遮断器5に対応したロック解除情報を含む二次元コードを、対応する携帯端末3宛にメールサーバ(不図示)を介して送信する。
【0039】
携帯端末3は、使用申込受付完了通知及び二次元コードを受信すると(ステップSA11(図6))、使用申込受付完了通知を表示部28に表示させ、二次元コードを記憶部24に記憶させる(ステップSA12)。電気使用開始時(入居時)には、携帯端末3は、例えば、二次元コード処理装置6の設置箇所で、表示部28を二次元コード処理装置6の撮像部13に向けた状態で、所定の操作によって、受信したロック解除情報を含む二次元コードを表示部28に表示させる(ステップSA13)。
【0040】
二次元コード処理装置6は、携帯端末3の表示部28に表示された二次元コードを撮像し、画像情報に基づいて二次元コードを読み取ると(ステップSB11(図7))、読取内容と、画像情報とを記憶部36に記憶させる(ステップSB12)。次に、二次元コード処理装置6は、配線用遮断器5の駆動部を制御して操作ロックを解除させる(ステップSB13)。ここで、二次元コード処理装置6は、予め記憶部36に記憶したロック解除情報と、読み取った内容とを照合して一致した場合に、操作ロックを解除させるようにしても良い。すなわち、この場合は、二次元コード処理装置6は、二次元コードを読み取ると(ステップSC11(図8))、読取内容と、画像情報とを記憶部36に記憶させるとともに、予め記憶部36に記憶したロック解除情報と照合し(ステップSC12)、ステップSC13で、一致したと判断した場合に操作ロックを解除させ(ステップSC14)、これ以外の場合は、処理を終了させる。
【0041】
この後、ユーザは、操作ロック状態から操作ロック解除された配線用遮断器5の操作ハンドル9を「入り」側へ操作する。
【0042】
次に、電気使用終了時の動作について説明する。ユーザは、携帯端末3の通話機能を用いて電力会社に対して電気使用廃止の申込みを行う。電力会社からは、受付処理後、退去時の配線用遮断器5の「切り」操作と、ロック操作ボタン11の押下による操作ロックとを依頼する。使用終了時(退去時)には、ユーザは、配線用遮断器5の操作ハンドル9を「切り」側へ操作し、次に、ロック操作ボタン11を押下する。
【0043】
二次元コード処理装置6は、ロック操作ボタン11が押下されると、これを検知し(ステップSD11(図9))、表示部14に二次元コードを表示させる(ステップSD12)。この二次元コードは、使用開始時に取得した内容に、ロック完了を示すコード、送信先の電子メールアドレス、携帯端末3の電子メール機能立上げコードが付加されている。
【0044】
携帯端末3は、撮像部29を二次元コード処理装置6の表示部14に向けた状態で、所定の操作によって、撮像処理で、表示部14に表示された二次元コードを撮像し、画像情報に基づいて二次元コードを読み取ると(ステップSE11(図10))、記憶部24に記憶させる。
【0045】
次に、携帯端末3は、メーラを起動させ(ステップSE12)、読み取った電子メールアドレス宛にメールサーバを介して二次元コードを送信する(ステップSE13)。ここで、二次元コードは、画像情報として送信されても良いし、読取内容が送信されても良い。こうして、管理サーバ2へロック完了情報を含む二次元コードが送信される。
【0046】
管理サーバ2は、携帯端末3からロック完了情報を含む二次元コードを受信すると、受付完了通知を携帯端末3宛に送信する。ここで、管理サーバ2において、ロック完了情報を受信した時を、解約の時としても良いし、例えば、二次元コード処理装置6において、ロック完了情報を含む二次元コードを表示させた時を解約の時としても良い。携帯端末3は、管理サーバ2から受付完了通知を受信すると(ステップSE14)、表示部28に表示させる(ステップSE15)。
【0047】
こうして、この実施の形態の構成によれば、携帯端末3は、管理サーバ2から操作ロック解除情報を含む二次元コードを、ネットワーク4を介して受信して表示部28に表示させ、二次元コード処理装置6は、表示された二次元コードを撮像部13によって撮像して読み取り、配線用遮断器5の駆動部を制御して、操作ロックを解除させるので、不正な入り操作を簡単にかつ確実に防止しつつ、電気を迅速に再使用することができる。
【0048】
また、電力使用終了時には、ロック操作ボタン11を押下されないと、二次元コードが表示されず、かつ、表示された二次元コードを送信しないと、解約完了とならないようにすることで、確実に操作ロックを行わせることができ、不正操作を確実に防止することができる。特に、電気使用開始時と電気使用終了時とで二次元コードを変更することで、不正操作を一段と確実に防止することができる。
【0049】
また、電力会社にとっては、契約切替にかかるコスト(例えば通電等の施工に係るコスト)を低減することができる。低減額は、電気料金単価へ反映させ、ユーザに還元されるようにしても良い。また、ユーザ(入居者又は退去者)とっては、契約切替時を自由に選択することができる。すなわち、事前に電力会社に連絡しておけば、夜間等であっても自由な時間から電気を使用開始できる。また、退去後に他者が勝手に電気を使用してその分を請求される危険がなくなる。また、借家の家主や管理人にとっては、管理している物件で無断で電気を使用されて困ることがなくなる。
【0050】
また、二次元コード処理装置6を配線用遮断器5と分離して配置するので、配線用遮断器5は、既存の配線用遮断器と略同サイズとすることができ、単に入れ替えることで対応することができる。また、携帯端末3を利用することで、スマートメータと異なり、配線用遮断器5や二次元コード処理装置6に通信機能は不要である。
【0051】
以上、この発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。例えば、上述した実施の形態では、二次元コード処理装置6において、撮像処理や、二次元コード読取処理、ロック解除制御処理、ロック操作検知処理、表示制御処理等は、制御部が、対応する制御プログラムを実行することによって行うほかに、一部又は全部を専用のハードウェアを用いて行い、他の一部を対応するプログラムを実行して処理するようにしても良い。また、それぞれ別々のCPUが実行しても良いし、例えば、単一のCPUが実行しても良い。携帯端末3や、管理サーバ2についても同様である。
【0052】
また、配線用遮断器5と二次元コード処理装置6とは、それぞれ、遮断器本体及び操作ロック制御装置として一体化し、全体として操作ロック機能付き遮断器として設置しても良い。ここで、遮断器本体としての配線用遮断器5の撮像部13は、ロック解除情報取得手段として機能する。また、携帯端末3と二次元コード処理装置6との間で二次元コードの供給及び取得を、表示及び撮像によって実施するのに代えて、近距離通信(ブルートゥース通信や、赤外線通信等)による送信及び受信によって実施するようにしても良い。
【0053】
また、ユーザから電力会社に対して電気使用廃止の申込みがあった場合に、電力会社から、退去時の配線用遮断器5の「切り」操作と、二次元コードを用いてのロック操作依頼とを、ユーザに対して行うようにしても良い。この場合、携帯端末3は、表示部28にロック情報を含む二次元コードを表示させ、二次元コード処理装置6は、携帯端末3の表示部28に表示された二次元コードを読み取ると(ステップSF11(図11))、操作ロック制御し(ステップSF12)、ロック完了情報を含む二次元コードを表示部14に表示させる(ステップSF13)。携帯端末3は、ロック完了情報を含む二次元コードを撮像し、管理サーバ2へ送信する。この場合も、二次元コードは、表示及び撮像に代えて、近距離通信による送信及び受信によって、伝達されるようにしても良い。
【0054】
また、二次元コードのほか、バーコード等の一次元コードを用いても良い。また、配線用遮断器5のロック機構において、ロック部材を駆動部としてモータを用いて制止位置と回避位置との間で変位させるようにしても良い。また、二次元コード処理装置6に撮像開始のための操作部を設けても良い。また、携帯端末3で、管理サーバ2からロック解除情報を含むデータを取得して二次元コードを生成しても良い。
また、二次元コード処理装置6で、ロック完了情報等を付加した二次元コードをその都度生成しても良いし、予め作成した二次元コードを用いても良い。また、二次元コード処理装置6は、複数の配線用遮断器5を制御するようにしても良い。
【0055】
また、配線用遮断器5で、ロック操作ボタン11を廃し、操作ハンドル9の「切り」操作と同時に操作ロックするように構成しても良い。また、操作ロックにより「切り」操作も不能とするようにしても良い。また、電力量計に二次元コード処理装置6の機能を持たせても良い。また、住宅用のほか、産業用でも用いることができる。例えば、工場等で勝手に使用してはならない遮断器等をロックしておき、管理者以外は誤って通電できないようにすることで、電力の需給のみならず、安全管理のために利用することができる。また、住戸のドアの施錠や解錠を、配線用遮断器5の操作ロックと同時に行うように構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0056】
遮断器として、配線用遮断器のほか、漏電遮断器等の他の低圧遮断器を用いる場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0057】
1 電気使用契約支援システム
2 管理サーバ(情報処理装置)
3 携帯端末
4 ネットワーク
5 配線用遮断器(遮断器)
6 二次元コード処理装置(操作ロック制御装置)
13 撮像部(第2のロック解除情報取得手段、ロック解除情報撮像手段)
16 制御部
17 記憶部(ロック解除情報記憶手段)
23 制御部
24 記憶部
26 無線通信部(第1のロック解除情報取得手段)
28 表示部(ロック解除情報供給手段、ロック解除情報表示手段)
35 制御部(二次元コード読取手段)
36 記憶部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給者と電力受給者との間の電気使用契約に係る処理を支援するために用いられる電気使用契約支援システムであって、
電力供給先に配置され、少なくとも入り操作を阻止するための操作ロック機能及び操作ロックを解除するための操作ロック解除機能を有する遮断器と、前記遮断器に接続され、前記遮断器の操作ロック機能及び操作ロック解除機能を制御する操作ロック制御装置と、前記電力受給者が用いる携帯端末と、前記携帯端末とネットワークを介して接続可能な前記電力供給者が用いる情報処理装置とを備え、
前記情報処理装置は、前記遮断器の操作ロックを解除するための操作ロック解除情報を記憶するロック解除情報記憶手段を有し、
前記携帯端末は、前記情報処理装置から前記操作ロック解除情報を前記ネットワークを介して取得する第1のロック解除情報取得手段と、取得した前記操作ロック解除情報を前記操作ロック制御装置に供給するために用いられるロック解除情報供給手段とを有し、
前記操作ロック制御装置は、前記携帯端末から前記操作ロック解除情報を取得するために用いられる第2のロック解除情報取得手段を有し、取得した前記操作ロック解除情報に基づいて、前記遮断器の操作ロックを解除する制御を行う
ことを特徴とする電気使用契約支援システム。
【請求項2】
前記ロック解除情報供給手段は、前記操作ロック解除情報を表示するロック解除情報表示手段を含み、前記第2のロック解除情報取得手段は、前記ロック解除情報表示手段に表示された前記操作ロック解除情報を撮像するロック解除情報撮像手段を含み、前記操作ロック制御装置は、撮像された前記操作ロック解除情報に基づいて、前記遮断器の操作ロックを解除する制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の電気使用契約支援システム。
【請求項3】
前記操作ロック解除情報は、二次元コードを用いて構成され、前記操作ロック制御装置は、前記操作ロック解除情報を読み取るための二次元コード読取手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電気使用契約支援システム。
【請求項4】
電力供給者と電力受給者との間の電気使用契約に係る処理を支援するために用いられる電気使用契約支援システムを構成し、電力供給先に配置される操作ロック機能付き遮断器であって、
少なくとも入り操作を阻止するための操作ロック機能及び操作ロックを解除するための操作ロック解除機能を有する遮断器本体と、前記遮断器本体に接続され、前記遮断器本体の操作ロック機能及び操作ロック解除機能を制御する操作ロック制御装置とを備え、
前記操作ロック制御装置は、前記電力受給者が用いる携帯端末から前記遮断器本体の操作ロックを解除するための操作ロック解除情報を取得するロック解除情報取得手段を有し、取得した前記操作ロック解除情報に基づいて、前記遮断器本体の操作ロックを解除する制御を行う
ことを特徴とする操作ロック機能付き遮断器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−190401(P2012−190401A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55394(P2011−55394)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】