説明

電気光学装置、その製造方法、および電子機器

【課題】軽量で強靭な構成の表示装置を提供すること。
【解決手段】表示装置100の基板30は、樹脂からなる複数の帯状のテープ部材X,Yを編み込んで形成されているため、一枚板の樹脂基板よりも、編み込み構造によって強靭になっている。また、編み込み構造であっても、樹脂製のテープ部材から構成されているため、ガラス基板よりも軽量化を図ることができる。従って、強度としなやかさとを両立させた表示装置100を提供することができる。換言すれば、軽量で強靭な構成の表示装置100を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置、その製造方法、および当該電気光学装置を搭載した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置や、有機EL(Electro Luminescence)表示装置などの電気光学装置は、2枚の基板を貼り合せた構成を基本としているため、薄型テレビのような薄型の電子機器に多用されている。
特に、有機EL表示装置は、自発光デバイスである有機EL素子を用いているため、バックライトなどの光源を必要とする液晶表示装置よりも、薄型化に関して有利である。
また、薄型テレビの場合、大画面化(大型化)が盛んであり、これらの表示装置には、取り扱い性向上のために、軽量であることも求められている。ここで、軽量化の一つの手段として、基板の材料をガラス基板よりも軽量な樹脂基板とすることが考えられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、フィルム状のプラスチック基板上に、有機EL素子を形成した有機EL表示装置が提案されている。また、当該表示装置によれば、画面を大型化した場合であっても、表示装置の軽量化を図ることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−15858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、樹脂基板は軽量である反面、軟らかく、強度に欠けるため、大型化すると自重でしなってしまい、例えば、金属製の支持フレームなどの支持部材が必要となり、結果的に厚く、また、重くなってしまうという課題があった。換言すれば、従来の表示装置では、強靭性に乏しいという課題があった。
他方、ガラス基板のように硬すぎると、脆くて割れ易いため取り扱い難く、適度なフレキシブル性も要求されていた。
つまり、従来の表示装置では、強度としなやかさとを両立させることが困難であるという課題があった。換言すれば、軽量で強靭な構成の表示装置を実現することが困難であるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例又は形態として実現することが可能である。
【0007】
(適用例)
基板と、基板上に形成された複数の画素と、を少なくとも備え、基板は、樹脂からなる複数の帯状のテープ部材を編み込んで形成されていることを特徴とする電気光学装置。
【0008】
この電気光学装置の基板は、樹脂からなる複数の帯状のテープ部材を編み込んで形成されているため、一枚板の樹脂基板よりも、編み込み構造によって強靭になっている。
また、編み込み構造であっても、樹脂製のテープ部材から構成されているため、ガラス基板よりも、軽量化を図ることができる。
従って、強度としなやかさとを両立させた表示装置を提供することができる。換言すれば、軽量で強靭な構成の表示装置を提供することができる。
【0009】
また、基板において、複数の画素による画像が表示される側の面を表示面としたときに、少なくとも編み込みにより表示面側に露出するテープ部材の部分に複数の画素が形成されていることが好ましい。
また、基板には、編み込みによるテープ部材の幅よりも小さい間隙が形成されていることが好ましい。
また、編み込み方は、四つ目編み、または網代編みによって行われていることが好ましい。
また、テープ部材の露出した部分に形成された複数の画素は、テープ部材ごとに表示駆動されることが好ましい。
また、複数の画素は、有機EL素子から構成されていることが好ましい。
【0010】
上記記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【0011】
樹脂からなる複数の帯状のテープ部材を形成する工程と、各テープ部材に、複数の画素を形成する工程と、テープ部材を編み込んで基板を形成する工程と、を含み、基板において、複数の画素による画像が表示される側の面を表示面としたときに、少なくとも編み込みにより表示面側に露出するテープ部材の露出部分に複数の画素が形成されていることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
樹脂板上に複数の画素を所定のパターンで形成する工程と、樹脂板から複数の帯状のテープ部材を切り出す工程と、テープ部材を編み込んで基板を形成する工程と、を含み、基板において、複数の画素による画像が表示される側の面を表示面としたときに、少なくとも編み込みにより表示面側に露出するテープ部材の露出部分に複数の画素が形成されていることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態1に係る表示装置の平面図。
【図2】(a)〜(d)テープ部材の拡大平面図。
【図3】画素回路、および駆動回路を示す回路図。
【図4】図2(a)におけるq−q断面の拡大図。
【図5】製造方法の流れを示したフローチャート図。
【図6】編み込み工程における一態様を示す図。
【図7】実施形態2に係る製造方法の流れ示すフローチャート図。
【図8】大判基板の平面図。
【図9】電子機器としての大型テレビを示す斜視図。
【図10】(a),(b)変形例1に係る、異なる編み込み態様を示す図。
【図11】変形例2に係る表示装置の外観図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部位を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部位の縮尺を実際とは異ならしめてある。
【0014】
(実施形態1)
「表示装置の概要」
図1は、本実施形態に係る表示装置の平面図である。
まず、本発明の実施形態1に係る電気光学装置としての表示装置100の概要について説明する。
表示装置100は、有機EL表示装置であり、その基板には、樹脂からなる複数の帯状のテープ部材を編み込んだ基板30が用いられている。なお、図1は、基板30の構成を解り易くするために、当該図面の大半を当該基板の表層に形成された画素などを透過して描いた透過図としている。
【0015】
表示装置100は、ボトムエミッション型の有機EL表示装置であり、アクティブマトリックス型の複数の画素Pからなる矩形状の表示領域Vを備えている。
表示領域Vにおける各画素Pは、表示領域Vの一部の拡大図であるF部(図1右上の丸で囲った図面)に示すように、長方形をなし、その幅(短辺)は、高さ(長辺)の約1/3に設定されている。また、短辺方向に並ぶ画素配列のことを画素行という、また、長辺側に並ぶ画素配列のことを画素列という。
画素行には、赤色の画素Pr、緑色の画素Pg、青色の画素Pbがこの順番で、かつ、周期的に配列されている。画素列には、最上段の画素行における色調の画素が連続して配列されている。また、画素行において連続する3つの画素Pr、画素Pg、画素Pbにより一つのカラー画素Pcが形成される。なお、画素Pr、画素Pg、画素Pbのことをサブ画素、カラー画素Pcのことを画素と読み替えても良い。また、各画素は、モノクロ表示であっても良い。
ここで、図1を含む各図においては、画素行の延在方向をX軸(横軸)とし、画素列の延在方向をY軸(縦軸)としている。また、表示装置100の厚さ方向(奥行き方向)をZ軸と定義している。
【0016】
基板30は、X軸方向に延在する複数のテープ部材X1〜Xmと、Y軸方向に延在するテープ部材Y1〜Ynとを編み込んで形成されており、表示領域Vは、交差する各テープ部材が編み込まれた部分に形成されている。なお、mおよびnは、自然数である。
複数のテープ部材X1〜Xmは、一端を揃えた状態で、Y軸方向に略等ピッチでストライプ状に配列されている。また、複数のテープ部材Y1〜Ynは、一端を揃えた状態で、X軸方向に略等ピッチでストライプ状に配置されている。
なお、以降の説明において、複数のテープ部材X1〜Xmの総称をテープ部材Xと称する。同様に複数のテープ部材Y1〜Ynの総称をテープ部材Yと称する。また、基板30において複数の画素Pからの表示光が出射される側の面、換言すれば、複数の画素Pによる画像が表示される側の面を表示面と称する。
【0017】
テープ部材Xと、テープ部材Yとは、いわゆる四つ目編みで編み込まれている。ここで、テープ部材X,Yにおいて、編み込みによって表示面側に露出した露出部分を領域aとすると、表示領域Vは、マトリックス状に配置された複数の領域aから構成されている。
例えば、テープ部材X1では、テープ部材Y2,Y4,Y6…と交差する部分が表示面側に露出した領域a12,a14,a16…となる。同様に、テープ部材X2では、テープ部材Y1,Y3,Y5…と交差する部分が表示面側に露出した領域a21,a23,a25…となる。つまり、奇数番のテープ部材Xでは偶数番のテープ部材Yと重なる部分が領域aとなり、偶数番のテープ部材Xでは奇数番のテープ部材Yと重なる部分が領域aとなっている。
また、テープ部材Y1では、テープ部材X1,X3,X5…と交差する部分が表示面側に露出した領域a11,a31,a51…となる。同様に、テープ部材Y2では、テープ部材X2,X4,X6…と交差する部分が表示面側に露出した領域a22,a42,a62…となる。つまり、奇数番のテープ部材Yでは奇数番のテープ部材Xと重なる部分が領域aとなり、偶数番のテープ部材Yでは偶数番のテープ部材Yと重なる部分が領域aとなっている。
【0018】
このように、基板30は、テープ部材Xとテープ部材Yとが1本ずつ交互に編み込まれて形成されており、テープ部材Xにおける領域aとテープ部材Yにおける領域aとが、縦横いずれにおいても交互に現れるように配置されている。
また、詳しくは後述するが、テープ部材X,Yにおいて、画素Pは、領域aのみに選択的に形成されている。換言すれば、交差するテープ部材の背面側となる表示面に露出しない部分には、画素Pが形成されていない。
このように、領域aごとに、複数の画素からなる部分表示領域が形成されており、表示領域Vは、複数の部分表示領域(領域a)が集まって形成されている。換言すれば、表示領域Vは、マトリックス状に配置された領域a11〜領域amnにより構成されている。そして、表示領域Vを構成する複数の画素は、アクティブマトリックス駆動される。
また、テープ部材X,Yの厚さが0.5mm程度であるため、若干の凹凸はあるものの、表示領域Vは略平坦に形成されている。なお、平坦度を向上させるために、表示領域Vを透明な樹脂でコーティングしても良い。また、詳細は後述するが、各領域a間には、編み込みによって若干の間隙が形成されている。
【0019】
テープ部材X,Yにおいて編み込まれていない一端は、表示領域Vから突出して構成されている。この突出した領域のことを張出し部分ともいう。例えば、テープ部材Xにおいては、X軸(−)側の一端が表示領域Vから突出している。同様に、テープ部材Yにおいては、Y軸(+)側の一端が表示領域Vから突出している。
テープ部材X,Yにおける各張出し領域には、領域aの複数の画素を表示駆動するための駆動回路が形成されている。また、各張出し領域は、フレキシブル基板61,62に接続されており、当該フレキシブル基板から画像信号や、駆動タイミング信号などを含む駆動信号が、各テープ部材X,Yに供給される構成となっている。詳しくは、テープ部材Xの張出し領域にはフレキシブル基板62が接続され、また、テープ部材Yの張出し領域にはフレキシブル基板61が接続されている。なお、フレキシブル基板61,62は、例えば、画像信号を供給する外部機器に接続されている。
【0020】
「テープ部材の構成」
図2(a)〜(d)は、テープ部材の拡大平面図である。図3は、画素回路、および駆動回路を示す回路図である。
続いて、基板30を構成するテープ部材X,Yの構成、および回路構成について説明する。
【0021】
図2(a)は、テープ部材X1の拡大平面図である。
テープ部材X1には、走査線駆動回路71、データ線駆動回路72、配線部73,74、複数の領域aなどが形成されている。複数の領域aは、編み込んだときに、表示面側に露出する部分に領域a12、領域a14…というように一定間隔で形成されている。また、テープ部材X1の延在方向と、各領域aにおける画素行の延在方向とが一致している。換言すれば、テープ部材X1の延在方向と、画素Pの短辺方向とが一致している。
走査線駆動回路71、およびデータ線駆動回路72と、複数の領域aとの間は、配線部73,74により接続されている。
図3は、走査線駆動回路71、およびデータ線駆動回路72と、領域a12における複数の画素回路6との配線関係を示す回路図である。なお、画素回路6は、領域a12を構成する複数の画素Pをそれぞれ表示駆動するための画素回路であり、画素Pごとに形成されている。
【0022】
画素回路6は、画素を選択するためのスイッチングTFT(Thin Film Transistor)であるトランジスターTR1と、有機EL層9に電流を流すための駆動用TFTであるトランジスターTR2と、保持容量Cなどから構成されている。
トランジスターTR1のゲート端子には、走査線SLが接続されており、ソース端子には、データ線DLが接続されている。
トランジスターTR1のドレイン端子には、トランジスターTR2のゲート端子と、保持容量Cの一端が接続されている。
トランジスターTR2のソース端子と、保持容量Cの他端とは、高電源電位が供給されているVDDラインに接続されている。そして、トランジスターTR2のドレイン端子は、画素電極7に接続されている。
また、画素電極7と、共通電極10との間には、有機EL層9が配置されている。また、共通電極10は、アースラインに接続されている。
【0023】
配線部73,74は、複数の配線が配置された配線領域である。配線部74には、複数の走査線SLが含まれており、走査線駆動回路71と各画素回路6とを接続している。また、配線部73には、複数のデータ線DLが含まれており、データ線駆動回路72と各画素回路6とを接続している。なお、VDDラインおよびアースラインも、配線部73、または配線部74に含まれている。
走査線駆動回路71、およびデータ線駆動回路72には、フレキシブル基板61,62(図1)からの画像信号に基づいたタイミング信号、および画像内容を規定したデータ信号が供給される。
走査線駆動回路71は、シフトレジスターや出力バッファー(いずれも図示せず)を含んで構成され、フレキシブル基板61,62(図1)からのタイミング信号に基づき、複数の走査線SLに順次走査信号を供給する。
データ線駆動回路72は、シフトレジスターやラッチ回路(いずれも図示せず)を含んで構成され、外部機器からのタイミング信号、およびデータ信号に基づき、複数のデータ線DLにデータ信号を供給する。
【0024】
このように形成された画素回路6において、走査信号によって選択されたトランジスターTR1はオンし、データ信号がトランジスターTR2に供給される。これにより、トランジスターTR2がオンし、VDDラインから有機EL層9にデータ信号の電圧に応じた電流が流れ、発光層から表示光が放射される。また、トランジスターTR2がオンするのと並行して、保持容量Cにデータ信号が保持されるため、容量に応じた時間、発光が維持される。
【0025】
図2に戻る。
図2(b)は、テープ部材X2の拡大平面図である。
テープ部材X2にも、テープ部材X1と同様に、走査線駆動回路71、データ線駆動回路72、配線部73,74、複数の領域aなどが形成されている。
テープ部材X2は、複数の領域aのレイアウトがテープ部材X1と異なる。その他の構成は、テープ部材X1と同様である。詳しくは、テープ部材X2における領域a21、領域a23…は、テープ部材X1における配線部73,74が形成されている部分に形成されている。換言すれば、テープ部材X1とテープ部材X2とを端部を揃えて並べたときに、領域a12、領域a14…と、領域a21、領域a23…とが、テープ部材の延在方向に沿ってジグザク状となるような配置関係となっている。
また、ここでは、テープ部材X1と、テープ部材X2とを事例として説明したが、奇数番のテープ部材Xは、テープ部材X1と同じ構成となる。同様に、偶数番のテープ部材Xは、テープ部材X2と同じ構成となる。
このような構成を持つ複数の奇数番のテープ部材Xと、複数の偶数番のテープ部材Xとを図1のように、端部を揃えてY軸方向に交互に並べると、複数の領域aがチェック状に配置されることになる。
【0026】
図2(c)は、テープ部材Y1の拡大平面図である。なお、当該図面においては、図2(a)との比較のため、テープ部材Y1を図1の配置態様から反時計回りに90°回転させた状態としている。
テープ部材Y1にも、テープ部材X1と同様に、走査線駆動回路71、データ線駆動回路72、配線部73,74、複数の領域aなどが形成されている。
テープ部材Y1は、複数の領域aのレイアウトと、領域a内の画素レイアウトとが、テープ部材X1と異なる。その他の構成は、テープ部材X1と同様である。詳しくは、テープ部材Y1では、その延在方向と、各領域aにおける画素行の延在方向とが交差している。換言すれば、テープ部材Y1の延在方向と、画素Pの長辺方向とが一致している。
これは、テープ部材Y(1)とテープ部材Xとを編み込んだときに、図1に示すように、領域a11,a31…における画素レイアウトが、テープ部材Xにおける画素レイアウトと同じになるようにするためである。換言すれば、編み込み後のテープ部材Y(1)の画素Pの長辺方向と、テープ部材Xの画素Pの長辺方向とが、一致するように形成されている。
また、詳しくは後述するが、走査線駆動回路71、およびデータ線駆動回路72による領域a11,a31…の駆動方向は、X軸(−)方向からX軸(+)方向、かつ、Y軸(+)方向からY軸(−)方向に表示駆動される。
【0027】
図2(d)は、テープ部材Y2の拡大平面図である。
テープ部材Y2にも、テープ部材Y1と同様に、走査線駆動回路71、データ線駆動回路72、配線部73,74、複数の領域aなどが形成されている。
テープ部材Y2は、複数の領域aのレイアウトがテープ部材Y1と異なる。その他の構成は、テープ部材Y1と同様である。
詳しくは、テープ部材Y2における領域a12、領域a32…は、テープ部材Y1における配線部73,74が形成されている部分に形成されている。換言すれば、テープ部材Y1とテープ部材Y2とを端部を揃えて並べたときに、領域a11、領域a31…と、領域a12、領域a32…とが、テープ部材の延在方向に沿ってジグザク状となるような配置関係となっている。
また、ここでは、テープ部材Y1と、テープ部材Y2とを事例として説明したが、奇数番のテープ部材Yは、テープ部材Y1と同じ構成となる。同様に、偶数番のテープ部材Yは、テープ部材Y2と同じ構成となる。
このような構成を持つ複数の奇数番のテープ部材Yと、複数の偶数番のテープ部材Yとを図1のように、端部を揃えてX軸方向に交互に並べると、複数の領域aがチェック状に配置されることになる。
【0028】
そして、複数のテープ部材Xとテープ部材Yとを四つ目編みすることにより、図1の表示領域Vが形成される。換言すれば、複数のテープ部材Xの配列におけるチェック状の複数の領域aと、複数のテープ部材Yの配列におけるチェック状の複数の領域aとが、編み込みによって表示面に露出することにより、表示領域Vが形成される。換言すれば、複数のテープ部材Xの配列におけるチェック状の複数の領域aと、複数のテープ部材Yの配列におけるチェック状の複数の領域aとは、補完関係となっている。
また、表示領域Vの駆動方向は、図1において、X軸(−)方向からX軸(+)方向、かつ、Y軸(+)方向からY軸(−)方向であるため、テープ部材X,Yにおける駆動方向も、これに順じたものとなっている。
詳しくは、テープ部材Xでは、その延在方向、かつ、後段のテープ部材X方向へ走査駆動される。また、テープ部材Yでは、テープ部材の幅方向、かつ、テープ部材の延在方向へ走査駆動される。
つまり、テープ部材Yにおける駆動方向は、テープ部材Xにおける駆動方向を反時計回りに90°回転させたものとなっている。
【0029】
「有機EL素子の構成」
図4は、図2(a)におけるq−q断面の拡大図である。
ここでは、テープ部材の領域における断面構成、換言すれば、有機EL素子の構成について説明する。
図4において、テープ部材X1は、素子基板1、保護層2、素子層3、平坦化層4、絶縁層5、画素電極7、隔壁8、電気光学層としての有機EL層9、共通電極10、封止層11、バリア層12などから構成されている。
【0030】
素子基板1は、透明な樹脂からなる基板である。本実施形態では、好適例として、厚さが約500μmのポリカーボネート樹脂製のフィルムを用いている。なお、この厚さに限定するものではなく、編み込みに必要な強度としなやかさとを確保できる厚さであれば良い。詳しくは、50μm〜1000μmの範囲内であれば良い。
また、ポリカーボネート樹脂に限定するものではなく、透明で軽量な樹脂基板であれば良い。例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ノルボルネン樹脂、フッ素樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂などをもちいることができる。また、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンスルホン(PES)、ポリオレフィン(PO)、ポリイミド(PI)、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセチレート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレートなどのセルロースエステル類とそれら誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン類、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、ナイロン、ポリメチルメタクリエート、アクリル、ポリアリレート、有機無機ハイブリッド樹脂であっても良い。
【0031】
保護層2は、素子基板1上に形成されたSiO2、またはSi34からなる下地層である。
素子層3は、前述の画素回路6(図3)を含む回路素子層であり、例えば、転写法によって保護層2上に形成されている。なお、転写法に限定するものではなく、素子基板1上に素子層3を形成可能な方法であれば良い。また、テープ部材の張出し領域における素子層3には、走査線駆動回路、データ線駆動回路が形成されている。なお、これらの回路は、素子層3とは別に、張出し領域に表面実装される構成であっても良い。
また、素子層3における保護層2側には、平面的に後述の隔壁8と重なるように、黒色の遮光層が形成されている。換言すれば、素子層3の保護層2側には、ブラックマトリックスが形成されている。
素子層3の上層(Z軸(+)方向)には、例えば、アクリル樹脂などからなる絶縁層である平坦化層4が形成されている。平坦化層4の上層には、SiO2、またはSi34からなる絶縁層5が形成されている。
画素電極7は、ITO(Indium Tin Oxide)や、ZnOなどの透明電極から構成されており、画素ごとに区画されて配置されている。画素電極7は、素子層3のトランジスターTR2のドレイン端子と平坦化層4を貫通するコンタクトホールにより画素ごとに接続されている。
【0032】
隔壁8は、光硬化性の黒色樹脂などから構成され、平面的に各画素を格子状に区画している。なお、素子層3におけるトランジスターTR2を含む画素回路は、光による誤動作を防止するために、平面的に隔壁と重なるように配置されている。
有機EL層9は、各画素において、それぞれ隔壁8に囲まれた領域内に選択的に配置されている。また、図4では1層で示されているが、実際は、それぞれが有機物の薄膜からなる正孔注入層、正孔輸送層、発光層などから構成されており、画素電極7上にこの順番に積層されている。
なお、好適例としては、隔壁8の高さを1μm〜3μmの範囲内とし、有機EL層9の厚さを0.05μm〜0.2μmの範囲内に設定する。
【0033】
本実施形態では、好適例として、高分子材料を用いたインクジェット法による3色塗り分け方式によって、赤、緑、青の各色の有機EL層9r,9g,9bを形成している。例えば、青色の有機EL層9bにおいては、正孔注入層としてPEDOT/PSSを用い、正孔輸送層としてTFBを用い、発光層としてポリフルオレン誘導体を用いる。また、赤、および緑色の有機EL層9r,9gにおいては、赤、または緑色を発する高分子材料が、それぞれ用いられる。
なお、この積層構造に限定するものではなく、例えば、上記構成から、正孔輸送層を省略した構成であっても良い。または、発光層と共通電極10との間に電子輸送層を備えた構成であっても良い。そして、発光層と電子輸送層との間に、さらに正孔阻止層を備えた構成であっても良い。また、高分子材料に限定するものではなく、低分子材料を用いても良い。この場合、蒸着法を用いて、赤、緑、青の各色の有機EL層9r,9g,9bを形成する。
【0034】
共通電極10は、陰極であり、MgAgなどの金属からなる金属電極である。なお、本実施形態では、図4において点線で示したように、平面的に隔壁8で区画された保護層2から共通電極10までの積層構造を有機EL素子(画素)としている。なお、図4では、代表として赤色画素のみを点線で囲って示しているが、緑、青の画素においても、同様に有機EL素子(画素)が形成される。
封止層11は、紫外線硬化型、または熱硬化型の樹脂からなる封止層である。例えば、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系などの樹脂を用いることができる。封止層11は、封止性を高めるために、厚手に形成することが好ましく、製造方法としては、バーコータを用いたスクリーン印刷法や、ディスペンス法などが好適である。
バリア層12は、アルミニウム、クロム、金、ニオブ、タンタル、チタンなどの金属からなり、有機EL層9への水分の浸入を防止するバリア層である。なお、金属に限定するものではなく、特に、水分へのバリア性が確保できれば良く、例えば、SiO2や、Si34であっても良い。
【0035】
このように構成された各画素からは、素子基板1を透過して、有機EL層9の色調に対応した表示光が出射されるため、表示領域Vには、複数のカラー画素からの表示光によりフルカラーの画像が表示されることになる。
なお、ボトムエミッション型に限定するものではなく、共通電極10側から光を出射するトップエミッション型であっても良い。また、無機ELを光源として備えた無機EL表示装置であっても良い。
【0036】
「製造方法の概要」
図5は、本実施形態に係る表示装置の製造方法の流れを示したフローチャートである。
ここでは、上述の構成を備えた表示装置100の製造方法について、図5のフローチャートに沿って説明する。
【0037】
ステップS1では、大判のポリカーボネートフィルムからテープ部材を帯状に切り出し、各テープ部材に保護層2、および素子層3を形成する。なお、保護層2の形成は、スパッタ法、またはプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いる。また、素子層3は、転写法を用いて形成する。
ステップS2では、テープ部材上に、有機EL層9を含む各層を形成する。換言すれば、テープ部材上に、画素を形成する。
まず、平坦化層4、隔壁8、封止層11は、スピンコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ダイコート法、ディスペンス法、スクリーン印刷法、フォトリソ法などを用いて形成することができる。また、これらの方法を組み合せても良い。
また、絶縁層5、画素電極7、共通電極10、バリア層12は、スパッタ法、プラズマCVD法、フォトリソ法などを用いて形成することができる。また、これらの方法を組み合せても良い。
【0038】
有機EL層9bの成膜方法は、下記の通りである。
画素電極7上にポリスチレンスルフォン酸にポリチオフェン誘導体である3,4-ポリエチレンジオキシチオフェンを分散させ、さらにこれを水に分散させたPEDOT/PSSをスピンコート法にて成膜して、50nmの正孔注入層を形成する。
ポリ(2,7−(9,9−ジ−n−オクチルフルオレン)−(1,4−フェニレン−((4−メチルフェニル)イミノ)1,4−フェニレン−((4−メチルフェニル)イミノ−1,4−フェニレン)(TFB)をキシレン溶液に溶解した溶液を正孔注入層上に、インクジェット法で塗布し、その後、窒素雰囲気下において180℃、1時間で加熱を行い20nmの正孔輸送層を形成する。
正孔輸送層上に、青色発光のポリフルオレン誘導体をインクジェット法で塗布した後、窒素雰囲気下において、100℃で30分加熱して、60nmの発光層を形成した。
なお、赤、および緑色の有機EL層9r,9gにおいては、赤、または緑色を発する高分子材料を用いて、同様に有機機能層が形成される。
【0039】
ステップS3では、複数のテープ部材Xとテープ部材Yとを編み込んで、基板30を形成する。換言すれば、複数のテープ部材Xとテープ部材Yとを四つ目編みする。これにより、表示面に露出したテープ部材X,Yの領域a11〜amnによる表示領域Vが形成される。また、編み込みは、好適例として、専用の編み込み装置を用いて行う。なお、専用の編み込み装置に限定するものではなく、人手によって編み込んでも良い。
ステップS4では、フレキシブル基板61,62を取り付ける実装工程を含む仕上げ処理が行われる。なお、当該処理に、表示領域Vの平坦度を高めるための透明樹脂のコーティング処理が含まれていても良い。
【0040】
図6(a),(b)は、編み込み工程における一態様を示す図である。
図6(a)に示すように、ステップS3の編み込み工程においては、各テープ部材間に、テープ部材X,Yの幅Wよりも小さな間隙Gが形成されるように編み込みを行う。換言すれば、編み込まれた基板30には、編み込みにより、テープ部材X,Yの幅Wよりも小さい間隙Gが形成されている。この間隙Gの大きさによって、基板30の可撓性(強靭度合)を調整することができる。詳しくは、間隙Gが小さい程、テープ部材X,Yが一体化されて基板30の強度が増す。反対に、間隙Gが大きくなる程、各テープ部材X,Yにおける動きの自由度が増すことになる。
つまり、編み込み設定における間隙Gの調整により、所期の可撓性(強靭度合)を有する基板30を形成することができる。
【0041】
また、テープ部材X,Yの幅は、表示装置100のサイズに応じて異なるが、編み込み性、および領域aの大きさのバランスを考慮すると、幅Wは、2mm以上であることが好ましい。なお、テープ部材X,Yの幅が異なっていても良い。
また、編み込みは、テープ部材Xと、テープ部材Yとが略直交する構成に限定するものではなく、傾斜していても良い。例えば、図6(b)に示すように、テープ部材YがY軸に対して傾斜した状態で編み込まれていても良い。また、テープ部材XがX軸に対して傾斜した状態となっていても良い。
【0042】
上述した通り、本実施形態に係る表示装置100、およびその製造方法によれば、以下の効果を得ることができる。
表示装置100の基板30は、樹脂からなる複数の帯状のテープ部材X,Yを編み込んで形成されているため、一枚板の樹脂基板よりも、編み込み構造によって強靭になっている。また、編み込み構造であっても、樹脂製のテープ部材から構成されているため、ガラス基板よりも、軽量化を図ることができる。
従って、強度としなやかさとを両立させた表示装置100を提供することができる。換言すれば、軽量で強靭な構成の表示装置100を提供することができる。
【0043】
本実施形態の製造方法によれば、ステップS1で帯状のテープ部材を形成した後、ステップS2ではテープ部材上に画素を形成する。そして、ステップS3において専用の編み込み装置によりテープ部材X,Yを編み込んで、基板30を形成している。
よって、効率的に基板30を形成することができる。
従って、編み込み基板を備えた表示装置100を効率的に製造することが可能な製造方法を提供することができる。
特に、ステップS3の編み込み工程では、各テープ部材間に、テープ部材の幅Wよりも小さな間隙Gが形成されるように編み込みを行う。この間隙Gの大きさによって、基板30の可撓性(強靭度合)を調整することができる。
よって、編み込み設定における間隙Gの調整により、所期の可撓性(強靭度合)を有する基板30を形成することができる。
従って、所望の強靭度合を有する表示装置100を提供することができる。
【0044】
(実施形態2)
図7は、本実施形態に係る製造方法の流れ示すフローチャートであり、図5に対応している。図8は、大判基板の平面図であり、図2に対応している。
以下、本発明の実施形態2に係る製造方法について、図7および図8を用いて説明する。本実施形態における製造方法は、テープ部材X,Yの形成方法が実施形態1の製造方法と異なる。それ以外は、表示装置100(基板30)の完成態様を含み、実施形態1の製造方法と同様である。
詳しくは、1枚の樹脂板からなる大判基板50の状態で全てのテープ部材を形成した後、当該大判基板から各テープ部材を切り出して、テープ部材X,Yを形成する。換言すれば、全てのテープ部材が面付けされた大判基板50から各テープ部材を切り出して、テープ部材X,Yを形成する。
ここでは、実施形態1における説明と重複する部分は省略し、テープ部材X,Yの形成方法を中心に説明する。また、同一の構成部位については同一の番号を附して説明する。
【0045】
ステップS11では、樹脂板としての大判基板50上に、複数の画素を所定のパターンで形成する。詳しくは、図8に示すように、上方から奇数番のテープ部材X1,X3…、偶数番のテープ部材X2,X4…、奇数番のテープ部材Y1,Y3…、偶数番のテープ部材Y2,Y4…という順番における各領域aに対応して複数の画素を形成する。また、図8では、走査線駆動回路、データ線駆動回路、および配線部を省略しているが、これらの回路および配線も、大判基板50上に形成される。換言すれば、大判基板50の状態で、全てのテープ部材X,Yが作り込まれる。なお、所定のパターンは、この順番に限定するものではなく、全てのテープ部材X,Yを含むパターンであれば良い。なお、複数の画素、回路および配線の形成方法は、実施形態1で説明した方法を適応することができる。
ステップS12では、大判基板50から全てのテープ部材X,Yを切り出す。換言すれば、大判基板50に形成された複数のテープ部材X,Yをそれぞれ単品に切り離す。なお、切り出し(切断)は、ダイヤモンドカッターなどのカッターや、トムソン型を用いた切断、またはプレス型を用いたプレス加工などによって行うことができる。
【0046】
ステップS13は、図5で説明したステップS3と同様である。詳しくは、複数のテープ部材Xとテープ部材Yとを編み込んで、基板30を形成する。
ステップS14は、図5で説明したステップS4と同様である。詳しくは、フレキシブル基板61,62を取り付ける実装工程を含む仕上げ処理が行われる。
【0047】
上述した通り、本実施形態によれば、実施形態1における効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
本実施形態の製造方法によれば、1枚の樹脂板からなる大判基板50の状態で、全てのテープ部材X,Yを作り込むため製造効率が良い。
よって、効率的に基板30を形成することができる。
従って、編み込み基板を備えた表示装置100を効率的に製造することが可能な製造方法を提供することができる。
【0048】
(電子機器)
図9は、上述の表示装置を搭載した大型テレビを示す斜視図である。
上述した表示装置100は、例えば、電子機器としての大型テレビ200に搭載して用いることができる。
大型テレビ200は、例えば、画面サイズが42インチの表示装置100を表示画面として備えている。大型テレビ200は、不図示のリモコンによって遠隔操作可能に設けられており、当該リモコンの操作によって、様々なチャンネルの画像を表示装置100に表示する。
表示装置100は、自発光の有機EL表示装置であるため、バックライトなどの光源を必要とする液晶表示装置よりも、薄く構成されている。
さらに、表示装置100は、ガラス基板よりも軽量で強靭な編み込み基板30(図1)を用いて構成されているため、大型テレビ200をより薄型で軽量に構成することができる。また、耐衝撃性に優れた大型テレビ200とすることができる。
従って、薄型かつ軽量で、耐衝撃性に優れた大型テレビ200を提供することができる。
【0049】
また、大型テレビに限定するものではなく、表示部を備えた電子機器であれば良く、例えば、モニターや、ノート型パソコンに適用しても良い。また、携帯電話や、カーナビゲーションシステム用の表示装置、PDA(Personal Digital Assistants)、モバイルコンピューター、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、車載機器、オーディオ機器などの各種電子機器に用いることができる。
【0050】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
【0051】
(変形例1)
図10(a),(b)は、変形例1に係る、異なる編み込み態様を示す図である。
上記各実施形態では、編み込み工程における編み込み方法は、四つ目編みであるものとして説明したが、これに限定するものではなく、密に編み込める編み方であれば良い。
例えば、図10(a)に示すように、編み込み方法として、網代編みを用いることであっても良い。なお、網代編みは、テープ部材YをX軸方向に詰めて配列し、テープ部材Xを複数本のテープ部材Yごとに飛び越して編み込むとともに、Y軸方向においては、網目が一つずつシフトする(ズレる)ように編み込む方法である。テープ部材Yの飛び越し本数に応じて、2本飛びや、3本飛びの網代編みと言い、図10(a)は、3本飛びの網代編みの態様を示している。
【0052】
また、図10(b)に示すように、編み込み方法として、ござ目編みを用いることであっても良い。なお、ござ目編みは、テープ部材YをX軸方向に間隙(スキマ)を空けて等間隔で配列した状態で、Y軸方向に詰めて配列したテープ部材Xを編み込む方法である。編み込み方は、四つ目編みと同じである。
なお、これらの編み込み方法を用いた場合も、実施形態1での説明と同様に編み込みによって表面に露出する部分を領域aとして、当該領域に選択的に画素を形成することが好ましい。
これらの編み込み方法を用いた場合であっても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、表示装置の仕様やデザインによって、表示領域Vに編み込みによるスキマが生じてもよければ、六つ目編み、麻の葉編み、亀甲編み、方締め編みなどの編み込み方法を用いても良く、これらの編み込み方法であっても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0053】
(変形例2)
図11は、変形例2に係る表示装置の外観図である。
上記各実施形態および変形例では、編み込み基板は平板状であるものとして説明したが、これに限定するものではなく、立体形状であっても良い。
例えば、図11に示すように、基板を半球状に編み込むことによって、半球状の表示装置150を形成することができる。なお、図11では、好適例として形状追従性の良い2本飛びの網代編みを用いて、基板を編み込んでいる。なお、半球状に限定するものではなく、例えば、円筒形状や、円錐形状であっても良い。
このように、形状追従性および形状保持性に優れた編み込み基板を用いることにより、立体形状の表示装置を実現することができる。
また、表示装置に限定するものではなく、例えば、照明装置に適用しても良い。この場合、領域aを単色発光のパッシブ型の一つの発光画素として構成することが好ましい。編み込み基板を照明装置に適応することにより、照明装置を円筒形状、円錐形状、または球状にすることができるため、デザイン性に富んだ照明装置を提供することができる。
【0054】
(変形例3)
図1を用いて説明する。
上記各実施形態および変形例では、表示装置100は、アクティブマトリックス型であるものとして説明したが、パッシブ(単純)マトリックス型であっても良い。
この場合、画素回路6(図3)は不要となり、有機EL層を走査電極とデータ電極とで挟持する構成となる。なお、走査電極とデータ電極とは、平面視において格子状になるように、交差する方向にそれぞれ延在して形成される。
また、上記各実施形態および変形例では、表示装置100は、有機EL表示装置であるものとして説明したが、これに限定するものではない。例えば、無機EL表示装置であっても良いし、電気泳動表示装置であっても良い。
これらの構成であっても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0055】
9…有機EL層、30…基板、50…樹脂板としての大判基板、100,150…電気光学装置としての表示装置、200…電子機器としての大型テレビ、a…テープ部材の露出部分としての領域、G…間隙、P…画素、W…テープ部材の幅、X,Y…テープ部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された複数の画素と、を少なくとも備え、
前記基板は、樹脂からなる複数の帯状のテープ部材を編み込んで形成されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記基板において、前記複数の画素による画像が表示される側の面を表示面としたときに、
少なくとも前記編み込みにより前記表示面側に露出する前記テープ部材の部分に前記複数の画素が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記基板には、前記編み込みによる前記テープ部材の幅よりも小さい間隙が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記編み込み方は、四つ目編み、または網代編みによって行われていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記テープ部材の前記露出した部分に形成された前記複数の画素は、前記テープ部材ごとに表示駆動されることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記複数の画素は、有機EL素子から構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
樹脂からなる複数の帯状のテープ部材を形成する工程と、
各前記テープ部材に、複数の画素を形成する工程と、
前記テープ部材を編み込んで基板を形成する工程と、を含み、
前記基板において、前記複数の画素による画像が表示される側の面を表示面としたときに、少なくとも前記編み込みにより前記表示面側に露出する前記テープ部材の露出部分に前記複数の画素が形成されていることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項9】
樹脂板上に複数の画素を所定のパターンで形成する工程と、
前記樹脂板から複数の帯状のテープ部材を切り出す工程と、
前記テープ部材を編み込んで基板を形成する工程と、を含み、
前記基板において、前記複数の画素による画像が表示される側の面を表示面としたときに、少なくとも前記編み込みにより前記表示面側に露出する前記テープ部材の露出部分に前記複数の画素が形成されていることを特徴とする電気光学装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−256594(P2010−256594A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106045(P2009−106045)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】