説明

電気光学装置、その駆動方法および電子機器

【課題】電気光学素子の動作の遅延を軽減する。
【解決手段】駆動トランジスタTDRは、ゲート電極に供給されるデータ信号Siに応じて駆動電流IDRを生成および遮断する。電気光学素子Eは、駆動トランジスタTDRからノードNを経て供給される駆動電流IDRに応じた階調となる。容量素子Cは、第1電極E1とノードNに接続された第2電極E2とを含む。制御部42は、データ信号Siがローレベルからハイレベルに変化することを契機として、電気光学素子Eに印加される電圧を低下させる方向に第1電極E1の電位を変動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学素子を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図17に示すように、有機発光ダイオード素子などの電気光学素子Eの制御にトランジスタ(以下「駆動トランジスタ」という)TDRを利用した電気光学装置が従来から提案されている(例えば特許文献1)。駆動トランジスタTDRのゲート電極には図18のデータ信号Sが供給される。データ信号Sがローレベルに遷移して駆動トランジスタTDRが導通状態に変化すると、駆動トランジスタTDRを通過した駆動電流IDRが供給されて電気光学素子Eは発光する。データ信号Sがハイレベルに遷移すると駆動トランジスタTDRが非導通状態に変化するから、駆動電流IDRの供給が停止して電気光学素子Eは消灯する。
【特許文献1】特開2006−95812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図17に破線で図示されるように、等価回路的にみると電気光学素子Eには容量が付随するから、駆動電流IDRの電流値はデータ信号Sの変動から遅延した時点で目標値に到達する。したがって、電気光学素子Eの発光強度Lは、図18に示すようにデータ信号Sがローレベルに変化した時点ta1から時間長TR0だけ遅延した時点で目標値L0に到達し、データ信号Sがハイレベルに変化した時点tb1から時間長TF0だけ遅延した時点でゼロとなる。電気光学素子Eの消灯時には駆動トランジスタTDRがオフ状態に変化することで電気光学素子Eの陽極がハイインピーダンス状態となるから、駆動電流IDRの電流値の低下が遅延する(さらには電気光学素子Eの消灯の時期が遅延する)という問題は特に深刻化する。
【0004】
なお、電気光学素子Eを画素に利用した表示装置において電気光学素子Eの発光の単位となる時間長(例えば水平走査期間)は数十msec程度である。これに対し、露光装置の光源に電気光学素子Eを利用した電子写真方式の画像形成装置において電気光学素子Eの発光の単位となる時間長は10μsec程度であるから、電気光学素子Eの動作の遅延は特に顕著な問題となる。以上の事情に鑑みて、本発明は、電気光学素子の動作の遅延を軽減するという課題の解決を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明のひとつの態様に係る電気光学装置は、ゲート電極に供給されるデータ信号がオン電位である場合に駆動電流を生成するとともにオフ電位である場合に駆動電流の生成を停止する駆動トランジスタと、駆動トランジスタからノードを経て供給される駆動電流に応じた階調となる電気光学素子と、第1電極とノードに接続された第2電極とを含む容量素子と、データ信号がオン電位からオフ電位に変化することを契機として、電気光学素子に印加される電圧を低下させる方向に第1電極の電位を変動させる制御手段(例えば制御部42)とを具備する。データ信号のオン電位とは駆動トランジスタを導通状態(オン状態)に変化させる電位であり、オフ電位とは駆動トランジスタを非導通状態(オフ状態)に変化させる電位である。
【0006】
以上の形態によれば、データ信号がオン電位からオフ電位に変化することを契機として第1電極の電位が変動するから、電気光学素子に印加される電圧の低下がデータ信号に応じて促進される。したがって、図17の構成と比較して電気光学素子を迅速に消灯させることができる。
【0007】
本発明の好適な態様において、制御手段は、データ信号がオフ電位からオン電位に変化することを契機として、電気光学素子に供給される電圧を上昇させる方向に第1電極の電位を変動させる。以上の態様によれば、データ信号がオフ電位からオン電位に変化することを契機として第1電極の電位が変動するから、電気光学素子に印加される電圧の上昇がデータ信号に応じて促進される。したがって、図17の構成と比較して電気光学素子を迅速に発光させることができる。
【0008】
本発明の好適な態様において、制御手段は、データ信号の電位の変化から遅延した時点で第1電極の電位を変動させる。以上の態様によれば、駆動トランジスタの動作から遅延した時点で第1電極の電位が変動するから、駆動トランジスタがオン状態およびオフ状態の一方から他方に変動している最中に第1電極の電位が変動する事態は有効に回避される。したがって、電気光学素子の動作の迅速化という効果を確実に得ることが可能となる。制御手段の典型例は、データ信号のレベルを反転させて第1電極に供給するインバータである。
【0009】
本発明の好適な態様に係る電気光学装置は、制御手段が第1電極の電位を変動させたときのノードの電位の変動を所定の電位までの範囲に制限する変動制限手段をさらに具備する。変動制限手段の典型例は、ノードと所定の電位が供給される配線との間に介挿されたダイオードである。以上の態様によれば、電気光学素子の動作後におけるノードの電位が所期値に均一化されるから、電気光学素子の次回の発光を所期の時期から開始させることが可能となる。
さらに好適な態様において、電気光学素子は、両端間の電圧が閾値電圧を上回ると発光する発光素子であり、所定の電位(例えば図12や図13の電位VLMT)は、当該電位がノードに供給されたときに閾値電圧と同等の電圧が電気光学素子に印加されるように選定される。以上の態様によれば、閾値電圧と同等の電圧が電気光学素子に印加されるように電気光学素子の動作後におけるノードの電位が設定されるから、次回の駆動前に電気光学素子の電圧を閾値電圧まで変化させる期間が削減される。したがって、電気光学素子をいっそう迅速に動作させることが可能である。
【0010】
本発明の具体的な態様において、第1電極と第2電極とは、駆動トランジスタを構成する導電体と同層から形成される。以上の態様によれば、第1電極や第2電極が駆動トランジスタとは別個に形成された構成と比較して製造工程が簡素化されるという利点がある。
例えば、駆動トランジスタは、ゲート絶縁層を挟んでゲート電極に対向する半導体層を含み、第1電極および第2電極の一方は半導体層と同層から形成され、第1電極および第2電極の他方はゲート電極と同層から形成され、第1電極と第2電極との間にはゲート絶縁層が介在する(例えば図7参照)。以上の態様によれば、充分に薄く形成されたゲート絶縁層を挟んで第1電極と第2電極とが対向するから、容量素子を容易に大容量化することが可能である。
また、別の態様において、第1電極および第2電極とは平行配線容量を形成する。例えば、第1電極と第2電極とは、各々が形成された基板に垂直な方向からみて相互に重なり合わない(例えば図8参照)。以上の態様によれば、第1電極と第2電極とが基板に垂直な方向に短絡する不具合が有効に防止されるという利点がある。
【0011】
本発明に係る電気光学装置は各種の電子機器に利用される。本発明に係る電子機器の典型例は、以上の各態様に係る電気光学装置を感光体ドラムなどの像担持体の露光に利用した電子写真方式の画像形成装置である。ひとつの形態に係る画像形成装置は、露光によって潜像が形成される像担持体(例えば感光体ドラム)と、像担持体を露光する本発明の電気光学装置と、像担持体の潜像に対する現像剤(例えばトナー)の付加によって顕像を形成する現像器とを含む。
【0012】
もっとも、本発明に係る電気光学装置の用途は像担持体の露光に限定されない。例えば、スキャナなどの画像読取装置においては、本発明に係る電気光学装置を原稿の照明に利用することが可能である。この画像読取装置は、以上の各態様に係る電気光学装置と、電気光学装置から出射して読取対象(原稿)で反射した光を電気信号に変換する受光装置(例えばCCD(Charge Coupled Device)素子などの受光素子)とを具備する。
【0013】
さらに、電気光学素子がマトリクス状に配列された電気光学装置は、パーソナルコンピュータや携帯電話機など各種の電子機器の表示装置としても利用される。なお、表示装置に利用される電気光学素子の発光の単位となる時間長と比較すると、画像形成装置に利用される電気光学素子の発光の単位となる時間長は一般的に短い。したがって、電気光学素子の動作が迅速化される以上の各態様に係る電気光学装置は、電子写真方式の画像形成装置における露光装置の光源として特に好適に採用される。
【0014】
以上の各態様に係る電気光学装置を駆動する方法としても本発明は特定される。本発明のひとつの態様に係る駆動方法は、ゲート電極に供給されるデータ信号がオン電位である場合に駆動電流を生成するとともにオフ電位である場合に駆動電流の生成を停止する駆動トランジスタと、駆動トランジスタからノードを経て供給される駆動電流に応じた階調となる電気光学素子と、第1電極とノードに接続された第2電極とを含む容量素子とを具備する電気光学装置を駆動する方法であって、データ信号をオン電位またはオフ電位に設定することで電気光学素子を駆動する一方、データ信号をオン電位からオフ電位に変化させることを契機として、電気光学素子に印加される電圧を低下させる方向に第1電極の電位を変動させる。以上の駆動方法によっても、本発明に係る電気光学装置と同様の作用および効果が奏される。
【0015】
さらに、以上の各態様に係る電気光学装置に使用される回路としても本発明は特定される。本発明のひとつの態様に係る駆動回路(例えば図1の駆動回路40)は、ノードを経て供給される駆動電流に応じた階調となる電気光学素子を駆動する回路であって、ゲート電極に供給されるデータ信号がオン電位である場合に駆動電流を生成するとともにオフ電位である場合に駆動電流の生成を停止する駆動トランジスタと、第1電極とノードに接続された第2電極とを含む容量素子と、データ信号がオン電位からオフ電位に変化することを契機として、電気光学素子に印加される電圧を低下させる方向に第1電極の電位を変動させる制御手段とを具備する。以上の駆動回路によっても、本発明に係る電気光学装置と同様の作用および効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
<A:第1実施形態>
<A−1:電気光学装置の構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。電気光学装置100は、電子写真方式の画像形成装置において感光体ドラムを露光する露光装置(ラインヘッド)として利用される。図1に示すように、電気光学装置100は、素子部20と制御回路30と駆動回路40とが平板状の基板10に配置された構造となっている。
【0017】
素子部20は、主走査方向に沿って直線状に配列するn個の電気光学素子Eを含む(nは自然数)。電気光学素子Eは、相互に対向する陽極と陰極との間に有機EL(Electroluminescence)材料の発光層が介在する有機発光ダイオード素子である。なお、n個の電気光学素子Eを複数列(例えば2列かつ千鳥状)に配列した構成も採用される。
【0018】
制御回路30は、データ信号S1〜Snを出力する回路である。データ信号Si(iは1≦i≦nを満たす整数)は、第i番目の電気光学素子Eについて発光または消灯を指示する2値の電圧信号である。制御回路30は、ひとつまたは複数のICチップで構成されてもよいし、各電気光学素子Eとともに基板10の表面に形成された多数の能動素子(例えば半導体層が低温ポリシリコンで形成された薄膜トランジスタ)で構成されてもよい。
【0019】
駆動回路40は、各々が別個の電気光学素子Eに対応するn個の単位回路Uを含む。制御回路30が出力したデータ信号Siはデータ線32を介して第i段目の単位回路Uに供給される。第i段目の単位回路Uは、データ信号Siに応じて生成した駆動電流IDRの供給によって第i番目の電気光学素子Eを駆動する。各単位回路Uが電気光学素子Eを選択的に発光させることで感光体ドラムの表面には所望の潜像が形成される。
【0020】
図2は、各単位回路Uの具体的な構成を示す回路図である。同図においては第i段目に位置するひとつの単位回路Uが代表的に図示されている。図2に示すように、素子部20の各電気光学素子Eは、陽極側電位線11と陰極側電位線12とを連結する経路上に配置され、当該経路上の電流(以下「駆動電流」という)IDRの電流値に応じた強度(光度)で発光する。陽極側電位線11には陽極側電位VELが供給される。陰極側電位線12には、陽極側電位VELよりも低位の陰極側電位VCTが供給される。
【0021】
図2に示すように、単位回路Uは、駆動トランジスタTDRと容量素子Cと制御部42とを含む。駆動トランジスタTDRは、駆動電流IDRの経路上(陽極側電位線11と電気光学素子Eの陽極との間)に配置されたPチャネル型の薄膜トランジスタである。制御回路30が出力したデータ信号Siは駆動トランジスタTDRのゲート電極に供給される。
【0022】
駆動トランジスタTDRは、飽和領域で動作し、ゲート電極の電位(データ信号Siの電位)に応じた電流値の駆動電流IDRを生成する定電流源として機能する。データ信号Siがローレベルに遷移すると駆動トランジスタTDRは導通状態に変化する。したがって、駆動電流IDRが陽極側電位線11から駆動トランジスタTDRを経由して電気光学素子Eに供給され、これによって電気光学素子Eは発光する。一方、データ信号Siがハイレベルに遷移すると駆動トランジスタTDRは非導通状態に変化して駆動電流IDRの経路が遮断される。したがって、電気光学素子Eに対する駆動電流IDRの供給は停止して電気光学素子Eは消灯する。
【0023】
容量素子Cは、第1電極E1と第2電極E2とを含む。第2電極E2は、駆動トランジスタTDRから電気光学素子Eに供給される駆動電流IDRの経路上にあるノードN(電気光学素子Eの陽極と駆動トランジスタTDRのドレイン電極との接続点)に対して電気的に接続される。
【0024】
制御部42は、第1電極E1の電位をデータ信号Siに応じて制御する手段である。本形態の制御部42はひとつのインバータ421で構成される。インバータ421の入力端は駆動トランジスタTDRのゲート電極およびデータ線32に接続される。インバータ421の出力端は容量素子Cの第1電極E1に接続される。したがって、第1電極E1には、データ信号Siのレベルを反転した電位V1が供給される。
【0025】
<A−2:電気光学装置の動作>
次に、図3を参照しながら単位回路Uの動作を説明する。同図においては、時点ta1から時点tb1までの期間にてデータ信号Siをローレベルに設定した場合が例示されている。データ信号Siがローレベルを維持する時間長は、第i番目の電気光学素子Eに指定された階調に応じて制御される(パルス幅変調による階調制御)。なお、図3においては、図17の構成における発光強度Lの変遷が本形態との対比のために破線で併記されている。
【0026】
データ信号Siが時点ta1にてハイレベルからローレベルに遷移すると、駆動トランジスタTDRが導通状態に変化する。電気光学素子Eやこれに接続された配線には容量が付随するから、駆動電流IDRは、駆動トランジスタTDRが導通状態に変化した時点ta1から徐々に上昇していく。したがって、電気光学素子Eの発光強度Lは、時点ta1と同時に目標値L0に到達するわけではなく、図3に示すように時点ta1から時間の経過とともに徐々に上昇していく。なお、ノードNには容量素子Cが付加されているから、時点ta1から時点ta2までの区間においては、電気光学素子Eの発光強度Lは、図17の構成と比較して低速に(すなわち図18よりも緩やかな曲線に沿って)上昇する。
【0027】
図3に示すように、第1電極E1の電位V1は、データ信号Siがローレベルに遷移する時点ta1から時間長Δ1(インバータ421の遅延時間)だけ遅延した時点ta2にてローレベルからハイレベルに遷移する。第2電極E2は第1電極E1とともに容量素子Cを構成するから、電位V1がローレベルからハイレベルに遷移すると、第2電極E2に接続されたノードN(電気光学素子Eの陽極)の電位V2も電位V1の変動量に応じて上昇する。したがって、電気光学素子Eの発光強度Lは、時点ta1から時点ta2までの期間内よりも急峻に上昇して目標値L0に到達する。以上のように電気光学素子Eの発光強度Lの上昇が制御部42によって増進されるから、本形態において時点ta1から電気光学素子Eの発光強度Lが目標値L0に到達するまでの時間長TRは、図17の構成における時間長TR0よりも短縮される。
【0028】
次に、データ信号Siが時点tb1にてローレベルからハイレベルに遷移して駆動トランジスタTDRが非導通状態に変化すると、駆動電流IDRは、電気光学素子Eの電気的な特性に起因して時点tb1から低下し始める。したがって、電気光学素子Eの発光強度Lは、図3に示すように時点tb1から時間の経過とともに徐々に低下していく。なお、ノードNには容量素子Cが付加されているから、時点tb1から時点tb2までの区間においては、電気光学素子Eの発光強度Lは、図17の構成と比較して低速に(すなわち図18よりも緩やかな曲線に沿って)低下する。
【0029】
時点tb1においてデータ信号Siがハイレベルに遷移すると、第1電極E1の電位V1は、図3に示すように、時点tb1から時間長Δ2(=Δ1)だけ遅延した時点tb2にてハイレベルからローレベルに遷移する。ノードN(電気光学素子Eの陽極)は第1電極E1と容量的に結合しているから、ノードの電位V2は電位V1の変動量に応じて低下する。したがって、電気光学素子Eの発光強度Lは、時点tb1から時点tb2までの期間内よりも急峻に低下してゼロに到達する。以上のように電気光学素子Eの発光強度Lの低下が制御部42によって増進されるから、本形態において時点tb1から電気光学素子Eの発光強度Lがゼロに低下するまでの時間長TFは、図17の構成における時間長TF0よりも短縮される。
【0030】
以上に説明したように、本形態によれば、電気光学素子Eに印加される電圧(電位V2)の変動がデータ信号Siに応じて促進されるから、図17の構成と比較して電気光学素子Eを迅速に発光および消灯させることが可能となる。なお、駆動トランジスタTDRが非導通状態に変化する消灯時においては電気光学素子Eの陽極がハイインピーダンス状態となるから、図17の構成のもとでは電気光学素子Eの消灯が顕著に遅延する。したがって、電気光学素子Eの動作が迅速化されるという本形態の効果は、電気光学素子Eの消灯時に特に有効である。
【0031】
ところで、例えばデータ信号Siがハイレベルに遷移する時点tb1と同時に第1電極E1の電位V1がローレベルに変化するとすれば、駆動トランジスタTDRが未だ導通状態にある段階で電位V2が変動する可能性がある。しかし、駆動トランジスタTDRが導通状態にある段階では電位V2の低下が抑制されるから、電気光学素子Eの消灯が迅速化されるという効果は減殺される。これに対して本形態の制御部42は、インバータ421の動作遅延を積極的に利用することで、データ信号Siのレベルが変化する時点tb1から時間長Δ2だけ遅延した時点tb2で第1電極E1の電位V1を変動させるから、電気光学素子Eの陽極の電位V2は、データ信号Siに応じて駆動トランジスタTDRが完全に非導通状態に変化した段階で低下する。したがって、電位V2は充分に低下するから、電気光学素子Eの消灯を迅速化するという効果を確実に得ることができる。
【0032】
電気光学素子Eの消灯を迅速化するための構成としては、図4に例示されるように、電気光学素子Eの陽極と陰極との電気的な接続をデータ信号Siに応じて制御するトランジスタTSWが配置された構成も考えられる。同図の構成においては、電気光学素子Eの消灯に際してデータ信号Siがローレベルからハイレベルに遷移すると、駆動トランジスタTDRが非導通状態に変化することで駆動電流IDRの供給が停止するとともに、トランジスタTSWが導通状態に変化することで陽極と陰極とが短絡して電気光学素子Eは消灯する。
【0033】
図4の構成においては、電気光学素子Eの消灯時にトランジスタTSWを確実に導通させるために、データ信号Siの振幅を電気光学素子Eの特性(動作点)に応じて充分に確保する必要がある。しかし、大振幅のデータ信号Siを生成するためには制御回路30の大規模化が不可欠であり、さらには制御回路30にて消費される電力が増大するという問題もある。これに対し、本形態においてデータ信号Siに必要な振幅は図4の構成と比較して低減されるから、制御回路30の規模を縮小するとともに消費電力を低減できるという利点がある。
【0034】
なお、駆動トランジスタTDRの導電型は任意である。例えば、Nチャネル型の駆動トランジスタTDRを採用する場合には、図5に示すように、電気光学素子Eの陽極と陰極との関係や陽極側電位線11と陰極側電位線12との関係を図2の構成から逆転させればよい。図5の構成において、電気光学素子Eの発光時には、データ信号Siがハイレベルに遷移したことを契機として制御部42が第1電極E1の電位V1を低下させるから、ノードN(電気光学素子Eの陰極)の電位V2が低下して電気光学素子Eの発光強度Lは迅速に目標値L0に到達する。一方、電気光学素子Eの消灯時には、データ信号Siがローレベルに遷移したことを契機として制御部42が電位V1を上昇させるから、電位V2の上昇によって電気光学素子Eの発光強度Lは迅速にゼロに到達する。図5の構成によっても図2の構成と同様の効果が奏される。
【0035】
<A−3:単位回路Uの具体的な構造>
次に、図2に例示した単位回路Uの具体的な構造を説明する。図6は、単位回路Uの具体的な構造を示す平面図およびa−a線における断面図である。図6に示すように、駆動トランジスタTDRは、基板10の表面に半導体材料(例えば低温ポリシリコン)で形成された半導体層431と、ゲート絶縁層F1を挟んで半導体層431(チャネル領域)に対向するゲート電極432とを含む薄膜トランジスタである。ゲート電極432は、データ線32から延在した部分に相当する。
【0036】
ゲート絶縁層F1の面上には配線45が形成される。配線45とゲート電極432(データ線32)とは、単一の導電膜の選択的な除去によって一括的に形成される。なお、配線45とゲート電極432との関係のように、複数の要素が共通の膜体(単層であるか複数層であるかは不問である)の選択的な除去によって同一の工程で形成されることを以下では単に「同層から形成される」と表記する。配線45は、電気光学素子Eの陽極に接続される。
【0037】
配線45とゲート電極432とは絶縁層F2に覆われる。絶縁層F2の面上には陽極側電位線11と配線46とが同層から形成される。陽極側電位線11は半導体層431のソース領域に導通して駆動トランジスタTDRのソース電極として機能する。配線46は半導体層431のドレイン領域に導通して駆動トランジスタTDRのドレイン電極として機能する。また、配線46は配線45に導通する。すなわち、駆動トランジスタTDRのドレイン領域は、配線46と配線45とを介して電気光学素子Eの陽極に接続される。
【0038】
制御部42のインバータ421は、図6に示すようにPチャネル型のトランジスタTPとNチャネル型のトランジスタTNとから構成される。トランジスタTPおよびTNの構造は駆動トランジスタTDRと同様である。データ線32から延在して駆動トランジスタTDRのゲート電極432に至る配線の途中の部分がトランジスタTPおよびTNの各々のゲート電極(インバータ421の入力端)となる。
【0039】
図6に示すように、絶縁層F2の面上には、電源線16と接地線17と配線47とが陽極側電位線11や配線46と同層から形成される。電源電位VDDが供給される電源線16はトランジスタTPのソース領域に接続され、接地電位VSSが供給される接地線17はトランジスタTNのソース領域に接続される。配線47(インバータ421の出力端)は、トランジスタTPおよびTNの各々のドレイン領域に接続される。
【0040】
配線47は第1電極E1を含み、配線45は第2電極E2を含む。図6の断面図に示すように、第1電極E1と第2電極E2とが絶縁層F2を挟んで対向することで容量素子Cが構成される。以上のように駆動トランジスタTDRを構成する各要素と第1電極E1および第2電極E2とが同層から形成される構成によれば、各々が別層から形成される構成と比較して、製造工程の簡素化や製造コストの低減が実現されるという利点がある。
【0041】
なお、図7に示すように、インバータ421のトランジスタTPにおける半導体層に連続するように第1電極E1が形成された構成としてもよい。配線45の第2電極E2がゲート絶縁層F1を挟んで第1電極E1に対向することで容量素子Cが構成される。ゲート絶縁層F1は絶縁層F2と比較して充分に薄い寸法であるから、図7の構成によれば、第1電極E1と第2電極E2との間に絶縁層F2が介在する図6の構成と比較して、第1電極E1と第2電極E2とが充分に近接した状態に形成される。したがって、図7の構成によれば、図6の構成と比較して容量素子Cの小型化と大容量化とが容易に両立されるという利点がある。
【0042】
また、図8に示すように、配線47の第1電極E1と配線45の第2電極E2とが平行配線容量を形成する構成としてもよい。すなわち、図8の断面図に示すように、第1電極E1は第2電極E2の斜め上方に位置し、両電極は基板10に垂直な方向からみて相互に重なり合わない。図8の構成によれば、絶縁層F2に欠陥が存在する場合であっても第1電極E1と第2電極E2との短絡が回避されるという利点がある。
【0043】
<B:第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の各形態において作用や機能が第1実施形態と同様である要素については、以上と同じ符号を付して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0044】
図9は、ノードNの電位V2とデータ信号Siや電位V1との関係を示すタイミングチャートである。第1実施形態の構成のもとで電気光学素子Eの消灯時(時点tb2)に第1電極E1の電位V1を低下させると、図9に破線で示すように、ノードNの電位V2が、陰極側電位VCTを下回る電位VLまで低下する場合がある。以上の構成において、駆動トランジスタTDRの動作の時期と電位V1を低下させる時期とに単位回路Uごとの相違があると、電気光学素子Eの消灯後(次回の点灯の開始時)の電位V2(電位VL)が電気光学素子Eごとに相違する。したがって、各電気光学素子Eが発光し始める時期(ひいては各電気光学素子Eの階調)にバラツキが発生する可能性がある。以上の問題を解決するために、本形態の電気光学装置100は、ノードNの電位V2の変動を所定の範囲に制限する構成を採用する。
【0045】
図10は、単位回路Uの構成を示す回路図である。同図に示すように、本形態の単位回路UはダイオードDを含む。ダイオードDの陽極は陰極側電位線12(電気光学素子Eの陰極)に接続される。ダイオードDの陰極はノードN(電気光学素子Eの陽極)に接続される。以上の構成において、電気光学素子Eの消灯時にノードNの電位V2が低下して電位VCTを下回ると、ダイオードDが導通状態に変化してノードNと陰極側電位線12とが電気的に接続される。したがって、図9に示すように、電気光学素子Eの消灯後の電位V2は電位VCTに維持される。
【0046】
以上のように本形態においては電位V2が電位VCTを下限値とする範囲内に制限されるから、各電気光学素子Eが発光を開始する時点における電位V2は陰極側電位VCTに均一化される。したがって、各電気光学素子Eの階調のムラを抑制することが可能である。
【0047】
なお、図11に示すように図5の単位回路UにダイオードDを追加してもよい。駆動トランジスタTDRをNチャネル型とした構成においては、ダイオードDの陰極が陽極側電位線11(電気光学素子Eの陽極)に接続されるとともに陽極がノードN(電気光学素子Eの陰極)に接続される。図11の構成においては、電気光学素子Eの消灯時にノードNの電位V2が上昇して陽極側電位VELを上回るとダイオードDが導通状態に変化する。したがって、電気光学素子Eの消灯時の電位V2は陽極側電位VELに維持される。
【0048】
<C:第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第2実施形態においては、陰極側電位VCTが供給される陰極側電位線12とノードNとの間にダイオードDが介挿された構成を例示した。これに対して本形態においては、図12に示すように、ノードNと配線14との間にダイオードDが介挿される。配線14には電位VLMTが供給される。電位VLMTは、陰極側電位VCTと電気光学素子Eの閾値電圧VTHとの加算値に相当する電位である。電気光学素子Eは、陽極と陰極との間の電圧が閾値電圧VTHを上回ると発光する。
【0049】
以上の構成において、電気光学素子Eの消灯時に電位V2が低下して電位VLMTを下回ると、ダイオードDが導通状態に変化してノードNと配線14とが電気的に接続されるから、電気光学素子Eの消灯後の電位V2は電位VLMTに維持される。したがって、本形態においても第2実施形態と同様の効果が奏される。
【0050】
ところで、電気光学素子Eの消灯後に電位V2が陰極側電位VCTに設定される第2実施形態においては、駆動トランジスタTDRが導通状態に変化してから電位V2が閾値電圧VTHだけ上昇した段階で電気光学素子Eが実際に発光し始める。これに対し、本形態における電位VLMTは陰極側電位VCTと閾値電圧VTHとを加算した電位であるから、発光が開始する直前(例えば図3の時点ta1の直前)における電気光学素子Eの陽極と陰極との間の電圧は閾値電圧VTHに設定される。したがって、駆動トランジスタTDRが導通状態に変化した直後から速やかに電気光学素子Eを実際に発光させることができる。
【0051】
なお、図13に示すように、図5の単位回路UにダイオードDと配線14とを追加してもよい。駆動トランジスタTDRをNチャネル型とした構成においては、ダイオードDの陰極が配線14に接続されるとともに陽極がノードN(電気光学素子Eの陰極)に接続される。配線14には、陽極側電位VELと閾値電圧VTHとの差分値に相当する電位VLMTが供給される。ノードNの電位V2が電位VLMTを上回るとダイオードDが導通状態に変化して配線14とノードNとが電気的に接続されるから、各電気光学素子Eの消灯後において電気光学素子Eの陽極と陰極との間の電圧は閾値電圧VTHに設定される。
【0052】
<D:第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図14は、単位回路Uの構成を示す回路図である。同図に示すように、本形態の単位回路Uにおける制御部42は、図2のインバータ421の後段(インバータ421の出力端と第1電極E1との間)にインバータ422を含む。また、駆動トランジスタTDRは、図2とは逆導電型のNチャネル型である。
【0053】
図14の構成におけるデータ信号Siは、図2の構成とは逆に、ハイレベルによって電気光学素子Eの発光を指示するとともにローレベルによって電気光学素子Eの消灯を指示する。電気光学素子Eの発光時にデータ信号Siがハイレベルに遷移すると第1電極E1の電位V1はローレベルからハイレベルに変動するから、ノードNの電位V2は上昇して電気光学素子Eの発光強度Lは迅速に目標値L0に到達する。一方、電気光学素子Eの消灯時にデータ信号Siがローレベルに遷移すると電位V2は電位V1に連動して低下するから、電気光学素子Eの発光強度Lは迅速にゼロに到達する。すなわち、第1実施形態と同様の効果が奏される。
【0054】
さらに、本形態においては、直列に接続された2個のインバータ421および422によって制御部42が構成されるから、図2の構成と比較して、データ信号Siの変動から電位V1や電位V2の変動までの時間(例えば図3の時間Δ1やΔ2)が充分に確保される。したがって、駆動トランジスタTDRが導通状態にある段階で制御部42が電位V2を変動させるという事態を確実に回避することが可能である。なお、図15に示すように、図5の制御部42にインバータ422を追加するとともに駆動トランジスタTDRをPチャネル型とした構成も採用される。
【0055】
<E:変形例>
以上の各形態には様々な変形を加えることができる。具体的な変形の態様を例示すれば以下の通りである。なお、以下の各態様を適宜に組み合わせてもよい。
【0056】
(1)変形例1
図6から図8においては、基板10の表面に直接的に形成された薄膜トランジスタで単位回路Uの駆動トランジスタTDRやインバータ421が構成される形態を例示したが、各単位回路UがICチップ(制御回路30と一体でも別体でもよい)の形態で基板10に実装された構成も採用される。
【0057】
(2)変形例2
以上の各形態においてはデータ信号Siのパルス幅に応じて電気光学素子Eの発光量(潜像の階調)が制御される構成を例示したが、この構成に代えてまたはこの構成とともに、データ信号Siのレベル(電流値)に応じて電気光学素子Eの発光量が制御される構成も採用される。
【0058】
(3)変形例3
以上においては制御部42がインバータ(421,422)で構成された形態を例示したが、制御部42の具体的な態様は適宜に変更される。例えば、図14や図15におけるインバータ421および422に代えて、駆動トランジスタTDRのゲート電極(データ線32)と容量素子Cの第1電極E1との間に介挿された抵抗素子を制御部42として利用してもよい。抵抗素子を利用した構成においても、データ信号Siの変動から遅延した時点で第1電極E1の電位V1が変化するから、以上の各形態と同様の効果が奏される。以上のように、本発明のひとつの形態に係る制御部42は、データ信号Siの変動を契機として第1電極E1の電位V1を変動させる手段であれば足りる。
【0059】
(4)変形例4
有機発光ダイオード素子は電気光学素子の例示に過ぎない。例えば、無機EL素子やLED(Light Emitting Diode)素子など様々な電気光学素子を以上の各形態における有機発光ダイオード素子に代えて採用することが可能である。すなわち、本発明における電気光学素子は、電気エネルギの供給(例えば駆動電流IDRの供給)によって輝度や光量などの光学的な特性が変化する素子である。
【0060】
<F:応用例>
本発明に係る電気光学装置を利用した電子機器(画像形成装置)の具体的な形態を説明する。
図16は、以上の形態に係る電気光学装置100を採用した画像形成装置の構成を示す断面図である。画像形成装置は、タンデム型のフルカラー画像形成装置であり、以上の形態に係る4個の電気光学装置100(100K,100C,100M,100Y)と、各電気光学装置100に対応する4個の感光体ドラム70(70K,70C,70M,70Y)とを具備する。ひとつの電気光学装置100は、これに対応した感光体ドラム70の像形成面(外周面)と対向するように配置される。なお、各符号の添字「K」「C」「M」「Y」は、黒(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の各顕像の形成に利用されることを意味している。
【0061】
図16に示すように、駆動ローラ711と従動ローラ712とには無端の中間転写ベルト72が巻回される。4個の感光体ドラム70は、相互に所定の間隔をあけて中間転写ベルト72の周囲に配置される。各感光体ドラム70は、中間転写ベルト72の駆動に同期して回転する。
【0062】
各感光体ドラム70の周囲には、電気光学装置100のほかにコロナ帯電器731(731K,731C,731M,731Y)と現像器732(732K,732C,732M,732Y)とが配置される。コロナ帯電器731は、これに対応する感光体ドラム70の像形成面を一様に帯電させる。この帯電した像形成面を各電気光学装置100が露光することで静電潜像が形成される。各現像器732は、静電潜像に現像剤(トナー)を付着させることで感光体ドラム70に顕像(可視像)を形成する。
【0063】
以上のように感光体ドラム70に形成された各色(黒・シアン・マゼンタ・イエロー)の顕像が中間転写ベルト72の表面に順次に転写(一次転写)されることでフルカラーの顕像が形成される。中間転写ベルト72の内側には4個の一次転写コロトロン(転写器)74(74K,74C,74M,74Y)が配置される。各一次転写コロトロン74は、これに対応する感光体ドラム70から顕像を静電的に吸引することによって、感光体ドラム70と一次転写コロトロン74との間隙を通過する中間転写ベルト72に顕像を転写する。
【0064】
シート(記録材)75は、ピックアップローラ761によって給紙カセット762から1枚ずつ給送され、中間転写ベルト72と二次転写ローラ77との間のニップに搬送される。中間転写ベルト72の表面に形成されたフルカラーの顕像は、二次転写ローラ77によってシート75の片面に転写(二次転写)され、定着ローラ対78を通過することでシート75に定着される。排紙ローラ対79は、以上の工程を経て顕像が定着されたシート75を排出する。
【0065】
以上に例示した画像形成装置は有機発光ダイオード素子を光源(露光手段)として利用しているので、レーザ走査光学系を利用した構成よりも装置が小型化される。なお、以上に例示した以外の構成の画像形成装置にも電気光学装置100を適用することができる。例えば、ロータリ現像式の画像形成装置や、中間転写ベルトを使用せずに感光体ドラムからシートに対して直接的に顕像を転写するタイプの画像形成装置、あるいはモノクロの画像を形成する画像形成装置にも電気光学装置100を利用することが可能である。
【0066】
なお、電気光学装置100の用途は像担持体の露光に限定されない。例えば、電気光学装置100は、原稿などの読取対象に光を照射する照明装置として画像読取装置に採用される。この種の画像読取装置としては、スキャナ、複写機やファクシミリの読取部分、バーコードリーダ、あるいはQRコード(登録商標)のような二次元画像コードを読む二次元画像コードリーダがある。
【0067】
また、電気光学素子Eがマトリクス状に配列された電気光学装置は、各種の電子機器の表示装置としても利用される。本発明が適用される電子機器としては、例えば、可搬型のパーソナルコンピュータ、携帯電話機、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器などがある。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ひとつの単位回路の構成を示す回路図である。
【図3】単位回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図4】対比例の構成を示す回路図である。
【図5】第1実施形態の変形例に係る単位回路の構成を示す回路図である。
【図6】単位回路の具体的な構造を示す平面図および断面図である。
【図7】単位回路の他の構造を示す平面図および断面図である。
【図8】単位回路の他の構造を示す平面図および断面図である。
【図9】第2実施形態に係る単位回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図10】第2実施形態に係る単位回路の構成を示す回路図である。
【図11】第2実施形態の変形例に係る単位回路の構成を示す回路図である。
【図12】第3実施形態に係る単位回路の構成を示す回路図である。
【図13】第3実施形態の変形例に係る単位回路の構成を示す回路図である。
【図14】第4実施形態に係る単位回路の構成を示す回路図である。
【図15】第4実施形態の変形例に係る単位回路の構成を示す回路図である。
【図16】電子機器のひとつの形態(画像形成装置)を示す断面図である。
【図17】従来の電気光学装置における単位回路の構成を示す回路図である。
【図18】従来の単位回路の動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0069】
100……電気光学装置、10……基板、20……素子部20、E……電気光学素子E、30……制御回路30、32……データ線32、40……駆動回路40、U……単位回路U、TDR……駆動トランジスタTDR、C……容量素子C、E1……第1電極E1、E2……第2電極E2、42……制御部42、421,422……インバータ421、11,12……電位供給線、IDR……駆動電流、Si(S1〜Sn)……データ信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート電極に供給されるデータ信号がオン電位である場合に駆動電流を生成するとともにオフ電位である場合に駆動電流の生成を停止する駆動トランジスタと、
前記駆動トランジスタからノードを経て供給される駆動電流に応じた階調となる電気光学素子と、
第1電極と前記ノードに接続された第2電極とを含む容量素子と、
データ信号がオン電位からオフ電位に変化することを契機として、前記電気光学素子に印加される電圧を低下させる方向に前記第1電極の電位を変動させる制御手段と
を具備する電気光学装置。
【請求項2】
前記制御手段は、データ信号がオフ電位からオン電位に変化することを契機として、前記電気光学素子に供給される電圧を上昇させる方向に前記第1電極の電位を変動させる
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記制御手段は、データ信号の電位の変化から遅延した時点で前記第1電極の電位を変動させる
請求項1または請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記制御手段は、データ信号のレベルを反転させて前記第1電極に供給するインバータを含む
請求項1から請求項3の何れかに記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記制御手段が前記第1電極の電位を変動させたときの前記ノードの電位の変動を所定の電位までの範囲に制限する変動制限手段
を具備する請求項1から請求項4の何れかに記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記電気光学素子は、両端間の電圧が閾値電圧を上回ると発光する発光素子であり、
前記所定の電位は、当該電位が前記ノードに供給されたときに前記閾値電圧と同等の電圧が前記電気光学素子に印加されるように選定される
請求項5に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記変動制限手段は、前記ノードと前記所定の電位が供給される配線との間に介挿されたダイオードである
請求項5または請求項6に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記第1電極と前記第2電極とは、前記駆動トランジスタを構成する導電体と同層から形成される
請求項1から請求項7の何れかに記載の電気光学装置。
【請求項9】
前記駆動トランジスタは、ゲート絶縁層を挟んで前記ゲート電極に対向する半導体層を含み、
前記第1電極および前記第2電極の一方は前記半導体層と同層から形成され、前記第1電極および前記第2電極の他方は前記ゲート電極と同層から形成され、前記第1電極と前記第2電極との間には前記ゲート絶縁層が介在する
請求項8に記載の電気光学装置。
【請求項10】
前記第1電極と前記第2電極とは平行配線容量を形成する
請求項8に記載の電気光学装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10の何れかに記載の電気光学装置を具備する電子機器。
【請求項12】
ゲート電極に供給されるデータ信号がオン電位である場合に駆動電流を生成するとともにオフ電位である場合に駆動電流の生成を停止する駆動トランジスタと、前記駆動トランジスタからノードを経て供給される駆動電流に応じた階調となる電気光学素子と、第1電極と前記ノードに接続された第2電極とを含む容量素子とを具備する電気光学装置を駆動する方法であって、
前記データ信号をオン電位またはオフ電位に設定することで前記電気光学素子を駆動する一方、
データ信号をオン電位からオフ電位に変化させることを契機として、前記電気光学素子に印加される電圧を低下させる方向に前記第1電極の電位を変動させる
電気光学装置の駆動方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−80607(P2008−80607A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−262312(P2006−262312)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】