電気光学装置、その駆動方法および電子機器
【課題】複数のサブフィールド毎に画素をオンまたはオフ状態として中間階調を表示する際に、画素の応答特性が変動しても、表示品位に及ぼす影響を小さく抑える。
【解決手段】フレームをサブフィールドsf1〜sf16に分割する。このうち、第1類のサブフィールド(sf1、sf5、sf9、sf13)が他のサブフィールドの幅よりも短い。取得した応答特性データによって低速応答であることが示されたとき、第1類のサブフィールドの幅を通常時よりも長くする。第2類のサブフィールド(sf2、sf6、sf10、sf14)の幅および第3類のサブフィールド(sf3、sf7、sf11、sf13)の幅についても通常時よりも長くするが、第4類のサブフィールド(sf4、sf8、sf12、sf16)の幅については反対に短くする。
【解決手段】フレームをサブフィールドsf1〜sf16に分割する。このうち、第1類のサブフィールド(sf1、sf5、sf9、sf13)が他のサブフィールドの幅よりも短い。取得した応答特性データによって低速応答であることが示されたとき、第1類のサブフィールドの幅を通常時よりも長くする。第2類のサブフィールド(sf2、sf6、sf10、sf14)の幅および第3類のサブフィールド(sf3、sf7、sf11、sf13)の幅についても通常時よりも長くするが、第4類のサブフィールド(sf4、sf8、sf12、sf16)の幅については反対に短くする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームを複数に分割したサブフィールドの各々において、画素をオンまたはオフ状態とすることにより階調を表現する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶素子や有機EL素子などの表示素子を画素として有する電気光学装置において階調表示を行う際に、次のような技術が提案されている。すなわち、フレーム(フィールド)を分割した複数のサブフィールド毎に画素(表示素子)をオンまたはオフ状態とし、フレームにおいてオンまたはオフ状態とする時間の割合を変化させることによって中間階調を表示する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−148417号公報(図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画素の応答特性は、温度や個体差などによってばらつきやすいので、各階調レベルの指示に対して実際に表現される特性が変動し、表示品位に悪影響を与えやすい、といった問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、複数のサブフィールド毎に画素をオンまたはオフ状態として中間階調を表示する際に、画素の応答特性が変動しても、表示品位に及ぼす影響を小さく抑えた技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る電気光学装置の駆動方法は、フレームを複数のサブフィールドに、少なくとも一のサブフィールドの幅が他のサブフィールドの幅よりも短くなるように分割し、複数の画素の各々を、前記サブフィールド毎に、それぞれオン状態またはオフ状態のいずれかとして階調を表現するとともに、表現する階調数が、フレームを構成するサブフィールド個数よりも多い電気光学装置の駆動方法であって、前記画素の応答特性を示す応答特性データを取得し、前記応答特性データによって前記画素の応答が遅くなったことが示されたとき、前記複数のサブフィールドのうち、前記一のサブフィールドの幅を長くなるように設定することを特徴とする。本発明によれば、画素の応答が低くなったとき、一のサブフィールドの幅が長くなるので、これに応じて他のサブフィールドの幅も変更される。このため、画素の応答特性が変動しても、表示品位に及ぼす影響を小さく抑えることが可能となる。
【0006】
本発明において、前記一のサブフィールドの幅を、取得した応答特性データで示される応答特性にしたがって前記画素を、当該一のサブフィールドにわたってオン状態とし、他のサブフィールドにわたってオフ状態としたときの光学状態、または当該一のサブフィールドにわたってオフ状態とし、他のサブフィールドにわたってオン状態としたときの光学状態に基づいて決定することが好ましい。このようにすると、一のサブフィールドの幅が、画素の応答特性を反映して変化するので、表示品位に及ぼす影響をより小さく抑えることが可能となる。
また、取得した応答特性データによって前記画素の応答が遅くなったことが示されたときに、前記複数のサブフィールドのうち、前記一のサブフィールドを除いたサブフィールドのいずれかの幅を短くなるように設定しても良い。
なお、本発明は、電気光学装置の駆動方法のほか、電気光学装置や、当該電気光学装置を有する電子機器としても概念することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態が適用される電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図2】同電気光学装置における表示パネルの構成を示す図である。
【図3】同電気光学装置におけるフレームの構成を示す図である。
【図4】同電気光学装置におけるサブフィールド幅決定処理を示す図である。
【図5】同電気光学装置においてサブフィールド幅の決定を説明するための図である。
【図6】同電気光学装置の応答特性とサブフィールドの幅との関係を示す図である。
【図7】階調レベルとサブフィールドにおけるオンオフとの対応関係を示す図である。
【図8】同走査線駆動回路により選択される走査線の時間的推移を示す図である。
【図9】同電気光学装置における走査線駆動回路の動作を示す図である。
【図10】同電気光学装置を適用したプロジェクターの光学的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、実施形態に係る電気光学装置の全体構成を示すブロック図である。
この図に示されるように、電気光学装置10は、表示制御回路20、フレームメモリー30、データ変換回路40および表示パネル100を含み、表示制御回路20が各部を制御する構成となっている。
表示パネル100は、例えばアクティブ・マトリクス型であって、透過型のノーマリーホワイトモードの液晶表示パネルであり、画素毎に透過率を変調した透過像を生成する。
【0009】
説明の便宜上、表示パネル100の構成について図2を参照して説明する。この図に示されるように、表示パネル100において表示領域101では、1、2、3、…、768行の走査線112が図において横方向に延在するように設けられ、また、1、2、3、…、1024列のデータ線114が図において縦方向に延在するように、かつ、各走査線112と互いに電気的に絶縁を保つように設けられている。
そして、768行の走査線112と1024列のデータ線114との交点のそれぞれに対応して、画素110がそれぞれ配設されている。したがって、本実施形態では、表示領域101において画素110が縦768行×横1024列でマトリクス状に配列することになる。
【0010】
表示領域101の周辺には、走査線駆動回路130とデータ線駆動回路140とがそれぞれ配置する。
このうち、走査線駆動回路130は、表示制御回路20から供給されるアドレス信号Ayによって指定された走査線を選択し、当該走査線への走査信号を選択電圧に相当するH
レベルとし、他の走査線への走査信号を非選択電圧に相当するLレベルとする一種のアドレスデコーダである。なお、1、2、3、…、768行目の走査線112に供給される走査信号をそれぞれG1、G2、G3、…、G768と表記している。
一方、データ線駆動回路140は、1〜1024列目のデータ線114に、それぞれデータビットDbに応じたデータ信号を供給する。なお、1、2、3、…、1024列目の
データ線114に供給されるデータ信号を、それぞれd1、d2、d3、…、d1024と表記
している。
【0011】
画素110は、詳細については特に図示はしないが、画素電極とコモン電極とで液晶を挟持した周知の液晶素子を有し、走査線112が選択されたときに、データ線114に供給されたデータ信号が画素電極に印加されるものである。なお、本実施形態において、データ信号は、データビットの「1」に応じたオンレベルと、「0」に応じたオフレベルとのいずれかであり、ノーマリーホワイトモードであるから、画素電極にオンレベルが印加されたときにオン状態(暗状態)となる一方、オフレベルが印加されたときにオフ状態(明状態)となる。また、画素110としては、データビットに応じてオンまたはオフ状態の二値表示を行うものであれば、後述するように種々のタイプが適用可能である。
【0012】
本実施形態では画素110がオン状態とオフ状態との2通りしか取り得ない。このため、本実施形態では、単位期間であるフレームを複数のサブフィールドに分割するとともに、サブフィールド毎に画素110をオン状態またはオフ状態のいずれかに制御し、フレームにわたってオン状態(オフ状態)が占める期間の割合を変化させることによって、階調を表現する。
ここで、フレームとは、表示パネル100を駆動することによって画像1コマ分を階調表示させるために要する期間をいい、本実施形態では16.7ミリ秒としている(垂直走査周波数が60Hzである場合)。
【0013】
説明を図1に戻すと、フレームメモリー30は、縦768行×横1024列の画素配列に対応した記憶領域を有し、各記憶領域では、それぞれに対応する画素110の階調レベルを指定する表示データDaが記憶される。なお、表示データDaは、図示省略した上位回路から供給されて、フレームメモリー30の記憶領域に書き込まれる一方、表示制御回路20によって、アドレス信号Ayで指定される走査線に位置する画素1行分の表示データ
Daが、フレームメモリー30から読み出される構成となっている。
【0014】
データ変換回路40は、フレームメモリー30から読み出された表示データDaを、階
調レベルに応じて画素のオン状態またはオフ状態を指定するデータビットDbに、番号Sbで通知されたサブフィールドに対応して変換するものである。なお、階調レベルに応じて、画素のオン状態またはオフ状態をいかに指定するかについては、各サブフィールドの時間幅の設定と併せ、後述することにする。
【0015】
表示制御回路20は、詳細には特に図示しないが、CPUや内部メモリを有し、フレームメモリー30における表示データDaの読み出しや、データ変換回路40に対するサブ
フィールド番号Sbの通知、走査線駆動回路130に対して選択すべき走査線の行数を指
定するアドレス信号Adの出力するほか、画素の応答特性データを取得したときに、後述
するサブフィールド幅決定処理を実行して、各サブフィールドの幅を決定したり、階調レベルに対してサブフィールド毎に画素をオンまたはオフ状態とすべきかについて、階調レベル毎に決定したりする。
なお、応答特性データは、本実施形態では、図示省略した温度センサーによって検出された温度データが代用される。温度は、液晶素子における光学的な応答速度と密接な関係があり、温度が低くなるにつれて、応答速度が低下するからである。応答特性データについては、応答速度を直接的または間接的に示すものであれば、温度データ以外のものでも適用可能である。このため例えば、上記上位回路などから、応答速度を直接的に示すデータを取得するようにしても良い。
【0016】
フレームを構成するサブフィールドについて図3を参照して説明する。
この図に示されるように、フレームが4つに等分割されるとともに、これらの各分割期間が、さらに4つのサブフィールドにそれぞれ分割されている。したがって、本実施形態では、フレームが16個のサブフィールドに分割されている。後述するように、本実施形態では、256階調を表現するが、この表現可能な階調数よりも、少ない個数でフレーム
がサブフィールドに分割される。
なお、図では、各分割期間を1/4フレームと表記している。また、16個のサブフィールドを区別するために、時間的な順でsf1〜sf16と表記している。
【0017】
本実施形態において、各分割期間の同じ番目におけるサブフィールドの時間的な幅は、互いに同値となるように設定される。例えば、各分割期間において1番目のサブフィールドsf1、sf5、sf9およびsf13は互いに同一幅である。そこで便宜的に、各分割期間において1番目のサブフィールドを第1類と呼ぶことにする。各分割期間において2番目、3番目および4番目についても同様であり、第2類、第3類および第4類と呼ぶことにする。
なお、各サブフィールドの開始点は、画素からみれば、当該画素に対応する走査線が選択されたときである。ただし、表示パネル100の全体動作でみるときには、説明の便宜上、1行目の走査線を基準とする場合がある。
【0018】
次に、本実施形態において、これらのサブフィールドの幅を、いかにして決定するかについて説明する。図4は、サブフィールドの幅を決定するサブフィールド幅決定処理を示すフローチャートである。
表示制御回路20は、このサブフィールド幅決定処理を一定期間毎(例えば10分毎)に実行する。
【0019】
表示制御回路20は、サブフィールド幅決定処理を起動したとき、ステップa1において応答特性データを取得する。続いて、表示制御回路20は、ステップa2において、第1類のサブフィールド(sf1、sf5、sf9、sf13)で表現すべき透過率(目標透過率)を、次のようにして決定する。
なお、本実施形態では、階調レベル「0」から「255」までの256階調を図5に示されるような特性で表示するものとする。このとき、最低値の階調レベル「0」が指定された画素については、サブフィールドsf1〜sf16のすべてにわたってオン状態とするとともに、フレームを単位期間としてみたときに、当該画素の液晶素子における積分的な透過率を相対値で「0」(0%)とする。一方、最高値の階調レベル「255」が指定された画素については、サブフィールドsf1〜sf16のすべてにわたってオフ状態とするとともに、このときの当該画素の透過率を相対値で「1」(100%)とする。
【0020】
このような前提において、まず、階調レベルが最低値よりも1段高い「1」である場合(1/255)と、階調レベルが最高値よりも1段低い「254」である場合(254/255)とについて着目する。階調レベルの「1」は、1フレームにおいて、最も狭い幅のサブフィールドのうち一つにおいてだけ画素をオフ状態とし、他のすべてのサブフィールドにおいては画素をオン状態とすることによって表現され、階調レベルの「254」は、1フレームにおいて、最も狭い幅のサブフィールドのうち一つにおいてだけ画素をオン状態とし、他のすべてのサブフィールドにおいては画素をオフ状態とすることによって表現されるからである。
なお、本明細書においては、上記したように、1フレームにおいて、ある特定のサブフィールドにおいて画素をオフ状態とし、他のすべてのサブフィールドにおいては画素をオン状態としたときの当該サブフィールドの幅を単にオフ期間と呼び、1フレームにおいて、ある特定のサブフィールドにおいて画素をオン状態とし、他のすべてのサブフィールドにおいては画素をオフ状態としたときの当該サブフィールドの幅を単にオン期間と呼ぶ。
【0021】
表示制御回路20は、図5から、階調レベル「1」の目標透過率が例えば「0.00002」であり、階調レベル「254」の目標透過率が例えば「0.992」であることを、それぞれ導き出す。
【0022】
このうちのどちらの階調レベルを最も狭い幅のサブフィールドで表現すべきかを、表示制御回路20は、液晶の立ち上がり、または、立ち下がりの応答時間に応じて決定する。詳細には、表示制御回路20は、まず、取得済みの応答特性データで示される応答特性にしたがって画素が応答した場合に、フレーム(16.7ms)のうち、階調レベル「1」の目標透過率「0.00002」を実現するためにはオフ期間として、例えば100μsの時間を要する点、および、階調レベル「254」の目標透過率「0.992」を実現するためにはオン期間として例えば200μsを要する点を、それぞれ予め定められたアルゴリズムを用いた演算によって算定する。なお、このオフ期間またはオン期間についてはアルゴリズムによる演算ではなく、予め実験的に求めた結果をテーブル化して記憶しておき、当該テーブルから求める構成としてもよい。
【0023】
階調レベル「1」の目標透過率を実現するためのオフ期間が100μsである点、および、階調レベル「254」の目標透過率を実現するためのオン期間が200μsである点を比較考量したとき、表示制御回路20は、短い方の期間を、第1類のサブフィールドの幅として決定する。すなわち、表示制御回路20は、ステップa3において、第1類のサブフィールド(sf1、sf5、sf9、sf13)の幅をそれぞれ100μsに決定する。階調レベル「1」の目標透過率を実現するためには、100μsに決定した第1類のサブフィールド(sf1、sf5、sf9、sf13)の4つのうち、1つ(例えば図5に示されるようにサブフィールドsf5だけ)において画素をオフ状態にして、他のすべてのサブフィールドにおいて画素をオン状態にすればよいが、階調レベル「254」の目標透過率を実現するためには、当該4つのサブフィールドのうち、2つ(例えば図5に示されるようにサブフィールドsf5、sf13)において画素をオン状態にし、他のすべてのサブフィールドにおいて画素をオフ状態にしなければならないからである。
【0024】
次に、第2類のサブフィールド(sf2、sf6、sf10、sf14)の幅を決定するために、表示制御回路20は、ステップa4において変数Nに初期値の「2」をセットし、ステップa5において第N類のサブフィールドの目標透過率を、ある二つの値に仮決定する。なお、ここでは変数Nは「2」にセットされているから、第2類のサブフィールドについては、第1の目標透過率と第2の目標透過率との2つが仮決定される。
【0025】
続いて、表示制御回路20は、仮決定した第1の目標透過率が第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオン状態としたときの透過率と等しいか否か、また、仮決定した第2の目標透過率が第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオフ状態としたときの透過率と等しいか否かを判別する(ステップa6)。
厳密にいえば、仮決定した目標透過率と第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオン状態またはオフ状態としたときの透過率との差が閾値以内であるか否かを判別する。ここで、本明細書においては、第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオン状態としたときの透過率とは、第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオン状態とする一方、他のすべてのサブフィールドにおいて画素をオフ状態としたときの透過率を意味し、第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオフ状態としたときの透過率とは、第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオフ状態とする一方、他のすべてのサブフィールドにおいて画素をオン状態としたときの透過率を意味する。
なお、仮決定した第1の目標透過率は、第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオン状態としたときの透過率に設定するのではなく、第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオン状態としたときの透過率よりも1段低い、または、1段高い階調レベルに相当する透過率に設定しても良い。第2の目標透過率についても第1の目標透過率と同様のことが言える。
【0026】
第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオン状態としたときの透過率
よりも低い階調レベルに相当する透過率を目標透過率とすることで、同じ透過率を第(N−1)類と第N類のサブフィールドのどちらでも表示することが可能となる。こうすることで、個体調整の際のマージンを持たせることができる他、同じ透過率となる複数のsf1〜sf16のオン状態またはオフ状態の組み合わせのなかから、擬似輪郭などの表示背反が発生しにくい組み合わせを選択することが可能となる。すなわち、第1および第2の目標透過率は、階調表現に破綻がない範囲で、第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオン状態としたときの透過率よりも低く、または、高く設定することができる。
また、ここでは変数Nが「2」であるから、仮決定した第2類のサブフィールドの目標透過率が第1類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオン状態またはオフ状態としたときの透過率と等しいか否かが判別される。
【0027】
この判別結果が「No」であれば、表示制御回路20は、処理手順を再びステップa5に戻して、仮決定する目標透過率を別の値に変更する。ステップa5およびa6の処理が繰り返されると、やがてステップa6の判別結果が「Yes」となる。表示制御回路20は、ステップa6の判別結果が「Yes」となった時点において仮決定した第1目標透過率と第2目標透過率とを、第N類のサブフィールドで表現すべき目標透過率として本決定する(ステップa7)。
すなわち、一の第N類のサブフィールドで表現すべき第1の目標透過率は、第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオン状態としたときの透過率に設定され、一の第N類のサブフィールドで表現すべき第2の目標透過率は、第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオフ状態としたときの透過率に設定される。ここでは、変数Nが「2」であるから、第2類のサブフィールドで表現すべき目標透過率が設定される。
【0028】
次に、表示制御回路20は、第N類のサブフィールドの幅を、ステップa3における第1類のサブフィールドと同様に、本決定した目標透過率を実現するために要するオフ期間またはオン期間に定める(ステップa8)。すなわち、表示制御回路20は、応答特性データで示される応答特性にしたがって画素が応答した場合に、第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオフ状態とさせたときの透過率、すなわち第2の目標透過率を実現するのに要するオフ期間、および、第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオン状態とさせたときの透過率、すなわち第1の目標透過率を実現するのに要するオン期間を、それぞれ求めて、短い方の期間を第N類のサブフィールドの幅として決定する。ここでは、変数Nが「2」であるから、第2類のサブフィールドの幅については、第1類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオフ状態とさせたときの透過率を実現するのに要するオフ期間と、第1類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオン状態とさせたときの透過率を実現するのに要するオン期間とのうち、短い方の期間が第2類のサブフィールドの幅として決定される。
【0029】
表示制御回路20は、ステップa9において現時点でセットされている変数Nが最高値nmaxのNよりも「1」だけ小さい値であるか否かを判別する。
表示制御回路20は、判別結果が「No」であれば、ステップa10において変数Nを「1」だけインクリメントして、処理手順をステップa5に戻す一方、判別結果が「Yes」であれば、処理手順をステップa11に移行させる。
【0030】
図3の例では、Nmaxが「4」であるから、ステップa9においては、現時点の変数N
が3」であるか否かが判別される。変数Nに「2」がセットされていれば、ステップa10において変数Nが「3」にインクリメントされる。変数Nが「3」であるときに、ステップa5〜a8が実行されると、今度は、第3類のサブフィールドの幅が決定される。すなわち、第3類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオフ状態とさせたときの透過率
を実現するのに要するオフ期間と、第3類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオン状態とさせたときの透過率を実現するのに要するオン期間とが、それぞれ求められて、短い方の期間が第3類のサブフィールドの幅として決定される。
【0031】
変数Nに「3」がセットされた状態では、ステップa9の判別結果が「Yes」となる。このため、表示制御回路20は、ステップa11において、第Nmax類のサブフィール
ドの幅を次のようにして決定する。詳細には、表示制御回路20は、フレーム期間から、すべての第1類から第(Nmax−1)類までのサブフィールド期間を除いた余りの期間を
、繰り返し数で割って、当該割った値を第Nmax類のサブフィールド期間として決定する
。
図3の例でいえば、Nmaxが「4」であり、繰り返し数も「4」であるから、フレーム
期間からすべての第1類から第3類までのサブフィールド期間を除いた余りの期間を「4」で割って、当該割った値を、第4類のサブフィールド(sf4、sf8、sf12、sf16)の幅として決定する。
なお、第4類のサブフィールドで表現可能な透過率としては、第1類から第3類までのサブフィールドを1つずつ足し合わせた幅にわたって画素をオン状態としたときの透過率に、繰り返し数(本実施形態では「4」)を乗じた値よりも小さい値(暗い側の値)、または、大きい値(明るい側の値)とすれば、十分な階調精度を得ることができるとともに、個体調整の際のマージンを持たせることができる。
【0032】
ステップa11において第Nmax類のサブフィールドの幅を決定すると、すべてのサブ
フィールドの幅を決定したことになるので、表示制御回路20は、当該サブフィールド幅決定処理を終了する。
なお、本実施形態では、図4に示したサブフィールド幅決定処理を、一定期間毎に実行するとして説明したが、応答特性データの取得をイベントとして実行しても良いし、電源投入直後の表示動作前に実行しても良い。
【0033】
ここで、例えば25℃における液晶素子の光学的な応答速度を基準速度とし、25℃において階調レベル「1」の目標透過率「0.00002」を実現するためのオフ期間が100μsであったとする。液晶素子の光学的な応答速度が遅いほど、目標透過率「0.00002」を実現するためのオフ期間は長くなる。そのため、応答特性データによって、液晶素子の光学的な応答速度が基準速度よりも低速であることが示されると、階調レベル「1」の目標透過率「0.00002」を実現するためのオフ期間を100μsよりも長くしなければならない。したがって、図6に示されるように、第1類のサブフィールド(sf1、sf5、sf9、sf13)の幅を長くしなければならず、これに伴って、第2類のサブフィールド(sf2、sf6、sf10、sf14)の幅および第3類のサブフィールド(sf3、sf7、sf11、sf15)の幅もそれぞれ長くする。このように、フレームのうち、第1類から第3類までのサブフィールドがそれぞれ長くなるので、残りの期間を割った第4類のサブフィールド(sf4、sf8、sf12、sf16)については反対に短くなる。
一方、応答特性データによって、液晶素子の光学的な応答速度が基準速度よりも高速であることが示されると、階調レベル「1」の目標透過率「0.00002」を実現するためのオフ期間を100μsよりも短くしなければならない。したがって、同図に示されるように、第1類のサブフィールドの幅が短くなり、これに伴って、第2類のサブフィールドの幅および第3類のサブフィールドの幅もそれぞれ短くなる反面、第4類のサブフィールドについては長くなる。このように、液晶素子の光学的な応答速度が遅いほど第1類のサブフィールドの幅を長くする。
【0034】
なお、本実施形態では、第1類から第3類までのサブフィールドの幅がそれぞれ長く(短く)なり、反対に第4類のサブフィールドの幅が短く(長く)なる構成を示したが、第
1類のサブフィールドの幅の増加もしくは減少に対して、第2類から第4類までのうち、いずれか1つのサブフィールドの幅が反対に減少もしくは増加してもいい。上述したとおり、第2類から第4類までのサブフィールドの幅は、幅を調整するためのマージンを含んで決定されており、このマージンの範囲で応答速度の変動に対して、サブフィールドの幅を調整することが可能である。
【0035】
次に、表示制御回路20は、すべての階調を表現できるように、サブフィールド各々に対し、階調レベル毎にオン状態またはオフ状態とすべきかを決定する。
上述の例でいえば、図7に示されるように、まず、階調レベルが最低値の「0」であれば、すべてのサブフィールドsf1〜sf16にわたって「1」のオン状態とし、階調レベルが最高値の「255」であれば、すべてのサブフィールドsf1〜sf16にわたって「0」のオフ状態とさせる。また、階調レベルが「1」であれば、上述したように、第1類のサブフィールド(sf1、sf5、sf9、sf13)うち、1つ、例えばサブフィールドsf5だけ「0」のオフ状態とし、階調レベル「254」であれば、第1類のサブフィールドのうち、2つ、例えばサブフィールドsf5およびsf13だけを「1」のオン状態とさせる。
なお、階調レベルに対する透過率の特性は、図5に示されるように下に膨らむガンマ特性であるため、階調間の透過率の差は、高階調側になるほど大きくなる。一方で、液晶素子の光学的な応答速度が遅い場合には、サブフィールドを1つオン状態またはオフ状態にしたときの透過率と、サブフィールドを2つオン状態またはオフ状態にしたときの透過率とは、単純な足し合わせの関係とはならない。例えば階調レベルが「2」であれば、目標透過率は階調レベル「1」の3倍であったとしても、液晶素子の応答特性により、第1類のサブフィールドのうち、2つ、例えばサブフィールドsf5、sf13だけ「0」のオフ状態とすれば良い。表示制御回路20は、このように階調レベル毎にサブフィールドの各々についてオン状態またはオフ状態を決定すると、その決定内容Lをデータ変換回路40にセットする。
【0036】
このようにして、当該決定内容Lがセットされたデータ変換回路40は、フレームメモリー30から読み出された表示データDaを、階調レベルおよび番号Sbで通知されたサブフィールドにしたがって、データビットDbに変換する。当該データビットDbは、走査線が選択されたときに、データ線駆動回路140によってオンレベルまたはオフレベルのデータ信号に再変換されて、1〜1024列目のデータ線114に供給される。走査線が選択されているとき、データ線114に供給されたデータ信号のオンレベルまたがオフレベルは、当該選択走査線とデータ線との交点に対応する液晶素子の画素電極に印加されるので、データビットに応じたオンまたはオフ状態になる。走査線の選択が終了しても、液晶素子は、画素電極に印加されたレベルが保持されるので、データビットに応じたオンまたはオフ状態は、再び走査線が選択されるまで維持される。
したがって、液晶素子に対し、あるサブフィールドに応じた幅だけ、データビットに応じた状態とさせるためには、当該液晶素子に当該データビットのデータ信号を書き込むために走査線を選択してから、再び当該走査線を選択するまでの期間を、当該サブフィールドに応じた期間とすれば良いことになる。
【0037】
ところで、走査線を1、2、3、…、行目というように1行ずつ順番に選択する従来の駆動方法では、最も短いサブフィールドの時間内で全走査線の選択を完結する必要があり、現実的ではない。そこで、本実施形態では、走査線を、サブフィールドの幅に応じた行数だけ飛び越しながら走査する方式を採用している。
例えば、本実施形態では走査線数を「768」とし、最狭となる第1類のサブフィールド(sf1、sf5、sf9、sf13)の幅を100μsとしている。飛び越し走査の繰り返し周期をサブフィールドの繰り返し単位である1/4フレーム(4.17ms)としたときに、当該1/4フレームにおいて、一つのサブフィールドに対応する書き込みの
ために全走査線を選択するとともに、1/4フレームのうち第1類のサブフィールドが占める割合と、768行のうちの飛び越し走査線数Ysの占める割合とが一致または近似す
れば良い。このため、第1類のサブフィールドのための飛び越し走査線数Ysは、
Ys=(100×10−6)÷(4.17×10−3)×768
=18.4
から、18行であれば良いことが導き出される。
【0038】
仮に、上述したステップa8において、変数Nに「2」がセットされたときに第2類のサブフィールド(sf2、sf6、sf10、sf14)の幅を312μsに決定し、変数Nに「3」がセットされたときに第3類のサブフィールド(sf3、sf7、sf11、sf15)の幅を1440μsに決定していれば、同様にして、第2類のサブフィールドのための飛び越し走査線数は100行であり、第3類のサブフィールドのための飛び越し走査線数は266行であれば良いことが導き出される。
なお、第4類のサブフィールド(sf4、sf8、sf12、sf16)のための飛び越し走査線数は、768行から、18行、100行、266行を除いた残りの384行となる。
【0039】
このため、表示パネル100の各走査線については、図8および図9に示されるように、384、266、100、18行ずつ順番に飛び越しながら走査すれば良いことになる。
ここで、図8は、走査線の1〜768行を縦軸にとり、時間を横軸としたときに、選択される走査線の時間的推移を示す図である。走査線の選択を●(黒丸状のドット)で示したとき、走査線は飛び越し走査されるので、走査線の時間的推移は、実際には●の非連続打点で示されるが、簡略的に表記するため、図においては右下がりの連続打点(実線)で示している。また、図9は、各サブフィールドにおいて、走査線駆動回路130によって選択される走査線の行番号を示すテーブルである。換言すれば、アドレス信号Ayによっ
て指定される走査線の順序を示す図である。
【0040】
図8および図9に示されるように、フレームの最初において、選択する走査線の起点を仮に1行目としたとき、1、385、651、751行目という順番で飛び越し走査をし、次に起点を1行シフトして2行目として、2、386、652、752行目という順番で飛び越し走査をし、以下同様な動作を、起点が18行目となって、18、402、668、768行目という順番で飛び越し走査をするまで繰り返す。
このとき、起点にかかる走査線(L1)の選択において、サブフィールドsf1に対するデータビットに応じたデータ信号を書き込み、L1に対して384行飛び越した走査線(L2)の選択において、1フレーム前のサブフィールドsf16に対するデータビットのデータ信号を書き込む。同様に、L2に対して266行飛び越した走査線(L3)の選択において、1フレーム前のサブフィールドsf15に対するデータビットのデータ信号を書き込み、L3に対して100行飛び越した走査線(L4)の選択において、1フレーム前のサブフィールドsf14に対するデータビットのデータ信号を書き込む。
【0041】
起点が18行目の飛び越し走査をした後については、起点を19行目にシフトさせるとともに、19、403、669、1行目という順番で飛び越し走査をし、以下同様な動作を、起点が118行目となって、118、502、768、100行目という順番で飛び越し走査をするまで繰り返す。このとき、走査線(L1、L2、L3)の選択においては、同様にデータビットに応じた書き込みを行うが、走査線(L4)の選択においては、現行フレームのサブフィールドsf2のデータビットに応じた書き込みを行う。
起点が118行目の飛び越し走査をした後については、起点を119行目にシフトさせるとともに、119、503、1、101行目という順番で飛び越し走査をし、以下同様な動作を、起点が384行目となって、384、768、266、306行目という順番
で飛び越し走査をするまで繰り返す。このとき、走査線(L1、L2、L4)の選択においては、同様にデータビットに応じた書き込みをそれぞれ行うが、走査線(L3)の選択においては、現行フレームのサブフィールドsf3のデータビットに応じた書き込みを行う。
起点が384行目の飛び越し走査をした後については、起点を385行目にシフトさせるとともに、385、1、267、307行目という順番で飛び越し走査をし、以下同様な動作を、起点が768行目となって、768、384、650、750行目という順番で飛び越し走査をするまで繰り返す。このとき、走査線(L1、L3、L4)の選択においては、同様にデータビットに応じた書き込みをそれぞれ行うが、走査線(L2)の選択においては、現行フレームのサブフィールドsf4のデータビットに応じた書き込みを行う。
【0042】
以下、このような1/4フレームを4回繰り返すと、1〜768行の画素は、サブフィールドsf1〜sf16に応じた期間だけ階調レベルに応じた状態となるので、フレームで通したときの階調表示が可能となる。
なお、図8および図9は、第1類、第2類、第3類のサブフィールドの幅をそれぞれ100μs、312μs、1440μsとして決定したときの飛び越し走査を示している。応答特性データによって応答特性が変化したことが示されたとき、表示制御回路20は、上述したように各サブフィールドの幅をそれぞれ変更するので、飛び越し走査する走査線の順序についても、図8および図9から変更することになる。
【0043】
このように本実施形態によれば、画素(液晶素子)の応答特性が温度によって変化したときに、サブフィールドsf1〜sf16の時間的な幅が、当該応答特性を考量して決定(変更)されるので、各階調の表現特性を損なわずに済ませることが可能となる。また、複数の表示パネル同士で光学応答に差があったとしても、各表示パネルに個別の応答特性データを上位回路等から供給することによって、各階調の表現特性については揃えることも可能となる。
【0044】
なお、上述した実施形態において、フレームが、上位回路から供給される同期信号によって規定される場合に、なんらかの理由によってフレームの時間幅が変化したときであっても、変化したフレームを基準に各サブフィールドの幅を変更することによって、同様に各階調の表現特性を損なわずに済ませることが可能となる。例えば、垂直走査周波数が低下してフレームの時間幅が長くなったとき、第1類、第2類および第3類のサブフィールドの幅については長くなるように変更し、第4類のサブフィールドの幅については短くなるように変更するとともに、変更後のサブフィールド幅で決定された決定内容Lをデータ変換回路40にセットすることで、各階調の表現特性を損なわずに済ませることが可能となる。
また、上述した実施形態においては、表示制御回路20が、図4に示したサブフィールド幅決定処理を実行することによって各サブフィールドの幅を決定したが、複数の応答特性データ毎に、予め決定した各サブフィールドの幅をテーブル化して記憶しておき、取得した応答特性データに変化が生じたときに、変化した応答特性データに応じた値を当該テーブルから読み出して、各サブフィールドの幅を決定しても良い。
画素における液晶素子は透過型に限られず反射型であっても良い。さらに、表示素子としては、液晶素子に限られず、データビットに応じてオンまたはオフ状態となる素子であれば良い。例えば有機EL素子や、電気泳動素子(いわゆる電子ペーパー)、ミラーの傾きがオンオフに対応した位置をとり、オンまたはオフのいずれか一方の状態のときだけ入射光を所定方向に反射させるミラー素子などにも適用可能である。
【0045】
<電子機器>
次に、上述した電気光学装置を用いた電子機器の一例として、電気光学装置をライトバ
ルブとして用いたプロジェクターについて説明する。図10は、このプロジェクターの構成を示す平面図である。
この図に示されるように、プロジェクター2100の内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット2102が設けられている。このランプユニット2102から射出された投射光は、内部に配置された3枚のミラー2106および2枚のダイクロイックミラー2108によってR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色に分離されて、各原色に対応するライトバルブ10R、10Gおよび10Bにそれぞれ導かれる。なお、B色の光は、他のR色やG色と比較すると、光路が長いので、その損失を防ぐために、入射レンズ2122、リレーレンズ2123および出射レンズ2124からなるリレーレンズ系2121を介して導かれる。
【0046】
このプロジェクター2100では、表示パネル100を含む電気光学装置が、R、G、Bの各色に対応して3組設けられる。そして、R、G、Bの各色に対応する表示データがそれぞれ外部上位回路から供給されて、フレームメモリーに記憶される構成となっている。ライトバルブ100R、100Gおよび100Bの構成は、上述した表示パネル100と同様であり、R、G、Bのそれぞれに対応するデータビットで、サブフィールド毎にそれぞれ駆動されるものである。
ライトバルブ100R、100G、100Bによってそれぞれ変調された光は、ダイクロイックプリズム2112に3方向から入射する。そして、このダイクロイックプリズム2112において、R色およびB色の光は90度に屈折する一方、G色の光は直進する。したがって、各色の画像が合成された後、スクリーン2120には、投射レンズ2114によってカラー画像が投射されることとなる。
【0047】
なお、ライトバルブ100R、100Gおよび100Bには、ダイクロイックミラー2108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。また、ライトバルブ100R、100Bの透過像は、ダイクロイックプリズム2112により反射した後に投射されるのに対し、ライトバルブ100Gの透過像はそのまま投射されるので、ライトバルブ100R、100Bによる水平走査方向は、ライトバルブ100Gによる水平走査方向と逆向きにして、左右を反転させた像を表示する構成となっている。
【0048】
電子機器としては、図10を参照して説明した他にも、テレビジョンや、ビューファインダー型・モニタ直視型のビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、ディジタルスチルカメラ、携帯電話機、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種の電子機器に対して、上記電気光学装置が適用可能なのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0049】
10…電気光学装置、20…表示制御回路、30…フレームメモリー、40…データ変換回路、100…表示パネル、110…画素、112…走査線、114…データ線、130…走査線駆動回路、140…データ線駆動回路、2100…プロジェクター
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームを複数に分割したサブフィールドの各々において、画素をオンまたはオフ状態とすることにより階調を表現する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶素子や有機EL素子などの表示素子を画素として有する電気光学装置において階調表示を行う際に、次のような技術が提案されている。すなわち、フレーム(フィールド)を分割した複数のサブフィールド毎に画素(表示素子)をオンまたはオフ状態とし、フレームにおいてオンまたはオフ状態とする時間の割合を変化させることによって中間階調を表示する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−148417号公報(図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画素の応答特性は、温度や個体差などによってばらつきやすいので、各階調レベルの指示に対して実際に表現される特性が変動し、表示品位に悪影響を与えやすい、といった問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、複数のサブフィールド毎に画素をオンまたはオフ状態として中間階調を表示する際に、画素の応答特性が変動しても、表示品位に及ぼす影響を小さく抑えた技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る電気光学装置の駆動方法は、フレームを複数のサブフィールドに、少なくとも一のサブフィールドの幅が他のサブフィールドの幅よりも短くなるように分割し、複数の画素の各々を、前記サブフィールド毎に、それぞれオン状態またはオフ状態のいずれかとして階調を表現するとともに、表現する階調数が、フレームを構成するサブフィールド個数よりも多い電気光学装置の駆動方法であって、前記画素の応答特性を示す応答特性データを取得し、前記応答特性データによって前記画素の応答が遅くなったことが示されたとき、前記複数のサブフィールドのうち、前記一のサブフィールドの幅を長くなるように設定することを特徴とする。本発明によれば、画素の応答が低くなったとき、一のサブフィールドの幅が長くなるので、これに応じて他のサブフィールドの幅も変更される。このため、画素の応答特性が変動しても、表示品位に及ぼす影響を小さく抑えることが可能となる。
【0006】
本発明において、前記一のサブフィールドの幅を、取得した応答特性データで示される応答特性にしたがって前記画素を、当該一のサブフィールドにわたってオン状態とし、他のサブフィールドにわたってオフ状態としたときの光学状態、または当該一のサブフィールドにわたってオフ状態とし、他のサブフィールドにわたってオン状態としたときの光学状態に基づいて決定することが好ましい。このようにすると、一のサブフィールドの幅が、画素の応答特性を反映して変化するので、表示品位に及ぼす影響をより小さく抑えることが可能となる。
また、取得した応答特性データによって前記画素の応答が遅くなったことが示されたときに、前記複数のサブフィールドのうち、前記一のサブフィールドを除いたサブフィールドのいずれかの幅を短くなるように設定しても良い。
なお、本発明は、電気光学装置の駆動方法のほか、電気光学装置や、当該電気光学装置を有する電子機器としても概念することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態が適用される電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図2】同電気光学装置における表示パネルの構成を示す図である。
【図3】同電気光学装置におけるフレームの構成を示す図である。
【図4】同電気光学装置におけるサブフィールド幅決定処理を示す図である。
【図5】同電気光学装置においてサブフィールド幅の決定を説明するための図である。
【図6】同電気光学装置の応答特性とサブフィールドの幅との関係を示す図である。
【図7】階調レベルとサブフィールドにおけるオンオフとの対応関係を示す図である。
【図8】同走査線駆動回路により選択される走査線の時間的推移を示す図である。
【図9】同電気光学装置における走査線駆動回路の動作を示す図である。
【図10】同電気光学装置を適用したプロジェクターの光学的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、実施形態に係る電気光学装置の全体構成を示すブロック図である。
この図に示されるように、電気光学装置10は、表示制御回路20、フレームメモリー30、データ変換回路40および表示パネル100を含み、表示制御回路20が各部を制御する構成となっている。
表示パネル100は、例えばアクティブ・マトリクス型であって、透過型のノーマリーホワイトモードの液晶表示パネルであり、画素毎に透過率を変調した透過像を生成する。
【0009】
説明の便宜上、表示パネル100の構成について図2を参照して説明する。この図に示されるように、表示パネル100において表示領域101では、1、2、3、…、768行の走査線112が図において横方向に延在するように設けられ、また、1、2、3、…、1024列のデータ線114が図において縦方向に延在するように、かつ、各走査線112と互いに電気的に絶縁を保つように設けられている。
そして、768行の走査線112と1024列のデータ線114との交点のそれぞれに対応して、画素110がそれぞれ配設されている。したがって、本実施形態では、表示領域101において画素110が縦768行×横1024列でマトリクス状に配列することになる。
【0010】
表示領域101の周辺には、走査線駆動回路130とデータ線駆動回路140とがそれぞれ配置する。
このうち、走査線駆動回路130は、表示制御回路20から供給されるアドレス信号Ayによって指定された走査線を選択し、当該走査線への走査信号を選択電圧に相当するH
レベルとし、他の走査線への走査信号を非選択電圧に相当するLレベルとする一種のアドレスデコーダである。なお、1、2、3、…、768行目の走査線112に供給される走査信号をそれぞれG1、G2、G3、…、G768と表記している。
一方、データ線駆動回路140は、1〜1024列目のデータ線114に、それぞれデータビットDbに応じたデータ信号を供給する。なお、1、2、3、…、1024列目の
データ線114に供給されるデータ信号を、それぞれd1、d2、d3、…、d1024と表記
している。
【0011】
画素110は、詳細については特に図示はしないが、画素電極とコモン電極とで液晶を挟持した周知の液晶素子を有し、走査線112が選択されたときに、データ線114に供給されたデータ信号が画素電極に印加されるものである。なお、本実施形態において、データ信号は、データビットの「1」に応じたオンレベルと、「0」に応じたオフレベルとのいずれかであり、ノーマリーホワイトモードであるから、画素電極にオンレベルが印加されたときにオン状態(暗状態)となる一方、オフレベルが印加されたときにオフ状態(明状態)となる。また、画素110としては、データビットに応じてオンまたはオフ状態の二値表示を行うものであれば、後述するように種々のタイプが適用可能である。
【0012】
本実施形態では画素110がオン状態とオフ状態との2通りしか取り得ない。このため、本実施形態では、単位期間であるフレームを複数のサブフィールドに分割するとともに、サブフィールド毎に画素110をオン状態またはオフ状態のいずれかに制御し、フレームにわたってオン状態(オフ状態)が占める期間の割合を変化させることによって、階調を表現する。
ここで、フレームとは、表示パネル100を駆動することによって画像1コマ分を階調表示させるために要する期間をいい、本実施形態では16.7ミリ秒としている(垂直走査周波数が60Hzである場合)。
【0013】
説明を図1に戻すと、フレームメモリー30は、縦768行×横1024列の画素配列に対応した記憶領域を有し、各記憶領域では、それぞれに対応する画素110の階調レベルを指定する表示データDaが記憶される。なお、表示データDaは、図示省略した上位回路から供給されて、フレームメモリー30の記憶領域に書き込まれる一方、表示制御回路20によって、アドレス信号Ayで指定される走査線に位置する画素1行分の表示データ
Daが、フレームメモリー30から読み出される構成となっている。
【0014】
データ変換回路40は、フレームメモリー30から読み出された表示データDaを、階
調レベルに応じて画素のオン状態またはオフ状態を指定するデータビットDbに、番号Sbで通知されたサブフィールドに対応して変換するものである。なお、階調レベルに応じて、画素のオン状態またはオフ状態をいかに指定するかについては、各サブフィールドの時間幅の設定と併せ、後述することにする。
【0015】
表示制御回路20は、詳細には特に図示しないが、CPUや内部メモリを有し、フレームメモリー30における表示データDaの読み出しや、データ変換回路40に対するサブ
フィールド番号Sbの通知、走査線駆動回路130に対して選択すべき走査線の行数を指
定するアドレス信号Adの出力するほか、画素の応答特性データを取得したときに、後述
するサブフィールド幅決定処理を実行して、各サブフィールドの幅を決定したり、階調レベルに対してサブフィールド毎に画素をオンまたはオフ状態とすべきかについて、階調レベル毎に決定したりする。
なお、応答特性データは、本実施形態では、図示省略した温度センサーによって検出された温度データが代用される。温度は、液晶素子における光学的な応答速度と密接な関係があり、温度が低くなるにつれて、応答速度が低下するからである。応答特性データについては、応答速度を直接的または間接的に示すものであれば、温度データ以外のものでも適用可能である。このため例えば、上記上位回路などから、応答速度を直接的に示すデータを取得するようにしても良い。
【0016】
フレームを構成するサブフィールドについて図3を参照して説明する。
この図に示されるように、フレームが4つに等分割されるとともに、これらの各分割期間が、さらに4つのサブフィールドにそれぞれ分割されている。したがって、本実施形態では、フレームが16個のサブフィールドに分割されている。後述するように、本実施形態では、256階調を表現するが、この表現可能な階調数よりも、少ない個数でフレーム
がサブフィールドに分割される。
なお、図では、各分割期間を1/4フレームと表記している。また、16個のサブフィールドを区別するために、時間的な順でsf1〜sf16と表記している。
【0017】
本実施形態において、各分割期間の同じ番目におけるサブフィールドの時間的な幅は、互いに同値となるように設定される。例えば、各分割期間において1番目のサブフィールドsf1、sf5、sf9およびsf13は互いに同一幅である。そこで便宜的に、各分割期間において1番目のサブフィールドを第1類と呼ぶことにする。各分割期間において2番目、3番目および4番目についても同様であり、第2類、第3類および第4類と呼ぶことにする。
なお、各サブフィールドの開始点は、画素からみれば、当該画素に対応する走査線が選択されたときである。ただし、表示パネル100の全体動作でみるときには、説明の便宜上、1行目の走査線を基準とする場合がある。
【0018】
次に、本実施形態において、これらのサブフィールドの幅を、いかにして決定するかについて説明する。図4は、サブフィールドの幅を決定するサブフィールド幅決定処理を示すフローチャートである。
表示制御回路20は、このサブフィールド幅決定処理を一定期間毎(例えば10分毎)に実行する。
【0019】
表示制御回路20は、サブフィールド幅決定処理を起動したとき、ステップa1において応答特性データを取得する。続いて、表示制御回路20は、ステップa2において、第1類のサブフィールド(sf1、sf5、sf9、sf13)で表現すべき透過率(目標透過率)を、次のようにして決定する。
なお、本実施形態では、階調レベル「0」から「255」までの256階調を図5に示されるような特性で表示するものとする。このとき、最低値の階調レベル「0」が指定された画素については、サブフィールドsf1〜sf16のすべてにわたってオン状態とするとともに、フレームを単位期間としてみたときに、当該画素の液晶素子における積分的な透過率を相対値で「0」(0%)とする。一方、最高値の階調レベル「255」が指定された画素については、サブフィールドsf1〜sf16のすべてにわたってオフ状態とするとともに、このときの当該画素の透過率を相対値で「1」(100%)とする。
【0020】
このような前提において、まず、階調レベルが最低値よりも1段高い「1」である場合(1/255)と、階調レベルが最高値よりも1段低い「254」である場合(254/255)とについて着目する。階調レベルの「1」は、1フレームにおいて、最も狭い幅のサブフィールドのうち一つにおいてだけ画素をオフ状態とし、他のすべてのサブフィールドにおいては画素をオン状態とすることによって表現され、階調レベルの「254」は、1フレームにおいて、最も狭い幅のサブフィールドのうち一つにおいてだけ画素をオン状態とし、他のすべてのサブフィールドにおいては画素をオフ状態とすることによって表現されるからである。
なお、本明細書においては、上記したように、1フレームにおいて、ある特定のサブフィールドにおいて画素をオフ状態とし、他のすべてのサブフィールドにおいては画素をオン状態としたときの当該サブフィールドの幅を単にオフ期間と呼び、1フレームにおいて、ある特定のサブフィールドにおいて画素をオン状態とし、他のすべてのサブフィールドにおいては画素をオフ状態としたときの当該サブフィールドの幅を単にオン期間と呼ぶ。
【0021】
表示制御回路20は、図5から、階調レベル「1」の目標透過率が例えば「0.00002」であり、階調レベル「254」の目標透過率が例えば「0.992」であることを、それぞれ導き出す。
【0022】
このうちのどちらの階調レベルを最も狭い幅のサブフィールドで表現すべきかを、表示制御回路20は、液晶の立ち上がり、または、立ち下がりの応答時間に応じて決定する。詳細には、表示制御回路20は、まず、取得済みの応答特性データで示される応答特性にしたがって画素が応答した場合に、フレーム(16.7ms)のうち、階調レベル「1」の目標透過率「0.00002」を実現するためにはオフ期間として、例えば100μsの時間を要する点、および、階調レベル「254」の目標透過率「0.992」を実現するためにはオン期間として例えば200μsを要する点を、それぞれ予め定められたアルゴリズムを用いた演算によって算定する。なお、このオフ期間またはオン期間についてはアルゴリズムによる演算ではなく、予め実験的に求めた結果をテーブル化して記憶しておき、当該テーブルから求める構成としてもよい。
【0023】
階調レベル「1」の目標透過率を実現するためのオフ期間が100μsである点、および、階調レベル「254」の目標透過率を実現するためのオン期間が200μsである点を比較考量したとき、表示制御回路20は、短い方の期間を、第1類のサブフィールドの幅として決定する。すなわち、表示制御回路20は、ステップa3において、第1類のサブフィールド(sf1、sf5、sf9、sf13)の幅をそれぞれ100μsに決定する。階調レベル「1」の目標透過率を実現するためには、100μsに決定した第1類のサブフィールド(sf1、sf5、sf9、sf13)の4つのうち、1つ(例えば図5に示されるようにサブフィールドsf5だけ)において画素をオフ状態にして、他のすべてのサブフィールドにおいて画素をオン状態にすればよいが、階調レベル「254」の目標透過率を実現するためには、当該4つのサブフィールドのうち、2つ(例えば図5に示されるようにサブフィールドsf5、sf13)において画素をオン状態にし、他のすべてのサブフィールドにおいて画素をオフ状態にしなければならないからである。
【0024】
次に、第2類のサブフィールド(sf2、sf6、sf10、sf14)の幅を決定するために、表示制御回路20は、ステップa4において変数Nに初期値の「2」をセットし、ステップa5において第N類のサブフィールドの目標透過率を、ある二つの値に仮決定する。なお、ここでは変数Nは「2」にセットされているから、第2類のサブフィールドについては、第1の目標透過率と第2の目標透過率との2つが仮決定される。
【0025】
続いて、表示制御回路20は、仮決定した第1の目標透過率が第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオン状態としたときの透過率と等しいか否か、また、仮決定した第2の目標透過率が第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオフ状態としたときの透過率と等しいか否かを判別する(ステップa6)。
厳密にいえば、仮決定した目標透過率と第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオン状態またはオフ状態としたときの透過率との差が閾値以内であるか否かを判別する。ここで、本明細書においては、第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオン状態としたときの透過率とは、第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオン状態とする一方、他のすべてのサブフィールドにおいて画素をオフ状態としたときの透過率を意味し、第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオフ状態としたときの透過率とは、第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオフ状態とする一方、他のすべてのサブフィールドにおいて画素をオン状態としたときの透過率を意味する。
なお、仮決定した第1の目標透過率は、第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオン状態としたときの透過率に設定するのではなく、第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオン状態としたときの透過率よりも1段低い、または、1段高い階調レベルに相当する透過率に設定しても良い。第2の目標透過率についても第1の目標透過率と同様のことが言える。
【0026】
第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオン状態としたときの透過率
よりも低い階調レベルに相当する透過率を目標透過率とすることで、同じ透過率を第(N−1)類と第N類のサブフィールドのどちらでも表示することが可能となる。こうすることで、個体調整の際のマージンを持たせることができる他、同じ透過率となる複数のsf1〜sf16のオン状態またはオフ状態の組み合わせのなかから、擬似輪郭などの表示背反が発生しにくい組み合わせを選択することが可能となる。すなわち、第1および第2の目標透過率は、階調表現に破綻がない範囲で、第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオン状態としたときの透過率よりも低く、または、高く設定することができる。
また、ここでは変数Nが「2」であるから、仮決定した第2類のサブフィールドの目標透過率が第1類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオン状態またはオフ状態としたときの透過率と等しいか否かが判別される。
【0027】
この判別結果が「No」であれば、表示制御回路20は、処理手順を再びステップa5に戻して、仮決定する目標透過率を別の値に変更する。ステップa5およびa6の処理が繰り返されると、やがてステップa6の判別結果が「Yes」となる。表示制御回路20は、ステップa6の判別結果が「Yes」となった時点において仮決定した第1目標透過率と第2目標透過率とを、第N類のサブフィールドで表現すべき目標透過率として本決定する(ステップa7)。
すなわち、一の第N類のサブフィールドで表現すべき第1の目標透過率は、第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオン状態としたときの透過率に設定され、一の第N類のサブフィールドで表現すべき第2の目標透過率は、第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオフ状態としたときの透過率に設定される。ここでは、変数Nが「2」であるから、第2類のサブフィールドで表現すべき目標透過率が設定される。
【0028】
次に、表示制御回路20は、第N類のサブフィールドの幅を、ステップa3における第1類のサブフィールドと同様に、本決定した目標透過率を実現するために要するオフ期間またはオン期間に定める(ステップa8)。すなわち、表示制御回路20は、応答特性データで示される応答特性にしたがって画素が応答した場合に、第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオフ状態とさせたときの透過率、すなわち第2の目標透過率を実現するのに要するオフ期間、および、第(N−1)類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオン状態とさせたときの透過率、すなわち第1の目標透過率を実現するのに要するオン期間を、それぞれ求めて、短い方の期間を第N類のサブフィールドの幅として決定する。ここでは、変数Nが「2」であるから、第2類のサブフィールドの幅については、第1類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオフ状態とさせたときの透過率を実現するのに要するオフ期間と、第1類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオン状態とさせたときの透過率を実現するのに要するオン期間とのうち、短い方の期間が第2類のサブフィールドの幅として決定される。
【0029】
表示制御回路20は、ステップa9において現時点でセットされている変数Nが最高値nmaxのNよりも「1」だけ小さい値であるか否かを判別する。
表示制御回路20は、判別結果が「No」であれば、ステップa10において変数Nを「1」だけインクリメントして、処理手順をステップa5に戻す一方、判別結果が「Yes」であれば、処理手順をステップa11に移行させる。
【0030】
図3の例では、Nmaxが「4」であるから、ステップa9においては、現時点の変数N
が3」であるか否かが判別される。変数Nに「2」がセットされていれば、ステップa10において変数Nが「3」にインクリメントされる。変数Nが「3」であるときに、ステップa5〜a8が実行されると、今度は、第3類のサブフィールドの幅が決定される。すなわち、第3類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオフ状態とさせたときの透過率
を実現するのに要するオフ期間と、第3類のサブフィールドのすべてにおいて画素をオン状態とさせたときの透過率を実現するのに要するオン期間とが、それぞれ求められて、短い方の期間が第3類のサブフィールドの幅として決定される。
【0031】
変数Nに「3」がセットされた状態では、ステップa9の判別結果が「Yes」となる。このため、表示制御回路20は、ステップa11において、第Nmax類のサブフィール
ドの幅を次のようにして決定する。詳細には、表示制御回路20は、フレーム期間から、すべての第1類から第(Nmax−1)類までのサブフィールド期間を除いた余りの期間を
、繰り返し数で割って、当該割った値を第Nmax類のサブフィールド期間として決定する
。
図3の例でいえば、Nmaxが「4」であり、繰り返し数も「4」であるから、フレーム
期間からすべての第1類から第3類までのサブフィールド期間を除いた余りの期間を「4」で割って、当該割った値を、第4類のサブフィールド(sf4、sf8、sf12、sf16)の幅として決定する。
なお、第4類のサブフィールドで表現可能な透過率としては、第1類から第3類までのサブフィールドを1つずつ足し合わせた幅にわたって画素をオン状態としたときの透過率に、繰り返し数(本実施形態では「4」)を乗じた値よりも小さい値(暗い側の値)、または、大きい値(明るい側の値)とすれば、十分な階調精度を得ることができるとともに、個体調整の際のマージンを持たせることができる。
【0032】
ステップa11において第Nmax類のサブフィールドの幅を決定すると、すべてのサブ
フィールドの幅を決定したことになるので、表示制御回路20は、当該サブフィールド幅決定処理を終了する。
なお、本実施形態では、図4に示したサブフィールド幅決定処理を、一定期間毎に実行するとして説明したが、応答特性データの取得をイベントとして実行しても良いし、電源投入直後の表示動作前に実行しても良い。
【0033】
ここで、例えば25℃における液晶素子の光学的な応答速度を基準速度とし、25℃において階調レベル「1」の目標透過率「0.00002」を実現するためのオフ期間が100μsであったとする。液晶素子の光学的な応答速度が遅いほど、目標透過率「0.00002」を実現するためのオフ期間は長くなる。そのため、応答特性データによって、液晶素子の光学的な応答速度が基準速度よりも低速であることが示されると、階調レベル「1」の目標透過率「0.00002」を実現するためのオフ期間を100μsよりも長くしなければならない。したがって、図6に示されるように、第1類のサブフィールド(sf1、sf5、sf9、sf13)の幅を長くしなければならず、これに伴って、第2類のサブフィールド(sf2、sf6、sf10、sf14)の幅および第3類のサブフィールド(sf3、sf7、sf11、sf15)の幅もそれぞれ長くする。このように、フレームのうち、第1類から第3類までのサブフィールドがそれぞれ長くなるので、残りの期間を割った第4類のサブフィールド(sf4、sf8、sf12、sf16)については反対に短くなる。
一方、応答特性データによって、液晶素子の光学的な応答速度が基準速度よりも高速であることが示されると、階調レベル「1」の目標透過率「0.00002」を実現するためのオフ期間を100μsよりも短くしなければならない。したがって、同図に示されるように、第1類のサブフィールドの幅が短くなり、これに伴って、第2類のサブフィールドの幅および第3類のサブフィールドの幅もそれぞれ短くなる反面、第4類のサブフィールドについては長くなる。このように、液晶素子の光学的な応答速度が遅いほど第1類のサブフィールドの幅を長くする。
【0034】
なお、本実施形態では、第1類から第3類までのサブフィールドの幅がそれぞれ長く(短く)なり、反対に第4類のサブフィールドの幅が短く(長く)なる構成を示したが、第
1類のサブフィールドの幅の増加もしくは減少に対して、第2類から第4類までのうち、いずれか1つのサブフィールドの幅が反対に減少もしくは増加してもいい。上述したとおり、第2類から第4類までのサブフィールドの幅は、幅を調整するためのマージンを含んで決定されており、このマージンの範囲で応答速度の変動に対して、サブフィールドの幅を調整することが可能である。
【0035】
次に、表示制御回路20は、すべての階調を表現できるように、サブフィールド各々に対し、階調レベル毎にオン状態またはオフ状態とすべきかを決定する。
上述の例でいえば、図7に示されるように、まず、階調レベルが最低値の「0」であれば、すべてのサブフィールドsf1〜sf16にわたって「1」のオン状態とし、階調レベルが最高値の「255」であれば、すべてのサブフィールドsf1〜sf16にわたって「0」のオフ状態とさせる。また、階調レベルが「1」であれば、上述したように、第1類のサブフィールド(sf1、sf5、sf9、sf13)うち、1つ、例えばサブフィールドsf5だけ「0」のオフ状態とし、階調レベル「254」であれば、第1類のサブフィールドのうち、2つ、例えばサブフィールドsf5およびsf13だけを「1」のオン状態とさせる。
なお、階調レベルに対する透過率の特性は、図5に示されるように下に膨らむガンマ特性であるため、階調間の透過率の差は、高階調側になるほど大きくなる。一方で、液晶素子の光学的な応答速度が遅い場合には、サブフィールドを1つオン状態またはオフ状態にしたときの透過率と、サブフィールドを2つオン状態またはオフ状態にしたときの透過率とは、単純な足し合わせの関係とはならない。例えば階調レベルが「2」であれば、目標透過率は階調レベル「1」の3倍であったとしても、液晶素子の応答特性により、第1類のサブフィールドのうち、2つ、例えばサブフィールドsf5、sf13だけ「0」のオフ状態とすれば良い。表示制御回路20は、このように階調レベル毎にサブフィールドの各々についてオン状態またはオフ状態を決定すると、その決定内容Lをデータ変換回路40にセットする。
【0036】
このようにして、当該決定内容Lがセットされたデータ変換回路40は、フレームメモリー30から読み出された表示データDaを、階調レベルおよび番号Sbで通知されたサブフィールドにしたがって、データビットDbに変換する。当該データビットDbは、走査線が選択されたときに、データ線駆動回路140によってオンレベルまたはオフレベルのデータ信号に再変換されて、1〜1024列目のデータ線114に供給される。走査線が選択されているとき、データ線114に供給されたデータ信号のオンレベルまたがオフレベルは、当該選択走査線とデータ線との交点に対応する液晶素子の画素電極に印加されるので、データビットに応じたオンまたはオフ状態になる。走査線の選択が終了しても、液晶素子は、画素電極に印加されたレベルが保持されるので、データビットに応じたオンまたはオフ状態は、再び走査線が選択されるまで維持される。
したがって、液晶素子に対し、あるサブフィールドに応じた幅だけ、データビットに応じた状態とさせるためには、当該液晶素子に当該データビットのデータ信号を書き込むために走査線を選択してから、再び当該走査線を選択するまでの期間を、当該サブフィールドに応じた期間とすれば良いことになる。
【0037】
ところで、走査線を1、2、3、…、行目というように1行ずつ順番に選択する従来の駆動方法では、最も短いサブフィールドの時間内で全走査線の選択を完結する必要があり、現実的ではない。そこで、本実施形態では、走査線を、サブフィールドの幅に応じた行数だけ飛び越しながら走査する方式を採用している。
例えば、本実施形態では走査線数を「768」とし、最狭となる第1類のサブフィールド(sf1、sf5、sf9、sf13)の幅を100μsとしている。飛び越し走査の繰り返し周期をサブフィールドの繰り返し単位である1/4フレーム(4.17ms)としたときに、当該1/4フレームにおいて、一つのサブフィールドに対応する書き込みの
ために全走査線を選択するとともに、1/4フレームのうち第1類のサブフィールドが占める割合と、768行のうちの飛び越し走査線数Ysの占める割合とが一致または近似す
れば良い。このため、第1類のサブフィールドのための飛び越し走査線数Ysは、
Ys=(100×10−6)÷(4.17×10−3)×768
=18.4
から、18行であれば良いことが導き出される。
【0038】
仮に、上述したステップa8において、変数Nに「2」がセットされたときに第2類のサブフィールド(sf2、sf6、sf10、sf14)の幅を312μsに決定し、変数Nに「3」がセットされたときに第3類のサブフィールド(sf3、sf7、sf11、sf15)の幅を1440μsに決定していれば、同様にして、第2類のサブフィールドのための飛び越し走査線数は100行であり、第3類のサブフィールドのための飛び越し走査線数は266行であれば良いことが導き出される。
なお、第4類のサブフィールド(sf4、sf8、sf12、sf16)のための飛び越し走査線数は、768行から、18行、100行、266行を除いた残りの384行となる。
【0039】
このため、表示パネル100の各走査線については、図8および図9に示されるように、384、266、100、18行ずつ順番に飛び越しながら走査すれば良いことになる。
ここで、図8は、走査線の1〜768行を縦軸にとり、時間を横軸としたときに、選択される走査線の時間的推移を示す図である。走査線の選択を●(黒丸状のドット)で示したとき、走査線は飛び越し走査されるので、走査線の時間的推移は、実際には●の非連続打点で示されるが、簡略的に表記するため、図においては右下がりの連続打点(実線)で示している。また、図9は、各サブフィールドにおいて、走査線駆動回路130によって選択される走査線の行番号を示すテーブルである。換言すれば、アドレス信号Ayによっ
て指定される走査線の順序を示す図である。
【0040】
図8および図9に示されるように、フレームの最初において、選択する走査線の起点を仮に1行目としたとき、1、385、651、751行目という順番で飛び越し走査をし、次に起点を1行シフトして2行目として、2、386、652、752行目という順番で飛び越し走査をし、以下同様な動作を、起点が18行目となって、18、402、668、768行目という順番で飛び越し走査をするまで繰り返す。
このとき、起点にかかる走査線(L1)の選択において、サブフィールドsf1に対するデータビットに応じたデータ信号を書き込み、L1に対して384行飛び越した走査線(L2)の選択において、1フレーム前のサブフィールドsf16に対するデータビットのデータ信号を書き込む。同様に、L2に対して266行飛び越した走査線(L3)の選択において、1フレーム前のサブフィールドsf15に対するデータビットのデータ信号を書き込み、L3に対して100行飛び越した走査線(L4)の選択において、1フレーム前のサブフィールドsf14に対するデータビットのデータ信号を書き込む。
【0041】
起点が18行目の飛び越し走査をした後については、起点を19行目にシフトさせるとともに、19、403、669、1行目という順番で飛び越し走査をし、以下同様な動作を、起点が118行目となって、118、502、768、100行目という順番で飛び越し走査をするまで繰り返す。このとき、走査線(L1、L2、L3)の選択においては、同様にデータビットに応じた書き込みを行うが、走査線(L4)の選択においては、現行フレームのサブフィールドsf2のデータビットに応じた書き込みを行う。
起点が118行目の飛び越し走査をした後については、起点を119行目にシフトさせるとともに、119、503、1、101行目という順番で飛び越し走査をし、以下同様な動作を、起点が384行目となって、384、768、266、306行目という順番
で飛び越し走査をするまで繰り返す。このとき、走査線(L1、L2、L4)の選択においては、同様にデータビットに応じた書き込みをそれぞれ行うが、走査線(L3)の選択においては、現行フレームのサブフィールドsf3のデータビットに応じた書き込みを行う。
起点が384行目の飛び越し走査をした後については、起点を385行目にシフトさせるとともに、385、1、267、307行目という順番で飛び越し走査をし、以下同様な動作を、起点が768行目となって、768、384、650、750行目という順番で飛び越し走査をするまで繰り返す。このとき、走査線(L1、L3、L4)の選択においては、同様にデータビットに応じた書き込みをそれぞれ行うが、走査線(L2)の選択においては、現行フレームのサブフィールドsf4のデータビットに応じた書き込みを行う。
【0042】
以下、このような1/4フレームを4回繰り返すと、1〜768行の画素は、サブフィールドsf1〜sf16に応じた期間だけ階調レベルに応じた状態となるので、フレームで通したときの階調表示が可能となる。
なお、図8および図9は、第1類、第2類、第3類のサブフィールドの幅をそれぞれ100μs、312μs、1440μsとして決定したときの飛び越し走査を示している。応答特性データによって応答特性が変化したことが示されたとき、表示制御回路20は、上述したように各サブフィールドの幅をそれぞれ変更するので、飛び越し走査する走査線の順序についても、図8および図9から変更することになる。
【0043】
このように本実施形態によれば、画素(液晶素子)の応答特性が温度によって変化したときに、サブフィールドsf1〜sf16の時間的な幅が、当該応答特性を考量して決定(変更)されるので、各階調の表現特性を損なわずに済ませることが可能となる。また、複数の表示パネル同士で光学応答に差があったとしても、各表示パネルに個別の応答特性データを上位回路等から供給することによって、各階調の表現特性については揃えることも可能となる。
【0044】
なお、上述した実施形態において、フレームが、上位回路から供給される同期信号によって規定される場合に、なんらかの理由によってフレームの時間幅が変化したときであっても、変化したフレームを基準に各サブフィールドの幅を変更することによって、同様に各階調の表現特性を損なわずに済ませることが可能となる。例えば、垂直走査周波数が低下してフレームの時間幅が長くなったとき、第1類、第2類および第3類のサブフィールドの幅については長くなるように変更し、第4類のサブフィールドの幅については短くなるように変更するとともに、変更後のサブフィールド幅で決定された決定内容Lをデータ変換回路40にセットすることで、各階調の表現特性を損なわずに済ませることが可能となる。
また、上述した実施形態においては、表示制御回路20が、図4に示したサブフィールド幅決定処理を実行することによって各サブフィールドの幅を決定したが、複数の応答特性データ毎に、予め決定した各サブフィールドの幅をテーブル化して記憶しておき、取得した応答特性データに変化が生じたときに、変化した応答特性データに応じた値を当該テーブルから読み出して、各サブフィールドの幅を決定しても良い。
画素における液晶素子は透過型に限られず反射型であっても良い。さらに、表示素子としては、液晶素子に限られず、データビットに応じてオンまたはオフ状態となる素子であれば良い。例えば有機EL素子や、電気泳動素子(いわゆる電子ペーパー)、ミラーの傾きがオンオフに対応した位置をとり、オンまたはオフのいずれか一方の状態のときだけ入射光を所定方向に反射させるミラー素子などにも適用可能である。
【0045】
<電子機器>
次に、上述した電気光学装置を用いた電子機器の一例として、電気光学装置をライトバ
ルブとして用いたプロジェクターについて説明する。図10は、このプロジェクターの構成を示す平面図である。
この図に示されるように、プロジェクター2100の内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット2102が設けられている。このランプユニット2102から射出された投射光は、内部に配置された3枚のミラー2106および2枚のダイクロイックミラー2108によってR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色に分離されて、各原色に対応するライトバルブ10R、10Gおよび10Bにそれぞれ導かれる。なお、B色の光は、他のR色やG色と比較すると、光路が長いので、その損失を防ぐために、入射レンズ2122、リレーレンズ2123および出射レンズ2124からなるリレーレンズ系2121を介して導かれる。
【0046】
このプロジェクター2100では、表示パネル100を含む電気光学装置が、R、G、Bの各色に対応して3組設けられる。そして、R、G、Bの各色に対応する表示データがそれぞれ外部上位回路から供給されて、フレームメモリーに記憶される構成となっている。ライトバルブ100R、100Gおよび100Bの構成は、上述した表示パネル100と同様であり、R、G、Bのそれぞれに対応するデータビットで、サブフィールド毎にそれぞれ駆動されるものである。
ライトバルブ100R、100G、100Bによってそれぞれ変調された光は、ダイクロイックプリズム2112に3方向から入射する。そして、このダイクロイックプリズム2112において、R色およびB色の光は90度に屈折する一方、G色の光は直進する。したがって、各色の画像が合成された後、スクリーン2120には、投射レンズ2114によってカラー画像が投射されることとなる。
【0047】
なお、ライトバルブ100R、100Gおよび100Bには、ダイクロイックミラー2108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。また、ライトバルブ100R、100Bの透過像は、ダイクロイックプリズム2112により反射した後に投射されるのに対し、ライトバルブ100Gの透過像はそのまま投射されるので、ライトバルブ100R、100Bによる水平走査方向は、ライトバルブ100Gによる水平走査方向と逆向きにして、左右を反転させた像を表示する構成となっている。
【0048】
電子機器としては、図10を参照して説明した他にも、テレビジョンや、ビューファインダー型・モニタ直視型のビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、ディジタルスチルカメラ、携帯電話機、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種の電子機器に対して、上記電気光学装置が適用可能なのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0049】
10…電気光学装置、20…表示制御回路、30…フレームメモリー、40…データ変換回路、100…表示パネル、110…画素、112…走査線、114…データ線、130…走査線駆動回路、140…データ線駆動回路、2100…プロジェクター
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームを複数のサブフィールドに、少なくとも一のサブフィールドの幅が他のサブフィールドの幅よりも短くなるように分割し、
複数の画素の各々を、前記サブフィールド毎に、それぞれオン状態またはオフ状態のいずれかとして階調を表現するとともに、
表現する階調数が、フレームを構成するサブフィールド個数よりも多い電気光学装置の駆動方法であって、
前記画素の応答特性を示す応答特性データを取得し、
前記応答特性データによって前記画素の応答が遅くなったことが示されたとき、前記複数のサブフィールドのうち、前記一のサブフィールドの幅を長くなるように設定する
ことを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項2】
前記一のサブフィールドの幅を、取得した応答特性データで示される応答特性にしたがって前記画素を、当該一のサブフィールドにわたってオン状態とし、他のサブフィールドにわたってオフ状態としたときの光学状態、または当該一のサブフィールドにわたってオフ状態とし、他のサブフィールドにわたってオン状態としたときの光学状態に基づいて決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項3】
取得した応答特性データによって前記画素の応答が遅くなったことが示されたときに、前記複数のサブフィールドのうち、前記一のサブフィールドを除いたサブフィールドのいずれかの幅を短くなるように設定する
ことを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項4】
フレームを複数のサブフィールドに、少なくとも一のサブフィールドの幅が他のサブフィールドの幅よりも短くなるように分割し、
複数の画素の各々を、前記サブフィールド毎に、それぞれオン状態またはオフ状態のいずれかとして階調を表現するとともに、
表現する階調数が、フレームを構成するサブフィールド個数よりも多い電気光学装置の駆動方法であって、
前記画素の応答特性を示す応答特性データを取得し、
前記応答特性データによって前記画素の応答が遅くなったことが示されたとき、前記複数のサブフィールドのうち、前記一のサブフィールドの幅を長くなるように設定する表示制御回路を有する
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
フレームを複数のサブフィールドに、少なくとも一のサブフィールドの幅が他のサブフィールドの幅よりも短くなるように分割し、
複数の画素の各々を、前記サブフィールド毎に、それぞれオン状態またはオフ状態のいずれかとして階調を表現するとともに、
表現する階調数が、フレームを構成するサブフィールド個数よりも多い電気光学装置の駆動方法であって、
前記画素の応答特性を示す応答特性データを取得し、
前記応答特性データによって前記画素の応答が遅くなったことが示されたとき、前記複数のサブフィールドのうち、前記一のサブフィールドの幅を長くなるように設定する
ことを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項2】
前記一のサブフィールドの幅を、取得した応答特性データで示される応答特性にしたがって前記画素を、当該一のサブフィールドにわたってオン状態とし、他のサブフィールドにわたってオフ状態としたときの光学状態、または当該一のサブフィールドにわたってオフ状態とし、他のサブフィールドにわたってオン状態としたときの光学状態に基づいて決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項3】
取得した応答特性データによって前記画素の応答が遅くなったことが示されたときに、前記複数のサブフィールドのうち、前記一のサブフィールドを除いたサブフィールドのいずれかの幅を短くなるように設定する
ことを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項4】
フレームを複数のサブフィールドに、少なくとも一のサブフィールドの幅が他のサブフィールドの幅よりも短くなるように分割し、
複数の画素の各々を、前記サブフィールド毎に、それぞれオン状態またはオフ状態のいずれかとして階調を表現するとともに、
表現する階調数が、フレームを構成するサブフィールド個数よりも多い電気光学装置の駆動方法であって、
前記画素の応答特性を示す応答特性データを取得し、
前記応答特性データによって前記画素の応答が遅くなったことが示されたとき、前記複数のサブフィールドのうち、前記一のサブフィールドの幅を長くなるように設定する表示制御回路を有する
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−186038(P2010−186038A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29922(P2009−29922)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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