説明

電気光学装置および画像印刷装置

【課題】 電気光学装置の面積の増大を抑えつつ、封止性能および接着強度を確保するこ
とが可能な電気光学装置およびこれを用いた画像印刷装置を提供する。
【解決手段】 電気光学装置10は、基板12と、基板12上に形成された発光素子14
と、発光素子14が形成された基板12の面を部分的に覆う封止体16を備える。封止体
16は、基板12に接合され、基板12と協働して発光素子14を封止する。封止体16
には、縁部から曲折する曲折壁部22が形成されており、基板12には封止体16の曲折
壁部22を受け入れる溝37が形成されている。溝37内に配置された接着剤38により
基板12および封止体16の曲折壁部22が接着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子とこれを保護する封止体を備えた電気光学装置およびこの電気光学
装置を備えた画像印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶素子に代わる次世代の発光デバイスとして、有機エレクトロルミネッセンス
(有機EL)素子や発光ポリマー素子などと呼ばれる有機発光ダイオード(Organic Lig
ht Emitting Diode、以下適宜「OLED」と略称する)素子が注目されている。OL
ED素子は、例えば特許文献1および特許文献2に開示されているように、表示装置に使
われる。
【0003】
また、多数のOLED素子を配列したラインヘッドを露光手段すなわち潜像書き込み器
として用いる電子写真方式の画像印刷装置が開発されている。
【0004】
OLED素子は外気にさらされた環境では水分または酸素の影響を受けて経年劣化する
ため、封止体により外気、特に水分および酸素から隔離してその劣化を抑制することが一
般的に行われている。OLEDの分野で使用される封止の種類には、素子が設けられた基
板に封止体の一面全体を接合する膜封止と、封止体の周縁部を接着剤により基板に接合し
てOLED素子の周囲に封止体と基板とで画定される空間を設けるキャップ封止がある。
通常、キャップ封止ではこの空間内に乾燥剤が配置される。
【0005】
特許文献1および特許文献2に記載の技術では、キャップ封止が使用されている。例え
ば、特許文献1の図2および図8ならびに特許文献2に記載された技術では、封止体の周
縁部に形成された曲折壁部の底面が基板の表面に接着されている。また、特許文献1の図
3から図6に記載された技術では、曲折壁部のない平板状の封止体の周縁部が基板の表面
に接着されている。
【0006】
【特許文献1】特開2000−173766号公報
【特許文献2】特開2001−185349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
OLED素子のような発光素子を備えた電気光学装置には小型化の要求が高い。例えば
、この種の電気光学装置を潜像書き込みのためのラインヘッドとして利用する電子写真方
式の画像印刷装置では、帯電器と現像器の間の限られたスペースで像担持体に潜像を書き
込む必要がある。このため、ラインヘッドが大きい場合には、像担持体から離れた位置に
ラインヘッドを配置するか、像担持体のサイズを大きくしなければならず、画像印刷装置
全体も大型化してしまう。電気光学装置を小型化することにより、画像印刷装置全体の小
型化に寄与する可能性がある。
【0008】
しかし、従来の電気光学装置では、封止体の周縁部または周縁部に形成された曲折壁部
の底面が基板の表面に接着されているため、封止性能を確保するために接着面積を大きく
すると、電気光学装置の面積が増大する。つまり接着面積を確保すると、その接着面には
、発光素子はもちろん発光素子を駆動するための回路を設けることもできない。接着剤の
層には封止性能を高めるために圧力がかけられ、仮に回路を設けると、回路を構成する配
線の立体交差部が圧縮されて短絡を引き起こすからである。従って、その接着面積の分、
発光素子が設けられた基板の面積の増大につながる。
【0009】
また、封止体の周縁部または周縁部に形成された曲折壁部の底面が基板の表面に接着さ
れている従来の構造では、封止体を基板から剥離しようとする力が与えられた場合には、
接着剤の引っ張り強度および剥離強度に起因する抵抗が生ずるが、これでは耐用強度が弱
い。
【0010】
そこで、本発明は、電気光学装置の面積の増大を抑えつつ、封止性能および接着強度を
確保することが可能な電気光学装置およびこれを用いた画像印刷装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る電気光学装置は、基板と、前記基板上に形成された発光素子と、前記発光
素子が形成された前記基板の面を部分的に覆い、前記基板に接合され、前記基板と協働し
て前記発光素子を封止する封止体とを備え、前記封止体には、その少なくとも一部から曲
折する曲折壁部が形成されており、前記基板には前記封止体の前記曲折壁部を受け入れる
溝が形成されており、前記溝内に配置された接着剤により前記基板および前記封止体の前
記曲折壁部が接着されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の構成によれば、基板に形成された溝内に封止体の曲折壁部が受け入れられるの
で、溝の深さの分、基板と封止体の接着面積を確保することが可能である。つまり、曲折
壁部の底面を大きくしなくても、接着面積を確保することが可能であるので、電気光学装
置の面積の増大を抑えつつ、封止性能を確保することが可能である。また、溝の底面と曲
折壁部の底面だけでなく溝の側面と曲折壁部の側面も接着される。本発明の構成では、封
止体を基板から剥離しようとする力が与えられた場合、溝の底面と曲折壁部の底面の間の
接着剤の引っ張り強度および剥離強度、ならびに溝の側面と曲折壁部の側面の間の接着剤
の剪断強度に起因する抵抗が生ずる。従って、接着剤の引っ張り強度および剥離強度によ
る抵抗だけで強度を得ている従来技術に比べて、本発明では接着強度を確保することが容
易である。
【0013】
ここで、「発光素子」とは、与えられた電気的なエネルギを光学的エネルギに変換する
素子であり、典型的には有機EL素子であるが、封止する必要があるのであれば無機EL
素子でもよい。
本発明に係る溝と曲折壁部の嵌め合わせ構造は、多数の箇所または封止体の周囲全体に
設けてもよいが、封止体の少なくとも一部に設けることにより、上記の効果が達成できる
。つまり封止体には少なくとも一部に曲折壁部が形成されていればよい。
【0014】
さらに上記の構成において、前記発光素子を駆動するための配線が、前記封止体と前記
基板で囲まれた領域から、前記溝の内面と前記封止体の曲折壁部の間を通過し、前記封止
体の外側に延びていると好ましい。これによれば、発光素子を駆動するための配線を容易
に配設することが可能である。
【0015】
この構成で、前記封止体には、その二箇所から前記曲折壁部と同じ方向に曲折し前記曲
折壁部よりも長い一対の第2の曲折壁部が形成されており、前記基板が前記第2の曲折壁
部の間に挟まれていて、前記基板の端面と前記第2の曲折壁部の間に配置された接着剤に
より前記基板および前記封止体の前記第2の曲折壁部が接着されていてもよい。これによ
れば、基板の端面と第2の曲折壁部の側面との間に接着剤が設けられ、基板と封止体の接
着面積を確保することが可能である。つまり、曲折壁部の底面を大きくしなくても、接着
面積を確保することが可能であるので、電気光学装置の面積の増大を抑えつつ、封止性能
を確保することが可能である。
【0016】
第2の曲折壁部を設けた形態では、前記基板には、前記発光素子と反対側にスペーサ板
が重ねられており、前記スペーサ板が前記第2の曲折壁部の間に挟まれていて、前記スペ
ーサ板の端面と前記第2の曲折壁部の間に配置された接着剤により前記スペーサ板および
前記封止体の前記第2の曲折壁部が接着されているようにしてもよい。発光素子が設けら
れた基板の厚さが大きくない場合には、スペーサ板が第2の曲折壁部に接着されることに
より、接着面積が増加し、封止性能を確保することが可能である。
【0017】
別の形態として、本発明に係る電気光学装置は、基板と、前記基板上に形成された発光
素子と、前記発光素子が形成された前記基板の面を部分的に覆い、前記基板に接合され、
前記基板と協働して前記発光素子を封止する封止体とを備え、前記封止体には、その二箇
所から互いに同じ方向に曲折する曲折壁部が形成されており、前記基板が前記曲折壁部の
間に挟まれていて、前記基板の端面と前記曲折壁部の間に配置された接着剤により前記基
板および前記封止体の前記曲折壁部が接着されていてもよい。
この構成によれば、基板の端面と曲折壁部の側面との間に接着剤が設けられ、基板と封
止体の接着面積を確保することが可能である。つまり、曲折壁部の底面を大きくしなくて
も、接着面積を確保することが可能であるので、電気光学装置の面積の増大を抑えつつ、
封止性能を確保することが可能である。また、この構成では、封止体を基板から剥離しよ
うとする力が与えられた場合、基板の端面および曲折壁部の側面の間の接着剤の剪断強度
に起因する抵抗が生ずる。一般に接着剤の剪断強度は高いので、接着剤の引っ張り強度お
よび剥離強度による抵抗だけで強度を得ている従来技術に比べて、本発明では接着強度を
確保することが容易である。
【0018】
この形態では、前記基板には、前記発光素子と反対側にスペーサ板が重ねられており、
前記スペーサ板が前記曲折壁部の間に挟まれていて、前記スペーサ板の端面と前記曲折壁
部の間に配置された接着剤により前記スペーサ板および前記封止体の前記曲折壁部が接着
されていることが好ましい。発光素子が設けられた基板の厚さが大きくない場合には、ス
ペーサ板が曲折壁部に接着されることにより、接着面積が増加し、封止性能を確保するこ
とが可能である。
【0019】
本発明に係る画像印刷装置は、像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電器と、複数の
前記発光素子が配列され、前記像担持体の帯電された面に複数の前記発光素子により光を
照射して潜像を形成する前記のいずれかの電気光学装置と、前記潜像にトナーを付着させ
ることにより前記像担持体に顕像を形成する現像器と、前記像担持体から前記顕像を他の
物体に転写する転写器とを備える。上記のように本発明に係る電気光学装置は小型化する
ことができるので、電気光学装置を像担持体に近い位置に配置するか、像担持体のサイズ
を小さくすることが可能であり、画像印刷装置も小型化することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る様々な実施の形態を説明する。なお、図
面においては、各部の寸法の比率は実際のものとは適宜に異ならせてある。
【0021】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電気光学装置を示す概略平面図であり、図2
は図1のA−A線矢視断面図であり、図3は図1のB−B線矢視断面図である。但し、図
1では後述する様々な配線の図示を省略する。
【0022】
図に例示された電気光学装置10は、電子写真方式を利用した画像印刷装置における像
担持体(例えば感光体ドラム)に静電潜像を書き込むためのライン型の光ヘッドとして用
いられる。電気光学装置10は、複数の発光素子14が同一平面上に配列された基板12
を備える。
【0023】
この実施の形態で、発光素子14は有機EL素子であり、各発光素子14は印加された
電圧に応じて発光する。発光素子14は、図1に示すように、二列かつ千鳥状のパターン
で配列されている。発光素子14の配列パターンは図示の形態に限定されず、単列または
三列以上でもよいし他の適切なパターンで配列されていてもよい。基板12の長手方向(
図1の横方向)が光ヘッドの主走査方向、図1の縦方向が副操作方向である。
【0024】
発光素子14が設けられた基板12は、ガラスまたは透明なプラスチックにより形成さ
れており、長尺の矩形の形状を有する。図示の形態では、各発光素子14から発せられた
光が、基板18の側に図2および図3の下方に放出させられる。すなわち、この電気光学
装置10はボトムエミッションタイプのOLED発光パネルである。
【0025】
図2および図3に示すように、基板12の表面上には、発光体アセンブリ30が形成さ
れている。図2に示すように、発光体アセンブリ30は、発光体・駆動体層34と、発光
体・駆動体層34の上部に配置された低電位電源線32と、発光体・駆動体層34の下部
に配置された高電位電源線36とを備える。
【0026】
発光体・駆動体層34の内部の幾何学的構成の詳細な図示は省略するが、後述するよう
に、発光体・駆動体層34には、発光素子14をそれぞれ含む複数の画素回路、これらの
画素回路への給電を制御する駆動回路が設けられている。画素回路の各々は、発光素子1
4とこれを駆動するTFT(薄膜トランジスタ)素子を有する。
【0027】
図4は、発光体アセンブリ30の駆動系統を示すブロック図である。図4に示すように
、上述した発光体・駆動体層34は、複数本、例えば128本のデータ線L0〜L127
および駆動回路280を備える。発光体・駆動体層34にはデータ信号D0〜D127の
他、各種の制御信号CTL、第1電源電位VICおよびグランド電位GNDが供給される
。データ信号D0〜D127は図示しないデータ制御回路からデータ線L0〜L127に
与えられる。第1電源電位VICは駆動回路280に対する高電位電源線27Aから駆動
回路280に与えられ、グランド電位GNDは駆動回路280に対する低電位電源線27
Bから駆動回路280に与えられる。制御信号CTLは、他の制御回路から信号線29を
介して駆動回路280に与えられる。
【0028】
図4に示された画素ブロックB1〜B40の各々は、一つの単位時間に駆動される複数
個、例えば128個の画素回路Pの集合である。駆動回路280には制御信号CTLとし
てクロック信号が供給され、駆動回路280はクロック信号に従って、選択信号SEL1
〜SEL40を順次出力する。選択信号SEL1〜SEL40は、それぞれ画素ブロック
B1〜B40に入力され、対応する画素ブロック内の128個の画素回路Pに供給される
。各選択信号SEL1〜SEL40は、潜像書き込みの主走査期間の1/40の期間(選
択期間)アクティブとなる。
【0029】
選択信号SEL1〜SEL40によって第1〜第40画素ブロックB1〜B40が排他
的に順次選択される。このように主走査期間を複数の選択期間(書込期間)に分割して、
画素ブロックB1〜B40を時分割駆動するので5120個(128×40)の画素回路
Pのそれぞれに専用のデータ線を設ける必要がなく、データ線の本数を削減することがで
きる。すなわち128本のデータ線L0〜L127で5120個の画素回路Pを制御する
ことができる。第1〜第4画素ブロックB1〜B40の各々は、データ線L0〜L127
にそれぞれ対応する128個の画素回路Pを備える。これらの画素回路Pには第2電源電
位VELとグランド電位GNDが供給される。第2電源電位VELは複数の発光素子14
に共通の高電位電源線36から与えられ、グランド電位GNDは複数の発光素子14に共
通の低電位電源線32から与えられる。そして、各選択期間においてデータ線L0〜L1
27を介して供給されるデータ信号D0〜D127が画素回路Pに取り込まれる。なお、
この例のデータ信号D0〜D127は発光素子の点灯・消灯を指示する2値の信号である

【0030】
図5は各画素回路Pの回路図である。各画素回路Pは、保持トランジスタ281、駆動
トランジスタ282およびOLED素子14を備える。保持トランジスタ281のゲート
には駆動回路280から選択信号SEL1〜SEL40のいずれかが供給され、そのソー
スはデータ線L0〜L127のいずれかと接続されることによりデータ信号D0〜D12
7のいずれかがソースに供給される。保持トランジスタ281のドレインと駆動トランジ
スタ282のゲートは接続線によって接続されている。接続線には浮遊容量が付随してお
り、この容量が保持容量として作用する。保持容量には選択期間において2値の電圧が書
き込まれ、次の選択期間まで書き込まれた電圧が保持される。従って、保持トランジスタ
を選択信号SEL1〜SEL40により選択した期間においてデータ信号D0〜D127
が発光素子14の点灯を指示する信号である期間のみ発光素子14が発光することになる

【0031】
駆動トランジスタ282のドレインには、高電位電源線36から第2電源電位VELが
供給される。駆動トランジスタ282のソースは、発光素子14の陽極と接続される。駆
動トランジスタ282は、保持容量に書き込まれた電圧(2値)に応じた駆動電流を発光
素子14に供給する。発光素子14の陰極には、低電位電源線32からグランド電位GN
Dが供給される。発光素子14は駆動電流の大きさに応じた量の光を発光する。
【0032】
図2に示す低電位電源線32は、複数の発光素子14に対して共通の陰極と接続されて
おり、陰極と同一の材料から同工程で形成される。発光体アセンブリ30内の発光素子1
4から発せられた光を下方に放出するために、発光素子14の陰極ひいては低電位電源線
32は例えばアルミニウムのような光を反射する導電材料で形成されている。
【0033】
また、図2に示す高電位電源線36も、複数の発光素子14に対して共通である。すな
わち、複数の発光素子14の各々の陽極は、その発光素子14に対応する駆動トランジス
タ282のソースに接続され、これらの駆動トランジスタ282のドレインは高電位電源
線36に接続されている。高電位電源線36は、発光素子14の陽極と同一の材料から同
工程で形成される。発光体アセンブリ30内の発光素子14から発せられた光を下方に放
出するために、高電位電源線36は例えば透明なITO(Indium Tin Oxide)で形成さ
れている。
【0034】
発光素子14を外気から隔離するために、基板12には、基板12と協働して発光素子
14を封止するキャップ封止体16が接合されている。封止体16は、発光素子14が設
けられた発光体・駆動体層34が形成された基板12の面を部分的に覆い、発光体・駆動
体層34の周囲に封止体16と基板12とで画定される空間を設けている。この空間内に
は、図示しない乾燥剤が配置されるが、乾燥剤を設けることは必須ではない。
【0035】
封止体16は概略的には長尺の矩形の形状を有するが、その周縁部には周縁部から曲折
する曲折壁部20,22が形成されている。曲折壁部20は封止体16の二つの短辺に形
成されており、曲折壁部22は封止体16の二つの長辺に形成されている。図2および図
3を参照すると明らかなように、曲折壁部20,22は同じ方向に延びているが、曲折壁
部22は曲折壁部20よりも長く延びており、その幅は曲折壁部20の幅Le3よりも小
さい。
【0036】
図2に示すように、基板12には、封止体16の曲折壁部22を受け入れる溝37が形
成されている。この溝37は、深さLe1および幅Le2を有する。一方の溝37の内壁
面には、発光素子14を駆動するための低電位電源線32が形成されている。従って、低
電位電源線32は、封止体16と基板12で囲まれた領域から、溝37の内壁面と封止体
16の曲折壁部22の間を通過し、封止体16の外側に延びている。また、他方の溝37
の内壁面には、発光素子14を駆動するための高電位電源線36が形成されている。従っ
て、高電位電源線36も、封止体16と基板12で囲まれた領域から、基板12の溝37
の内壁面と封止体16の曲折壁部22の間を通過し、封止体16の外側に延びている。封
止体16の外側の領域で、電源線32,36は図示しない電力供給装置に接続されている

【0037】
また、図3に示すように、発光体アセンブリ30の一部である配線40が、封止体16
と基板12で囲まれた領域から、封止体16の短辺の底面と基板12の間を通過し、封止
体16の外側に延びている。配線40は、上述した高電位電源線27A、低電位電源線2
7B、信号線29およびデータ線L0〜L127(図4)を表している。封止体16の外
側の領域で、配線40の端部には接続端子42が形成されており、接続端子42は図示し
ない電力供給装置または制御装置に接続されている。
【0038】
封止体16は、接着剤38により基板12に接合されている。図2に示すように、基板
12の長辺付近では、基板12の溝37の内部に接着剤38が配置され、この接着剤38
により、溝37の内壁面(電源線32,36がある部分では電源線32,36)と曲折壁
部22が接合されている。他方、図3に示すように、基板12の短辺付近では、封止体1
6の曲折壁部20の底面と基板12(配線40がある部分では配線40)の間に接着剤3
8が配置され、この接着剤38により曲折壁部20の底面と基板12が接合されている。
好ましくは、接着剤38としては熱硬化型または紫外線硬化型の接着剤が使用される。こ
のようにして、封止体16と基板12は、隙間なく接着剤38で封止される。
【0039】
この実施の形態によれば、基板12に形成された溝37内に封止体16の曲折壁部22
が受け入れられるので、溝37の深さLe1の分、基板12と封止体16の接着面積を確
保することが可能である。つまり、曲折壁部22の底面の幅を大きくしなくても、接着面
積を確保することが可能であるので、電気光学装置10の面積の増大を抑えつつ、封止性
能を確保することが可能である。
【0040】
また、溝37の底面と曲折壁部22の底面だけでなく溝37の側面と曲折壁部22の側
面も接着される。この構成では、基板12の長辺付近で封止体16を基板12から剥離し
ようとする力が与えられた場合、溝37の底面と曲折壁部22の底面の間の接着剤38の
引っ張り強度および剥離強度、ならびに溝37の側面と曲折壁部22の側面の間の接着剤
38の剪断強度に起因する抵抗が生ずる。従って、接着剤の引っ張り強度および剥離強度
による抵抗だけで強度を得ている従来技術に比べて、本発明では接着強度を確保すること
が容易である。
【0041】
例えば、図3に示す溝を使用しない曲折壁部20と基板12の接着構造に関しては、接
着幅は曲折壁部20の底面の幅Le3であって、現在入手可能な一般の接着剤で十分な封
止性能を確保しようとすると、少なくとも約1mmであると好ましい。また、現在入手可
能な一般の接着剤で十分な接着強度を確保しようとすると、接着幅つまり曲折壁部20の
底面の幅Le3は少なくとも約2mmであると好ましいので、結局のところ曲折壁部20
の底面の幅Le3は少なくとも約2mmであると好ましい。
【0042】
これに対して、図2に示す溝37を使用する曲折壁部22と基板12の接着構造に関し
ては、接着幅は2Le1+Le2である。現在入手可能な一般の接着剤で十分な封止性能
を確保しようとすると、2Le1+Le2≧1mmであればよい。例えば、溝37の深さ
Le1を0.75mm、溝37の幅Le2を0.5mmとした場合には、接着幅は2mm
となり、この条件を満たす。また、溝37の深さLe1を0.5mm、溝37の幅Le2
を0.5mmとした場合にも、接着幅は1.5mmとなり、この条件を満たす。
【0043】
溝37を使用する曲折壁部22と基板12の接着の強度は溝37の深さLe1により大
きく変動するが、深さLe1が少なくとも0.5mmあれば、大きな剪断強度を確保でき
、溝37の幅Le2が0.5mmあれば接着強度は十分であると考えられる。
【0044】
従来の封止体16と基板12の接着構造は、基本的に図3に示す構造と同様の溝を使用
しないタイプであるから、接着幅が少なくとも約2mmであると好ましく、その分電気光
学装置10の面積の増大を引き起こしていたが、この実施の形態では、図2に示す溝37
を使用する曲折壁部22と基板12の接着構造について曲折壁部22の底面の幅Le2は
0.5mmでよいので、その分電気光学装置10の面積を減少させることが可能である。
【0045】
さらに、発光素子14を駆動するための電源線32,36が、封止体16と基板12で
囲まれた領域から、溝37の内面と封止体16の曲折壁部22の間を通過し、封止体16
の外側に延びているので、電源線32,36を容易に配設することが可能である。
【0046】
図6および図7は、それぞれ第1の実施の形態の変形例に係る電気光学装置10の断面
図であり、より具体的には、図3と同様に図1のB−B線矢視断面図である。これらの変
形例では、基板12の短辺付近での封止体16と基板12の接合構造が第1の実施の形態
(図3)と異なっているが、基板12の長辺付近での封止体16と基板12の接合構造は
第1の実施の形態(図2)と同じであり溝37を用いる。
【0047】
図6および図7の変形例の構造では、封止体16の二つの短辺に曲折壁部20は形成さ
れていない。図6の構造では、基板12の短辺付近では、封止体16の縁の下面と基板1
2(配線40がある部分では配線40)の間に接着剤38が配置され、この接着剤38に
より封止体16の下面と基板12が接合されている。基板12の短辺付近での接着剤38
の幅Le3’は、現在入手可能な一般の接着剤で十分な接着強度を確保するには、少なく
とも約2mmであると好ましい。
【0048】
図7の構造では、基板12の短辺付近では、封止体16の縁の下面と基板12の間にス
ペーサ片44が介在させられている。スペーサ片44は例えばガラス、プラスチック、セ
ラミック、または金属で形成することが可能である。接着剤38は、封止体16の下面と
スペーサ片44の間、ならびにスペーサ片44と基板12(配線40がある部分では配線
40)の間に配置されている。このようにして、封止体16と基板12が接合されている
。基板12の短辺付近での接着剤38の幅Le3’’は、現在入手可能な一般の接着剤で
十分な接着強度を確保するには、少なくとも約2mmであると好ましい。
【0049】
これらの変形例でも、基板12の長辺付近での封止体16と基板12の接合構造に、第
1の実施の形態と同様に溝37と曲折壁部22の嵌め合わせ構造(図2)を用いることで
、上記と同じ効果が達成できる。
【0050】
なお、第1の実施の形態および上述の変形例では、基板12の二つの短辺付近では、溝
と曲折壁部の嵌め合わせ構造が設けられていない。しかし、溝37と曲折壁部22の嵌め
合わせ構造と同様の溝と曲折壁部の嵌め合わせ構造を、基板12の長辺付近だけでなく短
辺付近に設けてもよい。すなわち、連続したループ状の溝を基板に形成し、封止体にも周
囲全体にわたって連続したループ状の曲折壁部を形成して、溝に曲折壁部を嵌め込んでも
よい。
【0051】
<第2の実施の形態>
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る電気光学装置を示す概略平面図であり、図9
は図8のB−B線矢視断面図である。図8および図9においては、第1の実施の形態と共
通する構成要素を示すために同じ参照符号が使用されており、それらの構成要素について
は詳細には説明しない。また、図8では、図1と同様に、発光素子14を駆動するための
様々な配線の図示を省略する。
【0052】
図に例示された電気光学装置60は、第1の実施の形態の電気光学装置10と同様に電
子写真方式を利用した画像印刷装置における像担持体(例えば感光体ドラム)に静電潜像
を書き込むためのライン型の光ヘッドとして用いられる。図8のA−A線矢視断面図は図
2と同様である。従って、基板12の長辺付近での封止体16と基板12の接合構造に、
第1の実施の形態と同様に溝37と曲折壁部22の嵌め合わせ構造が用いられている。
【0053】
他方、図9に示すように、長尺曲折壁部(第2の曲折壁部)50が封止体16の二つの
短辺に形成されている。図2および図9を参照すると明らかなように、長尺曲折壁部50
、曲折壁部22は同じ方向に延びているが、長尺曲折壁部50は曲折壁部22よりも長く
延びている。基板12の二つの短辺の端面は、長尺曲折壁部50の側面に対向している。
すなわち、基板12が封止体16の長尺曲折壁部50の間に挟まれている。そして、基板
12の二つの短辺の端面と長尺曲折壁部50の間に配置された接着剤38により基板12
および封止体16の長尺曲折壁部50が接着されている。このようにして、封止体16と
基板12は、隙間なく接着剤38で封止される。
【0054】
このように基板12の二つの短辺が封止体16の長尺曲折壁部50で覆われているので
、この実施の形態では、配線40、すなわち高電位電源線27A、低電位電源線27B、
信号線29およびデータ線L0〜L127(図4)は、基板12の短辺から外側に延びて
いない。その代わり、図示しないが、配線40は、図2に示された電源線32,36と同
様に、封止体16と基板12で囲まれた領域から、基板12の長辺付近の溝37の内壁面
と封止体16の曲折壁部22の間を通過し、封止体16の外側に延びている。
【0055】
この実施の形態では、基板12の短辺での接着幅は、基板12の厚さLe4に等しい。
この構成では、基板12の短辺付近で封止体16を基板12から剥離しようとする力が与
えられた場合、基板12の端面と長尺曲折壁部50の側面の間の接着剤38の剪断強度に
起因する抵抗が生ずる。現在入手可能な一般の接着剤で十分な封止性能および接着強度を
確保しようとすると、接着幅つまり基板12の厚さLe4は少なくとも約1mmであると
好ましい。
【0056】
また、十分な構造的強度を確保するには、長尺曲折壁部50の厚さは少なくとも約0.
5mmあることが好ましい。これに対して、第1の実施の形態およびその変形例における
基板12の短辺付近での接着幅Le3,Le3’,Le3’’(図3、図6および図7)
は、上述した通り好ましくは約2mm以上である。従って、この実施の形態では、基板1
2の端面と長尺曲折壁部50の側面との間に接着面積を確保することが可能であるので、
長尺曲折壁部50の底面を大きくしなくてもよい。すなわち、電気光学装置60の面積の
増大を抑えつつ、封止性能を確保することが可能である。
【0057】
基板12の厚さLe4が大きくない場合には、図10に示すように、基板12の発光素
子14と反対側にスペーサ板54を重ねてもよい。スペーサ板54は、ガラスまたは透明
なプラスチックから形成されている。スペーサ板54は基板12と共に長尺曲折壁部50
の間に挟まれていて、スペーサ板54の端面と長尺曲折壁部50の間に配置された接着剤
38によりスペーサ板50および長尺曲折壁部50が接着されているようにしてもよい。
基板12に加えてスペーサ板54が長尺曲折壁部50に接着されることにより、基板12
が薄くても、接着面積が増加し、封止性能を確保することが可能である。接着幅つまり基
板12の厚さLe4とスペーサ板54の厚さLe5の合計は少なくとも約1mmであると
好ましい。
【0058】
上述した通り、第2の実施の形態および図10の変形例では、基板12の長辺付近での
封止体16と基板12の接合構造に、溝37と曲折壁部22の嵌め合わせ構造(図2)が
用いられている。しかし、基板12の長辺付近での封止体16と基板12の接合構造は、
図3、図6または図7に示された構造(第1の実施の形態での基板12の短辺付近での封
止体16と基板12の接合構造)と同様な、嵌め合わせのない接合構造であってもよい。
この変形例の図示は省略するが、この変形例では、配線40は、封止体16と基板12で
囲まれた領域から、封止体16の短辺の底面と基板12の間を通過し、封止体16の外側
に延びることになる。
【0059】
<第3の実施の形態>
図11は、本発明の第3の実施の形態に係る電気光学装置を示す概略平面図であり、図
12は図11のA−A線矢視断面図である。図11および図12においては、第1の実施
の形態と共通する構成要素を示すために同じ参照符号が使用されており、それらの構成要
素については詳細には説明しない。また、図11では、図1と同様に、発光素子14を駆
動するための様々な配線の図示を省略する。
【0060】
図に例示された電気光学装置70は、第1の実施の形態の電気光学装置10と同様に電
子写真方式を利用した画像印刷装置における像担持体(例えば感光体ドラム)に静電潜像
を書き込むためのライン型の光ヘッドとして用いられる。図11のB−B線矢視断面図は
図3、図6および図7のいずれかと同様である。従って、配線40が、封止体16と基板
12で囲まれた領域から、封止体16の短辺の底面と基板12の間を通過し、封止体16
の外側に延びている。
【0061】
他方、図12に示すように、長尺曲折壁部50が封止体16の二つの長辺に形成されて
いる。図12および図3を参照すると明らかなように、長尺曲折壁部50,曲折壁部20
は同じ方向に延びているが、長尺曲折壁部50は曲折壁部20よりも長く延びている。基
板12の二つの短辺の端面は、長尺曲折壁部50の側面に対向している。すなわち、基板
12が封止体16の長尺曲折壁部50の間に挟まれている。そして、基板12の二つの短
辺の端面と長尺曲折壁部50の間に配置された接着剤38により基板12および封止体1
6の長尺曲折壁部50が接着されている。このようにして、封止体16と基板12は、隙
間なく接着剤38で封止される。
【0062】
このように基板12の二つの長辺が封止体16の長尺曲折壁部50で覆われているので
、この実施の形態では、電源線32,36は、基板12の長辺から外側に延びていない。
その代わり、図示しないが、電源線32,36は、図3、図6および図7に示された配線
40と同様に、封止体16と基板12で囲まれた領域から、封止体16の短辺の底面と基
板12の間を通過し、封止体16の外側に延びている。
【0063】
この実施の形態では、基板12の長辺での接着幅は、基板12の厚さLe4’に等しい
。この構成では、基板12の長辺付近で封止体16を基板12から剥離しようとする力が
与えられた場合、基板12の端面と長尺曲折壁部50の側面の間の接着剤38の剪断強度
に起因する抵抗が生ずる。一般に接着剤の剪断強度は高いので、接着剤の引っ張り強度お
よび剥離強度による抵抗だけで強度を得ている従来技術に比べて、この実施の形態では接
着強度を確保することが容易である。現在入手可能な一般の接着剤で十分な封止性能およ
び接着強度を確保しようとすると、接着幅つまり基板12の厚さLe4’は少なくとも約
1mmであると好ましい。
【0064】
また、十分な構造的強度を確保するには、長尺曲折壁部50の厚さは少なくとも約0.
5mmあることが好ましい。これに対して、従来の構造では、接着面は基板12の表面に
平行な方向にあり、その幅は、好ましくは約2mm以上である。従って、この実施の形態
では、基板12の端面と長尺曲折壁部50の側面との間に接着面積を確保することが可能
であるので、長尺曲折壁部50の底面を大きくしなくてもよい。すなわち、電気光学装置
60の面積の増大を抑えつつ、封止性能を確保することが可能である。
【0065】
基板12の厚さLe4’が大きくない場合には、図13に示すように、基板12の発光
素子14と反対側にスペーサ板54を重ねてもよい。スペーサ板54は、ガラスまたは透
明なプラスチックから形成されている。スペーサ板54は基板12と共に長尺曲折壁部5
0の間に挟まれていて、スペーサ板54の端面と長尺曲折壁部50の間に配置された接着
剤38によりスペーサ板54および長尺曲折壁部50が接着されているようにしてもよい
。基板12に加えてスペーサ板54が長尺曲折壁部50に接着されることにより、基板1
2が薄くても、接着面積が増加し、封止性能を確保することが可能である。接着幅つまり
基板12の厚さLe4’とスペーサ板54の厚さLe5’の合計は少なくとも約1mmで
あると好ましい。
【0066】
上述した通り、第3の実施の形態および図12の変形例では、基板12の短辺付近での
封止体16と基板12の接合構造に、図3、図6または図7の接合構造が用いられている
。しかし、基板12の短辺付近での封止体16と基板12の接合構造は、図2に示された
溝と曲折壁部の嵌め合わせ構造(第1の実施の形態での基板12の長辺付近での封止体1
6と基板12の接合構造)と同様な、嵌め合わせ接合構造であってもよい。この変形例の
図示は省略するが、この変形例では、配線40は、封止体16と基板12で囲まれた領域
から、基板12の短辺付近の溝の内壁面と封止体16の短辺の曲折壁部の間を通過し、封
止体16の外側に延びることになる。
【0067】
<画像印刷装置>
上述したように、電気光学装置10,60,70は、電子写真方式を利用した画像印刷
装置における像担持体に潜像を書き込むためのライン型の光ヘッドとして用いることが可
能である。画像印刷装置の例としては、プリンタ、複写機の印刷部分およびファクシミリ
の印刷部分がある。
【0068】
図14は、電気光学装置10,60,70のいずれかをライン型の光ヘッドとして用い
た画像印刷装置の一例を示す縦断面図である。この画像印刷装置は、ベルト中間転写体方
式を利用したタンデム型のフルカラー画像印刷装置である。
【0069】
この画像印刷装置では、同様な構成の4個の有機ELアレイ露光ヘッド10K,10C
,10M,10Yが、同様な構成である4個の感光体ドラム(像担持体)110K,11
0C,110M,110Yの露光位置にそれぞれ配置されている。有機ELアレイ露光ヘ
ッド10K,10C,10M,10Yは上述した電気光学装置10,60,70のいずれ
かである。
【0070】
図14に示すように、この画像印刷装置には、駆動ローラ121と従動ローラ122が
設けられており、これらのローラ121,122には無端の中間転写ベルト120が巻回
されて、矢印に示すようにローラ121,122の周囲を回転させられる。図示しないが
、中間転写ベルト120に張力を与えるテンションローラなどの張力付与手段を設けても
よい。
【0071】
この中間転写ベルト120の周囲には、互いに所定間隔をおいて4個の外周面に感光層
を有する感光体ドラム110K,110C,110M,110Yが配置される。添え字K
,C,M,Yはそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローの顕像を形成するために使用さ
れることを意味している。他の部材についても同様である。感光体ドラム110K,11
0C,110M,110Yは、中間転写ベルト120の駆動と同期して回転駆動される。
【0072】
各感光体ドラム110(K,C,M,Y)の周囲には、コロナ帯電器111(K,C,
M,Y)と、有機ELアレイ露光ヘッド10(K,C,M,Y)と、現像器114(K,
C,M,Y)が配置されている。コロナ帯電器111(K,C,M,Y)は、対応する感
光体ドラム110(K,C,M,Y)の外周面を一様に帯電させる。有機ELアレイ露光
ヘッド10(K,C,M,Y)は、感光体ドラムの帯電させられた外周面に静電潜像を書
き込む。各有機ELアレイ露光ヘッド10(K,C,M,Y)は、複数のOLED素子1
4の配列方向が感光体ドラム110(K,C,M,Y)の母線(主走査方向)に沿うよう
に設置される。静電潜像の書き込みは、上記の複数のOLED素子14により光を感光体
ドラムに照射することにより行う。現像器114(K,C,M,Y)は、静電潜像に現像
剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラムに顕像すなわち可視像を形成する

【0073】
このような4色の単色顕像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、
イエローの各顕像は、中間転写ベルト120上に順次一次転写されることにより、中間転
写ベルト120上で重ね合わされて、この結果フルカラーの顕像が得られる。中間転写ベ
ルト120の内側には、4つの一次転写コロトロン(転写器)112(K,C,M,Y)
が配置されている。一次転写コロトロン112(K,C,M,Y)は、感光体ドラム11
0(K,C,M,Y)の近傍にそれぞれ配置されており、感光体ドラム110(K,C,
M,Y)から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写コロトロンの
間を通過する中間転写ベルト120に顕像を転写する。
【0074】
最終的に画像を形成する対象としてのシート102は、ピックアップローラ103によ
って、給紙カセット101から1枚ずつ給送されて、駆動ローラ121に接した中間転写
ベルト120と二次転写ローラ126の間のニップに送られる。中間転写ベルト120上
のフルカラーの顕像は、二次転写ローラ126によってシート102の片面に一括して二
次転写され、定着部である定着ローラ対127を通ることでシート102上に定着される
。この後、シート102は、排紙ローラ対128によって、装置上部に形成された排紙カ
セット上へ排出される。
【0075】
図14の画像印刷装置は、書き込み手段として有機ELアレイを有する電気光学装置1
0,60,70のいずれかを用いているので、レーザ走査光学系を用いた場合よりも、装
置の小型化を図ることができる。また、上述した通り電気光学装置10,60,70のい
ずれかは従来よりも小型化することができるので、感光体ドラム110K,110C,1
10M,110Yに近い位置に配置することが可能であり、画像印刷装置もより小型化す
ることが可能である。
【0076】
次に、本発明に係る画像印刷装置の他の実施の形態について説明する。
図15は、電気光学装置10,60,70のいずれかをライン型の光ヘッドとして用い
た他の画像印刷装置の縦断面図である。この画像印刷装置は、ベルト中間転写体方式を利
用したロータリ現像式のフルカラー画像印刷装置である。図15に示す画像印刷装置にお
いて、感光体ドラム(像担持体)165の周囲には、コロナ帯電器168、ロータリ式の
現像ユニット161、有機ELアレイ露光ヘッド167、中間転写ベルト169が設けら
れている。
【0077】
コロナ帯電器168は、感光体ドラム165の外周面を一様に帯電させる。有機ELア
レイ露光ヘッド167は、感光体ドラム165の帯電させられた外周面に静電潜像を書き
込む。有機ELアレイ露光ヘッド167は、上述した電気光学装置10,60,70のい
ずれかであり、複数のOLED素子14の配列方向が感光体ドラム165の母線(主走査
方向)に沿うように設置される。静電潜像の書き込みは、上記の複数のOLED素子14
により光を感光体ドラムに照射することにより行う。
【0078】
現像ユニット161は、4つの現像器163Y,163C,163M,163Kが90
°の角間隔をおいて配置されたドラムであり、軸161aを中心にして反時計回りに回転
可能である。現像器163Y,163C,163M,163Kは、それぞれイエロー、シ
アン、マゼンタ、黒のトナーを感光体ドラム165に供給して、静電潜像に現像剤として
のトナーを付着させることにより感光体ドラム165に顕像すなわち可視像を形成する。
【0079】
無端の中間転写ベルト169は、駆動ローラ170a、従動ローラ170b、一次転写
ローラ166およびテンションローラに巻回されて、これらのローラの周囲を矢印に示す
向きに回転させられる。一次転写ローラ166は、感光体ドラム165から顕像を静電的
に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写ローラ166の間を通過する中間転写ベ
ルト169に顕像を転写する。
【0080】
具体的には、感光体ドラム165の最初の1回転で、露光ヘッド167によりイエロー
(Y)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Yにより同色の顕像が形成され、
さらに中間転写ベルト169に転写される。また、次の1回転で、露光ヘッド167によ
りシアン(C)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Cにより同色の顕像が形
成され、イエローの顕像に重なり合うように中間転写ベルト169に転写される。そして
、このようにして感光体ドラム9が4回転する間に、イエロー、シアン、マゼンタ、黒の
顕像が中間転写ベルト169に順次重ね合わせられ、この結果フルカラーの顕像が転写ベ
ルト169上に形成される。最終的に画像を形成する対象としてのシートの両面に画像を
形成する場合には、中間転写ベルト169に表面と裏面の同色の顕像を転写し、次に中間
転写ベルト169に表面と裏面の次の色の顕像を転写する形式で、フルカラーの顕像を中
間転写ベルト169上で得る。
【0081】
画像印刷装置には、シートが通過させられるシート搬送路174が設けられている。シ
ートは、給紙カセット178から、ピックアップローラ179によって1枚ずつ取り出さ
れ、搬送ローラによってシート搬送路174を進行させられ、駆動ローラ170aに接し
た中間転写ベルト169と二次転写ローラ171の間のニップを通過する。二次転写ロー
ラ171は、中間転写ベルト169からフルカラーの顕像を一括して静電的に吸引するこ
とにより、シートの片面に顕像を転写する。二次転写ローラ171は、図示しないクラッ
チにより中間転写ベルト169に接近および離間させられるようになっている。そして、
シートにフルカラーの顕像を転写する時に二次転写ローラ171は中間転写ベルト169
に当接させられ、中間転写ベルト169に顕像を重ねている間は二次転写ローラ171か
ら離される。
【0082】
上記のようにして画像が転写されたシートは定着器172に搬送され、定着器172の
加熱ローラ172aと加圧ローラ172bの間を通過させられることにより、シート上の
顕像が定着する。定着処理後のシートは、排紙ローラ対176に引き込まれて矢印Fの向
きに進行する。両面印刷の場合には、シートの大部分が排紙ローラ対176を通過した後
、排紙ローラ対176が逆方向に回転させられ、矢印Gで示すように両面印刷用搬送路1
75に導入される。そして、二次転写ローラ171により顕像がシートの他面に転写され
、再度定着器172で定着処理が行われた後、排紙ローラ対176でシートが排出される

【0083】
図15の画像印刷装置は、書き込み手段として有機ELアレイを有する露光ヘッド16
7(電気光学装置10,60,70のいずれか)を用いているので、レーザ走査光学系を
用いた場合よりも、装置の小型化を図ることができる。また、上述した通り電気光学装置
10,60,70のいずれかは従来よりも小型化することができるので、感光体ドラム1
65に近い位置に配置することが可能であり、画像印刷装置もより小型化することが可能
である。
【0084】
以上、電気光学装置10,60,70のいずれかを応用可能な画像印刷装置を例示した
が、他の電子写真方式の画像印刷装置にも電気光学装置10,60,70のいずれかを応
用することが可能であり、そのような画像印刷装置は本発明の範囲内にある。例えば、中
間転写ベルトを使用せずに感光体ドラムから直接シートに顕像を転写するタイプの画像印
刷装置や、モノクロの画像を形成する画像印刷装置にも電気光学装置10,60,70の
いずれかを応用することが可能である。
【0085】
<他の応用>
本発明に係る電気光学装置は、さらに各種の露光装置、照明装置および画像表示装置に
応用することが可能である。
【0086】
<変形例>
上述した発光素子14は有機EL素子である。しかし、封止する必要があるのであれば
、無機EL素子を設けた基板を上記の実施の形態と同様に封止してもよい。
上述した電気光学装置10はボトムエミッションタイプであるが、発光素子が設けられ
た基板と反対側に光を放出するトップエミッションタイプの電気光学装置に上記の実施の
形態と同様の封止構造を用いてもよい。
【0087】
上述した実施の形態では、基板12および封止体16は矩形であるが、他の形状でもよ
い。また、上述した実施の形態では、封止体16の周縁に曲折壁部20,22,50が形
成されているが、曲折壁部が形成されている位置は封止体の他の部分でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電気光学装置を示す概略平面図である。
【図2】図1のA−A線矢視断面図である。
【図3】図1のB−B線矢視断面図である。
【図4】前記電気光学装置の駆動系統を示すブロック図である。
【図5】図4の駆動系統内の各画素回路の回路図である。
【図6】第1の実施の形態の変形例に係る電気光学装置の断面図である。
【図7】第1の実施の形態の他の変形例に係る電気光学装置の断面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る電気光学装置を示す概略平面図である。
【図9】図8のB−B線矢視断面図である。
【図10】第2の実施の形態の変形例に係る電気光学装置の断面図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係る電気光学装置を示す概略平面図である。
【図12】図11のA−A線矢視断面図である。
【図13】第3の実施の形態の変形例に係る電気光学装置の断面図である。
【図14】図1または図10に示した電気光学装置を用いた画像印刷装置の一例を示す縦断面図である。
【図15】図1または図10に示した電気光学装置を用いた画像印刷装置の他の例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0089】
10,60,70…電気光学装置、12…基板、14…発光素子、16…封止体、20
,22…曲折壁部、32…低電位電源線、36…高電位電源線、37…溝、38…接着剤
、40…配線、50…長尺曲折壁部、54…スペーサ板、L0〜L127…データ線、2
7A…高電位電源線、27B…低電位電源線、29…信号線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された発光素子と、
前記発光素子が形成された前記基板の面を部分的に覆い、前記基板に接合され、前記基
板と協働して前記発光素子を封止する封止体とを備え、
前記封止体には、その少なくとも一部から曲折する曲折壁部が形成されており、
前記基板には前記封止体の前記曲折壁部を受け入れる溝が形成されており、
前記溝内に配置された接着剤により前記基板および前記封止体の前記曲折壁部が接着さ
れていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記発光素子を駆動するための配線が、前記封止体と前記基板で囲まれた領域から、前
記溝の内面と前記封止体の曲折壁部の間を通過し、前記封止体の外側に延びていることを
特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記封止体には、その二箇所から前記曲折壁部と同じ方向に曲折し前記曲折壁部よりも
長い一対の第2の曲折壁部が形成されており、
前記基板が前記第2の曲折壁部の間に挟まれていて、前記基板の端面と前記第2の曲折
壁部の間に配置された接着剤により前記基板および前記封止体の前記第2の曲折壁部が接
着されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記基板には、前記発光素子と反対側にスペーサ板が重ねられており、
前記スペーサ板が前記第2の曲折壁部の間に挟まれていて、前記スペーサ板の端面と前
記第2の曲折壁部の間に配置された接着剤により前記スペーサ板および前記封止体の前記
第2の曲折壁部が接着されていることを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置。
【請求項5】
基板と、
前記基板上に形成された発光素子と、
前記発光素子が形成された前記基板の面を部分的に覆い、前記基板に接合され、前記基
板と協働して前記発光素子を封止する封止体とを備え、
前記封止体には、その二箇所から互いに同じ方向に曲折する曲折壁部が形成されており

前記基板が前記曲折壁部の間に挟まれていて、前記基板の端面と前記曲折壁部の間に配
置された接着剤により前記基板および前記封止体の前記曲折壁部が接着されていることを
特徴とする電気光学装置。
【請求項6】
前記基板には、前記発光素子と反対側にスペーサ板が重ねられており、
前記スペーサ板が前記曲折壁部の間に挟まれていて、前記スペーサ板の端面と前記曲折
壁部の間に配置された接着剤により前記スペーサ板および前記封止体の前記曲折壁部が接
着されていることを特徴とする請求項5に記載の電気光学装置。
【請求項7】
像担持体と、
前記像担持体を帯電する帯電器と、
複数の前記発光素子が配列され、前記像担持体の帯電された面に複数の前記発光素子に
より光を照射して潜像を形成する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電気光学
装置と、
前記潜像にトナーを付着させることにより前記像担持体に顕像を形成する現像器と、
前記像担持体から前記顕像を他の物体に転写する転写器とを備える画像印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−202650(P2006−202650A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−14529(P2005−14529)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】