説明

電気光学装置及び電子機器

【課題】共通電位を好適に調整する。
【解決手段】電気光学装置(100)は、画素部(70)と、ダミー画素部(70d)と、ダミー画素部に対して正極性書込及び負極性書込を行う書込手段(101、104)と、正極性書込が行われたダミー画素電極(9d)に蓄積された電荷の放電に要する時間である正極性放電時間、及び負極性書込が行われたダミー画素電極に蓄積された電荷の放電に要する時間である負極性放電時間の夫々を検出する検出手段(134、135)と、正極性放電時間と負極性放電時間とが等しくなるように、共通電位を補正する補正手段(137)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶装置等の電気光学装置、及びこのような電気光学装置を備える電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置として、一対の素子基板及び対向基板間に、電気光学物質の一例である液晶が挟持される液晶装置が一例としてあげられる。素子基板上における複数の画素が配列されてなる画素領域には、走査線及びデータ線の交差に対応して画素電極を含む画素部が形成されることにより、複数の画素部がマトリクス状に平面配列される。そして、各画素部には、画素スイッチング素子として、例えば薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;以下適宜、「TFT」と称する)が含まれる。電気光学装置の駆動時、各画素部において、走査線より走査信号が供給されることにより画素スイッチング素子がオン状態となると、データ線より画素スイッチング素子を介して画素電極に画像信号が供給される。また、典型的には、複数の画素電極に対応して、画素領域の概ね全体に、複数の画素部に共通に共通電極(或いは、対向電極)がベタ状に形成されている。そして、液晶装置の駆動時には、画素電極と共通電極との間の電位差に基づく印加電圧が液晶に印加される。その結果、液晶の配向や秩序が制御され、画像表示が可能となる。
【0003】
このような液晶装置においては、液晶の焼きつきを防止するために、液晶に印加される電圧の極性を一定時間毎に反転させている(つまり、極性反転駆動が行われる)。具体的には、所定の基準電位(典型的には、共通電極に印加される共通電位)を基準にして、一定時間毎に、画素電極に印加する電位を高電位側及び低電位側に交互に変化させて書き込んでいる。言い換えれば、一定時間毎に、正極性書込と負極性書込とを交互に行う。この場合、共通電位を固定してもよいし、或いは正極性書込時の共通電位を低電位側に変化させると共に、負極性書込時の共通電位を高電位側に変化させてもよい。
【0004】
このように画素電極に書き込まれた電位は、次の書込み時まで保持されることが好ましいが、実際には、TFTのゲートとソースとの間に存在する浮遊容量の影響を受けて変動してしまう。このような画素電極の電位の変動は、正極性書込時の画素電極及び共通電極間の電位差と、負極性書込時の画素電極及び共通電極間の電位差との間に差異が生ずる原因となりかねない。その結果、正極性書込時と負極性書込時との間で、共通電位に対して非対称な電位が液晶に印加されることになりかねない。また、画素電極に書き込まれた電位が好適に保持された場合であっても、共通電位が変動する(或いは、共通電位が高電位側及び低電位側の夫々に交互に変化する場合には、共通電位のセンター電位が変動する)ことで、同様の問題が発生する。これは、画面のちらつき(フリッカ)や液晶の焼き付きを発生させることになるため好ましくない。
【0005】
このため、このような不都合を解決するために、手動で共通電位を調整する技術(例えば、特許文献1参照)や、正極性書込時の画素電極及び共通電極間の電位差と、負極性書込時の画素電極及び共通電極間の電位差とをモニタリングすることで、正極性書込時の画素電極及び共通電極間の電位差と、負極性書込時の画素電極及び共通電極間の電位差とが等しくなるように共通電位を調整する技術(例えば、特許文献2参照)が開発されている。
【0006】
【特許文献1】特開平8−63128号公報
【特許文献2】特開2004−164677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、オペレータが手動で共通電位を調整する必要があるため、出荷時に行う必要がある。このため、出荷後に書込電位或いは共通電位のずれが発生してしまった場合には対応することができないという技術的な問題点を有している。また、特許文献2に開示された技術は、電位差を直接的に測定しているため、測定の精度が優れているとは限らず、その結果、調整の精度が優れているとは限らないという技術的な問題点を有している。
【0008】
本発明は、例えば上述した従来の問題点に鑑みなされたものであり、例えば共通電位を好適に調整する電気光学装置、及びこのような駆動装置を備える電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(電気光学装置)
本発明の電気光学装置は、画像表示領域に配置される画素部と、前記画像表示領域の周辺に位置するダミー画素領域に配置されるダミー画素部と、前記ダミー画素部に対して、前記ダミー画素部が備えるダミー画素電極への書込電位が共通電極に供給される共通電位よりも高電位側にある正極性書込、及び前記ダミー画素電極への書込電位が前記共通電位よりも低電位側にある負極性書込を行う書込手段と、前記正極性書込が行われた前記ダミー画素電極に蓄積された電荷の放電に要する時間である正極性放電時間、及び前記負極性書込が行われた前記ダミー画素電極に蓄積された電荷の放電に要する時間である負極性放電時間の夫々を検出する検出手段と、前記正極性放電時間と前記負極性放電時間とが等しくなるように、前記共通電位を補正する補正手段とを備える。
【0010】
本発明の電気光学装置によれば、画像表示領域に配置される画素部(典型的には、マトリクス状に配置された複数の画素部)を利用して、画像表示等を行うことができる。本発明では、典型的には、所定の時間毎に、正極性書込と負極性書込とが交互に行われる。例えば、走査線に沿って配置された同一行の画素部に対して正極性書込が行われると共に、相隣接する行の画素部に対して負極性書込が行われる。ここに、正極性書込とは、所定の基準電位(典型的には、画素部が備える画素電極と共に電気光学物質に対して電界を印加する共通電極の共通電位)を基準として、画素部が備える画素電極に印加される画像信号の電位が高電位側にある状態を示す。一方で、負極性書込とは、所定の基準電位(典型的には、画素部が備える画素電極と共に電気光学物質に対して電界を印加する共通電極の共通電位)を基準として、画素部が備える画素電極に印加される画像信号の電位が低電位側にある状態を示す。このとき、共通電位を固定すると共に、画素電極に印加される画像信号の電位のみを共通電位に対して高電位側に変化させることで正極性書込を行い、また画素電極に印加される画像信号の電位のみを共通電位に対して低電位側に変化させることで負極性書込を行うように構成してもよい。或いは、共通電位を低電位側に変化させると共に画素電極に印加される画像信号の電位を共通電位に対して高電位側に変化させることで正極性書込を行い、また共通電位を高電位側に変化させると共に画素電極に印加される画像信号の電位を共通電位に対して低電位側に変化させることで負極性書込を行うように構成してもよい。係る書込動作は、書込手段の動作により行われてもよい。これにより、液晶等の電気光学物質に印加される電圧の極性を一定時間毎に反転させることができるため、焼き付きを好適に防止することができる。
【0011】
本発明の電気光学装置は特に、画像表示に用いられる画像表示領域の周囲にダミー画素部が配置されるダミー画素領域を備える。ダミー画素部とは、画像表示に用いられる必要が必ずしもない画素部を示す趣旨であり、好ましくは画素部の構成を模擬し、その動作が画素部の動作を模擬するように形成される。
【0012】
ダミー画素領域内におけるダミー画素部に対しては、書込手段の動作により、画素部に対する書込動作と同様の態様で、正極性書込及び負極性書込が行われる。書込動作の結果、ダミー画素部が備えるダミー画素電極には、印加される画像信号の電位と共通電極の共通電位との電位差に応じた電荷が蓄積される。その後、所定のタイミングで、ダミー画素電極に蓄積された電荷の放電処理が行われる。このとき、検出手段の動作により、正極性書込が行われたダミー画素電極に蓄積された電荷の放電に要する時間である正極性放電時間が検出される。同様に、負極性書込が行われたダミー画素電極に蓄積された電荷の放電に要する時間である負極性放電時間が検出される。
【0013】
ここで、正極性放電時間と負極性放電時間とが等しければ、正極性書込が行われる時の画像信号の電位と共通電極の共通電位との間の電位差と、負極性書込が行われる時の画像信号の電位と共通電極の共通電位との間の電位差とが等しいと考えられる。つまり、正極性書込時と負極性書込時との間で、共通電位に対して対称な電位を有する画像信号がダミー画素電極(或いは、画素部が備える画素電極)に印加されていると考えられる。このため、フリッカが発生することは殆ど或いは全くない状態であるため、補正手段による共通電位の補正(言い換えれば、調整)は不要である。
【0014】
他方で、正極性放電時間と負極性放電時間とが等しくなければ、正極性書込が行われる時の画像信号の電位と共通電極の共通電位との間の電位差と、負極性書込が行われる時の画像信号の電位と共通電極の共通電位との間の電位差とが等しくないと考えられる。つまり、正極性書込時と負極性書込時との間で、共通電位に対して非対称な電位を有する画像信号がダミー画素電極(或いは、画素部が備える画素電極)に印加されていると考えられる。このため、フリッカが発生し得る又は既に発生している状態であるため、補正手段による共通電位の補正が行われる。具体的には、正極性放電時間と負極性放電時間とが等しくなるように(言い換えれば、正極性書込が行われる時の画像信号の電位と共通電極の共通電位との間の電位差と、負極性書込が行われる時の画像信号の電位と共通電極の共通電位との間の電位差とが等しくなるように)、共通電位を高電位側又は低電位側へ変化させるように共通電位が補正される。その後、補正された共通電位を用いて、画素部に対する書込動作が行われる。
【0015】
このため、本発明の電気光学装置によれば、正極性書込時と負極性書込時との間で、共通電位に対して非対称な電位を有する画像信号が画素電極に印加される不都合の発生を好適に抑制することができる。従って、フリッカの発生や電気光学物質の焼き付きの発生を抑制することができる。
【0016】
また、検出手段及び補正手段の夫々の動作により、いわば自動的に共通電位が補正されるため、手動で共通電位を補正する必要がなくなる。従って、共通電位の補正の精度を向上させることができると共に、電気光学装置の出荷後であっても共通電位を補正することができる。
【0017】
更に、液晶装置のような電気光学装置上では相対的に検出しにくい(或いは、電圧を検出する装置を新たに設置しにくいがゆえに相対的に検出しにくい)電圧を直接検出することに代えて、相対的に検出しやすい電荷量及びその放電に要する時間を検出しているため、相対的には検出動作が容易であるという利点をも享受することができる。更に、電位差を直接的に検出する態様と比較して、検出の精度をも向上させることができるため、結果として、共通電位の補正の精度を向上させることができる。
【0018】
また、ダミー画素部に対して書込動作及び検出動作を行っているため、画素部を用いた通常の画像表示動作に影響を与えることなく、上述した動作を行うことができる。
【0019】
本発明の電気光学装置の一の態様では、前記検出手段は、前記ダミー画素電極に蓄積された電荷の量と所定値とを比較するコンパレータ、及び所定周期で立ち上がるクロックパルスのパルス数をカウントするカウンタを備えており、前記正極性書込みが行われた前記ダミー画素電極に蓄積された電荷の放電が開始されてから、前記ダミー画素電極に蓄積された電荷の量が前記所定値を下回ると前記コンパレータによって判定されるまでの間に、前記カウンタによってカウントされた前記クロックパルスのパルス数を、前記正極性放電時間として検出し、前記負極性書込みが行われた前記ダミー画素電極に蓄積された電荷の放電が開始されてから、前記ダミー画素電極に蓄積された電荷の量が前記所定値を下回ると前記コンパレータによって判定されるまでの間に、前記カウンタによってカウントされた前記クロックパルスのパルス数を、前記負極性放電時間として検出する。
【0020】
この態様によれば、ダミー画素電極に蓄積された電荷の量及び該蓄積された電荷の放電に要する時間を容易に且つ確実に検出することができる。その結果、上述した共通電位の補正を好適に行うことができるため、上述した効果を好適に享受することができる。
【0021】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記検出手段は、前記ダミー画素電極に蓄積された電荷を放電させるための放電用定電流源を更に備える。
【0022】
この態様によれば、ダミー画素電極に蓄積された電荷を好適に放電させることができる。特に、放電用定電流源のパラメータ(例えば、電流値や電圧値等)を調整することで、放電に要する時間を細かに調整することができる。従って、より検出しやすい態様で又は電気光学装置若しくは電気光学装置が備える各種構成要素の仕様に合わせた柔軟な態様で、正極性放電時間及び負極性放電時間の夫々を検出することができる。
【0023】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記画素部は、走査線及びデータ線の交差に対応してマトリクス状に複数配置され、前記ダミー画素部は、前記走査線に沿って複数配列されている。
【0024】
この態様によれば、複数のダミー画素部全体として、相対的に多くの電荷を蓄積することができる。従って、正極性放電時間及び負極性放電時間の検出の精度を相対的に向上させることができる。
【0025】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記ダミー画素部には、遮光膜が形成されている。
【0026】
この態様によれば、複数のダミー画素部を設けたとしても、画素部を用いた通常の表示動作に影響を与えることはない。
【0027】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記ダミー画素領域は、前記画像表示領域の両端の少なくとも一方に隣接するように設けられる。
【0028】
この態様によれば、ダミー画素領域は、垂直方向における走査方向を基準として、画像表示領域の上側及び下側の夫々又は何れか一方に配置される。つまり、ダミー画素領域によって、画像表示領域が複数の領域に分断されることはなくなる。このため、画素部を用いた通常の画像表示動作に影響を与えることなく、上述した動作を行うことができる。
【0029】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記書込手段は、最大階調に相当する書込電位を用いて前記正極性書込及び前記負極性書込を行う。
【0030】
この態様によれば、ダミー画素部に相対的に多くの電荷を蓄積することができる。従って、正極性放電時間及び負極性放電時間の検出の精度を相対的に向上させることができる。
【0031】
尚、最大階調に相当する書込電位とは、共通電位との間の電位差が最大となるような画像信号の電位を意味する趣旨であり、典型的には、画素電極に印加され得る画像信号の最大電位及び最小電位を示す。
【0032】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記補正手段は、前記正極性放電時間が前記負極性放電時間よりも長い場合に、前記共通電位を相対的に高電位側に変化させるように前記共通電位を補正し、前記負極性放電時間が前記正極性放電時間よりも長い場合に、前記共通電位を相対的に低電位側に変化させるように前記共通電位を補正する。
【0033】
この態様によれば、例えば、正極性放電時間が負極性放電時間よりも長ければ、正極性書込が行われる時の画像信号の電位と共通電極の共通電位との間の電位差が、負極性書込が行われる時の画像信号の電位と共通電極の共通電位との間の電位差よりも大きいと考えられる。このため、共通電位を相対的に高電位側にシフトさせることで、双方の電位差を等しくすることができる。或いは、正極性放電時間が負極性放電時間よりも長ければ、正極性書込が行われる時の画像信号の電位と共通電極の共通電位との間の電位差が、負極性書込が行われる時の画像信号の電位と共通電極の共通電位との間の電位差よりも大きいと考えられる。このため、共通電位を相対的に高電位側にシフトさせることで、双方の電位差を等しくすることができる。従って、上述した効果を好適に享受することができる。
【0034】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記検出手段は、前記正極性書込が行われてから所定期間が経過した後に前記ダミー画素電極に蓄積された電荷の放電を開始してから、前記正極性放電時間を検出し、且つ前記負極性書込が行われてから所定期間が経過した後に前記ダミー画素電極に蓄積された電荷の放電を開始してから、前記負極性放電時間を検出する。
【0035】
一般的に、画素部に画像信号の書込動作を行った直後は画素部の状態は不安定である。具体的には、例えば、電気光学装置に印加されている電界が変動しかねない。一方で、書込動作を行ってからある程度の時間が経過した後は、画素部の状態は相対的には安定する。従って、この態様によれば、ダミー画素部の状態が安定した後に時間を検出しているため、正極性放電時間及び負極性放電時間の検出の精度を相対的に向上させることができる。
【0036】
上述の如く正極性書込又は負極性書込が行われてから所定期間が経過した後に正極性放電時間又は負極性放電時間を検出する電気光学装置の態様では、前記所定期間は、1垂直走査期間(例えば、1フレーム期間や、1フィールド期間等)であるように構成してもよい。
【0037】
このように構成すれば、画素部を用いた通常の画像表示動作における走査を考慮したタイミング或いは画素部を用いた通常の画像表示動作における走査と同様のタイミングで、上述したダミー画素部への書込動作並びに正極性放電時間及び負極性放電時間の検出動作を行うことができる。従って、画素部を用いた通常の画像表示動作に影響を与えることなく、上述したように正極性放電時間及び負極性放電時間の検出の精度を相対的に向上させることができる。
【0038】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記書込手段は、前記正極性書込又は前記負極性書込を1水平走査期間だけ行い、前記検出手段は、前記正極性放電時間の検出又は前記負極性放電時間の検出を1水平期間だけ行う。
【0039】
この態様によれば、画素部を用いた通常の画像表示動作における走査を考慮したタイミング或いは画素部を用いた通常の画像表示動作における走査と同様のタイミングで、上述したダミー画素部への書込動作並びに正極性放電時間及び負極性放電時間の検出動作を行うことができる。従って、画素部を用いた通常の画像表示動作に影響を与えることなく、上述したように正極性放電時間及び負極性放電時間の検出の精度を相対的に向上させることができる。これは、正極性書込又は負極性書込が行われてから所定期間(例えば、1垂直走査期間)が経過した後に正極性放電時間又は負極性放電時間を検出する態様において、特に顕著な効果である。
【0040】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記書込手段は、前記画素部への書込前又は書込後に、前記ダミー画素部に対して前記正極性書込又は前記負極性書込を行い、前記検出手段は、前記画素部への書込前又は書込後に、前記正極性放電時間の検出又は前記負極性放電時間の検出を行う。
【0041】
この態様によれば、ダミー画素部への書込動作並びに正極性放電時間及び負極性放電時間の検出動作が、画素部を用いた画像表示動作(特に、1垂直走査期間の表示動作)に影響を与えることはない。つまり、ダミー画素部への書込動作並びに正極性放電時間及び負極性放電時間の検出動作が、画素部を用いた画像表示動作の途中に行われることはなくなる。このため、画素部を用いた通常の画像表示動作に影響を与えることなく、上述した動作を行うことができる。
【0042】
(電子機器)
上記課題を解決するために、本発明の電子機器は、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様を含む)を備える。
【0043】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置(或いは、その各種態様)備えているため、上述した本発明の電気光学装置が享受する各種効果と同様の効果を享受することができる。つまり、上述した本発明の電気光学装置が享受する各種効果と同様の効果を享受することができる投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、携帯オーディオプレーヤ、ワードプロセッサ、デジタルカメラ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現することができる。
【0044】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から更に明らかにされよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づいて説明する。尚、以下では、本発明に係る電気光学装置の一例として、液晶装置を用いて説明を進める。
【0046】
(1)液晶装置の基本構成
先ず、本実施形態に係る液晶装置の構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る液晶装置の構成を示す平面図であり、図2は、図1のH−H’断面図である。
【0047】
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶装置100では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置する枠状或いは額縁状のシール領域に設けられたシール材52により互いに貼り合わされている。
【0048】
図1において、シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101、ドライバIC回路130及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。但し、データ線駆動回路101は、シール領域よりも内側に、データ線駆動回路101が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられていてもよい。この一辺に沿ったシール領域よりも内側に、サンプリング回路7が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿ったシール領域の内側に、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、TFTアレイ基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0049】
TFTアレイ基板10上には、外部回路接続端子102と、データ線駆動回路101、ドライバIC回路130、走査線駆動回路104、上下導通端子106等とを電気的に接続するための引回配線90が形成されている。
【0050】
図2において、TFTアレイ基板10上には、駆動素子である画素スイッチング用のTFT(Thin Film Transistor)や走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成されている。画像表示領域10aには、画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線の上層に画素電極9aがマトリクス状に設けられている。画素電極9a上には、配向膜8が形成されている。他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。遮光膜23は、例えば遮光性金属膜等から形成されており、対向基板20上の画像表示領域10a内で、例えば格子状等にパターニングされている。そして、遮光膜23上に、ITO等の透明材料からなる共通電極21が複数の画素電極9aと対向してベタ状に形成されている。共通電極21上には配向膜8が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。上記構成はTFTアレイ基板10の画素電極9aと対向基板20の共通電極21の間の電界により液晶層50を駆動する所謂縦電界のモードの構成であるが、IPS(イン・プレーン・スイッチング)、FFS(フリンジ・フィールド・スイッチング)等の横電界モードの構成でも良い。横電界モードではTFTアレイ基板側に画素電極と共通電極が配置されるため、対向基板に電極がないため、TFTアレイ基板と対向基板を接続する上下導通端子が必要なくなる。
【0051】
また、TFTアレイ基板10上の画像表示領域10aの周囲の額縁遮光膜53に覆われえる額縁領域には、後述するようにダミー画素領域10dが配置される。本実施形態では、ダミー画素領域10dにおいては、ダミー画素部70dが画素部70を模擬して形成され、ダミー画素部70d毎にダミー画素電極9dが配置される。ダミー画素部70dは、額縁遮光膜53で覆われていてもよい。
【0052】
尚、ここでは図示しないが、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104の他に、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路、検査用パターン等が形成されていてもよい。
【0053】
また、上述の構成では、ドライバIC回路130が液晶装置100上に形成される例を示しているが、ドライバIC回路110がFPC(Flexible Print Circuit)上に形成されるように構成してもよいし、或いは、外部回路接続端子102を介して液晶装置100と電気的に接続される外部回路上に形成されるように構成してもよい。
【0054】
(2)液晶装置の詳細な構成
続いて、図3及び図4を参照して、本実施形態に係る液晶装置100の要部の電気的な構成について説明する。ここに、図3は、本実施形態に係る液晶装置100の要部の電気的な構成を概念的に示すブロック図であり、図4は、本実施形態に係る液晶装置100による書込動作時に印加される画像信号の電位及び共通電位の夫々を示すグラフである。
【0055】
図3において、本実施形態に係る液晶装置100は、そのTFTアレイ基板10上の画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域に、走査線駆動回路104、データ線駆動回路101、ドライバIC回路130等の駆動回路が形成されている。
【0056】
走査線駆動回路104は、走査信号を、走査線Y1からYn(但し、nは1以上の整数)に順次供給する。例えば、ある走査線Ya(但し、aは、1≦a≦nを満たす整数)にハイレベルの走査信号が供給されると、この走査線Yaに接続されたTFT116が全てオン状態となり、この走査線Yaに対応する画素部70が全て選択される。
【0057】
データ線駆動回路101は、画像信号を、データ線X1からXm(但し、mは1以上の整数)に順次供給し、オン状態のTFT116を介してこの画像信号に基づく書込電圧を画素電極9aに書き込む。
【0058】
本実施形態に係る液晶装置100には、更に、そのTFTアレイ基板10の中央を占める画像表示領域10aに、マトリクス状に配列された複数の画素部70が設けられている。
【0059】
画素部70は、画素スイッチング用のTFT116、画素電極9a、液晶素子118、共通電極21及び蓄積容量119を備えている。
【0060】
TFT116は、ソース端子がデータ線X1〜Xmのいずれかに電気的に接続され、ゲート端子が走査線Y1からYnのいずれかに電気的に接続され、ドレイン端子が画素電極9aに電気的に接続されている。画素スイッチング用のTFT116は、走査線駆動回路104から供給される走査信号によってオン状態及びオフ状態が切り換えられる。
【0061】
液晶素子118は、画素電極9a、共通電極21並びに画素電極9a及び共通電極21間に位置する液晶から構成されている。画素電極9aは、TFT116を介してデータ線X1からXmのいずれかと電気的に接続されている。共通電極21は、共通配線COMと電気的に接続されている。尚、画素電極9a及び共通電極21は、上述したように、いずれもTFTアレイ基板10上に設けられている。液晶装置100の動作時には、データ線X1からXm及びTFT116を介して供給された画像信号の電位(書込電位)を有する画素電極9aと、共通配線COMを介して供給された共通電位を有する共通電極21との間に電界が生じる。液晶は、当該電界に応じて駆動されることによって、即ち、当該電界に応じて分子集合の配向や秩序が変化することによって、光を変調し、階調表示を可能とする。
【0062】
蓄積容量119は、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、液晶素子118と並列に付加されている。蓄積容量119を構成する一方の電極は、画素電極9aに電気的に接続され、他方の電極は、共通電極21に電気的に接続されている。
【0063】
以上の液晶装置100は、以下のように動作する。
【0064】
まず、走査線駆動回路104から走査線Yaにハイレベルの走査信号を供給することで、走査線Yaに接続された全てのTFT116をオン状態にして、走査線Yaに係る全ての画素部70を選択する。
【0065】
また、走査線Yaに係る画素部70の選択に同期して、データ線駆動回路101からデータ線X1からXmに、共通配線COMの電位に応じて、正極性の画像信号と負極性の画像信号とを、1水平走査期間毎に交互に供給する。具体的には、図4の左側に示すように、共通配線COMの共通電位が相対的に低電位側のVCOMLであれば、共通電位に対して正極性の書込電位を有する画像信号をデータ線X1からXmに供給する。このような書込動作を、以降、正極性書込と称する。他方、図4の右側に示すように、共通配線COMの共通電位が相対的高電位側のVCOMHであれば、共通電位に対して負極性の書込電位を有する画像信号をデータ線X1からXmに供給する。このような書込動作を、以降、負極性書込と称する。
【0066】
特に、本実施形態では、各行への正極性書込と負極性書込とが、所定期間(典型的には、1垂直走査期間(つまり、1フレーム期間或いは1フィールド期間))毎に交互に行われる。具体的には、例えば、ある1垂直走査期間において、走査線Yaに対応する画素部70に正極性書込が行われた場合には、次の1垂直走査期間において、走査線Yaに対応する画素部70に負極性書込が行われる。他方、ある1垂直走査期間において、走査線Yaに対応する画素部70に負極性書込が行われた場合には、次の1垂直走査期間において、走査線Yaに対応する画素部70に正極性書込が行われる。また、互いに隣接する走査線Ya−1に対応する画素部70と走査線Yaに対応する画素部70とには、互いに異なる極性での書込が行われる。つまり、走査線Ya−1に対応する画素部70に正極性書込が行われる場合には、走査線Yaに対応する画素部70に負極性書込が行われる。他方、走査線Ya−1に対応する画素部70に負極性書込が行われる場合には、走査線Yaに対応する画素部70に正極性書込が行われる。
【0067】
これにより、走査線駆動回路104で選択した全ての画素部70に、データ線駆動回路101からデータ線X1からXm及びTFT116を介して画像信号が供給される、この画像信号に基づく書込電圧が画素電極9aに書き込まれる。これにより、画素電極9aと共通電極21との間に電位差が生じて、駆動電圧が液晶に印加される。
【0068】
本実施形態では、このような画像表示領域10に設けられた画素部70を利用した画像表示に加えて、ダミー画素領域10dに設けられたダミー画素部70dを利用した共通電位の調整動作(言い換えれば、補正動作)を行う。この調整動作を行うための構成について、以下に詳細に説明する。
【0069】
(3)共通電位の調整動作を行うための構成
図3に示すように、画像表示領域10aの周辺(特に、図3では、画像表示領域10aの下側)に設けられるダミー画素領域10d中には、ダミー画素部70dが配置される。より詳細には、ダミー画素領域10d中において、走査線Y1からYnに引き続いて設けられる1本のダミー走査線Ydに沿って、複数のダミー画素部70dが設けられている。ここでは、データ線X1からXmの本数と同じ数のダミー画素部70dが設けられている。また、ダミー画素領域10dに対して、画像表示領域10aから連続的にダミー走査線Yd、データ線X1からXm及び共通配線COMが連続的に同様のパターンで配線されている。画素部70とダミー画素部70dとは同一構成を有している。具体的には、ダミー画素部70dは、ダミー画素電極9a、ダミーTFT116d及びダミー蓄積容量119dを含んでなる。従って、ダミー画素部70dに対しても、画素部70と同様に、正極性書込及び負極性書込を行うことができる。
【0070】
また、図3に示すように、ダミー画素領域10dには、更に、正極性書込又は負極性書込が行われることでダミー画素電極9dに蓄積された電荷を検出するためのタイミングを規定する検出タイミング信号が供給される検出タイミング信号線Aと、ダミー画素電極9dに蓄積された電荷が放電される経路となる放電線Dとが形成されている。検出タイミング信号線Aと放電線Dとは、好ましくは、走査線Y1からYn及びダミー走査線Ydと同様に、水平方向に伸張している。
【0071】
検出タイミング信号線Aは、ダミー画素領域10dにおいて複数のダミー画素部70dの夫々に対応するように設けられる複数の放電用スイッチングTFT121dの夫々のゲート端子と電気的に接続される。また、複数の放電用スイッチングTFT121dの夫々のソース端子は、複数のダミー画素部70dのうちの対応するダミー画素部70dのダミー画素電極9dと電気的に接続される。また、複数の放電用スイッチングTFT121dの夫々のドレイン端子は、放電線Dと電気的に接続される。
【0072】
図3の下部に示すように、ドライバIC回路130は、スイッチSW1と、2つのスイッチSW2と、放電用定電流源132と、直流電圧源133と、コンパレータ134と、カウンタ135と、比較器136と、共通電位供給回路137とを備えている。尚、図3においては、共通配線CCOMと放電線Dとの間の寄生容量131も図示している。
【0073】
ドライバIC回路130は、共通配線COMと放電線Dとが電気的に接続される。共通配線COMは、共通電位供給回路137と電気的に接続されている。また、共通配線COMは、スイッチSW1の一方の端部(図3における右側の端部)と電気的に接続されると共に、放電線Dは、スイッチSW1の他方の端部(図3における左側の端部)と電気的に接続されている。また、スイッチSW1と電気的に並列に放電用定電流源132が接続されている。つまり、スイッチSW1の一方の端部及び共通配線COMの夫々と、放電用定電流源132の一方の端部(図3における右側の端部)とが電気的に接続されていると共に、スイッチSW1の他方の端部及び放電線Dの夫々と、放電用定電流源132の他方の端部(図3における左側の端部)とが電気的に接続されている。
【0074】
また放電線D及び共通配線COMを含む回路系と、放電用定電流源132(更には、直流電圧源133、コンパレータ134、カウンタ135及び比較器136)を含む回路系とは、スイッチSW2によって、電気的に接続したり或いは切り離したりすることができる。従って、スイッチSW2が閉じ且つ放電用定電流源132から定電流が供給されている状態においてのみ、ダミー画素電極9dに蓄積された電荷の放電が放電線Dを介して行われる。
【0075】
放電用定電流源132の一方の端部は、直流電圧源133の一方の端部(図3における下側の端部)と電気的に接続されている。直流電圧源133の他方の端部(図3における上側の端部)は、コンパレータ134の一方の入力端子と電気的に接続されている。また、放電用定電流源132の他方の端部は、コンパレータ134の他方の入力端子と電気的に接続されている。従って、コンパレータ134では、ダミー画素電極9dに蓄積された電荷量(言い換えれば、ダミー画素電極9dに蓄積された電荷が放電される放電線D中の電荷量)と、直流電圧源133の出力(つまり、閾値電圧)との比較が行われる。
【0076】
コンパレータ134の出力は、所定のクロックが周期的に入力されるカウンタ135に入力される。カウンタ135においては、コンパレータ134での比較動作が開始してからその出力が反転するまでの間に入力されたクロックの数がカウントされる。つまり、ダミー画素電極9dに蓄積された電荷の放電が開始されてから、放電線D中の残存電荷量が直流電圧源133の出力である閾値電圧を下回るまでの間にカウンタ135に入力されたクロックの数がカウントされる。
【0077】
カウンタ135の出力(つまり、カウントされたクロックの数)は、比較器136に出力される。比較器136においては、ダミー画素電極9dに正極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力と、ダミー画素電極9dに負極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力とを比較し、該比較結果を共通電位供給回路137へ出力する。
【0078】
共通電位供給回路137は、比較器136から出力される比較結果に基づいて、共通電位(つまり、VCOMH及びVCOML)を調整すると共に、共通電位を共通配線COMへ供給する。
【0079】
(4)共通電位の調整動作
続いて、図5から図8を参照して、共通電位の調整動作の具体例について説明する。ここに、図5は、ダミー画素電極9dに正極性書込が行われる場合における液晶装置100の動作を示すタイミングチャートであり、図6は、ダミー画素電極9dに負極性書込が行われる場合における液晶装置100の動作を示すタイミングチャートであり、図7及び図8は、夫々、共通電位の調整動作を概念的に示すグラフである。
【0080】
図5に示すように、ある垂直走査期間#1−1において、画素部70への画像信号の書込が行われる。つまり、走査線Y1からYnに対して順にハイレベルの走査信号を供給することで、走査線Y1からYnに対応する全ての画素部70への画像信号の書込が行われる。図5に示す例は、走査線Y1に対応する画素部70に対して正極性書込が行われ、走査線Y2に対応する画素部70に対して負極性書込が行われ、走査線Ynに対応する画素部70に対して負極性書込が行われる例を示している。
【0081】
走査線Ynにハイレベルの走査信号が供給された後には、ダミー走査線Ydに対してハイレベルの走査信号が供給されると共に、データ線X1からXmに画像信号が供給される。このときに供給される画像信号は、最大階調に相当する書込電位を有する画像信号であることが好ましい。これにより、画素部70と同様に、ダミー画素部70に対する画像信号の書込(特に、正極性書込)が1水平走査期間の間行われる。
【0082】
その後、垂直帰線期間が経過した後、次の垂直走査期間#1−2における画素部70への画像信号の書込が行われる。ここでは、走査線Y1に対応する画素部70に対して負極性書込が行われ、走査線Y2に対応する画素部70に対して正極性書込が行われ、走査線Ynに対応する画素部70に対して正極性書込が行われる。
【0083】
走査線Ynにハイレベルの走査信号が供給された後には、1つ前の垂直走査期間#1−1において正極性書込が行われることでダミー画素電極9dに蓄積された電荷の放電処理が行われる。具体的には、図5の下部に示すように、まず、通常はオフ状態(つまり、開状態)にあるスイッチSW2が、オン状態(つまり、閉状態)に切り替えられる。これにより、放電線Dを含む回路系と、放電用定電流源132を含む回路系(つまり、放電処理を行う回路系)とが電気的に接続される。
【0084】
その後、通常はオフ状態(つまり、開状態)にあるスイッチSW1が一定時間だけオン状態(つまり、閉状態)に切り替えられる。一定時間経過後には、スイッチSW1は再度オフ状態に切り替えられる。これにより、放電線D中に残留している電荷の放電が行われる。従って、放電処理を開始する前に放電線D中に残留していた電荷の影響を受けることなく、直近の書込動作によってダミー画素電極9dに蓄積された電荷に対する放電処理を行うことができる。
【0085】
その後、検出タイミング信号線Aにハイレベルの検出タイミング信号が供給される。これにより、複数のダミー画素部70dの夫々が備えるスイッチング用TFT121dがオン状態となり、複数のダミー画素部70dの夫々のダミー画素電極9dに蓄積された電荷が放電線Dを介して放電される。その結果、蓄積されていた電荷量に応じて、放電線Dの電位は上昇する。
【0086】
その後、放電用定電流源132からの定電流の供給が開始される。これにより、放電線Dに放出された電荷の放電処理が始まる。このとき、カウンタ135は、定電流の供給が開始される前にカウントをゼロにリセットし、定電流の供給が開始されると同時にクロックのカウントを開始する。
【0087】
その後、放電処理によって放電線D中に残存している電荷量が順次低下していく。このとき、コンパレータ134の動作により、放電線D中の残存電荷量と、直流電圧源133の出力である閾値電圧とが比較されている。カウンタ135におけるカウントは、放電線D中の残存電荷量が、直流電圧源133の出力である閾値電圧を下回った場合に終了する。図5に示す例では、クロックのカウントが「12」まで行われた時点で、放電線D中の残存電荷量が、直流電圧源133の出力である閾値電圧を下回り、その結果、カウンタ135におけるカウントが終了している。
【0088】
その後、放電用定電流源132からの定電流の供給が終了し、検出タイミング信号線Aへのハイレベルの検出タイミング信号の供給が終了し、スイッチSW2がオフ状態となることで、ダミー画素電極9dに蓄積された電荷に対する放電処理が終了する。以上の放電処理は、典型的には1水平走査期間の間行われるが、もちろん1水平走査期間よりも短い期間又は長い期間行われてもよい。
【0089】
以上は、ダミー画素電極9dに対して正極性書込が行われた場合における動作例を示しているが、図6に示すように、ダミー画素電極9dに対して負極性書込が行われた場合においても同様の動作が行われる。具体的には、例えば、ある連続する2つの垂直走査期間においてダミー画素電極9dに対する正極性書込及び放電処理が行われた後、別の連続する2つの垂直走査期間においてダミー画素電極9dに対する負極性書込及び放電処理が行われる。これにより、比較器136には、ダミー画素電極9dに正極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力(つまり、正極性書込が行われたダミー画素電極9dに蓄積された電荷が放電されるために必要な時間)と、ダミー画素電極9dに負極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力(つまり、負極性書込が行われたダミー画素電極9dに蓄積された電荷が放電されるために必要な時間)とが入力される。
【0090】
比較器136では、ダミー画素電極9dに正極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力と、ダミー画素電極9dに負極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力との比較が行われる。具体的には、ダミー画素電極9dに正極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力と、ダミー画素電極9dに負極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力との大小関係及びそれらの間の差分量が検出される。この大小関係及び差分量は、共通電位供給回路137へ出力される。
【0091】
供給電位供給回路137では、比較器136における比較結果に応じて、共通電位の調整動作が行われる。
【0092】
具体的には、まず、ダミー画素電極9dに正極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力と、ダミー画素電極9dに負極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力とが等しければ、正極性書込が行われる時の画像信号の電位(つまり、書込電位)と共通電極21の共通電位との間の電位差(具体的には、図4におけるV1)と、負極性書込が行われる時の画像信号の電位と共通電極21の共通電位との間の電位差(具体的には、図4におけるV2)とが等しいと考えられる。つまり、図4に示すように、正極性書込時と負極性書込時との間で、共通電位に対して対称な電位を有する画像信号がダミー画素電極9dに印加されていると考えられる。従って、画素電極9aに対する書込動作時にも、正極性書込時と負極性書込時との間で、共通電位に対して対称な電位を有する画像信号が印加されていると考えられる。このため、フリッカが発生することは殆ど或いは全くない状態であるため、共通電位供給回路137では、共通電位の調整は行われなくともよい。
【0093】
他方で、ダミー画素電極9dに正極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力と、ダミー画素電極9dに負極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力とが等しくなければ、正極性書込が行われる時の画像信号の電位と共通電極21の共通電位との間の電位差と、負極性書込が行われる時の画像信号の電位と共通電極21の共通電位との間の電位差とが等しくないと考えられる。つまり、正極性書込時と負極性書込時との間で、共通電位に対して非対称な電位を有する画像信号がダミー画素電極9dに印加されていると考えられる。従って、画素電極9aに対する書込動作時にも、正極性書込時と負極性書込時との間で、共通電位に対して非対称な電位を有する画像信号が印加されていると考えられる。このため、フリッカが発生し得る又は既に発生している状態であるため、共通電位供給回路137では、共通電位の調整が行われる。
【0094】
この場合、ダミー画素電極9dに正極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力と、ダミー画素電極9dに負極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力とが等しくなるように、共通電位を高電位側又は低電位側へシフトさせるように共通電位が調整される。言い換えれば、正極性書込が行われる時の画像信号の電位と共通電極21の共通電位との間の電位差と、負極性書込が行われる時の画像信号の電位と共通電極21の共通電位との間の電位差とが等しくなるように、共通電位を高電位側又は低電位側へシフトさせるように共通電位が調整される。
【0095】
具体的には、例えば、ダミー画素電極9dに正極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力が「12クロック」であり、ダミー画素電極9dに負極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力が「9クロック」である場合について説明する。この場合、ダミー画素電極9dに正極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力が、ダミー画素電極9dに負極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力よりも大きい。従って、図7に示すように、正極性書込が行われる時の画像信号の電位と共通電極21の共通電位との間の電位差V1が、負極性書込が行われる時の画像信号の電位と共通電極21の共通電位との間の電位差V2よりも大きいと考えられる。これは、共通配線COMに供給されている共通電位が、本来印加されるべきであるはずの共通電位と比較して、低電位側にシフトしていることに起因している。このため、共通電位供給回路137では、共通電位を相対的に高電位側にシフトさせるように共通電位が調整される。また、その調整量は、ダミー画素電極9dに正極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力と、ダミー画素電極9dに負極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力との差分量(つまり、「4クロック」)に基づいて行われる。つまり、ダミー画素電極9dに正極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力と、ダミー画素電極9dに負極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力との差分量がゼロになるような調整量が算出され、該算出された調整量だけ共通電位が高電位側にシフトさせるように共通電位が調整される。
【0096】
他方、例えば、ダミー画素電極9dに正極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力が「8クロック」であり、ダミー画素電極9dに負極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力が「10クロック」である場合について説明する。この場合、ダミー画素電極9dに正極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力が、ダミー画素電極9dに負極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力よりも小さい。従って、図8に示すように、正極性書込が行われる時の画像信号の電位と共通電極21の共通電位との間の電位差V1が、負極性書込が行われる時の画像信号の電位と共通電極21の共通電位との間の電位差V2よりも小さいと考えられる。これは、共通配線COMに供給されている共通電位が、本来の共通電位と比較して高電位側にシフトしていることに起因している。このため、共通電位供給回路137では、共通電位を相対的に低電位側にシフトさせるように共通電位が調整される。また、その調整量は、ダミー画素電極9dに正極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力と、ダミー画素電極9dに負極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力との差分量(つまり、「2クロック」)に基づいて行われる。つまり、ダミー画素電極9dに正極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力と、ダミー画素電極9dに負極性書込が行われた場合のカウンタ135の出力との差分量がゼロになるような調整量が算出され、該算出された調整量だけ共通電位が低電位側にシフトさせるように共通電位が調整される。
【0097】
この共通電位の調整動作は、画像部70への書込動作が行われない期間において行われる。例えば、共通電位の調整動作は、垂直帰線期間において行われる。その後、調整された共通電位を用いて、画素部70に対する書込動作が行われる。
【0098】
このため、本実施形態に係る液晶装置100においては、正極性書込時と負極性書込時との間で、共通電位に対して対称な電位を有する画像信号が画素電極9aに印加される。言い換えれば、正極性書込時と負極性書込時との間で、共通電位に対して非対称な電位を有する画像信号が画素電極9aに印加されることは殆ど或いは全くなくなる。従って、フリッカの発生や液晶の焼き付きの発生を好適に抑制ないしは防止することができる。
【0099】
また、ドライバIC回路130の動作によって、いわば自動的に共通電位が調整されるため、オペレータが手動で共通電位を調整する必要がなくなる。従って、共通電位の調整の精度を向上させることができると共に、液晶装置100が製造工場から出荷された後であっても、共通電位を調整することができる。
【0100】
更に、液晶装置100上では相対的に検出しにくい(或いは、電圧を直接検出する装置を新たに設置しにくいがゆえに相対的に検出しにくい)電圧を直接検出することに代えて、相対的に検出しやすい電荷量及びその放電に要する時間を検出しているため、相対的には検出動作が容易であるという利点をも享受することができる。更に、電圧を直接的に検出する態様と比較して、検出の精度をも向上させることができるため、結果として、共通電位の調整の精度を向上させることができる。
【0101】
加えて、放電用定電流源132から供給される電流値等を調整すれば、ダミー画素電極9dに蓄積された電荷の放電速度を調整することができる。つまり、図5及び図6に示す放電線D中の電荷量の傾きを調整することができる。従って、液晶装置100若しくは液晶装置100が備える各種構成要素(特に、ドライバIC回路100)の仕様に合わせた柔軟な態様で、放電処理を行うことができる。例えば、1クロックが相対的に長い時間である場合には、放電線D中の残存電荷量が直流電圧源133の出力である閾値電圧を下回るまでに要した時間を精度良く検出するために、放電速度を相対的に遅くすることが好ましい。他方で、1クロックが相対的に短い時間である場合には、放電速度をそれほど遅くしなくとも、放電線D中の残存電荷量が直流電圧源133の出力である閾値電圧を下回るまでに要した時間を精度良く検出することができるため、迅速な放電処理を行うために、放電速度を相対的に早くすることが好ましい。
【0102】
また、ダミー画素部70dにおける書込及び放電の結果に基づいて共通電位の調整を行っているため、画素部70を用いた通常の画像表示動作に影響を与えることなく、共通電位の調整動作を行うことができる。
【0103】
加えて、ダミー画素部70dが設けられるダミー画素領域10dが、画素部70が設けられる画像表示領域10aとは物理的に分離した領域であるため、画素部70を用いた通常の画像表示動作に影響を与えることなく、上述した動作を行うことができる。これは、ダミー画素部70dにおける書込動作及び放電処理が、画素部70を用いた画像表示動作の途中に行われることはないということからも得られる効果である。このように、ダミー画素領域10dが画像表示領域10aとは物理的に分離した領域である限りは、ダミー画素領域10dの配置位置は特段限定されないが、ダミー画素領域70dは、画像表示領域70の上端及び下端の少なくとも一方に隣接するように配置されることが好ましい。但し、少なくとも共通電位の調整を行うことができれば足りるという点に着目すれば、ダミー画素領域10dが画像表示領域10aとは物理的に分離した領域である必要はない。例えば、ダミー画素領域10dが、画像表示領域10a中に混在しているように構成しても、少なくとも共通電位の調整を行うことはできる。同様に、少なくとも共通電位の調整を行うことができれば足りるという点に着目すれば、ダミー画素部70dにおける書込動作及び放電処理が、画素部70を用いた画像表示動作の途中に行われるように構成してもよい。つまりは、上述したダミー画素部70dにおける書込動作及び放電処理が行われるタイミングはあくまで一例であり、任意のタイミングでこれらの動作を行ったとしても、少なくとも共通電位の調整を行うことはできる。但し、書込動作が行われた直後はダミー画素部70dにおける電位の状態が安定していないことを考慮して、書込動作が行われてから一定時間が経過した後に放電処理が行われることが好ましい。
【0104】
更に、1つの走査線Ydの全体に沿って複数のダミー画素部70dが形成されている(言い換えれば、1つのダミー走査線Ydと交差する全てのデータ線X1からXmの本数と同じ数のダミー画素部70dが形成されている)ために、複数のダミー画素部70全体として、相対的に多くの電荷を蓄積することができる。従って、コンパレータ134及びカウンタ135を用いた、ダミー画素電極9dに蓄積された電荷が放電されるために必要な時間の検出の精度を相対的に向上させることができる。その結果、共通電位の調整の精度を向上させることができる。但し、少なくとも共通電位の調整を行うことができれば足りるという点に着目すれば、1つの水平ラインの全体に渡って複数のダミー画素部70dが形成されている必要はない。例えば、1つの水平ラインの一部に沿って複数のダミー画素部70dが形成されている(言い換えれば、1つのダミー走査線Ydと交差するデータ線X1からXmのうちの一部のデータ線の本数と同じ数のダミー画素部70dが形成されている)ように構成しても、少なくとも共通電位の調整を行うことはできる。同様に、少なくとも共通電位の調整を行うことができれば足りるという点に着目すれば、単一のダミー画素部70dを備えるように構成してもよい。
【0105】
また、最大階調に相当する書込電位を有する画像信号を用いてダミー画素電極9dへの書込が行われるため、ダミー画素電極9dに相対的に多くの電荷を蓄積することができる。従って、コンパレータ134及びカウンタ135を用いた、ダミー画素電極9dに蓄積された電荷が放電されるために必要な時間の検出の精度を相対的に向上させることができる。その結果、共通電位の調整の精度を向上させることができる。但し、少なくとも共通電位の調整を行うことができれば足りるという点に着目すれば、任意の書込電位を有する画像信号を用いてダミー画素電極9dへの書込が行われるように構成してもよい。
【0106】
尚、上述の説明では、水平方向に伸張する1本のダミー走査線Ydに沿って、複数のダミー画素部70dが設けられているが、複数のダミー走査線Ydを設けると共に該複数のダミー走査線Ydに沿って複数のダミー画素部70dが設けられるように構成してもよい。これにより、複数のダミー画素部70全体として、相対的に多くの電荷を蓄積することができる。従って、コンパレータ134及びカウンタ135を用いた、ダミー画素電極9dに蓄積された電荷が放電されるために必要な時間の検出の精度を相対的に向上させることができる。その結果、共通電位の調整の精度を向上させることができる。
【0107】
(5)電子機器
続いて、図9及び図10を参照しながら、上述の液晶装置100を具備してなる電子機器の例を説明する。
【0108】
図9は、上述した液晶装置100が適用されたモバイル型のパーソナルコンピュータの斜視図である。図11において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、上述した液晶装置100を含んでなる液晶表示ユニット1206とから構成されている。液晶表示ユニット1206は、液晶装置100の背面にバックライトを付加することにより構成されている。
【0109】
次に、上述した液晶装置100を携帯電話に適用した例について説明する。図10は、電子機器の一例である携帯電話の斜視図である。図10において、携帯電話1300は、複数の操作ボタン1302とともに、半透過反射型の表示形式を採用し、且つ上述した液晶装置100と同様の構成を有する液晶装置1005を備えている。
【0110】
これらの電子機器においても、上述した液晶装置100を含んでいるため、上述した各種効果を好適に享受することができる。
【0111】
尚、図9及び図11を参照して説明した電子機器の他にも、液晶テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた直視型の表示装置や、液晶プロジェクタ等の投射型の表示装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0112】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なう電気光学装置及び電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】実施形態に係る液晶装置の構成を示す平面図である。
【図2】図1のH−H’断面図である。
【図3】本実施形態に係る液晶装置の要部の電気的な構成を概念的に示すブロック図である。
【図4】本実施形態に係る液晶装置による書込動作時に印加される画像信号の電位及び共通電位の夫々を示すグラフである。
【図5】ダミー画素電極に正極性書込が行われる場合における液晶装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図6】ダミー画素電極に負極性書込が行われる場合における液晶装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図7】共通電位の調整動作を概念的に示すグラフである。
【図8】共通電位の調整動作を概念的に示すグラフである。
【図9】液晶装置が適用されたモバイル型のパーソナルコンピュータの斜視図である。
【図10】液晶装置が適用された携帯電話の斜視図である。
【符号の説明】
【0114】
1…液晶装置、9a…画素電極、9d…ダミー画素電極、10a…画像表示領域、10d…ダミー画素領域、21…共通電極、101…データ線駆動回路、104…走査線駆動回路、121、放電用スイッチングTFT、130…ドライバIC回路、134…コンパレータ、135…カウンタ、136…比較器、共通電位供給回路…137、Y1〜Yn…走査線、Yd…ダミー走査線、COM…共通配線、A…検出タイミング信号線、D…放電線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示領域に配置される画素部と、
前記画像表示領域の周辺に位置するダミー画素領域に配置されるダミー画素部と、
前記ダミー画素部に対して、前記ダミー画素部が備えるダミー画素電極への書込電位が共通電極に供給される共通電位よりも高電位側にある正極性書込、及び前記ダミー画素電極への書込電位が前記共通電位よりも低電位側にある負極性書込を行う書込手段と、
前記正極性書込が行われた前記ダミー画素電極に蓄積された電荷の放電に要する時間である正極性放電時間、及び前記負極性書込が行われた前記ダミー画素電極に蓄積された電荷の放電に要する時間である負極性放電時間の夫々を検出する検出手段と、
前記正極性放電時間と前記負極性放電時間とが等しくなるように、前記共通電位を補正する補正手段と
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記検出手段は、
前記ダミー画素電極に蓄積された電荷の量と所定値とを比較するコンパレータ、及び所定周期で立ち上がるクロックパルスのパルス数をカウントするカウンタを備えており、
前記正極性書込みが行われた前記ダミー画素電極に蓄積された電荷の放電が開始されてから、前記ダミー画素電極に蓄積された電荷の量が前記所定値を下回ると前記コンパレータによって判定されるまでの間に、前記カウンタによってカウントされた前記クロックパルスのパルス数を、前記正極性放電時間として検出し、
前記負極性書込みが行われた前記ダミー画素電極に蓄積された電荷の放電が開始されてから、前記ダミー画素電極に蓄積された電荷の量が前記所定値を下回ると前記コンパレータによって判定されるまでの間に、前記カウンタによってカウントされた前記クロックパルスのパルス数を、前記負極性放電時間として検出することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記ダミー画素電極に蓄積された電荷を放電させるための放電用定電流源を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記画素部は、走査線及びデータ線の交差に対応してマトリクス状に複数配置され、
前記ダミー画素部は、前記走査線に沿って複数配列されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記ダミー画素部には、遮光膜が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記ダミー画素領域は、前記画像表示領域の両端の少なくとも一方に隣接するように設けられることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記書込手段は、最大階調に相当する書込電位を用いて前記正極性書込及び前記負極性書込を行うことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記補正手段は、前記正極性放電時間が前記負極性放電時間よりも長い場合に、前記共通電位を相対的に高電位側に変化させるように前記共通電位を補正し、前記負極性放電時間が前記正極性放電時間よりも長い場合に、前記共通電位を相対的に低電位側に変化させるように前記共通電位を補正することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項9】
前記検出手段は、前記正極性書込が行われてから所定期間が経過した後に前記ダミー画素電極に蓄積された電荷の放電を開始してから、前記正極性放電時間を検出し、且つ前記負極性書込が行われてから所定期間が経過した後に前記ダミー画素電極に蓄積された電荷の放電を開始してから、前記負極性放電時間を検出することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項10】
前記所定期間は、1垂直走査期間であることを特徴とする請求項9に記載の電気光学装置。
【請求項11】
前記書込手段は、前記正極性書込又は前記負極性書込を1水平走査期間だけ行い、
前記検出手段は、前記正極性放電時間の検出又は前記負極性放電時間の検出を1水平期間だけ行うことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項12】
前記書込手段は、前記画素部への書込前又は書込後に、前記ダミー画素部に対して前記正極性書込又は前記負極性書込を行い、
前記検出手段は、前記画素部への書込前又は書込後に、前記正極性放電時間の検出又は前記負極性放電時間の検出を行うことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−186682(P2009−186682A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−25571(P2008−25571)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】