説明

電気光学装置及び電子機器

【課題】液晶装置等の電気光学装置において、表示画面上の系列スジを低減し、高品質な画像を表示する。
【解決手段】電気光学装置は、選択スイッチ(71)のゲート及びN本の選択信号供給線(6)のうち対応する一本の選択信号供給線に電気的に接続されると共に、第1方向(X方向)に交わる第2方向(Y方向)に沿って延びるゲート配線部分(701b)を夫々有する複数のゲート配線(701)と、データ線群(6ag)に対応するN個の選択スイッチ毎に設けられ、且つ、N個の選択スイッチの各々のソースに電気的に接続され、第2方向に沿って延びると共にゲート配線部分よりも広い配線幅で形成された画像信号線部分(320a)を夫々有する複数の画像信号線(300)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶装置等の電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた、例えば液晶プロジェクタ等の電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置では、例えば特許文献1に開示されているように、複数のデータ線をN本(但し、Nは2以上の整数)のデータ線を一群とするデータ線群毎に駆動するために、各データ線に選択スイッチが設けられる。各選択スイッチは選択信号に基づいて、データ線群毎に画像信号を供給する。なお、特許文献1では、データ線群毎に、これに対応する選択スイッチの各々のソースに電気的に接続されるソース側配線について、各々の配線幅を互いに同等にする技術が開示されている。
【0003】
ここに、N本のデータ線に供給すべき画像信号を時分割で入力すると共に、時分割でN本のデータ線を選択して供給する駆動方式(即ち、デマルチプレクサ方式或いはハイブリッド方式)が採用されることがある。このようなデマルチプレクサ方式が採用された電気光学装置では、画像信号線から供給される画像信号が、複数の選択スイッチに入力される。各データ線群においてN本のデータ線は夫々N系列の選択信号のいずれかに基づいて選択スイッチにより選択され、画像信号が供給される。
【0004】
【特許文献1】特開平5−307165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ハイブリッド方式により駆動される電気光学装置では、N系列の選択信号により駆動される各選択スイッチでは、ソースに接続された配線においてN系列の各系列毎にノイズが画像信号に生じることがある。このような画像信号が選択スイッチからデータ線に供給されることにより、N系列の各系列毎のデータ線に沿う縦方向のスジ状のムラ(以下、このようなスジ状のムラを「系列スジ」と称して説明することがある)が表示画面上で発生し、視認されるおそれがある。その結果、電気光学装置における表示品位が劣化するという問題点が生じる。
【0006】
本発明は、例えば上記問題点に鑑みなされたものであり、系列スジを低減することができ、高品質な画像を表示可能な電気光学装置及び該電気光学装置を備えた電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、基板上に、複数の画素電極と、該複数の画素電極が設けられた画素領域で互いに交差する複数の走査線及び複数のデータ線と、前記画素領域の周辺に位置する周辺領域に前記データ線毎に1つずつ設けられると共にトランジスタから夫々なり、N本(但し、Nは2以上の整数)の前記データ線を一群とするデータ線群毎に、N系列の選択信号に基づいて前記データ線群に属するN本のデータ線を互いに異なるタイミングで夫々選択して画像信号を出力する複数の選択スイッチと、前記周辺領域に前記走査線が延びる第1方向に沿って形成され、前記選択信号を前記N系列の各系列毎に供給するN本の選択信号供給線と、前記選択スイッチのゲート及び前記N本の選択信号供給線のうち対応する一本の選択信号供給線に電気的に接続されると共に、前記第1方向に交わる第2方向に沿って延びるゲート配線部分を夫々有する複数のゲート配線と、前記データ線群に対応するN個の前記選択スイッチ毎に設けられ、且つ、前記N個の選択スイッチの各々のソースに電気的に接続され、前記第2方向に沿って延びると共に前記ゲート配線部分よりも広い配線幅で形成された画像信号線部分を夫々有する複数の画像信号線とを備える。
【0008】
本発明の電気光学装置によれば、その動作時には、外部に設けられた例えば画像信号供給回路から例えば画像信号端子を介して画像信号線に画像信号が供給される。画像信号線に供給された画像信号は複数の選択スイッチに対して、データ線群に対応する数、即ちN個の選択スイッチ毎に供給される。複数の選択スイッチはN系列の選択信号に基づいて夫々駆動され、各系列毎にデータ線を選択して画像信号を供給する。これにより、各データ線群について、N個の選択スイッチからN系列の選択信号に基づいてN本のデータ線の各々に対して画像信号が供給され、対応する画素に入力される。これと共に、例えば走査線駆動回路から走査線を介して走査信号が各画素に供給される。画素毎に設けられた例えば画素スイッチング用トランジスタは、走査信号に応じて画像信号を画素電極へ選択的に供給する。その結果、電気光学装置においてアクティブマトリクス駆動が行われる。
【0009】
本発明の電気光学装置では、N系列の選択信号が供給されるN本の選択信号供給線が第1方向(言い換えれば、X方向)に沿って設けられており、各選択スイッチのゲートには、N系列の各系列毎に選択信号供給線からゲート配線部分を介して選択信号が供給される。ゲート配線部分は、第1方向に沿って設けられた選択信号供給線から分岐されて、第2方向(即ち、第1方向に交わる方向、言い換えれば、Y方向)に沿って延びるように形成される。各選択スイッチのソースには、対応する画像信号線の一部を構成する画像信号線部分から画像信号が供給される。画像信号線部分は、第2方向に沿って延びるように形成される。ここで、典型的には、同一の選択スイッチに夫々電気的に接続されるゲート配線部分及び画像信号線部分は、少なくとも部分的に隣り合う。尚、複数の画像信号線は夫々、データ線群に対応するN個の選択スイッチ毎に画像信号を供給する。
【0010】
本発明では特に、画像信号線部分は、ゲート配線部分よりも広い配線幅で形成される。よって、例えば、仮に画像信号線部分をゲート配線部分と同等の幅で形成する場合と比較して、画像信号線部分の配線抵抗をより低くすることが可能となる。
【0011】
例えば、仮に、何らの対策も施さず、各選択スイッチについてゲート配線部分及び画像信号線部分が互いに近接するように配置された場合、ゲート配線部分との間の電気的な悪影響により、画像信号線部分における画像信号に各系列毎にノイズが発生するおそれがある。しかるに本発明によれば、画像信号線部分の配線抵抗を上述したようにより低くすることができるため、ゲート配線部分との間の電気的な悪影響をより低減することが可能となる。言い換えれば、本発明によれば、画像信号線部分は、ゲート配線部分よりも広い配線幅を有するので、選択信号が供給されることによりゲート配線部分の電位が変動するのに伴って、画像信号線部分の電位が変動してしまうのを抑制或いは防止することができる。よって、画像信号線部分における画像信号のノイズをより低減することができ、表示画面において顕著に視認されない程度に系列スジを低減する或いは実践上無くすことが可能となる。
【0012】
従って、以上説明したような本発明の電気光学装置によれば、高品質な画像を表示することが可能となる。
【0013】
本発明の電気光学装置の一の態様では、前記画像信号線部分は、前記ゲート配線部分と互いに同一層に配置される。
【0014】
この態様によれば、各選択スイッチについて、ゲート配線部分及び画像信号線部分が互いに同一層に位置し、互いに近接する場合に、画像信号線部分におけるゲート配線部分との間の電気的な悪影響をより低減することが可能となる。
【0015】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を具備する。
【0016】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明に係る電気光学装置を具備してなるので、表示画面上の系列スジを低減することができる。よって、高品質な表示を行うことが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置等も実現することも可能である。
【0017】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、本発明の電気光学装置の一例であるアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
【0019】
先ず、本実施形態に係る液晶装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここに図1は、本実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す平面図であり、図2は、図1のH−H´線での断面図である。
【0020】
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶装置100では、素子基板10と対向基板20とが対向配置されている。素子基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、素子基板10と対向基板20とは、本発明に係る「画素領域」の一例としての画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。シール材52は、両基板を貼り合わせるための、紫外線硬化樹脂からなり、製造プロセスにおいて素子基板10上に塗布された後、紫外線照射により硬化させられたものである。また、シール材52中には、素子基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材(図示せず)が散布されている。
【0021】
図1において、シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、画像信号が供給される画像信号端子を含む外部回路接続端子102が素子基板10の一辺に沿って設けられている。この一辺に沿ったシール領域よりも内側にデマルチプレクサ7が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿ったシール領域の内側に、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、素子基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、素子基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0022】
素子基板10上には、外部回路接続端子102と、デマルチプレクサ7、走査線駆動回路104、上下導通端子106等とを電気的に接続するための引回配線90が形成されている。
【0023】
図2において、素子基板10上には、駆動素子である画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成される。画像表示領域10aには、画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線の上層に画素電極9aが設けられている。画素電極9a上には、配向膜(図示せず)が形成されている。他方、対向基板20における素子基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。そして、遮光膜23上に、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明材料からなる対向電極21が複数の画素電極9aと対向して形成されている。対向電極21上には配向膜(図示せず)が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
【0024】
尚、ここでは図示しないが、素子基板10上には、デマルチプレクサ7、走査線駆動回路104の他に、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路、検査用パターン等が形成されていてもよい。
【0025】
次に、本実施形態に係る液晶装置の電気的な構成について、図3を参照して説明する。ここに図3は、本実施形態に係る液晶装置の電気的な構成を示す回路図である。
【0026】
図3において、液晶装置100は、素子基板10上に、デマルチプレクサ7及び走査線駆動回路104を備えている。素子基板10上の外部回路接続端子102のうち画像信号端子102vに外部回路としての画像信号供給回路400が電気的に接続されている。
【0027】
素子基板10上の画像表示領域10aには、320行の走査線11aが行方向(即ち、X方向)に延在するように設けられ、また、4本を一群として各データ線群6agにグループ化された480(=120×4)列のデータ線6aが列方向(即ち、Y方向)に延在するように、且つ、各走査線11aと互いに電気的な絶縁を保つように、設けられている。尚、走査線11a及びデータ線6aの本数はそれぞれ320本及び480本に限定されるものではない。各データ線群6agを構成するデータ線数は、本実施形態では「4」としたが、「2」以上であればよい。
【0028】
画素電極9aは、320本の走査線11aと480本のデータ線6aとの交差部に対応して、それぞれ配列されている。従って、本実施形態では、画素電極9aは、縦320行×横480列で、所定の画素ピッチでマトリクス状に配列することになる。尚、ここでは図示しないが、各画素電極9aとデータ線6aとの間には、走査線11aを介して夫々供給される走査信号に応じて夫々の導通状態及び非導通状態が制御される画素スイッチング用TFTや、画素電極9aに印加した電圧を長く維持する蓄積容量のための容量配線が形成されている。
【0029】
ここで本実施形態では、データ線群6agを構成する4列のデータ線6aを区別するために、左から順にそれぞれa、b、c、d系列と呼ぶ場合がある。詳細には、a系列とは1、5、9、…、477列目のデータ線6aであり、b系列とは2、6、10、…、478列目のデータ線6aであり、c系列とは3、7、11、…、479列目のデータ線6aであり、d系列とは4、8、12、…、480列目のデータ線6aである。
【0030】
図3において、走査線駆動回路104は、1、2、3、…、320行目の走査線11aに、走査信号G1、G2、G3、…、G320を供給する。詳細には、走査線駆動回路104は、1フレームの期間にわたって1、2、3、…、320行目の走査線11aを順番に選択するとともに、選択した走査線への走査信号を選択電圧に相当するHレベルとし、それ以外の走査線への走査信号を非選択電圧に相当するLレベルとする。
【0031】
画像信号供給回路400は、素子基板10とは別体構成であり、表示動作の際には、画像信号端子102vを介して素子基板10と電気的に接続される。画像信号供給回路400は、走査線駆動回路104によって選択された走査線11aと、各データ線群6agに属する4列のデータ線6aのうち、デマルチプレクサ7によって選ばれるデータ線6aとに対応する画素電極9aに対し、当該画素電極9aが含まれる画素の階調に応じた電圧の画像信号VIDi(i=1、・・・、120)を出力する。画像信号供給回路400から画像信号端子102vに供給された画像信号VIDiは、画像信号線300を介してデマルチプレクサ7へ供給される。
【0032】
尚、本実施形態では、上述したように、データ線6aの列数は「480」であり、これらが4列毎にグループ化されているので、画像信号端子102vの個数は「120」である。
【0033】
デマルチプレクサ7は、データ線6a毎に設けられた、本発明に係る「複数の選択スイッチ」の一例としての複数のトランジスタ71を含んで構成されている。
【0034】
ここで、図3に加えて図4を参照してトランジスタ71の構成についてより詳細に説明する。図4は、デマルチプレクサにおける一のデータ線群に対応するトランジスタに着目して、その構成をより詳細に示す回路図である。
【0035】
図3及び図4において、図3中、画像信号VID1〜VID120に対応する1番目から120番目のデータ線群6agのうち、m番目(但し、mは1以上120以下の整数)のデータ線群6agに着目すれば、図4において、トランジスタ71は例えばnチャネル型であり、各ドレインはドレイン配線705を介してデータ線6aの一端に電気的に接続されている。
【0036】
データ線群6agに属するデータ線6aに対応する4個のトランジスタ71のソースは、各々のソース配線703を介してデータ線群6agに対応する画像信号線300と共通接続されている。即ち、m番目のデータ線群6agは、a系列の(4m−3)列目、b系列の(4m−2)列目、c系列の(4m−1)列目およびd系列の(4m)列目のデータ線6aから構成される。これら4列のデータ線6aに対応するトランジスタ71のソースは夫々、ソース配線703が共通に電気的に接続されて、画像信号VID(m)が供給される。
【0037】
ここに、図3に示す画像信号線300は、図4において例えば、画像信号VID(m)が入力される画像信号入力線310と、画像信号入力線310に対して、4列のデータ線6aに対応するトランジスタ71の各々のソース配線703を共通接続するための引出配線320とが電気的に接続されてなる。引出配線320は、後述するように4個のトランジスタ71のソース配線703との接続のため、トランジスタ71に向けて夫々分岐された4本の画像信号線部分320a(図5及び図6参照)を有する。
【0038】
また、素子基板10上には、a系列、b系列、c系列、及びd系列のデータ線6aのいずれかを選択するための4系列の選択信号Sel1〜Sel4が供給される4本の選択信号供給線6が設けられている。4本の選択信号供給線6の各々は、Y方向に沿って延びるように形成されている。4本の選択信号供給線6の各々は、複数のトランジスタ71に対して、4系列の各系列毎に同一の選択信号が供給されるトランジスタ71に共通に配線される。
【0039】
(4m−3)列目のデータ線6aに対応するトランジスタ71のゲートには、選択信号Sel1がゲート配線701を介して選択信号供給線6から供給され、同様に(4m−2)列目、(4m−1)列目および(4m)列目のデータ線6aに対応するトランジスタ71のゲートには、選択信号Sel2、Sel3およびSel4が供給される。尚、選択信号Sel1、Sel2、Sel3及びSel4は、図示しない外部回路としてのタイミング制御回路から外部回路接続端子102を介して供給される。4本の選択信号供給線6の各々は、対応する外部回路接続端子102から素子基板10上に引き回される。
【0040】
ここで、上述のように構成された液晶装置の動作について、図3を参照して説明する。
【0041】
走査線駆動回路104は、ある1フレーム(第nフレーム)の期間にわたって走査信号G1、…、G320を1水平期間毎に順次排他的にHレベル(即ち、選択電圧)とする。
【0042】
ここで、1水平期間では、タイミング制御回路から供給される選択信号Sel1、Sel2、Sel3及びSel4は、この順番で排他的にHレベルとなり、この供給に合わせて画像信号供給回路400は、画像信号線300に画像信号VID1、VID2、VID3、…、VID120を供給する。ここに、画像信号供給回路400から出力される、画像信号VID1、VID2、VID3、…、VID120は夫々、1、2、3、…、120番目のデータ線群6agの各々における、4系列のデータ線6aに対応して4系列に時系列化されたデータ電圧を有する。デマルチプレクサ7においては、4系列の選択信号Sel1〜Sel4に応じて、複数のトランジスタ71により画像信号VID1、VID2、VID3、…、VID120の各々の時系列化されたデータ電圧は夫々時分割され、以下のように各データ線群6agにおける4系列のデータ線6aに振り分けられる。
【0043】
詳細には、画像信号供給回路400は、j行目の走査信号Gj(i=1、・・・、320)がHレベルとなる期間において、選択信号Sel1がHレベルとなったとき、j行目の走査線11aとa系列のデータ線6aとの交差に対応する画素の階調に応じた電圧だけ対向電極電位LCCOMに対して高位または低位の画像信号VID1、VID2、VID3、…、VID120を、1、2、3、…、120番目のデータ線群6agに対応させて一斉に出力する。この際、選択信号Sel1だけがHレベルであるので、a系列のデータ線6aが選択される(即ち、a系列のデータ線6aに対応するトランジスタ71だけがオンする)結果、画像信号VID1、VID2、VID3、…、VID120は、それぞれa系列(1、5、9、…、477列目)のデータ線6aに供給される。一方、走査信号GjがHレベルであると、j行目に位置する画素のすべてにおいて、画素スイッチング用TFTがオン(導通)状態となるので、a系列のデータ線6aに供給された画像信号VID1、VID2、VID3、…、VID120は、それぞれj行1列、j行5列、j行9列、…、j行477列の画素電極9aに印加されることになる。
【0044】
次に、画像信号供給回路400は、選択信号Sel2がHレベルとなったとき、今度はj行目の走査線11aとb系列のデータ線6aとの交差に対応する画素の階調に応じた電圧の画像信号VID1、VID2、VID3、…、VID120を、1、2、3、…、120番目のデータ線群6agに対応させて一斉に出力する。この際、選択信号Sel2だけがHレベルであるため、b系列のデータ線6aが選択される結果、画像信号VID1、VID2、VID3、…、VID120は、それぞれb系列(2、6、10、…、478列目)のデータ線6aに供給されて、それぞれj行2列、j行6列、j行10列、…、j行478列の画素電極9aに印加されることになる。
【0045】
同様に、画像信号供給回路400は、j行目の走査信号GjがHレベルとなる期間において、選択信号Sel3がHレベルとなったときには、j行目の走査線11aとc系列のデータ線6aとの交差に対応する画素、選択信号Sel4がHレベルとなったときには、j行目の走査線11aとd系列のデータ線6aとの交差に対応する画素、の階調に応じた電圧の画像信号VID1、VID2、VID3、…、VID120を、それぞれ1、2、3、…、120番目のデータ線群6agに対応させて一斉に出力し、これにより、c系列(3、7、11、…、479列目)のデータ線6aに供給されて、それぞれj行3列、j行7列、j行11列、…、j行479列の画素電極9aに印加され、引き続き、d系列(4、8、12、…、480列目)のデータ線6aに供給されて、それぞれj行4列、j行8列、j行12列、…、j行480列の画素電極9aに印加される。
【0046】
これにより、j行目の画素に対して、階調に応じた画像信号の電圧を書き込む動作が完了する。尚、画素電極9aに印加された電圧は、走査信号GjがLレベルになっても、液晶容量によって次の第(n+1)フレームの書き込みまで保持されることになる。
【0047】
次に、図4に示すm番目のデータ線群6agに対応する4個のトランジスタ71の構成の一例について、図5及び図6を参照して説明する。図5は、互いに隣接する2つのトランジスタの構成を示す平面図であり、図6は、図5のA−A’断面図である。尚、図5及び図6では、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。また、図6の断面部分では、図5に示す主要な構成要素が夫々配置される層についてのみ着目して、その構成を示してある。
【0048】
ここに、図4に示す4個のトランジスタ71は互いに同様の構成を有する。以下では、これら4個のトランジスタ71のうち、m番目のデータ線群6agにおけるa系列及びb系列のデータ線6aに対応する2つのトランジスタ71に着目してその構成をより詳細に説明する。
【0049】
図5において、2つのトランジスタ71は半導体層1aをそれぞれ有している。例えば、半導体層1aは、ポリシリコン膜からなる。そして、半導体層1a上に、トランジスタ71のゲート電極3aとして構成される第1ゲート配線部分701aが、図6における最下層に配置されている。第1ゲート配線部分701aは、例えば導電性のポリシリコン膜により形成される。尚、第1ゲート配線部分701a、及びそれよりも上層側に配置される第2ゲート配線部分701bから図4に示すゲート配線701が構成される。
【0050】
図5又は図6において、第1ゲート配線701aより絶縁層12(図6参照)を介して上層側に、例えばアルミニウム(Al)を含む導電材料又はその他の金属膜によりそれぞれ形成される、中継層40、選択信号供給線6及びトランジスタ71のソース配線703が設けられる。中継層40は、絶縁層12に開口されたコンタクトホール86を介して第1ゲート配線部分701aと電気的に接続される。また、図4及び図5における画像信号線300の画像信号入力線310、及びトランジスタ71のドレイン配線705も、中継層40、選択信号供給線6、ソース配線703と同一層に配置される。ここで、「同一層」とは、夫々同一の導電材料から形成され、同時にパターニングされた配線等をいう。
【0051】
図5又は図6において、中継層40、選択信号供給線6及びソース配線703より絶縁層15(図6参照)を介して上層側に、例えばアルミニウム(Al)を含む導電材料又はその他の金属膜によりそれぞれ形成される、第2ゲート配線部分701b及び画像信号線300の引出配線320が設けられる。尚、第2ゲート配線部分701bは、本発明に係る「ゲート配線部分」の一例である。第2ゲート配線部分701bは、絶縁層15に開口されたコンタクトホール81及び83を夫々介して、対応する選択信号供給線6及び中継層40の各々と電気的に接続される。即ち、第1ゲート配線部分701a及び第2ゲート配線部分701bは、コンタクトホール83及び86並びに中継層40を介して互いに電気的に接続される。
【0052】
また、引出配線320において、トランジスタ71に向かって(言い換えれば、Y方向に沿って)分岐された画像信号線部分320aは、図6において絶縁層15に開孔されたコンタクトホール85を介してソース配線703と電気的に接続される。尚、第2ゲート配線部分701b及び引出配線320と該第2ゲート配線部分701b及び引出配線320より上層側の図示しない導電層とは、絶縁層17により層間絶縁される。
【0053】
本実施形態では、各トランジスタ71について、第2ゲート配線部分701b及び画像信号線部分320aは互いに同一層に配置され、同一方向(即ち、Y方向)に沿って近接して並走するように配置されている。尚、図5又は図6に示す構成に限定されず、例えば第2ゲート配線部分701b及び画像信号線部分320aは互いに異なる層に配置されるようにしてもよい。
【0054】
各トランジスタ71について、第2ゲート配線部分701b及び画像信号線部分320aを比較すれば、図5に示すように、画像信号線部分320aの幅d1は第2ゲート配線部分701bの幅d2よりも広くなるように形成されている。よって、画像信号線部分320aを第2ゲート配線部分701bと同等の幅で形成する場合と比較して、画像信号線部分320aの配線抵抗をより低くすることが可能となる。従って、同一層において互いに近接して並走する第2ゲート配線部分701bとの間の電気的な悪影響を、画像信号線部分320aにおいてより低減することができる。
【0055】
従って、2つのトランジスタ71の各々について、画像信号線部分320aに供給される画像信号VID(m)に、選択信号Sel1及びSel2の各々の系列毎にノイズを低減することができ、表示画面において顕著に視認されない程度に系列スジを低減することが可能となる。
【0056】
また、図5及び図6において、データ線群6agと対応する4個のトランジスタ71のうち2つのトランジスタ71に着目して説明したが、この2つのトランジスタ71と同様に好ましくは他の2つのトランジスタ71についても構成されるようにしてもよい。従って、他の2つのトランジスタ71についても、画像信号線部分320aにおける画像信号VID(m)に、選択信号Sel3及びSel4の各々の系列毎にノイズを低減することができる。
【0057】
従って、以上説明したような液晶装置100によれば、ハイブリッド方式により高品質な画像を表示することが可能となる。
【0058】
尚、デマルチプレクサ7における複数のトランジスタ71について、選択信号Sel1〜Sel4の4系列のうち、系列スジが顕著となる系列に対応するトランジスタ71のみについて、第2ゲート配線部分701b及び画像信号線部分320aを上述したように形成するようにしてもよい。この場合においては、より容易で且つ効果的に系列スジを低減することができる。
【0059】
次に、上述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。ここに図7は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。以下では、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。
【0060】
図7に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110B及び1110Gに入射される。
【0061】
液晶パネル1110R、1110B及び1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、R及びBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。従って、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
【0062】
尚、図7を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピュータや、携帯電話、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0063】
また、本発明は上述の各実施形態で説明した液晶装置以外にも反射型液晶装置(LCOS)等にも適用可能である。
【0064】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置及び電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】液晶装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】図1のH−H´線での断面図である。
【図3】本実施形態に係る液晶装置の電気的な構成を示す回路図である。
【図4】デマルチプレクサにおける一のデータ線群に対応するトランジスタに着目して、その構成をより詳細に示す回路図である。
【図5】互いに隣接する2つのトランジスタの構成を示す平面図である。
【図6】図5のA−A’断面図である。
【図7】液晶装置を適用した電子機器の一例たるプロジェクタの構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0066】
6…選択信号供給線、6a…データ線、9a…画素電極、7…デマルチプレクサ、10…素子基板、10a…画像表示領域、11a…走査線、71…トランジスタ、320a…画像信号線部分、701b…第2ゲート配線部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、
複数の画素電極と、
該複数の画素電極が設けられた画素領域で互いに交差する複数の走査線及び複数のデータ線と、
前記画素領域の周辺に位置する周辺領域に前記データ線毎に1つずつ設けられると共にトランジスタから夫々なり、N本(但し、Nは2以上の整数)の前記データ線を一群とするデータ線群毎に、N系列の選択信号に基づいて前記データ線群に属するN本のデータ線を互いに異なるタイミングで夫々選択して画像信号を出力する複数の選択スイッチと、
前記周辺領域に前記走査線が延びる第1方向に沿って形成され、前記選択信号を前記N系列の各系列毎に供給するN本の選択信号供給線と、
前記選択スイッチのゲート及び前記N本の選択信号供給線のうち対応する一本の選択信号供給線に電気的に接続されると共に、前記第1方向に交わる第2方向に沿って延びるゲート配線部分を夫々有する複数のゲート配線と、
前記データ線群に対応するN個の前記選択スイッチ毎に設けられ、且つ、前記N個の選択スイッチの各々のソースに電気的に接続され、前記第2方向に沿って延びると共に前記ゲート配線部分よりも広い配線幅で形成された画像信号線部分を夫々有する複数の画像信号線と
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記画像信号線部分は、前記ゲート配線部分と互いに同一層に配置されることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電気光学装置を具備してなることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−192826(P2009−192826A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−33525(P2008−33525)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】