説明

電気光学装置及び電子機器

【課題】従来の電気光学装置では、コストを低減することが困難である。
【解決手段】対向基板73と、素子基板71と、対向基板73及び素子基板71の間に介在し、対向基板73及び素子基板71のうち少なくとも一方から出射する光の量を、複数の画素の前記画素ごとに制御する液晶と、対向基板73の素子基板71側とは反対側において対向基板73に対向し、対向基板73及び素子基板71を保持するフレーム151と、を含み、フレーム151は、熱可塑性樹脂で構成される基部163を有し、且つ透光性を有する、ことを特徴とする電気光学装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気光学装置の1つである液晶装置において、液晶パネルに防塵用基板を接着した構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−12934号公報(第3頁〜第4頁、図12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された液晶装置では、防塵用基板によって、ごみなどの異物が液晶パネルに付着することを低く抑えることができる。また、防塵用基板に異物が付着しても、異物は、少なくとも防塵用基板の厚みの分だけ液晶パネルから離間する。このため、表示される画像において、投影される異物を目立ちにくくすることができる。
【0005】
上記特許文献1に記載された液晶装置では、液晶パネルを構成する基板と、防塵用基板とは、互いに同じ材料である石英基板で構成されている。
ここで、例えば、液晶パネルを構成する基板と防塵用基板とが互いに異なる材料で構成されていると、加熱されたときに、液晶パネルを構成する基板や、防塵用基板に、ひずみが発生することがある。これは、材料における熱膨張係数の違いに起因する。
【0006】
これに対し、特許文献1に記載された液晶装置では、液晶パネルを構成する基板の熱膨張係数と、防塵用基板の熱膨張係数とが同等である。このため、例えば、液晶装置が加熱されても、液晶パネルを構成する基板や、防塵用基板に、ひずみが発生することを低く抑えやすくすることができる。
しかしながら、特許文献1に記載された液晶装置では、液晶パネルを構成する基板と防塵用基板とが互いに同じ材料で構成されるので、材料の選択の自由度を高めることが困難である。これに起因して、コストの低減が困難となる。
つまり、従来の電気光学装置では、コストを低減することが困難であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現され得る。
【0008】
[適用例1]第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に介在し、前記第1基板及び前記第2基板のうち少なくとも一方から出射する光の量を、複数の画素の前記画素ごとに制御する電気光学物質と、前記第1基板の前記第2基板側とは反対側において前記第1基板に対向し、前記第1基板及び前記第2基板を保持する保持部材と、を含み、前記保持部材は、熱可塑性樹脂で構成されており、且つ透光性を有する、ことを特徴とする電気光学装置。
【0009】
この適用例の電気光学装置は、第1基板と、第2基板と、電気光学物質と、保持部材と、を含む。
第2基板は、第1基板に対向している。電気光学物質は、第1基板及び第2基板の間に介在している。電気光学物質は、第1基板及び第2基板のうち少なくとも一方から出射する光の量を、複数の画素の画素ごとに制御する。保持部材は、第1基板及び第2基板を保持する。保持部材は、第1基板の第2基板側とは反対側において第1基板に対向している。保持部材は、熱可塑性樹脂で構成されており、且つ透光性を有している。
この電気光学装置では、第1基板の第2基板側とは反対側に保持部材が設けられているので、第1基板に異物が付着することを防止しやすい。このため、防塵用基板を省略することができる。この結果、コストを低減しやすくすることができる。
また、第1基板と保持部材とが互いに固着されていなくてもよいので、熱膨張係数の違いに起因するひずみの発生を低く抑えやすくすることができる。
【0010】
[適用例2]上記の電気光学装置であって、前記保持部材は、前記第1基板及び前記第2基板の側面に対向する側壁部を有する、ことを特徴とする電気光学装置。
【0011】
この適用例では、保持部材が側壁部を有しているので、第1基板及び第2基板の側面を保持部材で囲みやすくすることができる。これにより、第1基板や第2基板に異物が付着することを防止しやすい。
【0012】
[適用例3]上記の電気光学装置であって、前記保持部材には、少なくとも、前記第1基板に対峙する面と、前記第1基板側とは反対側の面とに、透光性フィルムが設けられている、ことを特徴とする電気光学装置。
【0013】
この適用例では、保持部材の第1基板に対峙する面と、第1基板側とは反対側の面とを、透光性フィルムで保護しやすくすることができる。
【0014】
[適用例4]上記の電気光学装置であって、前記保持部材は、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂を含有する材料で構成されており、前記透光性フィルムは、フッ素化合物を含有する材料で構成されていることを特徴とする電気光学装置。
【0015】
この適用例では、保持部材は、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂を含有する材料で構成されている。透光性フィルムは、フッ素化合物を含有する材料で構成されている。上記により、透光性フィルムを有する保持部材を構成することができる。
【0016】
[適用例5]上記の電気光学装置であって、前記第1基板と前記透光性フィルムとが、互いに離間している、ことを特徴とする電気光学装置。
【0017】
この適用例では、第1基板と透光性フィルムとが互いに離間しているので、熱膨張係数の違いに起因するひずみの発生を一層低く抑えやすくすることができる。
【0018】
[適用例6]上記の電気光学装置を有する、ことを特徴とする電子機器。
【0019】
この適用例の電子機器は、電気光学装置を有している。この電気光学装置は、第1基板と、第2基板と、電気光学物質と、保持部材と、を含む。
第2基板は、第1基板に対向している。電気光学物質は、第1基板及び第2基板の間に介在している。電気光学物質は、第1基板及び第2基板のうち少なくとも一方から出射する光の量を、複数の画素の画素ごとに制御する。保持部材は、第1基板及び第2基板を保持する。保持部材は、第1基板の第2基板側とは反対側において第1基板に対向している。保持部材は、熱可塑性樹脂で構成されており、且つ透光性を有している。
この電気光学装置では、第1基板の第2基板側の反対側に保持部材が設けられているので、第1基板に異物が付着することを防止しやすい。このため、防塵用基板を省略することができる。この結果、コストを低減しやすくすることができる。
また、第1基板と保持部材とが互いに固着されていなくてもよいので、熱膨張係数の違いに起因するひずみの発生を低く抑えやすくすることができる。
そして、この電子機器は、コストを低減しやすくすることができる電気光学装置を有しているので、コストを低減しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態におけるプロジェクターの主要構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態におけるプロジェクターの画像形成部の主要構成を示す図。
【図3】本実施形態におけるプロジェクターの画像形成パネルを示す斜視図。
【図4】図3中のA−A線における断面図。
【図5】本実施形態での液晶パネルを示すブロック図。
【図6】本実施形態における液晶パネルの等価回路図。
【図7】本実施形態での画像形成パネルにおける偏光状態を説明する図。
【図8】本実施形態におけるライトバルブユニットを示す平面図。
【図9】図8中のD−D線における断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施形態について、電子機器の1つであるプロジェクターを例に、図面を参照しながら説明する。
本実施形態におけるプロジェクター1は、主要構成を示すブロック図である図1に示すように、光学系3と、制御部5と、を有している。プロジェクター1は、図示しない外部装置から入力される画像信号に応じた画像を、光学系3を介してスクリーン8などに投射することができる。
光学系3は、画像信号に基づいた画像を形成し、形成した画像をスクリーン8などに投射する。制御部5は、画像信号に基づいて光学系3の駆動を制御する。
【0022】
光学系3は、ランプ11と、画像形成部13と、投射レンズ部15と、を有している。
ランプ11は、画像形成部13や投射レンズ部15を経てスクリーン8に向けて出射される投射光17を発生する。ランプ11としては、例えば、高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどが採用され得る。
画像形成部13は、後述する画像形成パネルなどを有している。画像形成部13は、制御部5から入力される画像データなどに基づいて画像形成パネルに画像を形成する。画像形成部13には、ランプ11からの光が照射される。このため、画像形成部13に形成された画像は、ランプ11からの光によって投射レンズ部15に投影される。
【0023】
投射レンズ部15には、ランプ11からの光が画像形成部13を経て入射される。投射レンズ部15は、入射された光を広げる方向に屈折させて、投射光17として出射する。このため、画像形成部13に形成された画像は、拡大された状態でスクリーン8に投射され得る。
【0024】
ここで、画像形成部13の構成について、詳細を説明する。
画像形成部13は、主要構成を示す図である図2に示すように、分光部31と、液晶パネル33と、クロスダイクロイックプリズム35と、を有している。
分光部31には、ランプ11からの光41が入射される。分光部31は、光41から、赤系(R)の色の光41R、緑系(G)の色の光41G、及び青系(B)の色の光41Bのそれぞれを分離する。
【0025】
ここで、Rの色は、純粋な赤の色相に限定されず、橙等を含む。Gの色は、純粋な緑の色相に限定されず、青緑や黄緑等を含む。Bの色は、純粋な青の色相に限定されず、青紫や青緑等を含む。他の観点から、Rの色を呈する光41Rは、光の波長のピークが、可視光領域で570nm以上の範囲にある光であると定義され得る。また、Gの色を呈する光41Gは、光の波長のピークが500nm〜565nmの範囲にある光であると定義され得る。Bの色を呈する光41Bは、光の波長のピークが415nm〜495nmの範囲にある光であると定義され得る。
【0026】
分光部31は、ダイクロイックミラー43と、ダイクロイックミラー45と、反射ミラー47と、反射ミラー48と、反射ミラー49と、を有している。光41は、光軸51aに沿って分光部31に入射する。
ダイクロイックミラー43は、光軸51aと交差する位置に設けられている。ダイクロイックミラー43は、光軸51aの方向に対して傾斜している。ダイクロイックミラー43は、光41のうちで、Rの光41Rを透過させ、Gの光41G及びBの光41Bを反射させることができる。
【0027】
従って、ダイクロイックミラー43によって、光41からRの光41Rが分離され得る。他方で、Gの光41G及びBの光41Bが混合した光53が、ダイクロイックミラー43によって、光41から分離され得る。
ダイクロイックミラー43を透過した光41Rは、光軸51aに沿って反射ミラー47へ導かれる。
他方で、ダイクロイックミラー43によって反射された光53は、光軸51aが光軸51bに変えられてから、ダイクロイックミラー45へ導かれる。
【0028】
ダイクロイックミラー45は、光軸51bと交差する位置に設けられている。ダイクロイックミラー45は、光軸51bの方向に対して傾斜している。ダイクロイックミラー45は、光53のうちで、Bの光41Bを透過させ、Gの光41Gを反射させることができる。従って、ダイクロイックミラー45によって、光53からGの光41GとBの光41Bとが分離され得る。
ダイクロイックミラー45を透過した光41Bは、光軸51bに沿って反射ミラー48へ導かれる。
他方で、ダイクロイックミラー45によって反射された光41Gは、光軸51bが光軸51cに変えられる。
【0029】
反射ミラー47は、光41Rの光軸51aと交差する位置に設けられている。反射ミラー47は、光軸51aの方向に対して傾斜している。光41Rは、反射ミラー47で反射することによって、光軸51aが光軸51dに変えられる。
反射ミラー48は、光41Bの光軸51bと交差する位置に設けられている。反射ミラー48は、光軸51bの方向に対して傾斜している。光41Bは、反射ミラー48によって光軸51bが光軸51eに変えられてから、反射ミラー49に導かれる。
反射ミラー49は、光41Bの光軸51eと交差する位置に設けられている。反射ミラー49は、光軸51eの方向に対して傾斜している。光41Bは、反射ミラー49で反射することによって、光軸51eが光軸51fに変えられる。
【0030】
クロスダイクロイックプリズム35は、光軸51c、光軸51d及び光軸51fの交点に重なる位置に設けられている。クロスダイクロイックプリズム35は、面35aと、面35bと、面35cと、面35dと、を有している。
面35aは、反射ミラー47側に向けられている。面35bは、ダイクロイックミラー45側に向けられている。面35cは、反射ミラー49側に向けられている。
【0031】
液晶パネル33は、光41R,41G及び41Bごとに設けられている。つまり、プロジェクター1は、光41Rに対応する液晶パネル33と、光41Gに対応する液晶パネル33と、光41Bに対応する液晶パネル33と、を有している。なお、以下において、液晶パネル33を光41R,41G及び41Bごとに識別する場合には、液晶パネル33は、液晶パネル33R、液晶パネル33G及び液晶パネル33Bと表記される。
液晶パネル33R、液晶パネル33G及び液晶パネル33Bは、相互に同じ仕様の液晶パネル33が採用され得る。
【0032】
液晶パネル33Rは、面35aと反射ミラー47との間において、光軸51dに交差する位置に設けられている。液晶パネル33Rは、面35aに対向している。
液晶パネル33Gは、面35bとダイクロイックミラー45との間において、光軸51cに交差する位置に設けられている。液晶パネル33Gは、面35bに対向している。
液晶パネル33Bは、面35cと反射ミラー49との間において、光軸51fに交差する位置に設けられている。液晶パネル33Bは、面35cに対向している。
【0033】
ここで、液晶パネル33は、透過型の液晶パネルであり、ライトバルブとしてプロジェクター1に適用されている。
液晶パネル33は、後述する複数の画素と、画素ごとに駆動が制御される液晶と、を有している。液晶パネル33は、複数の画素に入射された光の偏光状態を、画素ごとに変化させることができる。
なお、分光部31と各液晶パネル33との間には、後述する偏光板及び位相差板(図示せず)が設けられている。また、各液晶パネル33とクロスダイクロイックプリズム35との間にも、後述する偏光板及び位相差板(図示せず)が設けられている。
この構成により、液晶パネル33では、液晶パネル33の複数の画素に入射された光の偏光状態を画素ごとに変化させることによって、液晶パネル33を透過した光で画像を形成することができる。
【0034】
液晶パネル33を透過した光は、クロスダイクロイックプリズム35に導かれる。
液晶パネル33Rを透過した光41Rは、面35aからクロスダイクロイックプリズム35に入射する。
液晶パネル33Gを透過した光41Gは、面35bからクロスダイクロイックプリズム35に入射する。
液晶パネル33Bを透過した光41Bは、面35cからクロスダイクロイックプリズム35に入射する。
このため、面35aには、Rの画像が投影され、面35bには、Gの画像が投影され、面35cには、Bの画像が投影され得る。
【0035】
クロスダイクロイックプリズム35に入射した光41R,41G及び41Bは、クロスダイクロイックプリズム35によって合成される。つまり、クロスダイクロイックプリズム35によって、Rの画像、Gの画像及びBの画像が合成され得る。
クロスダイクロイックプリズム35によって合成された光41R,41G及び41Bは、画像光55としてクロスダイクロイックプリズム35の面35dから出射される。
【0036】
面35dから出射された画像光55は、投射レンズ部15へ導かれてから、投射レンズ部15に入射する。投射レンズ部15に入射した画像光55は、投射光17(図1)としてスクリーン8などに投射される。
【0037】
ここで、液晶パネル33の構成について、詳細を説明する。
液晶パネル33は、斜視図である図3に示すように、入射面57を有している。入射面57は、図2に示す光源の一例であるランプ11から出射された光41(光41R,41G,41B)が入射する面である。また、液晶パネル33は、図3中のA−A線における断面図である図4に示すように、出射面59を有している。液晶パネル33において、出射面59は、入射面57とは反対側の面である。出射面59は、図2に示す画像形成部13において、クロスダイクロイックプリズム35側に向けられている。
【0038】
また、液晶パネル33は、図4に示すように、防塵用基板63と、素子基板71と、対向基板73と、液晶75と、シール材77と、を有している。
素子基板71には、入射面57側すなわち液晶75側に、後述するスイッチング素子などが設けられている。
対向基板73は、素子基板71よりも入射面57側で素子基板71に対向し、且つ素子基板71との間に隙間を有した状態で設けられている。対向基板73には、出射面59側すなわち液晶75側に、後述する共通電極などが設けられている。
なお、本実施形態では、素子基板71は、平面視で、対向基板73よりもはみ出ている。素子基板71において、対向基板73よりもはみ出た領域は、張出領域71aと呼ばれる。張出領域71aは、図3に示すように、対向基板73の輪郭に沿って周状に設けられている。張出領域71aは、平面視で、対向基板73を外側から囲んでいる。
【0039】
液晶75は、図4に示すように、素子基板71及び対向基板73の間に挟持されており、液晶パネル33の周縁よりも内側で表示領域を囲むシール材77によって、素子基板71及び対向基板73の間に封止されている。本実施形態では、液晶75の駆動方式として、VA(Vertical Alignment)型の駆動方式が採用されている。
防塵用基板63は、素子基板71よりも出射面59側、すなわち液晶75側とは反対側に設けられている。プロジェクター1では、素子基板71や対向基板73にごみなどの異物が付着すると、スクリーン8などに異物が投影されてしまうことがある。素子基板71や対向基板73と異物との間に防塵用基板63を介在させることによって、異物がデフォーカスされる。これにより、投写画像において、異物の投影像を目立ちにくくすることができる。
【0040】
前述した位相差板66aは、対向基板73の入射面57側、すなわち液晶75側とは反対側に設けられている。
位相差板66bは、防塵用基板63の出射面59側、すなわち液晶75側とは反対側に設けられている。液晶パネル33では、位相差板66a及び位相差板66bは、それぞれ、入射された光に対して1/4波長の位相差を付与する。
また、前述した偏光板67aは、位相差板66aの液晶パネル33側とは反対側に設けられている。偏光板67bは、位相差板66bの液晶パネル33側とは反対側に設けられている。偏光板67a及び偏光板67bは、それぞれ、透過軸に沿った偏光軸を有する直線偏光を透過させることができる。
【0041】
ここで、液晶パネル33には、液晶パネル33の平面図である図5に示すように、複数の画素78が設定されている。複数の画素78は、領域79内で、図中のX方向及びY方向に配列しており、X方向を行方向とし、Y方向を列方向とするマトリクスMを構成している。図5では、構成をわかりやすく示すため、画素78が誇張され、且つ画素78の個数が減じられている。
なお、領域79は、画像が形成(表示)される領域に相当する。このため、以下において、領域79は、画素領域79と表記される。
本実施形態では、Y方向に沿って並ぶ複数の画素78が、1つの画素列78Cを構成している。また、X方向に沿って並ぶ複数の画素78が、1つの画素行78Lを構成している。この観点から、X方向は、画素行78Lが延在する方向であるともみなされ得る。また、Y方向は、画素列78Cが延在する方向であるともみなされ得る。
【0042】
また、液晶パネル33は、走査線駆動回路81と、信号線駆動回路83と、封止材85と、端子電極87と、複数の走査線Tと、複数の信号線Sと、を有している。
なお、走査線駆動回路81と、信号線駆動回路83と、端子電極87とは、後述するスイッチング素子と同様に、素子基板71に形成されている。図5では、構成をわかりやすく示すため、端子電極87が誇張され、且つ端子電極87の個数が減じられている。
なお、本実施形態では、X方向は、走査線Tが延在する方向に相当している。Y方向は、信号線Sが延在する方向に相当している。
【0043】
走査線駆動回路81は、各走査線Tに選択信号を供給する。信号線駆動回路83は、各信号線Sにデータ信号(画像データ)を供給する。
端子電極87は、FPC(Flexible Printed Circuit)などの外部配線を接続するための端子である。端子電極87と走査線駆動回路81との間や、端子電極87と信号線駆動回路83との間は、配線89を介して電気的に接続されている。
【0044】
シール材77には、注入口77aが形成されている。注入口77aは、液晶75のセル内への導入路である。注入口77aは、環状に設けられるシール材77の一部を欠いた構成を有しており、セル内とセル外とを連通させる。
本実施形態では、液晶75のセル内への注入方法として、減圧注入法が採用されている。減圧注入法とは、注入口77aと液晶75とを真空に近い減圧環境下で当接させてから、減圧環境の圧力を上昇させることによってセル内に液晶75を注入する方法である。
注入口77aは、封止材85によって塞がれている。これにより、液晶75は、セル内に封止されている。
なお、セル内への液晶75の注入方法は、減圧注入法に限定されず、滴下法(ODF(One Drop Fill)とも呼ばれる)も採用され得る。滴下法が採用される場合、注入口77a及び封止材85は省略され得る。
【0045】
複数の走査線T及び複数の信号線Sは、図6に示すように、格子状に配線されている。複数の走査線Tは、Y方向に互いに間隔をあけた状態で、X方向に沿って延びている。複数の信号線Sは、X方向に互いに間隔をあけた状態で、Y方向に沿って延びている。各画素78は、各走査線Tと各信号線Sとの交差に対応して設定されている。
各信号線Sは、Y方向に沿って並ぶ複数の画素78すなわち各画素列78C(図5)に対応している。各走査線Tは、X方向に沿って並ぶ複数の画素78すなわち各画素行78L(図5)に対応している。
また、液晶パネル33は、画素78ごとに、スイッチング素子の1つであるTFT(Thin Film Transistor)素子91と、画素電極93と、共通電極97と、を有している。なお、共通電極97は、マトリクスMを構成する複数の画素78間にまたがって一連した状態で設けられている。つまり、共通電極97は、マトリクスMを構成する複数の画素78に平面視で重なる領域に設けられており、複数の画素78間にまたがって共通して機能する。
【0046】
TFT素子91のゲート電極は、対応する走査線Tに電気的に接続されている。TFT素子91のソース電極は、対応する信号線Sに電気的に接続されている。各画素78において、TFT素子91のドレイン電極は、画素電極93に電気的に接続されている。
各画素78において、画素電極93と共通電極97とは、画素電極93と共通電極97との間に電界を形成する一対の電極を構成している。液晶75(図4)は、画素電極93と共通電極97との間に介在している。本実施形態では、画素電極93と共通電極97とは、互いに対向している。
TFT素子91は、このTFT素子91に電気的に接続される走査線Tに選択信号が供給されるとオン状態となる。このとき、このTFT素子91に電気的に接続される信号線Sからデータ信号が供給され、画素電極93がデータ信号の大きさに応じた電位に保たれる。このとき、共通電極97を画素電極93の電位とは異なる電位に保つと、画素電極93と共通電極97との間に電位差が発生する。これにより、画素78ごとに、画素電極93と共通電極97との間に電界を発生させることができる。
【0047】
液晶パネル33では、画素電極93と共通電極97との間に電圧を印加すると、画素電極93と共通電極97との間に電界が発生する。この電界によって液晶75の配向状態を画素78ごとに変化させることができる。
本実施形態では、液晶75に電界が作用すると、液晶75がオン状態になる。他方で、液晶75に作用する電界が解除されると、液晶75がオフ状態になる。
プロジェクター1では、図2に示す画像形成部13に光41を照射した状態で、各液晶パネル33における液晶75の配向状態を画素78ごとに変化させることにより、表示が制御される。液晶75の配向状態は、画素電極93の電位と共通電極97の電位との差(以下、駆動電圧と呼ぶ)によって変化し得る。
なお、本実施形態では、液晶75は、入射した光に1/2波長の位相差を付与することができる。これは、液晶75のリタデーション(複屈折率と厚みとの積)の設定により実現され得る。本実施形態では、入射した光に1/2波長の位相差を付与するリタデーションが設定されている。
【0048】
液晶パネル33では、駆動電圧が0Vのときに、液晶75がオフ状態にある。他方で、駆動電圧が0Vを超えると、液晶75がオフ状態からオン状態に変化する。
図7(a)は、液晶75がオフ状態のときの液晶パネル33における偏光状態を示す図であり、図7(b)は、液晶75がオン状態のときの液晶パネル33における偏光状態を示す図である。
液晶パネル33では、偏光板67aの透過軸121と、偏光板67bの透過軸123とは、図7(a)及び図7(b)に示すように、互いに直交している。
なお、図7(a)及び図7(b)において、X'方向及びY'方向は、X'方向が偏光板67aの透過軸121の方向を示し、Y'方向が偏光板67bの透過軸123の方向を示している。X'方向及びY'方向は、XY平面内で互いに直交する任意の2方向である。
【0049】
位相差板66aの遅相軸125は、平面視でX'方向に対して、時計方向に45度の傾きを有する方向に設定されている。
従って、偏光板67aを透過した直線偏光143は、位相差板66aによって1/4波長の位相差が与えられ、平面視で反時計方向に回転する円偏光144として液晶75に入射する。
【0050】
液晶75に入射した円偏光144は、液晶75がオフ状態のときに、図7(a)に示すように、偏光状態が維持されたまま(位相差が付与されずに)円偏光144として位相差板66bに向けて出射される。
ここで、位相差板66bの遅相軸127は、平面視でX'方向に対して、時計方向に45度の傾きを有する方向に設定されている。
【0051】
このため、位相差板66bに入射した円偏光144は、位相差板66bによって1/4波長の位相差が与えられ、平面視でX'方向に沿った偏光軸を有する直線偏光145として偏光板67bに向けて出射される。
偏光板67bに向けて出射された直線偏光145は、偏光軸が偏光板67bの透過軸123に対して直交しているため、偏光板67bによって吸収される。
【0052】
他方で、液晶75がオン状態のときに、液晶75に入射された円偏光144は、図7(b)に示すように、1/2波長の位相差が与えられ、平面視で時計方向に回転する(円偏光144とは逆回転の)円偏光147として位相差板66bに向けて出射される。
位相差板66bに入射した円偏光147は、位相差板66bによって1/4波長の位相差が与えられ、平面視でY'方向に沿った偏光軸を有する直線偏光149として偏光板67bに向けて出射される。
偏光板67bに向けて出射された直線偏光149は、偏光軸が偏光板67bの透過軸123に沿っているため、偏光板67bを透過する。
【0053】
このように、液晶パネル33では、液晶75のオン状態及びオフ状態の切り替えにより、画像の形成が制御される。
本実施形態では、液晶75がオフ状態のときに液晶パネル33からの光の出射が遮断される所謂ノーマリーブラック(初期的に“黒表示”の状態)の表示モードが採用されている。しかしながら、表示モードは、ノーマリーブラックに限定されず、所謂ノーマリーホワイト(初期的に“白表示”の状態)も採用され得る。
【0054】
上述した液晶パネル33は、図8に示すように、フレーム151に収容された状態で、ライトバルブユニット150としてプロジェクター1に組み込まれている。
フレーム151は、光透過性を有している。このため、ライトバルブユニット150では、フレーム151を介して液晶パネル33が視認され得る。また、フレーム151は、ねじ孔154を有している。ライトバルブユニット150は、フレーム151のねじ孔154に挿入されたねじ(図示せず)を介してプロジェクター1に取り付けられている。
なお、液晶パネル33の端子電極87(図5)に接続されたFPC155は、フレーム151の内側から外側に延びている。
【0055】
ライトバルブユニット150は、図8中のD−D線における断面図である図9に示すように、液晶パネル33と、フレーム151と、固定プレート161と、を有している。
フレーム151は、基部163と、第1フィルム165と、第2フィルム167と、を有している。
基部163は、光透過性を有しており、天板部171と、側壁部173と、を有している。天板部171は、液晶パネル33の入射面57に対向する部位である。
【0056】
側壁部173は、天板部171の周縁に設けられており、天板部171から液晶パネル33側に突出している。側壁部173は、天板部171の周縁に沿って一連しており、液晶パネル33の側面に対向する。つまり、側壁部173は、素子基板71の側面と、対向基板73の側面とに対向している。基部163は、凹状を呈しており、液晶パネル33を収容した状態において、側壁部173が液晶パネル33を囲んでいる。
基部163の材料としては、光透過性を有する樹脂などが採用され得る。本実施形態では、基部163の材料として、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合)樹脂が採用されている。
【0057】
第1フィルム165は、基部163の液晶パネル33側に設けられている。このため、第1フィルム165は、基部163と液晶パネル33との間に介在している。
第2フィルム167は、基部163の液晶パネル33側とは反対側に設けられている。つまり、基部163は、第1フィルム165と第2フィルム167とによって挟持されている。
第1フィルム165及び第2フィルム167は、それぞれ、光透過性を有している。第1フィルム165及び第2フィルム167の材料としては、例えば、フッ素やフッ素化合物を含有するフッ素系樹脂が採用され得る。フッ素系樹脂としては、例えば、ETFE(エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体)などが挙げられる。本実施形態では、第1フィルム165及び第2フィルム167として、それぞれ、フッ素系樹脂のフィルムが採用されている。
【0058】
液晶パネル33は、フレーム151の凹部174内に収容されている。
固定プレート161は、フレーム151の天板部171側とは反対側に設けられており、液晶パネル33の出射面59に対向している。固定プレート161は、図示しない接着剤を介して第1フィルム165に固着している。固定プレート161には、開口部175が設けられている。開口部175は、平面視で画素領域79に重なっている。
フレーム151と固定プレート161とは、液晶パネル33を保持している。
なお、本実施形態では、液晶パネル33とフレーム151とは、接着剤183を介して互いに固着している。接着剤183は、液晶パネル33の側面と、フレーム151の側壁部173との間に設けられている。接着剤183としては、例えば、シリコーン樹脂系の接着剤が採用され得る。
【0059】
フレーム151は、シート状の原料を加熱しながら型押しする(熱プレスと呼ぶ)ことによって形成され得る。フレーム151の原料は、第1フィルム165と第2フィルム167との間に、架橋前のEVA樹脂が挟持されたシート状の構成を有している。EVA樹脂は、熱可塑性樹脂である。シート状の原料に熱プレスを施すことによって凹部174が形成されるとともに、EVA樹脂が架橋してフレーム151の形状が保持される。このとき、第1フィルム165や第2フィルム167は、フレーム151の形状の保持機能を有するとともに、熱プレスにおける離型性を高める機能を有する。
第1フィルム165や第2フィルム167は、フレーム151を汚れや傷などから保護する保護膜としての機能も有する。
【0060】
本実施形態において、対向基板73が第1基板に対応し、素子基板71が第2基板に対応し、液晶75が電気光学物質に対応し、基部163が保持部材に対応し、第1フィルム165及び第2フィルム167が透光性フィルムに対応し、ライトバルブユニット150が電気光学装置に対応している。
本実施形態では、対向基板73の素子基板71側とは反対側にフレーム151が重なって設けられているので、対向基板73に異物が付着することを防止しやすい。このため、対向基板73へ設ける防塵用基板を省略することができる。この結果、コストを低減しやすくすることができる。
また、対向基板73とフレーム151とが互いに固着されていなくてもよいので、熱膨張係数の違いに起因するひずみの発生を低く抑えやすくすることができる。
【0061】
なお、本実施形態では、第1フィルム165と入射面57とが、図9に示すように、互いに接した状態が例示されているが、ライトバルブユニット150の構成はこれに限定されない。ライトバルブユニット150の構成としては、例えば、第1フィルム165と入射面57との間に隙間を確保した構成も採用され得る。これにより、第1フィルム165と入射面57とが互いに離間するので、熱膨張係数の違いに起因するひずみの発生を一層低く抑えやすくすることができる。
【0062】
なお、本実施形態では、ライトバルブとして、透過型の液晶パネル33が採用されている。しかしながら、液晶パネル33は、透過型に限定されず、反射型も採用され得る。
また、本実施形態では、液晶パネル33をプロジェクター1に適用した例を説明したが、液晶パネル33が適用され得る電子機器はプロジェクター1に限定されない。液晶パネル33は、例えば、ディスプレイ、携帯電話機などの電子機器にも表示装置として適用され得る。
また、本実施形態では、液晶75の駆動方式としてVA型の駆動方式が採用されているが、駆動方式はこれに限定されない。液晶75の駆動方式は、TN(Twisted Nematic)型、IPS(In Plane Switching)型、FFS(Fringe Field Switching)型等の種々の方式も採用され得る。
【符号の説明】
【0063】
1…プロジェクター、3…光学系、5…制御部、13…画像形成部、33…液晶パネル、57…入射面、59…出射面、63…防塵用基板、71…素子基板、71a…張出領域、73…対向基板、75…液晶、78…画素、79…画素領域、150…ライトバルブユニット、151…フレーム、154…ねじ孔、155…FPC、161…固定プレート、163…基部、165…第1フィルム、167…第2フィルム、171…天板部、173…側壁部、174…凹部、175…開口部、183…接着剤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に介在し、前記第1基板及び前記第2基板のうち少なくとも一方から出射する光の量を、複数の画素の前記画素ごとに制御する電気光学物質と、
前記第1基板の前記第2基板側とは反対側において前記第1基板に対向し、前記第1基板及び前記第2基板を保持する保持部材と、を含み、
前記保持部材は、熱可塑性樹脂で構成されており、且つ透光性を有する、
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記保持部材は、前記第1基板及び前記第2基板の側面に対向する側壁部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記保持部材には、少なくとも、前記第1基板に対峙する面と、前記第1基板側とは反対側の面とに、透光性フィルムが設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記保持部材は、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂を含有する材料で構成されており、
前記透光性フィルムは、フッ素化合物を含有する材料で構成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記第1基板と前記透光性フィルムとが、互いに離間している、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の電気光学装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電気光学装置を有する、
ことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−64755(P2011−64755A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213014(P2009−213014)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】