電気加熱体、排気システム、内燃機関、燃料電池システム、暖房システム
【課題】電気加熱体のエネルギー効率を高める。
【解決手段】平薄板5と接触しない波薄板6の領域6aの抵抗値を平薄板5と接触する波薄板6の領域6bよりも高くすることにより、領域6aの昇温効率を領域6bの昇温効率より高くする。これにより、電気加熱体全体のエネルギー効率を高めることができる。
【解決手段】平薄板5と接触しない波薄板6の領域6aの抵抗値を平薄板5と接触する波薄板6の領域6bよりも高くすることにより、領域6aの昇温効率を領域6bの昇温効率より高くする。これにより、電気加熱体全体のエネルギー効率を高めることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々のシステムの排気系に適用して好適な電気加熱体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、帯状の平薄板と波薄板を中心電極を中心にして連続的に巻回することにより形成した電気加熱体が知られている。このような電気加熱体の中には、平薄板と波薄板の全面にわたって多数の孔が形成されたものがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−224716号公報(例えば段落[0015]参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
平薄板と波薄板が接触する部分に孔が形成されるために、平薄板と波薄板の接触部位の部分熱容量が増加して昇温効率が悪い部分が形成される。このため従来の電気加熱体によれば、平薄板と波薄板を効率的に昇温することができず、エネルギー効率(単位質量あたりの昇温速度/消費電力量)を向上させることが困難であった。
【0004】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、エネルギー効率が高い電気加熱体を提供することにある。本発明の他の目的は、エネルギー効率が高い排気システムを提供することにある。本発明のさらに他の目的は、エネルギー効率が高い内燃機関を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、エネルギー効率が高い燃料電池システムを提供することにある。本発明のさらに他の目的は、エネルギー効率が高い暖房システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、中心電極を中心にして平薄板と波薄板を連続的に巻回して形成した電気加熱体であって、平薄板と波薄板の少なくとも一方の薄板において、他方の薄板と接していない領域の昇温効率が他方の薄板と接している領域の昇温効率より高いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明よれば、他方の薄板と接していない領域の昇温効率が他方の薄板と接している領域の昇温効率と比較して高いので、電気加熱体全体のエネルギー効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態となる電気加熱体の構成について説明する。
【0008】
〔第1の実施形態〕
始めに、図1乃至図3を参照して、本発明の第1の実施形態となる電気加熱体の構成について説明する。
【0009】
本発明の第1の実施形態となる電気加熱体1は、図1に示すように、コア2と、コア2の最外周側からコア2を保持する金属製(例えばSUS410等のステンレス合金)の外筒3とにより構成されている。コア2は中心電極4を中心にして帯状の平薄板5と波薄板6を交互、且つ、連続的に巻回することにより形成されている。平薄板5と波薄板6は50〜100[μm]程度の厚さを有するFe-Cr-Al合金等の金属により形成されている。
【0010】
平薄板5の少なくとも一方の表面は絶縁膜により覆われている。これにより、中心電極4から供給される電流は平薄板5及び/又は波薄板6に沿って流れて外筒3に達する。外筒3に達した電流は図示しない電極を経由して接地電位に流れる。電気加熱体1に流れる電流値はオームの法則にしたがって中心電極4に印加される電圧と電気加熱体1全体の抵抗値により定まる。
【0011】
平薄板5の両面が絶縁膜により覆われている場合、中心電極4から供給される電流は平薄板5のみ、波薄板6のみ、又は平薄板5と波薄板6の双方を並列に流れる。中心電極4から供給される電流の経路は平薄板5と波薄板6の接続(接触)形態によって設定できる。平薄板5の片面のみが絶縁膜により覆われている場合には、中心電極4から供給される電流の経路は、平薄板5と波薄板6が接触している部位では1経路、平薄板5と波薄板6が接触していない部位では2経路となる。
【0012】
波薄板6は、図2に示すように、山部,略直線部,及び谷部がこの順に連続的に形成された波形状を有し、外筒3内に挿入された際に山部及び谷部が平薄板5と接触する構造となっている。そして本実施形態では、略直線部に対応する領域6aにおける波薄板6の板厚が、図3(a),(b)に示すように、山部及び谷部に対応する領域6bにおける波薄板6の板厚よりも小さくなっている。
【0013】
このような構成によれば、領域6aの抵抗値は、領域6bと比較して断面積が小さい分、高くなる。また領域6aの断面積は領域6bの断面積よりも小さく、且つ、領域6aと領域6bは同じ電流経路にあるので、領域6aの電流密度は領域6bの電流密度よりも高くなる。さらには領域6bは平薄板5と接触しているために、発熱量の一部が平薄板5に奪われることにより領域6bの昇温速度は領域6aの昇温速度よりも遅くなる。また領域6aの質量が領域6bの質量よりも小さくなるので、領域6aの比熱は領域6bの比熱よりも小さくなる。
【0014】
これにより、領域6aの昇温効率が領域6bの昇温効率よりも高くなり、結果として電気加熱体1全体のエネルギー効率を高めることができる。なお詳しくは後述するが、波薄板6の昇温効率は領域6a,6bの長さや抵抗値の比率に応じて変化する。最適な比率を設計することにより、電気加熱体1として使用する電力を削減しつつ部分的な昇温効率を高め、結果としてエネルギー効率が高い電気加熱体1を得ることができる。
【0015】
本願発明の発明者らは、領域6aが波薄板6の長さ方向に占める割合とエネルギー効率の関係をシミュレーションにより評価した結果、領域6aが波薄板6の長さ方向に占める割合が40%以上である場合において高いエネルギー効率が得られることを知見した。また本実施形態では、波薄板6の抵抗値及び/又は質量を部分的に変化させたが、同様にして平薄板5が波薄板6と接触しない領域の抵抗値及び/又は質量を変化させてもよい。また平薄板5と波薄板6の双方の抵抗値及び/又は質量を部分的に変化させてもよい。
【0016】
領域6aと領域6bの間には、急な段差が形成されないように、図3(a),(b)に示すように領域6aと領域6b間で波薄板6の板厚を連続的に(滑らかに)変化させる領域6cが形成されている。このような構成によれば、領域6aと領域6bの段差において温度差に起因する応力が集中することを防止して、波薄板6の耐久性を向上させることができる。
【0017】
領域6cは、プレス型を利用して波薄板6の厚さを変化させる際に型抜き用の傾斜の役割を果たすようになるので、波薄板6を形成する際の生産性を向上させることもできる。領域6cの傾斜形状は、可能な限り滑らかであることが望ましいが、合理的な設計の範囲内で決定するとよい。具体的には、領域6cの傾斜形状を略直線状とし、領域6cの両端に微小な曲げ半径を付与したり、領域6cの両端を一次微分及び二次微分の4項全てがゼロになる曲線状にしたりしてもよい。
【0018】
以上の説明から明らかなように、本発明の第1の実施形態となる電気加熱体1によれば、平薄板5と接触しない波薄板6の領域6aの抵抗値を平薄板5と接触する波薄板6の領域6bよりも高くすることにより、領域6aの昇温効率を領域6bの昇温効率より高くするので、結果として電気加熱体1全体のエネルギー効率を高めることができる。
【0019】
なおここでは領域6aの抵抗値を領域6bの抵抗値よりも高くすると表現したが、図3(a),(b)に示す波薄板6の構成は領域6aの質量を領域6bの質量よりも小さくしたと解釈することもできる。領域6aの質量を領域6bの質量よりも小さくすることにより、領域6aの比熱が領域6bの比熱よりも小さくなり、結果として領域6aの昇温効率を高めることができる。
【0020】
上記電気加熱体1において、図4及び図5(a),(b)に示すように、領域6a表面中央部付近に波薄板6の長さ方向に伸びるリブ6dを形成してもよい。このようなリブ6dを形成することにより、領域6bと比較して板厚が薄い領域6aの強度を補強し、電気加熱体1全体の機械的強度を向上させることができる。図5(a),(b)では、リブ6dの高さは領域6aにおける波薄板6の厚さとリブ6dの高さの合計値が領域6bにおける波薄板6の厚さと略同じになるように設計されているが、必ずしもこの高さである必要はない。
【0021】
リブ6dの断面形状は、特に限定されることはないが、プレス型により成形する際の型抜きの容易さを考慮して三角形や台形形状にすることが望ましい。リブ6dの先端部及び側壁部の形状は、角部があることによって温度分布による応力が集中することを避けるために、微小な曲げ半径を付与したり、一次微分及び二次微分の4項全てがゼロになる曲線形状にしたりして、できるだけ滑らかな曲線形状にすることが望ましい。
【0022】
一般に中心電極4付近の数周は波薄板6の曲げ半径は小さく、またその曲げ角度が大きくなる。このため波薄板6を加工する際には、波薄板6に大きな応力が加わることによって波薄板6の耐久性が低下する恐れがある。さらには、中心電極4付近の数周は波薄板6の曲げ角度が安定しないために、領域6a及び領域6bの位置決めが難しく、結果として生産時間が長くなったり、位置ずれによって歩留まりが悪化したりする恐れがある。このことから、上記実施形態では波薄板6の全ての巻周において領域6aと領域6bを形成したが、中心電極4から数周(3周程度)目の平薄板5又は波薄板6までは領域6a及び領域6bを形成しないことが望ましい。
【0023】
電気加熱体1はコア2を外筒3に挿入することにより形成されるが、この際、コア2の外周に近い薄板が変形したり、狭いところに押し込まれることによりコア2の外周に近い薄板に残留応力が発生したりすることによって、波薄板6の耐久性が低下する恐れがある。このことから、上記実施形態では波薄板6の全ての巻周において板厚が異なる領域6aと領域6bを形成したが、最外周から数周(3周程度)目の平薄板5又は波薄板6までは領域6a及び領域6bを形成しないことが望ましい。領域6a及び領域6bが形成されていない巻周があったとしても、この巻周が波薄板6全体の長さに占める割合は数%であるので、昇温効率に与える影響は小さい。領域6a及び領域6bが形成されていない巻周が波薄板6全体の長さに占める割合は生産性,耐久性,及び昇温効率を考慮して設計者が適宜設定できる。
【0024】
本実施形態では、領域6a内の板厚を均一にしたが、波薄板6の長さ方向において領域6aの板厚を適宜変化させてもよい。具体的には、領域6aの板厚を中央部から長さ方向端部に向かって増加させることにより、領域6aの抵抗率が波薄板6の長さ方向において中央部付近を最大値とする分布状態を有するようにしてもよい。このような構成によれば、領域6aの中央部の抵抗値が領域6bに近い長さ方向端部の抵抗値よりも大きくなるので、領域6aの発熱エネルギーが領域6bを介して平薄板5に伝導することにより昇温効率が低下することを防止できる。
【0025】
〔第2の実施形態〕
次に、図6,図7(a),(b)を参照して、本発明の第2の実施形態となる電気加熱体の構成について説明する。本発明の第2の実施形態となる電気加熱体の構成は波薄板6の構成のみが上記第1の実施形態となる電気加熱体の構成と異なる。以下では波薄板6の構成についてのみ説明し、その他の構成についてはその説明を省略する。
【0026】
本実施形態では、波薄板6の略直線部に対応する領域6aには図6,7(a)に示すように複数の円形形状の孔7が形成されている。このような構成によれば、領域6aの断面積が部分的に小さくなるので、上記第1の実施形態となる電気加熱体1と同様に、領域6aの抵抗値は図7(b)に示すように領域6bの抵抗値よりも大きくなる。また略直線部に対応する領域6aの質量は山部及び谷部に対応する領域6bの質量よりも小さくなるので、領域6aの比熱は領域6bの比熱よりも小さくなる。従って上記第1の実施形態となる電気加熱体と同様に領域6aの昇温効率を領域6bの昇温効率よりも高くし、電気加熱体1全体のエネルギー効率を高めることができる。
【0027】
本発明の第2の実施形態となる電気加熱体によれば、孔7を波薄板6の全面ではなく部分的に形成するので、波薄板6の全面に渡って孔を形成する場合と比較して、型抜きや機械加工等の工程数を削減することができ、結果として生産時間を短縮して生産効率を向上させることができる。また波薄板6の全面に渡って孔を形成する場合と比較して、孔の個数及び孔の形成回数を少なくできるので、型及び加工工具のメンテナンスに要する時間及びコストを低減できる。
【0028】
本実施形態では、図7(b)に示すように領域6a内において所定間隔及び所定周期で抵抗値を変化させたが、孔7の径,個数,及び形成位置を変化させることにより波薄板6の長さ方向において領域6a内の抵抗率を適宜変化させてもよい。具体的には、図8,9(a)に示すように波薄板6の長さ方向のどの位置にも孔7が形成されているように領域6a内に孔7を配置することにより、図9(b)に示すように領域6aの抵抗値が波薄板6の長さ方向において領域6bの抵抗値よりも常に大きくなるようにしてもよい。このような構成によれば、孔7を形成したことによる領域6aの抵抗値の変化率が波薄板6の長さ方向において連続的になるので、領域6a内での昇温効率のばらつきを小さくし、昇温効率を一定にすることができる。
【0029】
図10,11(a)に示すように孔7の個数が領域6aの中央部から長さ方向端部に向かって減少するように孔7を配置することにより、図11(b)に示すように領域6aの抵抗率が波薄板6の長さ方向において中央部付近を最大値とする分布状態を有するようにしてもよい。このような構成によれば、領域6aの中央部の抵抗値が領域6bに近い長さ方向端部の抵抗値よりも大きくなるので、領域6aの発熱エネルギーが領域6bを介して平薄板5に伝導することにより昇温効率が低下することを防止できる。
【0030】
図12,13(a)に示すように孔7の径が領域6aの中央部から長さ方向端部に向かって小さくなるように孔7を形成,配置することにより、図13(b)に示すように領域6aの抵抗率が波薄板6の長さ方向において中央部付近を最大値とする分布状態を有するようにしてもよい。このような構成によれば、領域6aの中央部の抵抗値が領域6bに近い長さ方向端部の抵抗値よりも大きくなるので、領域6aの発熱エネルギーが領域6bを介して平薄板5に伝導することにより昇温効率が低下することを防止できる。
【0031】
本実施形態では、孔7の形状は円形形状であるとしたが、図14,15(a),(b)に示すような波薄板6の長さ方向に伸びる長方形形状のスリット8や、図16,17(a),(b)に示すような波薄板6の幅方向に伸びる長方形形状のスリット9を孔7の代わりに形成してもよい。スリット8,9は、図15(a)又は図16(a)に示すように波薄板6の長さ方向又は幅方向に一つ形成してもよいし、図15(b)又は図16(b)に示すように波薄板6の長さ方向又は幅方向に複数、且つ、交互に形成してもよい。
【0032】
但しスリット8,9の形状を完全な長方形形状とした場合、角部に応力が集中することによって波薄板6の耐久性が低下する可能性がある。従って、スリット8,9の形状を長方形形状とする場合には角部に曲げ半径を付けて角部を無くすことが望ましい。またスリット8,9の形状を長方形形状ではなく楕円形状にしてもよい。なお孔7及びスリット8,9の形状は台形形状,五角形形状,六角形形状等のその他の形状であってもよい。
【0033】
〔その他の実施形態〕
上記第1及び第2の実施形態の電気加熱体は、薄板に触媒を担持させることにより電気加熱触媒体として利用することができる。例えば、既存の燃焼触媒技術を用いた触媒材料を薄板に担持させることにより、本実施形態の電気加熱体は電気加熱燃焼触媒体として利用することができる。電気加熱燃焼触媒体は、触媒活性が低い低温の場合であっても、燃焼ガスが供給される前に電気的に加熱することによって触媒を昇温して触媒活性を高めることができる。
【0034】
上記第2の実施形態となる電気加熱体の波薄板6に触媒を担持させる場合には、図18に示すように、全ての孔6が触媒10の表面張力によって触媒10により塞がれる大きさであってもよい。また一部の孔6が触媒10により塞がれ、その他の孔6は図19に示すように触媒10により塞がれない大きさであってもよい。例えば、孔6の径が0.1[mm]程度以下であれば触媒10の表面張力によって孔6は塞がれる。しかし、孔6の径が0.8[mm]程度以上であれば、触媒10の表面張力によって塞がれ難くなる。
【0035】
全ての孔6が触媒10により塞がれた場合であっても、触媒10は絶縁体であるために領域6aの抵抗値は殆ど変化しない。従って、孔6を形成しない時と同じ触媒面積を確保し、孔6を形成しない時と同等な燃焼性能を実現できる。また触媒10により塞がれていない孔6を水抜き用の孔として利用することにより、内部で発生した水分を排出し、触媒10の耐水性を向上できる。また触媒10により塞がれていない孔6を空気流路として利用することにより、燃焼ガスの混合性能,圧損,及び燃焼性能を向上できる。
【0036】
〔実施例〕
以下、本発明に係る電気加熱体の幾つかの実施例について説明する。
【0037】
〔実施例1〕
実施例1の電気加熱体では、図20(a),(b)に示すように、波薄板6の山部から次の山部までの水平方向距離を1.2[mm],山部の頂点と谷部の頂点間の垂直方向距離を1.6[mm],略直線部R2の長さを1.0[mm]とした。また山部(谷部)R1の曲げ半径及び曲げ角度を0.3[mm]及び180[°]とすることにより、山部(谷部)R1の長さを0.3π(約0.9)[mm]とした。
【0038】
波薄板6の長さ方向で略直線部R2の長さが占める割合は約51[%]であった。平薄板5と波薄板6により囲まれるガス流路をセルと定義した場合、セルの断面積は約1.0[mm2]であり、1平方インチあたりのセル密度は約670[cpsi]であった。なおセル密度は、数式(25.4[mm2]/セル断面積)にセル断面積の値[mm2]を代入することにより算出した。
【0039】
この実施例1の電気加熱体について、波薄板6における略直線部R2の開孔率(略直線部R2の面積中に占める孔7の面積の比率)の変化に伴う電力比率,電流密度比率,略直線部R2における昇温比率,及び曲線部(山部及び谷部)R1における昇温比率の変化をシミュレーションにより評価した結果を図21に示す。
【0040】
図21に示す各比率は開孔率が0である時の各比率を1として規格化されている。電力比率とは総消費電力に対する波薄板6の消費電力の割合を意味する。電流密度比率とは波薄板6の曲線部R1の平均電流密度に対する略直線部R2の平均電流密度の割合を意味する。昇温比率とは平均昇温速度を意味する。
【0041】
図21に示すように、波薄板6の開孔率の増加に伴い、電力比率と曲線部R1における昇温比率は低下するのに対して、電流密度比率と略直線部R2における昇温比率は増加する。電力比率の低下は、開孔率が増加するのに伴い波薄板6全体の抵抗値が増加し、オームの法則に従って同一電圧における電流値が低下したことを意味する。曲線部R1における昇温比率の低下は、電流量の低下に伴って抵抗値が変化しない曲線部R1における発熱量が低下したことを意味する。電流密度比率の増加は、曲線部R1の電流密度は減っているが、開孔率の増加に伴い略直線部R2の平均断面積が減ることによって略直線部R2の電流密度が増加していることを意味する。略直線部R2における昇温比率の増加は、略直線部R2の電流密度が増加していることを意味する。
【0042】
以上の結果から、略直線部R2の開孔率を増加させることにより、電気加熱体の総消費電力を低減しつつ、略直線部R2の昇温効率を向上できることが知見される。但し、略直線部R2の開孔率を増加させた場合、略直線部R2の断面積が低下するので、波薄板6の強度及び耐久性が低下する恐れがある。従って、略直線部R2の開孔率は、機械力学や電気工学の技術を用いて、機械的強度,耐久性,及び電力・昇温効率を考慮して設定することが望ましい。
【0043】
〔実施例2〕
実施例2の電気加熱体では、図22(a)に示すように、波薄板6の山部から次の山部までの水平方向距離を2.0[mm],山部の頂点と谷部の頂点との間の垂直方向距離を3.2[mm],略直線部R2の長さを2.2[mm]とした。また山部(谷部)R1の曲げ半径及び曲げ角度を0.5[mm]及び180[°]とすることにより、山部(谷部)R1の長さを0.5π(約1.6)[mm]とした。波薄板6の長さ方向で略直線部R2の長さが占める割合は約58[%]であった。セルの断面積は約3.2[mm2]であり、1平方インチあたりのセル密度は約200[cpsi]であった。なお本実施例では、波薄板6の抵抗値を部分的に変化させたが、図23(a)に示すように平薄板5の板厚を部分的に変化させることにより平薄板5の抵抗値を部分的に変化させてもよい。
【0044】
〔実施例3〕
実施例3の電気加熱体では、図22(b)に示すように、波薄板6の山部から次の山部までの水平方向距離を1.6[mm],山部の頂点と谷部の頂点との間の垂直方向距離を1.6[mm],略直線部R2の長さを0.5[mm]とした。また山部(谷部)R1の曲げ半径及び曲げ角度を0.4[mm]及び180[°]とすることにより、山部(谷部)R1の長さを0.4π(約1.3)[mm]とした。波薄板6の長さ方向で略直線部R2の長さが占める割合は約28[%]であった。セルの断面積は約1.0[mm2]であり、1平方インチあたりのセル密度は約620[cpsi]であった。
【0045】
〔実施例4〕
実施例4の電気加熱体では、図22(c)に示すように、波薄板6の山部から次の山部までの水平方向距離を3.6[mm],山部の頂点と谷部の頂点との間の垂直方向距離を1.8[mm],略直線部R2の長さを1.5[mm]とした。また山部(谷部)R1の曲げ半径及び曲げ角度をそれぞれ0.5[mm]及び90[°]とすることにより、山部(谷部)R1の長さを0.25π(約0.8)[mm]とした。波薄板6の長さ方向で略直線部R2の長さが占める割合は約65[%]であった。セルの断面積は約3.2[mm2]あり、1平方インチあたりのセル密度は約200[cpsi]であった。なお本実施例では、波薄板6の抵抗値を部分的に変化させたが、図23(b)に示すように平薄板5の板厚を部分的に変化させることにより平薄板5の抵抗値を部分的に変化させてもよい。
【0046】
〔実施例5〕
実施例5の電気加熱体では、図22(d)に示すように、波薄板6の山部から次の山部までの水平方向距離を1.8[mm],山部の頂点と谷部の頂点との間の垂直方向距離を0.9[mm],略直線部R2の長さを0.27[mm]とした。また山部(谷部)R1の曲げ半径及び曲げ角度をそれぞれ0.5[mm]及び90[°]とすることにより、山部(谷部)R1の長さを0.25π(約0.8)[mm]とした。波薄板6の長さ方向で略直線部R2の長さが占める割合は約25[%]であった。セルの断面積は約0.8[mm2]であり、1平方インチあたりのセル密度は約800[cpsi]であった。
【0047】
〔開孔率の変化に伴うエネルギー効率の比率の変化〕
図24は、略直線部R2の開孔率Oの変化に伴う、波薄板6全体のエネルギー効率に対する略直線部R2のエネルギー効率の比率の変化、換言すれば波薄板6全体の平均昇温速度に対する略直線部R2の平均昇温速度の比率の変化を、幾つかの高抵抗部比率(波薄板6中で略直線部R2の長さが占める割合)Rについてシミュレーションした結果を示す図である。
【0048】
図24に示すように、略直線部R2の開孔率Oと高抵抗部比率Rの組み合わせに応じてエネルギー効率の比率が多様に変化することがわかる。また高抵抗部比率Rに応じて、エネルギー効率の変化曲線が異なり、最適な開孔率も異なることがわかる。また比率が1.0である時は、開孔率Oが0[%]である時、又は波薄板6全体のエネルギー効率が開孔率Oが0[%]である時と同等の時である。従って比率が1.0以上である時は全体のエネルギー効率が開孔率Oが0[%]の時よりもよい時となり、比率が1.0未満である時は全体のエネルギー効率が開孔率Oが0[%]の時よりも悪い時となる。
【0049】
図24に示すシミュレーション結果から得られた知見をまとめると図25に示すようになる。図25は、高抵抗部比率Rに対する開孔率Oの変化を示す図である。図25中の点線は開孔率Oが0%である時と同じ全体エネルギー効率が得られる直線を示し、ある高抵抗部比率Rの値における全体エネルギー効率の分岐点を示す。すなわち図25に示す点線は、図24の各曲線が示す比率が1.0を超えた後に再び1.0になった点を直線に近似したものであり、本例では数式:開孔率O=0.825×高抵抗部比率R+9.875の直線により表される。
【0050】
図25に示す点線のデータから、ある高抵抗部比率Rの値においては開孔率Oをこの点線が示す値よりも低くした方が全体のエネルギー効率が良くなることがわかる。また開孔率Oをこの点線が示す値よりも多くすることによりも、開孔率Oを0[%]とする、又は波薄板6全体に孔をあけて高抵抗化した方が全体のエネルギー効率が良くなることがわかる。
【0051】
図25に示す実線は、最もエネルギー効率が高くなる開孔率を示す直線であり、図24の各曲線のピーク位置における開孔率Oを高抵抗部比率Rに応じてプロットしたものを二次曲線に近似したものである。本例では実線は数式:開孔率O=0.0029×高抵抗部比率R2+0.228×高抵抗部比率R+7.6786の直線により表される。従ってセル形状によって定まる高抵抗部比率Rの値を上記数式に代入してその時の開孔率Oを算出することにより、全体のエネルギー効率を最適化することができる。但し、この図に示す点線及び直線の数式は近似により得られたものであるので、計算により得られた開孔率Oの±10[%]の範囲内であればほぼ最適な開孔率Oであると判断できる。
【0052】
〔内燃機関〕
図26は、本発明に係る電気加熱体が適用されるガソリンエンジンの構成を示す模式図である。図26はガソリンエンジンのみを示し、その他の部品の図示は省略している。本例は、本発明に係る電気加熱体をガソリンエンジンに適用したものであるが、ディーゼルエンジン、液化プロパンガスエンジン,エタノールエンジン等のその他の内燃機関にも適用できる。この内燃機関は、工事現場等で使用される簡易発電機や,蒸気機関車,自動車,バス,トラック,自動二輪車等の車両の動力源として利用できる。
【0053】
図26に示すガソリンエンジンでは、始めに吸気部21を介して空気がエンジン22内に導入される。空気が導入されるのに伴い、圧縮された燃焼ガスが燃焼し、燃焼ガスが膨張することによってピストンが押し下げられる。押し下げられたピストンによってクランク23からの動力が図示しないトランスミッションを経由して図示しないタイヤの駆動軸に伝達される。エンジン22内で燃焼された排気ガスは、排気部24を介して燃焼装置25に導入される。
【0054】
燃焼装置25内には本発明に係る電気加熱体1が中心電極4が排気ガスが通流する流路の略中心に位置するように設置され、電気加熱体1はバッテリ27からの電力を利用して排気ガスが通流する流路の一部を加熱する。排気ガスは、電気加熱体1により温められ、電気加熱体1の下流側に設置された燃焼触媒26において浄化される。すなわち、燃焼触媒26は排気ガス中に含まれる燃料の未燃焼成分及び不完全燃焼成分を燃焼する。電気加熱体1の制御を含むガソリンエンジン全体の制御はコントローラ28により実行される。
【0055】
〔燃焼電池システム〕
図27は、本発明に係る電気加熱体が適用される燃料電池システムの構成を示す模式図である。この燃料電池システムは、家庭用・工業用の発電給湯システムや、燃料電池機関車,燃料電池自動車,燃料電池バス,燃料電池スクーター等の電気車両の動力源として利用することができる。
【0056】
図27に示す燃料電池システムでは、燃料電池ケース31内に燃料電池32が搭載されている。燃料電池32は、空気極であるカソードと燃料極であるアノードとを数十〜数百組積層することにより形成した燃料電池スタックにより形成されている。この燃料電池システムでは、コンプレッサ33から供給された空気が、空気供給配管34を介して水分回収装置35に供給され、水分回収装置35において加湿された後に空気供給配管36を介してカソードに供給される。カソードにおいて発電に利用された空気は、カソードオフガスとして空気排出配管37を介して水分回収装置35に供給され、水分回収装置35内において除湿される。水分回収装置35内において回収された水分は空気の加湿のために利用される。除湿されたカソードオフガスは、排気配管38を介して燃焼装置25に導入される。
【0057】
水素タンク39から供給された水素は水素循環装置40及び水素供給配管41を介してアノードに供給される。アノードにおいて発電に利用された水素は、アノードオフガスとして水素排出配管42を介して再び水素循環装置40に導入される。このように水素を循環利用することにより、水素を効率的に利用することができる。但し、燃料電池32の発電に伴い、水蒸気や窒素等のアノード内の不純物濃度が上昇して水素濃度が低下することにより、発電効率が低下する。従ってこの場合、水素循環装置40の下流側に設置されているパージバルブ43を開くパージ処理を行うことにより、アノードオフガスが排気配管38を介して燃焼装置25に導入される。
【0058】
燃焼装置25内には本発明に係る電気加熱体1が中心電極4がアノードオフガス及びカソードオフガスが通流する流路の略中心に位置するように設置され、電気加熱体1はバッテリ27からの電力を利用してアノードオフガス及びカソードオフガスが通流する流路の一部を加熱する。アノードオフガス及びカソードオフガスは、電気加熱体1により温められ、電気加熱体1の下流側に設置された燃焼触媒26において浄化される。すなわち、燃焼触媒26はアノードオフガス中に含まれる水素を燃焼する。電気加熱体1の制御を含む燃料電池システム全体の制御はコントローラ28により実行される。
【0059】
〔暖房システム〕
図28は、本発明に係る電気加熱体が適用される暖房システムの構成を示す模式図である。この暖房システムは、触媒燃焼式のファンヒーターやバス等の客室用のヒータとして利用することができる。図28に示す暖房システムでは、空気ブロア51から供給された空気が、燃料供給配管52を介して燃料タンク53から供給された燃料と混合された後に本発明に係る電気加熱触媒体1に供給される。電気加熱触媒体1は、中心電極4が空気が通流する流路の略中心に位置するように設置され、バッテリ27からの電力を利用して燃料と混合された空気を燃焼する。これにより電気加熱触媒体1の下流側からは暖かな空気が排出される。電気加熱触媒体1の制御を含む暖房システム全体の制御はコントローラ28により実行される。
【0060】
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、この実施の形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態となる電気加熱体の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態となる電気加熱体について、コアを構成する平薄板と波薄板を平面上に展開した状態を示す図である。
【図3】図2に示す波薄板の構成を示す側面図及び斜視図である。
【図4】図2に示す電気加熱体の変形例について、コアを構成する平薄板と波薄板を平面上に展開した状態を示す図である。
【図5】図4に示す波薄板の構成を示す側面図及び斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態となる電気加熱体について、コアを構成する平薄板と波薄板を平面上に展開した状態を示す図である。
【図7】図6に示す波薄板の上面図及び長さ方向の抵抗値の分布状態を示す図である。
【図8】図6に示す電気加熱体の変形例について、コアを構成する平薄板と波薄板を平面上に展開した状態を示す図である。
【図9】図8に示す波薄板の上面図及び長さ方向の抵抗値の分布状態を示す図である。
【図10】図6に示す電気加熱体の変形例について、コアを構成する平薄板と波薄板を平面上に展開した状態を示す図である。
【図11】図10に示す波薄板の上面図及び長さ方向の抵抗値の分布状態を示す図である。
【図12】図6に示す電気加熱体の変形例について、コアを構成する平薄板と波薄板を平面上に展開した状態を示す図である。
【図13】図12に示す波薄板の上面図及び長さ方向の抵抗値の分布状態を示す図である。
【図14】図6に示す電気加熱体の変形例について、コアを構成する平薄板と波薄板を平面上に展開した状態を示す図である。
【図15】図14に示す波薄板の上面図を示す図である。
【図16】図6に示す電気加熱体の変形例について、コアを構成する平薄板と波薄板を平面上に展開した状態を示す図である。
【図17】図16に示す波薄板の上面図を示す図である。
【図18】波薄板に形成した孔が触媒により塞がれた状態を示す図である。
【図19】波薄板に形成した孔が触媒により塞がれていない状態を示す図である。
【図20】実施例1の電気加熱体の構成を示す図である。
【図21】図20に示す電気加熱体について、開孔率の変化に伴う電力比率,電流密度比率,略直線部における昇温比率,及び曲線部における昇温比率の変化を評価した結果を示す図である。
【図22】実施例2〜5の電気加熱体の構成を示す図である。
【図23】実施例2及び実施例4の電気加熱体の応用例の構成を示す図である。
【図24】略直線部の開孔率の変化に伴うエネルギー効率の比率の変化を評価した結果を示す図である。
【図25】高抵抗部比率に対する開孔率の変化を示す図である。
【図26】本発明に係る電気加熱体が適用されるガソリンエンジンの構成を示す模式図である。
【図27】本発明に係る電気加熱体が適用される燃料電池システムの構成を示す模式図である。
【図28】本発明に係る電気加熱体が適用される暖房システムの構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0062】
1:電気加熱体
2:コア
3:外筒
4:中心電極
5:平薄板
6:波薄板
7:孔
8,9:スリット
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々のシステムの排気系に適用して好適な電気加熱体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、帯状の平薄板と波薄板を中心電極を中心にして連続的に巻回することにより形成した電気加熱体が知られている。このような電気加熱体の中には、平薄板と波薄板の全面にわたって多数の孔が形成されたものがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−224716号公報(例えば段落[0015]参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
平薄板と波薄板が接触する部分に孔が形成されるために、平薄板と波薄板の接触部位の部分熱容量が増加して昇温効率が悪い部分が形成される。このため従来の電気加熱体によれば、平薄板と波薄板を効率的に昇温することができず、エネルギー効率(単位質量あたりの昇温速度/消費電力量)を向上させることが困難であった。
【0004】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、エネルギー効率が高い電気加熱体を提供することにある。本発明の他の目的は、エネルギー効率が高い排気システムを提供することにある。本発明のさらに他の目的は、エネルギー効率が高い内燃機関を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、エネルギー効率が高い燃料電池システムを提供することにある。本発明のさらに他の目的は、エネルギー効率が高い暖房システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、中心電極を中心にして平薄板と波薄板を連続的に巻回して形成した電気加熱体であって、平薄板と波薄板の少なくとも一方の薄板において、他方の薄板と接していない領域の昇温効率が他方の薄板と接している領域の昇温効率より高いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明よれば、他方の薄板と接していない領域の昇温効率が他方の薄板と接している領域の昇温効率と比較して高いので、電気加熱体全体のエネルギー効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態となる電気加熱体の構成について説明する。
【0008】
〔第1の実施形態〕
始めに、図1乃至図3を参照して、本発明の第1の実施形態となる電気加熱体の構成について説明する。
【0009】
本発明の第1の実施形態となる電気加熱体1は、図1に示すように、コア2と、コア2の最外周側からコア2を保持する金属製(例えばSUS410等のステンレス合金)の外筒3とにより構成されている。コア2は中心電極4を中心にして帯状の平薄板5と波薄板6を交互、且つ、連続的に巻回することにより形成されている。平薄板5と波薄板6は50〜100[μm]程度の厚さを有するFe-Cr-Al合金等の金属により形成されている。
【0010】
平薄板5の少なくとも一方の表面は絶縁膜により覆われている。これにより、中心電極4から供給される電流は平薄板5及び/又は波薄板6に沿って流れて外筒3に達する。外筒3に達した電流は図示しない電極を経由して接地電位に流れる。電気加熱体1に流れる電流値はオームの法則にしたがって中心電極4に印加される電圧と電気加熱体1全体の抵抗値により定まる。
【0011】
平薄板5の両面が絶縁膜により覆われている場合、中心電極4から供給される電流は平薄板5のみ、波薄板6のみ、又は平薄板5と波薄板6の双方を並列に流れる。中心電極4から供給される電流の経路は平薄板5と波薄板6の接続(接触)形態によって設定できる。平薄板5の片面のみが絶縁膜により覆われている場合には、中心電極4から供給される電流の経路は、平薄板5と波薄板6が接触している部位では1経路、平薄板5と波薄板6が接触していない部位では2経路となる。
【0012】
波薄板6は、図2に示すように、山部,略直線部,及び谷部がこの順に連続的に形成された波形状を有し、外筒3内に挿入された際に山部及び谷部が平薄板5と接触する構造となっている。そして本実施形態では、略直線部に対応する領域6aにおける波薄板6の板厚が、図3(a),(b)に示すように、山部及び谷部に対応する領域6bにおける波薄板6の板厚よりも小さくなっている。
【0013】
このような構成によれば、領域6aの抵抗値は、領域6bと比較して断面積が小さい分、高くなる。また領域6aの断面積は領域6bの断面積よりも小さく、且つ、領域6aと領域6bは同じ電流経路にあるので、領域6aの電流密度は領域6bの電流密度よりも高くなる。さらには領域6bは平薄板5と接触しているために、発熱量の一部が平薄板5に奪われることにより領域6bの昇温速度は領域6aの昇温速度よりも遅くなる。また領域6aの質量が領域6bの質量よりも小さくなるので、領域6aの比熱は領域6bの比熱よりも小さくなる。
【0014】
これにより、領域6aの昇温効率が領域6bの昇温効率よりも高くなり、結果として電気加熱体1全体のエネルギー効率を高めることができる。なお詳しくは後述するが、波薄板6の昇温効率は領域6a,6bの長さや抵抗値の比率に応じて変化する。最適な比率を設計することにより、電気加熱体1として使用する電力を削減しつつ部分的な昇温効率を高め、結果としてエネルギー効率が高い電気加熱体1を得ることができる。
【0015】
本願発明の発明者らは、領域6aが波薄板6の長さ方向に占める割合とエネルギー効率の関係をシミュレーションにより評価した結果、領域6aが波薄板6の長さ方向に占める割合が40%以上である場合において高いエネルギー効率が得られることを知見した。また本実施形態では、波薄板6の抵抗値及び/又は質量を部分的に変化させたが、同様にして平薄板5が波薄板6と接触しない領域の抵抗値及び/又は質量を変化させてもよい。また平薄板5と波薄板6の双方の抵抗値及び/又は質量を部分的に変化させてもよい。
【0016】
領域6aと領域6bの間には、急な段差が形成されないように、図3(a),(b)に示すように領域6aと領域6b間で波薄板6の板厚を連続的に(滑らかに)変化させる領域6cが形成されている。このような構成によれば、領域6aと領域6bの段差において温度差に起因する応力が集中することを防止して、波薄板6の耐久性を向上させることができる。
【0017】
領域6cは、プレス型を利用して波薄板6の厚さを変化させる際に型抜き用の傾斜の役割を果たすようになるので、波薄板6を形成する際の生産性を向上させることもできる。領域6cの傾斜形状は、可能な限り滑らかであることが望ましいが、合理的な設計の範囲内で決定するとよい。具体的には、領域6cの傾斜形状を略直線状とし、領域6cの両端に微小な曲げ半径を付与したり、領域6cの両端を一次微分及び二次微分の4項全てがゼロになる曲線状にしたりしてもよい。
【0018】
以上の説明から明らかなように、本発明の第1の実施形態となる電気加熱体1によれば、平薄板5と接触しない波薄板6の領域6aの抵抗値を平薄板5と接触する波薄板6の領域6bよりも高くすることにより、領域6aの昇温効率を領域6bの昇温効率より高くするので、結果として電気加熱体1全体のエネルギー効率を高めることができる。
【0019】
なおここでは領域6aの抵抗値を領域6bの抵抗値よりも高くすると表現したが、図3(a),(b)に示す波薄板6の構成は領域6aの質量を領域6bの質量よりも小さくしたと解釈することもできる。領域6aの質量を領域6bの質量よりも小さくすることにより、領域6aの比熱が領域6bの比熱よりも小さくなり、結果として領域6aの昇温効率を高めることができる。
【0020】
上記電気加熱体1において、図4及び図5(a),(b)に示すように、領域6a表面中央部付近に波薄板6の長さ方向に伸びるリブ6dを形成してもよい。このようなリブ6dを形成することにより、領域6bと比較して板厚が薄い領域6aの強度を補強し、電気加熱体1全体の機械的強度を向上させることができる。図5(a),(b)では、リブ6dの高さは領域6aにおける波薄板6の厚さとリブ6dの高さの合計値が領域6bにおける波薄板6の厚さと略同じになるように設計されているが、必ずしもこの高さである必要はない。
【0021】
リブ6dの断面形状は、特に限定されることはないが、プレス型により成形する際の型抜きの容易さを考慮して三角形や台形形状にすることが望ましい。リブ6dの先端部及び側壁部の形状は、角部があることによって温度分布による応力が集中することを避けるために、微小な曲げ半径を付与したり、一次微分及び二次微分の4項全てがゼロになる曲線形状にしたりして、できるだけ滑らかな曲線形状にすることが望ましい。
【0022】
一般に中心電極4付近の数周は波薄板6の曲げ半径は小さく、またその曲げ角度が大きくなる。このため波薄板6を加工する際には、波薄板6に大きな応力が加わることによって波薄板6の耐久性が低下する恐れがある。さらには、中心電極4付近の数周は波薄板6の曲げ角度が安定しないために、領域6a及び領域6bの位置決めが難しく、結果として生産時間が長くなったり、位置ずれによって歩留まりが悪化したりする恐れがある。このことから、上記実施形態では波薄板6の全ての巻周において領域6aと領域6bを形成したが、中心電極4から数周(3周程度)目の平薄板5又は波薄板6までは領域6a及び領域6bを形成しないことが望ましい。
【0023】
電気加熱体1はコア2を外筒3に挿入することにより形成されるが、この際、コア2の外周に近い薄板が変形したり、狭いところに押し込まれることによりコア2の外周に近い薄板に残留応力が発生したりすることによって、波薄板6の耐久性が低下する恐れがある。このことから、上記実施形態では波薄板6の全ての巻周において板厚が異なる領域6aと領域6bを形成したが、最外周から数周(3周程度)目の平薄板5又は波薄板6までは領域6a及び領域6bを形成しないことが望ましい。領域6a及び領域6bが形成されていない巻周があったとしても、この巻周が波薄板6全体の長さに占める割合は数%であるので、昇温効率に与える影響は小さい。領域6a及び領域6bが形成されていない巻周が波薄板6全体の長さに占める割合は生産性,耐久性,及び昇温効率を考慮して設計者が適宜設定できる。
【0024】
本実施形態では、領域6a内の板厚を均一にしたが、波薄板6の長さ方向において領域6aの板厚を適宜変化させてもよい。具体的には、領域6aの板厚を中央部から長さ方向端部に向かって増加させることにより、領域6aの抵抗率が波薄板6の長さ方向において中央部付近を最大値とする分布状態を有するようにしてもよい。このような構成によれば、領域6aの中央部の抵抗値が領域6bに近い長さ方向端部の抵抗値よりも大きくなるので、領域6aの発熱エネルギーが領域6bを介して平薄板5に伝導することにより昇温効率が低下することを防止できる。
【0025】
〔第2の実施形態〕
次に、図6,図7(a),(b)を参照して、本発明の第2の実施形態となる電気加熱体の構成について説明する。本発明の第2の実施形態となる電気加熱体の構成は波薄板6の構成のみが上記第1の実施形態となる電気加熱体の構成と異なる。以下では波薄板6の構成についてのみ説明し、その他の構成についてはその説明を省略する。
【0026】
本実施形態では、波薄板6の略直線部に対応する領域6aには図6,7(a)に示すように複数の円形形状の孔7が形成されている。このような構成によれば、領域6aの断面積が部分的に小さくなるので、上記第1の実施形態となる電気加熱体1と同様に、領域6aの抵抗値は図7(b)に示すように領域6bの抵抗値よりも大きくなる。また略直線部に対応する領域6aの質量は山部及び谷部に対応する領域6bの質量よりも小さくなるので、領域6aの比熱は領域6bの比熱よりも小さくなる。従って上記第1の実施形態となる電気加熱体と同様に領域6aの昇温効率を領域6bの昇温効率よりも高くし、電気加熱体1全体のエネルギー効率を高めることができる。
【0027】
本発明の第2の実施形態となる電気加熱体によれば、孔7を波薄板6の全面ではなく部分的に形成するので、波薄板6の全面に渡って孔を形成する場合と比較して、型抜きや機械加工等の工程数を削減することができ、結果として生産時間を短縮して生産効率を向上させることができる。また波薄板6の全面に渡って孔を形成する場合と比較して、孔の個数及び孔の形成回数を少なくできるので、型及び加工工具のメンテナンスに要する時間及びコストを低減できる。
【0028】
本実施形態では、図7(b)に示すように領域6a内において所定間隔及び所定周期で抵抗値を変化させたが、孔7の径,個数,及び形成位置を変化させることにより波薄板6の長さ方向において領域6a内の抵抗率を適宜変化させてもよい。具体的には、図8,9(a)に示すように波薄板6の長さ方向のどの位置にも孔7が形成されているように領域6a内に孔7を配置することにより、図9(b)に示すように領域6aの抵抗値が波薄板6の長さ方向において領域6bの抵抗値よりも常に大きくなるようにしてもよい。このような構成によれば、孔7を形成したことによる領域6aの抵抗値の変化率が波薄板6の長さ方向において連続的になるので、領域6a内での昇温効率のばらつきを小さくし、昇温効率を一定にすることができる。
【0029】
図10,11(a)に示すように孔7の個数が領域6aの中央部から長さ方向端部に向かって減少するように孔7を配置することにより、図11(b)に示すように領域6aの抵抗率が波薄板6の長さ方向において中央部付近を最大値とする分布状態を有するようにしてもよい。このような構成によれば、領域6aの中央部の抵抗値が領域6bに近い長さ方向端部の抵抗値よりも大きくなるので、領域6aの発熱エネルギーが領域6bを介して平薄板5に伝導することにより昇温効率が低下することを防止できる。
【0030】
図12,13(a)に示すように孔7の径が領域6aの中央部から長さ方向端部に向かって小さくなるように孔7を形成,配置することにより、図13(b)に示すように領域6aの抵抗率が波薄板6の長さ方向において中央部付近を最大値とする分布状態を有するようにしてもよい。このような構成によれば、領域6aの中央部の抵抗値が領域6bに近い長さ方向端部の抵抗値よりも大きくなるので、領域6aの発熱エネルギーが領域6bを介して平薄板5に伝導することにより昇温効率が低下することを防止できる。
【0031】
本実施形態では、孔7の形状は円形形状であるとしたが、図14,15(a),(b)に示すような波薄板6の長さ方向に伸びる長方形形状のスリット8や、図16,17(a),(b)に示すような波薄板6の幅方向に伸びる長方形形状のスリット9を孔7の代わりに形成してもよい。スリット8,9は、図15(a)又は図16(a)に示すように波薄板6の長さ方向又は幅方向に一つ形成してもよいし、図15(b)又は図16(b)に示すように波薄板6の長さ方向又は幅方向に複数、且つ、交互に形成してもよい。
【0032】
但しスリット8,9の形状を完全な長方形形状とした場合、角部に応力が集中することによって波薄板6の耐久性が低下する可能性がある。従って、スリット8,9の形状を長方形形状とする場合には角部に曲げ半径を付けて角部を無くすことが望ましい。またスリット8,9の形状を長方形形状ではなく楕円形状にしてもよい。なお孔7及びスリット8,9の形状は台形形状,五角形形状,六角形形状等のその他の形状であってもよい。
【0033】
〔その他の実施形態〕
上記第1及び第2の実施形態の電気加熱体は、薄板に触媒を担持させることにより電気加熱触媒体として利用することができる。例えば、既存の燃焼触媒技術を用いた触媒材料を薄板に担持させることにより、本実施形態の電気加熱体は電気加熱燃焼触媒体として利用することができる。電気加熱燃焼触媒体は、触媒活性が低い低温の場合であっても、燃焼ガスが供給される前に電気的に加熱することによって触媒を昇温して触媒活性を高めることができる。
【0034】
上記第2の実施形態となる電気加熱体の波薄板6に触媒を担持させる場合には、図18に示すように、全ての孔6が触媒10の表面張力によって触媒10により塞がれる大きさであってもよい。また一部の孔6が触媒10により塞がれ、その他の孔6は図19に示すように触媒10により塞がれない大きさであってもよい。例えば、孔6の径が0.1[mm]程度以下であれば触媒10の表面張力によって孔6は塞がれる。しかし、孔6の径が0.8[mm]程度以上であれば、触媒10の表面張力によって塞がれ難くなる。
【0035】
全ての孔6が触媒10により塞がれた場合であっても、触媒10は絶縁体であるために領域6aの抵抗値は殆ど変化しない。従って、孔6を形成しない時と同じ触媒面積を確保し、孔6を形成しない時と同等な燃焼性能を実現できる。また触媒10により塞がれていない孔6を水抜き用の孔として利用することにより、内部で発生した水分を排出し、触媒10の耐水性を向上できる。また触媒10により塞がれていない孔6を空気流路として利用することにより、燃焼ガスの混合性能,圧損,及び燃焼性能を向上できる。
【0036】
〔実施例〕
以下、本発明に係る電気加熱体の幾つかの実施例について説明する。
【0037】
〔実施例1〕
実施例1の電気加熱体では、図20(a),(b)に示すように、波薄板6の山部から次の山部までの水平方向距離を1.2[mm],山部の頂点と谷部の頂点間の垂直方向距離を1.6[mm],略直線部R2の長さを1.0[mm]とした。また山部(谷部)R1の曲げ半径及び曲げ角度を0.3[mm]及び180[°]とすることにより、山部(谷部)R1の長さを0.3π(約0.9)[mm]とした。
【0038】
波薄板6の長さ方向で略直線部R2の長さが占める割合は約51[%]であった。平薄板5と波薄板6により囲まれるガス流路をセルと定義した場合、セルの断面積は約1.0[mm2]であり、1平方インチあたりのセル密度は約670[cpsi]であった。なおセル密度は、数式(25.4[mm2]/セル断面積)にセル断面積の値[mm2]を代入することにより算出した。
【0039】
この実施例1の電気加熱体について、波薄板6における略直線部R2の開孔率(略直線部R2の面積中に占める孔7の面積の比率)の変化に伴う電力比率,電流密度比率,略直線部R2における昇温比率,及び曲線部(山部及び谷部)R1における昇温比率の変化をシミュレーションにより評価した結果を図21に示す。
【0040】
図21に示す各比率は開孔率が0である時の各比率を1として規格化されている。電力比率とは総消費電力に対する波薄板6の消費電力の割合を意味する。電流密度比率とは波薄板6の曲線部R1の平均電流密度に対する略直線部R2の平均電流密度の割合を意味する。昇温比率とは平均昇温速度を意味する。
【0041】
図21に示すように、波薄板6の開孔率の増加に伴い、電力比率と曲線部R1における昇温比率は低下するのに対して、電流密度比率と略直線部R2における昇温比率は増加する。電力比率の低下は、開孔率が増加するのに伴い波薄板6全体の抵抗値が増加し、オームの法則に従って同一電圧における電流値が低下したことを意味する。曲線部R1における昇温比率の低下は、電流量の低下に伴って抵抗値が変化しない曲線部R1における発熱量が低下したことを意味する。電流密度比率の増加は、曲線部R1の電流密度は減っているが、開孔率の増加に伴い略直線部R2の平均断面積が減ることによって略直線部R2の電流密度が増加していることを意味する。略直線部R2における昇温比率の増加は、略直線部R2の電流密度が増加していることを意味する。
【0042】
以上の結果から、略直線部R2の開孔率を増加させることにより、電気加熱体の総消費電力を低減しつつ、略直線部R2の昇温効率を向上できることが知見される。但し、略直線部R2の開孔率を増加させた場合、略直線部R2の断面積が低下するので、波薄板6の強度及び耐久性が低下する恐れがある。従って、略直線部R2の開孔率は、機械力学や電気工学の技術を用いて、機械的強度,耐久性,及び電力・昇温効率を考慮して設定することが望ましい。
【0043】
〔実施例2〕
実施例2の電気加熱体では、図22(a)に示すように、波薄板6の山部から次の山部までの水平方向距離を2.0[mm],山部の頂点と谷部の頂点との間の垂直方向距離を3.2[mm],略直線部R2の長さを2.2[mm]とした。また山部(谷部)R1の曲げ半径及び曲げ角度を0.5[mm]及び180[°]とすることにより、山部(谷部)R1の長さを0.5π(約1.6)[mm]とした。波薄板6の長さ方向で略直線部R2の長さが占める割合は約58[%]であった。セルの断面積は約3.2[mm2]であり、1平方インチあたりのセル密度は約200[cpsi]であった。なお本実施例では、波薄板6の抵抗値を部分的に変化させたが、図23(a)に示すように平薄板5の板厚を部分的に変化させることにより平薄板5の抵抗値を部分的に変化させてもよい。
【0044】
〔実施例3〕
実施例3の電気加熱体では、図22(b)に示すように、波薄板6の山部から次の山部までの水平方向距離を1.6[mm],山部の頂点と谷部の頂点との間の垂直方向距離を1.6[mm],略直線部R2の長さを0.5[mm]とした。また山部(谷部)R1の曲げ半径及び曲げ角度を0.4[mm]及び180[°]とすることにより、山部(谷部)R1の長さを0.4π(約1.3)[mm]とした。波薄板6の長さ方向で略直線部R2の長さが占める割合は約28[%]であった。セルの断面積は約1.0[mm2]であり、1平方インチあたりのセル密度は約620[cpsi]であった。
【0045】
〔実施例4〕
実施例4の電気加熱体では、図22(c)に示すように、波薄板6の山部から次の山部までの水平方向距離を3.6[mm],山部の頂点と谷部の頂点との間の垂直方向距離を1.8[mm],略直線部R2の長さを1.5[mm]とした。また山部(谷部)R1の曲げ半径及び曲げ角度をそれぞれ0.5[mm]及び90[°]とすることにより、山部(谷部)R1の長さを0.25π(約0.8)[mm]とした。波薄板6の長さ方向で略直線部R2の長さが占める割合は約65[%]であった。セルの断面積は約3.2[mm2]あり、1平方インチあたりのセル密度は約200[cpsi]であった。なお本実施例では、波薄板6の抵抗値を部分的に変化させたが、図23(b)に示すように平薄板5の板厚を部分的に変化させることにより平薄板5の抵抗値を部分的に変化させてもよい。
【0046】
〔実施例5〕
実施例5の電気加熱体では、図22(d)に示すように、波薄板6の山部から次の山部までの水平方向距離を1.8[mm],山部の頂点と谷部の頂点との間の垂直方向距離を0.9[mm],略直線部R2の長さを0.27[mm]とした。また山部(谷部)R1の曲げ半径及び曲げ角度をそれぞれ0.5[mm]及び90[°]とすることにより、山部(谷部)R1の長さを0.25π(約0.8)[mm]とした。波薄板6の長さ方向で略直線部R2の長さが占める割合は約25[%]であった。セルの断面積は約0.8[mm2]であり、1平方インチあたりのセル密度は約800[cpsi]であった。
【0047】
〔開孔率の変化に伴うエネルギー効率の比率の変化〕
図24は、略直線部R2の開孔率Oの変化に伴う、波薄板6全体のエネルギー効率に対する略直線部R2のエネルギー効率の比率の変化、換言すれば波薄板6全体の平均昇温速度に対する略直線部R2の平均昇温速度の比率の変化を、幾つかの高抵抗部比率(波薄板6中で略直線部R2の長さが占める割合)Rについてシミュレーションした結果を示す図である。
【0048】
図24に示すように、略直線部R2の開孔率Oと高抵抗部比率Rの組み合わせに応じてエネルギー効率の比率が多様に変化することがわかる。また高抵抗部比率Rに応じて、エネルギー効率の変化曲線が異なり、最適な開孔率も異なることがわかる。また比率が1.0である時は、開孔率Oが0[%]である時、又は波薄板6全体のエネルギー効率が開孔率Oが0[%]である時と同等の時である。従って比率が1.0以上である時は全体のエネルギー効率が開孔率Oが0[%]の時よりもよい時となり、比率が1.0未満である時は全体のエネルギー効率が開孔率Oが0[%]の時よりも悪い時となる。
【0049】
図24に示すシミュレーション結果から得られた知見をまとめると図25に示すようになる。図25は、高抵抗部比率Rに対する開孔率Oの変化を示す図である。図25中の点線は開孔率Oが0%である時と同じ全体エネルギー効率が得られる直線を示し、ある高抵抗部比率Rの値における全体エネルギー効率の分岐点を示す。すなわち図25に示す点線は、図24の各曲線が示す比率が1.0を超えた後に再び1.0になった点を直線に近似したものであり、本例では数式:開孔率O=0.825×高抵抗部比率R+9.875の直線により表される。
【0050】
図25に示す点線のデータから、ある高抵抗部比率Rの値においては開孔率Oをこの点線が示す値よりも低くした方が全体のエネルギー効率が良くなることがわかる。また開孔率Oをこの点線が示す値よりも多くすることによりも、開孔率Oを0[%]とする、又は波薄板6全体に孔をあけて高抵抗化した方が全体のエネルギー効率が良くなることがわかる。
【0051】
図25に示す実線は、最もエネルギー効率が高くなる開孔率を示す直線であり、図24の各曲線のピーク位置における開孔率Oを高抵抗部比率Rに応じてプロットしたものを二次曲線に近似したものである。本例では実線は数式:開孔率O=0.0029×高抵抗部比率R2+0.228×高抵抗部比率R+7.6786の直線により表される。従ってセル形状によって定まる高抵抗部比率Rの値を上記数式に代入してその時の開孔率Oを算出することにより、全体のエネルギー効率を最適化することができる。但し、この図に示す点線及び直線の数式は近似により得られたものであるので、計算により得られた開孔率Oの±10[%]の範囲内であればほぼ最適な開孔率Oであると判断できる。
【0052】
〔内燃機関〕
図26は、本発明に係る電気加熱体が適用されるガソリンエンジンの構成を示す模式図である。図26はガソリンエンジンのみを示し、その他の部品の図示は省略している。本例は、本発明に係る電気加熱体をガソリンエンジンに適用したものであるが、ディーゼルエンジン、液化プロパンガスエンジン,エタノールエンジン等のその他の内燃機関にも適用できる。この内燃機関は、工事現場等で使用される簡易発電機や,蒸気機関車,自動車,バス,トラック,自動二輪車等の車両の動力源として利用できる。
【0053】
図26に示すガソリンエンジンでは、始めに吸気部21を介して空気がエンジン22内に導入される。空気が導入されるのに伴い、圧縮された燃焼ガスが燃焼し、燃焼ガスが膨張することによってピストンが押し下げられる。押し下げられたピストンによってクランク23からの動力が図示しないトランスミッションを経由して図示しないタイヤの駆動軸に伝達される。エンジン22内で燃焼された排気ガスは、排気部24を介して燃焼装置25に導入される。
【0054】
燃焼装置25内には本発明に係る電気加熱体1が中心電極4が排気ガスが通流する流路の略中心に位置するように設置され、電気加熱体1はバッテリ27からの電力を利用して排気ガスが通流する流路の一部を加熱する。排気ガスは、電気加熱体1により温められ、電気加熱体1の下流側に設置された燃焼触媒26において浄化される。すなわち、燃焼触媒26は排気ガス中に含まれる燃料の未燃焼成分及び不完全燃焼成分を燃焼する。電気加熱体1の制御を含むガソリンエンジン全体の制御はコントローラ28により実行される。
【0055】
〔燃焼電池システム〕
図27は、本発明に係る電気加熱体が適用される燃料電池システムの構成を示す模式図である。この燃料電池システムは、家庭用・工業用の発電給湯システムや、燃料電池機関車,燃料電池自動車,燃料電池バス,燃料電池スクーター等の電気車両の動力源として利用することができる。
【0056】
図27に示す燃料電池システムでは、燃料電池ケース31内に燃料電池32が搭載されている。燃料電池32は、空気極であるカソードと燃料極であるアノードとを数十〜数百組積層することにより形成した燃料電池スタックにより形成されている。この燃料電池システムでは、コンプレッサ33から供給された空気が、空気供給配管34を介して水分回収装置35に供給され、水分回収装置35において加湿された後に空気供給配管36を介してカソードに供給される。カソードにおいて発電に利用された空気は、カソードオフガスとして空気排出配管37を介して水分回収装置35に供給され、水分回収装置35内において除湿される。水分回収装置35内において回収された水分は空気の加湿のために利用される。除湿されたカソードオフガスは、排気配管38を介して燃焼装置25に導入される。
【0057】
水素タンク39から供給された水素は水素循環装置40及び水素供給配管41を介してアノードに供給される。アノードにおいて発電に利用された水素は、アノードオフガスとして水素排出配管42を介して再び水素循環装置40に導入される。このように水素を循環利用することにより、水素を効率的に利用することができる。但し、燃料電池32の発電に伴い、水蒸気や窒素等のアノード内の不純物濃度が上昇して水素濃度が低下することにより、発電効率が低下する。従ってこの場合、水素循環装置40の下流側に設置されているパージバルブ43を開くパージ処理を行うことにより、アノードオフガスが排気配管38を介して燃焼装置25に導入される。
【0058】
燃焼装置25内には本発明に係る電気加熱体1が中心電極4がアノードオフガス及びカソードオフガスが通流する流路の略中心に位置するように設置され、電気加熱体1はバッテリ27からの電力を利用してアノードオフガス及びカソードオフガスが通流する流路の一部を加熱する。アノードオフガス及びカソードオフガスは、電気加熱体1により温められ、電気加熱体1の下流側に設置された燃焼触媒26において浄化される。すなわち、燃焼触媒26はアノードオフガス中に含まれる水素を燃焼する。電気加熱体1の制御を含む燃料電池システム全体の制御はコントローラ28により実行される。
【0059】
〔暖房システム〕
図28は、本発明に係る電気加熱体が適用される暖房システムの構成を示す模式図である。この暖房システムは、触媒燃焼式のファンヒーターやバス等の客室用のヒータとして利用することができる。図28に示す暖房システムでは、空気ブロア51から供給された空気が、燃料供給配管52を介して燃料タンク53から供給された燃料と混合された後に本発明に係る電気加熱触媒体1に供給される。電気加熱触媒体1は、中心電極4が空気が通流する流路の略中心に位置するように設置され、バッテリ27からの電力を利用して燃料と混合された空気を燃焼する。これにより電気加熱触媒体1の下流側からは暖かな空気が排出される。電気加熱触媒体1の制御を含む暖房システム全体の制御はコントローラ28により実行される。
【0060】
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、この実施の形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態となる電気加熱体の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態となる電気加熱体について、コアを構成する平薄板と波薄板を平面上に展開した状態を示す図である。
【図3】図2に示す波薄板の構成を示す側面図及び斜視図である。
【図4】図2に示す電気加熱体の変形例について、コアを構成する平薄板と波薄板を平面上に展開した状態を示す図である。
【図5】図4に示す波薄板の構成を示す側面図及び斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態となる電気加熱体について、コアを構成する平薄板と波薄板を平面上に展開した状態を示す図である。
【図7】図6に示す波薄板の上面図及び長さ方向の抵抗値の分布状態を示す図である。
【図8】図6に示す電気加熱体の変形例について、コアを構成する平薄板と波薄板を平面上に展開した状態を示す図である。
【図9】図8に示す波薄板の上面図及び長さ方向の抵抗値の分布状態を示す図である。
【図10】図6に示す電気加熱体の変形例について、コアを構成する平薄板と波薄板を平面上に展開した状態を示す図である。
【図11】図10に示す波薄板の上面図及び長さ方向の抵抗値の分布状態を示す図である。
【図12】図6に示す電気加熱体の変形例について、コアを構成する平薄板と波薄板を平面上に展開した状態を示す図である。
【図13】図12に示す波薄板の上面図及び長さ方向の抵抗値の分布状態を示す図である。
【図14】図6に示す電気加熱体の変形例について、コアを構成する平薄板と波薄板を平面上に展開した状態を示す図である。
【図15】図14に示す波薄板の上面図を示す図である。
【図16】図6に示す電気加熱体の変形例について、コアを構成する平薄板と波薄板を平面上に展開した状態を示す図である。
【図17】図16に示す波薄板の上面図を示す図である。
【図18】波薄板に形成した孔が触媒により塞がれた状態を示す図である。
【図19】波薄板に形成した孔が触媒により塞がれていない状態を示す図である。
【図20】実施例1の電気加熱体の構成を示す図である。
【図21】図20に示す電気加熱体について、開孔率の変化に伴う電力比率,電流密度比率,略直線部における昇温比率,及び曲線部における昇温比率の変化を評価した結果を示す図である。
【図22】実施例2〜5の電気加熱体の構成を示す図である。
【図23】実施例2及び実施例4の電気加熱体の応用例の構成を示す図である。
【図24】略直線部の開孔率の変化に伴うエネルギー効率の比率の変化を評価した結果を示す図である。
【図25】高抵抗部比率に対する開孔率の変化を示す図である。
【図26】本発明に係る電気加熱体が適用されるガソリンエンジンの構成を示す模式図である。
【図27】本発明に係る電気加熱体が適用される燃料電池システムの構成を示す模式図である。
【図28】本発明に係る電気加熱体が適用される暖房システムの構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0062】
1:電気加熱体
2:コア
3:外筒
4:中心電極
5:平薄板
6:波薄板
7:孔
8,9:スリット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心電極を中心にして平薄板と波薄板を連続的に巻回して形成した電気加熱体であって、前記平薄板と前記波薄板の少なくとも一方の薄板において、他方の薄板と接していない領域の昇温効率がその他の領域の昇温効率より高いことを特徴とする電気加熱体。
【請求項2】
請求項1に記載の電気加熱体において、他方の薄板と接していない領域の抵抗値がその他の領域の抵抗値より高い、及び/又は、他方の薄板と接していない領域の質量がその他の領域の質量より少ないことを特徴とする電気加熱体。
【請求項3】
請求項2に記載の電気加熱体において、前記波薄板は前記平薄板と接しない略直線部と前記平薄板と接する曲線部により形成され、前記略直線部の抵抗値が前記曲線部の抵抗値より高くなっていることを特徴とする電気加熱体。
【請求項4】
請求項3に記載の電気加熱体において、前記波薄板の長さ方向において前記略直線部が占める割合が40%以上であることを特徴とする電気加熱体。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のうち、いずれか1項に記載の電気加熱体において、抵抗値が高い領域内において、抵抗値が長さ方向端部から中心部に向けて変化していることを特徴とする電気加熱体。
【請求項6】
請求項5に記載の電気加熱体において、前記端部側の抵抗値の方が前記中心部側の抵抗値より低いことを特徴とする電気加熱体。
【請求項7】
請求項2乃至請求項6のうち、いずれか1項に記載の電気加熱体において、他方の薄板と接していない領域の板厚がその他の領域の板厚より小さいことを特徴とする電気加熱体。
【請求項8】
請求項7に記載の電気加熱体において、他方の薄板と接していない領域の板厚をその他の領域の板厚に滑らかに変化させる板厚変化領域を備えるを特徴とする電気加熱体。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の電気加熱体において、他方の薄板と接していない領域に強度補強部を備えることを特徴とする電気加熱体。
【請求項10】
請求項2乃至請求項6のうち、いずれか1項に記載の電気加熱体において、他方の薄板と接していない領域に複数の孔を備えることを特徴とする電気加熱体。
【請求項11】
請求項10に記載の電気加熱体において、前記多数の孔が薄板の長さ方向のどの位置にも形成されているように当該複数の孔を配置することを特徴とする電気加熱体。
【請求項12】
請求項10又は請求項11に記載の電気加熱体において、前記多数の孔を形成したことによる薄板の開孔率は、薄板の全面にわたって孔を形成した場合よりも全体のエネルギー効率が高い範囲内に設定されていることを特徴とする電気加熱体。
【請求項13】
請求項12に記載の電気加熱体において、前記多数の孔を形成したことによる薄板の開孔率は、全体のエネルギー効率が最大値となる開孔率の近傍値に設定されていることを特徴とする電気加熱体。
【請求項14】
請求項2乃至請求項13のうち、いずれか1項に記載の電気加熱体において、前記平薄板と前記波薄板の全ての巻周のうちの一部の巻周において、他方の薄板と接していない領域の抵抗値がその他の領域の抵抗値より高い、及び/又は、他方の薄板と接していない領域の質量がその他の領域の質量より少ないことを特徴とする電気加熱体。
【請求項15】
請求項14に記載の電気加熱体において、前記一部の巻周は、前記中心電極から所定巻周目より外側の巻周であることを特徴とする電気加熱体。
【請求項16】
請求項14又は請求項15に記載の電気加熱体において、前記一部の巻周は、最外周から所定巻周目の内側の巻周であることを特徴とする電気加熱体。
【請求項17】
請求項1乃至請求項16のうち、いずれか1項に記載の電気加熱体において、前記平薄板と前記波薄板の少なくとも一方に触媒が担持されていることを特徴とする電気加熱体。
【請求項18】
請求項17に記載の電気加熱体において、他方の薄板と接していない領域に複数の孔を備え、当該多数の孔のうち少なくとも一部は表面張力によって前記触媒により覆われる径を有することを特徴とする電気加熱体。
【請求項19】
請求項17又は請求項18に記載の電気加熱体と、当該電気加熱体の下流に配置された燃焼触媒とを備えることを特徴とする排気システム。
【請求項20】
請求項1乃至請求項18のうち、いずれか1項に記載の電気加熱体を排気系に備えることを特徴とする内燃機関。
【請求項21】
請求項1乃至請求項18のうち、いずれか1項に記載の電気加熱体を排気系に備えることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項22】
請求項1乃至請求項18のうち、いずれか1項に記載の電気加熱体を排気系に備えることを特徴とする暖房システム。
【請求項1】
中心電極を中心にして平薄板と波薄板を連続的に巻回して形成した電気加熱体であって、前記平薄板と前記波薄板の少なくとも一方の薄板において、他方の薄板と接していない領域の昇温効率がその他の領域の昇温効率より高いことを特徴とする電気加熱体。
【請求項2】
請求項1に記載の電気加熱体において、他方の薄板と接していない領域の抵抗値がその他の領域の抵抗値より高い、及び/又は、他方の薄板と接していない領域の質量がその他の領域の質量より少ないことを特徴とする電気加熱体。
【請求項3】
請求項2に記載の電気加熱体において、前記波薄板は前記平薄板と接しない略直線部と前記平薄板と接する曲線部により形成され、前記略直線部の抵抗値が前記曲線部の抵抗値より高くなっていることを特徴とする電気加熱体。
【請求項4】
請求項3に記載の電気加熱体において、前記波薄板の長さ方向において前記略直線部が占める割合が40%以上であることを特徴とする電気加熱体。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のうち、いずれか1項に記載の電気加熱体において、抵抗値が高い領域内において、抵抗値が長さ方向端部から中心部に向けて変化していることを特徴とする電気加熱体。
【請求項6】
請求項5に記載の電気加熱体において、前記端部側の抵抗値の方が前記中心部側の抵抗値より低いことを特徴とする電気加熱体。
【請求項7】
請求項2乃至請求項6のうち、いずれか1項に記載の電気加熱体において、他方の薄板と接していない領域の板厚がその他の領域の板厚より小さいことを特徴とする電気加熱体。
【請求項8】
請求項7に記載の電気加熱体において、他方の薄板と接していない領域の板厚をその他の領域の板厚に滑らかに変化させる板厚変化領域を備えるを特徴とする電気加熱体。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の電気加熱体において、他方の薄板と接していない領域に強度補強部を備えることを特徴とする電気加熱体。
【請求項10】
請求項2乃至請求項6のうち、いずれか1項に記載の電気加熱体において、他方の薄板と接していない領域に複数の孔を備えることを特徴とする電気加熱体。
【請求項11】
請求項10に記載の電気加熱体において、前記多数の孔が薄板の長さ方向のどの位置にも形成されているように当該複数の孔を配置することを特徴とする電気加熱体。
【請求項12】
請求項10又は請求項11に記載の電気加熱体において、前記多数の孔を形成したことによる薄板の開孔率は、薄板の全面にわたって孔を形成した場合よりも全体のエネルギー効率が高い範囲内に設定されていることを特徴とする電気加熱体。
【請求項13】
請求項12に記載の電気加熱体において、前記多数の孔を形成したことによる薄板の開孔率は、全体のエネルギー効率が最大値となる開孔率の近傍値に設定されていることを特徴とする電気加熱体。
【請求項14】
請求項2乃至請求項13のうち、いずれか1項に記載の電気加熱体において、前記平薄板と前記波薄板の全ての巻周のうちの一部の巻周において、他方の薄板と接していない領域の抵抗値がその他の領域の抵抗値より高い、及び/又は、他方の薄板と接していない領域の質量がその他の領域の質量より少ないことを特徴とする電気加熱体。
【請求項15】
請求項14に記載の電気加熱体において、前記一部の巻周は、前記中心電極から所定巻周目より外側の巻周であることを特徴とする電気加熱体。
【請求項16】
請求項14又は請求項15に記載の電気加熱体において、前記一部の巻周は、最外周から所定巻周目の内側の巻周であることを特徴とする電気加熱体。
【請求項17】
請求項1乃至請求項16のうち、いずれか1項に記載の電気加熱体において、前記平薄板と前記波薄板の少なくとも一方に触媒が担持されていることを特徴とする電気加熱体。
【請求項18】
請求項17に記載の電気加熱体において、他方の薄板と接していない領域に複数の孔を備え、当該多数の孔のうち少なくとも一部は表面張力によって前記触媒により覆われる径を有することを特徴とする電気加熱体。
【請求項19】
請求項17又は請求項18に記載の電気加熱体と、当該電気加熱体の下流に配置された燃焼触媒とを備えることを特徴とする排気システム。
【請求項20】
請求項1乃至請求項18のうち、いずれか1項に記載の電気加熱体を排気系に備えることを特徴とする内燃機関。
【請求項21】
請求項1乃至請求項18のうち、いずれか1項に記載の電気加熱体を排気系に備えることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項22】
請求項1乃至請求項18のうち、いずれか1項に記載の電気加熱体を排気系に備えることを特徴とする暖房システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2009−43470(P2009−43470A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−205128(P2007−205128)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]