電気化学デバイス及びその製造方法
【課題】 短絡を起こしにくい電気化学デバイスを提供すること。
【解決手段】 第1のアノード10と、第1のカソード20と、上記第1のアノード10と上記第1のカソード20との間、上記第1のアノード10の上記第1のカソード20側とは反対側、及び、上記第1のカソード20の上記第1のアノード10側とは反対側に配置されるように折り曲げられた連続する一枚のセパレータ50と、上記セパレータ50、上記第1のアノード10及び上記第1のカソード20に接触する電解質と、を備え、上記セパレータ50は、該セパレータ50の一端から連続する二箇所の折り曲げ部60で同一方向に折り曲げられて、上記第1のアノード10又は上記第1のカソード20の周囲を包み込む形状を有している、電気化学デバイス。
【解決手段】 第1のアノード10と、第1のカソード20と、上記第1のアノード10と上記第1のカソード20との間、上記第1のアノード10の上記第1のカソード20側とは反対側、及び、上記第1のカソード20の上記第1のアノード10側とは反対側に配置されるように折り曲げられた連続する一枚のセパレータ50と、上記セパレータ50、上記第1のアノード10及び上記第1のカソード20に接触する電解質と、を備え、上記セパレータ50は、該セパレータ50の一端から連続する二箇所の折り曲げ部60で同一方向に折り曲げられて、上記第1のアノード10又は上記第1のカソード20の周囲を包み込む形状を有している、電気化学デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池や電気化学キャパシタ等の電気化学デバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の角型(シート型)の電気化学キャパシタやリチウムイオン二次電池において、一対の電極間に設けられるセパレータは、1枚1枚の不連続なセパレータを重ねていくような積層型のものや、連続した1枚のセパレータをつづら折り状に折り畳んだもの(例えば、下記特許文献1〜4参照)等が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−329530号公報
【特許文献2】特開平7−57716号公報
【特許文献3】特開平7−142086号公報
【特許文献4】特表2004−503055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、積層型のセパレータを用いた電気化学デバイスは、1枚1枚のセパレータを重ねていくので製造時の作業効率が悪い。また、電極の上下方向にしかセパレータが存在しないので、横方向に電極のずれが生じることがあり、これが短絡の原因となることがある。
【0005】
一方、つづら折り状に折り畳まれたセパレータを用いた電気化学デバイスは、積層型のものに比べて製造時の作業効率は向上している。しかし、つづら折り状のセパレータを用いた場合であっても、横方向に電極のずれが生じることがあり、これが短絡の原因となることがある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、短絡を起こしにくい電気化学デバイス及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、第1のアノードと、第1のカソードと、上記第1のアノードと上記第1のカソードとの間、上記第1のアノードの上記第1のカソード側とは反対側、及び、上記第1のカソードの上記第1のアノード側とは反対側に配置されるように折り曲げられた連続する一枚のセパレータと、上記セパレータ、上記第1のアノード及び上記第1のカソードに接触する電解質と、を備え、上記セパレータは、該セパレータの一端から連続する二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げられて、上記第1のアノード又は上記第1のカソードの周囲を包み込む形状を有している、電気化学デバイスを提供する。
【0008】
本発明において、「アノード」及び「カソード」は説明の便宜上、電気化学デバイスの放電時の極性を基準に決定したものである。従って、充電時には、「アノード」が「カソード」となり、「カソード」が「アノード」となる。
【0009】
かかる電気化学デバイスにおいては、セパレータの形状を、交互に逆方向に折り返されたつづら折りの形状とは異なり、連続する二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げた形状とすることにより、第1のアノード又は第1のカソードのいずれか一方の周囲がセパレータによって包み込まれた構造となる。そのため、セパレータで包み込まれた電極は、横方向へのずれの発生が十分に防止されることとなり、この電極とセパレータを挟んで対向する他の電極との間での短絡の発生が十分に抑制されることとなる。したがって、上記の形状を有するセパレータを用いた本発明の電気化学デバイスは、従来の積層型やつづら折り形状のセパレータを用いた場合と比較して、短絡の発生を十分に抑制することができる。
【0010】
また、上記本発明におけるセパレータや従来のつづら折り形状のセパレータは、1枚のセパレータを折り曲げて形成しているため、折り曲げる前の元の形状に戻る力が生じやすい。そして、従来のつづら折り形状の場合には、連続する二箇所の折り曲げ部で逆方向に折り曲げているため、元の形状に戻る力は二箇所の折り曲げ部で足し合わされて、電極及びセパレータの積層方向に働くことになる。これに対し、上記本発明におけるセパレータでは、連続する二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げているため、元の形状に戻る力は二箇所の折り曲げ部で足し合わされず、つづら折り形状の場合よりも弱い力となる。そのため、上記本発明におけるセパレータを用いた電気化学デバイスによれば、つづら折り形状のセパレータを用いた場合と比較して、積層方向に働くセパレータが元の形状に戻ろうとする力が低減され、電極のずれの発生が抑制されて短絡の発生が十分に抑制されることとなる。
【0011】
更に、上記本発明におけるセパレータは、少なくとも一方の端部が、折り畳んだセパレータの内側に包まれた形状となる。電極及びセパレータのずれ、並びにそれに起因する短絡の発生はセパレータの端部において生じやすいが、このセパレータの少なくとも一方の端部がセパレータの内側に入り込んでいることにより、従来の積層型やつづら折り形状のセパレータを用いた場合と比較して、電極のずれの発生及びそれに起因した短絡の発生を十分に抑制することが可能となる。
【0012】
また、本発明の電気化学デバイスは、上記セパレータの外周面上に配置された、該セパレータを挟んで上記第1のアノードと対向する第2のカソード、及び/又は、上記セパレータの外周面上に配置された、該セパレータを挟んで上記第1のカソードと対向する第2のアノードを備えることが好ましい。
【0013】
セパレータの外周面上にこれら第2のアノード及び/又は第2のカソードを備えることにより、短絡の発生を十分に抑制しつつ、電気化学デバイスの体積エネルギー密度を向上させることができ、小型化・薄型化の実現に寄与する。
【0014】
また、本発明の電気化学デバイスにおいて、上記第1のアノード、及び/又は、上記第1のカソードは2以上備えられ、上記セパレータは、更に該セパレータの上記一端とは反対側の他端から連続する二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げられて、上記第1のアノード又は上記第1のカソードの周囲を包み込む形状を有していることが好ましい。
【0015】
上記のように、セパレータの両端において、第1のアノード及び/又は第1のカソードの周囲がセパレータによって包み込まれた構造となっていることにより、両端のセパレータで包み込まれた電極は、横方向へのずれの発生が防止されることとなり、この電極とセパレータを挟んで対向する他の電極との間での短絡の発生が十分に抑制されることとなる。また、セパレータの両端部が、折り畳んだセパレータの内側に包まれた形状となるため、セパレータ端部において生じやすい電極及びセパレータのずれ、並びにそれに起因する短絡の発生が十分に抑制されることとなる。したがって、上記の構造を有する本発明の電気化学デバイスは、従来の積層型やつづら折り形状のセパレータを用いた場合と比較して、短絡の発生をより十分に抑制することができる。
【0016】
本発明はまた、第1のアノードと、第1のカソードと、上記第1のアノードと上記第1のカソードとの間、上記第1のアノードの上記第1のカソード側とは反対側、及び、上記第1のカソードの上記第1のアノード側とは反対側に配置されるように折り曲げられた連続する一枚のセパレータと、上記セパレータの外周面上に配置された、該セパレータを挟んで上記第1のアノードと対向する第2のカソードと、上記セパレータ、上記第1のアノード、上記第1のカソード及び上記第2のカソードに接触する電解質と、を備え、上記セパレータは、該セパレータの一端から連続する二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げられて、上記第1のアノード又は上記第1のカソードの周囲を包み込む形状を有している第1のユニットと、第1のアノードと、第1のカソードと、上記第1のアノードと上記第1のカソードとの間、上記第1のアノードの上記第1のカソード側とは反対側、及び、上記第1のカソードの上記第1のアノード側とは反対側に配置されるように折り曲げられた連続する一枚のセパレータと、上記セパレータの外周面上に配置された、該セパレータを挟んで上記第1のカソードと対向する第2のアノードと、上記セパレータ、上記第1のアノード、上記第1のカソード及び上記第2のアノードに接触する電解質と、を備え、上記セパレータは、該セパレータの一端から連続する二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げられて、上記第1のアノード又は上記第1のカソードの周囲を包み込む形状を有している第2のユニットとが、交互に積層された構造を有する、電気化学デバイスを提供する。
【0017】
かかる電気化学デバイスは、第1及び第2のユニットがそれぞれ先に説明した本発明におけるセパレータの形状を有しているため、短絡の発生が十分に抑制される。そして、複数のユニットを積層した上記の電気化学デバイスによれば、短絡の発生を抑制しつつ、電気化学デバイスの高容量化を図ることができる。
【0018】
また、本発明の電気化学デバイスにおいて、上記セパレータの端部から連続する上記二箇所の折り曲げ部は、等間隔に形成されていることが好ましい。
【0019】
このように、セパレータが等間隔(所定の間隔毎)に形成された折り曲げ部で折り曲げられていることにより、セパレータ(特にその端部)の過不足が抑制され、短絡の発生をより十分に抑制することができるとともに、電気化学デバイスの小型化にも有利である。
【0020】
また、本発明の電気化学デバイスにおいて、上記セパレータの上記折り曲げ部には、該折り曲げ部に沿って切断部及び非切断部が配されていることが好ましい。
【0021】
これにより、折り曲げ部での折り曲げが容易となり、セパレータを所定の間隔毎に精度良く折り曲げることができる。そのため、セパレータ(特にその端部)の過不足を抑制でき、電気化学デバイスの小型化・薄型化に寄与するとともに、電極及びセパレータのずれを防止して短絡の発生をより十分に抑制することができる。また、折り曲げられたセパレータが元の形状に戻ろうとする力を低減することができ、それによっても、電気化学デバイスにおける電極及びセパレータのずれを防止し、短絡の発生をより十分に抑制することができる。更に、折り曲げ部に切断部が配されていることにより、その切断部を通って電解質溶液が移動しやすくなるという利点もある。
【0022】
また、本発明の電気化学デバイスにおいて、上記セパレータは不織布からなるセパレータであることが好ましい。
【0023】
これにより、折り曲げ部での折り曲げが容易となり、セパレータを所定の間隔毎に精度良く折り曲げることができる。そのため、セパレータ(特にその端部)の過不足を抑制でき、電気化学デバイスの小型化・薄型化に寄与するとともに、電極及びセパレータのずれを防止して短絡の発生をより十分に抑制することができる。また、不織布からなるセパレータは折り目が付きやすく、折り曲げられたセパレータが元の形状に戻ろうとする力を低減することができ、それによっても、電気化学デバイスにおける電極及びセパレータのずれを防止し、短絡の発生をより十分に抑制することができる。
【0024】
また、本発明の電気化学デバイスにおいて、上記セパレータには、上記折り曲げ部の折り曲げ方向とは逆方向側の面上に接着剤層が形成されていることが好ましい。
【0025】
上記接着剤層を形成することにより、該接着剤層に接している電極はセパレータに固定されてずれが防止され、電気化学デバイスにおける短絡の発生がより十分に抑制される。特に、上記の形状のセパレータを有する本発明の電気化学デバイスにおいては、セパレータに包み込まれた第1のアノード又は第1のカソードに近接する3つの電極を、上記接着剤層に接するように配置することが可能であるため、セパレータに包み込まれた電極を含めて近接する4つの電極のずれを十分に防止可能となり、電気化学デバイスにおける短絡の発生をより十分に抑制することができる。なお、電気化学デバイスにおける電極の数が4つである場合、全ての電極のずれが防止されるため、優れた短絡防止効果を得ることができる。
【0026】
本発明はまた、第1のアノードと、第1のカソードと、上記第1のアノードと上記第1のカソードとの間、上記第1のアノードの上記第1のカソード側とは反対側、及び、上記第1のカソードの上記第1のアノード側とは反対側に配置されるように折り曲げられた連続する一枚のセパレータと、上記セパレータ、上記第1のアノード及び上記第1のカソードに接触する電解質と、を備え、上記セパレータは、該セパレータの一端から連続する二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げられて、上記第1のアノード又は上記第1のカソードの周囲を包み込む形状を有している電気化学デバイスの製造方法であって、上記セパレータにおける上記二箇所の折り曲げ部に挟まれた面上に上記第1のアノード又は上記第1のカソードの一方を配置する第1の配置工程と、上記セパレータを一方の上記折り曲げ部で折り曲げ、上記第1の配置工程で配置した上記第1のアノード又は上記第1のカソード上に、折り曲げた上記セパレータを配置する第1の折り曲げ工程と、折り曲げた上記セパレータ上に、上記第1のアノード又は上記第1のカソードの他方を配置する第2の配置工程と、上記セパレータを他方の上記折り曲げ部で折り曲げ、上記第2の配置工程で配置した上記第1のアノード又は上記第1のカソード上に、折り曲げた上記セパレータを配置する第2の折り曲げ工程と、を有する電気化学デバイスの製造方法を提供する。
【0027】
かかる電気化学デバイスの製造方法によれば、上述した本発明の電気化学デバイスを効率的に製造することができる。また、上記電気化学デバイスの製造方法によれば、セパレータをつづら折りにする場合と比較して、作業性を向上させることができ、且つ、製造時における電極及びセパレータのずれの発生を十分に防止することができる。
【0028】
具体的には、セパレータをつづら折りにする場合には、セパレータの端部の面上に電極を置いて折り曲げていく必要があるため、製造過程で特にこの端部の電極がずれやすく、短絡不良を生じやすい。また、折り曲げ部で交互に逆方向に折り曲げていく場合、折り曲げ時に、1つ前に折り曲げた折り目を元の形状に戻す方向に力が働くため、セパレータは全体的に折り曲げ部に折り目が付きにくく、元の形状に戻る力が積層方向に働きやすい。そのため、製造過程で電極及びセパレータのずれが生じやすく、また、電極及びセパレータを積層した積層体を外装体に封入する場合の作業性にも劣る。
【0029】
これに対して、本発明のようにセパレータを二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げる場合、二箇所の折り曲げ部の間に電極を置き、この電極を包み込むようにセパレータを折り曲げるため、この電極が製造過程でずれにくく、短絡不良が生じにくくなる。また、二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げる場合、一方を折り曲げた後、他方を折り曲げる際に、先に折り曲げた方向と同一方向に力が働くため折り目がより強く付きやすく、元の形状に戻る力が積層方向に働きにくくなる。そのため、製造過程で電極及びセパレータのずれの発生が十分に防止され、また、電極及びセパレータを積層した積層体を外装体に封入する場合の作業性にも優れる。
【0030】
また、本発明の電気化学デバイスの製造方法において、上記電気化学デバイスは、上記セパレータの外周面上に配置された、該セパレータを挟んで上記第1のアノードと対向する第2のカソード、及び/又は、上記セパレータの外周面上に配置された、該セパレータを挟んで上記第1のカソードと対向する第2のアノードを備えるものであり、上記第1の配置工程の前に、上記第1のアノードと上記第2のアノード、及び/又は、上記第1のカソードと上記第2のカソードを、互いの位置関係が固定されるように部分的に接続する接続工程を有することが好ましい。
【0031】
また、本発明の電気化学デバイスの製造方法において、上記電気化学デバイスは、上記第1のアノード、及び/又は、上記第1のカソードを2以上備えるものであり、上記第1の配置工程の前に、上記第1のアノード同士、及び/又は、上記第1のカソード同士を、互いの位置関係が固定されるように部分的に接続する接続工程を有することが好ましい。
【0032】
このように、アノード同士、カソード同士のそれぞれを予め接続しておくことにより、製造過程における電極のずれをより十分に防止することができ、短絡の発生をより十分に抑制することができる。
【0033】
また、本発明の電気化学デバイスの製造方法において、上記セパレータの上記折り曲げ部には、該折り曲げ部に沿って切断部及び非切断部が配されていることが好ましい。
【0034】
これにより、第1及び第2の折り曲げ工程において、折り曲げ部での折り曲げが容易となり、作業効率が飛躍的に高まるとともに、セパレータを所定の間隔毎に精度良く折り曲げることができる。そのため、セパレータ(特にその端部)の過不足を抑制でき、得られる電気化学デバイスの小型化・薄型化に寄与するとともに、製造過程における電極及びセパレータのずれを防止して短絡の発生をより十分に抑制することができる。また、折り曲げられたセパレータが元の形状に戻ろうとする力を低減することができ、それによっても、製造過程における電極及びセパレータのずれを防止し、短絡の発生をより十分に抑制することができる。
【0035】
また、本発明の電気化学デバイスの製造方法は、上記第1の配置工程の前に、上記セパレータを予め上記折り曲げ部で折り曲げて、該折り曲げ部に折り目を付ける折り目形成工程を有することが好ましい。
【0036】
予め折り曲げ部に折り目を付けることにより、第1及び第2の折り曲げ工程において、折り曲げ部での折り曲げが容易となり、作業効率が飛躍的に高まるとともに、セパレータを所定の間隔毎に精度良く折り曲げることができる。そのため、セパレータ(特にその端部)の過不足を抑制でき、得られる電気化学デバイスの小型化・薄型化に寄与するとともに、製造過程における電極及びセパレータのずれを防止して短絡の発生をより十分に抑制することができる。また、折り曲げられたセパレータが元の形状に戻ろうとする力を低減することができ、それによっても、製造過程における電極及びセパレータのずれを防止し、短絡の発生をより十分に抑制することができる。
【0037】
また、本発明の電気化学デバイスの製造方法において、上記セパレータは不織布からなるセパレータであることが好ましい。
【0038】
不織布のセパレータは折り目が付きやすく、これを用いることにより、第1及び第2の折り曲げ工程において、折り曲げ部での折り曲げが容易となり、作業効率を飛躍的に高めることができる。また、折り目が付きやすいことから、折り曲げられたセパレータが元の形状に戻ろうとする力を低減することができ、製造過程における電極及びセパレータのずれを防止し、短絡の発生をより十分に抑制することができる。
【0039】
また、本発明の電気化学デバイスの製造方法において、上記セパレータには、上記折り曲げ部の折り曲げ方向とは逆方向側の面上に接着剤層が形成されていることが好ましい。
【0040】
セパレータに上記接着剤層が形成されていることにより、製造過程において接着剤層に接している電極はセパレータに固定されてずれが防止され、短絡の発生をより十分に抑制することができる。特に、上記の形状のセパレータを有する本発明の電気化学デバイスの製造方法においては、セパレータに包み込まれた第1のアノード又は第1のカソードに近接する3つの電極を、上記接着剤層に接するように配置することが可能であるため、セパレータに包み込まれた電極を含めて近接する4つの電極のずれを十分に防止可能となり、短絡の発生をより十分に抑制することができる。なお、電気化学デバイスにおける電極の数が4つである場合、製造過程において全ての電極のずれが防止されるため、優れた短絡防止効果を得ることができる。
【0041】
本発明は更に、第1のアノードと、第1のカソードと、上記第1のアノードと上記第1のカソードとの間、上記第1のアノードの上記第1のカソード側とは反対側、及び、上記第1のカソードの上記第1のアノード側とは反対側に配置されるように折り曲げられた連続する一枚のセパレータと、上記セパレータ、上記第1のアノード及び上記第1のカソードに接触する電解質と、を備え、上記セパレータは、該セパレータの一端から連続する二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げられて、上記第1のアノード又は上記第1のカソードの周囲を包み込む形状を有している電気化学デバイスの製造方法であって、上記電気化学デバイスは、上記セパレータの外周面上に配置された、該セパレータを挟んで上記第1のアノードと対向する第2のカソード、及び/又は、上記セパレータの外周面上に配置された、該セパレータを挟んで上記第1のカソードと対向する第2のアノードを備えるものであり、上記セパレータの一方の面上に接着剤層を形成する接着剤層形成工程と、上記接着剤層上に、上記セパレータの一端から順に第1の電極、第2の電極及び第3の電極を、各電極間に上記折り曲げ部が挟まれるように貼り付ける貼り付け工程と、上記セパレータにおける上記接着剤層を有する面とは反対側の上記二箇所の折り曲げ部に挟まれた面上に、第4の電極を配置する配置工程と、上記セパレータをその端部に近い側の一方の上記折り曲げ部で折り曲げ、次いで、他方の上記折り曲げ部で折り曲げることで、上記第4の電極の周囲を上記セパレータで包み込み、上記第2の電極、上記第4の電極、上記第1の電極及び上記第3の電極がこの順で、各電極間に少なくとも上記セパレータを挟んで積層された構造を形成する折り曲げ工程と、を有し、上記第1の電極は、上記第1のアノード又は上記第1のカソードのいずれか一方であり、上記第2の電極は、上記第2のアノード及び上記第2のカソードのいずれか一方であって、上記第1の電極と同極の電極であり、上記第3の電極は、上記第1のアノード、上記第2のアノード、上記第1のカソード及び上記第2のカソードのいずれか一種の電極であり、上記第4の電極は、上記第1のアノード又は上記第1のカソードのいずれか一方であって上記第1の電極とは逆の極の電極である、電気化学デバイスの製造方法を提供する。
【0042】
かかる電気化学デバイスの製造方法によれば、セパレータにおける折り曲げ部の折り曲げ方向とは逆方向側の面上に接着剤層が形成されている本発明の電気化学デバイスを効率的に製造することができる。また、上記電気化学デバイスの製造方法によれば、セパレータをつづら折りにする場合と比較して、作業性を向上させることができ、且つ、製造時における電極及びセパレータのずれの発生を十分に防止することができる。
【0043】
すなわち、本発明のようにセパレータを二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げる場合、二箇所の折り曲げ部の間に電極を置き、この電極を包み込むようにセパレータを折り曲げるため、この電極が製造過程でずれにくく、短絡不良が生じにくくなる。また、二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げる場合、一方を折り曲げた後、他方を折り曲げる際に、先に折り曲げた方向と同一方向に力が働くため折り目がより強く付きやすく、元の形状に戻る力が働きにくくなる。そのため、製造過程で電極及びセパレータのずれの発生が十分に防止され、また、電極及びセパレータを積層した積層体を外装体に封入する場合の作業性にも優れる。
【0044】
また、上記電気化学デバイスの製造方法では、セパレータにおける折り曲げ部の折り曲げ方向とは逆方向側の面上に接着剤層を形成し、この接着剤層に第1〜3の電極を貼り付けているため、セパレータに包み込まれた第4の電極を含めて近接する第1〜4の電極のずれを十分に防止することができ、短絡の発生を十分に抑制することができる。また、セパレータの一方の面にのみ接着剤層を形成すればよいため、作業効率にも優れている。なお、電気化学デバイスにおける電極の数が4つである場合、製造過程において全ての電極のずれが防止されるため、優れた短絡防止効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、短絡を起こしにくい電気化学デバイス及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0047】
(電気化学デバイス)
図1は、本発明の電気化学デバイスとしてのリチウムイオン二次電池の好適な一実施形態を示す正面図である。また、図2は図1に示すリチウムイオン二次電池の内部を示す展開図である。
【0048】
図1及び図2に示すように、リチウムイオン二次電池200は、主として、アノード、カソード及びセパレータで構成される積層体1と、積層体1に含浸される電解質溶液(不図示)と、これらを密閉状態で収容する外装体150と、を備えている。また、リチウムイオン二次電池200は、積層体1のアノードに一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部がケース150の外部に突出されるアノード用リード112と、カソードに一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部がケース150の外部に突出されるカソード用リード122と、を備えている。
【0049】
図3は、図2に示す積層体1のI−I断面図であり、本発明におけるアノード、カソード及びセパレータの配置関係を示す模式断面図である。図3に示すように、積層体1は、第1のアノード10と、第1のカソード20と、第1のアノード10と第1のカソード20との間、第1のアノード10の第1のカソード20側とは反対側、並びに、第1のカソード20の第1のアノード10側とは反対側に配置されるように折り曲げられた連続する一枚のセパレータ50と、を備えている。そして、セパレータ50は、該セパレータ50の少なくとも一端から所定の間隔毎に形成された連続する二箇所の折り曲げ部60で同一方向に折り曲げられて、第1のアノード10の周囲を包み込む形状を有している。更に、セパレータ50の外周面上には、セパレータ50を挟んで第1のアノード10と対向する第2のカソード40と、セパレータ50を挟んで第1のカソード20と対向する第2のアノード30とが設けられている。なお、図3においては各電極とセパレータとの間に間隔があるが、実際には電極とセパレータとは密着している。
【0050】
セパレータ50が図3に示すような形状を有していることにより、第1のアノード10の周囲がセパレータ50に包み込まれているため、図3の横方向への第1のアノード10のずれの発生が十分に防止される。そのため、第1のアノード10とセパレータ50を挟んで対向する電極、すなわち第1のカソード20及び第2のカソード40との間での短絡の発生が十分に抑制されることとなる。また、電極がずれることで対向する電極同士の対向面積が変化した場合、電気化学デバイスの性能が変化するという問題が生じるが、上記積層体1においては、第1のアノード10のずれが十分に防止されるため、安定した性能を得ることができる。
【0051】
なお、図8及び図9は、セパレータ50をつづら折りにした従来のアノード、カソード及びセパレータの配置関係を示す模式断面図である。図8に示す従来の積層体300では、セパレータ50が交互に逆方向に折り曲げられてつづら折り形状とされている。そのため、いずれの電極も図8の横方向にずれやすく、電極間での短絡や、電気化学デバイスの性能の変動が生じやすい。また、図9に示す従来の積層体310では、セパレータ50を交互に逆方向に折り曲げられてつづら折り形状とした後、全体を覆うようにセパレータ50を配し、その端部を巻き止めテープ70で固定している。この場合には、セパレータ50で全体を覆っており、且つ、巻き止めテープ70を用いているため、それらの分だけ厚みが増し、小型化・薄型化に不利である。なお、図9に示した積層体310は、特に製造時の作業効率に劣るとともに、製造過程において電極やセパレータのずれが生じやすい。そして、これら従来の問題点は、本発明における上記積層体1の構造とすることで改善することができる。
【0052】
以下、本発明における積層体1及びリチウムイオン二次電池200の各構成要素について説明する。
【0053】
図3に示すように、第1のアノード10及び第2のアノード30は、集電体12と、該集電体12上に形成されたアノード活物質含有層14とで構成され、第1のアノード10では集電体12の両面に、第2のアノード30では集電体12の片面に、アノード活物質含有層14が形成されている。また、第1のカソード20及び第2のカソード40は、集電体22と、該集電体22上に形成されたカソード活物質含有層24とで構成され、第1のカソード20では集電体22の両面に、第2のカソード40では集電体22の片面に、カソード活物質含有層24が形成されている。
【0054】
集電体12及び集電体22は、アノード活物質含有層14及びカソード活物質含有層24への電荷の移動を充分に行うことができる良導体であれば特に限定されず、公知のリチウムイオン二次電池に用いられている集電体を使用することができる。例えば、集電体12及び集電体22としては、それぞれ銅、アルミニウム等の金属箔が挙げられる。
【0055】
アノード活物質含有層14は、アノード活物質、導電助剤、結着剤等を含む層である。
【0056】
アノード活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入、又は、リチウムイオンと、そのリチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、ClO4−)とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることができれば特に限定されず、公知のリチウムイオン二次電池に用いられているものと同様の材料を使用することができる。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、メソカーボンファイバー(MCF)、コークス類、ガラス状炭素、有機化合物焼成体等の炭素材料、Al、Si、Sn等のリチウムと化合することができる金属、SiO2、SnO2等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)、等が挙げられる。
【0057】
また、アノード活物質含有層14の厚みは、15〜80μmであることが好ましい。また、アノード活物質含有層14におけるアノード活物質の担持量は、2〜12mg/cm2であることが好ましい。ここで、担持量とは、アノード集電体12の表面単位面積あたりのアノード活物質の質量である。
【0058】
導電助剤は、アノード活物質含有層14の導電性を良好にするものであれば特に限定されず、公知の導電助剤を使用できる。例えば、カーボンブラック類、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。
【0059】
結着剤は、上記のアノード活物質の粒子と導電助剤の粒子とをアノード集電体12に結着することができれば特に限定されず、公知の結着剤を使用できる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PEA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂及びスチレン−ブタジエンゴム(SBR)等が挙げられる。
【0060】
カソード活物質含有層24は、カソード活物質、導電助剤、結着剤等を含む層である。
【0061】
カソード活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンと、そのリチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、ClO4−)とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能であれば特に限定されず、公知の電極活物質を使用できる。例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、リチウムマンガンスピネル(LiMn2O4)、及び、一般式:LiNixCoyMnzO2(x+y+z=1)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV2O5)、オリビン型LiMPO4(ただし、Mは、Co、Ni、Mn又はFeを示す)、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)等の複合金属酸化物が挙げられる。
【0062】
ここで、カソード活物質含有層24の厚みは、15〜90μmであることが好ましい。また、カソード活物質含有層24におけるカソード活物質の担持量は、アノード活物質含有層14のアノード活物質の担持量に対応して任意好適に設定できるが、例えば、5〜25mg/cm2であることが好ましい。
【0063】
カソード活物質含有層24に含まれるカソード活物質以外の各構成要素は、アノード活物質含有層14を構成するものと同様の物質を使用することができる。また、カソード活物質含有層24においても、アノード活物質含有層14と同様の導電助剤を含有させることが好ましい。
【0064】
セパレータ50は、電気絶縁性の多孔体から形成されている。セパレータ50の材料は特に限定されず、公知のセパレータ材料を使用することができる。例えば、電気絶縁性の多孔体としては、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィン等からなるフィルムの積層体や上記樹脂の混合物の延伸膜、或いは、セルロース、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布等が挙げられる。
【0065】
セパレータ50は、その一端から所定の間隔毎に形成された連続する二箇所の折り曲げ部60で折り曲げられるが、二箇所の折り曲げ部60には、折り曲げ部60に沿って切断部及び非切断部が配されていることが好ましい。切断部及び非切断部を配したものとしては、折り曲げ部60での折り曲げが容易になるものであればよく、切断部及び非切断部を交互に複数配したミシン目や、折り曲げ部60の両端のみを切り欠いたもの等が挙げられる。
【0066】
また、図3に示すセパレータ50において、その一端から一箇所目の折り曲げ部60までの間隔と、一箇所目の折り曲げ部60から二箇所目の折り曲げ部60までの間隔と、二箇所目の折り曲げ部60からセパレータ50の他端までの間隔とは、略同一の所定の間隔とされる。但し、上記3つの間隔は、完全に同一でなくてもよく、セパレータ50の折り曲げた箇所が配置される位置に応じて、すなわち、挟み込む電極やセパレータの厚み等に応じて、それぞれ異なる間隔としてもよい。
【0067】
また、セパレータ50には、折り曲げ部60の折り曲げ方向とは逆方向側の面上、すなわち、図3における第2のアノード30、第1のカソード20及び第2のカソード40に接する面上には、接着剤層が形成されていてもよい。
【0068】
この接着剤層は、各電極がセパレータ50に固定されるように、セパレータ50の一面上に部分的に形成されていることが好ましい。例えば、各電極の中央部だけをセパレータ50に接着剤層を介して固定した場合、固定後に各電極とセパレータ50との間から電解質溶液が容易に侵入できることとなる。したがって、各電極をセパレータ50に固定した後に、各電極の活物質含有層及びセパレータ50に電解質溶液を含浸させることができる。
【0069】
なお、接着剤層を介して各電極をセパレータ50に固定する場合、接着剤がリチウムイオンの拡散を阻害するおそれがあり、また、電解質溶液の侵入を阻害するおそれがあるため、接着剤層の形成箇所(接着剤の塗布箇所)はできるだけ少ないことが好ましく、また、接着剤層の形成面積はできるだけ狭いことが好ましい。具体的には、接着剤の塗布箇所は、上述のようにセパレータ50や各電極の接着剤の塗布対象面の中央の1点だけとすることが好ましい。また、塗布対象面全体に対する接着剤塗布面積の比率は、位置ずれを生じない程度の接着強度が得られるように、接着剤の種類や塗布対象面全体の面積などに応じて適宜決定すればよいが、通常、各電極の塗布対象面に対して0.001〜1面積%の範囲から選択すればよい。
【0070】
接着剤層に用いられる接着剤は、ホットメルト接着剤であることが好ましい。ホットメルト接着剤としては、電極とセパレータ50とを接着することが可能であって、かつ、電極やセパレータ50の構成成分であるポリマーに比べて融点の低いものであれば、特に制限なく用いることができる。このようなホットメルト接着剤としては、例えばエチレン−メタアクリル酸共重合体等を用いることができる。
【0071】
ここで、本発明における積層体の構造の他の例について説明する。図4〜図7は、本発明における積層体の他の形態を示す模式断面図である。
【0072】
図4に示す積層体2は、3つの第1のアノード10及び3つの第2のカソード20が積層され、且つ、セパレータ50の外周面上に第2のアノード30及び第2のカソード40が配置された構造を有している。そして、セパレータ50は、その一端において、連続する二箇所の折り曲げ部60で同一方向に折り曲げられ、1つの第1のアノード10を包み込む形状を有しており、それ以降の折り曲げ部60では交互に逆方向に折り曲げられている。
【0073】
図5に示す積層体3は、5つの第1のアノード10及び4つの第2のカソード20が積層され、且つ、セパレータ50の外周面上に2つの第2のカソード40が配置された構造を有している。そして、セパレータ50は、その一端において、連続する二箇所の折り曲げ部60で同一方向に折り曲げられ、1つの第1のアノード10を包み込む形状を有しており、それ以降の折り曲げ部60では交互に逆方向に折り曲げられている。
【0074】
図6に示す積層体4は、3つの第1のアノード10及び3つの第2のカソード20が積層され、且つ、セパレータ50の外周面上に第2のアノード30及び第2のカソード40が配置された構造を有している。そして、セパレータ50は、その両端において、連続する二箇所の折り曲げ部60で同一方向に折り曲げられ、一端では1つの第1のアノード10を、他端では1つの第1のカソード20を、それぞれ包み込む形状を有しており、その間の折り曲げ部60では交互に逆方向に折り曲げられている。
【0075】
図7に示す積層体5は、2つの第1のアノード10及び1つの第2のカソード20が積層され、且つ、セパレータ50の外周面上に2つの第2のカソード40が配置された構造を有している。そして、セパレータ50は、その両端において、連続する二箇所の折り曲げ部60で同一方向に折り曲げられ、一端では1つの第1のアノード10を、他端でも1つの第1のアノード10を、それぞれ包み込む形状を有している。
【0076】
これら図4〜7に示した積層体においても、セパレータの少なくとも一端において、第1のアノード又は第1のカソードが包み込まれた構造を有しているため、包み込まれた電極のずれが防止され、短絡の発生が十分に抑制される。特に、図6及び図7に示した積層体は、セパレータの両端が第1のアノード又は第1のカソードを包み込む形状を有しているため、短絡の発生がより十分に抑制される。
【0077】
なお、図3〜図7に示した積層体において、アノード及びカソードの位置は入れ替わっていてもよい。
【0078】
電解質溶液は、アノード活物質含有層14及びカソード活物質含有層24、及びセパレータ50の孔の内部に含有されている。電解質溶液は、特に限定されず、公知のリチウムイオン二次電池に用いられる、リチウム塩を含む電解質溶液(電解質水溶液、有機溶媒を使用する電解液)を使用することができる。ただし、電解質水溶液は電気化学的に分解電圧が低いことにより、充電時の耐用電圧が低く制限されるので、有機溶媒を使用する電解質溶液(非水電解質溶液)であることが好ましい。二次電池の電解質溶液としては、リチウム塩を非水溶媒(有機溶媒)に溶解したものが好適に使用される。リチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiCF3、CF2SO3、LiC(CF3SO2)3、LiN(CF3SO2)2、LiN(CF3CF2SO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiN(CF3CF2CO)2等の塩が使用される。なお、これらの塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0079】
また、有機溶媒としては、公知の二次電池に使用されている溶媒を使用することができる。例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、及び、ジエチルカーボネート等が好ましく挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を任意の割合で混合して使用してもよい。
【0080】
なお、本発明において、電解質は液状以外にゲル化剤を添加することにより得られるゲル状電解質であってもよい。また、電解質溶液に代えて、固体電解質(固体高分子電解質又はイオン伝導性無機材料からなる電解質)を用いてもよい。
【0081】
ケース150は、積層体1を密封し、ケース内部へ空気や水分が進入するのを防止できるものであれば特に限定されず、公知の二次電池に用いられているケースを使用することができる。例えば、エポキシ樹脂等の合成樹脂や、アルミニウム等の金属シートを樹脂ラミネートしたものを使用することができる。
【0082】
ケース150は、互いに対向する一対のフィルム(第1のフィルム151及び第2のフィルム152)を用いて形成されている。ここで、図2に示すように、本実施形態において、第1のフィルム151及び第2のフィルム152は連結している。すなわち、本実施形態におけるケース150は、一枚の複合包装フィルムからなる矩形状のフィルムを、図2に示す折り曲げ線X−Xにおいて折り曲げ、矩形状のフィルムの対向する1組の縁部同士(図中の第1のフィルム151の縁部151B及び第2のフィルム152の縁部152B)を重ね合せて接着剤を用いるか又はヒートシールを行うことにより形成されている。なお、図1及び図2中の151A、並びに、図2中の152Aは、それぞれ第1のフィルム151及び第2のフィルム152の接着又はヒートシールされていない部分領域を示す。
【0083】
そして、第1のフィルム151及び第2のフィルム152は、1枚の矩形状のフィルムを上述のように折り曲げた際にできる互いに対向する面を有する該フィルムの部分をそれぞれ示す。ここで、本明細書において、接合された後の第1のフィルム151及び第2のフィルム152のそれぞれの縁部を「シール部」という。
【0084】
これにより、折り曲げ線X−Xの部分に第1のフィルム151と第2のフィルム152とを接合させるためのシール部を設ける必要がなくなるため、ケース150におけるシール部をより低減することができる。その結果、リチウムイオン二次電池200の設置されるべき空間の体積を基準とする体積エネルギー密度をより向上させることができる。
【0085】
外部端子113及び外部端子123は、図1及び図2に示すように、ケース150内からシール部と交差してケース150の外側まで延びている。外部端子113と外部端子123とは積層体1の積層方向と直交する方向に離間している。
【0086】
外部端子113は、平板状のアノード用リード112と、ケース150のシール部に挟まれる部分を被覆する絶縁体114とで構成され、外部端子123は、平板状のカソード用リード122と、ケース150のシール部に挟まれる部分を被覆する絶縁体124とで構成されている。
【0087】
ここで、図10は、図1のリチウムイオン二次電池200のII−II断面図である。なお、図10においては、便宜上、外部端子113と外部端子123との位置関係をずらしており、ケース150は省略している。
【0088】
図10に示すように、第1のアノード10及び第2のアノード30のそれぞれの集電体12の端には、各集電体がそれぞれ外側に向かって延びてなる舌状部12aが形成されている。また、第1のカソード20及び第2のカソード40のそれぞれの集電体22の端には、各集電体がそれぞれ外側に向かって延びてなる舌状部22aが形成されている。
【0089】
そして、リード112のケース150内の端部は、図10に示すように、第1のアノード10及び第2のアノード30における各集電体12の各舌状部12aと抵抗溶接等によって接合されている。ここで、リード112は、金属等の導体材料より形成されている。この導体材料としては、例えば、銅やニッケル等の導電材料を利用できる。
【0090】
一方、リード122のケース150内の端部は、第1のカソード20及び第2のカソード40における各集電体22の各舌状部22aと抵抗溶接等によって接合されている。ここで、リード122も、金属等の導体材料より形成されている。この導体材料としては、例えば、アルミニウム等を採用することができる。
【0091】
また、絶縁体114及び絶縁体124は、リード112及びリード122とケース150のシール部とのシール性を高めるためのものである。絶縁体114,124の材質は特に限定されないが、例えば、合成樹脂から形成されている。
【0092】
ここで、図11及び図12は、リチウムイオン二次電池の内部の他の例を示す展開図である。図11に示すリチウムイオン二次電池210のように、アノード用リード112とカソード用リード122とは、ケース150のシール部に挟まれる部分において、1つの絶縁体115で被覆されていてもよい。このように1つの絶縁体115でアノード用リード112及びカソード用リード122が覆われることで、互いの位置関係が十分に固定されて、電極のずれをより十分に防止することができる。
【0093】
また、図12に示すリチウムイオン二次電池220のように、第1のアノード10及び第2のアノード30のそれぞれの集電体12の舌状部12aが、固定用樹脂116で固定されており、且つ、第1のカソード20及び第2のカソード40のそれぞれの集電体22の舌状部22aが、固定用樹脂126で固定されていてもよい。このように、第1のアノード10及び第2のアノード30のそれぞれの集電体12が接続固定され、且つ、第1のカソード20及び第2のカソード40のそれぞれの集電体22が接続固定されることで、互いの位置関係が十分に固定されて、電極のずれをより十分に防止することができる。
【0094】
(電気化学デバイスの製造方法)
次に、本発明の電気化学デバイスの製造方法の一実施形態として、上述したリチウムイオン二次電池200の製造方法について説明する。
【0095】
まず、第1のアノード10及び第2のアノード30のアノード活物質含有層14を形成するための構成材料を含む塗布液(スラリー)、並びに、第1のカソード20及び第2のカソード40のカソード活物質含有層24を形成するための構成材料を含む塗布液(スラリー)を各々調製する。アノード用塗布液は、前述のアノード活物質、導電助剤、結着剤等を含み、カソード用塗布液は、前述のカソード活物質、導電助剤、結着剤等を含むものである。塗布液に用いる溶媒としては、結着剤を溶解可能とし、活物質及び導電助剤を分散可能とするものであれば特に限定されるものではない。例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等を用いることができる。
【0096】
次に、銅やニッケル等により形成されたアノード集電体12、及び、アルミニウム等により形成されたカソード集電体22をそれぞれ用意する。そして、アノード集電体12の両面にアノード用塗布液を塗布し乾燥させて、両面にアノード活物質含有層14を形成して第1のアノード用シートを得る。また、アノード集電体12の片面にアノード用塗布液を塗布し乾燥させて、片面にアノード活物質含有層14を形成して第2のアノード用シートを得る。また、カソード集電体22の両面にカソード用塗布液を塗布し乾燥させて、両面にカソード活物質含有層24を形成して第1のカソード用シートを得る。更に、カソード集電体22の片面にカソード用塗布液を塗布し乾燥させて、片面にカソード活物質含有層24を形成して第2のカソード用シートを得る。
【0097】
ここで、各集電体に各塗布液を塗布する際の手法は特に限定されるものではなく、集電体用金属板の材質や形状等に応じて適宜決定すればよい。例えば、メタルマスク印刷法、静電塗装法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法等が挙げられる。塗布後、必要に応じて、平版プレス、カレンダーロール等により圧延処理を行う。
【0098】
次に、得られた第1及び第2のアノード用シート、並びに、第1及び第2のカソード用シートをそれぞれ所望の大きさの矩形状に打ち抜き、第1のアノード10、第2のアノード30、第1のカソード20及び第2のカソード40を作製する。ここでは、各電極の集電体の端から延びる舌状部12a,22aが形成されるように打ち抜く。また、舌状部12a,22aの両面には、アノード活物質含有層14やカソード活物質含有層24を形成せず、集電体が露出するようにする。なお、第1のアノード10及び第2のアノード30は、第1のカソード20及び第2のカソード40の矩形よりも大きな矩形に打ち抜くことが好ましい。
【0099】
続いて、絶縁性の多孔質材料からなるセパレータ50を用意する。セパレータ50は、所定の間隔毎に形成された二箇所の折り曲げ部60で同一方向に折り曲げて三つ折りにした際の矩形の大きさが、第1のアノード10及び第2のアノード30の矩形の大きさよりも大きくなるようにすることが好ましい。
【0100】
また、セパレータ50における二箇所の折り曲げ部60には、予め切断部及び非切断部を配してミシン目や切り欠き等を形成しておくことが好ましい。更に、二箇所の折り曲げ部60には、予め折り曲げて折り目を付けておくことが好ましい。
【0101】
更に、セパレータ50には、折り曲げ部60の折り曲げ方向とは逆方向側の面上、すなわち、図3における第2のアノード30、第1のカソード20及び第2のカソード40に接する面上に、上述した接着剤層を形成してもよい。
【0102】
次に、上述した各要素を用いて積層体1を形成する手順について説明する。ここで、図13(a)〜(f)は、リチウムイオン二次電池200における積層体1の製造方法の手順を示す工程図である。
【0103】
まず、図13(a)に示すように、第2のカソード40上にセパレータ50を配置する。このとき、セパレータ50における二箇所の折り曲げ部(第1の折り曲げ部62及び第2の折り曲げ部64)に挟まれた面の下に第2のカソード40が配置されるようにする。
【0104】
次に、図13(b)に示すように、セパレータ50における第1の折り曲げ部62及び第2の折り曲げ部64に挟まれた面上に第1のアノード10を配置する(第1の配置工程)。
【0105】
次に、図13(c)に示すように、セパレータ50を第1の折り曲げ部62で折り曲げ、第1のアノード10上に、折り曲げたセパレータ50を配置する(第1の折り曲げ工程)。
【0106】
次に、図13(d)に示すように、折り曲げたセパレータ50上に、第1のカソード20を配置する(第2の配置工程)。
【0107】
次に、図13(e)に示すように、セパレータ50を第2の折り曲げ部64で折り曲げ、第1のカソード30上に、折り曲げたセパレータ50を配置する(第2の折り曲げ工程)。
【0108】
最後に、図13(f)に示すように、折り曲げたセパレータ50上に、第2のアノード30を配置し、積層体1の作製を完了する。また、積層体1は、必要に応じて、その積層方向に熱プレス等を行ってもよい。
【0109】
また、上記積層体1の作製において、第1のアノード10と第2のアノード30とを、互いの位置関係が固定されるように、例えば舌状部12a同士を、予め固定用樹脂等で接続固定してもよい。同様に、第1のカソード20と第2のカソード40とを、互いの位置関係が固定されるように、例えば舌状部22a同士を、予め固定用樹脂等で接続固定してもよい。この場合、第2のカソード40上にセパレータ50を配置する際には、舌状部22aの部分で接続されている第1のカソード20を捲った状態にして、第2のカソード40と第1のカソード20との間にセパレータ50及び第1のアノード10を配置する。同様に、第1のアノード10上にセパレータ50を配置する際には、舌状部12aの部分で接続されている第2のアノード30を捲った状態にして、第1のアノード10と第2のアノード30との間にセパレータ50及び第1のカソード20を配置する。こうすることで、製造過程における各電極間での位置ずれの発生がより十分に防止される。
【0110】
上記のようにして積層体1を作製した後、得られた積層体1に外部端子113及び外部端子123を接続し、以下の手順で、図1及び図2に示すようにケース150内に収容する。
【0111】
まず、図2に示すように、ケース150としての矩形状のフィルムを折り曲げ線X−Xにおいて折り曲げ、対向する第1のフィルム151と第2のフィルム152の両サイドのシール部同士のみ(外部端子113,123と交差するシール部以外)を、例えばシール機等を用いて所定の加熱条件で所望のシール幅だけヒートシールする。続いて、シールされていないシール部からケース150の内部に積層体1を挿入する。続いて、真空容器内でケース150内に電解質溶液を注入して積層体1を電解質溶液に浸漬させる。そして、リード112、リード122をそれぞれ、ケース150内からシール部を交差して外部まで延びるように配置させる。ヒートシール機を用いて、ケース150のシール部をヒートシールする。このとき、外部端子113,123の絶縁体114,124をシール部で挟み込んでヒートシールする。このとき、ヒートシールは、好ましくは減圧環境下、例えば真空容器内で行う。これにより、リチウムイオン二次電池200の作製が完了する。
【0112】
かかる製造方法によれば、従来のセパレータ50をつづら折りにする場合と比較して、作業効率に優れるとともに、製造過程及び及び得られる電気化学デバイスにおいて各電極がずれにくく、短絡の発生が十分に抑制される。
【0113】
また、上述したリチウムイオン二次電池200において、セパレータ50における折り曲げ部60の折り曲げ方向とは逆方向側の面上、すなわち、図3における第2のアノード30、第1のカソード20及び第2のカソード40に接する面上に、上述した接着剤層を形成する場合には、そのリチウムイオン二次電池200は、以下の製造方法により製造することもできる。
【0114】
まず、二箇所の折り曲げ部(第1の折り曲げ部62及び第2の折り曲げ部64)を有するセパレータ50の一方の面上に接着剤を塗布して接着剤層を形成する(接着剤層形成工程)。次に、この接着剤層上に、セパレータ50の一端から順に第1のカソード20、第2のカソード40及び第2のアノード30を、第1のカソード20と第2のカソード40との間に第1の折り曲げ部62が、第2のカソード40と第2のアノード30との間に第2の折り曲げ部64が、それぞれ挟まれるように貼り付ける(貼り付け工程)。
【0115】
次に、セパレータ50における上記接着剤層を有する面とは反対側の面であって、二箇所の折り曲げ部60に挟まれた面上に、第1のアノード10を配置する(配置工程)。
【0116】
次に、セパレータ50を第1の折り曲げ部62で折り曲げた後、第2の折り曲げ部で折り曲げることで、第1のアノード10の周囲をセパレータ50で包み込む(折り曲げ工程)。これにより、予めセパレータ50に接着剤層を介して貼り付けた電極がそれぞれ適切な位置に配置され、図13(f)に示したように第2のカソード40、第1のアノード10、第2のカソード20及び第2のアノード30がこの順で各電極間にセパレータ50を挟みつつ積層された積層体1が得られる。
【0117】
かかる製造方法によれば、第1のアノード10はセパレータ50に包み込まれた構造となり、且つ、第2のアノード30、第1のカソード20及び第2のカソード40は接着剤層を介してセパレータ50に固定されているため、全ての電極が製造過程及び得られる電気化学デバイスにおいてずれにくく、短絡の発生が十分に抑制される。また、かかる製造方法においては、接着剤の塗布をセパレータ50の一方の面にのみ行えばよいため、作業効率に優れる。
【0118】
以上、本発明の電気化学デバイス及びその製造方法の好適な一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態の説明においては、電気化学デバイスがリチウムイオン二次電池の場合について説明したが、本発明の電気化学デバイスはリチウムイオン二次電池に限定されるものではなく、金属リチウム二次電池等のリチウムイオン二次電池以外の二次電池や、電気二重層キャパシタ、擬似容量キャパシタ、シュードキャパシタ、レドックスキャパシタ等の電気化学キャパシタ等であってもよい。なお、リチウムイオン二次電池以外の電気化学素子の場合、電極活物質としては、それぞれの電気化学素子に適したものを用いればよい。例えば、電気二重層キャパシタの場合には、カソード活物質含有層及びアノード活物質含有層中に含まれる活物質として、例えば、アセチレンブラック、グラファイト、黒鉛、活性炭などが用いられる。
【実施例】
【0119】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0120】
(実施例1)
まず、アノードを以下の手順により作製した。まず、アノード活物質としてメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)(大阪ガス株式会社製)90質量部及びグラファイト(商品名:KS−6、ロンザ社製)1質量部、導電助剤としてカーボンブラック(商品名:DAB、電気化学工業(株)製)2質量部、並びに、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(商品名:KYNAR 761、ATFINA社製)7質量部、混合分散した後、溶媒としてN−メチル−ピロリドン(NMP)を適量投入して粘度調節し、スラリー状のアノード用塗布液を調製した。
【0121】
次に、アノード集電体としての銅箔(厚さ:20μm)を用意し、アノード用塗布液をアノード活物質担持量が7mg/cm2となるようにドクターブレード法により銅箔に塗布して乾燥させ、アノード活物質含有層を形成した。次いで、このアノード活物質含有層を、カレンダーロールを用いてプレスして圧延し、アノードシートを得た。得られたアノードシートを、活物質含有層面が縦46mm×横31mmの大きさとなり、且つ、集電体に外部出力端子となる舌状部を有する形状に打ち抜いた。ここでは、集電体の両面に活物質含有層が形成されたアノードを第1のアノード、集電体の片面のみに活物質含有層が形成されたアノードを第2のアノードとして作製した。また、第1のアノードの厚みは110μmであり、第2のアノードの厚みは65μmであった。
【0122】
次に、カソードを以下の手順により作製した。まず、カソード活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)(商品名:セリオン、セイミケミカル社製)91質量部及びグラファイト(商品名:KS−6、ロンザ社製)4質量部、導電助剤としてカーボンブラック(商品名:DAB、電気化学工業(株)製)2質量部、並びに、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(商品名:KYNAR 761、ATFINA社製)3質量部を混合分散した後、溶媒としてN−メチル−ピロリドン(NMP)を適量投入して粘度調節し、スラリー状のカソード用塗布液を調製した。
【0123】
続いて、カソード集電体としてアルミニウム箔(厚さ15μm)を用意し、カソード用塗布液をカソード活物質担持量が15mg/cm2となるようにドクターブレード法によりアルミニウム箔に塗布して乾燥させ、カソード活物質含有層を形成した。次いで、このカソード活物質含有層を、カレンダーロールを用いてプレスして圧延し、カソードシートを得た。得られたカソードシートを、活物質含有層面が縦45mm×横30mmの大きさとなり、且つ、集電体に外部出力端子となる舌状部を有する形状に打ち抜いた。ここでは、集電体の両面に活物質含有層が形成されたカソードを第1のカソード、集電体の片面のみに活物質含有層が形成されたカソードを第2のカソードとして作製した。また、第1のカソードの厚みは125μmであり、第2のカソードの厚みは70μmであった。
【0124】
次に、ポリアクリロニトリル樹脂(PAN)製の多孔膜(縦47mm×横96mm、厚み24μm)を用意し、横方向に32mmの間隔毎に2箇所、ミシン目を形成し、セパレータを得た。
【0125】
こうして作製した電極及びセパレータを用い、図13(a)〜(f)に示した手順に従って積層体の作製を行った。まず、図13(a)に示すように、第2のカソード上にセパレータを配置した。次に、図13(b)に示すように、セパレータ上に第1のアノードを配置した。次に、図13(c)に示すように、セパレータをミシン目が形成された一方の折り曲げ部で折り曲げた。次に、図13(d)に示すように、折り曲げたセパレータ上に第1のカソードを配置した。次に、図13(e)に示すように、セパレータをミシン目が形成された他方の折り曲げ部で折り曲げた。最後に、折り曲げたセパレータ上に第2のアノードを配置した。以上により、図3に示したような電極とセパレータとの配置関係を有する積層体を作製した。
【0126】
次いで、得られた積層体をケース内に入れ、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)を体積比2:1:7で混合したものを溶媒とし、1.5mol/LのLiPF6を溶質とした電解液を注入して密閉し、図1に示すものと同様の構造を有するリチウムイオン二次電池を得た。得られたリチウムイオン二次電池の厚みは1.0mmであった。
【0127】
(実施例2)
実施例1と同様にして、第1のアノード、並びに、第1及び第2のカソードをそれぞれ用意した。
【0128】
また、ポリアクリロニトリル樹脂(PAN)製の多孔膜(縦47mm×横320mm、厚み24μm)を用意し、横方向に32mmの間隔毎に9箇所、ミシン目を形成し、セパレータを得た。
【0129】
こうして作製した電極及びセパレータを用い、図5に示したような電極とセパレータとの配置関係を有する積層体を作製した。かかる積層体においては、セパレータの一端が第1のアノードを包み込む構造となるように、一端から連続する2箇所のミシン目の形成された折り曲げ部で同一方向に折り曲げ、それ以降の折り曲げ部ではつづら折りとなるように折り曲げた。なお、セパレータの一端が第1のアノードを包み込む構造は、実施例1と同様の手順で形成し、つづら折りの構造は、セパレータの折り曲げ方向を交互に変えて、アノードとカソードとがセパレータを介して交互に配置されるように形成した。また、両端の電極としては第2のカソードを用い、それ以外の電極としては第1のアノード及び第1のカソードを用いた。
【0130】
次いで、得られた積層体をケース内に入れ、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)を体積比2:1:7で混合したものを溶媒とし、1.5mol/LのLiPF6を溶質とした電解液を注入して密閉し、リチウムイオン二次電池を得た。得られたリチウムイオン二次電池の厚みは2.0mmであった。
【0131】
(実施例3)
実施例1と同様にして、第1のアノード、並びに、第1及び第2のカソードをそれぞれ用意した。
【0132】
また、ポリアクリロニトリル樹脂(PAN)製の多孔膜(縦47mm×横128mm、厚み24μm)を用意し、横方向に32mmの間隔毎に3箇所、ミシン目を形成し、セパレータを得た。
【0133】
こうして作製した電極及びセパレータを用い、図7に示したような電極とセパレータとの配置関係を有する積層体を以下の手順で作製した。すなわち、ミシン目の形成された上記3箇所の折り曲げ部をセパレータの一端から順に第1〜第3の折り曲げ部として、まず、第2のカソード上に、この第2のカソードが第1の折り曲げ部と第2の折り曲げ部との間に位置するようにセパレータを配置した。次に、セパレータ上の、第1の折り曲げ部と第2の折り曲げ部との間、及び、第2の折り曲げ部と第3の折り曲げ部との間に、それぞれ第1のアノードを配置した。次に、セパレータを第1及び第3の折り曲げ部で折り曲げた。次に、第1の折り曲げ部で折り曲げた方のセパレータ上に第1のカソードを配置した。次に、セパレータを第2の折り曲げ部で折り曲げた。最後に、折り曲げたセパレータ上(第2の折り曲げ部と第3の折り曲げ部との間)に第2のアノードを配置し、積層体を得た。
【0134】
次いで、得られた積層体をケース内に入れ、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)を体積比2:1:7で混合したものを溶媒とし、1.5mol/LのLiPF6を溶質とした電解液を注入して密閉し、リチウムイオン二次電池を得た。得られたリチウムイオン二次電池の厚みは1.2mmであった。
【0135】
(実施例4)
まず、分極性電極を以下の手順により作製した。すなわち、活物質として活性炭(商品名:RP−20、クラレケミカル社製)87質量部、導電助剤としてカーボンブラック(商品名:DAB、電気化学工業(株)製)3質量部、及び、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)(商品名:KYNAR 761、ATFINA社製)10質量部をプラネタリーミキサで混合分散した後、これに溶媒としてのN−メチル−ピロリドン(NMP)を適量混合して粘度調整し、スラリー状の塗布液を調製した。
【0136】
続いて、集電体としてエッチングアルミ箔(厚さ20μm)を用意し、上記塗布液をそのアルミニウム箔にドクターブレード法により塗布して乾燥させ、活物質含有層を形成した。次に、この活物質含有層をカレンダーロールによってプレスして圧延し、電極シートを得た。得られた電極シートを、活物質含有層面が縦12mm×横16mmの大きさとなり、且つ、集電体に外部出力端子となる舌状部を有する形状に打ち抜いた。ここでは、集電体の両面に活物質含有層が形成された電極を第1のアノード、集電体の片面のみに活物質含有層が形成された電極を第2のアノードとして作製した。また、最終的に得られる活物質含有層の厚みを20μmとした。
【0137】
また、上記電極シートを、活物質含有層面が縦11.5mm×横15.5mmの大きさとなり、且つ、集電体に外部出力端子となる舌状部を有する形状に打ち抜いた以外は上記アノードと同様にして、集電体の両面に活物質含有層が形成された電極を第1のカソード、集電体の片面のみに活物質含有層が形成された電極を第2のカソードとして作製した。
【0138】
次に、ポリアクリロニトリル樹脂(PAN)製の多孔膜(縦13mm×横49.5mm、厚み24μm)を用意し、横方向に16.5mmの間隔毎に2箇所、ミシン目を形成し、セパレータを得た。
【0139】
こうして作製した電極及びセパレータを用い、図13(a)〜(f)に示した手順に従って積層体の作製を行った。まず、図13(a)に示すように、第2のカソード上にセパレータを配置した。次に、図13(b)に示すように、セパレータ上に第1のアノードを配置した。次に、図13(c)に示すように、セパレータをミシン目が形成された一方の折り曲げ部で折り曲げた。次に、図13(d)に示すように、折り曲げたセパレータ上に第1のカソードを配置した。次に、図13(e)に示すように、セパレータをミシン目が形成された他方の折り曲げ部で折り曲げた。最後に、折り曲げたセパレータ上に第2のアノードを配置した。以上により、図3に示したような電極とセパレータとの配置関係を有する積層体を作製した。
【0140】
次いで、得られた積層体をケース内に入れ、スルホラン(SL)とジエチルカーボネート(DEC)とを質量比1:1で混合したものを溶媒とし、1.2mol/Lのテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEA+BF4−)を溶質とした電解液を注入して密閉し、図7に示すものと同様の構造を有する電気二重層キャパシタを得た。得られた電気二重層キャパシタの厚みは0.5mmであった。
【0141】
(比較例1)
実施例1と同様にして、第1及び第2のアノード、並びに、第1及び第2のカソードをそれぞれ用意した。
【0142】
また、ポリアクリロニトリル樹脂(PAN)製の多孔膜(縦47mm×横176mm、厚み24μm)をセパレータとして用意した。
【0143】
こうして作製した電極及びセパレータを用い、図9に示したような電極とセパレータとの配置関係を有する積層体を作製した。かかる積層体においては、セパレータの一端から32mmの間隔毎に2箇所、交互に逆方向に折り曲げてつづら折りの構造とし、アノードとカソードとがセパレータを介して交互に配置されるように形成した。なお、両端の電極としては第2のアノード及び第2のカソードを用い、それ以外の電極としては第1のアノード及び第1のカソードを用いた。その後、セパレータで全体の外周を覆い、最後に厚さ50μmの巻き止めテープでセパレータを固定した。
【0144】
次いで、得られた積層体をケース内に入れ、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)を体積比2:1:7で混合したものを溶媒とし、1.5mol/LのLiPF6を溶質とした電解液を注入して密閉し、リチウムイオン二次電池を得た。得られたリチウムイオン二次電池の厚みは1.2mmであった。
【0145】
(比較例2)
セパレータの横方向の長さを400mmとし、セパレータの一端から32mmの間隔毎に9箇所、交互に逆方向に折り曲げてつづら折り形状とし、6つのカソードと5つのアノードとがセパレータを介して交互に配置される構造とした以外は比較例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を得た。なお、両端の電極としては第2のカソードを用い、それ以外の電極としては第1のアノード及び第1のカソードを用いた。得られたリチウムイオン二次電池の厚みは2.2mmであった。
【0146】
(比較例3)
実施例1と同様にして、第1及び第2のアノード、並びに、第1及び第2のカソードをそれぞれ用意した。
【0147】
また、ポリアクリロニトリル樹脂(PAN)製の多孔膜(縦47mm×横96mm、厚み24μm)を用意し、横方向に32mmの間隔毎に2箇所、ミシン目を形成し、セパレータを得た。
【0148】
こうして作製した電極及びセパレータを用い、図8に示したような電極とセパレータとの配置関係を有する積層体を作製した。かかる積層体は、ミシン目の形成された二箇所の折り曲げ部で交互に逆方向に折り曲げてつづら折りの構造とした以外は実施例1と同様の手順で作製した。
【0149】
次いで、得られた積層体をケース内に入れ、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)を体積比2:1:7で混合したものを溶媒とし、1.5mol/LのLiPF6を溶質とした電解液を注入して密閉し、リチウムイオン二次電池を得た。得られたリチウムイオン二次電池の厚みは1.0mmであった。
【0150】
<放電容量及び体積エネルギー密度の測定>
実施例1〜3及び比較例1〜3で得られたリチウムイオン二次電池について、0.5CA相当の電流で、4.2VでCC−CV充電を行い、10分間の充電休止後、0.5CA相当の電流で3Vまで放電を行った。上記充放電を5回繰り返し、放電容量及び体積エネルギー密度を測定した。また、実施例4で得られた電気二重層キャパシタについて、5mAの電流で、3VでCC−CV充電を行い、充電終了直後に、5mAの電流で2Vまで放電を行った。上記充放電を5回繰り返し、放電容量及び体積エネルギー密度を測定した。それらの結果を表1に示す。
【0151】
<自己放電保持電圧の測定>
実施例1〜3及び比較例1〜3のリチウムイオン二次電池、並びに、実施例4の電気二重層キャパシタを、上述した製造方法でそれぞれ5個作製した。実施例1〜3及び比較例1〜3で得られたリチウムイオン二次電池については、0.5CA相当の電流で、3.85VでCC−CV充電を行い、1週間放置した後の電圧を測定し、5個の平均値を自己放電保持平均電圧とした。また、実施例4で得られた電気二重層キャパシタについては、5mAの電流で、2VでCC−CV充電を行い、2時間放置後の電圧を測定し、50個の平均値を自己放電保持平均電圧とした。この自己放電保持電圧により、ソフトショート発生の有無を評価することができ、充電電圧からの減少率が大きいほどソフトショートの発生率が高いことを意味する。その結果を表1に示す。
【0152】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】本発明の電気化学デバイスとしてのリチウムイオン二次電池の好適な一実施形態を示す正面図である。
【図2】図1に示すリチウムイオン二次電池の内部を示す展開図である。
【図3】本発明の電気化学デバイスにおける電極とセパレータとの配置関係を示す模式断面図である。
【図4】本発明の電気化学デバイスにおける電極とセパレータとの配置関係の他の例を示す模式断面図である。
【図5】本発明の電気化学デバイスにおける電極とセパレータとの配置関係の他の例を示す模式断面図である。
【図6】本発明の電気化学デバイスにおける電極とセパレータとの配置関係の他の例を示す模式断面図である。
【図7】本発明の電気化学デバイスにおける電極とセパレータとの配置関係の他の例を示す模式断面図である。
【図8】従来の電気化学デバイスにおける電極とセパレータとの配置関係を示す模式断面図である。
【図9】従来の電気化学デバイスにおける電極とセパレータとの配置関係を示す模式断面図である。
【図10】図1に示すリチウムイオン二次電池のII−II断面図である。
【図11】リチウムイオン二次電池の内部の他の例を示す展開図である。
【図12】リチウムイオン二次電池の内部の他の例を示す展開図である。
【図13】(a)〜(f)は、本発明の電気化学デバイスにおける積層体の製造方法の手順を示す工程図である。
【符号の説明】
【0154】
1,2,3,4,5…積層体、10…第1のアノード、12…集電体、14…アノード活物質含有層、20…第1のカソード、22…集電体、24…カソード活物質含有層、30…第2のアノード、40…第2のカソード、50…セパレータ、60…折り曲げ部、112…アノード用リード、113…外部端子、114…絶縁体、122…カソード用リード、123…外部端子、124…絶縁体、150…ケース、200…リチウムイオン二次電池。
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池や電気化学キャパシタ等の電気化学デバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の角型(シート型)の電気化学キャパシタやリチウムイオン二次電池において、一対の電極間に設けられるセパレータは、1枚1枚の不連続なセパレータを重ねていくような積層型のものや、連続した1枚のセパレータをつづら折り状に折り畳んだもの(例えば、下記特許文献1〜4参照)等が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−329530号公報
【特許文献2】特開平7−57716号公報
【特許文献3】特開平7−142086号公報
【特許文献4】特表2004−503055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、積層型のセパレータを用いた電気化学デバイスは、1枚1枚のセパレータを重ねていくので製造時の作業効率が悪い。また、電極の上下方向にしかセパレータが存在しないので、横方向に電極のずれが生じることがあり、これが短絡の原因となることがある。
【0005】
一方、つづら折り状に折り畳まれたセパレータを用いた電気化学デバイスは、積層型のものに比べて製造時の作業効率は向上している。しかし、つづら折り状のセパレータを用いた場合であっても、横方向に電極のずれが生じることがあり、これが短絡の原因となることがある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、短絡を起こしにくい電気化学デバイス及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、第1のアノードと、第1のカソードと、上記第1のアノードと上記第1のカソードとの間、上記第1のアノードの上記第1のカソード側とは反対側、及び、上記第1のカソードの上記第1のアノード側とは反対側に配置されるように折り曲げられた連続する一枚のセパレータと、上記セパレータ、上記第1のアノード及び上記第1のカソードに接触する電解質と、を備え、上記セパレータは、該セパレータの一端から連続する二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げられて、上記第1のアノード又は上記第1のカソードの周囲を包み込む形状を有している、電気化学デバイスを提供する。
【0008】
本発明において、「アノード」及び「カソード」は説明の便宜上、電気化学デバイスの放電時の極性を基準に決定したものである。従って、充電時には、「アノード」が「カソード」となり、「カソード」が「アノード」となる。
【0009】
かかる電気化学デバイスにおいては、セパレータの形状を、交互に逆方向に折り返されたつづら折りの形状とは異なり、連続する二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げた形状とすることにより、第1のアノード又は第1のカソードのいずれか一方の周囲がセパレータによって包み込まれた構造となる。そのため、セパレータで包み込まれた電極は、横方向へのずれの発生が十分に防止されることとなり、この電極とセパレータを挟んで対向する他の電極との間での短絡の発生が十分に抑制されることとなる。したがって、上記の形状を有するセパレータを用いた本発明の電気化学デバイスは、従来の積層型やつづら折り形状のセパレータを用いた場合と比較して、短絡の発生を十分に抑制することができる。
【0010】
また、上記本発明におけるセパレータや従来のつづら折り形状のセパレータは、1枚のセパレータを折り曲げて形成しているため、折り曲げる前の元の形状に戻る力が生じやすい。そして、従来のつづら折り形状の場合には、連続する二箇所の折り曲げ部で逆方向に折り曲げているため、元の形状に戻る力は二箇所の折り曲げ部で足し合わされて、電極及びセパレータの積層方向に働くことになる。これに対し、上記本発明におけるセパレータでは、連続する二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げているため、元の形状に戻る力は二箇所の折り曲げ部で足し合わされず、つづら折り形状の場合よりも弱い力となる。そのため、上記本発明におけるセパレータを用いた電気化学デバイスによれば、つづら折り形状のセパレータを用いた場合と比較して、積層方向に働くセパレータが元の形状に戻ろうとする力が低減され、電極のずれの発生が抑制されて短絡の発生が十分に抑制されることとなる。
【0011】
更に、上記本発明におけるセパレータは、少なくとも一方の端部が、折り畳んだセパレータの内側に包まれた形状となる。電極及びセパレータのずれ、並びにそれに起因する短絡の発生はセパレータの端部において生じやすいが、このセパレータの少なくとも一方の端部がセパレータの内側に入り込んでいることにより、従来の積層型やつづら折り形状のセパレータを用いた場合と比較して、電極のずれの発生及びそれに起因した短絡の発生を十分に抑制することが可能となる。
【0012】
また、本発明の電気化学デバイスは、上記セパレータの外周面上に配置された、該セパレータを挟んで上記第1のアノードと対向する第2のカソード、及び/又は、上記セパレータの外周面上に配置された、該セパレータを挟んで上記第1のカソードと対向する第2のアノードを備えることが好ましい。
【0013】
セパレータの外周面上にこれら第2のアノード及び/又は第2のカソードを備えることにより、短絡の発生を十分に抑制しつつ、電気化学デバイスの体積エネルギー密度を向上させることができ、小型化・薄型化の実現に寄与する。
【0014】
また、本発明の電気化学デバイスにおいて、上記第1のアノード、及び/又は、上記第1のカソードは2以上備えられ、上記セパレータは、更に該セパレータの上記一端とは反対側の他端から連続する二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げられて、上記第1のアノード又は上記第1のカソードの周囲を包み込む形状を有していることが好ましい。
【0015】
上記のように、セパレータの両端において、第1のアノード及び/又は第1のカソードの周囲がセパレータによって包み込まれた構造となっていることにより、両端のセパレータで包み込まれた電極は、横方向へのずれの発生が防止されることとなり、この電極とセパレータを挟んで対向する他の電極との間での短絡の発生が十分に抑制されることとなる。また、セパレータの両端部が、折り畳んだセパレータの内側に包まれた形状となるため、セパレータ端部において生じやすい電極及びセパレータのずれ、並びにそれに起因する短絡の発生が十分に抑制されることとなる。したがって、上記の構造を有する本発明の電気化学デバイスは、従来の積層型やつづら折り形状のセパレータを用いた場合と比較して、短絡の発生をより十分に抑制することができる。
【0016】
本発明はまた、第1のアノードと、第1のカソードと、上記第1のアノードと上記第1のカソードとの間、上記第1のアノードの上記第1のカソード側とは反対側、及び、上記第1のカソードの上記第1のアノード側とは反対側に配置されるように折り曲げられた連続する一枚のセパレータと、上記セパレータの外周面上に配置された、該セパレータを挟んで上記第1のアノードと対向する第2のカソードと、上記セパレータ、上記第1のアノード、上記第1のカソード及び上記第2のカソードに接触する電解質と、を備え、上記セパレータは、該セパレータの一端から連続する二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げられて、上記第1のアノード又は上記第1のカソードの周囲を包み込む形状を有している第1のユニットと、第1のアノードと、第1のカソードと、上記第1のアノードと上記第1のカソードとの間、上記第1のアノードの上記第1のカソード側とは反対側、及び、上記第1のカソードの上記第1のアノード側とは反対側に配置されるように折り曲げられた連続する一枚のセパレータと、上記セパレータの外周面上に配置された、該セパレータを挟んで上記第1のカソードと対向する第2のアノードと、上記セパレータ、上記第1のアノード、上記第1のカソード及び上記第2のアノードに接触する電解質と、を備え、上記セパレータは、該セパレータの一端から連続する二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げられて、上記第1のアノード又は上記第1のカソードの周囲を包み込む形状を有している第2のユニットとが、交互に積層された構造を有する、電気化学デバイスを提供する。
【0017】
かかる電気化学デバイスは、第1及び第2のユニットがそれぞれ先に説明した本発明におけるセパレータの形状を有しているため、短絡の発生が十分に抑制される。そして、複数のユニットを積層した上記の電気化学デバイスによれば、短絡の発生を抑制しつつ、電気化学デバイスの高容量化を図ることができる。
【0018】
また、本発明の電気化学デバイスにおいて、上記セパレータの端部から連続する上記二箇所の折り曲げ部は、等間隔に形成されていることが好ましい。
【0019】
このように、セパレータが等間隔(所定の間隔毎)に形成された折り曲げ部で折り曲げられていることにより、セパレータ(特にその端部)の過不足が抑制され、短絡の発生をより十分に抑制することができるとともに、電気化学デバイスの小型化にも有利である。
【0020】
また、本発明の電気化学デバイスにおいて、上記セパレータの上記折り曲げ部には、該折り曲げ部に沿って切断部及び非切断部が配されていることが好ましい。
【0021】
これにより、折り曲げ部での折り曲げが容易となり、セパレータを所定の間隔毎に精度良く折り曲げることができる。そのため、セパレータ(特にその端部)の過不足を抑制でき、電気化学デバイスの小型化・薄型化に寄与するとともに、電極及びセパレータのずれを防止して短絡の発生をより十分に抑制することができる。また、折り曲げられたセパレータが元の形状に戻ろうとする力を低減することができ、それによっても、電気化学デバイスにおける電極及びセパレータのずれを防止し、短絡の発生をより十分に抑制することができる。更に、折り曲げ部に切断部が配されていることにより、その切断部を通って電解質溶液が移動しやすくなるという利点もある。
【0022】
また、本発明の電気化学デバイスにおいて、上記セパレータは不織布からなるセパレータであることが好ましい。
【0023】
これにより、折り曲げ部での折り曲げが容易となり、セパレータを所定の間隔毎に精度良く折り曲げることができる。そのため、セパレータ(特にその端部)の過不足を抑制でき、電気化学デバイスの小型化・薄型化に寄与するとともに、電極及びセパレータのずれを防止して短絡の発生をより十分に抑制することができる。また、不織布からなるセパレータは折り目が付きやすく、折り曲げられたセパレータが元の形状に戻ろうとする力を低減することができ、それによっても、電気化学デバイスにおける電極及びセパレータのずれを防止し、短絡の発生をより十分に抑制することができる。
【0024】
また、本発明の電気化学デバイスにおいて、上記セパレータには、上記折り曲げ部の折り曲げ方向とは逆方向側の面上に接着剤層が形成されていることが好ましい。
【0025】
上記接着剤層を形成することにより、該接着剤層に接している電極はセパレータに固定されてずれが防止され、電気化学デバイスにおける短絡の発生がより十分に抑制される。特に、上記の形状のセパレータを有する本発明の電気化学デバイスにおいては、セパレータに包み込まれた第1のアノード又は第1のカソードに近接する3つの電極を、上記接着剤層に接するように配置することが可能であるため、セパレータに包み込まれた電極を含めて近接する4つの電極のずれを十分に防止可能となり、電気化学デバイスにおける短絡の発生をより十分に抑制することができる。なお、電気化学デバイスにおける電極の数が4つである場合、全ての電極のずれが防止されるため、優れた短絡防止効果を得ることができる。
【0026】
本発明はまた、第1のアノードと、第1のカソードと、上記第1のアノードと上記第1のカソードとの間、上記第1のアノードの上記第1のカソード側とは反対側、及び、上記第1のカソードの上記第1のアノード側とは反対側に配置されるように折り曲げられた連続する一枚のセパレータと、上記セパレータ、上記第1のアノード及び上記第1のカソードに接触する電解質と、を備え、上記セパレータは、該セパレータの一端から連続する二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げられて、上記第1のアノード又は上記第1のカソードの周囲を包み込む形状を有している電気化学デバイスの製造方法であって、上記セパレータにおける上記二箇所の折り曲げ部に挟まれた面上に上記第1のアノード又は上記第1のカソードの一方を配置する第1の配置工程と、上記セパレータを一方の上記折り曲げ部で折り曲げ、上記第1の配置工程で配置した上記第1のアノード又は上記第1のカソード上に、折り曲げた上記セパレータを配置する第1の折り曲げ工程と、折り曲げた上記セパレータ上に、上記第1のアノード又は上記第1のカソードの他方を配置する第2の配置工程と、上記セパレータを他方の上記折り曲げ部で折り曲げ、上記第2の配置工程で配置した上記第1のアノード又は上記第1のカソード上に、折り曲げた上記セパレータを配置する第2の折り曲げ工程と、を有する電気化学デバイスの製造方法を提供する。
【0027】
かかる電気化学デバイスの製造方法によれば、上述した本発明の電気化学デバイスを効率的に製造することができる。また、上記電気化学デバイスの製造方法によれば、セパレータをつづら折りにする場合と比較して、作業性を向上させることができ、且つ、製造時における電極及びセパレータのずれの発生を十分に防止することができる。
【0028】
具体的には、セパレータをつづら折りにする場合には、セパレータの端部の面上に電極を置いて折り曲げていく必要があるため、製造過程で特にこの端部の電極がずれやすく、短絡不良を生じやすい。また、折り曲げ部で交互に逆方向に折り曲げていく場合、折り曲げ時に、1つ前に折り曲げた折り目を元の形状に戻す方向に力が働くため、セパレータは全体的に折り曲げ部に折り目が付きにくく、元の形状に戻る力が積層方向に働きやすい。そのため、製造過程で電極及びセパレータのずれが生じやすく、また、電極及びセパレータを積層した積層体を外装体に封入する場合の作業性にも劣る。
【0029】
これに対して、本発明のようにセパレータを二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げる場合、二箇所の折り曲げ部の間に電極を置き、この電極を包み込むようにセパレータを折り曲げるため、この電極が製造過程でずれにくく、短絡不良が生じにくくなる。また、二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げる場合、一方を折り曲げた後、他方を折り曲げる際に、先に折り曲げた方向と同一方向に力が働くため折り目がより強く付きやすく、元の形状に戻る力が積層方向に働きにくくなる。そのため、製造過程で電極及びセパレータのずれの発生が十分に防止され、また、電極及びセパレータを積層した積層体を外装体に封入する場合の作業性にも優れる。
【0030】
また、本発明の電気化学デバイスの製造方法において、上記電気化学デバイスは、上記セパレータの外周面上に配置された、該セパレータを挟んで上記第1のアノードと対向する第2のカソード、及び/又は、上記セパレータの外周面上に配置された、該セパレータを挟んで上記第1のカソードと対向する第2のアノードを備えるものであり、上記第1の配置工程の前に、上記第1のアノードと上記第2のアノード、及び/又は、上記第1のカソードと上記第2のカソードを、互いの位置関係が固定されるように部分的に接続する接続工程を有することが好ましい。
【0031】
また、本発明の電気化学デバイスの製造方法において、上記電気化学デバイスは、上記第1のアノード、及び/又は、上記第1のカソードを2以上備えるものであり、上記第1の配置工程の前に、上記第1のアノード同士、及び/又は、上記第1のカソード同士を、互いの位置関係が固定されるように部分的に接続する接続工程を有することが好ましい。
【0032】
このように、アノード同士、カソード同士のそれぞれを予め接続しておくことにより、製造過程における電極のずれをより十分に防止することができ、短絡の発生をより十分に抑制することができる。
【0033】
また、本発明の電気化学デバイスの製造方法において、上記セパレータの上記折り曲げ部には、該折り曲げ部に沿って切断部及び非切断部が配されていることが好ましい。
【0034】
これにより、第1及び第2の折り曲げ工程において、折り曲げ部での折り曲げが容易となり、作業効率が飛躍的に高まるとともに、セパレータを所定の間隔毎に精度良く折り曲げることができる。そのため、セパレータ(特にその端部)の過不足を抑制でき、得られる電気化学デバイスの小型化・薄型化に寄与するとともに、製造過程における電極及びセパレータのずれを防止して短絡の発生をより十分に抑制することができる。また、折り曲げられたセパレータが元の形状に戻ろうとする力を低減することができ、それによっても、製造過程における電極及びセパレータのずれを防止し、短絡の発生をより十分に抑制することができる。
【0035】
また、本発明の電気化学デバイスの製造方法は、上記第1の配置工程の前に、上記セパレータを予め上記折り曲げ部で折り曲げて、該折り曲げ部に折り目を付ける折り目形成工程を有することが好ましい。
【0036】
予め折り曲げ部に折り目を付けることにより、第1及び第2の折り曲げ工程において、折り曲げ部での折り曲げが容易となり、作業効率が飛躍的に高まるとともに、セパレータを所定の間隔毎に精度良く折り曲げることができる。そのため、セパレータ(特にその端部)の過不足を抑制でき、得られる電気化学デバイスの小型化・薄型化に寄与するとともに、製造過程における電極及びセパレータのずれを防止して短絡の発生をより十分に抑制することができる。また、折り曲げられたセパレータが元の形状に戻ろうとする力を低減することができ、それによっても、製造過程における電極及びセパレータのずれを防止し、短絡の発生をより十分に抑制することができる。
【0037】
また、本発明の電気化学デバイスの製造方法において、上記セパレータは不織布からなるセパレータであることが好ましい。
【0038】
不織布のセパレータは折り目が付きやすく、これを用いることにより、第1及び第2の折り曲げ工程において、折り曲げ部での折り曲げが容易となり、作業効率を飛躍的に高めることができる。また、折り目が付きやすいことから、折り曲げられたセパレータが元の形状に戻ろうとする力を低減することができ、製造過程における電極及びセパレータのずれを防止し、短絡の発生をより十分に抑制することができる。
【0039】
また、本発明の電気化学デバイスの製造方法において、上記セパレータには、上記折り曲げ部の折り曲げ方向とは逆方向側の面上に接着剤層が形成されていることが好ましい。
【0040】
セパレータに上記接着剤層が形成されていることにより、製造過程において接着剤層に接している電極はセパレータに固定されてずれが防止され、短絡の発生をより十分に抑制することができる。特に、上記の形状のセパレータを有する本発明の電気化学デバイスの製造方法においては、セパレータに包み込まれた第1のアノード又は第1のカソードに近接する3つの電極を、上記接着剤層に接するように配置することが可能であるため、セパレータに包み込まれた電極を含めて近接する4つの電極のずれを十分に防止可能となり、短絡の発生をより十分に抑制することができる。なお、電気化学デバイスにおける電極の数が4つである場合、製造過程において全ての電極のずれが防止されるため、優れた短絡防止効果を得ることができる。
【0041】
本発明は更に、第1のアノードと、第1のカソードと、上記第1のアノードと上記第1のカソードとの間、上記第1のアノードの上記第1のカソード側とは反対側、及び、上記第1のカソードの上記第1のアノード側とは反対側に配置されるように折り曲げられた連続する一枚のセパレータと、上記セパレータ、上記第1のアノード及び上記第1のカソードに接触する電解質と、を備え、上記セパレータは、該セパレータの一端から連続する二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げられて、上記第1のアノード又は上記第1のカソードの周囲を包み込む形状を有している電気化学デバイスの製造方法であって、上記電気化学デバイスは、上記セパレータの外周面上に配置された、該セパレータを挟んで上記第1のアノードと対向する第2のカソード、及び/又は、上記セパレータの外周面上に配置された、該セパレータを挟んで上記第1のカソードと対向する第2のアノードを備えるものであり、上記セパレータの一方の面上に接着剤層を形成する接着剤層形成工程と、上記接着剤層上に、上記セパレータの一端から順に第1の電極、第2の電極及び第3の電極を、各電極間に上記折り曲げ部が挟まれるように貼り付ける貼り付け工程と、上記セパレータにおける上記接着剤層を有する面とは反対側の上記二箇所の折り曲げ部に挟まれた面上に、第4の電極を配置する配置工程と、上記セパレータをその端部に近い側の一方の上記折り曲げ部で折り曲げ、次いで、他方の上記折り曲げ部で折り曲げることで、上記第4の電極の周囲を上記セパレータで包み込み、上記第2の電極、上記第4の電極、上記第1の電極及び上記第3の電極がこの順で、各電極間に少なくとも上記セパレータを挟んで積層された構造を形成する折り曲げ工程と、を有し、上記第1の電極は、上記第1のアノード又は上記第1のカソードのいずれか一方であり、上記第2の電極は、上記第2のアノード及び上記第2のカソードのいずれか一方であって、上記第1の電極と同極の電極であり、上記第3の電極は、上記第1のアノード、上記第2のアノード、上記第1のカソード及び上記第2のカソードのいずれか一種の電極であり、上記第4の電極は、上記第1のアノード又は上記第1のカソードのいずれか一方であって上記第1の電極とは逆の極の電極である、電気化学デバイスの製造方法を提供する。
【0042】
かかる電気化学デバイスの製造方法によれば、セパレータにおける折り曲げ部の折り曲げ方向とは逆方向側の面上に接着剤層が形成されている本発明の電気化学デバイスを効率的に製造することができる。また、上記電気化学デバイスの製造方法によれば、セパレータをつづら折りにする場合と比較して、作業性を向上させることができ、且つ、製造時における電極及びセパレータのずれの発生を十分に防止することができる。
【0043】
すなわち、本発明のようにセパレータを二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げる場合、二箇所の折り曲げ部の間に電極を置き、この電極を包み込むようにセパレータを折り曲げるため、この電極が製造過程でずれにくく、短絡不良が生じにくくなる。また、二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げる場合、一方を折り曲げた後、他方を折り曲げる際に、先に折り曲げた方向と同一方向に力が働くため折り目がより強く付きやすく、元の形状に戻る力が働きにくくなる。そのため、製造過程で電極及びセパレータのずれの発生が十分に防止され、また、電極及びセパレータを積層した積層体を外装体に封入する場合の作業性にも優れる。
【0044】
また、上記電気化学デバイスの製造方法では、セパレータにおける折り曲げ部の折り曲げ方向とは逆方向側の面上に接着剤層を形成し、この接着剤層に第1〜3の電極を貼り付けているため、セパレータに包み込まれた第4の電極を含めて近接する第1〜4の電極のずれを十分に防止することができ、短絡の発生を十分に抑制することができる。また、セパレータの一方の面にのみ接着剤層を形成すればよいため、作業効率にも優れている。なお、電気化学デバイスにおける電極の数が4つである場合、製造過程において全ての電極のずれが防止されるため、優れた短絡防止効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、短絡を起こしにくい電気化学デバイス及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0047】
(電気化学デバイス)
図1は、本発明の電気化学デバイスとしてのリチウムイオン二次電池の好適な一実施形態を示す正面図である。また、図2は図1に示すリチウムイオン二次電池の内部を示す展開図である。
【0048】
図1及び図2に示すように、リチウムイオン二次電池200は、主として、アノード、カソード及びセパレータで構成される積層体1と、積層体1に含浸される電解質溶液(不図示)と、これらを密閉状態で収容する外装体150と、を備えている。また、リチウムイオン二次電池200は、積層体1のアノードに一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部がケース150の外部に突出されるアノード用リード112と、カソードに一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部がケース150の外部に突出されるカソード用リード122と、を備えている。
【0049】
図3は、図2に示す積層体1のI−I断面図であり、本発明におけるアノード、カソード及びセパレータの配置関係を示す模式断面図である。図3に示すように、積層体1は、第1のアノード10と、第1のカソード20と、第1のアノード10と第1のカソード20との間、第1のアノード10の第1のカソード20側とは反対側、並びに、第1のカソード20の第1のアノード10側とは反対側に配置されるように折り曲げられた連続する一枚のセパレータ50と、を備えている。そして、セパレータ50は、該セパレータ50の少なくとも一端から所定の間隔毎に形成された連続する二箇所の折り曲げ部60で同一方向に折り曲げられて、第1のアノード10の周囲を包み込む形状を有している。更に、セパレータ50の外周面上には、セパレータ50を挟んで第1のアノード10と対向する第2のカソード40と、セパレータ50を挟んで第1のカソード20と対向する第2のアノード30とが設けられている。なお、図3においては各電極とセパレータとの間に間隔があるが、実際には電極とセパレータとは密着している。
【0050】
セパレータ50が図3に示すような形状を有していることにより、第1のアノード10の周囲がセパレータ50に包み込まれているため、図3の横方向への第1のアノード10のずれの発生が十分に防止される。そのため、第1のアノード10とセパレータ50を挟んで対向する電極、すなわち第1のカソード20及び第2のカソード40との間での短絡の発生が十分に抑制されることとなる。また、電極がずれることで対向する電極同士の対向面積が変化した場合、電気化学デバイスの性能が変化するという問題が生じるが、上記積層体1においては、第1のアノード10のずれが十分に防止されるため、安定した性能を得ることができる。
【0051】
なお、図8及び図9は、セパレータ50をつづら折りにした従来のアノード、カソード及びセパレータの配置関係を示す模式断面図である。図8に示す従来の積層体300では、セパレータ50が交互に逆方向に折り曲げられてつづら折り形状とされている。そのため、いずれの電極も図8の横方向にずれやすく、電極間での短絡や、電気化学デバイスの性能の変動が生じやすい。また、図9に示す従来の積層体310では、セパレータ50を交互に逆方向に折り曲げられてつづら折り形状とした後、全体を覆うようにセパレータ50を配し、その端部を巻き止めテープ70で固定している。この場合には、セパレータ50で全体を覆っており、且つ、巻き止めテープ70を用いているため、それらの分だけ厚みが増し、小型化・薄型化に不利である。なお、図9に示した積層体310は、特に製造時の作業効率に劣るとともに、製造過程において電極やセパレータのずれが生じやすい。そして、これら従来の問題点は、本発明における上記積層体1の構造とすることで改善することができる。
【0052】
以下、本発明における積層体1及びリチウムイオン二次電池200の各構成要素について説明する。
【0053】
図3に示すように、第1のアノード10及び第2のアノード30は、集電体12と、該集電体12上に形成されたアノード活物質含有層14とで構成され、第1のアノード10では集電体12の両面に、第2のアノード30では集電体12の片面に、アノード活物質含有層14が形成されている。また、第1のカソード20及び第2のカソード40は、集電体22と、該集電体22上に形成されたカソード活物質含有層24とで構成され、第1のカソード20では集電体22の両面に、第2のカソード40では集電体22の片面に、カソード活物質含有層24が形成されている。
【0054】
集電体12及び集電体22は、アノード活物質含有層14及びカソード活物質含有層24への電荷の移動を充分に行うことができる良導体であれば特に限定されず、公知のリチウムイオン二次電池に用いられている集電体を使用することができる。例えば、集電体12及び集電体22としては、それぞれ銅、アルミニウム等の金属箔が挙げられる。
【0055】
アノード活物質含有層14は、アノード活物質、導電助剤、結着剤等を含む層である。
【0056】
アノード活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入、又は、リチウムイオンと、そのリチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、ClO4−)とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることができれば特に限定されず、公知のリチウムイオン二次電池に用いられているものと同様の材料を使用することができる。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、メソカーボンファイバー(MCF)、コークス類、ガラス状炭素、有機化合物焼成体等の炭素材料、Al、Si、Sn等のリチウムと化合することができる金属、SiO2、SnO2等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)、等が挙げられる。
【0057】
また、アノード活物質含有層14の厚みは、15〜80μmであることが好ましい。また、アノード活物質含有層14におけるアノード活物質の担持量は、2〜12mg/cm2であることが好ましい。ここで、担持量とは、アノード集電体12の表面単位面積あたりのアノード活物質の質量である。
【0058】
導電助剤は、アノード活物質含有層14の導電性を良好にするものであれば特に限定されず、公知の導電助剤を使用できる。例えば、カーボンブラック類、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。
【0059】
結着剤は、上記のアノード活物質の粒子と導電助剤の粒子とをアノード集電体12に結着することができれば特に限定されず、公知の結着剤を使用できる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PEA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂及びスチレン−ブタジエンゴム(SBR)等が挙げられる。
【0060】
カソード活物質含有層24は、カソード活物質、導電助剤、結着剤等を含む層である。
【0061】
カソード活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンと、そのリチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、ClO4−)とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能であれば特に限定されず、公知の電極活物質を使用できる。例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、リチウムマンガンスピネル(LiMn2O4)、及び、一般式:LiNixCoyMnzO2(x+y+z=1)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV2O5)、オリビン型LiMPO4(ただし、Mは、Co、Ni、Mn又はFeを示す)、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)等の複合金属酸化物が挙げられる。
【0062】
ここで、カソード活物質含有層24の厚みは、15〜90μmであることが好ましい。また、カソード活物質含有層24におけるカソード活物質の担持量は、アノード活物質含有層14のアノード活物質の担持量に対応して任意好適に設定できるが、例えば、5〜25mg/cm2であることが好ましい。
【0063】
カソード活物質含有層24に含まれるカソード活物質以外の各構成要素は、アノード活物質含有層14を構成するものと同様の物質を使用することができる。また、カソード活物質含有層24においても、アノード活物質含有層14と同様の導電助剤を含有させることが好ましい。
【0064】
セパレータ50は、電気絶縁性の多孔体から形成されている。セパレータ50の材料は特に限定されず、公知のセパレータ材料を使用することができる。例えば、電気絶縁性の多孔体としては、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィン等からなるフィルムの積層体や上記樹脂の混合物の延伸膜、或いは、セルロース、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布等が挙げられる。
【0065】
セパレータ50は、その一端から所定の間隔毎に形成された連続する二箇所の折り曲げ部60で折り曲げられるが、二箇所の折り曲げ部60には、折り曲げ部60に沿って切断部及び非切断部が配されていることが好ましい。切断部及び非切断部を配したものとしては、折り曲げ部60での折り曲げが容易になるものであればよく、切断部及び非切断部を交互に複数配したミシン目や、折り曲げ部60の両端のみを切り欠いたもの等が挙げられる。
【0066】
また、図3に示すセパレータ50において、その一端から一箇所目の折り曲げ部60までの間隔と、一箇所目の折り曲げ部60から二箇所目の折り曲げ部60までの間隔と、二箇所目の折り曲げ部60からセパレータ50の他端までの間隔とは、略同一の所定の間隔とされる。但し、上記3つの間隔は、完全に同一でなくてもよく、セパレータ50の折り曲げた箇所が配置される位置に応じて、すなわち、挟み込む電極やセパレータの厚み等に応じて、それぞれ異なる間隔としてもよい。
【0067】
また、セパレータ50には、折り曲げ部60の折り曲げ方向とは逆方向側の面上、すなわち、図3における第2のアノード30、第1のカソード20及び第2のカソード40に接する面上には、接着剤層が形成されていてもよい。
【0068】
この接着剤層は、各電極がセパレータ50に固定されるように、セパレータ50の一面上に部分的に形成されていることが好ましい。例えば、各電極の中央部だけをセパレータ50に接着剤層を介して固定した場合、固定後に各電極とセパレータ50との間から電解質溶液が容易に侵入できることとなる。したがって、各電極をセパレータ50に固定した後に、各電極の活物質含有層及びセパレータ50に電解質溶液を含浸させることができる。
【0069】
なお、接着剤層を介して各電極をセパレータ50に固定する場合、接着剤がリチウムイオンの拡散を阻害するおそれがあり、また、電解質溶液の侵入を阻害するおそれがあるため、接着剤層の形成箇所(接着剤の塗布箇所)はできるだけ少ないことが好ましく、また、接着剤層の形成面積はできるだけ狭いことが好ましい。具体的には、接着剤の塗布箇所は、上述のようにセパレータ50や各電極の接着剤の塗布対象面の中央の1点だけとすることが好ましい。また、塗布対象面全体に対する接着剤塗布面積の比率は、位置ずれを生じない程度の接着強度が得られるように、接着剤の種類や塗布対象面全体の面積などに応じて適宜決定すればよいが、通常、各電極の塗布対象面に対して0.001〜1面積%の範囲から選択すればよい。
【0070】
接着剤層に用いられる接着剤は、ホットメルト接着剤であることが好ましい。ホットメルト接着剤としては、電極とセパレータ50とを接着することが可能であって、かつ、電極やセパレータ50の構成成分であるポリマーに比べて融点の低いものであれば、特に制限なく用いることができる。このようなホットメルト接着剤としては、例えばエチレン−メタアクリル酸共重合体等を用いることができる。
【0071】
ここで、本発明における積層体の構造の他の例について説明する。図4〜図7は、本発明における積層体の他の形態を示す模式断面図である。
【0072】
図4に示す積層体2は、3つの第1のアノード10及び3つの第2のカソード20が積層され、且つ、セパレータ50の外周面上に第2のアノード30及び第2のカソード40が配置された構造を有している。そして、セパレータ50は、その一端において、連続する二箇所の折り曲げ部60で同一方向に折り曲げられ、1つの第1のアノード10を包み込む形状を有しており、それ以降の折り曲げ部60では交互に逆方向に折り曲げられている。
【0073】
図5に示す積層体3は、5つの第1のアノード10及び4つの第2のカソード20が積層され、且つ、セパレータ50の外周面上に2つの第2のカソード40が配置された構造を有している。そして、セパレータ50は、その一端において、連続する二箇所の折り曲げ部60で同一方向に折り曲げられ、1つの第1のアノード10を包み込む形状を有しており、それ以降の折り曲げ部60では交互に逆方向に折り曲げられている。
【0074】
図6に示す積層体4は、3つの第1のアノード10及び3つの第2のカソード20が積層され、且つ、セパレータ50の外周面上に第2のアノード30及び第2のカソード40が配置された構造を有している。そして、セパレータ50は、その両端において、連続する二箇所の折り曲げ部60で同一方向に折り曲げられ、一端では1つの第1のアノード10を、他端では1つの第1のカソード20を、それぞれ包み込む形状を有しており、その間の折り曲げ部60では交互に逆方向に折り曲げられている。
【0075】
図7に示す積層体5は、2つの第1のアノード10及び1つの第2のカソード20が積層され、且つ、セパレータ50の外周面上に2つの第2のカソード40が配置された構造を有している。そして、セパレータ50は、その両端において、連続する二箇所の折り曲げ部60で同一方向に折り曲げられ、一端では1つの第1のアノード10を、他端でも1つの第1のアノード10を、それぞれ包み込む形状を有している。
【0076】
これら図4〜7に示した積層体においても、セパレータの少なくとも一端において、第1のアノード又は第1のカソードが包み込まれた構造を有しているため、包み込まれた電極のずれが防止され、短絡の発生が十分に抑制される。特に、図6及び図7に示した積層体は、セパレータの両端が第1のアノード又は第1のカソードを包み込む形状を有しているため、短絡の発生がより十分に抑制される。
【0077】
なお、図3〜図7に示した積層体において、アノード及びカソードの位置は入れ替わっていてもよい。
【0078】
電解質溶液は、アノード活物質含有層14及びカソード活物質含有層24、及びセパレータ50の孔の内部に含有されている。電解質溶液は、特に限定されず、公知のリチウムイオン二次電池に用いられる、リチウム塩を含む電解質溶液(電解質水溶液、有機溶媒を使用する電解液)を使用することができる。ただし、電解質水溶液は電気化学的に分解電圧が低いことにより、充電時の耐用電圧が低く制限されるので、有機溶媒を使用する電解質溶液(非水電解質溶液)であることが好ましい。二次電池の電解質溶液としては、リチウム塩を非水溶媒(有機溶媒)に溶解したものが好適に使用される。リチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiCF3、CF2SO3、LiC(CF3SO2)3、LiN(CF3SO2)2、LiN(CF3CF2SO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiN(CF3CF2CO)2等の塩が使用される。なお、これらの塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0079】
また、有機溶媒としては、公知の二次電池に使用されている溶媒を使用することができる。例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、及び、ジエチルカーボネート等が好ましく挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を任意の割合で混合して使用してもよい。
【0080】
なお、本発明において、電解質は液状以外にゲル化剤を添加することにより得られるゲル状電解質であってもよい。また、電解質溶液に代えて、固体電解質(固体高分子電解質又はイオン伝導性無機材料からなる電解質)を用いてもよい。
【0081】
ケース150は、積層体1を密封し、ケース内部へ空気や水分が進入するのを防止できるものであれば特に限定されず、公知の二次電池に用いられているケースを使用することができる。例えば、エポキシ樹脂等の合成樹脂や、アルミニウム等の金属シートを樹脂ラミネートしたものを使用することができる。
【0082】
ケース150は、互いに対向する一対のフィルム(第1のフィルム151及び第2のフィルム152)を用いて形成されている。ここで、図2に示すように、本実施形態において、第1のフィルム151及び第2のフィルム152は連結している。すなわち、本実施形態におけるケース150は、一枚の複合包装フィルムからなる矩形状のフィルムを、図2に示す折り曲げ線X−Xにおいて折り曲げ、矩形状のフィルムの対向する1組の縁部同士(図中の第1のフィルム151の縁部151B及び第2のフィルム152の縁部152B)を重ね合せて接着剤を用いるか又はヒートシールを行うことにより形成されている。なお、図1及び図2中の151A、並びに、図2中の152Aは、それぞれ第1のフィルム151及び第2のフィルム152の接着又はヒートシールされていない部分領域を示す。
【0083】
そして、第1のフィルム151及び第2のフィルム152は、1枚の矩形状のフィルムを上述のように折り曲げた際にできる互いに対向する面を有する該フィルムの部分をそれぞれ示す。ここで、本明細書において、接合された後の第1のフィルム151及び第2のフィルム152のそれぞれの縁部を「シール部」という。
【0084】
これにより、折り曲げ線X−Xの部分に第1のフィルム151と第2のフィルム152とを接合させるためのシール部を設ける必要がなくなるため、ケース150におけるシール部をより低減することができる。その結果、リチウムイオン二次電池200の設置されるべき空間の体積を基準とする体積エネルギー密度をより向上させることができる。
【0085】
外部端子113及び外部端子123は、図1及び図2に示すように、ケース150内からシール部と交差してケース150の外側まで延びている。外部端子113と外部端子123とは積層体1の積層方向と直交する方向に離間している。
【0086】
外部端子113は、平板状のアノード用リード112と、ケース150のシール部に挟まれる部分を被覆する絶縁体114とで構成され、外部端子123は、平板状のカソード用リード122と、ケース150のシール部に挟まれる部分を被覆する絶縁体124とで構成されている。
【0087】
ここで、図10は、図1のリチウムイオン二次電池200のII−II断面図である。なお、図10においては、便宜上、外部端子113と外部端子123との位置関係をずらしており、ケース150は省略している。
【0088】
図10に示すように、第1のアノード10及び第2のアノード30のそれぞれの集電体12の端には、各集電体がそれぞれ外側に向かって延びてなる舌状部12aが形成されている。また、第1のカソード20及び第2のカソード40のそれぞれの集電体22の端には、各集電体がそれぞれ外側に向かって延びてなる舌状部22aが形成されている。
【0089】
そして、リード112のケース150内の端部は、図10に示すように、第1のアノード10及び第2のアノード30における各集電体12の各舌状部12aと抵抗溶接等によって接合されている。ここで、リード112は、金属等の導体材料より形成されている。この導体材料としては、例えば、銅やニッケル等の導電材料を利用できる。
【0090】
一方、リード122のケース150内の端部は、第1のカソード20及び第2のカソード40における各集電体22の各舌状部22aと抵抗溶接等によって接合されている。ここで、リード122も、金属等の導体材料より形成されている。この導体材料としては、例えば、アルミニウム等を採用することができる。
【0091】
また、絶縁体114及び絶縁体124は、リード112及びリード122とケース150のシール部とのシール性を高めるためのものである。絶縁体114,124の材質は特に限定されないが、例えば、合成樹脂から形成されている。
【0092】
ここで、図11及び図12は、リチウムイオン二次電池の内部の他の例を示す展開図である。図11に示すリチウムイオン二次電池210のように、アノード用リード112とカソード用リード122とは、ケース150のシール部に挟まれる部分において、1つの絶縁体115で被覆されていてもよい。このように1つの絶縁体115でアノード用リード112及びカソード用リード122が覆われることで、互いの位置関係が十分に固定されて、電極のずれをより十分に防止することができる。
【0093】
また、図12に示すリチウムイオン二次電池220のように、第1のアノード10及び第2のアノード30のそれぞれの集電体12の舌状部12aが、固定用樹脂116で固定されており、且つ、第1のカソード20及び第2のカソード40のそれぞれの集電体22の舌状部22aが、固定用樹脂126で固定されていてもよい。このように、第1のアノード10及び第2のアノード30のそれぞれの集電体12が接続固定され、且つ、第1のカソード20及び第2のカソード40のそれぞれの集電体22が接続固定されることで、互いの位置関係が十分に固定されて、電極のずれをより十分に防止することができる。
【0094】
(電気化学デバイスの製造方法)
次に、本発明の電気化学デバイスの製造方法の一実施形態として、上述したリチウムイオン二次電池200の製造方法について説明する。
【0095】
まず、第1のアノード10及び第2のアノード30のアノード活物質含有層14を形成するための構成材料を含む塗布液(スラリー)、並びに、第1のカソード20及び第2のカソード40のカソード活物質含有層24を形成するための構成材料を含む塗布液(スラリー)を各々調製する。アノード用塗布液は、前述のアノード活物質、導電助剤、結着剤等を含み、カソード用塗布液は、前述のカソード活物質、導電助剤、結着剤等を含むものである。塗布液に用いる溶媒としては、結着剤を溶解可能とし、活物質及び導電助剤を分散可能とするものであれば特に限定されるものではない。例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等を用いることができる。
【0096】
次に、銅やニッケル等により形成されたアノード集電体12、及び、アルミニウム等により形成されたカソード集電体22をそれぞれ用意する。そして、アノード集電体12の両面にアノード用塗布液を塗布し乾燥させて、両面にアノード活物質含有層14を形成して第1のアノード用シートを得る。また、アノード集電体12の片面にアノード用塗布液を塗布し乾燥させて、片面にアノード活物質含有層14を形成して第2のアノード用シートを得る。また、カソード集電体22の両面にカソード用塗布液を塗布し乾燥させて、両面にカソード活物質含有層24を形成して第1のカソード用シートを得る。更に、カソード集電体22の片面にカソード用塗布液を塗布し乾燥させて、片面にカソード活物質含有層24を形成して第2のカソード用シートを得る。
【0097】
ここで、各集電体に各塗布液を塗布する際の手法は特に限定されるものではなく、集電体用金属板の材質や形状等に応じて適宜決定すればよい。例えば、メタルマスク印刷法、静電塗装法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法等が挙げられる。塗布後、必要に応じて、平版プレス、カレンダーロール等により圧延処理を行う。
【0098】
次に、得られた第1及び第2のアノード用シート、並びに、第1及び第2のカソード用シートをそれぞれ所望の大きさの矩形状に打ち抜き、第1のアノード10、第2のアノード30、第1のカソード20及び第2のカソード40を作製する。ここでは、各電極の集電体の端から延びる舌状部12a,22aが形成されるように打ち抜く。また、舌状部12a,22aの両面には、アノード活物質含有層14やカソード活物質含有層24を形成せず、集電体が露出するようにする。なお、第1のアノード10及び第2のアノード30は、第1のカソード20及び第2のカソード40の矩形よりも大きな矩形に打ち抜くことが好ましい。
【0099】
続いて、絶縁性の多孔質材料からなるセパレータ50を用意する。セパレータ50は、所定の間隔毎に形成された二箇所の折り曲げ部60で同一方向に折り曲げて三つ折りにした際の矩形の大きさが、第1のアノード10及び第2のアノード30の矩形の大きさよりも大きくなるようにすることが好ましい。
【0100】
また、セパレータ50における二箇所の折り曲げ部60には、予め切断部及び非切断部を配してミシン目や切り欠き等を形成しておくことが好ましい。更に、二箇所の折り曲げ部60には、予め折り曲げて折り目を付けておくことが好ましい。
【0101】
更に、セパレータ50には、折り曲げ部60の折り曲げ方向とは逆方向側の面上、すなわち、図3における第2のアノード30、第1のカソード20及び第2のカソード40に接する面上に、上述した接着剤層を形成してもよい。
【0102】
次に、上述した各要素を用いて積層体1を形成する手順について説明する。ここで、図13(a)〜(f)は、リチウムイオン二次電池200における積層体1の製造方法の手順を示す工程図である。
【0103】
まず、図13(a)に示すように、第2のカソード40上にセパレータ50を配置する。このとき、セパレータ50における二箇所の折り曲げ部(第1の折り曲げ部62及び第2の折り曲げ部64)に挟まれた面の下に第2のカソード40が配置されるようにする。
【0104】
次に、図13(b)に示すように、セパレータ50における第1の折り曲げ部62及び第2の折り曲げ部64に挟まれた面上に第1のアノード10を配置する(第1の配置工程)。
【0105】
次に、図13(c)に示すように、セパレータ50を第1の折り曲げ部62で折り曲げ、第1のアノード10上に、折り曲げたセパレータ50を配置する(第1の折り曲げ工程)。
【0106】
次に、図13(d)に示すように、折り曲げたセパレータ50上に、第1のカソード20を配置する(第2の配置工程)。
【0107】
次に、図13(e)に示すように、セパレータ50を第2の折り曲げ部64で折り曲げ、第1のカソード30上に、折り曲げたセパレータ50を配置する(第2の折り曲げ工程)。
【0108】
最後に、図13(f)に示すように、折り曲げたセパレータ50上に、第2のアノード30を配置し、積層体1の作製を完了する。また、積層体1は、必要に応じて、その積層方向に熱プレス等を行ってもよい。
【0109】
また、上記積層体1の作製において、第1のアノード10と第2のアノード30とを、互いの位置関係が固定されるように、例えば舌状部12a同士を、予め固定用樹脂等で接続固定してもよい。同様に、第1のカソード20と第2のカソード40とを、互いの位置関係が固定されるように、例えば舌状部22a同士を、予め固定用樹脂等で接続固定してもよい。この場合、第2のカソード40上にセパレータ50を配置する際には、舌状部22aの部分で接続されている第1のカソード20を捲った状態にして、第2のカソード40と第1のカソード20との間にセパレータ50及び第1のアノード10を配置する。同様に、第1のアノード10上にセパレータ50を配置する際には、舌状部12aの部分で接続されている第2のアノード30を捲った状態にして、第1のアノード10と第2のアノード30との間にセパレータ50及び第1のカソード20を配置する。こうすることで、製造過程における各電極間での位置ずれの発生がより十分に防止される。
【0110】
上記のようにして積層体1を作製した後、得られた積層体1に外部端子113及び外部端子123を接続し、以下の手順で、図1及び図2に示すようにケース150内に収容する。
【0111】
まず、図2に示すように、ケース150としての矩形状のフィルムを折り曲げ線X−Xにおいて折り曲げ、対向する第1のフィルム151と第2のフィルム152の両サイドのシール部同士のみ(外部端子113,123と交差するシール部以外)を、例えばシール機等を用いて所定の加熱条件で所望のシール幅だけヒートシールする。続いて、シールされていないシール部からケース150の内部に積層体1を挿入する。続いて、真空容器内でケース150内に電解質溶液を注入して積層体1を電解質溶液に浸漬させる。そして、リード112、リード122をそれぞれ、ケース150内からシール部を交差して外部まで延びるように配置させる。ヒートシール機を用いて、ケース150のシール部をヒートシールする。このとき、外部端子113,123の絶縁体114,124をシール部で挟み込んでヒートシールする。このとき、ヒートシールは、好ましくは減圧環境下、例えば真空容器内で行う。これにより、リチウムイオン二次電池200の作製が完了する。
【0112】
かかる製造方法によれば、従来のセパレータ50をつづら折りにする場合と比較して、作業効率に優れるとともに、製造過程及び及び得られる電気化学デバイスにおいて各電極がずれにくく、短絡の発生が十分に抑制される。
【0113】
また、上述したリチウムイオン二次電池200において、セパレータ50における折り曲げ部60の折り曲げ方向とは逆方向側の面上、すなわち、図3における第2のアノード30、第1のカソード20及び第2のカソード40に接する面上に、上述した接着剤層を形成する場合には、そのリチウムイオン二次電池200は、以下の製造方法により製造することもできる。
【0114】
まず、二箇所の折り曲げ部(第1の折り曲げ部62及び第2の折り曲げ部64)を有するセパレータ50の一方の面上に接着剤を塗布して接着剤層を形成する(接着剤層形成工程)。次に、この接着剤層上に、セパレータ50の一端から順に第1のカソード20、第2のカソード40及び第2のアノード30を、第1のカソード20と第2のカソード40との間に第1の折り曲げ部62が、第2のカソード40と第2のアノード30との間に第2の折り曲げ部64が、それぞれ挟まれるように貼り付ける(貼り付け工程)。
【0115】
次に、セパレータ50における上記接着剤層を有する面とは反対側の面であって、二箇所の折り曲げ部60に挟まれた面上に、第1のアノード10を配置する(配置工程)。
【0116】
次に、セパレータ50を第1の折り曲げ部62で折り曲げた後、第2の折り曲げ部で折り曲げることで、第1のアノード10の周囲をセパレータ50で包み込む(折り曲げ工程)。これにより、予めセパレータ50に接着剤層を介して貼り付けた電極がそれぞれ適切な位置に配置され、図13(f)に示したように第2のカソード40、第1のアノード10、第2のカソード20及び第2のアノード30がこの順で各電極間にセパレータ50を挟みつつ積層された積層体1が得られる。
【0117】
かかる製造方法によれば、第1のアノード10はセパレータ50に包み込まれた構造となり、且つ、第2のアノード30、第1のカソード20及び第2のカソード40は接着剤層を介してセパレータ50に固定されているため、全ての電極が製造過程及び得られる電気化学デバイスにおいてずれにくく、短絡の発生が十分に抑制される。また、かかる製造方法においては、接着剤の塗布をセパレータ50の一方の面にのみ行えばよいため、作業効率に優れる。
【0118】
以上、本発明の電気化学デバイス及びその製造方法の好適な一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態の説明においては、電気化学デバイスがリチウムイオン二次電池の場合について説明したが、本発明の電気化学デバイスはリチウムイオン二次電池に限定されるものではなく、金属リチウム二次電池等のリチウムイオン二次電池以外の二次電池や、電気二重層キャパシタ、擬似容量キャパシタ、シュードキャパシタ、レドックスキャパシタ等の電気化学キャパシタ等であってもよい。なお、リチウムイオン二次電池以外の電気化学素子の場合、電極活物質としては、それぞれの電気化学素子に適したものを用いればよい。例えば、電気二重層キャパシタの場合には、カソード活物質含有層及びアノード活物質含有層中に含まれる活物質として、例えば、アセチレンブラック、グラファイト、黒鉛、活性炭などが用いられる。
【実施例】
【0119】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0120】
(実施例1)
まず、アノードを以下の手順により作製した。まず、アノード活物質としてメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)(大阪ガス株式会社製)90質量部及びグラファイト(商品名:KS−6、ロンザ社製)1質量部、導電助剤としてカーボンブラック(商品名:DAB、電気化学工業(株)製)2質量部、並びに、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(商品名:KYNAR 761、ATFINA社製)7質量部、混合分散した後、溶媒としてN−メチル−ピロリドン(NMP)を適量投入して粘度調節し、スラリー状のアノード用塗布液を調製した。
【0121】
次に、アノード集電体としての銅箔(厚さ:20μm)を用意し、アノード用塗布液をアノード活物質担持量が7mg/cm2となるようにドクターブレード法により銅箔に塗布して乾燥させ、アノード活物質含有層を形成した。次いで、このアノード活物質含有層を、カレンダーロールを用いてプレスして圧延し、アノードシートを得た。得られたアノードシートを、活物質含有層面が縦46mm×横31mmの大きさとなり、且つ、集電体に外部出力端子となる舌状部を有する形状に打ち抜いた。ここでは、集電体の両面に活物質含有層が形成されたアノードを第1のアノード、集電体の片面のみに活物質含有層が形成されたアノードを第2のアノードとして作製した。また、第1のアノードの厚みは110μmであり、第2のアノードの厚みは65μmであった。
【0122】
次に、カソードを以下の手順により作製した。まず、カソード活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)(商品名:セリオン、セイミケミカル社製)91質量部及びグラファイト(商品名:KS−6、ロンザ社製)4質量部、導電助剤としてカーボンブラック(商品名:DAB、電気化学工業(株)製)2質量部、並びに、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(商品名:KYNAR 761、ATFINA社製)3質量部を混合分散した後、溶媒としてN−メチル−ピロリドン(NMP)を適量投入して粘度調節し、スラリー状のカソード用塗布液を調製した。
【0123】
続いて、カソード集電体としてアルミニウム箔(厚さ15μm)を用意し、カソード用塗布液をカソード活物質担持量が15mg/cm2となるようにドクターブレード法によりアルミニウム箔に塗布して乾燥させ、カソード活物質含有層を形成した。次いで、このカソード活物質含有層を、カレンダーロールを用いてプレスして圧延し、カソードシートを得た。得られたカソードシートを、活物質含有層面が縦45mm×横30mmの大きさとなり、且つ、集電体に外部出力端子となる舌状部を有する形状に打ち抜いた。ここでは、集電体の両面に活物質含有層が形成されたカソードを第1のカソード、集電体の片面のみに活物質含有層が形成されたカソードを第2のカソードとして作製した。また、第1のカソードの厚みは125μmであり、第2のカソードの厚みは70μmであった。
【0124】
次に、ポリアクリロニトリル樹脂(PAN)製の多孔膜(縦47mm×横96mm、厚み24μm)を用意し、横方向に32mmの間隔毎に2箇所、ミシン目を形成し、セパレータを得た。
【0125】
こうして作製した電極及びセパレータを用い、図13(a)〜(f)に示した手順に従って積層体の作製を行った。まず、図13(a)に示すように、第2のカソード上にセパレータを配置した。次に、図13(b)に示すように、セパレータ上に第1のアノードを配置した。次に、図13(c)に示すように、セパレータをミシン目が形成された一方の折り曲げ部で折り曲げた。次に、図13(d)に示すように、折り曲げたセパレータ上に第1のカソードを配置した。次に、図13(e)に示すように、セパレータをミシン目が形成された他方の折り曲げ部で折り曲げた。最後に、折り曲げたセパレータ上に第2のアノードを配置した。以上により、図3に示したような電極とセパレータとの配置関係を有する積層体を作製した。
【0126】
次いで、得られた積層体をケース内に入れ、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)を体積比2:1:7で混合したものを溶媒とし、1.5mol/LのLiPF6を溶質とした電解液を注入して密閉し、図1に示すものと同様の構造を有するリチウムイオン二次電池を得た。得られたリチウムイオン二次電池の厚みは1.0mmであった。
【0127】
(実施例2)
実施例1と同様にして、第1のアノード、並びに、第1及び第2のカソードをそれぞれ用意した。
【0128】
また、ポリアクリロニトリル樹脂(PAN)製の多孔膜(縦47mm×横320mm、厚み24μm)を用意し、横方向に32mmの間隔毎に9箇所、ミシン目を形成し、セパレータを得た。
【0129】
こうして作製した電極及びセパレータを用い、図5に示したような電極とセパレータとの配置関係を有する積層体を作製した。かかる積層体においては、セパレータの一端が第1のアノードを包み込む構造となるように、一端から連続する2箇所のミシン目の形成された折り曲げ部で同一方向に折り曲げ、それ以降の折り曲げ部ではつづら折りとなるように折り曲げた。なお、セパレータの一端が第1のアノードを包み込む構造は、実施例1と同様の手順で形成し、つづら折りの構造は、セパレータの折り曲げ方向を交互に変えて、アノードとカソードとがセパレータを介して交互に配置されるように形成した。また、両端の電極としては第2のカソードを用い、それ以外の電極としては第1のアノード及び第1のカソードを用いた。
【0130】
次いで、得られた積層体をケース内に入れ、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)を体積比2:1:7で混合したものを溶媒とし、1.5mol/LのLiPF6を溶質とした電解液を注入して密閉し、リチウムイオン二次電池を得た。得られたリチウムイオン二次電池の厚みは2.0mmであった。
【0131】
(実施例3)
実施例1と同様にして、第1のアノード、並びに、第1及び第2のカソードをそれぞれ用意した。
【0132】
また、ポリアクリロニトリル樹脂(PAN)製の多孔膜(縦47mm×横128mm、厚み24μm)を用意し、横方向に32mmの間隔毎に3箇所、ミシン目を形成し、セパレータを得た。
【0133】
こうして作製した電極及びセパレータを用い、図7に示したような電極とセパレータとの配置関係を有する積層体を以下の手順で作製した。すなわち、ミシン目の形成された上記3箇所の折り曲げ部をセパレータの一端から順に第1〜第3の折り曲げ部として、まず、第2のカソード上に、この第2のカソードが第1の折り曲げ部と第2の折り曲げ部との間に位置するようにセパレータを配置した。次に、セパレータ上の、第1の折り曲げ部と第2の折り曲げ部との間、及び、第2の折り曲げ部と第3の折り曲げ部との間に、それぞれ第1のアノードを配置した。次に、セパレータを第1及び第3の折り曲げ部で折り曲げた。次に、第1の折り曲げ部で折り曲げた方のセパレータ上に第1のカソードを配置した。次に、セパレータを第2の折り曲げ部で折り曲げた。最後に、折り曲げたセパレータ上(第2の折り曲げ部と第3の折り曲げ部との間)に第2のアノードを配置し、積層体を得た。
【0134】
次いで、得られた積層体をケース内に入れ、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)を体積比2:1:7で混合したものを溶媒とし、1.5mol/LのLiPF6を溶質とした電解液を注入して密閉し、リチウムイオン二次電池を得た。得られたリチウムイオン二次電池の厚みは1.2mmであった。
【0135】
(実施例4)
まず、分極性電極を以下の手順により作製した。すなわち、活物質として活性炭(商品名:RP−20、クラレケミカル社製)87質量部、導電助剤としてカーボンブラック(商品名:DAB、電気化学工業(株)製)3質量部、及び、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)(商品名:KYNAR 761、ATFINA社製)10質量部をプラネタリーミキサで混合分散した後、これに溶媒としてのN−メチル−ピロリドン(NMP)を適量混合して粘度調整し、スラリー状の塗布液を調製した。
【0136】
続いて、集電体としてエッチングアルミ箔(厚さ20μm)を用意し、上記塗布液をそのアルミニウム箔にドクターブレード法により塗布して乾燥させ、活物質含有層を形成した。次に、この活物質含有層をカレンダーロールによってプレスして圧延し、電極シートを得た。得られた電極シートを、活物質含有層面が縦12mm×横16mmの大きさとなり、且つ、集電体に外部出力端子となる舌状部を有する形状に打ち抜いた。ここでは、集電体の両面に活物質含有層が形成された電極を第1のアノード、集電体の片面のみに活物質含有層が形成された電極を第2のアノードとして作製した。また、最終的に得られる活物質含有層の厚みを20μmとした。
【0137】
また、上記電極シートを、活物質含有層面が縦11.5mm×横15.5mmの大きさとなり、且つ、集電体に外部出力端子となる舌状部を有する形状に打ち抜いた以外は上記アノードと同様にして、集電体の両面に活物質含有層が形成された電極を第1のカソード、集電体の片面のみに活物質含有層が形成された電極を第2のカソードとして作製した。
【0138】
次に、ポリアクリロニトリル樹脂(PAN)製の多孔膜(縦13mm×横49.5mm、厚み24μm)を用意し、横方向に16.5mmの間隔毎に2箇所、ミシン目を形成し、セパレータを得た。
【0139】
こうして作製した電極及びセパレータを用い、図13(a)〜(f)に示した手順に従って積層体の作製を行った。まず、図13(a)に示すように、第2のカソード上にセパレータを配置した。次に、図13(b)に示すように、セパレータ上に第1のアノードを配置した。次に、図13(c)に示すように、セパレータをミシン目が形成された一方の折り曲げ部で折り曲げた。次に、図13(d)に示すように、折り曲げたセパレータ上に第1のカソードを配置した。次に、図13(e)に示すように、セパレータをミシン目が形成された他方の折り曲げ部で折り曲げた。最後に、折り曲げたセパレータ上に第2のアノードを配置した。以上により、図3に示したような電極とセパレータとの配置関係を有する積層体を作製した。
【0140】
次いで、得られた積層体をケース内に入れ、スルホラン(SL)とジエチルカーボネート(DEC)とを質量比1:1で混合したものを溶媒とし、1.2mol/Lのテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEA+BF4−)を溶質とした電解液を注入して密閉し、図7に示すものと同様の構造を有する電気二重層キャパシタを得た。得られた電気二重層キャパシタの厚みは0.5mmであった。
【0141】
(比較例1)
実施例1と同様にして、第1及び第2のアノード、並びに、第1及び第2のカソードをそれぞれ用意した。
【0142】
また、ポリアクリロニトリル樹脂(PAN)製の多孔膜(縦47mm×横176mm、厚み24μm)をセパレータとして用意した。
【0143】
こうして作製した電極及びセパレータを用い、図9に示したような電極とセパレータとの配置関係を有する積層体を作製した。かかる積層体においては、セパレータの一端から32mmの間隔毎に2箇所、交互に逆方向に折り曲げてつづら折りの構造とし、アノードとカソードとがセパレータを介して交互に配置されるように形成した。なお、両端の電極としては第2のアノード及び第2のカソードを用い、それ以外の電極としては第1のアノード及び第1のカソードを用いた。その後、セパレータで全体の外周を覆い、最後に厚さ50μmの巻き止めテープでセパレータを固定した。
【0144】
次いで、得られた積層体をケース内に入れ、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)を体積比2:1:7で混合したものを溶媒とし、1.5mol/LのLiPF6を溶質とした電解液を注入して密閉し、リチウムイオン二次電池を得た。得られたリチウムイオン二次電池の厚みは1.2mmであった。
【0145】
(比較例2)
セパレータの横方向の長さを400mmとし、セパレータの一端から32mmの間隔毎に9箇所、交互に逆方向に折り曲げてつづら折り形状とし、6つのカソードと5つのアノードとがセパレータを介して交互に配置される構造とした以外は比較例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を得た。なお、両端の電極としては第2のカソードを用い、それ以外の電極としては第1のアノード及び第1のカソードを用いた。得られたリチウムイオン二次電池の厚みは2.2mmであった。
【0146】
(比較例3)
実施例1と同様にして、第1及び第2のアノード、並びに、第1及び第2のカソードをそれぞれ用意した。
【0147】
また、ポリアクリロニトリル樹脂(PAN)製の多孔膜(縦47mm×横96mm、厚み24μm)を用意し、横方向に32mmの間隔毎に2箇所、ミシン目を形成し、セパレータを得た。
【0148】
こうして作製した電極及びセパレータを用い、図8に示したような電極とセパレータとの配置関係を有する積層体を作製した。かかる積層体は、ミシン目の形成された二箇所の折り曲げ部で交互に逆方向に折り曲げてつづら折りの構造とした以外は実施例1と同様の手順で作製した。
【0149】
次いで、得られた積層体をケース内に入れ、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)を体積比2:1:7で混合したものを溶媒とし、1.5mol/LのLiPF6を溶質とした電解液を注入して密閉し、リチウムイオン二次電池を得た。得られたリチウムイオン二次電池の厚みは1.0mmであった。
【0150】
<放電容量及び体積エネルギー密度の測定>
実施例1〜3及び比較例1〜3で得られたリチウムイオン二次電池について、0.5CA相当の電流で、4.2VでCC−CV充電を行い、10分間の充電休止後、0.5CA相当の電流で3Vまで放電を行った。上記充放電を5回繰り返し、放電容量及び体積エネルギー密度を測定した。また、実施例4で得られた電気二重層キャパシタについて、5mAの電流で、3VでCC−CV充電を行い、充電終了直後に、5mAの電流で2Vまで放電を行った。上記充放電を5回繰り返し、放電容量及び体積エネルギー密度を測定した。それらの結果を表1に示す。
【0151】
<自己放電保持電圧の測定>
実施例1〜3及び比較例1〜3のリチウムイオン二次電池、並びに、実施例4の電気二重層キャパシタを、上述した製造方法でそれぞれ5個作製した。実施例1〜3及び比較例1〜3で得られたリチウムイオン二次電池については、0.5CA相当の電流で、3.85VでCC−CV充電を行い、1週間放置した後の電圧を測定し、5個の平均値を自己放電保持平均電圧とした。また、実施例4で得られた電気二重層キャパシタについては、5mAの電流で、2VでCC−CV充電を行い、2時間放置後の電圧を測定し、50個の平均値を自己放電保持平均電圧とした。この自己放電保持電圧により、ソフトショート発生の有無を評価することができ、充電電圧からの減少率が大きいほどソフトショートの発生率が高いことを意味する。その結果を表1に示す。
【0152】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】本発明の電気化学デバイスとしてのリチウムイオン二次電池の好適な一実施形態を示す正面図である。
【図2】図1に示すリチウムイオン二次電池の内部を示す展開図である。
【図3】本発明の電気化学デバイスにおける電極とセパレータとの配置関係を示す模式断面図である。
【図4】本発明の電気化学デバイスにおける電極とセパレータとの配置関係の他の例を示す模式断面図である。
【図5】本発明の電気化学デバイスにおける電極とセパレータとの配置関係の他の例を示す模式断面図である。
【図6】本発明の電気化学デバイスにおける電極とセパレータとの配置関係の他の例を示す模式断面図である。
【図7】本発明の電気化学デバイスにおける電極とセパレータとの配置関係の他の例を示す模式断面図である。
【図8】従来の電気化学デバイスにおける電極とセパレータとの配置関係を示す模式断面図である。
【図9】従来の電気化学デバイスにおける電極とセパレータとの配置関係を示す模式断面図である。
【図10】図1に示すリチウムイオン二次電池のII−II断面図である。
【図11】リチウムイオン二次電池の内部の他の例を示す展開図である。
【図12】リチウムイオン二次電池の内部の他の例を示す展開図である。
【図13】(a)〜(f)は、本発明の電気化学デバイスにおける積層体の製造方法の手順を示す工程図である。
【符号の説明】
【0154】
1,2,3,4,5…積層体、10…第1のアノード、12…集電体、14…アノード活物質含有層、20…第1のカソード、22…集電体、24…カソード活物質含有層、30…第2のアノード、40…第2のカソード、50…セパレータ、60…折り曲げ部、112…アノード用リード、113…外部端子、114…絶縁体、122…カソード用リード、123…外部端子、124…絶縁体、150…ケース、200…リチウムイオン二次電池。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のアノードと、第1のカソードと、
前記第1のアノードと前記第1のカソードとの間、前記第1のアノードの前記第1のカソード側とは反対側、及び、前記第1のカソードの前記第1のアノード側とは反対側に配置されるように折り曲げられた連続する一枚のセパレータと、
前記セパレータ、前記第1のアノード及び前記第1のカソードに接触する電解質と、を備え、
前記セパレータは、該セパレータの一端から連続する二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げられて、前記第1のアノード又は前記第1のカソードの周囲を包み込む形状を有している、電気化学デバイス。
【請求項2】
前記セパレータの外周面上に配置された、該セパレータを挟んで前記第1のアノードと対向する第2のカソード、及び/又は、前記セパレータの外周面上に配置された、該セパレータを挟んで前記第1のカソードと対向する第2のアノードを備える、請求項1記載の電気化学デバイス。
【請求項3】
前記第1のアノード、及び/又は、前記第1のカソードは2以上備えられ、
前記セパレータは、更に該セパレータの前記一端とは反対側の他端から連続する二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げられて、前記第1のアノード又は前記第1のカソードの周囲を包み込む形状を有している、請求項1又は2記載の電気化学デバイス。
【請求項4】
第1のアノードと、第1のカソードと、前記第1のアノードと前記第1のカソードとの間、前記第1のアノードの前記第1のカソード側とは反対側、及び、前記第1のカソードの前記第1のアノード側とは反対側に配置されるように折り曲げられた連続する一枚のセパレータと、前記セパレータの外周面上に配置された、該セパレータを挟んで前記第1のアノードと対向する第2のカソードと、前記セパレータ、前記第1のアノード、前記第1のカソード及び前記第2のカソードに接触する電解質と、を備え、前記セパレータは、該セパレータの一端から連続する二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げられて、前記第1のアノード又は前記第1のカソードの周囲を包み込む形状を有している第1のユニットと、
第1のアノードと、第1のカソードと、前記第1のアノードと前記第1のカソードとの間、前記第1のアノードの前記第1のカソード側とは反対側、及び、前記第1のカソードの前記第1のアノード側とは反対側に配置されるように折り曲げられた連続する一枚のセパレータと、前記セパレータの外周面上に配置された、該セパレータを挟んで前記第1のカソードと対向する第2のアノードと、前記セパレータ、前記第1のアノード、前記第1のカソード及び前記第2のアノードに接触する電解質と、を備え、前記セパレータは、該セパレータの一端から連続する二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げられて、前記第1のアノード又は前記第1のカソードの周囲を包み込む形状を有している第2のユニットとが、交互に積層された構造を有する、電気化学デバイス。
【請求項5】
前記セパレータの端部から連続する前記二箇所の折り曲げ部は、等間隔に形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気化学デバイス。
【請求項6】
前記セパレータの前記折り曲げ部には、該折り曲げ部に沿って切断部及び非切断部が配されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電気化学デバイス。
【請求項7】
第1のアノードと、第1のカソードと、
前記第1のアノードと前記第1のカソードとの間、前記第1のアノードの前記第1のカソード側とは反対側、及び、前記第1のカソードの前記第1のアノード側とは反対側に配置されるように折り曲げられた連続する一枚のセパレータと、
前記セパレータ、前記第1のアノード及び前記第1のカソードに接触する電解質と、を備え、
前記セパレータは、該セパレータの一端から連続する二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げられて、前記第1のアノード又は前記第1のカソードの周囲を包み込む形状を有している電気化学デバイスの製造方法であって、
前記セパレータにおける前記二箇所の折り曲げ部に挟まれた面上に前記第1のアノード又は前記第1のカソードの一方を配置する第1の配置工程と、
前記セパレータを一方の前記折り曲げ部で折り曲げ、前記第1の配置工程で配置した前記第1のアノード又は前記第1のカソード上に、折り曲げた前記セパレータを配置する第1の折り曲げ工程と、
折り曲げた前記セパレータ上に、前記第1のアノード又は前記第1のカソードの他方を配置する第2の配置工程と、
前記セパレータを他方の前記折り曲げ部で折り曲げ、前記第2の配置工程で配置した前記第1のアノード又は前記第1のカソード上に、折り曲げた前記セパレータを配置する第2の折り曲げ工程と、
を有する電気化学デバイスの製造方法。
【請求項8】
前記電気化学デバイスは、前記セパレータの外周面上に配置された、該セパレータを挟んで前記第1のアノードと対向する第2のカソード、及び/又は、前記セパレータの外周面上に配置された、該セパレータを挟んで前記第1のカソードと対向する第2のアノードを備えるものであり、
前記第1の配置工程の前に、前記第1のアノードと前記第2のアノード、及び/又は、前記第1のカソードと前記第2のカソードを、互いの位置関係が固定されるように部分的に接続する接続工程を有する、請求項7記載の電気化学デバイスの製造方法。
【請求項1】
第1のアノードと、第1のカソードと、
前記第1のアノードと前記第1のカソードとの間、前記第1のアノードの前記第1のカソード側とは反対側、及び、前記第1のカソードの前記第1のアノード側とは反対側に配置されるように折り曲げられた連続する一枚のセパレータと、
前記セパレータ、前記第1のアノード及び前記第1のカソードに接触する電解質と、を備え、
前記セパレータは、該セパレータの一端から連続する二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げられて、前記第1のアノード又は前記第1のカソードの周囲を包み込む形状を有している、電気化学デバイス。
【請求項2】
前記セパレータの外周面上に配置された、該セパレータを挟んで前記第1のアノードと対向する第2のカソード、及び/又は、前記セパレータの外周面上に配置された、該セパレータを挟んで前記第1のカソードと対向する第2のアノードを備える、請求項1記載の電気化学デバイス。
【請求項3】
前記第1のアノード、及び/又は、前記第1のカソードは2以上備えられ、
前記セパレータは、更に該セパレータの前記一端とは反対側の他端から連続する二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げられて、前記第1のアノード又は前記第1のカソードの周囲を包み込む形状を有している、請求項1又は2記載の電気化学デバイス。
【請求項4】
第1のアノードと、第1のカソードと、前記第1のアノードと前記第1のカソードとの間、前記第1のアノードの前記第1のカソード側とは反対側、及び、前記第1のカソードの前記第1のアノード側とは反対側に配置されるように折り曲げられた連続する一枚のセパレータと、前記セパレータの外周面上に配置された、該セパレータを挟んで前記第1のアノードと対向する第2のカソードと、前記セパレータ、前記第1のアノード、前記第1のカソード及び前記第2のカソードに接触する電解質と、を備え、前記セパレータは、該セパレータの一端から連続する二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げられて、前記第1のアノード又は前記第1のカソードの周囲を包み込む形状を有している第1のユニットと、
第1のアノードと、第1のカソードと、前記第1のアノードと前記第1のカソードとの間、前記第1のアノードの前記第1のカソード側とは反対側、及び、前記第1のカソードの前記第1のアノード側とは反対側に配置されるように折り曲げられた連続する一枚のセパレータと、前記セパレータの外周面上に配置された、該セパレータを挟んで前記第1のカソードと対向する第2のアノードと、前記セパレータ、前記第1のアノード、前記第1のカソード及び前記第2のアノードに接触する電解質と、を備え、前記セパレータは、該セパレータの一端から連続する二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げられて、前記第1のアノード又は前記第1のカソードの周囲を包み込む形状を有している第2のユニットとが、交互に積層された構造を有する、電気化学デバイス。
【請求項5】
前記セパレータの端部から連続する前記二箇所の折り曲げ部は、等間隔に形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気化学デバイス。
【請求項6】
前記セパレータの前記折り曲げ部には、該折り曲げ部に沿って切断部及び非切断部が配されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電気化学デバイス。
【請求項7】
第1のアノードと、第1のカソードと、
前記第1のアノードと前記第1のカソードとの間、前記第1のアノードの前記第1のカソード側とは反対側、及び、前記第1のカソードの前記第1のアノード側とは反対側に配置されるように折り曲げられた連続する一枚のセパレータと、
前記セパレータ、前記第1のアノード及び前記第1のカソードに接触する電解質と、を備え、
前記セパレータは、該セパレータの一端から連続する二箇所の折り曲げ部で同一方向に折り曲げられて、前記第1のアノード又は前記第1のカソードの周囲を包み込む形状を有している電気化学デバイスの製造方法であって、
前記セパレータにおける前記二箇所の折り曲げ部に挟まれた面上に前記第1のアノード又は前記第1のカソードの一方を配置する第1の配置工程と、
前記セパレータを一方の前記折り曲げ部で折り曲げ、前記第1の配置工程で配置した前記第1のアノード又は前記第1のカソード上に、折り曲げた前記セパレータを配置する第1の折り曲げ工程と、
折り曲げた前記セパレータ上に、前記第1のアノード又は前記第1のカソードの他方を配置する第2の配置工程と、
前記セパレータを他方の前記折り曲げ部で折り曲げ、前記第2の配置工程で配置した前記第1のアノード又は前記第1のカソード上に、折り曲げた前記セパレータを配置する第2の折り曲げ工程と、
を有する電気化学デバイスの製造方法。
【請求項8】
前記電気化学デバイスは、前記セパレータの外周面上に配置された、該セパレータを挟んで前記第1のアノードと対向する第2のカソード、及び/又は、前記セパレータの外周面上に配置された、該セパレータを挟んで前記第1のカソードと対向する第2のアノードを備えるものであり、
前記第1の配置工程の前に、前記第1のアノードと前記第2のアノード、及び/又は、前記第1のカソードと前記第2のカソードを、互いの位置関係が固定されるように部分的に接続する接続工程を有する、請求項7記載の電気化学デバイスの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−282739(P2008−282739A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−127232(P2007−127232)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
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