説明

電気掃除機

【課題】各電動送風機の累積動作時間を均一化して、使用寿命をより向上できる電気掃除機を提供する。
【解決手段】電動送風機15A,15Bを収容した掃除機本体11を備える。電動送風機15A,15Bの駆動を独立して制御可能な制御手段16を備える。制御手段16が、電動送風機15の少なくともいずれかを除く残りの他の電動送風機15を動作させる中モードおよび弱モードと、全ての電動送風機15を動作させる強モードとを有し、強モードから中モード(弱モード)に切り換えるときに、少なくとも前回中モード(弱モード)で動作させなかった電動送風機15を動作させる。各電動送風機15の累積動作時間を均一化し、使用寿命をより向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電動送風機を備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気掃除機は、内部に複数、例えば2つの電動送風機を収容した掃除機本体を備えている。各電動送風機は、掃除機本体の前部に区画された集塵室に、それぞれの吸込側が連通している。また、掃除機本体内には、電動送風機の駆動を制御する制御手段が、それぞれの電動送風機に対応して1つずつ、すなわち2つ配置されており、掃除の作業者によって設定された動作モードに応じて各制御手段の動作を制御している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2007−20765号公報(第5頁、図1−2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の電気掃除機では、動作モードに応じて各電動送風機の入力が予め設定された固定値となっているため、例えば1つの電動送風機のみを動作させる動作モードの場合には、常に予め決められた電動送風機のみが駆動するので、電気掃除機を長期に亘って使用したとき、この電動送風機が他の電動送風機よりも早く寿命末期を迎えて駆動しなくなってしまうおそれがあるという問題点を有している。
【0004】
そして、このように複数の電動送風機を備える電気掃除機の場合、少なくともいずれかの電動送風機が駆動しなくなると、全ての電動送風機を動作させる動作モードが使用できなくなり、掃除機として機能しなくなるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、各電動送風機の累積動作時間を均一化して、使用寿命をより向上できる電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の電動送風機を収容した掃除機本体と、各電動送風機の駆動を独立して制御可能な制御手段とを具備し、制御手段が、各電動送風機のうち少なくともいずれかを除く残りの他を動作させる第1モードと、全ての電動送風機を動作させる第2モードとを有し、この第2モードから第1モードに切り換えるときに、前回の第1モード時に動作させなかった電動送風機のうち少なくともいずれかを動作させるものである。
【0007】
また、本発明は、各電動送風機の累積動作時間をそれぞれ記憶する記憶手段を具備し、制御手段が、各電動送風機のうち少なくともいずれかを除く残りの他を動作させる第1モードと、全ての電動送風機を動作させる第2モードとを有し、この第2モードから第1モードに切り換えるときに、少なくとも記憶手段に記憶した累積動作時間が最も短い電動送風機を動作させるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、制御手段が、全ての電動送風機を動作させる第2モードから各電動送風機のうち少なくともいずれかを除く残りの他を単独で動作させる第1モードに切り換えるときに、前回の第1モード時に動作させなかった電動送風機のうち少なくともいずれかを動作させることにより、各電動送風機の累積動作時間を均一化し、使用寿命をより向上できる。
【0009】
また、本発明によれば、制御手段が、全ての電動送風機を動作させる第2モードから各電動送風機のうち少なくともいずれかを除く残りの他を動作させる第1モードに切り換えるときに、少なくとも記憶手段に記憶した累積動作時間が最も短い電動送風機を動作させることにより、各電動送風機の累積動作時間を均一化し、使用寿命をより向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の第1の実施の形態の電気掃除機を図1ないし図5を参照して説明する。
【0011】
図2および図3において、10はいわゆるキャニスタ型の電気掃除機であり、この電気掃除機10は、掃除機本体11を有している。この掃除機本体11は、中空な本体ケース12を備え、この本体ケース12の内部には、前側に位置しフィルタとしての集塵袋13を着脱可能な集塵室14と、後側に位置し複数、例えば2つの電動送風機15A,15B(以下、これら電動送風機15A,15Bの少なくともいずれか、あるいは全体を単に電動送風機15ということがある)、制御手段16および図示しないコードリールをそれぞれ収容した電動送風機室17とに、隔壁部18により区画されている。また、本体ケース12の前部には、集塵室14に連通する本体吸込口21が開口形成されており、この本体吸込口21には、湾曲可能な細長略円筒状の接続管としてのホース体22が連通接続されている。さらに、ホース体22の先端には、管状の手元操作部23が設けられ、この手元操作部23には、掃除する際に作業者が把持する把持部24が基端側に突設され、この把持部24には、電動送風機15などの駆動状態すなわち動作モードを所定の状態に設定する複数、例えば3つの設定ボタン25a,25b,25c(以下、これら設定ボタン25a,25b,25cの少なくともいずれか、あるいは全体を単に設定ボタン25ということがある)と、電源のオンオフ用のスイッチである入/切ボタン26とがそれぞれ設けられている。また、この手元操作部23の先端には、伸縮可能な細長略円筒状の延長管27が着脱可能に連通接続されている。さらに、この延長管27の先端には、例えば室内の被掃除面である床面の絨毯などの上に設置させて、この絨毯上の塵埃を吸い込む吸込口体としての床ブラシ28が着脱可能に連通接続されている。
【0012】
本体ケース12は、隔壁部18が設けられ上側が開放された下ケース31と、この下ケース31の前側である集塵室14の上部を開閉する蓋体32と、下ケース31の後側である電動送風機室17の上部を閉塞する上ケース33とを有している。そして、本体ケース12には、排気孔34が多数穿設されている。
【0013】
下ケース31の後側である電動送風機室17の両側部には、掃除機本体11を床面上で走行させるための大径の走行輪35が回動可能に軸支されているとともに、前側である集塵室14の床面に対向する底部に、従動輪である図示しない旋回輪が旋回可能に設けられている。
【0014】
集塵袋13は、例えば使い捨ての紙パックであり、集塵室14に固定される図示しない口枠と、この口枠に取り付けられた袋状の袋体38とを備えている。
【0015】
集塵室14は、電動送風機15A,15Bに共通して形成されたものである。
【0016】
電動送風機15A,15Bは、集塵室14に対して気密に接続可能な吸込口41A,41Bを前端に備えているとともに、後端側の外周面に複数の排気口42A,42Bを備え、電動送風機室17に互いに幅方向に並んで配置されている。なお、以下、吸込口41A,41Bの少なくともいずれか、あるいは全体を単に吸込口41といい、排気口42A,42Bの少なくともいずれか、あるいは全体を単に排気口42ということがある。
【0017】
また、図1に示すように、制御手段16は、電動送風機15A,15Bのそれぞれに対応してトライアックなどのスイッチング素子45A,45B(以下、これらスイッチング素子45A,45Bの少なくともいずれか、あるいは全体を単にスイッチング素子45ということがある)などを備えた回路基板であり、設定ボタン25により入力された動作モードに応じて、位相角制御などにより電動送風機15A,15Bのそれぞれを独立して駆動可能に構成されている。例えば、制御手段16は、設定ボタン25b,25cにより中モードあるいは弱モードなどの相対的に吸込力が小さい第1モードである動作モード(フルパワーの半分以下の吸込力の動作モード)が選択された場合には、電動送風機15の少なくともいずれかを除く残りの他を駆動させ(電動送風機15A,15Bのいずれかを駆動させて電動送風機15B,15Aのいずれかを停止させ)、設定ボタン25aにより強モードなどの相対的に吸込力が大きい第2モードである動作モード(フルパワーの半分より大きい吸込力の動作モード)が選択された場合には、電動送風機15を全て(電動送風機15A,15Bをともに)駆動させるように自動的に切り換え制御する。
【0018】
例えば、制御手段16は、図5のグラフに示すように、強モード(フルパワー)時には、電動送風機15A,15Bをともに入力1000Wで動作させ、中モード時には、電動送風機15A,15Bのいずれかを入力1000Wで動作させ、弱モード時には、電動送風機15A,15Bのいずれかを入力400Wで動作させる。すなわち、中モードおよび弱モード時には、いずれか一方の電動送風機15を単独で動作させる。なお、これら入力値は、集塵袋13に捕集している塵埃量などに応じて、各動作モードにおいて予め設定された入力範囲で増減する。
【0019】
コードリールには、商用交流電源eに接続されるプラグ部を先端部に有する図示しない電源コードが導出可能に巻回されている。
【0020】
一方、電動送風機室17は、電動送風機15A,15Bに共通して形成されており、排気孔34を介して本体ケース12の外部と連通している。
【0021】
隔壁部18には、集塵室14と電動送風機室17とを連通する丸孔状の大径の連通孔51A,51Bが電動送風機15A,15Bのそれぞれの前側に対向する位置に開口形成され、これら連通孔51A,51Bの上流側である前部には、フィルタ52A,52Bがそれぞれ取り付けられ、連通孔51A,51Bの後部には、電動送風機15A,15Bの吸込口41A,41Bとの間に、逆流防止手段としての開閉手段である逆流防止弁ユニット53A,53Bが取り付けられている。
【0022】
連通孔51A,51Bは、上流側である前部がフィルタ52A,52Bにより覆われている。
【0023】
フィルタ52A,52Bは、集塵袋13で捕集できなかった塵埃を捕集するものである。
【0024】
逆流防止弁ユニット53A,53Bは、対応する電動送風機15の駆動時の負圧により開き、対応する電動送風機15の停止時には閉じ、かつ、他の電動送風機15の駆動時には、他の電動送風機15の駆動による負圧によって閉じるように構成されている。すなわち、逆流防止弁ユニット53A,53Bは、上流側と下流側との圧力差(風力)によって開閉可能となっている。
【0025】
次に、上記第1の実施の形態の動作を説明する。
【0026】
まず、新たな集塵袋13を用いる場合には、蓋体32を開けて露出した集塵室14に集塵袋13を取り付け、蓋体32を閉じた後、電源コードを引き出して先端部のプラグ部をコンセント(商用交流電源e)に接続する(プラグイン)。集塵袋13を新たにしない場合には、蓋体32を開閉することなく電源コードを引き出してプラグ部をコンセント(商用交流電源e)に接続する。
【0027】
そして、本体吸込口21に接続されたホース体22の手元操作部23の把持部24を把持し、電動送風機15の停止状態Sから、入/切ボタン26を操作することで、掃除機本体11内の制御手段16がスイッチング素子45によって電動送風機15の動作を位相角制御して負圧を発生させる。
【0028】
このとき、図4に示すように、制御手段16は、電動送風機15を中モードで動作させる。ここでは、便宜的に電動送風機15Aを動作させるものとする(動作状態MA(図2(a)))。
【0029】
この中モードの動作状態MAから、作業者が例えば設定ボタン25cを操作すると、制御手段16は、電動送風機15Aの入力を例えば400Wとすることで弱モードに切り換える(動作状態LA)。また、制御手段16は、この弱モードの動作状態LAから作業者が設定ボタン25bを操作すると、電動送風機15Aの入力を例えば1000Wとすることで中モードの動作状態MAに切り換える。
【0030】
さらに、動作状態LAあるいは動作状態MAから、作業者が設定ボタン25aを操作すると、制御手段16が電動送風機15A,15Bの入力をそれぞれ1000Wとすることで、切り換え前に電動送風機15Aが動作していた強モードの動作状態HAに切り換える(図2(c))。
【0031】
また、この動作状態HAから、作業者が設定ボタン25b、あるいは設定ボタン25cを操作すると、制御手段16が電動送風機15Aを停止させるとともに、電動送風機15Bの入力を1000Wとする中モードの動作状態MB、あるいは電動送風機15Bの入力を400Wとする弱モードの動作状態LBとする(図2(b))。
【0032】
さらに、中モードの動作状態MBから、作業者が設定ボタン25cを操作すると、制御手段16が電動送風機15Bの入力を400Wとすることで、弱モードの動作状態LBに切り換える。同様に、弱モードの動作状態LBから、作業者が設定ボタン25bを操作すると、制御手段16が電動送風機15Bの入力を1000Wとすることで、中モードの動作状態MBに切り換える。
【0033】
また、動作状態LBあるいは動作状態MBから、作業者が設定ボタン25aを操作すると、制御手段16が電動送風機15A,15Bの入力をそれぞれ1000Wとすることで、切り換え前に電動送風機15Bが動作していた強モードの動作状態HBに切り換える(図2(c))。
【0034】
そして、この動作状態HBから、作業者が設定ボタン25b、あるいは設定ボタン25cを操作すると、制御手段16が電動送風機15Bを停止させるとともに、電動送風機15Aの入力を1000Wとする中モードの動作状態MA、あるいは電動送風機15Aの入力を400Wとする弱モードの動作状態LAとする(図2(a))。
【0035】
すなわち、制御手段16は、一旦強モードに切り換えた後に、この強モードから中モードあるいは弱モードに切り換えるときに、この切り換えの直前に動作していた電動送風機15と反対側の電動送風機15を動作させる。換言すれば、制御手段16は、強モード(全ての電動送風機15を動作させる動作モード)から中モードあるいは弱モード(いずれか一の電動送風機15を動作させる動作モード)に切り換えるときに、動作させる電動送風機15を切り換える。
【0036】
なお、逆流防止弁ユニット53A,53Bは、電動送風機15A,15Bをともに動作させる強モードの動作状態HA,HBのときに両方が開き、電動送風機15Aのみを動作させる中モードの動作状態MAあるいは弱モードの動作状態LAのときには、逆流防止弁ユニット53Aのみが開いて逆流防止弁ユニット53Bが閉じ、電動送風機15Bのみを動作させる中モードの動作状態MBあるいは弱モードの動作状態LBのときには、逆流防止弁ユニット53Bのみが開いて逆流防止弁ユニット53Aが閉じる。
【0037】
そして、作業者が、把持した把持部24により、ホース体22の先端側に延長管27を介して接続された床ブラシ28を床面上などで前後に走行させると、電動送風機15の負圧により床ブラシ28の先端から塵埃とともに吸い込まれた空気は吸込風となり、塵埃とともに延長管27、ホース体22および本体吸込口21を介して集塵袋13へと吸い込まれ、この集塵袋13の袋体38を通過する際に、含まれる塵埃が捕集される。
【0038】
袋体38を通過した空気は、フィルタを通過した後、連通孔を介して電動送風機15の吸込口41へと吸い込まれ、この電動送風機15内を通過して排気口42から排気風として排気され、排気孔34を介して電動送風機室17から本体ケース12の外部へと排気される。
【0039】
上述したように、上記第1の実施の形態では、制御手段16が、全ての電動送風機15を動作させる強モードから電動送風機15Aあるいは電動送風機15Bを単独で動作させる中モードあるいは弱モードに切り換えるときに、動作させる電動送風機15を切り換える構成とした。
【0040】
複数の電動送風機15を備える電気掃除機10において、少なくともいずれかの電動送風機15を除く残りの他の電動送風機15を動作させる(例えばいずれか一方の電動送風機15A,15Bを単独で動作させる)動作モードを備える場合、従来では、この動作モード時に、予め決定された電動送風機が動作するように制御するのに対して、上記第1の実施の形態では、前回動作させなかった電動送風機15のうちの少なくともいずれか、ここでは前回動作させなかった方の電動送風機15を動作させるため、所定の電動送風機15が重点的に動作することを防止し、各電動送風機15の累積動作時間を均一化できる。
【0041】
この結果、電気掃除機10を長期に亘って使用したとき、いずれか一の電動送風機15が他の電動送風機15よりも早く寿命を迎えることを抑制して、全ての電動送風機15を動作させる動作モード(強モード)が使用できなくなることを抑制でき、電気掃除機10として機能しなくなることを抑制できるなど、使用寿命をより向上できる。
【0042】
次に、第2の実施の形態を図6を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0043】
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態に加えて、制御手段16が中モードあるいは弱モード、すなわち少なくともいずれかの電動送風機15を除く残りの他の電動送風機15を動作させる動作モード(例えば電動送風機15のいずれかを単独で動作させる動作モード)で運転開始する毎に、前回動作させなかった電動送風機15のうちの少なくともいずれか、ここでは前回動作させなかった方の電動送風機15を動作させるものである。
【0044】
すなわち、図6に示すように、中モードの動作状態MAから、作業者が入/切ボタン26を操作すると、制御手段16が電動送風機15Aの入力を0とすることで、切り換え前に電動送風機15Aが中モードで動作していた停止状態SMAに切り換える。同様に、弱モードの動作状態LAから、作業者が入/切ボタン26を操作すると、制御手段16は電動送風機15Aの入力を0とすることで、切り換え前に電動送風機15Aが弱モードで動作していた停止状態SLAに切り換える。
【0045】
さらに、停止状態SMAから、作業者が入/切ボタン26を操作すると、制御手段16が電動送風機15Bの入力を例えば1000Wとすることで、中モードの動作状態MBに切り換える。同様に、停止状態SLAから、作業者が入/切ボタン26を操作すると、制御手段16が電動送風機15Bの入力を例えば400Wとすることで、弱モードの動作状態LBに切り換える。
【0046】
また、中モードの動作状態MBから、作業者が入/切ボタン26を操作すると、制御手段16が電動送風機15Bの入力を0とすることで、切り換え前に電動送風機15Bが中モードで動作していた停止状態SMBに切り換える。同様に、弱モードの動作状態LBから、作業者が入/切ボタン26を操作すると、制御手段16は電動送風機15Bの入力を0とすることで、切り換え前に電動送風機15Bが弱モードで動作していた停止状態SLBに切り換える。
【0047】
さらに、停止状態SMBから、作業者が入/切ボタン26を操作すると、制御手段16が電動送風機15Aの入力を例えば1000Wとすることで、中モードの動作状態MAに切り換える。同様に、停止状態SLBから、作業者が入/切ボタン26を操作すると、制御手段16が電動送風機15Aの入力を例えば400Wとすることで、弱モードの動作状態LAに切り換える。
【0048】
また、強モードの動作状態HAから、作業者が入/切ボタン26を操作すると、制御手段16が電動送風機15A,15Bの入力をそれぞれ0とすることで、強モードの切り換え前に電動送風機15Aが動作していた停止状態SHAに切り換える。同様に、強モードの動作状態HBから、作業者が入/切ボタン26を操作すると、制御手段16が電動送風機15A,15Bの入力をそれぞれ0とすることで、強モードの切り換え前に電動送風機15Bが動作していた停止状態SHBに切り換える。
【0049】
さらに、停止状態SHAから、作業者が入/切ボタン26を操作すると、制御手段16が電動送風機15A,15Bのそれぞれの入力を例えば1000Wとすることで、切り換え前に電動送風機15Aが動作していた強モードの動作状態HAに切り換える。同様に、停止状態SHBから、作業者が入/切ボタン26を操作すると、制御手段16が電動送風機15A,15Bのそれぞれの入力を例えば1000Wとすることで、切り換え前に電動送風機15Bが動作していた強モードの動作状態HBに切り換える。
【0050】
このように、制御手段16が、中モード、あるいは弱モードなど、少なくともいずれかの電動送風機15を除く残りの他の電動送風機15を動作させる動作モード(例えばいずれかの電動送風機15を単独で動作させる動作モード)で運転開始する毎に、前回動作させなかった電動送風機15のうちの少なくともいずれか、ここでは前回動作させなかった方の電動送風機15を動作させることにより、所定の電動送風機15のみが重点的に動作することを、より確実に防止し、各電動送風機15の累積動作時間をより均一化して、使用寿命をより向上できる。
【0051】
なお、上記各実施の形態において、停止状態Sから入/切ボタン26を操作した際には、中モードの動作状態MAとする以外でも、任意の動作状態とすることが可能である。
【0052】
次に、第3の実施の形態を図7および図8を参照して説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0053】
この第3の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、図7に示すように、電気掃除機10が記憶手段としてのメモリ55を備えるものである。
【0054】
メモリ55は、制御手段16に接続されており、電動送風機15A,15Bのそれぞれの累積動作時間TA,TB(以下、これら累積動作時間TA,TBの少なくともいずれか、あるいは全体を単に累積動作時間Tということがある)などを記憶している。このメモリ55は、不揮発性のものであり、電源コードのプラグ部をコンセント(商用交流電源e)から取り外しても、記憶した内容が失われることはない。
【0055】
ここで、メモリ55に記憶している電動送風機15A,15Bの累積動作時間TA,TBは、これら電動送風機15A,15Bの動作時間t1A,t1Bを単純に累積(加算)してもよい(TA=Σ(t1A)、TB=Σ(t1B))し、各電動送風機15A,15Bの動作時間t1を、これら電動送風機15A,15Bの動作モードに対応して補正した補正動作時間t2A,t2Bを累積(加算)した時間としてもよい(TA=Σ(t2A)、TB=Σ(t2B))。
【0056】
すなわち、電動送風機15が弱モード(例えば400W)で動作しているときと、電動送風機15が中モードあるいは強モード(例えば1000W)で動作しているときとでは、電動送風機15に加わる負荷がそれぞれ異なるため、制御手段16は、動作時間t1に対して、各動作モードに対応して予め設定された所定の係数αMを掛けることで、補正動作時間t2A(=t1A×αM),t2B(=t1B×αM)を算出する。ここで、係数αMは、電動送風機15の負荷が最も大きい動作モード時には1であり、電動送風機15の負荷の減少に伴って減少する非負数である。すなわち、係数αMは、0<αM≦1を満たしている。
【0057】
なお、電動送風機15は、入力を最大定格電力(例えば1000W)としたときの負荷よりも、入力を最大定格電力の90%程度としたときの負荷の方が大きいものの、上記第2の実施の形態では、入力を最大定格電力とする動作モード(強モード、中モード)と、入力を最大定格電力の半分未満とする動作モード(弱モード)とのみであるため、強モードおよび中モードでの動作時には、係数αMを1とし、弱モードでの動作時には、係数αMを0.4程度とするものとする。
【0058】
そして、電源コードを引き出して先端部のプラグ部をコンセント(商用交流電源e)に接続し(プラグイン)、電動送風機15の停止状態Sから、入/切ボタン26を操作することで、掃除機本体11内の制御手段16がスイッチング素子45によって電動送風機15の動作を位相角制御して負圧を発生させる。
【0059】
このとき、図8に示すように、制御手段16は、電動送風機15を中モードで動作させる。ここでは、便宜的に電動送風機15Aを動作させるものとする(動作状態MA)。
【0060】
この中モードの動作状態MAから、作業者が例えば設定ボタン25cを操作すると、制御手段16は、電動送風機15Aの入力を例えば400Wとすることで弱モードに切り換える(動作状態LA)。また、制御手段16は、この弱モードの動作状態LAから作業者が設定ボタン25bを操作すると、電動送風機15Aの入力を例えば1000Wとすることで中モードの動作状態MAに切り換える。
【0061】
さらに、動作状態LAあるいは動作状態MAから、作業者が設定ボタン25aを操作すると、制御手段16が電動送風機15A,15Bの入力をそれぞれ例えば1000Wとすることで、強モードの動作状態Hに切り換える。
【0062】
また、この動作状態Hから、作業者が設定ボタン25b、あるいは設定ボタン25cを操作すると、制御手段16が、メモリ55に記憶した累積動作時間TA,TBを参照し、少なくとも累積動作時間Tが最も短い電動送風機15を動作させる。
【0063】
具体的には、累積動作時間Tが最短でない電動送風機15の少なくともいずれかの入力を0としてこの電動送風機15を停止させ、累積動作時間Tが最短の電動送風機15の入力を所定値とする。本実施の形態では、累積動作時間Tが長い方電動送風機15の入力を0とし、累積動作時間Tが最も短い電動送風機15の入力を例えば1000Wとする中モードの動作状態、例えば400Wとする弱モードの動作状態とする。
【0064】
例えば、累積動作時間TAが累積動作時間TB以上のとき(TA≧TBのとき)、制御手段16は、電動送風機15Aの入力を0とし、電動送風機15Bの入力を例えば1000Wとする中モードの動作状態MB、あるいは電動送風機15Bの入力を例えば400Wとする弱モードの動作状態LBに切り換える。一方、累積動作時間TBが累積動作時間TAより大きいとき(TA<TBのとき)、制御手段16は、電動送風機15Bの入力を0とし、電動送風機15Aの入力を例えば1000Wとする中モードの動作状態MA、あるいは電動送風機15Aの入力を例えば400Wとする弱モードの動作状態LAに切り換える。
【0065】
また、動作状態MBから、作業者が例えば設定ボタン25cを操作すると、制御手段16は、電動送風機15Bの入力を例えば400Wとすることで弱モードに切り換える(動作状態LB)。また、制御手段16は、この弱モードの動作状態LBから作業者が設定ボタン25bを操作すると、電動送風機15Bの入力を例えば1000Wとすることで中モードの動作状態MBに切り換える。
【0066】
さらに、動作状態LBあるいは動作状態MBから、作業者が設定ボタン25aを操作すると、制御手段16が電動送風機15A,15Bの入力をそれぞれ例えば1000Wとすることで、強モードの動作状態Hに切り換える。
【0067】
このように、制御手段16が、全ての電動送風機15を動作させる強モードから電動送風機15の少なくともいずれかを除く残りの他を動作させる中モード、あるいは弱モード(例えばいずれかの電動送風機15を単独で動作させる動作モード)に切り換えるときに、少なくともメモリ55に記憶した累積動作時間Tが最も短い電動送風機15を動作させることにより、各電動送風機15の累積動作時間Tを均一化できる。
【0068】
この結果、電気掃除機10を長期に亘って使用したとき、所定の電動送風機15が他の電動送風機15よりも早く寿命を迎えることを抑制して、全ての電動送風機15を動作させる動作モード(強モード)が使用できなくなることを抑制でき、電気掃除機10として機能しなくなることを抑制できるなど、使用寿命をより向上できる。
【0069】
また、制御手段16は、電動送風機15A,15Bの動作時間t1A,t1Bをその動作時の入力に対応させて係数αMにより補正した補正動作時間t2A,t2Bによって累積動作時間Tを算出する場合には、実質的な電動送風機15の負荷に対応して累積動作時間Tを適切に算出でき、各電動送風機15の累積動作時間Tをより均一化できる。
【0070】
次に、第4の実施の形態を図9を参照して説明する。なお、上記第3の実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0071】
この第4の実施の形態は、上記第3の実施の形態の停止状態Sに代えて、前回動作させた動作モードに対応した停止状態SH,SM,SLを備えている。
【0072】
すなわち、電源コードのプラグ部をコンセント(商用交流電源e)から一旦取り外したかどうかに拘らず、電源コードのプラグ部がコンセント(商用交流電源e)に接続された電動送風機15の停止状態で、前回の動作モードが強モードであった場合には、停止状態SHが選択され、前回の動作モードが中モードであった場合には、停止状態SMが選択され、前回の動作モードが弱モードであった場合には、電動送風機15の停止状態で停止状態SLが選択される。
【0073】
停止状態SHにおいて、作業者が入/切ボタン26を操作すると、制御手段16が電動送風機15A,15Bの入力を例えば1000Wとすることで、強モードでの動作状態Hに切り換える。また、この強モードでの動作状態Hから作業者が入/切ボタン26を操作すると、制御手段16が電動送風機15A,15Bの入力を0とすることで、停止状態SHに切り換える。
【0074】
また、停止状態SMにおいて、作業者が入/切ボタン26を操作すると、制御手段16がメモリ55に記憶した累積動作時間TA,TBを参照し、累積動作時間TAが累積動作時間TB以上のとき(TA≧TBのとき)、制御手段16は、電動送風機15Aの入力を0とし、電動送風機15Bの入力を例えば1000Wとする中モードの動作状態MBに切り換え、累積動作時間TBが累積動作時間TAより大きいとき(TA<TBのとき)、制御手段16は、電動送風機15Bの入力を0とし、電動送風機15Aの入力を例えば1000Wとする中モードの動作状態MAに切り換える。
【0075】
さらに、これら中モードの動作状態MAあるいは中モードの動作状態MBから作業者が入/切ボタン26を操作すると、制御手段16が電動送風機15A,15Bの入力を0とすることで、停止状態SMに切り換える。
【0076】
また、停止状態SLにおいて、作業者が入/切ボタン26を操作すると、制御手段16がメモリ55に記憶した累積動作時間TA,TBを参照し、累積動作時間TAが累積動作時間TB以上のとき(TA≧TBのとき)、制御手段16は、電動送風機15Aの入力を0とし、電動送風機15Bの入力を例えば400Wとする弱モードの動作状態LBに切り換え、累積動作時間TBが累積動作時間TAより大きいとき(TA<TBのとき)、制御手段16は、電動送風機15Bの入力を0とし、電動送風機15Aの入力を例えば400Wとする弱モードの動作状態LAに切り換える。
【0077】
さらに、これら弱モードの動作状態LAあるいは弱モードの動作状態LBから作業者が入/切ボタン26を操作すると、制御手段16が電動送風機15A,15Bの入力を0とすることで、停止状態SLに切り換える。
【0078】
このように、中モード、あるいは弱モードなど、少なくともいずれかの電動送風機15を除く残りの他の電動送風機15を動作させる動作モード(例えばいずれかの電動送風機15を単独で動作させる動作モード)で運転開始する際に、少なくともメモリ55に記憶した累積動作時間Tが最も短い電動送風機15を動作させることにより、所定の電動送風機15のみが重点的に動作することを、より確実に防止し、各電動送風機15の累積動作時間をより均一化して、使用寿命をより向上できる。
【0079】
なお、上記各実施の形態において、逆流防止弁ユニット53A,53Bは、電動送風機15A,15Bの排気側にそれぞれ配置してもよい。
【0080】
さらに、電動送風機15の動作モードは、少なくともいずれかの電動送風機15を除く残りの他を動作させる第1モードと、全ての電動送風機15を動作させる第2モードとを少なくとも備えていれば、その動作モードの数および種類などは、上記に限定されるものではない。
【0081】
そして、電動送風機室17は、電動送風機15A,15Bに応じてそれぞれ区画してもよい。
【0082】
また、電動送風機15は、3つ以上備える構成としてもよい。
【0083】
さらに、電気掃除機10の細部は、上記構成に限定されるものではない。
【0084】
そして、電気掃除機10としては、キャニスタ型に限らず、例えば掃除機本体11の下部に床ブラシ28を接続するアップライト型、あるいは、掃除機本体11の前部に床ブラシ28を接続するハンディ型などでも、対応して用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1の実施の形態の電気掃除機を示すブロック図である。
【図2】(a)は同上電気掃除機の一の電動送風機の動作状態を示す説明平面図、(b)は同上電気掃除機の他の電動送風機の動作状態を示す説明平面図、(c)は同上電気掃除機の全ての電動送風機の動作状態を示す説明平面図である。
【図3】同上電気掃除機を示す斜視図である。
【図4】同上電気掃除機の動作状態の遷移を示す説明図である。
【図5】同上電気掃除機の動作状態での入力を示すグラフである。
【図6】本発明の第2の実施の形態の電気掃除機の動作状態の遷移を示す説明図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態の電気掃除機を示すブロック図である。
【図8】同上電気掃除機の動作状態の遷移を示す説明図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態の電気掃除機の動作状態の遷移を示す説明図である。
【符号の説明】
【0086】
10 電気掃除機
11 掃除機本体
15A,15B 電動送風機
16 制御手段
55 記憶手段としてのメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電動送風機を収容した掃除機本体と、
前記各電動送風機の駆動を独立して制御可能な制御手段とを具備し、
前記制御手段は、前記各電動送風機のうち少なくともいずれかを除く残りの他を動作させる第1モードと、全ての前記電動送風機を動作させる第2モードとを有し、この第2モードから第1モードに切り換えるときに、前回の前記第1モード時に動作させなかった前記電動送風機のうち少なくともいずれかを動作させる
ことを特徴とした電気掃除機。
【請求項2】
制御手段は、第1モードで運転開始する毎に、前回の第1モード時に動作させなかった電動送風機のうち少なくともいずれかを動作させる
ことを特徴とした請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
複数の電動送風機を収容した掃除機本体と、
前記各電動送風機の駆動を独立して制御可能な制御手段と、
前記各電動送風機の累積動作時間をそれぞれ記憶する記憶手段とを具備し、
前記制御手段は、前記各電動送風機のうち少なくともいずれかを除く残りの他を動作させる第1モードと、全ての前記電動送風機を動作させる第2モードとを有し、この第2モードから第1モードに切り換えるときに、少なくとも前記記憶手段に記憶した累積動作時間が最も短い前記電動送風機を動作させる
ことを特徴とした電気掃除機。
【請求項4】
制御手段は、第1モードで運転開始する際に、少なくとも記憶手段に記憶した累積動作時間が最も短い電動送風機を動作させる
ことを特徴とした請求項3記載の電気掃除機。
【請求項5】
制御手段は、電動送風機の動作時間をその動作時の入力に対応させて補正することにより累積動作時間を算出する
ことを特徴とした請求項3または4記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−104690(P2010−104690A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281795(P2008−281795)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】