説明

電気接点及びその電気接点の製造方法

【課題】本発明は電気接点20同士の接続不良に繋がることがなく、所定の高さを形成することができる電気接点20とその電気接点20の製造方法を提供。
【解決手段】本目的の電気接点20は銅箔40上に突出する電気接点20であって、銅箔40上に金属ペースト層42を塗布するとともに金属ペースト層42に金属ボール44を焼結固定し、少なくとも金属ボール44の相手物と接触する部分に金めっきを施すことことにより達成でき、電気接点20の製造方法は銅箔40上に突出する電気接点20の製造方法において、第一工程として銅箔40上に所定の大きさの金属ペースト層42を塗布し、第二工程として金属ペースト層42上に金属ボール44を搭載した後に、金属ボール44を銅箔方向に加圧し、第三工程として所定の温度により金属ボール44を焼結固定し、第四工程として少なくとも金属ボール44の相手物との接触部分に貴金属めっきを施すことにより達成可能。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、銅箔上に突出するように形成された電気接点を製造する場合に、前記電気接点の高さを、径を大きくすることなく高くし、かつ、均一な高さを得る電気接点の構造及び製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回路基板と電子部品との間の接触にあたっては、一方が平面上の場合、もう一方を突出させる(例えば、略半球状)場合が多々ある。
【特許文献1】特開2004−335666の要約によると、止め孔上の導電体自体がコネクタの接点になるよう、止め孔中に金属を充填させる工程に連続して、止め孔上の導電体が盛り上がり半球状となるように、金属を析出することを目的に、止め孔内は当初低電流密度、例えば0.5〜10A/dm2の電流密度でメッキを行い、止め孔上面に達した後に電流を調整して、当初の5倍〜10倍の電流密度を保ちながら、止め孔上の導電体が径方向の大きさと高さ方向の大きさの比が略1対1に近い半球状となるように、金属を析出する構造のものが開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、電気・電子機器の小型化が進むにつれ、電気コネクタも小型化や狭小ピッチ化が進んできている。銅箔上に前記電気接点を製造する場合には、特許文献1に開示されているように前記電気接点の径と高さの関係は、略1対1の関係になる。
しかしながら、電気接点間の間隔が狭小化すると、ある一定高さの接点を形成しようとすると、接点の径も大きくなり隣接する電気接点同士が近接してしまい、しいては絶縁不良や短絡に繋がると言った課題や、隣接する電気接点同士が近接しないようにすると、所定の高さが得られないと言った課題があった。
また、複数の電気接点が等間隔で配置される電気コネクタでは、前記電気接点をめっきによって形成しようとすると、前記電気接点の配置される位置によって、めっき加工時に電気接点の径や高さのバラツキが生じると言った問題点もあった。
【0004】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、電気接点同士の接続不良に繋がることがなく、所定の高さ(高さを高くし、かつ、均一な高さ)の電気接点を形成することができる電気接点と該電気接点の製造方法を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、請求項1記載のように銅箔40上に突出する電気接点20を、前記銅箔40上に金属ペースト層42若しくは導電性ペースト層を塗布するとともに該金属ペースト層42若しくは導電性ペースト層に金属ボール44を硬化固定し、少なくとも前記金属ボール44の相手物と接触する部分に貴金属めっきを施すことや請求項2記載のように銅箔40上に突出する電気接点20を、前記銅箔40上に金属ペースト層42若しくは導電性ペースト層を塗布するとともに該金属ペースト層42若しくは導電性ペースト層に貴金属めっきを施した金属ボール44を硬化固定することにより達成できる。
【0006】
純度の高い金属を用いると、多結晶体の境界が表面で窪みとなってしまうために、請求項3記載の電気接点20は、合金により作成した前記金属ボール44を用いる。単一金属元素が、97%を超えない合金を使用することが望ましく、例えば、リン青銅やベリリウム銅等の銅合金を用いることが望ましい。
また、請求項4記載の電気接点20は、前記銅箔40上に貫通孔48の開いたカバーレイ46を配置するとともに前記貫通孔48に前記金属ペースト42若しくは導電性ペースト層を塗布する。
前記カバーレイ46の貫通孔48の開口角度は30°〜70°にすることが望ましい。このようにすることで、前記金属ボール44を強固に安定した位置に硬化固定できる。
さらに、前記金属ボール44の保持強度のために、請求項5記載の電気接点20は、前記銅箔40上に貫通孔48の開いたカバーレイ46を配置した後に、前記貫通孔48及びカバーレイ46に少なくとも前記カバーレイ46の上面まで至る銅めっき50を施すとともに前記銅めっき50上に前記金属ペースト層42若しくは導電性ペースト層を塗布する。
【0007】
上記目的の電気接点20の製造方法は、請求項6記載のように第一工程として銅箔40上に所定の大きさの金属ペースト層42若しくは導電性ペースト層を塗布し、第二工程として前記金属ペースト層42上若しくは導電性ペースト層上に金属ボール44を搭載した後に、前記金属ボール44を前記銅箔方向に加圧し、第三工程として所定の温度により前記金属ボール44を硬化固定し、第四工程として少なくとも前記金属ボール44の相手物との接触部分に貴金属めっきを施すことや請求項7記載のように第一工程として銅箔40上に所定の大きさの金属ペースト層42若しくは導電性ペースト層を塗布し、第二工程として前記金属ペースト層42上若しくは導電性ペースト層上に貴金属めっきを施した金属ボール44を搭載した後に、前記金属ボール44を前記銅箔方向に加圧し、第三工程として所定の温度により前記金属ボール44を硬化固定することにより達成できる。
【0008】
純度の高い金属を用いると、多結晶体の境界が表面で窪みとなってしまうために、請求項8記載の電気接点20の製造方法は、合金により作成した前記金属ボール44を用いる。単一金属元素が、97%を超えない合金を使用することが望ましく、例えば、リン青銅やベリリウム銅等の銅合金を用いることが望ましい。
請求項9記載の電気接点20の製造方法は、前記銅箔40上に貫通孔48の開いたカバーレイ46を配置するとともに前記貫通孔48に前記金属ペースト42若しくは導電性ペースト層を塗布する。
前記カバーレイ46の貫通孔48の開口角度は30°〜70°にすることが望ましい。このようにすることで、前記金属ボール44に接するカバーレイ46との隙間をほぼ同じくし、接合面を均等化でき、接合強度を強固に、安定した位置に硬化固定できる。
さらに、前記金属ボール44の保持強度のために、請求項10記載の電気接点20の製造方法は、前記銅箔40上に貫通孔48の開いたカバーレイ46を配置した後に、前記貫通孔48及びカバーレイ46に少なくとも前記カバーレイ46の上面まで至る銅めっき50を施すとともに前記銅めっき50上に前記金属ペースト層42若しくは導電性ペースト層を塗布する。
【発明の効果】
【0009】
以上の説明から明らかなように、本発明のような電気接点20の構造や電気接点20の製造方法を用いると、次のような優れた顕著な効果が得られる。
(1)銅箔40上に突出する電気接点20であって、前記銅箔40上に金属ペースト層42若しくは導電性ペースト層を塗布するとともに該金属ペースト層42若しくは導電性ペースト層に金属ボール44を硬化固定し、少なくとも前記金属ボール44の相手物と接触する部分に貴金属めっきを施しているので、複数の電気接点20での高さのバラツキがなく(均一な高さが得られ)、前記金属ボール44の径を選定することで要求に応じた電気接点20の高さを得ることができ、接続不良に繋がることがない。
(2)銅箔40上に突出する電気接点20であって、前記銅箔40上に金属ペースト層42若しくは導電性ペースト層を塗布するとともに該金属ペースト層42若しくは導電性ペースト層に貴金属めっきを施した金属ボール44を硬化固定しているので、複数の電気接点20での高さのバラツキがなく(均一な高さが得られ)、前記金属ボール44の径を選定することで要求に応じた電気接点20の高さを得ることができ、接続不良に繋がることがない。
(3)請求項3記載の電気接点20は、合金により作成した前記金属ボール44を用いているので、窪み等が接点として問題がない程度に微細化し、全体として真球になり、安定した接続を得ることができる。
(4)請求項4記載の電気接点20は、前記銅箔上に貫通孔48の開いたカバーレイ46を配置するとともに前記貫通孔48に前記金属ペースト42若しくは導電性ペースト層を塗布しているので、前記金属ボール44を所定の位置に配置し易く、複数の電気接点20での高さのバラツキがなく(均一な高さが得られ)、要求に応じた電気接点20の高さを得ることができ、接続不良に繋がることがない。
(5)請求項5記載の電気接点20は、前記銅箔40上に貫通孔48の開いたカバーレイ46を配置した後に、前記貫通孔48及びカバーレイ46に少なくとも前記カバーレイ46の上面まで至る大きさの銅めっき50を施すとともに前記銅めっき50上に前記金属ペースト層42若しくは導電性ペースト層を塗布しているので、前記金属ボール44を所定の位置に配置し易く、複数の電気接点20での高さのバラツキがなく(均一な高さが得られ)、要求に応じた電気接点20の高さを得ることができ、金属ボール44の保持強度をアップすることができ、接続不良に繋がることがない。
(6)銅箔上に突出する電気接点20の製造方法において、第一工程として銅箔40上に所定の大きさの金属ペースト層42若しくは導電性ペースト層を塗布し、第二工程として前記金属ペースト層42上若しくは導電性ペースト層上に金属ボール44を搭載した後に、前記金属ボール44を前記銅箔方向に加圧し、第三工程として所定の温度により前記金属ボール44を硬化固定し、第四工程として少なくとも前記金属ボール44の相手物との接触部分に貴金属めっきを施しているので、複数の電気接点20での高さのバラツキがなく(均一な高さが得られ)、要求に応じた電気接20点の高さを得ることができ、接続不良に繋がることがない。
(7)銅箔上に突出する電気接点20の製造方法において、第一工程として銅箔40上に所定の大きさの金属ペースト層42若しくは導電性ペースト層を塗布し、第二工程として前記金属ペースト層42上若しくは導電性ペースト層上に貴金属めっきを施した金属ボール44を搭載した後に、前記金属ボール44を前記銅箔方向に加圧し、第三工程として所定の温度により前記金属ボール44を硬化固定しているので、複数の電気接点20での高さのバラツキがなく(均一な高さが得られ)、要求に応じた電気接20点の高さを得ることができ、接続不良に繋がることがない。
(8)請求項8記載の電気接点20の製造方法は、合金により作成した前記金属ボール44を用いているので、窪み等が接点として問題がない程度に微細化し、全体として真球になり、安定した接続を得ることができる。
(9)請求項9記載の電気接点20の製造方法は、前記銅箔40上に貫通孔48の開いたカバーレイ46を配置するとともに前記貫通孔48に前記金属ペースト42若しくは導電性ペースト層を塗布しているので、前記金属ボール44を所定の位置に配置し易く、複数の電気接点20での高さのバラツキがなく(均一な高さが得られ)、要求に応じた電気接点20の高さを得ることができ、接続不良に繋がることがない。
(10)請求項10記載の電気接点20の製造方法は、前記銅箔40上に貫通孔48の開いたカバーレイ46を配置した後に、前記貫通孔48及びカバーレイ46に少なくとも前記カバーレイ46の上面まで至る大きさの銅めっき50を施すとともに前記銅めっき50上に前記金属ペースト層42若しくは導電性ペースト層を塗布しているので、前記金属ボール44を所定の位置に配置し易く、複数の電気接点20での高さのバラツキがなく(均一な高さが得られ)、要求に応じた電気接点20の高さを得ることができ、金属ボール44の保持強度をアップすることができ、接続不良に繋がることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1から図5に基づいて、本発明の電気接点20の構造及び該電気接点20の製造方法について説明する。本実施例では前記電気接点20を用いた電気コネクタ10について説明する。
図1(A)は本発明の電気接点の構造図であり、(B)は(A)にカバーレイを用いた場合の電気接点の構造図であり、(C)はカバーレイの開口角度を説明する電気接点の構造図である。図2は電気コネクタの平面図と電気コネクタの縦断面図である。図3は電気コネクタの平面図と縦断面図の部分的な拡大図である。図4は本発明の電気接点の製造方法を説明する図面であり、図5は図4にカバーレイを用いた場合の電気接点の製造方法を説明する図面である。図6はさらに別の電気接点の構造図である。図7は図6の電気接点の製造方法を説明する図面である。
一実施例の電気コネクタは、少なくともエラストマーと導電細線とフレキシブルプリント基板(以下「FPC」という)層とを備えている。
【0011】
まず、図1(A)に基づいて、前記電気接点20の構造について説明する。前記電気接点20は銅箔40上に金属ボール42を金属ペースト層42若しくは導電性ペースト層によって硬化固定したもので、前記金属ボール44には少なくとも相手コネクタとの接触部分に金めっきが施された構造になっている。前記金属ボール44の材質としては、導電性や表面処理や全体としての真球度等を考慮して適宜選択するが、合金により作成した方がよい。単一金属元素が、97%を超えない合金を使用することが望ましく、例えば、リン青銅やベリリウム銅の銅合金を用いることが望ましい。また、金属ボール44の大きさは、隣接スペースや要求接点高さを考慮して適宜設計する。
ここの図1(A)では、前記金属ボール44を銅箔40上に硬化固定した後に、前記金属ボール44の少なくとも相手コネクタとの接触部分に金めっきを施したものを例示したが、前記金属ボール44の表面に金めっきを施した後に前記銅箔40上に前記金属ボール44を硬化固定したものであってもよい。
【0012】
さらに、図1(B)に基づいて、図1(A)にカバーレイ46を用いた電気接点20の構造について説明する。図1(B)の構造の電気接点20は、銅箔40上に所定の大きさの貫通孔48の開いたカバーレイ46を配置し、前記貫通孔48内に金属ペースト層42若しくは導電性ペースト層を塗布しておき、その上に金属ボール44を硬化固定したもので、前記金属ボール44には少なくとも相手コネクタとの接触部分に金めっきが施された構造になっている。金属ボール44の材質や大きさは上記と同様であり、かつ、金属ペースト層42若しくは導電性ペースト層についても同様であるので、説明を省略する。ここの図1(B)では、前記金属ボール44を銅箔40上に硬化固定した後に、前記金属ボール44の少なくとも相手コネクタとの接触部分に金めっきを施したものを例示したが、前記金属ボール44の表面に金めっきを施した後に前記銅箔40上に前記金属ボール44を硬化固定したものであってもよい。
前記金属ボール44を安定した位置にバランス良く硬化固定する意味からも、図1(C)のように前記カバーレイ46の貫通孔48の開口角度は30°〜70°にすることが望ましい。
【0013】
また、図6に基づいて、さらに別の電気接点20の構造について説明する。図6の構造の電気接点20は、銅箔40上に所定の大きさの貫通孔48の開いたカバーレイ46を配置した後に、前記貫通孔48及びカバーレイ46に少なくとも前記カバーレイ46の上面まで至る銅めっき50を施すとともに前記銅めっき50上に金属ペースト層42若しくは導電性ペースト層を塗布しておき、その上に金属ボール44を硬化固定したもので、前記金属ボール44には少なくとも相手コネクタとの接触部分に金めっきが施された構造になっている。ここの図6では、前記金属ボール44を銅箔40上に硬化固定した後に、前記金属ボール44の少なくとも相手コネクタとの接触部分に金めっきを施したものを例示したが、前記金属ボール44の表面に金めっきを施した後に前記銅箔40上に前記金属ボール44を硬化固定したものであってもよい。金属ボール44の材質や大きさは上記と同様であり、かつ、金属ペースト層42若しくは導電性ペースト層についても同様であるので、説明を省略する。
前記金属ボール44を安定した位置にバランス良く硬化固定する意味からも、前記カバーレイ46の貫通孔48の開口角度は30°〜70°にすることが望ましい。
【0014】
次に、FPC層14について説明する。前記FPC14には前記相手コネクタの接点に対応する位置に、複数の電気接触子18が設けられている。前記電気接触子18には、前記接点の形状との最適化を図り、接触し易いように半球状の電気接点20が設けられている。前記FPC14の中央部分には、前記相手コネクタの接点よりも突出したコンデンサやICチップや抵抗等に対応する位置に、コンデンサやICチップや抵抗等の逃げとして凹部若しくは貫通溝(貫通孔含む)が設けられている。凹部若しくは貫通溝の大きさは、前記相手コネクタの接点よりも突出したコンデンサやICチップや抵抗等を逃げられればよく、コネクタの小型化や位置精度等を考慮して適宜設計する。
【0015】
前記FPC14の電気接触子18の周囲には、略U字形状をしたスリット22が設けられている。該スリット22は、相手コネクタの接点と接続した際に、前記エラストマー16の弾性によって、前記電気コネクタ10の電気接触子18が摺動するようにするためのものである。前記スリット22の大きさは、このような役割とコネクタ10の小型化などを考慮して適宜設計する。前記電気接触子18は、図1のように導体部分24によってスルーホール26と接続され、該スルーホール26は前記導電細線12と接続する部分である。前記スルーホール26の大きさは、前記導電細線12が入り、半田付け等によって接続できればよく、コネクタ10の小型化や導電細線12の強度や接続性を考慮して適宜設計する。
【0016】
次に、導電細線12について説明する。前記導電細線12は略円柱状をしており、両端部が細い径で、中央部が太い径といった2段になっている。前記導電細線12は金属製であり、導電特性の良い金属、例えば黄銅製棒状体を所定寸法に切断し、両端部分を更に小径になるように加工したものである。両端部分は前記スルーホール26に入る部分であり、両端部分の径は前記スルーホール26に入り、半田付けによって接続できるように適宜設計している。中央部分の径は、前記エラストマー16に埋設する部分であり、コネクタ10の小型化や狭ピッチ化や導電性を考慮して適宜設計している。それぞれの径部分の長さは、前記FPC14の厚さや前記エラストマー16の厚さを考慮して適宜設計する。
【0017】
次に、エラストマー16について説明する。前記エラストマー16には、前記導電細線12を挿入するための挿入孔28が設けられ、該挿入孔28の大きさは前記導電細線12が挿入できればよく、前記導電細線12の保持力等を考慮して適宜設計する。本実施例では、前記導電細線12の中央部分の径より20μm程度小さくしている。また、前記挿入孔28の両端には、前記導電細線12の肩部30にエラストマー16の肉が被ることによる前記エラストマー16の反りを防止するために、窪み部32を設けたことが望ましい。前記エラストマー16はシリコンゴムやフッ素ゴムによって作成されている。
【0018】
最後に、図4及び図5、図7に基づいて、前記電気接点20の製造方法について説明する。
まず、図4の製造方法について説明する。
第一工程として、図4(A)のように銅箔40上に所定の大きさの金属ペースト層42若しくは導電性ペースト層を塗布する。
第二工程として、図4(B)のように前記金属ペースト層42上若しくは導電性ペースト層上に金属ボール44を矢印「イ」方向に搭載した後に、図4(C)のように前記金属ボール44を前記銅箔方向(矢印「ロ」方向)に加圧する。
第三工程として、図4(D)のように160℃の温度により前記金属ボール44を硬化固定する。
第四工程として少なくとも前記金属ボール44の相手物との接触部分に金めっきを施す。
ここの図4の製造方法では、前記金属ボール44を銅箔40上に硬化固定した後に、前記金属ボール44の少なくとも相手コネクタとの接触部分に金めっきを施したものを例示したが、前記金属ボール44の表面に金めっきを施した後に前記銅箔40上に前記金属ボール44を硬化固定したものであってもよい。
【0019】
次に、図5の製造方法について説明する。
第一工程として、図5(A)のように銅箔40上に所定の大きさの貫通孔48の開いたカバーレイ46を配置し、前記貫通孔48内に金属ペースト層42若しくは導電性ペースト層を塗布する。
第二工程として、図5(B)のように前記金属ペースト層42上若しくは導電性ペースト層上に金属ボール44を矢印「ハ」方向に搭載した後に、図5(C)のように前記金属ボール44を前記銅箔方向(矢印「ニ」方向)に加圧する。
第三工程として、図5(D)のように160℃の温度により前記金属ボール44を硬化固定する。
第四工程として少なくとも前記金属ボール44の相手物との接触部分に金めっきを施す。
ここの図5の製造方法では、前記金属ボール44を銅箔40上に硬化固定した後に、前記金属ボール44の少なくとも相手コネクタとの接触部分に金めっきを施したものを例示したが、前記金属ボール44の表面に金めっきを施した後に前記銅箔40上に前記金属ボール44を硬化固定したものであってもよい。
ちなみに、前記金属ボール44を安定した位置にバランス良く硬化固定する意味からも、図1(C)のように前記カバーレイ46の貫通孔48の開口角度は30°〜70°にすることが望ましい。
上述したように、前記金属ボール44には少なくとも相手物との接触部分にのみ金めっきを施せば十分であるが、金めっきを施す前に、Cu(銅)めっきをし(確実に金属ボール44と前記銅箔40を固定する意味から)、さらにNi(ニッケル)めっき(金めっきを付き易くするため)をした方がよい。
【0020】
次に、図7の製造方法について説明する。
第一工程として、図7(A)のように銅箔40上に所定の大きさの貫通孔48の開いたカバーレイ46を配置した後に、前記貫通孔48及びカバーレイ46に少なくとも前記カバーレイ46の上面まで至る銅めっき50を施すとともに前記銅めっき50上に金属ペースト層42若しくは導電性ペースト層を塗布する。
第二工程として、図7(B)のように前記金属ペースト層42上若しくは導電性ペースト層上に金属ボール44を矢印「ホ」方向に搭載した後に、図7(C)のように前記金属ボール44を前記銅箔方向(矢印「ヘ」方向)に加圧する。
第三工程として、図7(D)のように160℃の温度により前記金属ボール44を硬化固定する。
第四工程として少なくとも前記金属ボール44の相手物との接触部分に金めっきを施す。
ここの図7の製造方法では、前記金属ボール44を銅箔40上に硬化固定した後に、前記金属ボール44の少なくとも相手コネクタとの接触部分に金めっきを施したものを例示したが、前記金属ボール44の表面に金めっきを施した後に前記銅箔40上に前記金属ボール44を硬化固定したものであってもよい。
ちなみに、前記金属ボール44を安定した位置にバランス良く硬化固定する意味からも、図1(C)及び図6のように前記カバーレイ46の貫通孔48の開口角度は30°〜70°にすることが望ましい。
上述したように、前記金属ボール44には少なくとも相手物との接触部分にのみ金めっきを施せば十分であるが、金めっきを施す前に、Cu(銅)めっきをし(確実に金属ボール44と前記銅箔40を固定する意味から)、さらにNi(ニッケル)めっき(金めっきを付き易くするため)をした方がよい。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の活用例としては、回路基板と電子部品との間に嵌挿される電気コネクタ10に活用され、特に銅箔40上に突出するように形成された電気接点20を製造する場合に、前記電気接点20の高さを径大きくすることなく高くし、かつ、均一な高さを得る電気接点20の構造及び製造方法に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(A) 本発明の電気接点の構造図である。(B) (A)にカバーレイを用いた場合の電気接点の構造図である。(C) カバーレイの開口角度を説明する電気接点の構造図である。
【図2】電気コネクタの平面図と電気コネクタの縦断面図である。
【図3】電気コネクタの平面図と縦断面図の部分的な拡大図である。
【図4】本発明の電気接点の製造方法を説明する図面である。
【図5】図4にカバーレイを用いた場合の電気接点の製造方法を説明する図面である。
【図6】さらに別の本発明の電気接点の構造図である。
【図7】図6の電気接点の製造方法を説明する図面である。
【符号の説明】
【0023】
10 電気コネクタ
12 導電細線
14 FPC(フレキシブルプリント基板)
16 エラストマー
18 電気接触子
20 電気接点
22 U字状スリット
24 導体部分
26 スルーホール
28 挿入孔
30 肩部
32 窪み部
40 銅箔
42 金属ペースト層
44 金属ボール
46 カバーレイ
48 貫通孔
50 銅めっき

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅箔上に突出する電気接点であって、
前記銅箔上に金属ペースト層若しくは導電性ペースト層を塗布するとともに該金属ペースト層若しくは導電性ペースト層に金属ボールを硬化固定し、少なくとも前記金属ボールの相手物と接触する部分に貴金属めっきを施すことを特徴とする電気接点。
【請求項2】
銅箔上に突出する電気接点であって、
前記銅箔上に金属ペースト層若しくは導電性ペースト層を塗布するとともに該金属ペースト層若しくは導電性ペースト層に貴金属めっきを施した金属ボールを硬化固定することを特徴とする電気接点。
【請求項3】
合金により作成した前記金属ボールを用いることを特徴とする請求項1または2記載の電気接点。
【請求項4】
前記銅箔上に貫通孔の開いたカバーレイを配置するとともに前記貫通孔に前記金属ペースト層若しくは導電性ペースト層を塗布することを特徴とする請求項1、2または3記載の電気接点。
【請求項5】
前記銅箔上に貫通孔の開いたカバーレイを配置した後に、前記貫通孔及びカバーレイに少なくとも前記カバーレイの上面まで至る銅めっきを施すとともに前記銅めっき上に前記金属ペースト層若しくは導電性ペースト層を塗布することを特徴とする請求項1、2または3、4記載の電気接点。
【請求項6】
銅箔上に突出する電気接点の製造方法において、
第一工程として銅箔上に所定の大きさの金属ペースト層若しくは導電性ペースト層を塗布し、第二工程として前記金属ペースト層上若しくは導電性ペースト層上に金属ボールを搭載した後に、前記金属ボールを前記銅箔方向に加圧し、第三工程として所定の温度により前記金属ボールを硬化固定し、第四工程として少なくとも前記金属ボールの相手物との接触部分に貴金属めっきを施すことを特徴とする電気接点の製造方法。
【請求項7】
銅箔上に突出する電気接点の製造方法において、
第一工程として銅箔上に所定の大きさの金属ペースト層若しくは導電性ペースト層を塗布し、第二工程として前記金属ペースト層上若しくは導電性ペースト層上に貴金属めっきを施した金属ボールを搭載した後に、前記金属ボールを前記銅箔方向に加圧し、第三工程として所定の温度により前記金属ボールを硬化固定することを特徴とする電気接点の製造方法。
【請求項8】
合金により作成した前記金属ボールを用いることを特徴とする請求項6または7記載の電気接点の製造方法。
【請求項9】
前記銅箔上に貫通孔の開いたカバーレイを配置するとともに前記貫通孔に前記金属ペースト層若しくは導電性ペースト層を塗布することを特徴とする請求項6、7または8記載の電気接点の製造方法。
【請求項10】
前記銅箔上に貫通孔の開いたカバーレイを配置した後に、前記貫通孔及びカバーレイに少なくとも前記カバーレイの上面まで至る銅めっきを施すとともに前記銅めっき上に前記金属ペースト層若しくは導電性ペースト層を塗布することを特徴とする請求項6、7または8,9記載の電気接点の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−179999(P2007−179999A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−71145(P2006−71145)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(000208835)第一電子工業株式会社 (182)
【Fターム(参考)】