説明

電気接続箱の結束バンド構造

【課題】結束バンドの余長部を切断しなくとも、カバーと接続箱本体との間への挟み込みを防止し、しかも近隣の他の電線等の線条体の挟み込みをも防止できるようにする。
【解決手段】接続箱本体2とカバー22とを備える電気接続箱1で、接続箱本体側で線条体3,4を結束バンド5で結束し、線条体から離間して接続箱本体側にバンド挿通部7を設け、結束バンドの余長部5aをバンド挿通部7に挿通支持させた。余長部5aを接続箱本体2の外壁8の近傍で外壁よりも高く配置し、且つ線条体以外の他の線条体21に沿って配置し、外壁よりも外側への他の線条体の突出を防止した。バンド挿通部7を外壁8の近傍で外壁よりも高く突出して配置した。他の線条体21を線条体3,4とバンド挿通部7との間に配置した。線条体固定用のバンド挿通部6を線条体3,4の近傍で外壁8よりも高く突出して設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱内で複数本の電線等の線条体を結束バンドで結束する電気接続箱の結束バンド構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来の電気接続箱の結束バンド構造の一形態を示すものである(特許文献1参照)。
【0003】
この構造は、合成樹脂製の電気接続箱本体51の内側にリレーやヒューズやコネクタ等の電気部品(図示せず)を配設すると共に、接続箱本体51内にワイヤハーネス(複数本の電線)52を配索し、ワイヤハーネス52の幹線部や分岐線部(図示せず)を合成樹脂製の結束バンド53で結束したものである。
【0004】
分岐線部は各電気部品に接続され、幹線部は接続箱本体51の開口端を水平に貫通する。接続箱本体51には合成樹脂製のカバー(下カバー)が被着され、各電気部品が覆われて保護される。結束バンド53の結束やカバーの装着等は作業台の上で行われる。
【0005】
結束バンド53は、バンド本体(符号53で代用)と、バンド本体の基端に一体形成された係止枠部(図示せず)とで構成され、バンド本体をワイヤハーネス52の外周に巻いて枠状部に挿通し、バンド先端側を引っ張ることで、ワイヤハーネス52が結束されつつ、バンド本体の表面の鋸歯状突起(図示せず)が係止枠部内の係止爪で係止されるものである。
【0006】
上記以外に、電気接続箱の電線結束構造(図示せず)として、特許文献2には、結束バンドを用いずに、合成樹脂製の略U字状の幅広板状の結束部材でワイヤハーネス(複数本の電線)を結束し、結束部材を接続箱本体に係止させることが記載されている。
【0007】
図8は、従来の電気接続箱の電線結束構造の他の形態を示すものである。
【0008】
この構造は、合成樹脂製のフレーム(接続箱本体)2’の内側にヒューズやリレーやコネクタ等を配設すると共に、複数本の電線の先端部を溶着接続して成る一対のボンディングワイヤ3,4を縦置きに並列に配設してテープ巻き20で結束したものである。
【0009】
各ボンディングワイヤ3,4は絶縁樹脂製のキャップ16,17で覆われ、キャップ16,17の上端の突板部16a,17aがテープ巻き20で相互に固定されている。各電線3,4はテープ巻き20に加えて結束バンド(図示せず)でフレーム2’側に固定される。フレーム2’にはアッパカバーとロアカバー(図示せず)が装着される。
【特許文献1】特開2007−62693号公報(図3)
【特許文献2】特開2001−211528号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来の図7の構造にあっては、結束バンド53でワイヤハーネス52を結束した後、結束バンド53の余長部を切断する手間がかかるという問題があった。また、余長部の切断を行わないと、カバーの装着時に余長部をカバーと接続箱本体51との間に挟み込んだりする懸念があった。また、引用文献2記載の構造にあっては、略U字状の幅広板状の結束部材を電線の本数に応じて複数種設定しなければならず、結束バンドに較べてコスト高になるという問題があった。
【0011】
また、上記図8の構造にあっては、電線3,4を結束バンドで結束固定した場合に、結束バンドの切断エッジで隣接の他の電線21の絶縁被覆を傷付けたり、切断しない結束バンドをカバー(図示しないロアカバー)の装着時にフレーム(接続箱本体)との間に挟み込んで、カバーの係止が不完全になったりする心配があった。
【0012】
また、結束する電線3,4の近傍で、結束しない他の電線(ヒューズ等に接続された電線)21がフレーム2’の壁部8の近傍に配索されている場合に、これら他の電線21が外側に湾曲して突出し、その突出部21aがカバー(ロアカバー)の装着時にフレーム2’との間に挟み込まれて傷み兼ねないという懸念があった。これらは、電線3,4,21に代えてホースやチューブ等の線条体を用いた場合においても同様に生じ得るものである。
【0013】
本発明は、上記した点に鑑み、結束バンドの余長部を切断しなくとも、余長部をカバーと接続箱本体との間に挟むことがなく、加えて、近隣の他の電線等の線条体の挟み込みも同時に防止することのできる電気接続箱の結束バンド構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る電気接続箱の結束バンド構造は、接続箱本体とカバーとを備える電気接続箱において、該接続箱本体側で線条体が結束バンドで結束され、該線条体から離間して該接続箱本体側にバンド挿通部が設けられ、該結束バンドの余長部が該バンド挿通部に挿通支持されたことを特徴とする。
【0015】
上記構成により、バンド余長部が切断されない状態で(長いままで)バンド挿通部に挿通されて安定に支持されることで、接続箱本体へのカバー装着時(閉止時)に、接続箱本体とカバーとの間へのバンド余長部の挟み込みが防止される。線条体としては、電線やホース等が挙げられる。
【0016】
請求項2に係る電気接続箱の結束バンド構造は、請求項1記載の電気接続箱の結束バンド構造において、前記バンド挿通部に挿通支持された前記余長部が、前記接続箱本体の外壁の近傍で該外壁よりも高く配置され、且つ該余長部が、前記線条体以外の他の線条体に沿って配置され、該外壁よりも外側への該他の線条体の突出を防止したことを特徴とする。
【0017】
上記構成により、他の線条体が屈曲しつつ外壁の外側に突出しようとしても、バンド余長部に当接して、バンド余長部よりも外側すなわち該外壁よりも外側への他の線条体の突出が防止される。これにより、カバー閉止時における接続箱本体とカバーとの間への他の線条体の挟み込みが防止される。他の線条体としては、電線やホース等が挙げられる。例えばバンド挿通部が外壁と同じ高さでも、外壁の上端が下向きに傾斜している場合は、水平なバンド余長部が外壁よりも高く配置されることになる。
【0018】
請求項3に係る電気接続箱の結束バンド構造は、請求項2記載の電気接続箱の結束バンド構造において、前記バンド挿通部が前記外壁の近傍で該外壁よりも高く突出して配置されたことを特徴とする。
【0019】
上記構成により、バンド余長部が外壁よりも確実(十分)に高く配置され、バンド余長部による他の線条体の当接支持が確実に行われる。また、バンド挿通部へのバンド余長部の挿通作業も容易化する。
【0020】
請求項4に係る電気接続箱の結束バンド構造は、請求項2又は3記載の電気接続箱の結束バンド構造において、前記他の線条体が、前記結束バンドで結束される線条体と前記バンド挿通部との間に配置されたことを特徴とする。
【0021】
上記構成により、結束バンドが、結束側の線条体とバンド挿通部とで二点支持され、バンド余長部が結束側の線条体とバンド挿通部との間でしっかりと(強固に)他の線条体を受け止める。
【0022】
請求項5に係る電気接続箱の結束バンド構造は、請求項1〜4の何れかに記載の電気接続箱の結束バンド構造において、線条体固定用のバンド挿通部が、前記結束バンドで結束される前記線条体の近傍で前記外壁よりも高く突出して設けられたことを特徴とする。
【0023】
上記構成により、線条体固定用のバンド挿通部に結束バンドのバンド本体を挿通してバンド締めすることで、結束バンドと線条体(他の線条体ではない)とが線条体固定用のバンド挿通部に固定され、バンド余長部の位置決めがぐらつき等なく正確に行われる。線条体固定用のバンド挿通部が高く突出したことで、バンド本体の挿通作業と結束作業が容易に行われると共に、バンド余長部が高く位置して、他の線条体の当接支持(受け止め)が確実に行われる。バンド本体とはバンド係止部を除く長尺部分を言い、バンド本体の結束部分以外が余長部となる。結束バンドは結束側の線条体と二つのバンド挿通部とで三点支持される。
【0024】
請求項6に係る電気接続箱の結束バンド構造は、請求項1〜5の何れかに記載の電気接続箱の結束バンド構造において、前記バンド挿通部が、バンド挿通孔を有する枠状部と、該枠状部を支持する支柱部とで構成され、該支柱部が前記接続箱本体に固定されたことを特徴とする。
【0025】
上記構成により、結束バンドのバンド本体が枠状部内のバンド挿通孔に挿通され、支柱部で支持される。支柱部の高さを適宜設定することで、結束側の線条体の結束位置や支持側の他の線条体の支持高さに対応可能となる。
【発明の効果】
【0026】
請求項1記載の発明によれば、カバー装着時における接続箱本体とカバーとの間へのバンド余長部の挟み込みが防止され、それにより、車両走行中のカバーの不意な外れやガタ付きによる異音や、挟み込み部からの水の浸入等が防止され、電気接続箱の品質が高められる。
【0027】
請求項2記載の発明によれば、バンド余長部で他の線条体の飛び出しが阻止され、カバー装着時における接続箱本体とカバーとの間への他の線条体の挟み込みやそれに伴う傷付き等が防止され、線条体としての電線の通電品質やホースの流通品質等が良好に維持される。
【0028】
請求項3記載の発明によれば、他の線条体が高い位置のバンド余長部で確実に当接支持されて、請求項2記載の発明の効果が促進される。
【0029】
請求項4記載の発明によれば、バンド余長部が、結束バンドで結束される線条体とバンド挿通部との間でしっかりと他の線条体を受け止めることで、請求項2,3記載の発明の効果が促進される。
【0030】
請求項5記載の発明によれば、結束バンドが線条体固定用のバンド挿通部に固定されることで、バンド余長部が高い位置で正確に位置決めされ、バンド余長部による他の線条体の受け止め(突出防止)が確実に行われる。
【0031】
請求項6記載の発明によれば、支柱部の高さを適宜設定して、結束バンドによる作業性の良好な線条体の結束位置や、バンド余長部による確実な他の線条体の受け止め位置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1〜図6は、本発明に係る電気接続箱の結束バンド構造の一実施形態を示すものである。
【0033】
図1,図2の如く、この電気接続箱1の結束バンド構造は、合成(絶縁)樹脂製のフレーム(接続箱本体)2内に一対のボンディングワイヤ(線条体)3,4を垂直に配索収容し、一対のボンディングワイヤ3,4を合成(絶縁)樹脂製の結束バンド5で結束するものにおいて、フレーム2に一対のバンド挿通部6,7を離間して配設し、一方のバンド挿通部6を結束バンド5とボンディングワイヤ3,4に対する固定部とし、他方のバンド挿通部7をバンド余長部5aに対するガイド部としたものである。
【0034】
一方のバンド挿通部6は、フレーム2の一壁部(外壁)8の近傍において、ボンディングワイヤ3,4の近傍に配置され、先ず一方のバンド挿通部6に結束バンド5の可撓性のバンド本体5bが挿通され、次いでバンド本体5bが結束バンド5の係止枠部5cに挿通係止されて、バンド本体5bのループ部5b’で一対のボンディングワイヤ3,4と一方のバンド挿通部6とが相互に結束固定される。結束バンド5の構造は従来例におけるものと同様である。
【0035】
他方のバンド挿通部7は、フレーム2の一壁部8の近傍において、結束バンド5の余長部5aの突出方向(長手方向)に配置され、余長部5aの長手方向中間部(余長部の先端寄りの部分)が他方のバンド挿通部7に挿通保持される。
【0036】
各バンド挿通部6,7は、縦長矩形状の水平方向のバンド挿通孔6a,7aを有する逆凹字状の枠状部6b,7bと、枠状部をフレームの一壁部よりも高く突出させる支柱部6c,7cとで構成され、枠状部6b,7bは支柱部6c,7cの先端(上端)に一体に設けられ、支柱部6c,7cの正面は垂直なリブ9,10(図2)を介して一側壁8に一体に連結されている。リブ9,10で支柱部6c,7cが一壁部8から少し内側に位置している。
【0037】
支柱部6c,7cは枠状部6b,7bよりも幅広に形成され、バンド挿通作業時に上側のバンド余長部5aを広い受け面積でスムーズに挿通案内する(実使用状態では電気接続箱1は上下反転するので、バンド余長部5aは枠状部6b,7bで支持される)。各バンド挿通孔6a,7aの厚み寸法はバンド本体5bすなわちバンド余長部5aの板厚よりも大きく、各バンド挿通孔6a,7aの高さ寸法はバンド本体5bの幅すなわちバンド余長部5aの幅よりも大きく設定され、バンド本体5bは各バンド挿通孔6a,7aにスムーズに挿入(挿通)される。バンド本体5bがバンド係止枠5cよりも引張方向(先端5dの方向)に突出した部分がバンド余長部5aである。
【0038】
図1,図2は電気接続箱1を実使用状態とは上下反転して示しており、電気接続箱1の実使用状態では、バンド挿通部6,7の枠状部6b,7bはフレーム2の一壁部8よりも下方に低く突出し、枠状部6b,7bは支柱部6c,7cの先端(下端)に一体に設けられる。明細書では便宜状図示の通りに上下を説明する。
【0039】
図1,図2で、符号11はヒューズ装着部(ヒューズブロック)、12はリレー装着部(リレーブロック)、13はコネクタをそれぞれ示す。ヒューズ14(図6)やリレーは各装着部11,12の下側(裏側)に装着される。
【0040】
各ボンディングワイヤ3,4は、複数本の絶縁被覆電線3a,4a(図3)の先端部を皮剥きして、露出した各電線導体部を溶着で相互に接続し、溶着部を含む電線先端側を絶縁キャップ16,17で覆って成るものであり、各キャップ16,17の先端(下端)側はフレーム2の有底の各筒状部16,17(図2,図5)の内側に挿入収容されている。両ボンディングワイヤ3,4は近接してフレーム長手方向に並列に配置され、結束バンド5の余長部5aは両ボンディングワイヤ3,4の並び方向に水平に突出している。
【0041】
各キャップ16,17の基端(上端)には突板部16a,17a(図5)が垂直に設けられ、各突板部16a,17aにテープ巻き20で各ボンディングワイヤ3,4の電線部分3a,4aが相互に一次(仮)固定され、テープ巻き20の上から結束バンド5の締め付けで各ボンディングワイヤ3,4の電線部分3a,4aが相互に二次(本)固定されつつ、各キャップ16,17と共に一方の電線挿通部6に固定されている。結束バンド5の係止枠部5cは両電線挿通部16,17の間に位置して、一方の電線挿通部16の枠状部6bの外端面(他方の電線挿通部7寄りの端面)に押接している。
【0042】
バンド本体5bの余長部5aは両バンド挿通部6,7に沿ってフレーム2の一壁部8と平行に配置される。すなわち、両バンド挿通部6,7の間で(正確には結束バンド5の係止枠部5cと他方のバンド挿通部7との間で)フレーム2の一壁部8と平行に真直に挿通案内される。
【0043】
図3〜図5の如く、ボンディングワイヤ3,4の近傍において、結束バンド5の余長部5aに沿って且つ余長部5aよりもフレーム2の内側の位置で、複数本の他の電線(電線群)21が上向き(垂直方向)に配索されている。本例の他の電線21は、フレーム2内で一壁部8に沿って配置されたヒューズ装着部11から導出された電線である(図6参照)。図6(a)で符号14は、ヒューズ装着部11に装着されたヒューズ、16b,17bはボンディングワイヤ挿入用の筒状部16,17の底部をそれぞれ示している。
【0044】
図3〜図5の如く、一対のバンド挿通部6,7の間において、すなわちボンディングワイヤ3,4と他方のバンド挿通部7との間において、複数本の他の電線21が上向きに導出され、一対のバンド挿通部6,7で水平方向に真直に支持された結束バンド5の余長部5aが、複数本の他の電線21をフレーム2の一壁部8の上方においてフレーム外側寄りで支持して、一壁部8から外側への複数本の他の電線21の突出を防止している。
【0045】
すなわち、従来の図8のように複数本の他の電線21が外向きに湾曲する等してフレーム2’の外側に突出することを、結束バンド5の余長部5aが阻止している。複数本の他の電線21が外側に突出しようとしても、結束バンド5の余長部5aに当接して、余長部5aよりも外側に突出することができない。
【0046】
これにより、図4のカバー(ロアカバー)22の装着時に、他の電線(他の線条体)21がカバー22とフレーム2との間に挟み込まれる心配が解消される。他の電線21が挟まれないことで、他の電線21の傷付きや曲がり変形が防止されると共に、カバー22がフレーム2に係止手段23,24で確実に係止されて、車両の振動等に起因するカバー22の不意な外れやガタ付きによる異音等が防止される。
【0047】
図3において、符号3,4はボンディングワイヤ、20はテープ巻き、16a,17aはキャップ16,17の突板部、11はヒューズ装着部、13はコネクタ、12はリレー装着部、24は、ロアカバー22(図4)に対する係止手段である係止枠、25は、アッパカバー(図示せず)に対する係止用のフック片をそれぞれ示す。
【0048】
係止枠24は内向きの係止爪(図示せず)を有している。ヒューズ装着部11やリレー装着部12はフレーム2の下方からフレーム内に挿入係止される。フレーム2は、前後左右の外側の垂直な壁部(周壁)8,16〜28と、周壁内でヒューズ装着部11やリレー装着部12やコネクタ13等を収容係止させる複数の垂直な枠状の隔壁29等とで構成されている。
【0049】
図4の如く、フレーム2の一壁部8の上端8aはテーパ状に傾斜しており、一対のバンド挿通部6,7の高さ(上端の位置)は同じであるが、一壁部8から上側への各バンド挿通部6,7の露出長さLは異なっている(一方のバンド挿通部6の露出が大きく、他方のバンド挿通部7の露出が少ない)。例えば他方のバンド挿通部7が上端テーパ状の一壁部8と同じ高さないしそれ以下であっても、一方のバンド挿通部6が一壁部8から高く突出していれば、結束バンド5の余長部5aによる他の電線21の支持(外部への突出防止)は有効に行われる。
【0050】
カバー22は、フレーム2の係止枠24に対する係止手段である係止アーム23を有し、係止アーム23は、係止枠24内の係止爪を係合させる凹部23aを有する。フレーム2とカバー22の各一端側に電線導出用の略半円状(接合して略円形となる)の口部30が設けられている。フレーム2は一端側と他端側の各ブラケット31で車両に固定される。図4で、符号11は、フレーム下端から突出したヒューズ装着部である。
【0051】
図5の如く、結束バンド5は、余長部5aを含むバンド本体5bの表面(一方の面)に鋸歯状の突起5eを有し、突起5eは係止枠部5c内の係止爪(図示せず)に係合して、各ボンディングワイヤ3,4の結束状態を維持している。各ボンディングワイヤ3,4の先端部(溶着接続部)を収容したキャップ16,17は、テープ巻き用の突板部16a,17aとは反対側で各電線3a,4aを露出させ、その露出した電線3a,4aが突板部16a,17aと共に結束バンド5で結束されている。各キャップ16,17はフレーム2と一体の略環状の有底の筒状部18,19内に挿入されている。
【0052】
ボンディングワイヤ3,4に隣接する他の電線群21は一対のバンド挿通部6,7の間に配置されることが好ましいが、ボンディングワイヤ3,4から遠く離れた他方のバンド挿通部6から突出したバンド先端側の余長部5a’で他の電線21を外部に突出(飛び出し)なく支持させることも可能である。図5で、符号12はリレー装着部、13はコネクタを示す。
【0053】
図6(a)は電気接続箱1の実使用状態で上側となる面、(b)は下側となる面をそれぞれ示すもので、図1〜図5は図6(b)と同じ面を示している。図6(a)で、符号16b,17bは筒状部16,17の底面、14はヒューズ装着部11に装着されたブレード型のヒューズ、32は箱状のヒュージブルリンクをそれぞれ示している。
【0054】
図6(b)の如く、各ボンディングワイヤ3,4に隣接して、ヒューズ14に接続された他の複数の電線21が導出され、他の電線21が結束バンド5の余長部5aで外側への突出を防止されている。余長部5aはフレーム2の一壁部8の内側で一壁部8と平行に真直に配置されている。
【0055】
なお、上記実施形態においては、接続箱本体としてフレーム2を用い、フレーム2にバンド挿通部6,7を設けたが、フレーム2に代えてロアカバーやアッパカバーやケース等といった接続箱本体(図示せず)を用いて、その接続箱本体にバンド挿通部6,7を設けることも可能である。また、結束バンド5の種類は上記実施形態のものに限るものではなく、バンド本体5bの形状も板状に限らず、線状等であってもよい。
【0056】
また、上記実施形態においては、二本のボンディングワイヤ3,4を結束バンド5で結束させたが、ボンディングワイヤ3,4に代えてヒューズ14やリレーやコネクタ13等に接続される複数本の電線を結束バンド5で結束させる構造において、バンド余長部5aでボンディングワイヤ3,4やその他の電線(21)を外部への飛び出しなく支持させることも可能である。
【0057】
また、上記実施形態においては、二つのバンド挿通部6,7を用い、一方のバンド挿通部6に電線3a,4aを結束バンド5で結束固定したが、電線3a,4aをフレーム2に固定する必要のない場合は(ヒューズ14やリレーやコネクタ32等に接続された電線は特に固定しなくてもボンディングワイヤ3,4のように筒状部16,17から抜け出す心配がない)、他方のバンド挿通部7のみを設けて(一方のバンド挿通部6は排除して)、他方のバンド挿通部7でバンド余長部5aを挿通支持させることも可能である。
【0058】
また、上記実施形態においては、フレーム(接続箱本体)2にバンド挿通部6,7を設けたが、例えば、フレーム2に挿着されるヒューズブロック11やリレーブロック12やコネクタ13等といった装着部品にバンド挿通部6,7を設けることも可能である。要は、接続箱本体側にバンド挿通部6,7が設けられていればよい。
【0059】
また、上記実施形態においては、結束バンド5の余長部5aを直線的に配置したが、例えば余長部5aで支持すべき他の複数本の電線21が直線的ではなく曲線的ないし折れ線的に配置されている場合は、他方の複数のバンド挿通部(7)を曲線的ないし折れ線的に配置して、バンド余長部5aを曲線的ないし折れ線的に屈曲させることも可能である。
【0060】
また、上記実施形態においては、結束バンド5で電線3a,4aを結束したが、線条体として電線以外に一本以上(複数に限らない)のホースやチューブ等(図示せず)を用いて、ホースやチューブ等を結束バンド5で結束固定することも可能である。
【0061】
また、上記実施形態においては、バンド余長部5aで他の電線21を支持したが、他の線条体として他の電線21以外に一本以上(複数に限らない)のホースやチューブ等を用いて、ホースやチューブ等を結束バンド5で支持して外側への突出を防止することも可能である。
【0062】
また、上記した本発明の構成は、電気接続箱1の結束バンド構造として以外に、電気接続箱1の電線結束構造や電気接続箱1自体としても有効なものである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係る電気接続箱の結束バンド構造の一実施形態を一側方から全体的に示す分解斜視図である。
【図2】同じく結束バンド構造を正面側から示す斜視図である。
【図3】同じく結束バンド構造を他側方から示す斜視図である。
【図4】同じく結束バンド構造を正面側から全体的に示す分解斜視図である。
【図5】同じく結束バンド構造を背面側から示す斜視図である。
【図6】(a)は電気接続箱の要部を示す上方視平面図、(b)は結束バンド構造を示す下方視平面図である。
【図7】従来の電気接続箱の結束バンド構造の一形態を示す正面図である。
【図8】従来の電気接続箱の電線結束構造の一形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0064】
1 電気接続箱
2 フレーム(接続箱本体)
3,4 ボンディングワイヤ(線条体)
5 結束バンド
5a 余長部
6 一方(線条体固定用)のバンド挿通部
6a,7a バンド挿通孔
6b,7b 枠状部
6c,7c 支柱部
7 他方のバンド挿通部(バンド挿通部)
8 一壁部(外壁)
21 他の電線(他の線条体)
22 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続箱本体とカバーとを備える電気接続箱において、該接続箱本体側で線条体が結束バンドで結束され、該線条体から離間して該接続箱本体側にバンド挿通部が設けられ、該結束バンドの余長部が該バンド挿通部に挿通支持されたことを特徴とする電気接続箱の結束バンド構造。
【請求項2】
前記バンド挿通部に挿通支持された前記余長部が、前記接続箱本体の外壁の近傍で該外壁よりも高く配置され、且つ該余長部が、前記線条体以外の他の線条体に沿って配置され、該外壁よりも外側への該他の線条体の突出を防止したことを特徴とする請求項1記載の電気接続箱の結束バンド構造。
【請求項3】
前記バンド挿通部が前記外壁の近傍で該外壁よりも高く突出して配置されたことを特徴とする請求項2記載の電気接続箱の結束バンド構造。
【請求項4】
前記他の線条体が、前記結束バンドで結束される線条体と前記バンド挿通部との間に配置されたことを特徴とする請求項2又は3記載の電気接続箱の結束バンド構造。
【請求項5】
線条体固定用のバンド挿通部が、前記結束バンドで結束される前記線条体の近傍で前記外壁よりも高く突出して設けられたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の電気接続箱の結束バンド構造。
【請求項6】
前記バンド挿通部が、バンド挿通孔を有する枠状部と、該枠状部を支持する支柱部とで構成され、該支柱部が前記接続箱本体に固定されたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の電気接続箱の結束バンド構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−93964(P2010−93964A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−262387(P2008−262387)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】