説明

電気機器及び画像読取装置

【課題】人の多い場所に設置されることの多い電気機器を、より有効に活用する。
【解決手段】複合機1は、通信部18によって災害発生の情報を受信すると、音声認識部17によりユーザが吹き込んだ音声から音声データを得たり、スキャナ11によって原稿から画像データを得たりして、これらのデータを、通信回路200を介して外部へ送信するという連絡手段としてのサービスを、無償でユーザに提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時にユーザにとって利便性の高いサービスを提供する電気機器及び画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、職場及び店頭等、人の多く集まる場所に、コピー、スキャナ、又はファクシミリ送信等の処理を行う画像処理装置等の電気機器が設置されることがある。例えば、店頭に設置される装置としては、ユーザから料金を徴収した上でスキャン又はコピー等の所定の動作を行う、課金機能を備えた装置が挙げられる。
【特許文献1】特開平7−261609号公報(1995年10月13日)
【特許文献2】特開平7−302017号公報(1995年11月14日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明者らは、これらの電気機器の、人と接触する機会が多いという特性に注目し、これらの電気機器をより活用する可能性について検討を行った。本発明は、このような本発明者等の鋭意検討に基づくものであり、特に災害時にユーザにとって利便性の高い電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、請求項1の電気機器は、ユーザから料金を徴収して所定の動作を行う電気機器であって、上記動作を実行する動作実行部と、災害が発生したことを検知する災害検知部と、上記災害検知部が災害の発生を検知すると、上記動作実行部を無償で稼動させる制御部と、を備える。
【0005】
この電気機器によると、災害発生時には無償で稼動するので、災害発生時という非常事態において、被災者に貢献することができる。
【0006】
また、請求項2に記載するように、請求項1の電気機器は、上記動作実行部は、音声を認識して音声データを得る音声認識部、原稿から画像を読み取って画像データを得る画像読取部、又は外部記憶装置と接続してデータを取得する接続部の少なくとも1つと、通信回線を介してデータを外部装置へ送信可能なデータ送信部と、を備えることが好ましい。
【0007】
災害発生時には連絡手段が確保できないことが大きな問題となるが、この電気機器は、災害発生時に連絡手段として機能することができる。
【0008】
また、請求項3に記載するように、請求項2の電気機器は、データを記憶可能な記憶部をさらに備え、上記制御部は、災害発生時に、通信回線が使用可能であれば、上記音声認識部、画像読取部、又は外部記憶装置が取得したデータを外部装置へ送信するよう、上記データ送信部を制御するようになっていると共に、通信回線が使用不可能であれば、通信回線が再開するまで上記記憶部に上記データを格納しておき、通信回線が使用可能になってから、上記データを外部装置へ送信するよう、上記データ送信部を制御するようになっていることが好ましい。
【0009】
災害時に、災害被害者同士、又は災害被害者とそれ以外の人とが連絡を取り合うための手段として、電話により伝言を記録できる災害伝言ダイヤルといったシステムが従来存在する。しかし、災害時には、通信回線が不通となったり、多数のユーザが通信を試みることによって通信が困難になったりすることがある。このような問題に対して、請求項3の電気機器は、通信回線が使用不可能である間はデータを記憶部に格納しておき、通信回線が使用可能となれば、ユーザに再度の操作を要求することなく、データを外部に自動的に送信することができる。よって、ユーザにとっては非常に利便性が高い。
【0010】
また、請求項4に記載するように、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気機器において、上記災害検知部は、通信回線を介して災害発生の情報を取得するようになっていると共に、定期的に災害発生の情報の取得を試みるようになっていてもよい。
【0011】
このように災害検知部が自動的に災害発生の情報の取得を試みるようになっていることで、ユーザからの災害発生の通報を待つことなく、災害発生に対応することができる。
【0012】
上記課題を解決するために、請求項5に記載の画像読取装置は、原稿上の画像を読み取って画像データを得る画像読取部、及び通信回線を介して外部装置へデータを送信可能なデータ送信部を備える動作実行部と、災害が発生したことを検知する災害検知部と、災害が発生したことを上記災害検知部が検知すると、上記データ送信部に、上記画像読取部が得た画像データを所定の送り先へ送信させる制御部と、を備える。
【0013】
上記災害発生時に、ユーザから宛先入力を待つことなく、所定の送り先へデータを送信することができるので、災害発生時の連絡手段として、迅速に機能することができる。
【0014】
また、請求項6に記載するように、請求項5の画像読取部において、上記動作実行部は、音声を認識して音声データを得る音声認識部をさらに備え、上記制御部は、災害が発生したことを上記災害検知部が検知すると、上記音声データを上記データ送信部により、所定の送り先へ送信するようになっていてもよい。
【0015】
また、請求項7に記載するように、請求項5又は6の画像読取装置は、ユーザから料金を徴収する課金装置をさらに備え、上記制御部は、平時には上記課金装置により徴収された料金分、上記動作実行部を動作させると共に、災害が発生したことを上記災害検知部が検知すると、上記動作実行部を無償で動作させるようになっていることが好ましい。
【0016】
この電気機器によると、災害発生時には無償で稼動するので、災害発生時という非常事態において、被災者に貢献することができる。
【0017】
また、請求項8に記載するように、請求項5〜7のいずれか1項の画像読取装置は、データを記憶可能な記憶部をさらに備え、上記制御部は、災害発生時に通信回線が使用不可能であれば、通信回線が再開するまで上記記憶部に送信すべきデータを格納しておき、通信回線が使用可能になってから、上記送信すべきデータを所定の送り先へ送信するよう、上記データ送信部を制御するようになっていることが好ましい。
【0018】
災害時に、災害被害者同士、又は災害被害者とそれ以外の人とが連絡を取り合うための手段として、電話により伝言を記録できる災害伝言ダイヤルといったシステムが従来存在する。しかし、災害時には、通信回線が不通となったり、多数のユーザが通信を試みることによって通信が困難になったりすることがある。このような問題に対して、請求項3の電気機器は、通信回線が使用不可能である間はデータを記憶部に格納しておき、通信回線が使用可能となれば、ユーザに再度の操作を要求することなく、データを外部に自動的に送信することができる。よって、ユーザにとっては非常に利便性が高い。
【0019】
また、請求項9に記載するように、請求項5〜8のいずれか1項の画像読取装置において、上記記災害検知部は、通信回線を介して災害発生の情報を取得するようになっていると共に、定期的に災害発生の情報の取得を試みるようになっていることが好ましい。
【0020】
このように災害検知部が自動的に災害発生の情報の取得を試みるようになっていることで、ユーザからの災害発生の通報を待つことなく、災害発生に対応することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の電気機器及び画像読取装置は、災害発生時に被災者にとって利便性の高いサービスを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
〔1〕第1実施形態
以下、本発明の実施の一形態である複写機1について説明する。
【0023】
(1-1)複写機1の概要
複写機1は、スキャナ11、画像形成部12、蓄電部13、入力受付部14、表示部15、課金装置16、音声認識部17、通信部18、メモリ19、メモリ管理部20、主制御部21、及び接続端子22等を備えている。複写機1内のこれらの部材は、データバス等によって接続され、信号の送受信が可能になっている。
【0024】
スキャナ11は、原稿から画像を読み取って画像データを得ることができる。具体的には、スキャナ11は、原稿が載置されるコンタクトガラス、コンタクトガラスを介して原稿を照明する光源、原稿からの反射光を検知することで原稿上の画像を読み取るイメージセンサ、並びに、ミラー及びレンズ等の光学系を備える。
【0025】
画像形成部12は、画像データを、用紙等の記録媒体上に印刷出力することができる。具体的には、画像形成部12としては、電子写真方式又はインクジェット方式等の従来公知の印刷機構を適用することができる。画像形成部12が印刷出力する画像データには、スキャナ11が得た画像データが含まれる。
【0026】
蓄電部13は、複写機1が通電状態にあるときに、電力を蓄えることができる。そして、災害発生時等、複写機1への電力供給が途絶えたとき、蓄電部13は電力源として機能することができる。蓄電部13は、図示しない電源から複写機1に供給される電力の一部を直接蓄えるようになっていてもよいし、熱又は光を電力に変換して蓄えるようになっていてもよい。例えば、画像形成部12が、電子写真方式を採用しており、熱圧着によって画像を用紙上に定着させる定着部を備える場合、蓄電部13は、この定着部の発する熱を電気に変換して蓄えるようになっていてもよい。また、蓄電部13は、スキャナ11の光源の発する光を電気に変換して蓄えるようになっていてもよい。
【0027】
入力受付部14は、ユーザからの入力を受け付けることができる。具体的には、入力受付部14には、コピー実行の指示を受け付けるコピー受付キー14a、画像データの外部への送信を受け付ける画像メッセージ送信キー14b、音声データの外部への送信を受け付ける音声メッセージ送信キー14c等を備える。入力受付部14には、ハードキー、及び、表示部15と共にタッチパネルを構成するタッチセンサ等が含まれる。
【0028】
表示部15は、ユーザに種々の情報を提示することができる。具体的には、表示部15としては、液晶表示装置等の従来公知の表示装置を適用することができる。
【0029】
課金装置16は、ユーザより投入された金額を認識すると共に、投入された金額から複写機1の動作に見合った料金が減じられた金額をユーザに返還することができる。課金装置16は、紙幣及び硬貨、又はプリペイドカード等により、料金の投入を受け付けることができる。
【0030】
音声認識部17は、音声を認識して、音声データを取得することができる。具体的には、音声認識部17は、音声を電気信号に変換するマイク、及び、この電気信号を処理し、音声データを作成する音声処理部等を備える。
【0031】
複写機1は、通信部18を介して外部装置と通信可能である。具体的には、通信部18は、ネットワークインターフェース、モデム(MODEM:Modulator/DEModulator)、又はターミナルアダプタ(TA:Terminal Adapter)を備え、通信回線200を介して、外部装置との間でファイルを共有したり、データの送受信を行ったりすることができる。通信回線200には、電話回線、ISDN(Integrated Services Digital Network)回線、無線通信回線、PHS(Personal Handy-phone System)回線及びCATV回線等が含まれると共に、LAN、WAN、及びインターネット等のネットワークも含まれる。通信部18が通信可能な外部装置としては、例えばホストコンピュータ101、Webサーバ102、通話装置103、PC(Personal Computer)104等が含まれる。なお、通話装置103は、音声をユーザに提供できる機器であればよく、例えば固定電話、又はPHS等の携帯型の電話機が挙げられる。
【0032】
メモリ19は、種々の情報を記憶することができる。メモリ19は、平時(災害発生時でないとき)には、スキャナ11により取得された画像データを記憶することができる。また、災害発生時には、後述するように画像データに加えて音声データを記憶することができる。等具体的には、メモリ19としては、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気系及びフラッシュメモリ等の半導体系等の不揮発性の記憶装置が好適に使用される。また、メモリ19として、DRAM等の揮発性の記憶装置を用いることも可能である。
【0033】
メモリ管理部20は、メモリ19の制御を司る。メモリ管理部20としては、具体的には、メモリ管理部20としては、ASIC等のデバイスが用いられる。
【0034】
主制御部21は、複写機1の各部を制御して、特に、後述の災害時の動作を実現することができる。主制御部21は、CPU(Central Processing Unit)を備え、さらに、RAM(random access memory)及びROM(read only memory)等の記憶装置を備える。CPUは、種々の演算及び情報処理等を行うことができ、ROM内に格納されたプログラムを読み出し、実行することによって、主制御部21の制御機能を実現する。RAMはCPUの作業領域として機能する。
【0035】
接続端子22は、USBメモリ等の外部記憶装置に接続可能である。また、複写機1は、接続端子22に代えて、CDドライブ、DVDドライブ、MOドライブ等、外部の記憶媒体のデータを読み書きする装置を備えてもよい。
【0036】
(1-2)平時の動作
複写機1は、コンビニエンスストア等の店頭に設置可能であり、平時には課金装置16によってユーザから料金を徴収し、ユーザの指示に基づく動作を行う。具体的には、課金装置16に料金が投入され、複写枚数等の動作条件及び複写開始の指示が入力受付部14を介して入力されると、主制御部21の制御の下、スキャナ11は原稿から画像データを取得し、画像形成部12はこの画像データを用紙上に印刷出力する。料金が投入されなければ、スキャナ11及び画像形成部12等は稼動しない。
【0037】
通信部18は、電源が投入されると、主制御部21の制御の下、複写機1を管理する管理会社のホストコンピュータ101に、複写機1の現状についての情報(使用回数、印刷枚数、故障の有無等)を通知する。
【0038】
また、通信部18は、主制御部21の制御の下、通信回線200を介して、災害情報が掲示されるインターネットサイト等の災害情報源に定期的にアクセスすることもできる。なお、「災害」には、暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象、又は大規模な火事若しくは爆発等が含まれる。「定期的」とは、電源が投入される毎、一日の内で決められた時刻、又は電源が投入されてから所定の時間が経過する度等、適宜設定可能である。このインターネットサイトとしては、政府又は地方自治体等が災害の発生及び災害の規模等を報知するサイトが挙げられる。
【0039】
(1-3)災害発生時の動作
災害発生時の複合機1の動作について、図2のフローチャートを参照して説明する。図2のフローチャートに示す動作は、主制御部21の制御により行われる。
【0040】
図2に示すように、複写機1の設置されている地域で災害が発生したとの情報を通信部18が取得すると(ステップS11でYes)、商用電源からの電力供給が通常通り継続していれば(ステップS12でYes)、複合機1は、災害時サービスを開始する(ステップS13)。特に、商用電源からの電力供給が継続しているとき、複合機1は、災害時サービスとして、複合機1の機能を全面的に開放する。「複合機1の機能を全面的に開放する」とは、複写、スキャン、及びデータ転送等を全て無償で行うことを意味する。
【0041】
一方、商用電源からの電力供給が途絶えている場合(ステップS12でNo)は、蓄電部13が電力源となって電力供給を開始する(ステップS14)。そして、商用電源からの電力供給が継続しているときと同様に、災害時サービスが開始される(ステップS13)。但し、蓄電部13が電力源となる場合は、画像形成部12、特に画像形成部12の定着部を始めとする電力消費量の大きい部材の動作が停止される(S15)。このように一部の部材の動作が停止されること、つまり一部の部材への電力供給が停止されることで、電力消費量を低く抑えることができる。
【0042】
災害時サービスを開始してから、コピー受付キー14a等を介してコピー指示を受け付けると(ステップS16でYes)、複合機1は、画像形成部12が停止中であれば(ステップS17でYes:上述のステップS12でNoと判断し、ステップS15で画像形成部12を停止させた場合)、コピー機能が休止中である旨を表示部15に表示する(ステップS18)。
【0043】
また、画像メッセージ送信キー14bが押下されると(ステップS19でYes)、複合機1はスキャナ11により原稿から画像データを取得する(ステップS20)。
【0044】
また、音声メッセージ送信キー14cが押下されると(ステップS21でYes)、複合機1は、音声認識部17によりユーザの音声から音声データを取得する(ステップS22)。
【0045】
ここで、通信回線200が使用可能であれば(ステップS23でYes)、通信部18は、画像データ及び音声データを所定の外部装置に送信する(ステップS24)。
【0046】
一方、通信回線200が不通になっていれば(ステップS23でNo)、メモリ19が画像データ及び音声データを保管し、通信回線200が使用可能になってから、通信部18が外部装置へこれらのデータを外部装置へ送信する(ステップS23でYes→ステップS24)。
【0047】
なお、接続端子22を介してUSBメモリ等の外部記憶装置が接続された場合、複写機1は、この外部記憶装置から画像データ又は音声データを取得して、これをステップS24にて外部装置に送信することもできる。本明細書において「画像データ」とは、文字、記号、図、及び写真等を示すデータを含む。
【0048】
複合機1は、ユーザの居場所及び被害状況等を記した原稿をステップS20でスキャナ11により読み取り、また原稿に代えてステップS22で音声認識部17により音声から音声データを取得し、これらのメッセージをステップS24で通信部18により外部装置に送信することができる。このように、複合機1は、無償で、ユーザのメッセージを外部に知らせる連絡手段として機能する。
【0049】
災害発生時には、通信網が切断されたり、通信が混雑することで繋がりにくくなったりという問題が起きることがある。これに対して複合機1は、通信回線200が使用可能になるまで画像及び音声のデータを保管して待機することができる。
【0050】
主制御部21は、ステップS24にて、ユーザによらず全てのメッセージを特定のアドレス(例えば、ホストコンピュータ101又は災害発生時用のサーバ等の、伝言サービスを提供する装置)に送信するように、通信部18を制御するようになっていてもよい。このようにメッセージを一箇所で管理する場合、メッセージを視聴したい者は、通話装置103又は個人所有のPC104等から、この管理場所にアクセスすればよい。
【0051】
また、主制御部21は、ユーザ毎に異なる送信先にメッセージを送信するように、通信部18を制御するようになっていてもよい。この場合の送信先としては、個々の通話装置103及び個々のPC104等が挙げられる。複写機1は、入力受付部14を介して、個々のユーザから送信先のアドレス(電子メールアドレス、URL、電話番号等を含む)の指定を受け付けることができる。
【0052】
〔2〕その他の実施形態
(2-1)電気機器
複写機1に限らず、平時にはユーザから料金を徴収して動作を行う電気機器であって、災害発生時には無償で動作するようになっている電気機器は、災害発生時にユーザにとって非常に利便性が高い。つまり、複写機1は、ユーザから料金を徴収して所定の動作を行う電気機器であって、上記動作を実行する動作実行部と、災害が発生したことを検知する災害検知部と、上記災害検知部が災害の発生を検知すると、上記動作実行部を無償で稼動させる制御部と、を備える電気機器の一例であるといえる。
【0053】
第1実施形態のスキャナ11、画像形成部12、及び通信部18等は、動作実行部の一例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、電気機器には、複写機、スキャナ、ファクシミリ装置、複合機、及びその他有償で稼動する電気機器が含まれる。
【0054】
第1実施形態では、通信部18が定期的に災害情報を収集することで災害検知部として機能するものとしたが、これ以外にも、災害発生時にホストコンピュータやサーバから送られてくる災害発生の情報を受信する災害情報受信部、並びに、災害の発生を直接検知するための感熱器及び振動検知器等が災害検知部として用いられる。また、災害検知部は、この電気機器の設置されている建物内の火災警報器若しくは火災警報器を稼動させる非常ボタン等、又はユーザが操作可能なその他の災害報知手段を介して、災害が発生したことを検知することができるようになっていてもよい。
【0055】
また、この電気機器は、災害時に連絡手段として機能し得ることが好ましい。すなわち、この電気機器は、外部にデータを送信できるようになっていることが好ましい。複写機1は、送信するデータを取得するために、音声認識(音声認識部17)、画像読取(スキャナ11)、外部記憶装置からのデータ取得(接続端子22)の3つの機能を備えている。しかし、この3つのうち少なくとも1つの機能と、外部へデータを送信する機能を備えれば、連絡手段として機能するという効果は実現される。また、この電気機器は、この3つの機能以外に、データを取得する手段を備えていてもよい。
【0056】
(2-2)画像読取装置
人と接触する機会の多い場所(例えば職場)に設置されることの多い電気機器であって、災害時に連絡手段として機能し得る電気機器は、課金機能を備える又は備えないにかかわらず、ユーザにとって利便性が高い。このような電気機器としては、画像を読み取ることのできる画像読取装置が挙げられる。画像読取装置には、第1実施形態で示した複写機1等の複写機の他に、ファクシミ装置、スキャナ、及び複合機等が含まれる。画像読取装置は、データを外部に送信するデータ送信部を備えることによって、連絡手段として機能し得る。
【0057】
この画像読取装置がデータを送信する先は、特に限定されるものではないが、例えば複写機1のメモリ19のような記憶装置に、予め送信先が記憶されており、災害発生時には、この送信先にデータ送信を行うようになっていてもよい。
【0058】
また、画像読取装置は、画像データ以外にも、音声データ等を取得して、外部に送信することができるように、音声認識部及び/又は外部記憶装置からデータを読み出すドライブ若しくは接続端子等を備えることが好ましい。
【0059】
本発明は、以上に述べた実施形態に限定されるものではなく、具体的な構成は適宜変更可能である。また、異なる実施形態を組み合わせて得られる技術、及び従来公知の技術をさらに組み合わせて得られる技術についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、店頭に置かれる有償の複写機等の商業用の電気機器、職場に置かれる複写機等の電気機器に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の一形態に係る複写機1の要部構成を示すブロック図。
【図2】複写機1における災害発生時の動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0062】
1 複写機(電気機器、画像読取装置)
11 スキャナ(画像読取部)
12 画像形成部
13 蓄電部
14 入力受付部
15 表示部
16 課金装置
17 音声認識部
18 通信部(データ送信部、災害検知部)
19 メモリ(記憶装置)
20 メモリ管理部
21 主制御部
200 通信回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザから料金を徴収して所定の動作を行う電気機器であって、
上記動作を実行する動作実行部と、
災害が発生したことを検知する災害検知部と、
上記災害検知部が災害の発生を検知すると、上記動作実行部を無償で稼動させる制御部と、を備える電気機器。
【請求項2】
上記動作実行部は、
音声を認識して音声データを得る音声認識部、原稿から画像を読み取って画像データを得る画像読取部、又は外部記憶装置と接続してデータを取得する接続部の少なくとも1つと、
通信回線を介してデータを外部装置へ送信可能なデータ送信部と、を備える請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
データを記憶可能な記憶部をさらに備え、
上記制御部は、災害発生時に通信回線が使用不可能であれば、通信回線が再開するまで上記記憶部に上記データを格納しておき、通信回線が使用可能になってから、上記データを外部装置へ送信するよう、上記データ送信部を制御するようになっている請求項2に記載の電気機器。
【請求項4】
上記災害検知部は、通信回線を介して災害発生の情報を取得するようになっていると共に、定期的に災害発生の情報の取得を試みるようになっている請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項5】
原稿上の画像を読み取って画像データを得る画像読取部、及び通信回線を介して外部装置へデータを送信可能なデータ送信部を備える動作実行部と、
災害が発生したことを検知する災害検知部と、
災害が発生したことを上記災害検知部が検知すると、上記データ送信部に、上記画像読取部が得た画像データを所定の送り先へ送信させる制御部と、
を備える画像読取装置。
【請求項6】
上記動作実行部は、音声を認識して音声データを得る音声認識部をさらに備え、
上記制御部は、災害が発生したことを上記災害検知部が検知すると、上記音声データを上記データ送信部により、所定の送り先へ送信するようになっている請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項7】
ユーザから料金を徴収する課金装置をさらに備え、
上記制御部は、平時には上記課金装置により徴収された料金分、上記動作実行部を動作させると共に、災害が発生したことを上記災害検知部が検知すると、上記動作実行部を無償で動作させるようになっている請求項5又は6に記載の画像読取装置。
【請求項8】
データを記憶可能な記憶部をさらに備え、
上記制御部は、災害発生時に通信回線が使用不可能であれば、通信回線が再開するまで上記記憶部に送信すべきデータを格納しておき、通信回線が使用可能になってから、上記送信すべきデータを所定の送り先へ送信するよう、上記データ送信部を制御するようになっている請求項5〜7のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項9】
上記災害検知部は、通信回線を介して災害発生の情報を取得するようになっていると共に、定期的に災害発生の情報の取得を試みるようになっている請求項5〜8のいずれか1項に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−111593(P2009−111593A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−280295(P2007−280295)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】