説明

電気機器及び電力供給制御方法

【課題】使用状況に応じて更なる省電力化を図る。
【解決手段】電力供給モードを切り替える電力供給制御部と通常電力モードでの操作に基づく動作の実行が終了した時点で時間の計測動作を開始する時間計測部と前記操作の指示を受け付ける操作指示受付部と前記操作の指示が受け付けられないまま計測時間が待機時間に達すると通常電力モードから第1省電力モード或いは第1省電力モードから第2省電力モードへの切り替えを電力供給制御部に指示し、第1或いは第2省電力モードで前記操作の指示が受け付けられると通常電力モードへの切り替えを指示する切替制御部とを備え、切替制御部は第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えを指示した確率が高い場合に第1省電力モードに比して電力の供給量を削減するが第2省電力モードに比して電力の供給量が多い第3省電力モードへの切り替えを指示する電気機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置やパーソナルコンピュータ等の電気機器の技術分野に属し、特に、電気機器の各部に対して電力を供給する通常電力モードと、前記通常電力モードに比して電力の供給量を削減する省電力モードとを備えた電気機器において、各電力モードを切り替える技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やファクシミリ等の記録媒体に画像を形成する画像形成装置や、パーソナルコンピュータ等の電気機器における省電力化の技術として、当該電気機器の各部に対して電力を供給する通常電力モードの他に、前記各部に対して供給する電力の供給量を削減する省電力モードを設け、所定時間、電気機器に対して何ら操作されなかった場合や、省電力モードに切り替える指示が電気機器に入力操作された場合等に、電気機器の電力供給モードを通常電力モードから省電力モードに切り替える技術が広く採用されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、画像形成装置における非プリント時の定着温度(スタンバイ状態)を記憶する記憶手段を有し、非プリント時の経過時間が長くなるにつれて、画像形成可能な定着温度に至るまでの所要時間は長いが消費電力を抑えることができるスタンバイ状態が当該記憶手段から順次選択される技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−227739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、長期間毎に僅か数枚分のコピーを行う等、画像形成装置に備えられたプリント機能の実行をあまり利用しないユーザにとっては、定着温度をある程度維持しておく利点は少ないと考えられ、頻度が少ないプリント機能の利用時に定着温度を高めるために比較的時間がかかるとしても、定着温度の維持にかかる電力の供給を削減して、消費電力を削減することによる利点が高いと考えられる。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1では、非プリント時の経過時間に応じたスタンバイ状態が当該記憶手段から順次選択されるため、画像形成装置を短期間だけ利用した後に画像形成装置を長期間利用しないことが繰り返される場合であっても、当該長期間が経過するまでに順次選択されるスタンバイ状態により少なからず電力が消費されていた。つまり、電気機器における消費電力を削減する上で改善の余地があった。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、使用状況に応じて更なる省電力化を図ることができる電気機器及び電力供給制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、当該電気機器の各部に対して電力を供給する通常電力モードと、前記通常電力モードに比して電力の供給量を削減する第1省電力モードと、前記第1省電力モードに比して電力の供給量を削減する第2省電力モードと、の間で電力供給モードを切り替える電力供給制御部と、
当該電気機器が前記通常電力モードに設定されている状態で、当該電気機器に対して行われた操作に基づく当該電気機器の動作の実行が終了した時点で時間の計測動作を開始する時間計測部と、
当該電気機器に対する操作の指示を受け付ける操作指示受付部と、
前記操作指示受付部によって当該電気機器に対する操作の指示が受け付けられることがないまま前記時間計測部による計測時間が予め設定された待機時間に達すると、前記電力供給制御部に、前記通常電力モードから前記第1省電力モード或いは前記第1省電力モードから前記第2省電力モードへの切り替えを指示し、当該電気機器が前記第1省電力モード或いは前記第2省電力モードに設定されている状態で、前記操作指示受付部によって当該画像形成装置に対する操作の指示が受け付けられると、前記電力供給制御部に前記第1省電力モード或いは前記第2省電力モードから前記通常電力モードへの切り替えを指示する切替制御部と、
を備え、
前記切替制御部は、さらに、前記電力供給制御部に前記通常電力モードへの切り替えを指示した場合における、前記第2省電力モードから前記通常電力モードへの切り替えを指示した確率が高いことを示す条件を満たす場合に、前記通常電力モードから第1省電力モードへの切り替えに換えて、前記通常電力モードから前記第1省電力モードに比して電力の供給量を削減するが前記第2省電力モードに比して電力の供給量が多い電力供給モードである第3省電力モードへの切り替えを前記電力供給制御部に指示する電気機器である。
【0009】
また、請求項10に記載の発明は、当該電気機器の各部に対して電力を供給する通常電力モードと、前記通常電力モードに比して電力の供給量を削減する第1省電力モードと、前記第1省電力モードに比して電力の供給量を削減する第2省電力モードと、の間で電力供給モードを切り替える電力供給制御部と、当該電気機器に対する操作の指示を受け付ける操作指示受付部と、を備えた電気機器における電力供給制御方法であって、
前記電気機器が前記通常電力モードに設定されている状態で、前記電気機器に対して行われた操作に基づく前記電気機器の動作の実行が終了した時点で時間の計測動作を開始する時間計測ステップと、
前記操作指示受付部によって前記電気機器に対する操作の指示が受け付けられることがないまま前記時間計測部による計測時間が予め設定された待機時間に達すると、前記電力供給制御部に、前記通常電力モードから前記第1省電力モード或いは前記第1省電力モードから前記第2省電力モードへの切り替えを指示し、前記電気機器が前記第1省電力モード或いは前記第2省電力モードに設定されている状態で、前記操作指示受付部によって前記電気機器に対する操作の指示が受け付けられると、前記電力供給制御部に前記第1省電力モード或いは前記第2省電力モードから前記通常電力モードへの切り替えを指示する切替制御ステップと、
を備え、
前記切替制御ステップは、さらに、前記電力供給制御部に前記通常電力モードへの切り替えを指示した場合における、前記第2省電力モードから前記通常電力モードへの切り替えを指示した確率が高いことを示す条件を満たす場合に、前記通常電力モードから第1省電力モードへの切り替えに換えて、前記通常電力モードから前記第1省電力モードに比して電力の供給量を削減するが前記第2省電力モードに比して電力の供給量が多い電力供給モードである第3省電力モードへの切り替えを前記電力供給制御部に指示する電力供給制御方法である。
【0010】
これらの発明では、切替制御部(切替制御ステップ)により、第1省電力モード及び第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えが指示された場合において、第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えが指示された確率が高いことを示す条件を満たすか否かが判断される。
【0011】
そして、第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えが指示された確率が高いと判断されるような状況では、切替制御部(切替制御ステップ)により、通常電力モードから第1省電力モードへの切り替えに換えて、第1省電力モードに比して電力の供給量を削減するが第2省電力モードに比して電力の供給量が多い電力供給モードである第3省電力モードへ切り替えるように制御される。
【0012】
つまり、第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えが指示される確率が高い場合には、予め定められた待機時間に達するまでの期間、当該電気機器を第1省電力モードに設定しておく必要性が低いと考えられるので、当該期間中、当該電気機器を第3省電力モードへ切り替えることにより、当該期間中に当該電気機器が第1省電力モードに切り替えられる場合に比して当該電気機器の各部に供給される電力を削減することができる。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電気機器であって、前記第2省電力モードから前記通常電力モードへの切り替えを指示した確率が高いことを示す条件は、連続して予め設定された回数以上、前記切替制御部が前記電力供給制御部に前記第2省電力モードから前記通常電力モードへの切り替えを指示したかである。
【0014】
この発明では、連続して予め設定された回数以上、電力供給制御部に第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えが指示された場合に、切替制御部により、通常電力モードから第1省電力モードへの切り替えに換えて、通常電力モードから第3省電力モードへ切り替えるように制御される。
【0015】
つまり、連続して予め設定された回数以上、電気機器が第2省電力モードから通常電力モードへ切り替えられていることにより、電気機器の最近の使用状況が第2省電力モードに設定された後に利用される傾向にあることを判断することができる。
【0016】
そして、このような判断がされた場合は、予め設定された待機時間に達するまでの期間、当該電気機器を第1省電力モードに設定しておく必要性が低いと考えられるので、当該期間中、当該電気機器を第3省電力モードへ切り替えることにより、当該期間中に当該電気機器が第1省電力モードに切り替えられる場合に比して当該電気機器の各部に供給される電力を削減することができる。
【0017】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の電気機器であって、前記第2省電力モードから前記通常電力モードへの切り替えを指示した確率が高いことを示す条件は、前記切替制御部が前記電力供給制御部に前記第2省電力モードから前記通常電力モードへの切り替えを指示した累計頻度が、前記切替制御部が前記電力供給制御部に前記第1省電力モード或いは前記第3省電力モードから前記通常電力モードへの切り替えを指示した累計頻度よりも高いかである。
【0018】
この発明では、電力供給制御部に第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えが指示された累計頻度が、電力供給制御部に第1省電力モード或いは第3省電力モードから通常電力モードへの切り替えが指示された累計頻度よりも高い場合に、切替制御部により、通常電力モードから第1省電力モードへの切り替えに換えて、通常電力モードから第3省電力モードへ切り替えるように制御される。
【0019】
つまり、過去に電気機器を利用した際の累計頻度に基づいて、第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えが指示された累計頻度が第1省電力モード或いは第3省電力モードから通常電力モードへの切り替えが指示された累計頻度よりも高いことにより、当該電気機器が第2省電力モードに設定された後に利用される傾向にあることを判断することができる。
【0020】
そして、このような判断がされた場合は、予め設定された待機時間に達するまでの期間、当該電気機器を第1省電力モードに設定しておく必要性が低いと考えられるので、当該期間中、当該電気機器を第3省電力モードへ切り替えることにより、当該期間中に当該電気機器が第1省電力モードに切り替えられる場合に比して当該電気機器の各部に供給される電力を削減することができる。
【0021】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の電気機器であって、前記第2省電力モードから前記通常電力モードへの切り替えを指示した確率が高いことを示す条件は、前記切替制御部が前記電力供給制御部に前記第2省電力モードから前記通常電力モードへの切り替えを指示した場合における当該電気機器が前記第2省電力モードに切り替えられた時点から前記通常電力モードに切り替えられるまでの経過時間の平均値が、前記切替制御部が前記電力供給制御部に前記第1省電力モード或いは前記第3省電力モードから前記通常電力モードへの切り替えを指示した場合における当該電気機器が前記第1省電力モード或いは前記第3省電力モードに切り替えられた時点から前記通常電力モードに切り替えられるまでの経過時間の平均値よりも大きいかである。
【0022】
この発明では、当該電気機器が第2省電力モードに切り替えられた時点から通常電力モードに切り替えられるまでの経過時間の平均値が、当該電気機器が第1省電力モード或いは第3省電力モードに切り替えられた時点から通常電力モードに切り替えられるまでの経過時間の平均値よりも大きい場合に、切替制御部により、通常電力モードから第1省電力モードへの切り替えに換えて、通常電力モードから第3省電力モードへ切り替えるように制御される。
【0023】
つまり、過去に電気機器を利用した際の第1省電力モード、第2省電力モード、及び第3省電力モードに切り替えられた時点から通常電力モードに切り替えられるまでの経過時間の平均値に基づいて、当該電気機器が第2省電力モードに設定されていた期間の平均値が、当該電気機器が第1省電力モード或いは第3省電力モードに設定されていた期間の平均値よりも長いことにより、当該電気機器が第2省電力モードに設定された後に利用される傾向にあることを判断することができる。
【0024】
そして、このような判断がされた場合は、予め設定された待機時間に達するまでの期間、当該電気機器を第1省電力モードに設定しておく必要性が低いと考えられるので、当該期間中、当該電気機器を第3省電力モードへ切り替えることにより、当該期間中に当該電気機器が第1省電力モードに切り替えられる場合に比して当該電気機器の各部に供給される電力を削減することができる。
【0025】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れかに記載の電気機器であって、前記電力供給制御部は、前記切替制御部から前記第3省電力モードへの切り替えを指示されると、前記操作指示受付部によって当該電気機器に対する操作の指示が受け付けられることがないまま前記時間計測部による計測時間が前記第1省電力モードから前記第2省電力モードへの切り替えを指示する場合における前記予め設定された待機時間に達するまでの全ての期間、前記第1省電力モードにおける電力の供給量未満であって前記第2省電力モードにおける電力の供給量よりも多い予め設定された一定の供給量で当該電気機器の各部に対して電力を供給する。
【0026】
この発明では、電気機器が第3省電力モードに切り替えられると、操作指示受付部によって当該電気機器に対する操作の指示が受け付けられることがないまま時間計測部による計測時間が第1省電力モードから第2省電力モードへの切り替えを指示する場合における予め設定された待機時間に達するまでの全ての期間、第1省電力モードにおける電力の供給量未満であって第2省電力モードにおける電力の供給量よりも多い予め設定された一定の供給量で当該電気機器の各部に対して電力が供給されるので、当該全ての期間第1省電力モードに切り替えられる場合に比して、当該電気機器の各部に対して供給される電力を削減することができる。
【0027】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1から4の何れかに記載の電気機器であって、前記電力供給制御部は、前記切替制御部から前記第3省電力モードへの切り替えを指示されると、前記操作指示受付部によって当該電気機器に対する操作の指示が受け付けられることがないまま前記時間計測部による計測時間が前記第1省電力モードから前記第2省電力モードへの切り替えを指示する場合における前記予め設定された待機時間に達するまでの全ての期間のうち、前半の期間を前記第1省電力モードにおける電力の供給量と等しい供給量で、且つ、後半の期間を前記第2省電力モードにおける電力の供給量と等しい供給量で、当該電気機器の各部に対して電力を供給する。
【0028】
この発明では、電気機器が第3省電力モードに切り替えられると、操作指示受付部によって当該電気機器に対する操作の指示が受け付けられることがないまま時間計測部による計測時間が第1省電力モードから第2省電力モードへの切り替えを指示する場合における予め設定された待機時間に達するまでの全ての期間のうち、前半の期間を第1省電力モードにおける電力の供給量と等しい供給量で、且つ、後半の期間を第2省電力モードにおける電力の供給量と等しい供給量で、当該電気機器の各部に対して電力が供給されるので、当該全ての期間第1省電力モードに切り替えられる場合に比して、当該電気機器の各部に対して供給される電力を削減することができる。
【0029】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1から4の何れかに記載の電気機器であって、前記電力供給制御部は、前記切替制御部から前記第3省電力モードへの切り替えを指示されると、前記操作指示受付部によって当該電気機器に対する操作の指示が受け付けられることがないまま前記時間計測部による計測時間が前記第1省電力モードから前記第2省電力モードへの切り替えを指示する場合における前記待機時間に達するまでの期間を予め定められた数の期間に分割して、当該分割した期間が経過する毎に減少するように予め設定された、前記第1省電力モードにおける電力の供給量以下であって前記第2省電力モードにおける電力の供給量以上である供給量で、当該電気機器の各部に対して電力を供給する。
【0030】
この発明では、電気機器が第3省電力モードに切り替えられると、操作指示受付部によって当該電気機器に対する操作の指示が受け付けられることがないまま時間計測部による計測時間が第1省電力モードから第2省電力モードへの切り替えを指示する場合における予め設定された待機時間に達するまでの期間を予め定められた数の期間に分割して、当該分割した期間が経過する毎に減少するように予め設定された、第1省電力モードにおける電力の供給量以下であって第2省電力モードにおける電力の供給量以上である供給量で、当該電気機器の各部に対して電力が供給されるので、当該期間中、全て第1省電力モードに切り替えられる場合に比して、当該電気機器の各部に対して供給される電力を時間の経過に応じて段階的に削減することができる。
【0031】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1から7の何れかに記載の電気機器であって、前記切替制御部は、当該電気機器が前記第2省電力モードに設定されている状態で、前記操作指示受付部によって当該電気機器に対する操作の指示が受け付けられると、前記電力供給制御部に、前記第2省電力モードから前記通常電力モードへの切り替えに換えて前記第2省電力モードから前記第1消電力モードへの切り換えを指示し、
前記時間計測部は、前記切替制御部による当該指示により当該電気機器が前記第1消電力モードに設定された時点で時間の計測動作を開始し、
前記切替制御部は、さらに、当該指示により当該電気機器が前記第1省電力モードに設定されている状態で、前記操作指示受付部によって当該電気機器に対する操作の指示が受け付けられることがないまま前記時間計測部による計測時間が予め設定された待機時間に達すると、前記第2省電力モードへの切り替えを指示し、前記操作指示受付部によって当該電気機器に対する操作の指示が受け付けられると、前記電力供給制御部に前記通常電力モードへの切り替えを指示する。
【0032】
従来、電気機器が第2省電力モードに設定されている状態で、例えば、電気機器の近辺を通りすぎる際に電気機器に衝突して何らかの操作をしてしまった場合等、電気機器が誤って操作された場合、電気機器は通常電力モードに切り替えられ、待機時間が経過するまで通常電力モードによって各部に電力が供給されていた。
【0033】
しかしながら、この発明では、電気機器が第2省電力モードに設定されている状態で電気機器が誤って操作された場合は、切替制御部により、電気機器が第1省電力モードに切り替えられ、時間計測部により、当該第1省電力モードに切り替えられた時点から時間の計測動作が開始される。
【0034】
さらに、当該切り替え指示により電気機器が第1省電力モードに設定されている状態で、当該電気機器に対する操作の指示が受け付けられることがないまま時間計測部による計測時間が予め設定された待機時間に達すると、切替制御部により、第2省電力モードへの切り替えが指示される。
【0035】
このため、上記のように、電気機器が第2省電力モードに設定されている状態で、電気機器が誤って操作されたとしても、電気機器は第1省電力モードに切り替えられ、待機時間が経過するまで第1省電力モードによって各部に電力が供給されるので、上記のように電気機器が誤って操作された場合に通常電力モードに切り替えられる場合に比して、電力の供給量を削減することができる。
【0036】
また、請求項9に記載の発明は、請求項1から8の何れかに記載の電気機器であって、前記切替制御部は、予め設定された時間帯毎に予め設定された前記待機時間及び前記第2省電力モードから前記通常電力モードへの切り替えを指示した確率が高いことを示す条件に応じて、前記電力供給制御部に前記電力供給モードの切り替えを指示する。
【0037】
この発明では、例えば、深夜や早朝といった電気機器を利用する頻度が少ないような場合には、当該時間帯における上記の待機時間を予め小さく設定する、或いは、第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えを指示した確率が高いことを示す条件を緩和する等して、切替制御部により、電力供給制御部に第3省電力モードへの切り替え指示が頻度高く行われるようにし、昼間や夕方といった電気機器を利用する頻度が高いような場合には、当該時間帯における待機時間を予め大きく設定する、或いは、第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えを指示した確率が高いことを示す条件を強化する等して、電力供給制御部に第3省電力モードへの切り替え指示が頻度高く行われないようにすることができる。このため、時間帯毎の電気機器の使用状況に応じて柔軟に電力の供給量を削減することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、使用状況に応じて更なる省電力化を図ることができる電気機器及び電力供給制御方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る電気機器の一例としての複合機の断面図。
【図2】ユーザインタフェース部の正面図。
【図3】複合機の電気的な構成を示すブロック図。
【図4】各電力供給モードにおける消費電力の推移の第一例を示す説明図。
【図5】電力供給モードの切り替え制御の動作の第一例を示すフローチャート。
【図6】電力供給モードの切り替え制御の動作の第二例を示すフローチャート。
【図7】電力供給モードの切り替え制御の動作の第三例を示すフローチャート。
【図8】各電力供給モードにおける消費電力の推移の第二例を示す説明図。
【図9】各電力供給モードにおける消費電力の推移の第三例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明に係る電気機器の実施形態を図面を用いて説明する。尚、以下の実施形態では、本発明に係る電気機器の一例として、カラーコピー、スキャナ、ファクシミリ、プリンタ等の機能を備えた画像形成装置である複合機に集約した形態を説明する。図1は、この複合機の断面図である。
【0041】
複合機1は、画像読取部2と、装置本体3と、装置本体3の左方に配設されたスタックトレイ6と、を備えている。
【0042】
画像読取部2は、原稿給紙部21と、スキャナ部22と、CIS231と、ユーザインタフェース部5と、を備えている。
【0043】
原稿給紙部21は、ADF(Automatic Document Feeder)を備え、原稿トレイ211、ピックアップローラ212、プラテン213、排紙ローラ214及び排紙トレイ215を有する。
【0044】
原稿トレイ211には、読取対象とされる原稿が載置される。原稿トレイ211に載置された原稿は、1枚ずつピックアップローラ212によって取り込まれ、間隙を介して順次プラテン213へ搬送される。プラテン213を経由した原稿は、排紙ローラ214によって排紙トレイ215へ順次排出される。
【0045】
プラテン213の周面に対向する位置のうち、原稿の搬送方向において読取位置Pより手前の予め定められた位置には、用紙を検出する図略のタイミングセンサが設置されており、当該タイミングセンサの出力信号に基づき、読取位置Pへの原稿の搬送タイミングが図られる。当該タイミングセンサは、例えば、フォトインタラプタにより構成される。
【0046】
スキャナ部22は、原稿の画像を光学的に読み取って画像データを生成するものである。スキャナ部22は、ガラス221、光源222、第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225、第1キャリッジ226、第2キャリッジ227、結像レンズ228、CCD(Charge Coupled Device)229を備え、光源222及び第1ミラー223は、第1キャリッジ226によって支持され、第2ミラー224及び第3ミラー225は第2キャリッジ227によって支持されている。
【0047】
光源222には冷陰極蛍光管等の白色蛍光ランプが用いられ、スキャナ部22は、第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225、第1キャリッジ226、第2キャリッジ227及び結像レンズ228により、原稿からの光をCCD229に導くように構成されている。
【0048】
画像読取部2の原稿読取方式には、ガラス221上に載置された原稿をスキャナ部22が読み取るフラットベッド読取モードと、原稿を原稿給紙部21(ADF)によって取り込み、その搬送途中で原稿を読み取るADF読取モードがある。
【0049】
フラットベッド読取モードでは、光源222がガラス221上に載置された原稿を照射し、主走査方向1ライン分の反射光が第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225の順に反射して、結像レンズ228に入射する。結像レンズ228に入射した光はCCD229の受光面で結像される。
【0050】
CCD229は一次元のイメージセンサであり、1ライン分の原稿の画像データを同時に処理する。第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227は、主走査方向と直交する方向(副走査方向、矢印Y方向)に移動可能に構成されており、1ライン分の読み取りが終了すると、副走査方向に第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227が移動し、次のラインの読み取りが行われる。
【0051】
ADF読取モードでは、原稿給紙部21が原稿トレイ211に載置された原稿をピックアップローラ212によって1枚ずつ取り込む。このとき、第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227は、読取窓230の下方に位置する予め定められた読取位置Pに配置される。
【0052】
原稿給紙部21による原稿搬送で、原稿がプラテン213から排紙トレイ215への搬送経路に設けられた読取窓230上を通過するとき、光源222が原稿を照射し、主走査1ライン分の反射光が第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225の順に反射して、結像レンズ228に入射する。結像レンズ228に入射した光はCCD229の
受光面で結像される。続いて原稿は原稿給紙部21によって搬送され、次のラインが読み取られる。
【0053】
更に、原稿給紙部21は、切換ガイド216、反転ローラ217及び反転搬送路218を備えた原稿反転機構を有する。この原稿反転機構が、1回目のADF読み取りによって表面が読み取られた原稿を表裏反転させて読取窓230に再搬送することで、再度CCD229によって裏面の読み取りが行われる。
【0054】
この原稿反転機構は、両面読み取り時にのみ動作し、片面読み取り時は動作しない。片面読み取り時及び両面読み取り時において裏面の読み取り後、切換ガイド216は上側に切り替えられ、プラテン213を経た原稿は、排紙ローラ214によって排紙トレイ215に排紙される。
【0055】
両面読み取り時における表面読み取り後、切換ガイド216は下側に切り替えられ、プラテン213を経た原稿は反転ローラ217によって反転搬送路218へ搬送される。その後、切換ガイド216は上側へ切り替わり、反転ローラ217が逆回転して原稿をプラテン213へ再給紙する。以下、原稿反転機構を用いて原稿の両面を読み取らせるモードを両面反転読取モードと表記する。
【0056】
更に、画像読取部2は、ADF読取モード時において、原稿の搬送途中でCCD229によって原稿の表面の読み取りを行わせると略同時に、CIS231によって原稿の裏面の読み取りを行わせることが可能である。この場合、原稿トレイ211から原稿給紙部21により搬送された原稿は、読取窓230上を通過するときにCCD229によって表面が読み取られ、更にCIS231の配置箇所を通過する際に裏面が読み取られる。尚、CIS231では、光源としてRGBの3色LED等が用いられる。
【0057】
このようにCCD229とCIS231を用いることで、原稿給紙部21による原稿トレイ211から排紙トレイ215までの一回の原稿搬送操作(ワンパス)によって原稿の表裏両面の読み取りが可能となる。以下、このようにCCD229とCIS231を用いて原稿の両面を読み取らせるモードを両面同時読取モードと表記する。
【0058】
上記の両面反転読取モード及び両面同時読取モードは、ADF読取モードを用いて原稿の両面読み取りを行う際の読取モードとして備えられている。両面反転読取モードは、両面の印刷画像の画質を揃えたい場合に利用される一方、両面同時読取モードは、両面の印刷画像の画質に差があっても、読取時間の短縮化を優先させたい場合に利用される。
【0059】
尚、本実施形態における複合機1は、両面同時読取モードに初期設定されており、読取モードのモード設定操作が何も行われないまま画像形成指示が入力された場合には、両面同時読取モードで原稿の画像読取動作が行われるようになっている。
【0060】
装置本体3は、複数の給紙カセット461と、給紙カセット461から記録紙を1枚ずつ繰り出して画像形成部40へ搬送する給紙ローラ462と、給紙カセット461から搬送されてきた記録紙に画像を形成する画像形成部40とを備える。また、装置本体3は、給紙トレイ471と該給紙トレイ471に載置された原稿を1枚ずつ画像形成部40に向けて繰り出す繰り出しローラ472とを備える。
【0061】
画像形成部40は、感光体ドラム43の表面から残留電荷を除電する除電装置421と、除電後の感光体ドラム43の表面を帯電させる帯電装置422と、スキャナ部22で取得された画像データに基づいてレーザ光を出力して感光体ドラム43の表面を露光し、当該感光体ドラム43の表面に静電潜像を形成する露光装置423と、前記静電潜像に基づいて感光体ドラム43上に、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の各色のトナー像を形成する現像装置44K,44Y,44M,44Cと、感光体ドラム43に形成された各色のトナー画像が転写されて重ね合わせされる転写ドラム49と、転写ドラム49上のトナー像を記録紙に転写させる転写装置41と、トナー像が転写された記録紙を所定の定着温度で加熱してトナー像を記録紙に定着させる定着装置45と、画像形成部40を通過した記録紙をスタックトレイ6又は排出トレイ48まで搬送する搬送ローラ463,464と、を備えている。
【0062】
定着装置45は、定着ローラ451と、加圧ローラ452と、温度センサ453と、を備えている。
【0063】
定着ローラ451は、例えばハロゲンヒータからなる図略のヒータを内部に備え、当該ヒータによって内部から加熱されるように構成されている。当該ヒータには、後述する制御部61(図3)の制御の下、交流電源から電力が供給され、当該電力の供給量に応じて定着ローラ451の加熱度合いが調整される。
【0064】
加圧ローラ452は、図略の駆動機構によって定着ローラ451に向かうように押圧され、これにより、定着ローラ451と加圧ローラ452の間に、定着ローラ451及び加圧ローラ452の回転軸に沿って帯状のニップ部が形成される。そして、記録紙が当該ニップ部を通過することによって、記録紙に加熱・加圧処理が施され、記録紙にトナー像が定着(加熱定着)される。
【0065】
温度センサ453は、定着ローラ451の温度(定着温度)を測定し、当該測定した定着温度を後述する制御部61(図3参照)へ出力する。
【0066】
尚、記録紙の両面に画像を形成する場合は、画像形成部40で記録紙の一方の面に画像を形成した後、この記録紙を排出トレイ48側の搬送ローラ463にニップされた状態とする。この状態で搬送ローラ463を反転させて記録紙をスイッチバックさせ、記録紙を用紙搬送路Lに送って画像形成部40の上流域に再度搬送し、画像形成部40により他方の面に画像を形成した後、記録紙をスタックトレイ6又は排出トレイ48に排出する。
【0067】
また、装置本体3の前方には、ユーザが操作画面や各種メッセージ等を視認することができる表示部51や、種々の操作命令を入力するための操作ボタンを有するユーザインタフェース部5が備えられている。
【0068】
図2に示すように、ユーザインタフェース部5は、表示部51、タッチパネル52、数字キー群53、各種操作ボタン54〜57、機能選択ボタン58等を備える。
【0069】
表示部51は、LCD(Liquid Crystal Display)やELD(Electronic Luminescent Display)等によって構成され、紙サイズ選択、倍率選択、濃度選択等のユーザに対する操作案内画面が表示される。この表示部51は、タッチパネル52と一体的に形成されている。タッチパネル52は、ユーザによるタッチ操作がなされたときにそのタッチ位置を検知し、該タッチ位置を示す検知信号を後述する制御部61(図3参照)へ出力するものである。
【0070】
数字キー群53は、例えば、複合機1のコピー機能を動作させる際はコピー枚数を、ファクシミリ機能を動作させる際は送信先の電話番号等を入力するためのものである。節電ボタン54は、複合機1を節電(低電力)モードにするボタンである。スタートボタン55はコピー動作やスキャナ動作等を開始させるボタンであり、ストップ/クリアボタン56はコピー動作やスキャナ動作等の停止、入力操作の取り消しを行うボタンである。リセットボタン57は表示部51の表示や各種設定を初期状態又は標準動作状態にするボタンである。機能選択ボタン58は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能を設定するためのボタンである。
【0071】
図3は、複合機1の電気的な構成を示すブロック図である。尚、図1、図2に示した各部と同一のものには同一の符号を付し、その説明は省略する。複合機1は、原稿給紙部21、スキャナ部22、CIS231、ユーザインタフェース部5、画像形成部40、通信部66、記憶部67及び制御部61を備えている。
【0072】
原稿給紙部21は、上記のADF読取モードで原稿のコピーやスキャンが行われる際に、原稿トレイ211に載置された原稿を自動的に取り込んで、CCD229やCIS231による原稿の読み取りが可能なように搬送する。スキャナ部22及びCIS231は、図1、図2に示すスキャナ部22及びCIS231に相当するものである。
【0073】
ユーザインタフェース部5は、図1に示すユーザインタフェース部5に相当するものであり、使用者がコピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能及びスキャナ機能等に関する操作を行うために使用され、使用者による操作命令(コマンド)等を制御部61に与えるものである。
【0074】
画像形成部40は、スキャナ部22又はCIS231によって得られた画像データや、パーソナルコンピュータやファクシミリ装置等から通信部66を介して転送された画像データに基づいた画像を記録紙に形成するものである。
【0075】
通信部66は、図略のネットワークインタフェースを用いて、ネットワークを介して接続されたコンピュータやファクシミリ装置等の外部装置との間で種々のデータの送受信を行うものである。
【0076】
記憶部67は、スキャナ部22及びCIS231の読取動作により得られた画像データや、制御部61により処理された画像データ等を記憶する記憶部と、ファクシミリ通信を行う時の短縮釦登録の相手先名称やファクシミリ番号、或いは、ネットワークスキャナとして使用される際の送信相手先のIPアドレスなどを予め記憶したりする記憶部と、各部の動作制御プログラムを記憶する記憶部と、を有して構成されているものである。
【0077】
制御部61は、複合機1全体の動作制御を司るものであり、CPU、RAM及びROM等によって構成される。
【0078】
制御部61は、ユーザからユーザインタフェース部5に入力された各種の指示信号等に応じて、図略のROM又は記憶部67に記憶されている動作制御プログラムに基づいた処理を実行し、各機能部(原稿給紙部21、スキャナ部22、CIS231、ユーザインタフェース部5、画像形成部40及び通信部66)への指示信号の出力、データ転送等を行って複合機1を統括的に制御する。つまり、ユーザインタフェース部5及び制御部61により、複合機1に対する操作の指示を受け付ける、本発明の操作指示受付部の一例が構成されている。
【0079】
また、ユーザインタフェース部5は、スリープ移行時間入力部56を備え、制御部61は、温度制御部611と、電力供給制御部612と、切替制御部613としての機能を有している。
【0080】
温度制御部611は、定着装置45に備えられた温度センサ453から出力された定着ローラ451の定着温度に応じて定着ローラ451の内部のヒータに接続された給電線に設けられたスイッチをオンオフ制御することにより、当該ヒータに対する電力の供給量を調整し、定着ローラ451の定着温度の温度制御を行うものである。
【0081】
電力供給制御部612は、複合機1の電力供給モードを切り替えるものであり、切替制御部613は、電力供給制御部612に電力供給モードの切り替えを指示するものである。
【0082】
複合機1には、電力供給モードとして、画像形成部40を含む各部に対して電力を供給する通常電力モードと、定着ローラ451の温度を予め設定された定着温度(例えば、180〜200℃)よりも低い温度(例えば、100℃)に設定する等して、通常電力モードに比して電力の供給量を削減する第1省電力モードと、例えば、定着ローラ451の加熱を停止する等、定着ローラ451の温度を第1省電力モードに比してさらに低い温度(例えば、50〜80℃)に設定して、第1省電力モードに比して電力の供給量を削減する第2省電力モードとが設けられ、さらに、後述するように、第1省電力モードに比して電力の供給量を削減するが第2省電力モードに比して電力の供給量が多い第3省電力モードが設けられている。
【0083】
電力供給制御部612は、図略のAC/DCコンバータ及びDC/DCコンバータを制御して、交流電源から供給される交流電力及び当該交流電力が変換されることにより生成される直流電力の供給量を切替制御部613から指示された電力供給モードに対応する予め設定された供給量に調整する。これにより、複合機1は、当該指示された電力供給モードに設定(移行)される。
【0084】
切替制御部613は、複合機1が通常電力モードに設定されている状態で、当該複合機1に対して行われた操作に基づく当該複合機1の動作の実行が終了した時点からの経過時間を計測するタイマ613aを備え、例えば、ユーザインタフェース部5に設けられている節電ボタン54(図2参照)が押圧操作されると、或いは、ユーザインタフェース部5及び制御部61によって複合機1に対する操作の指示が受け付けられることがないままタイマ613aによる計測時間が後述する待機時間に達すると、電力供給モードを通常電力モードから第1省電力モード、或いは、第1省電力モードから第2省電力モードに切り替える指示を電力供給制御部612に出力する。
【0085】
また、切替制御部613は、複合機1が第1省電力モード或いは第2省電力モードに設定されている状態で、ユーザインタフェース部5及び制御部61によって複合機1に対する操作の指示が受け付けられると、電力供給モードを第1省電力モード或いは第2省電力モードから通常電力モードに切り替える指示を電力供給制御部612に出力する。
【0086】
スリープ移行時間入力部56は、複合機1に対する操作の指示が受け付けられないまま経過した時間(待機時間)に応じたタイミングで、切替制御部613により、通常電力モードから第1省電力モード、或いは、第1省電力モードから第2省電力モードに切り替える指示が電力供給制御部612に出力されるようにすべく、当該待機時間を設定する入力を行うものである。
【0087】
スリープ移行時間入力部56は、表示部51、タッチパネル52及び数字キー群53により構成されている。例えば、図2に示すように、複合機1に対する操作の指示が何ら受け付けられないまま待機時間T1(例えば、60秒)が経過した場合に、切替制御部613によって電力供給モードが通常電力モードから第1省電力モードに切り替えられ、複合機1に対する操作の指示が何ら受け付けられないまま待機時間T2(例えば、300秒)が経過した場合に、切替制御部613によって電力供給モードが第1省電力モードから第2省電力モードに切り替えられるようにすべく、制御部61は、スリープ移行時間入力部56としての待機時間T1,T2の設定画面を表示部51に表示する。
【0088】
当該待機時間T1,T2の設定画面には、待機時間T1,T2についてのデフォルト値(矢印A)と、変更後の待機時間(矢印B)と、が表示される。そして、矢印Bで示す表示領域をタッチすることにより図略のカーソルを当該表示領域内で表示させた状態で、数字キー群53により所望の待機時間T1,T2を数値で入力することにより、待機時間T1,T2がその時間に変更される。
【0089】
尚、待機時間T1,T2についてのデフォルト値(矢印A)は、製品出荷時に記憶部67や制御部61に備えられたROM等に予め記憶されており、当該設定画面で変更された待機時間T1,T2は、制御部61によって記憶部67や制御部61に備えられたRAM等に記憶される。
【0090】
切替制御部613は、待機時間T1,T2が変更されていない場合には、待機時間のデフォルト値に基づいて、電力供給モードの切り替え指示を電力供給制御部612に出力し、待機時間T1,T2が変更された場合には、その変更後の待機時間T1,T2に基づいて電力供給モードの切り替え指示を電力供給制御部612に出力する。
【0091】
切替制御部613は、さらに、電力供給制御部612に通常電力モードへの切り替えを指示した場合における、第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えを指示した確率が高いことを示す条件を満たす場合に、通常電力モードから第1省電力モードへの切り替えに換えて、通常電力モードから上記の第3省電力モードへの切り替えを電力供給制御部612に指示する。
【0092】
上記の第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えを指示した確率が高いことを示す条件としては、例えば、連続して予め設定された回数以上、切替制御部613が電力供給制御部612に第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えを指示したかが設定される(尚、以下では当該条件を「第1所定条件」と記す)。
【0093】
尚、予め設定された回数は、製品出荷時に記憶部67や制御部61に備えられたROM等に予め記憶されている。また、これに限らず、予め設定された回数は、上記の待機時間T1,T2と同様にして、ユーザインタフェース部5及び制御部61によって当該予め設定された回数の設定画面を表示部51に表示するように構成し、当該設定画面に入力された回数を記憶部67や制御部61に備えられたRAM等に記憶するようにして構成してもよい。
【0094】
切替制御部613は、例えば第1所定条件等、上記の第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えを指示した確率が高いことを示す条件を満たす場合に、図4に示すように、通常電力モードから第1省電力モードへの切り替え(図中の点線部)に換えて、通常電力モードから第3省電力モードへの切り替え(図中の実線部)を電力供給制御部612に指示する。
【0095】
ここで、電力供給制御部612は、図4に示すように、ユーザインタフェース部5及び制御部61によって複合機1に対する操作の指示が受け付けられないままタイマ613aによる計測時間が通常電力モードから第1省電力モードへの切り替えを指示する場合における予め設定された待機時間T1経過した時点で、上記の第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えを指示した確率が高いことを示す条件を満たしたことにより、切替制御部613から第3省電力モードへの切り替えを指示されると、ユーザインタフェース部5及び制御部61によって複合機1に対する操作の指示が受け付けられないままタイマ613aによる計測時間が第1省電力モードから第2省電力モードへの切り替えを指示する場合における予め設定された待機時間T2に達するまでの全ての期間(図中のT1からT2までの期間)、第1省電力モードにおける電力の供給量P1未満であって第2省電力モードにおける電力の供給量P2よりも多い予め設定された一定の供給量P3で複合機1の各部に対して電力を供給する。
【0096】
以下では、電力供給モードの切り替え制御の動作について、図5を用いて説明する。
【0097】
複合機1に電源が投入されると、切替制御部613は、通常電力モードに切り替える指示を電力供給制御部612に出力し、電力供給制御部612は、当該指示に応じて電力供給モードを通常電力モードに設定する(S1)。
【0098】
ステップS1により、複合機1が通常電力モードに設定されている状態で、上記の複合機1に対して行われた操作に基づく複合機1の動作の実行が終了した時点で、タイマ613aは、時間の計測動作を開始する(S2、時間計測ステップ)。
【0099】
例えば、画像形成動作に関わる操作が、ユーザインタフェース部5及び制御部61を介して受け付けられると、当該操作によって受け付けられた画像形成動作が終了して、記録紙をスタックトレイ6又は排出トレイ48に排出した時点で、タイマ613aは時間の計測動作を開始する。
【0100】
切替制御部613は、タイマ613aによる計測時間が待機時間T1に達する(S4;YES)までに、ユーザインタフェース部5及び制御部61を介して複合機1に対する操作の指示が受け付けられると(S3;YES)、ステップS1の処理を実行する。
【0101】
一方、切替制御部613は、ユーザインタフェース部5及び制御部61を介して複合機1に対する操作の指示が受け付けられないまま(S3;NO)、タイマ613aによる計測時間が待機時間T1に達すると(S4;YES)、複合機1が第2省電力モードから通常電力モードへ連続して切り替えられた回数を示す連続復帰回数Cが、上記の予め設定された回数以上の値に設定されているか否かを判断する(S5)。尚、連続復帰回数Cは、図5に示す各処理ステップにおいて、RAMを介して読み書きされる。
【0102】
ここで、切替制御部613は、連続復帰回数Cが上記の予め設定された回数以上の値に設定されていると判断した場合は(S5;YES)、通常電力モードから第3省電力モードへの切り替えを電力供給制御部612に指示し、電力供給制御部612は、当該指示に応じて、図4に示すように、第1省電力モードにおける電力の供給量P1未満であって第2省電力モードにおける電力の供給量P2よりも多い予め設定された一定の供給量P3で複合機1の各部に対して電力を供給する。これにより、複合機1は、第3省電力モードに設定(移行)される(S6)。
【0103】
一方、切替制御部613は、連続復帰回数Cが上記の予め設定された回数以上の値に設定されていないと判断した場合は(S5;NO)、通常電力モードから第1省電力モードへの切り替えを電力供給制御部612に指示する(S7)。
【0104】
続いて、切替制御部613は、タイマ613aによる計測時間が待機時間T2に達する(S10;YES)までに、ユーザインタフェース部5及び制御部61を介して複合機1に対する操作の指示が受け付けられると(S8;YES)、複合機1を第1省電力モード或いは第3省電力モードから通常電力モードに移行させるべく、連続復帰回数Cをクリアして(S9)、ステップS1の処理に戻る。
【0105】
尚、ステップS9において切替制御部613が連続復帰回数Cをクリアする方法は、特に具体的な方法に限定する趣旨ではなく、例えば、切替制御部613がRAMに書き込まれた連続復帰回数Cを消去する、或いは、切替制御部613が連続復帰回数Cを記憶するためのRAMの予め設定されたアドレス領域に、連続復帰回数Cをクリアしたことを示す固定値(例えば、0)を記憶する等、適宜設計事項として構成してよい。
【0106】
一方、切替制御部613は、ユーザインタフェース部5及び制御部61を介して複合機1に対する操作の指示が受け付けられないまま(S8;NO)、タイマ613aによる計測時間が待機時間T2に達すると(S10;YES)、第1省電力モード或いは第3省電力モードから第2省電力モードに切り替える指示を電力供給制御部612に出力し、電力供給制御部612は、当該指示に応じて電力供給モードを第2省電力モードに切り替える(S11)。
【0107】
このようにして、切替制御部613は、ユーザインタフェース部5及び制御部61を介して複合機1に対する操作の指示が受け付けられるまで複合機1を第2省電力モードに設定したまま維持する(S12;NO)。一方、切替制御部613は、複合機1が第2省電力モードに設定されている状態で、ユーザインタフェース部5及び制御部61を介して複合機1に対する操作の指示が受け付けられると(S12;YES)、連続復帰回数Cを1累積加算し(インクリメント)して(S13)、ステップS1の処理に戻る。
【0108】
即ち、ステップS1及びステップS3〜S13の処理により、本発明に係る切替制御ステップの一例が構成されている。
【0109】
つまり、上記の構成によれば、切替制御部613(切替制御ステップ)により、連続して予め設定された回数以上、複合機1が第2省電力モードから通常電力モードへ切り替えられていることによって、複合機1の最近の使用状況が第2省電力モードに設定された後に利用される傾向にあることが判断される。
【0110】
そして、このような判断がされた場合は、予め設定された待機時間T2に達するまでの期間(図4におけるT1からT2までの期間)、複合機1を第1省電力モードに設定しておく必要性が低いと考えられるので、切替制御部613(切替制御ステップ)により、複合機1を第3省電力モードへ切り替える指示がなされる。
【0111】
そして、複合機1が第3省電力モードに切り替えられると、第1省電力モードにおける電力の供給量(図4におけるP1)未満であって第2省電力モードにおける電力の供給量(図4におけるP2)よりも多い予め設定された一定の供給量(図4におけるP3)で複合機1の各部に対して電力が供給されるので、当該全ての期間(図4におけるT1からT2までの期間)複合機1が第1省電力モードに切り替えられる場合に比して、複合機の各部に対して供給される電力を図4における斜線矩形領域に相当する供給量分だけ削減することができる。
【0112】
尚、切替制御部613が電力供給制御部612に通常電力モードへの切り替えを指示した場合における、上記の第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えを指示した確率が高いことを示す条件は、上記の実施形態に記載した条件に限定する趣旨ではない。
【0113】
例えば、上記の第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えを指示した確率が高いことを示す条件として、切替制御部613が電力供給制御部612に第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えを指示した累計頻度が、切替制御部613が電力供給制御部612に第1省電力モード或いは第3省電力モードから通常電力モードへの切り替えを指示した累計頻度よりも高いかが設定されてもよい(尚、以下では当該条件を、「第2所定条件」と記す)。
【0114】
本構成は、図5におけるステップS5、ステップS9、及びステップS13を、図6に示すように、それぞれ後述するステップS21、ステップS22、及びステップS23に変更することによって実現することができる。
【0115】
具体的には、本構成は、切替制御部613が、第1省電力モード或いは第3省電力モードから通常電力モードへの切り替えを電力供給制御部612に指示した場合に(S8;YES)、第1省電力モード或いは第3省電力モードから通常電力モードへの切り替えを指示した累計頻度を示す第1復帰回数C1を1インクリメントし(S22)、同様に、第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えを電力供給制御部612に指示した場合に(S12;YES)、第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えを指示した累計頻度を示す第2復帰回数C2を1インクリメントする(S23)ように構成して実現することができる。
【0116】
また、これに合わせて、本構成は、切替制御部613が、ユーザインタフェース部5及び制御部61を介して複合機1に対する操作の指示が受け付けられないまま(S3;NO)、タイマ613aによる計測時間が待機時間T1に達すると(S4;YES)、第2復帰回数C2が第1復帰回数C1以上であるか否かを判断して(S21)、第2復帰回数C2が第1復帰回数C1以上である場合は(S21;YES)、電力供給制御部612に第3省電力モードへの切り替えを指示し(S6)、第2復帰回数C2が第1復帰回数C1未満である場合は(S21;NO)、電力供給制御部612に第1省電力モードへの切り替えを指示する(S7)ように構成して実現することができる。尚、第1復帰回数C1及び第2復帰回数C2は、図6に示す各処理ステップにおいて、RAMを介して読み書きされる。
【0117】
本構成によれば、電力供給制御部612に第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えが指示された累計頻度が、電力供給制御部612に第1省電力モード或いは第3省電力モードから通常電力モードへの切り替えが指示された累計頻度よりも高い場合に、切替制御部613により、通常電力モードから第1省電力モードへの切り替えに換えて、通常電力モードから第3省電力モードへ切り替えるように制御される。
【0118】
つまり、過去に複合機1を利用した際の累計頻度に基づいて、第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えが指示された累計頻度が第1省電力モード或いは第3省電力モードから通常電力モードへの切り替えが指示された累計頻度よりも高いことにより、複合機1が第2省電力モードに設定された後に利用される傾向にあることを判断することができる。
【0119】
さらに、上記の第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えを指示した確率が高いことを示す条件として、切替制御部613が電力供給制御部612に第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えを指示した場合における複合機1が第2省電力モードに切り替えられた時点から通常電力モードに切り替えられるまでの経過時間の平均値が、切替制御部613が電力供給制御部612に第1省電力モード或いは第3省電力モードから通常電力モードへの切り替えを指示した場合における複合機1が第1省電力モード或いは第3省電力モードに切り替えられた時点から通常電力モードに切り替えられるまでの経過時間の平均値よりも大きいかが設定されてもよい(尚、以下では当該条件を、「第3所定条件」と記す)。
【0120】
本構成は、図5におけるステップS5、ステップS9、及びステップS13を、図7に示すように、それぞれ後述するステップS31、ステップS32、及びステップS33に変更することによって実現することができる。
【0121】
具体的には、本構成は、切替制御部613が、第1省電力モード或いは第3省電力モードから通常電力モードへの切り替えを電力供給制御部612に指示した場合に(S8;YES)、第1省電力モード或いは第3省電力モードに切り替えられた時点から通常電力モードに切り替えられるまでの経過時間の平均値を示す第1平均復帰時間R1を算出し(S32)、第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えを電力供給制御部612に指示した場合に(S12;YES)、第2省電力モードに切り替えられた時点から通常電力モードに切り替えられるまでの経過時間の平均値を示す第2平均復帰時間R2を算出する(S33)ように構成して実現することができる。
【0122】
尚、第1平均復帰時間R1及び第2平均復帰時間R2は、図7に示す各処理ステップにおいて、RAMを介して読み書きされる。また、第1平均復帰時間R1及び第2平均復帰時間R2は、例えば、ステップS8及びステップS12において、切替制御部613が、ユーザインタフェース部5及び制御部61を介して複合機1に対する操作の指示が受け付けられた時点でタイマ613aによって計測された計測時間をそれぞれのステップ毎に累積加算して、それぞれのステップにおける当該累積加算が実行された累計頻度と対応づけてRAMに書き込むように構成し、当該RAMに書き込まれた計測時間の累積加算結果を、これに対応する累計頻度で除算することによって算出することができる。ただし、第1平均復帰時間R1及び第2平均復帰時間R2の算出方法を当該方法に限定する趣旨ではない。
【0123】
また、これに合わせて、本構成は、切替制御部613が、ユーザインタフェース部5及び制御部61を介して複合機1に対する操作の指示が受け付けられないまま(S3;NO)、タイマ613aによる計測時間が待機時間T1に達すると(S4;YES)、第2平均復帰時間R2が第1平均復帰時間R1以上であるか否かを判断して(S31)、第2平均復帰時間R2が第1平均復帰時間R1以上である場合は(S31;YES)、電力供給制御部612に第3省電力モードへの切り替えを指示し(S6)、第2平均復帰時間R2が第1平均復帰時間R1未満である場合は(S31;NO)、電力供給制御部612に第1省電力モードへの切り替えを指示する(S7)ように構成して実現することができる。
【0124】
本構成によれば、複合機1が第2省電力モードに切り替えられた時点から通常電力モードに切り替えられるまでの経過時間の平均値が、複合機1が第1省電力モード或いは第3省電力モードに切り替えられた時点から通常電力モードに切り替えられるまでの経過時間の平均値よりも大きい場合に、切替制御部613により、通常電力モードから第1省電力モードへの切り替えに換えて、通常電力モードから第3省電力モードへ切り替えるように制御される。
【0125】
つまり、過去に複合機1を利用した際の第1省電力モード、第2省電力モード、及び第3省電力モードに切り替えられた時点から通常電力モードに切り替えられるまでの経過時間の平均値に基づいて、複合機1が第2省電力モードに設定されていた期間の平均値が、複合機1が第1省電力モード或いは第3省電力モードに設定されていた期間の平均値よりも長いことにより、複合機1が第2省電力モードに設定された後に利用される傾向にあることを判断することができる。
【0126】
尚、切替制御部613から電力供給制御部612に第3省電力モードへの切り替えが指示された場合に、電力供給制御部612が第1省電力モードに比して電力の供給量を削減するが第2省電力モードに比して電力の供給量が多い電力供給モードに切り替える態様は、上記の実施形態に記載した態様に限定する趣旨ではない。
【0127】
例えば、図8に示すように、電力供給制御部612は、切替制御部613から第3省電力モードへの切り替えを指示されると、ユーザインタフェース部5及び制御部61を介して複合機1に対する操作の指示が受け付けられないままタイマ613aによる計測時間が第1省電力モードから第2省電力モードへの切り替えを指示する場合における予め設定された待機時間T2に達するまでの全ての期間(図中のT1からT2までの期間)のうち、前半の期間(図中のT1からT3までの期間)を第1省電力モードにおける電力の供給量P1と等しい供給量で、且つ、後半の期間(図中のT3からT2までの期間)を第2省電力モードにおける電力の供給量P2と等しい供給量で、複合機1の各部に対して電力を供給するように構成してもよい。
【0128】
尚、当該全ての期間を前半の期間と後半の期間とに分割する閾値となる時間T3は、製品出荷時に記憶部67や制御部61に備えられたROM等にデフォルト値として予め記憶されている。また、これに限らず、当該時間T3は、ユーザインタフェース部5及び制御部61によって当該時間T3の設定画面を表示部51に表示するように構成し、当該設定画面に入力された時間T3を記憶部67や制御部61に備えられたRAM等に記憶するようにして構成してもよい。
【0129】
この場合、複合機1が第3省電力モードに切り替えられると、ユーザインタフェース部5及び制御部61を介して複合機1に対する操作の指示が受け付けられないままタイマ613aによる計測時間が第1省電力モードから第2省電力モードへの切り替えを指示する場合における予め設定された待機時間T2に達するまでの全ての期間(図8におけるT1からT2までの期間)第1省電力モードに切り替えられる場合に比して、複合機1の各部に対して供給される電力を図8における斜線領域に相当する供給量分だけ削減することができる。
【0130】
或いは、例えば、図9に示すように、電力供給制御部612は、切替制御部613から第3省電力モードへの切り替えを指示されると、ユーザインタフェース部5及び制御部61を介して複合機1に対する操作の指示が受け付けられないままタイマ613aによる計測時間が第1省電力モードから第2省電力モードへの切り替えを指示する場合における待機時間T2に達するまでの期間(図中のT1からT2までの期間)を、例えば、図中のT1からT31までの期間とT31からT32までの期間とT32からT33までの期間とT33からT2までの期間の4つの期間に分割する等、予め定められた数の期間に分割して、当該分割した期間が経過する毎に減少するように予め設定された、第1省電力モードにおける電力の供給量P1以下であって第2省電力モードにおける電力の供給量P2以上である供給量P1,P31,P32,P2で、複合機1の各部に対して電力を供給するように構成してもよい。
【0131】
これらの場合、複合機1が第3省電力モードに切り替えられると、ユーザインタフェース部5及び制御部61を介して複合機1に対する操作の指示が受け付けられないままタイマ613aによる計測時間が第1省電力モードから第2省電力モードへの切り替えを指示する場合における予め設定された待機時間T2に達するまでの全ての期間(図9におけるT1からT2までの期間)第1省電力モードに切り替えられる場合に比して、図9における斜線領域に相当する供給量分だけ、複合機1の各部に対して供給される電力を時間の経過に応じて段階的に削減することができる。
【0132】
また、上記の実施形態において、切替制御部613は、複合機1が第2省電力モードに設定されている状態でユーザインタフェース部5及び制御部61を介して複合機1に対する操作の指示が受け付けられると、第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えを電力供給制御部612に指示するように構成されていた。このため、複合機1が第2省電力モードに設定されている状態で、例えば、複合機1の近辺を通りすぎる際に複合機1に衝突して何らかの操作をしてしまった場合等、複合機1が誤って操作されたとしても、複合機1は通常電力モードに切り替えられ、待機時間T1が経過するまで通常電力モードによって各部に電力が供給されてしまう。
【0133】
そこで、切替制御部613は、上記の実施形態における構成に限らず、複合機1が第2省電力モードに設定されている状態で、ユーザインタフェース部5及び制御部61を介して複合機1に対する操作の指示が受け付けられると、電力供給制御部612に、第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えに換えて第2省電力モードから第1消電力モードへの切り換えを指示するように構成し、これに合わせて、タイマ613aは、当該切替制御部613による当該指示により複合機1が第1消電力モードに設定された時点で時間の計測動作を開始するように構成し、さらに、切替制御部613は、当該指示により複合機1が第1省電力モードに設定されている状態で、ユーザインタフェース部5及び制御部61を介して複合機1に対する操作の指示が受け付けられることがないままタイマ613aによる計測時間が予め設定された待機時間(例えば、図4、図8、及び図9においてT2−T1に相当する時間)に達すると、電力供給制御部612に第2省電力モードへの切り替えを指示し、ユーザインタフェース部5及び制御部61を介して、複合機1に対する操作の指示が受け付けられると、電力供給制御部612に通常電力モードへの切り替えを指示するように構成してもよい。
【0134】
本構成によれば、複合機1が第2省電力モードに設定されている状態で、複合機1が誤って操作されたとしても、複合機1は第1省電力モードに切り替えられ、待機時間T1が経過するまで第1省電力モードによって各部に電力が供給されるので、上記のように複合機1が誤って操作された場合に通常電力モードに切り替えられる場合に比して、電力の供給量を削減することができる。
【0135】
また、上記実施形態における待機時間T1,T2や上記の第2省電力モードから前記通常電力モードへの切り替えを指示した確率が高いことを示す条件は、予め設定された時間帯毎に設定してもよい。
【0136】
本構成によれば、例えば、複合機1を利用する機会が少ないと考えられる深夜や早朝の時間帯においては、待機時間T1,T2を短めに設定し、また、上記の第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えを指示した確率が高いことを示す条件を第2所定条件或いは第3所定条件に設定し、過去の当該時間帯における複合機1の利用状況に基づいて第2省電力モードへ移行させやすくして、電力の供給量を削減することができる。或いは、複合機1を利用する機会が多いと考えられる昼間の時間帯においては、待機時間T1,T2を長めに設定し、また、上記の第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えを指示した確率が高いことを示す条件を第1所定条件に設定し、複合機1の最近の使用状況に基づいて第2省電力モードへ移行させにくくして、例えば、定着ローラ451の温度を所定の定着温度に即座に加熱できるようにする等、通常電力モードへの移行にかかる時間を削減することができる。つまり、時間帯毎の複合機1の使用状況に応じて柔軟に電力の供給量を削減することができる。
【0137】
尚、上記実施形態においては、電気機器の一例として複合機を例に説明したが、これに限らず、プリンタ、コピー機、スキャナ、或いはFAX等の画像形成装置や、パーソナルコンピュータ等、その他の電気機器であってもよい。
【0138】
尚、上記実施形態において図1乃至図9に示した構成及び設定は単なる一例に過ぎず、本発明を当該実施形態に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0139】
1 複合機(電気機器)
5 ユーザインタフェース部(操作指示受付部)
61 制御部(操作指示受付部)
612 電力供給制御部
613 切替制御部
613a タイマ(時間計測部)
C 連続復帰回数(第2省電力モードから通常電力モードへ連続して切り替えられた回数)
C1 第1復帰回数(第1省電力モード或いは第3省電力モードから通常電力モードへの切り替えを指示した累計頻度)
C2 第2復帰回数(第2省電力モードから通常電力モードへの切り替えを指示した累計頻度)
P1 電力供給量(第1省電力モード)
P2 電力供給量(第2省電力モード)
R1 第1平均復帰時間(第1省電力モード或いは第3省電力モードに切り替えられた時点から通常電力モードに切り替えられるまでの経過時間の平均値)
R2 第2平均復帰時間(第2省電力モードに切り替えられた時点から通常電力モードに切り替えられるまでの経過時間の平均値)
S1,S3〜S18 切替制御ステップ
S2 時間計測ステップ
T1、T2 待機時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該電気機器の各部に対して電力を供給する通常電力モードと、前記通常電力モードに比して電力の供給量を削減する第1省電力モードと、前記第1省電力モードに比して電力の供給量を削減する第2省電力モードと、の間で電力供給モードを切り替える電力供給制御部と、
当該電気機器が前記通常電力モードに設定されている状態で、当該電気機器に対して行われた操作に基づく当該電気機器の動作の実行が終了した時点で時間の計測動作を開始する時間計測部と、
当該電気機器に対する操作の指示を受け付ける操作指示受付部と、
前記操作指示受付部によって当該電気機器に対する操作の指示が受け付けられることがないまま前記時間計測部による計測時間が予め設定された待機時間に達すると、前記電力供給制御部に、前記通常電力モードから前記第1省電力モード或いは前記第1省電力モードから前記第2省電力モードへの切り替えを指示し、当該電気機器が前記第1省電力モード或いは前記第2省電力モードに設定されている状態で、前記操作指示受付部によって当該画像形成装置に対する操作の指示が受け付けられると、前記電力供給制御部に前記第1省電力モード或いは前記第2省電力モードから前記通常電力モードへの切り替えを指示する切替制御部と、
を備え、
前記切替制御部は、さらに、前記電力供給制御部に前記通常電力モードへの切り替えを指示した場合における、前記第2省電力モードから前記通常電力モードへの切り替えを指示した確率が高いことを示す条件を満たす場合に、前記通常電力モードから第1省電力モードへの切り替えに換えて、前記通常電力モードから前記第1省電力モードに比して電力の供給量を削減するが前記第2省電力モードに比して電力の供給量が多い電力供給モードである第3省電力モードへの切り替えを前記電力供給制御部に指示する電気機器。
【請求項2】
前記第2省電力モードから前記通常電力モードへの切り替えを指示した確率が高いことを示す条件は、連続して予め設定された回数以上、前記切替制御部が前記電力供給制御部に前記第2省電力モードから前記通常電力モードへの切り替えを指示したかである請求項1記載の電気機器。
【請求項3】
前記第2省電力モードから前記通常電力モードへの切り替えを指示した確率が高いことを示す条件は、前記切替制御部が前記電力供給制御部に前記第2省電力モードから前記通常電力モードへの切り替えを指示した累計頻度が、前記切替制御部が前記電力供給制御部に前記第1省電力モード或いは前記第3省電力モードから前記通常電力モードへの切り替えを指示した累計頻度よりも高いかである請求項1記載の電気機器。
【請求項4】
前記第2省電力モードから前記通常電力モードへの切り替えを指示した確率が高いことを示す条件は、前記切替制御部が前記電力供給制御部に前記第2省電力モードから前記通常電力モードへの切り替えを指示した場合における当該電気機器が前記第2省電力モードに切り替えられた時点から前記通常電力モードに切り替えられるまでの経過時間の平均値が、前記切替制御部が前記電力供給制御部に前記第1省電力モード或いは前記第3省電力モードから前記通常電力モードへの切り替えを指示した場合における当該電気機器が前記第1省電力モード或いは前記第3省電力モードに切り替えられた時点から前記通常電力モードに切り替えられるまでの経過時間の平均値よりも大きいかである請求項1記載の電気機器。
【請求項5】
前記電力供給制御部は、前記切替制御部から前記第3省電力モードへの切り替えを指示されると、前記操作指示受付部によって当該電気機器に対する操作の指示が受け付けられることがないまま前記時間計測部による計測時間が前記第1省電力モードから前記第2省電力モードへの切り替えを指示する場合における前記予め設定された待機時間に達するまでの全ての期間、前記第1省電力モードにおける電力の供給量未満であって前記第2省電力モードにおける電力の供給量よりも多い予め設定された一定の供給量で当該電気機器の各部に対して電力を供給する請求項1から4の何れかに記載の電気機器。
【請求項6】
前記電力供給制御部は、前記切替制御部から前記第3省電力モードへの切り替えを指示されると、前記操作指示受付部によって当該電気機器に対する操作の指示が受け付けられることがないまま前記時間計測部による計測時間が前記第1省電力モードから前記第2省電力モードへの切り替えを指示する場合における前記予め設定された待機時間に達するまでの全ての期間のうち、前半の期間を前記第1省電力モードにおける電力の供給量と等しい供給量で、且つ、後半の期間を前記第2省電力モードにおける電力の供給量と等しい供給量で、当該電気機器の各部に対して電力を供給する請求項1から4の何れかに記載の電気機器。
【請求項7】
前記電力供給制御部は、前記切替制御部から前記第3省電力モードへの切り替えを指示されると、前記操作指示受付部によって当該電気機器に対する操作の指示が受け付けられることがないまま前記時間計測部による計測時間が前記第1省電力モードから前記第2省電力モードへの切り替えを指示する場合における前記待機時間に達するまでの期間を予め定められた数の期間に分割して、当該分割した期間が経過する毎に減少するように予め設定された、前記第1省電力モードにおける電力の供給量以下であって前記第2省電力モードにおける電力の供給量以上である供給量で、当該電気機器の各部に対して電力を供給する請求項1から4の何れかに記載の電気機器。
【請求項8】
前記切替制御部は、当該電気機器が前記第2省電力モードに設定されている状態で、前記操作指示受付部によって当該電気機器に対する操作の指示が受け付けられると、前記電力供給制御部に、前記第2省電力モードから前記通常電力モードへの切り替えに換えて前記第2省電力モードから前記第1消電力モードへの切り換えを指示し、
前記時間計測部は、前記切替制御部による当該指示により当該電気機器が前記第1消電力モードに設定された時点で時間の計測動作を開始し、
前記切替制御部は、さらに、当該指示により当該電気機器が前記第1省電力モードに設定されている状態で、前記操作指示受付部によって当該電気機器に対する操作の指示が受け付けられることがないまま前記時間計測部による計測時間が予め設定された待機時間に達すると、前記第2省電力モードへの切り替えを指示し、前記操作指示受付部によって当該電気機器に対する操作の指示が受け付けられると、前記電力供給制御部に前記通常電力モードへの切り替えを指示する請求項1から7の何れかに記載の電気機器。
【請求項9】
前記切替制御部は、予め設定された時間帯毎に予め設定された前記待機時間及び前記第2省電力モードから前記通常電力モードへの切り替えを指示した確率が高いことを示す条件に応じて、前記電力供給制御部に前記電力供給モードの切り替えを指示する請求項1から8の何れかに記載の電気機器。
【請求項10】
当該電気機器の各部に対して電力を供給する通常電力モードと、前記通常電力モードに比して電力の供給量を削減する第1省電力モードと、前記第1省電力モードに比して電力の供給量を削減する第2省電力モードと、の間で電力供給モードを切り替える電力供給制御部と、当該電気機器に対する操作の指示を受け付ける操作指示受付部と、を備えた電気機器における電力供給制御方法であって、
前記電気機器が前記通常電力モードに設定されている状態で、前記電気機器に対して行われた操作に基づく前記電気機器の動作の実行が終了した時点で時間の計測動作を開始する時間計測ステップと、
前記操作指示受付部によって前記電気機器に対する操作の指示が受け付けられることがないまま前記時間計測部による計測時間が予め設定された待機時間に達すると、前記電力供給制御部に、前記通常電力モードから前記第1省電力モード或いは前記第1省電力モードから前記第2省電力モードへの切り替えを指示し、前記電気機器が前記第1省電力モード或いは前記第2省電力モードに設定されている状態で、前記操作指示受付部によって前記電気機器に対する操作の指示が受け付けられると、前記電力供給制御部に前記第1省電力モード或いは前記第2省電力モードから前記通常電力モードへの切り替えを指示する切替制御ステップと、
を備え、
前記切替制御ステップは、さらに、前記電力供給制御部に前記通常電力モードへの切り替えを指示した場合における、前記第2省電力モードから前記通常電力モードへの切り替えを指示した確率が高いことを示す条件を満たす場合に、前記通常電力モードから第1省電力モードへの切り替えに換えて、前記通常電力モードから前記第1省電力モードに比して電力の供給量を削減するが前記第2省電力モードに比して電力の供給量が多い電力供給モードである第3省電力モードへの切り替えを前記電力供給制御部に指示する電力供給制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−32577(P2012−32577A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171570(P2010−171570)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】