説明

電気炊飯器及び米の澱粉の除去方法

【課題】ご飯を炊く前に米の一部の澱粉を除去することができる健康電気炊飯器及び該電気炊飯器で澱粉を除去する方法を提供する。
【解決手段】まず米を80〜90℃の湯に浸しておき、米が膨潤して、湯の水分子が米に入り込むことによって、米の直鎖澱粉を溶かすと共に、米の分岐澱粉をペースト化する工程と、浸されておいた米を水で濯ぐ工程と、前記の工程を繰り返すことにより、米の一部の澱粉を除去する工程とを含む米の澱粉の除去方法。健康電気炊飯器は内室15と、制御ボタンを有する外殻体と、電源接点及び温度制御素子と、制御回路と、電気炊飯器蓋と、加熱盤9とを備え、前記内室は前記外殻体の内部に設けられ、前記加熱盤、温度制御素子及び制御回路は前記内室の底部に設けられており、前記内室の底部と外殻体の間に澱粉除去装置が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は米の澱粉を除去する方法及び該方法を用いた健康電気炊飯器に関し、特にご飯を炊くための、ご飯を炊く前に米の一部の澱粉を除去することができる健康電気炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在ご飯を炊くものとして使われるのは主に電気炊飯器である。電気炊飯器の作動原理は洗浄されておいた米を電気炊飯器の内室に入れ、プラグを差し込んでスイッチを押せばご飯を炊く状態となり、ご飯が炊き上がると、自動的に主電源を切り、プラグを抜かない限り保温状態を保つものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
かような電気炊飯器は安全、便利の特性があるので、多くの消費者に愛用されているが、ご飯を炊くことしかできず、米の澱粉を除去することができない。そして、澱粉の糖分は肥満の原因になり、余計な糖分が人間の健康に悪影響を及ぼすことは医学上にも証明されている。
【0004】
本発明はご飯を炊く前に米の一部の澱粉を除去することができる方法を提供することを目的とする。
【0005】
本発明はご飯を炊く前に米の一部の澱粉を除去することができる健康電気炊飯器及び該電気炊飯器で澱粉を除去する方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の米の澱粉の除去方法は、
(1)まず米を80〜90℃の湯に浸しておき、米が膨潤して、湯の水分子が米に入り込むことによって、米の直鎖澱粉を溶かすと共に、米の分岐澱粉をペースト化する工程と、
(2)浸されておいた米を水で濯ぐ工程と、
(3)前記(1)と(2)の工程を繰り返すことにより、米の一部の澱粉を除去する工程と、
を含む。
【0007】
本発明の電気炊飯器は、内室と、制御ボタンを有する外殻体と、電源接点及び温度制御素子と、制御回路と、電気炊飯器蓋と、加熱盤とを備え、前記内室は前記外殻体の内部に設けられ、前記加熱盤、温度制御素子及び制御回路は前記内室の底部に設けられている電気炊飯器において、前記内室の底部と外殻体の間に澱粉除去装置が設けられている。
【0008】
前記澱粉除去装置は、前記加熱盤、電源接点及び温度制御素子、制御回路の底部及び前記外殻体の中に設けられた中殻と、中殻の外側に設けられた貯水槽と、中殻と外殻体との間に設けられた排水槽とを有し、貯水槽の底部に蒸発管が設けられ、該蒸発管の両端はそれぞれチューブを介し貯水槽と内室とを連通し、前記排水槽はチューブと弁を介し前記内室の底部とを連通している。
【0009】
前記排水槽の頂部と中殻の底部との間に、前記発熱管を固定するステーが設けられている。
【0010】
前記弁は、前記制御回路とステーに設けられている電磁マグネットにより制御される。
【0011】
前記蒸発管はアルミチューブと該アルミチューブを加熱する発熱管とを有し、前記アルミチューブの一端は冷水管と一方向弁を介して貯水槽と連通し、他端は熱水管を介し内室の頂部と連通し、前記蒸発管の下方に温度コントローラが設けられている。
【0012】
前記発熱管とアルミチューブとは並列に設けられている。
【0013】
前記アルミチューブは発熱管の内部に埋設されている。
【0014】
前記中殻の内部に前記加熱盤、電源接点及び温度制御素子及び制御回路を固設する内室底殻が設けられている。
【0015】
前記内室底殻と加熱盤との間に断熱セラミックパッドが設けられている。
【0016】
本発明の電気炊飯器で澱粉を除去する方法は、
(1)電気炊飯器の澱粉除去器で生成された湯で米を浸しておき、米が膨潤して、湯の水分子が米に入り込むことによって、米の直鎖澱粉を溶かすと共に、米の分岐澱粉をペースト化する工程と、
(2)浸されておいた米を水で濯ぐ工程と、
(3)前記(1)と(2)の工程を繰り返すことにより、米の一部の澱粉を除去する工程と、
を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明の電気炊飯器は澱粉除去装置を増設し、該澱粉除去装置によって、ご飯を炊く前に米を浸し、その後水で濯ぐことにより米の一部の澱粉を排出させ、ご飯の澱粉含有量を低減することができるので、健康に寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下図面と併せて本発明の具体的な実施例を詳しく説明する。
【0019】
図1と図2に示すように、本発明の健康電気炊飯器は、ボタンが設けられている外殻体(未図示)と、内室15と、電気炊飯器蓋1と、加熱盤9と、温度制御器及び電源インタフェース4と、制御回路と、内室15と外殻体の間に設けられた澱粉除去装置を備えている。加熱盤9、温度制御器及び電源インタフェース4、内室15及び外殻体上の構成、機能は従来の電気炊飯器と同じであり、従来の電気炊飯器が備えているご飯やお粥を炊く機能も有し、また制御回路も簡易な従来技術であり、当業者により容易に実現することができるので、説明を省略する。本発明の電気炊飯器と従来製品との差異は澱粉除去装置の有無にある。
【0020】
澱粉除去装置は、内室15と外殻体との間に設けられた中殻12を有し、中殻12の外側に貯水槽3が設けられ、底部に排水槽7が設けられ、排水槽7の水を排出するように排水槽7と外殻体とは着脱自在の引出し式構成により接続されている。かような接続構成は従来技術であり、当業者により容易に実施することができるので、詳しい説明を省略する。排水槽7と中殻12の外底との間に蒸発管18を固定するためのステー21が設けられている。蒸発管18はアルミチューブ54と該アルミチューブ54を加熱する発熱管53とを有し、アルミチューブ54の一端は一方向弁5と冷水管6を介し貯水槽3を連通し、他端は熱水管2を介し電気炊飯器蓋1の中まで延び、内室15の頂部を連通し、蒸発管18により加熱された水を内室15に導入させるように構成されている。蒸発管18の下方に蒸発管18の温度を制御する温度コントローラ17が設けられている。図2に示すように、アルミチューブ54は発熱管53の内部に埋設され、該アルミチューブ54は発熱管53と並設されてもよい。排水槽7は弁8と排水インタフェース22を介し内室15の底部に連通している。弁8はステー21に設けられている電磁マグネット20及び制御回路により制御される。弁8を加熱盤9と、温度制御器及び電源インタフェース4と、制御回路から隔たらせるために、中殻12の内部に内室底殻19が設けられ、内室底殻19と加熱盤9とは断熱セラミックパッド23を介し隔離され固定されている。
【0021】
図2に示すように、本発明の電気炊飯器を使用するとき、まず綺麗な水を貯水槽3に入れ、米を内室15に入れ、プラグを差し込んで操作パネルで機能の選択と確認を行うと、蒸発管18の発熱管53が加熱し始める。この際、発熱管53と並列に設置されているアルミチューブ54の中の水は直ちに加熱され蒸発する。水蒸気16は熱水管2から電気炊飯器蓋1を経て内室15の頂部から内室15の内部に入り、温度が下がり80〜90℃の湯になり、内室15の中の米10を浸す。この際、アルミチューブ54には蒸気の排出により負圧が形成され、発熱管53の電源を切らない限り負圧作用により貯水槽3の水を冷水管6と一方向弁5を通過させ、自動的にアルミチューブ54に入りつつ、保温状態に入る。数分後、排水し始め、即ち水で浸されておいた米を濯ぎ、濯ぎ終わると発熱管53は再び加熱し始め蒸気を内室15に導入させ、次に排水を行う。このように何回も繰り返し、貯水槽3の水を完全に蒸発され内室15に入り、次に米を炊くように制御回路により加熱盤9の作動を制御し、最後は温度制御器4で加熱盤9の回路を遮断し、電源プラグが外されるまで保温状態を保ち続ける。
【0022】
本発明の米の澱粉の除去方法は上記電気炊飯器を使用せず、直接80〜90℃の湯に浸し濯いでもよい。米には75%の澱粉が含まれているが、澱粉は直鎖澱粉と分岐澱粉とに分けられる。直鎖澱粉は水に溶けるが、分岐澱粉は水に溶けず、湯によりペースト化する。本発明の電気炊飯器はご飯を炊く過程において、蒸気を内室に導入させ米を湯に数分間浸し、米が膨潤して、水分子が米の中に入り込むことによって、直鎖澱粉の一部を溶かせるとともに、分岐澱粉の一部をペースト化させてから、重湯を排出することによって、重湯に溶けた澱粉とペースト化した澱粉の一部を湯とともに排出する。湯の浸しと排水の濯ぎを何回も繰返せば、一部の澱粉を除去することができる。実際の測定に基づけば、100gの米は何回の湯の浸しと排水の濯ぎにより約10%の澱粉を除去し、米の歯応えも影響されないまま、米の澱粉含有量を低減することができ、人間の健康に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は本発明の電気炊飯器の作動原理の概略を示す図である。
【図2】図2は本発明の電気炊飯器の斜視分解図である。
【符号の説明】
【0024】
1…電気炊飯器蓋、2…熱水管、3…貯水槽、4…温度制御器及び電源インタフェース、5…一方向弁、6…冷水管、7…排水槽、8…弁、9…加熱盤、10…米、12…中殻、15…内室、16…水蒸気、17…温度コントローラ、18…蒸発管、19…内室底殻、20…電磁マグネット、21…ステー、22…排水インタフェース、23…断熱セラミックパッド、53…発熱管、54…アルミチューブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)まず米を80〜90℃の湯に浸しておき、米が膨潤して、湯の水分子が米に入り込むことによって、米の直鎖澱粉を溶かすと共に、米の分岐澱粉をペースト化する工程と、
(2)浸されておいた米を水で濯ぐ工程と、
(3)前記(1)と(2)の工程を繰り返すことにより、米の一部の澱粉を除去する工程と、
を含む米の澱粉の除去方法。
【請求項2】
内室と、制御ボタンを有する外殻体と、電源接点及び温度制御素子(4)と、制御回路と、電気炊飯器蓋と、加熱盤とを備え、前記内室は前記外殻体の内部に設けられ、前記加熱盤、温度制御素子及び制御回路は前記内室の底部に設けられている健康電気炊飯器において、
前記内室の底部と外殻体の間に澱粉除去装置が設けられていることを特徴とする健康電気炊飯器。
【請求項3】
前記澱粉除去装置は、前記加熱盤、電源接点及び温度制御素子、制御回路の底部及び前記外殻体の中に設けられた中殻と、中殻の外側に設けられた貯水槽と、中殻と外殻体との間に設けられた排水槽とを有し、貯水槽の底部に蒸発管が設けられ、該蒸発管の両端はそれぞれチューブを介し前記貯水槽と内室とを連通し、前記排水槽はチューブと弁を介し前記内室の底部と連通していることを特徴とする請求項2に記載の健康電気炊飯器。
【請求項4】
前記排水槽の頂部と中殻の底部との間に、前記発熱管を固定するステーが設けられていることを特徴とする請求項3に記載の健康電気炊飯器。
【請求項5】
前記弁は、前記制御回路とステーに設けられている電磁マグネットにより制御されることを特徴とする請求項4に記載の健康電気炊飯器。
【請求項6】
前記蒸発管はアルミチューブと該アルミチューブを加熱する発熱管とを有し、前記アルミチューブの一端は冷水管と一方向弁を介し貯水槽と連通し、他端は熱水管を介し内室の頂部と連通し、前記蒸発管の下方に温度コントローラ(17)が設けられていることを特徴とする請求項3又は4に記載の健康電気炊飯器。
【請求項7】
前記発熱管とアルミチューブとは並列に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の健康電気炊飯器。
【請求項8】
前記アルミチューブは発熱管の内部に埋設されていることを特徴とする請求項6に記載の健康電気炊飯器。
【請求項9】
前記中殻の内部に前記加熱盤、電源接点及び温度制御素子及び制御回路を固設する内室底殻が設けられていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の健康電気炊飯器。
【請求項10】
前記内室底殻と前記加熱盤との間に断熱セラミックパッドが設けられていることを特徴とする請求項9に記載の健康電気炊飯器。
【請求項11】
請求項2乃至5のいずれか一項に記載の健康電気炊飯器で澱粉を除去する方法であり、
(1)電気炊飯器の澱粉除去器で生成された湯で米を浸しておき、米が膨潤して、湯の水分子が米に入り込むことによって、米の直鎖澱粉を溶かすと共に、米の分岐澱粉をペースト化する工程と、
(2)浸されておいた米を水で濯ぐ工程と、
(3)前記(1)と(2)の工程を繰り返すことにより、米の一部の澱粉を除去する工程と、
を含む澱粉の除去方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−209341(P2007−209341A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−18039(P2007−18039)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(507030900)ペンソニック(エイチ.ケー.)コーポレーション・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】