説明

電気炊飯器

【課題】おかゆ炊飯機能を活用して、おかゆに加え、オートミールの調理をも可能とする。
【解決手段】この発明の電気炊飯器は、おかゆ炊飯機能および保温機能を具備し、おかゆ炊飯機能を利用してオートミール調理を行えるようになっているとともに、おかゆやオートミール調理が完了した後に、当該調理完了後の調理物の保温を行えるようにしてなる電気炊飯器であって、上記オートミール調理物の調理中および保温中において内容物の追加を判定する内容物追加判定手段と、調理物の再加熱を行う再加熱手段とを設け、上記調理物の調理中および保温中において、上記内容物追加判定手段により内容物の追加があったと判定された場合には、上記再加熱手段により上記調理物の再加熱を行うようにしている。
このような構成によると、上記オートミール等調理物の保温中において、上記内容物追加判定手段により内容物の追加があったと判定された場合には、上記再加熱手段により自動的に再加熱が行われるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、広義のおかゆ炊飯および保温機能を備えた電気炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の電気炊飯器では、通常のご飯(白米ご飯)の炊飯だけでなく、「おかゆ」などの炊飯(調理)も行えるようになっている(特許文献1を参照)。
【0003】
一方、この「おかゆ」炊飯メニューの場合には、お米がのり状になるので、一般に炊き上げ完了後の保温は禁止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−10152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、最近では、上記の「おかゆ」炊飯メニューも多様化して来ており、上述の「おかゆ」炊飯機能を利用して、従来のいわゆる一般的な「おかゆ」だけでなく、例えば燕麦などの穀物を煮込んで調理する「オートミール」メニューの調理も行われるようになっている。
【0006】
ところが、このような「オートミール」調理の場合、一旦炊き上げ状態が検知され、炊飯が完了した段階で、さらに牛乳、蜂蜜、バナナ、ナッツ類などの内容物(具材)が追加的に内鍋内に投入されることがあり、このような内容物が投入されると、内鍋内の温度が下がり、そのままでは調理ができない。
【0007】
そこで、このような場合、上記従来の電気炊飯器では、上記内容物の投入に対応して、ご飯温度を上げるために設けられている通常の再加熱スイッチを手動でON操作し、必要な再加熱を行うことが必要になる。
【0008】
一方、このような「オートミール」ではなく、通常の「おかゆ」メニューの場合には、上述の如く、一般に炊き上げ完了後の保温は禁止されており(お米がのり状になるので)、炊き上げ完了後に水などが追加されると、おかゆの温度が下がってしまう。
【0009】
そこで、このような水の追加に対応して、再加熱を行う場合にも、やはり同じく手動で再加熱スイッチをON操作しなければならない。
【0010】
しかし、このような手動加熱では、非常に不便である。また、ご飯温度を上昇させるだけの再加熱では、加熱量が適切でないケースも生じる。
【0011】
本願発明は、このような問題を解決するためになされたもので、上記「おかゆ」や「オートミール」など、広義の「おかゆメニュー」での保温中において、具材や水などの内容物の追加を判定する内容物追加判定手段又は温度低下判定手段と上記保温中におけるおかゆやオートミール調理物の再加熱を行う再加熱手段とを設け、それらの保温中において、上記内容物追加判定手段又は温度低下判定手段により内容物の追加があったことが判定された場合には、上記再加熱手段により自動的に再加熱を行うことができるようにした電気炊飯器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明は、同目的を達成するために、次のような課題解決手段を備えて構成されている。
【0013】
(1) 請求項1の発明
この発明の電気炊飯器は、おかゆ炊飯機能および保温機能を具備し、おかゆ炊飯機能を利用してオートミール調理を行えるようになっているとともに、おかゆやオートミール調理が完了した後に、当該調理完了後の調理物の保温を行えるようにしてなる電気炊飯器であって、上記オートミール調理物の調理中および保温中において内容物の追加を判定する内容物追加判定手段と、調理物の再加熱を行う再加熱手段とを設け、上記調理物の調理中および保温中において、上記内容物追加判定手段により内容物の追加があったと判定された場合には、上記再加熱手段により上記調理物の再加熱を行うようにしたことを特徴としている。
【0014】
このような構成によると、上記オートミール等調理物の保温が行えるとともに、同調理物の保温中において、上記内容物追加判定手段により内容物の追加があったと判定された場合には、上記再加熱手段により自動的に再加熱が行われるようになる。
【0015】
したがって、適切なオートミール等の調理を行えるようになるとともに、従来のように、その都度、手動で再加熱スイッチをON操作する不便さから解放される。
【0016】
(2) 請求項2の発明
この発明の電気炊飯器は、おかゆ炊飯機能および保温機能を具備し、おかゆ炊飯機能を利用してオートミール調理を行えるようになっているとともに、おかゆやオートミール調理が完了した後に、当該調理完了後の調理物の保温を行えるようにしてなる電気炊飯器であって、上記オートミール調理物の調理中および保温中における調理物の温度の低下を判定する温度低下判定手段と、上記調理中および保温中における調理物の再加熱を行う再加熱手段とを設け、上記調理物の調理中および保温中において、上記温度低下判定手段により所定値以上の温度の低下が判定された場合には、上記再加熱手段により上記調理物の再加熱を行うようにしたことを特徴としている。
【0017】
このような構成によると、上記オートミール等調理物の保温が行えるとともに、同調理物の保温中において、上記温度低下判定手段により上記オートミール等調理物に所定値以上の温度の低下があったと判定された場合には、上記再加熱手段により自動的に、例えば炊き上げ温度付近まで調理物の再加熱を行えるようになる。
【0018】
したがって、適切なオートミール等の調理を行えるようになるとともに、従来のように、その都度、手動で再加熱スイッチをON操作する不便さから解放される。
【発明の効果】
【0019】
以上の結果、本願発明の電気炊飯器によると、「おかゆ」メニュー自体はもちろん、「おかゆ」炊飯機能を活用した「オートミール」その他の各種調理メニューの再加熱制御が自動化され、非常に便利で、使い勝手の良いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本願発明の実施の形態1に係る電気炊飯器の炊飯器本体全体の構成を示す縦断面図である。
【図2】同電気炊飯器の液晶表示部を中心とする操作パネル部分の拡大正面図である。
【図3】同電気炊飯器の制御回路構成を示す図である。
【図4】オートミールメニューを選択した時の全体的な炊飯工程を示すタイムチャートである。
【図5】オートミールメニューを選択した時の具材追加による内鍋の温度低下と対応する再加熱制御を示すタイムチャートである。
【図6】本願発明の実施の形態2に係る電気炊飯器の通常おかゆメニューの炊飯工程を示すタイムチャートである。
【図7】同電気炊飯器の通常おかゆメニューでの水の投入に対応した再加熱制御の内容を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<実施の形態1>
図1〜図5は、本願発明の実施の形態1に係る電気炊飯器の本体および要部の構成と作用をそれぞれ示している。
【0022】
該電気炊飯器の炊飯器本体は、例えば図1に示すように、内部に誘起されるうず電流によって自己発熱が可能な例えばステンレス鋼板等の磁性金属板よりなる内鍋(飯器ないし保温容器)3と、該内鍋3を任意にセットし得るように形成された合成樹脂製の有底筒状の内ケース(保護枠)4と、該内ケース4を保持する外部筺体である有底筒状の外ケース1と、該外ケース1と上記内ケース4とを一体化して形成された炊飯器器体の上部に開閉可能に設けられた蓋ユニット2とから構成されている。
【0023】
上記内ケース4の底壁部4aの下方側にはコイル台7が設けられ、その上部には、フェライトコア7aを介し、上記内鍋3の底壁部3aの中央部と側方部の各位置に対応して各々リッツ線が同心状に巻成された2組の底面ワークコイルC1,C2、また内鍋3の側壁部3bに対応して側面ワークコイルC3が、それぞれ内鍋3の底壁部3aの中央部から側壁部3bに到る略全体を包み込むように設けられており、それらにより通電時には内鍋3の略全体にうず電流を誘起して、その全体を略均一に加熱するようになっている。
【0024】
また、上記内ケース4の側壁部4bには、保温時において加熱手段として機能する保温ヒータH1が設けられており、保温時において上記内鍋3の全体を有効かつ均一に加熱するようになっている。
【0025】
また、上記内ケース4の前方側には、ワークコイルC1,C2,C3、保温ヒータH1、肩ヒータH2等を駆動制御する上記IGBTやヒータ駆動回路、電源電圧整流用のダイオードブリッジ、平滑回路などを備えた制御回路基板91が基板支持ブラケット9を介して上下方向に延びて設けられている。
【0026】
この制御回路基板91の下部には、例えば上記IGBTに接して放熱用のヒートシンク19が設けられ、その下部側には冷却ファン17が設けられている。冷却ファン17は、上記外ケース1の底部に形成された空気吸込グリル49から吸入した空気を上記ヒートシンク19および制御回路基板91を介して内ケース4の外周囲に流し、必要な発熱部の冷却を行う。
【0027】
また上記外ケース1は、上下方向に筒状の金属製のカバー部材1aと、該カバー部材1aの上端部に結合された合成樹脂製の肩部材11と、上記カバー部材1aの下端部に一体化された合成樹脂製の底部材1bとからなり、かつ上記内ケース4の底壁部4aとの間に所定の広さの断熱および通風空間部を形成した全体として有底の筒状体に構成されている。そして、該外ケース1の前面部上方には、例えば図2に示すような略半月形状の操作パネル部20が設けられている。
【0028】
該操作パネル部20の中央には、例えば図2に示すように、十分に広く大きな表示面積をもつ液晶表示部21(後述するように、この液晶表示部21は、ドットマトリクス(フルドットマトリクス)表示方式の液晶パネル53により構成される)が設けられ、その周囲には炊飯スイッチ22a、タイマー予約スイッチ22b、取消スイッチ22c、保温スイッチ22d、コース選択スイッチ22e、メニュー選択スイッチ22f、炊き分けスイッチ22g、時スイッチ22h、分スイッチ22i等の各種操作スイッチの操作面(タッチ面)が配設されている。
【0029】
そして、該操作パネル20の内側下方(裏面側下方)には、基板取付ブラケット5を介してマイコン基板51が前後方向に所定の角度傾斜して設けられている。
【0030】
マイコン基板取付ブラケット5は、その下部5a側を本体側肩部材11から下方に伸びた前面側枠部材11aの下部に対して固定することにより支持されており、後方側に傾斜した上部5b側の前面にマイコン基板51を取り付けている。
【0031】
マイコン基板(マスター基板)51上には、電気回路部品として後述するマイコン制御ユニット(炊飯・パン・調理・保温等の各加熱制御機能と液晶パネル53の表示制御機能とを備えたマスターマイコン)32およびEEPROM、バックアップ電源などが設けられており、液晶パネル取付部材としての合成樹脂製の液晶ホルダー55を介してドットマトリクス表示方式の液晶パネル53が設置されるようになっている。
【0032】
この液晶ホルダー55は、先ず上面側には凹溝面状の液晶パネル嵌合部55aが、また下面側には表示制御基板取付部55bが、さらに外周部には図示しない弾性支持片を介して上記各入力スイッチ22a〜22i(全ては図示せず)の操作ロッド(全ては図示せず)および取付脚25,25・・・が、それぞれ設けられている。
【0033】
そして、同液晶ホルダー55には、上面側液晶パネル嵌合部55aに、ドットマトリクス方式の液晶パネル53が嵌合設置されるようになっている。また、下面側表示制御基板取付部55bには、上記ドットマトリクス表示方式の液晶パネル53に対応した表示制御基板52が取り付けられる。この表示制御基板52には、フルドット液晶表示制御専用のマイコンと液晶駆動回路が設けられている。
【0034】
そして、同液晶ホルダー55は、そのように液晶パネル53を嵌合した状態で、上記取付脚25,25・・・を上記マイコン基板51側の取付穴に挿入して係合することにより、上記マイコン基板51上に所定の間隔を保って取り付けられている。
【0035】
マイコン基板51上のマイコン制御ユニット32には、上記各入力スイッチ22a〜22iを介して入力されたユーザーの指示内容を判断する所望の認識手段が設けられており、該認識手段で認識されたユーザーの指示内容に応じた液晶パネル53の表示画面上への必要な表示、また同指示内容に応じた所望の炊飯/パン/調理又は保温の各機能、炊飯/パン/調理又は保温の各コース、それら各コースに対応して選択可能な各種のメニュー、それら各種のメニューに応じた炊き分けに対応した所定の加熱パターンを設定して、その炊飯等加熱制御手段又は保温加熱制御手段を適切に作動させて所望の炊飯/パン/調理制御又は保温制御を行うようになっている。
【0036】
したがって、ユーザーは、上記各入力スイッチ22a〜22iを使って炊飯/パン/調理又は保温、タイマー予約モード、予約モードでのコース、メニュー、炊き分け、時刻設定、極うま、早炊き、炊込み、おこわ、長粒米、おかゆ、雑穀米、玄米、オートミール等のメニュー、ふつう、かため、やわらかめ、おこげ等の炊き分けその他の各種の炊飯/パン/調理又は保温機能の選択設定内容を入力すれば、それに対応した機能内容が当該マイコン制御ユニット32内の認識手段を介して炊飯/パン/調理および保温の各加熱パターン設定部に自動的に設定入力されて、対応する炊飯/パン/調理又は保温加熱制御が所望の加熱制御パターンで適切になされるようになる。
【0037】
一方、符号2は蓋ユニットであり、該蓋ユニット2は、その外周面を構成する合成樹脂製の外カバー12と、内周面を構成する真空二重壁構造の内カバー13と、該内カバー13の下側に着脱可能に設けられた金属製の放熱板16とから構成されている。なお、符号14は、内鍋3の開口縁部3cに対応するようにして上記放熱板16の外周縁部内側に設けられたシール用のラバー製パッキン、2aは蒸気排出口の蒸気キャップである。
【0038】
この蓋ユニット2は、上記外ケース1後部の肩部材11部分に対してヒンジ機構を介して上下方向に回動自在に取付けられており、その開放端側には、該蓋ユニット2の所定位置に係合して該蓋ユニット2の上下方向への開閉を行うロック/アンロック機構18が設けられている。
【0039】
本実施の形態の場合、図2に示す液晶表示部21は、前述のように基本的にドットマトリクス表示方式の液晶パネル53を採用して構成されるようになっており、同液晶パネル53の通常画面(図4の左端の図を参照)では、選択可能なコースとして、標準(炊飯)、健康(炊飯)、パン、調理の各コース、これら各コースの中での各種のメニュー項目、それら各種のメニュー項目の中での、さらに各種の炊き分け項目が順次階層的に表示されるようになっている。
【0040】
コース、メニュー、炊き分けの各表示領域は、上方から下方に3段に区分して設置され、各項目は各々左右方向に並べて表示されるようになっている。
【0041】
そして、同コース、メニュー、炊き分け3段の各表示部の右側操作パネル部には、それらコース、メニュー、炊き分けの各々に対応してコース選択スイッチ22e、メニュースイッチ22f、炊き分けスイッチ22gが設けられている。
【0042】
次に図3は、上述のように構成された炊飯器本体側の炊飯/パン/調理および保温加熱制御、液晶パネル53の表示制御、その他の制御を行うマイコン制御ユニット32を中心とする制御回路部分の構成を示す。
【0043】
図3中、符号32が上述のような炊飯加熱制御手段および保温加熱制御手段、液晶パネル表示制御手段に加え、内鍋温度判定手段、内鍋検知手段、ブザー報知手段等を備えた炊飯・パン・調理・保温・表示等制御用の基本となるマイコン制御ユニット(CPU)であり、該マイコン制御ユニット32はマイクロコンピュータを中心として構成され、例えば内鍋3の温度検知回路部、ワークコイル駆動制御回路部、内鍋3の検知回路部、発振回路部、リセット回路部、保温ヒータおよび肩ヒータ等駆動制御回路部、液晶表示制御回路部、ブザー報知部、電源回路部等を各々有して構成されている。
【0044】
そして、先ず上記内鍋3の底壁部3a側センタセンサ部の内鍋温度検知センサS、内鍋検知スイッチLSに対応して設けられた温度検知回路43および内鍋検知回路44には、例えば上記内鍋温度検知センサSによる内鍋3の底壁部3aの温度検知信号、内鍋検知スイッチLSによる鍋検知信号がそれぞれ入力されるようになっている。
【0045】
また、上記ワークコイル駆動制御回路部は、例えばパルス幅変調回路41、同期トリガー回路40、IGBT駆動回路42、IGBT37、共振コンデンサ38によって形成されている。そして、上記マイコン制御ユニット32のワークコイル駆動制御回路部により、上記パルス幅変調回路41を制御することにより、例えば炊飯工程に応じて上記ワークコイルC(C1,C2,C3)の出力値および同出力値でのONデューティー比(例えばn秒/16秒)をそれぞれ適切に変えることによって、炊飯工程等の各工程における内鍋3の加熱温度と加熱パターンを炊飯量、調理量等を考慮して適切に可変コントロールし、均一な吸水作用と加熱ムラのないご飯の炊き上げ、良好な調理等を実現するための適切な出力制御が行われるようになっている。
【0046】
また同マイコン制御ユニット32の保温ヒータ駆動制御回路部および肩ヒータ駆動制御回路部により、それぞれ保温ヒータ駆動回路33および肩ヒータ駆動回路34を制御することにより、例えば保温又は炊飯工程に応じて上記保温ヒータH1、肩ヒータH2の出力値および同出力値でのONデューティー比(例えばn秒/16秒)をそれぞれ適切に変えることによって、保温又は炊飯工程の各工程における内鍋3の加熱温度と加熱パターンとを実際の炊飯量を考慮して適切に可変コントロールするための適切な出力制御が行われるようになっている。
【0047】
また、符号22a〜22iは上述した各種入力スイッチ部であり、同スイッチの必要なものが適切に操作されると、上記マイコン制御ユニット32側の認識手段によってユーザーの指示内容が認識され、その認識内容に応じて所望の炊飯、パン、調理又は保温の各加熱パターンを設定して上記炊飯加熱制御手段又は保温加熱制御手段を適切に作動させて所望の炊飯/パン/調理又は保温を行うようになっている。
【0048】
したがって、ユーザーは、同入力スイッチ22a〜22iを使用して炊飯/パン/調理又は保温、タイマー予約、予約時刻設定、白米又は玄米、早炊き、おかゆ、かため又はやわらかめ、炊き込み等の炊き分け等の各種の炊飯/パン/調理又は保温機能の選択設定内容を入力すれば、それに対応した機能内容が当該マイコン制御ユニット32の上述した認識手段を介して炊飯/パン/調理又は保温の各加熱パターン設定部に自動的に設定入力されて、対応する炊飯、パン、調理又は保温加熱制御が適切になされる。
【0049】
なお、図3中の符号39は、上記IGBT37のフライホイールダイオード、35は、家庭用AC電源30との間に挿入された上記ワークコイル駆動用のダイオードブリッジを内蔵した電源側整流回路、36はその平滑回路である。
【0050】
さらに、符号17aは炊飯完了を知らせるブザー、17はブザー駆動回路、21は液晶表示部である。この実施の形態の場合、上記液晶表示部21には、上記入力スイッチ22a〜22iのON操作に対応して所望のコース、メニュー、炊き分け項目や時刻その他の必要事項が表示され、以後設定内容に応じた必要な表示がなされて行くようになっている。
【0051】
ところで、従来から日本の電気炊飯器では、一般に「おかゆ」メニュー(「おかゆ」炊飯機能)が設けられており、白米でのおかゆ、玄米でのおかゆなどの炊き上げが可能となっている。
【0052】
一方、北米などでは、一般に「オートミール」と呼ばれる日本の「おかゆ」に類した穀物調理が朝食等に採用されている。この「オートミール」とは、穀物を脱穀した燕麦(イネ科カラスムギ属の穀物)を調理しやすく加工したもので、例えば次のような種類がある。
【0053】
(1) スチールカット(本格的オートミールを食べたい人は、一般にこちらを使用している)
・麦を半分に切った物で、食べたときにこしがあり、おかゆより、どちらかというとリゾットに似ている。これには、炊き上げ完了時に蜂蜜や牛乳、フルーツなどを加えることが多い。
【0054】
(2) ロールオート
・麦を平たく潰して蒸した物で、食感はやわらかく、日本のおかゆのような感触のもの。
【0055】
(3) クイック
・ 食感はやわらかく、日本のおかゆまたは糊のような感触のもの。
【0056】
そこで、上記日本の電気炊飯器における「おかゆ」炊飯機能を利用して、上述の「オートミール」の調理を行えるようにすることが考えられる。
【0057】
ところが、すでに述べたように、上記「おかゆ」メニューの場合には、一部に炊き上げ完了後に保温工程に移行するものもあるが、一般には炊き上げ完了後に直ぐに食べることが前提とされており、炊き上げ完了後に保温工程に移行するようになっていないものが多い。
【0058】
それにも拘わらず、上記「オートミール」調理メニューの場合には、上述の如く炊き上げ完了後に牛乳や蜂蜜、フルーツなどの具材が投入されることが多く、該具材が投入されると、例えば図4のタイムチャートに示すように、炊き上がり後の内鍋3内の温度Tが大きく低下してしまい、すでに述べたように、手動で再加熱を行わない限り、従来の「おかゆ」炊飯機能そのままでは、当該具材の投入に対応したオートミール調理を実行することができない。
【0059】
そこで、この実施の形態では、上述した図2の液晶表示部21の表示板部分(右側)に示すように、「おかゆ」メニューとは、別に「オートミール」メニューを設けており、該「オートミール」メニューでは、例えば図4のタイムチャートに示すように、昇温、炊き上げ工程を経た炊き上げ完了後に保温工程を設けて保温を行うようにしている一方、炊き上げ検知後保温工程に移行した段階(または移行する段階)において、上述のように具材の投入があった場合、当該具材の投入を内鍋温度の低下(所定温度以上または所定値以上の温度降下率)により検知し、改めて略炊き上げ温度T2℃付近までの再加熱を行うようにしている。
【0060】
なお、図4中のT1は初期水温を示す。
【0061】
この具材の投入に対応した再加熱は、例えば図5に詳細に示すように、具材投入後、内鍋温度Tが所定の温度以上低下(T3℃=50〜70℃)したことを検知すると、具材の投入があったと判定してワークコイルC1,C2,C3の出力を炊き上げ工程における出力N1%に近いN2%(例えばN2=50〜80%)、そのデューティー比をn1秒(例えばn1=7/16〜12/16)、保温ヒータH1のデューティー比をn2秒(例えばn2=4/16〜8/16)、再加熱目標温度(移行温度)をT4℃(例えばT4=70〜90℃)、再加熱時間(再加熱工程)をn3秒(例えばn3=200〜350秒)に設定して、上述のワークコイルC1,C2,C3および保温ヒータH1を駆動する。
【0062】
この結果、内鍋3が昇温および炊き上げ温度T2℃付近まで加熱昇温され、上記内鍋3内に投入された具材に十分に熱が通され、穀物と一緒に適度に煮込まれる。
【0063】
そして、上記制御タイマーで設定された再加熱時間n3秒が系かすると、上述した図3のマイコン制御ユニット32により、ブザー駆動回路17が駆動され、ブザー17aにより再加熱が終了したことが報知され、保温工程に戻る。
【0064】
これにより、従来の「おかゆ」炊飯機能を活用した有効な「オートミール」調理機能が実現される。
【0065】
また、この場合において、上記とは逆に、上記所定量の以下の温度降下または所定の温度降下率以下の温度降下を検出した温度低下量が小さい場合には、調理物がすべて取りだされたものと判定して、すでに点灯している「炊き上げ完了表示」を消し、他方、全く温度変化がない場合には、そのまま「炊き上げ完了表示」の点灯を継続する。
【0066】
<実施の形態2>
次に図6および図7は、本願発明の実施の形態2に係る電気炊飯器の「おかゆ」炊飯制御の全体および要部の構成を示すタイムチャートである。
【0067】
上述のように、「おかゆ」炊飯制御の場合に、保温工程を設けて保温を行うと、おかゆが糊状になって食べられなくなってしまうことから、一般に保温を行うことが禁止されている。
【0068】
つまり、「おかゆ」メニューの場合には、炊き上げ完了後、すぐに食べることが前提となっている。
【0069】
しかし、そうは言っても種々の事情(炊き上げ完了後の来客の訪問など)があり、炊き上がっても、直ぐに食べられないケースも生じる。
【0070】
そこで、このような場合、上記炊き上がり後、所定の時間が経過して水分がなくなって硬くなった「おかゆ」中に水を入れて再加熱したいというオートミールの場合と同様の要望があり、その場合にも、上述した実施の形態1のような、自動再加熱機能があると便利である。
【0071】
この実施の形態は、このような要求に対応して構成されたもので、例えば図6に示すように、吸水、昇温、炊き上げの各工程を経て、炊き上げられた「おかゆ」中に水が投入されて、内鍋3の温度Tが所定温度以上低下した時は、同温度Tの低下度に基いて図示のように所定の時間内自動的に再加熱を行ない、炊き上げ温度T2℃に近い温度T4℃まで昇温させる。
【0072】
この水の投入に対応した再加熱は、例えば図7に詳細に示すように、水投入後、内鍋温度Tが所定の温度降下量以上に低下したことを検知すると、水の投入があったと判定して、上記ワークコイルC1,C2,C3の出力を、炊き上げ工程における出力N1%に近いN2%(例えばN2=50〜80%)、そのデューティー比をn1秒(例えばn1=7/16〜12/16)、保温ヒータH1のデューティー比をn2秒(例えばn2=4/16〜8/16)、再加熱目標温度(移行温度)をT4℃(例えばT4=70〜90℃)、再加熱時間(再加熱工程)をn3秒(例えばn3=200〜350秒)に各々設定して、上述のワークコイルC1,C2および保温ヒータH1を駆動する。
【0073】
この結果、内鍋3が炊き上げ温度T2℃に近いT4℃まで加熱昇温され、上記内鍋3内の水が追加されたおかゆに十分に熱が通される。
【0074】
そして、上記制御タイマーで設定された再加熱時間n3秒が経過すると、上述した図3のマイコン制御ユニット32により、ブザー駆動回路17が駆動され、ブザー17aにより再加熱が終了したことが報知される。
【0075】
これにより、硬くなった「おかゆ」が再びさらさらの「十分な水分のあるおかゆ」に戻される。
【0076】
また、この場合において、上記とは逆に、上記所定量以下の温度降下または所定の温度降下率以下の温度降下を検出した温度低下量が小さい場合には、おかゆがすべて取りだされたものと判定して、すでに点灯している「炊き上げ完了表示」を消し、他方、全く温度変化がない場合には、そのまま「炊き上げ完了表示」の点灯を継続する。
【符号の説明】
【0077】
C1,C2、C3はワークコイル、H1は保温ヒータ、1は外ケース、2は蓋ユニット、3は内鍋、20は操作パネル、21は液晶表示部、32はマイコン制御ユニット、51はマイコン基板、52は表示制御基板、53はドットマトリクス表示方式の液晶パネル、55は液晶ホルダーである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
おかゆ炊飯機能および保温機能を具備し、おかゆ炊飯機能を利用してオートミール調理を行えるようになっているとともに、おかゆやオートミール調理が完了した後に、当該調理完了後の調理物の保温を行えるようにしてなる電気炊飯器であって、上記オートミール調理物の調理中および保温中において内容物の追加を判定する内容物追加判定手段と、調理物の再加熱を行う再加熱手段とを設け、上記調理物の調理中および保温中において、上記内容物追加判定手段により内容物の追加があったと判定された場合には、上記再加熱手段により上記調理物の再加熱を行うようにしたことを特徴とする電気炊飯器。
【請求項2】
おかゆ炊飯機能および保温機能を具備し、おかゆ炊飯機能を利用してオートミール調理を行えるようになっているとともに、おかゆやオートミール調理が完了した後に、当該調理完了後の調理物の保温を行えるようにしてなる電気炊飯器であって、上記オートミール調理物の調理中および保温中における調理物の温度の低下を判定する温度低下判定手段と、上記調理中および保温中における調理物の再加熱を行う再加熱手段とを設け、上記調理物の調理中および保温中において、上記温度低下判定手段により所定値以上の温度の低下が判定された場合には、上記再加熱手段により上記調理物の再加熱を行うようにしたことを特徴とする電気炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−254132(P2012−254132A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127784(P2011−127784)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】