説明

電気的接合方法及びそれを用いたソレノイドバルブ

【課題】 フラックス等の塗布が不要であり、また、折り曲げる等の工程が不要なマグネットワイヤの電気的接合方法、及びソレノイドバルブを提供する。
【解決手段】 加熱により昇華する被覆部材で覆われたマグネットワイヤ11を巻回したタブ端子12に穴部13を設け、引出し線14を折曲げ部17で電気的に固定したプラグ15に設けた爪部16を穴部13に挿入し、加熱ヘッド18でマグネットワイヤ11と爪部16を挟み、爪部16を熱かしめして、タブ端子12とプラグ15を固定すると共に、タブ端子12とプラグ15に挟まれたマグネットワイヤ11の被覆部材を昇華させてプラグ15とマグネットワイヤ11とを電気的に接合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソレノイドコイルのタブ端子とタブ端子に接続しているマグネットワイヤ、及びタブ端子と引出し線の接合方法及びそれを用いたソレノイドバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タブ端子とタブ端子に接続されているマグネットワイヤの接合方法には、ハンダ接合、ヒュージング接合などが一般的に行われている。また、タブ端子と引出し線の接合には、ハンダ接合が一般的であり、図5は、ハンダ接合を行ったソレノイドバルブにおけるバルブ駆動用のソレノイドコイルである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−264025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タブ端子112に接続されているマグネットワイヤ111の接合に行われるハンダ接合では、ハンダ接合の前、フラックスを塗布する工程が必要であった。また、ハンダ接合後に、フラックス残渣が残り、フラックス残渣を除去するために洗浄しなければならないことがあった。さらに、ヒュージング接合では、タブ端子で、マグネットワイヤ111を挟み込むためにタブ端子112を曲げる必要があった。
【0005】
本発明は、上記した課題に対して、フラックス等の塗布が不要であり、また、折り曲げる等の工程が不要な電気的接合方法、及びこのような電気的接合方法により製作されたソレノイドバルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、加熱により昇華する被覆部材で覆われたマグネットワイヤを巻回したタブ端子に穴部を設け、引出し線を電気的に固定したプラグに設けた突起部を前記穴部に挿入し、加熱手段でマグネットワイヤと突起部を挟むことにより、突起部を熱かしめして、タブ端子とプラグを固定すると共に、タブ端子とプラグに挟まれたマグネットワイヤの被覆部材を昇華させてプラグとマグネットワイヤとを電気的に接合させることを特徴とする。
【0007】
また、ソレノイドバルブにおけるソレノイドコイルを構成するマグネットワイヤを、上記した電気的接合方法により、外部電源に接続されたプラグに接合したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記した構成により、ソレノイドバルブにおけるソレノイドコイルを製作する際、マグネットワイヤをタブ端子に固定するとともに、タブ端子とプラグを介してマグネットワイヤと引出し線とを電気的に接合させることが同時にできるので作業が簡便化する。また、タブ端子の折曲げが不要となり、構造が簡単になると共に作業も簡便化する。さらに、ハンダを使用しないので、フラックスの洗浄工程が不要となるとともに、フラックスの残渣による品質の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施例の電気的接合方法におけるタブ端子とマグネットワイヤとの接合を示した図
【図2】本実施例のタブ端子、マグネットワイヤ、引出し線を接合する際の側方から見た図
【図3】図2の接合部分の上面図
【図4】図2におけるプラグ付近の図
【図5】従来のハンダ接合を行ったソレノイドバルブにおけるバルブ駆動用のコイを示した図
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は本実施例の電気的接合方法におけるタブ端子とマグネットワイヤとの接合を示した図、図2はタブ端子、マグネットワイヤ、引出し線を接合する際に側方から見た図、図3は図2の接合部分の上面図、図4は図2におけるプラグ付近の図である。
【0011】
図1では、ボビンに巻回されてコイルを形成したマグネットワイヤの両端がそれぞれ、タブ端子に巻回され仮に固定される。また、図2では、プラグには引出し線の先端部付近が折曲げ部により圧着接合される点が示される。そして、このプラグがマグネットワイヤをタブ端子との間で挟み込み接合する。すなわち、まず、プラグとタブ端子の仮止めするために、タブ端子には穴部を設けるとともに、プラグには爪部を設ける。
【0012】
そして、プラグの爪部と、タブ端子の穴部を合わせるように、タブ端子の上からプラグを被せ、爪部を穴部に差し込む。その状態で、プラグの爪部とタブ端子とをプラス電極とマイナス電極の機能を有する加圧ヘッドにより挟み込み、プレスすることにより、プラグの爪部とタブ端子の穴部を接合し固定する。
【0013】
さらにこの状態で加圧ヘッドに電極に電流を印加することにより、加圧ヘッドは電気エネルギーにより高熱化するツールであり、マグネットワイヤがポリイミドのように熱で昇華するような材質で被覆しておくことにより、マグネットワイヤの被膜が除去され、これにより、タブ端子とプラグを介して、マグネットワイヤと引出し線が電気的に接合される。
【0014】
したがって、マグネットワイヤをタブ端子を固定するとともに、タブ端子とプラグを介して、マグネットワイヤと引出し線との電気的な接合状態が同時に得られる。
【0015】
また、ハンダを使用しないため、フラックスの塗布工程が省略できるとともに、洗浄工程が省けるとともに、フラックスの残渣による品質低下も防止できる。
【0016】
さらに、タブ端子の折り曲げなどが必要無いため、単純な形状になるとともに、プラグの爪部をタブ端子の穴部に差し込むことより、引出し線の先端部に予めプラグを圧着接合しておくため、引出し線先端に予備ハンダ工程を省略でき、特殊なハンダ工程がいらないため品質も安定する。
【0017】
また、上記した電気的接合方法により製作したマグネットワイヤで構成されたソレノイドコイルを採用したソレノイドバブルを提供することが可能となり、耐久性や品質に優れたソレノイドバルブを提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0018】
11 マグネットワイヤ
12 タブ端子
13 穴部
14 引出し線
15 プラグ
16 爪部
17 折曲げ部
18 加圧ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱により昇華する被覆部材で覆われたマグネットワイヤを巻回したタブ端子に穴部を設け、引出し線を電気的に固定したプラグに設けた突起部を前記穴部に挿入し、加熱手段でマグネットワイヤと突起部を挟むことにより、突起部を熱かしめして、タブ端子とプラグを固定すると共に、タブ端子とプラグに挟まれたマグネットワイヤの被覆部材を昇華させてプラグとマグネットワイヤとを電気的に接合させることを特徴とした電気的接合方法。
【請求項2】
ソレノイドバルブにおけるソレノイドコイルを構成するマグネットワイヤを、請求項1に記載された電気的接合方法により、外部電源に接続されたプラグに接合したことを特徴とするソレノイドバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−170882(P2010−170882A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13072(P2009−13072)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】