説明

電気自動車のバッテリ装着構造

【課題】従来の自動車の車体を活用し、内部に複数のバッテリモジュールを装着して電気自動車の運行距離を伸ばした電気自動車のバッテリ装着構造を提供する。
【解決手段】エンジンルームにモータ21とインバータ22が備えられる電気自動車において、前記インバータ22と電気的に連結されるメインリレーボックス24と、車両の2列シートの下部に装着される複数の第1バッテリモジュールと、1列シートの間と2列シートの下部に位置し、前記メインリレーボックスと第1バッテリモジュールを内部に収容し車体に固定されるメインハウジングとが備えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車のバッテリを装着構造に係り、より詳しくは、従来の自動車の車体を活用し、内部に複数のバッテリモジュールを装着して電気自動車の運行距離を伸ばした電気自動車のバッテリ装着構造に関する。
【背景技術】
【0002】
原油高への対応や環境に優しいということで、最近ではハイブリッド自動車または電気自動車が量産されている。
ハイブリッド車両も究極的には電気自動車に進むための中間ステップであり、結局、従来の自動車は電気自動車に代替されるものとみられる。
このような電気自動車は、運行に必要なエネルギの供給を受けるためにバッテリの装着が必要であり、特に一度の充電による運行距離を伸ばすために大容量のバッテリの装着が必要である。
【0003】
しかし、車両内部の空間制約のため、大容量のバッテリを装着するには問題があり、これを解決するための多様な方案が考えられている。その一例として、車体のフロアに長方形状でパッキングしたバッテリモジュールを装着する技術が提示されている。
前記従来技術によれば、車体のフロアにバッテリモジュールを収納するための空間を確保するために内部空間、すなわちフットルーム(foot room)、ヘッドルーム(head room)などを縮小する必要があり搭乗者に不便をもたらす。
【0004】
これを解消するにはバッテリモジュールが収容される空間だけ車体のパネルを高くする必要があり、このために新しい車体プラットフォームの開発が必要であり、さらには、新車開発にかかる費用と時間の増加と車両価格の上昇をもたらす。
また、バッテリモジュールの収容空間を確保するための空間を確保すると、車体が衝突にぜい弱な構造となる恐れがあるため、これを再び改善しなければならない問題点がある。
特許文献US 2010/0019723 A1には大容量のバッテリを電気自動車に装着するために複数のバッテリを車両に装着する技術が開示されてはいるが、追加されるバッテリの装着構造に対する解決手段が開示されていないので前記のような問題点は依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US 2010/0019723 A1
【特許文献2】特開平07−172191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記のような問題点を解決するためになされたものであって、既存車両の車体を最大限利用しつつ内部に複数の大容量バッテリモジュールを装着できるようにした電気自動車のバッテリ装着構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための本発明に係る電気自動車のバッテリ装着構造は、
エンジンルームにモータとインバータが備えられる電気自動車において、前記インバータと電気的に連結されるメインリレーボックスと、車両の2列シートの下部に装着される複数の第1バッテリモジュールと、1列シートの間と2列シートの下部に位置し、前記メインリレーボックスと第1バッテリモジュールを内部に収容し車体に固定されるメインハウジングとが備えられることを特徴とする。
【0008】
前記メインハウジングの内部には、前記第1バッテリモジュールの前方に位置して、前記メインリレーボックスと第1バッテリモジュールに電気的に連結される第2バッテリモジュールがさらに備えられることが好ましい。
【0009】
前記第2バッテリモジュールは1列シートの間のコンソールボックス部分に装着され、前記第1バッテリモジュールと第2バッテリモジュールはT字形態で配列されることが好ましい。
【0010】
前記メインリレーボックスは、急速充電モジュールと電気的に連結されることを特徴とする。
【0011】
前記メインハウジングの一側には第1冷却ファンが備えられることを特徴とする。
【0012】
また、前記第1バッテリモジュールに電気的に連結され、車両トランクルームのタイヤウェルに設置される第3バッテリモジュールと、車両トランクルームのタイヤウェルの内部に周りが締結され、前記第3バッテリモジュールを収容するサブハウジングがさらに備えられることを特徴とする。
【0013】
前記サブハウジングの一側には第2冷却ファンが備えられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
前記のような構成を有する本発明に係る電気自動車のバッテリ装着構造によれば、既存車両の車体を最大限利用して、1列シートの間、2列シートの下部およびトランクのタイヤウェルの内部に各々バッテリモジュールを装着することにより、1回の充電によって運行できる距離を増大させることができる。
また、車両に複数のバッテリモジュールを装着するにもかかわらず、既存車両の車体を最大限利用するため、新車開発にかかる費用と時間を減らすことができ、車両の価格上昇を抑制することができる。
さらに、バッテリモジュールの搭載のために室内空間を侵さないため、車両搭乗者の便宜性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る電気自動車のバッテリ装着構造において、バッテリモジュールが装着される位置を示す側面図である。
【図2】本発明に係る電気自動車のバッテリ装着構造において、バッテリモジュールが装着される位置を示す平面図である。
【図3】本発明に係る電気自動車のバッテリ装着構造の平面図である。
【図4】本発明に係る電気自動車のバッテリ装着構造の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付した図面を参照し、本発明の一実施形態による電気自動車のバッテリ装着構造を説明する。
本発明に係る電気自動車のバッテリ装着構造は、エンジンルームにモータ21とインバータ22が備えられる電気自動車において、インバータ22と電気的に連結されるメインリレーボックス24と、車両の2列シートの下部に装着される複数の第1バッテリモジュール31と、1列シートの間と2列シートの下部に位置し、車体に装着され、メインリレーボックス24と第1バッテリモジュール31を内部に収容し車体に固定されるメインハウジング41とが備えられる。
【0017】
本発明に係る電気自動車のバッテリ装着構造によれば、電気自動車のモータに動力源を供給する手段として、複数のバッテリセルが連結されるバッテリモジュールを複数備えることにより、1回の充電によって走行可能な距離が増加できる。
通常の自動車においては、エンジンルームと呼ばれる車両の前方に位置した空間に駆動力を発生させるモータ21と、バッテリの電流を、モータ21を駆動させる電流に変換させるインバータ22が備えられる。
それと共に、エンジンルームの内部には、放電時の急速充電のために、急速充電ユニット23とサブリレーボックス23aを含む急速充電モジュールが備えられる。急速充電ユニット23は電気自動車に外部電源を通じて充電時に使われ、サブリレーボックス23aが下記のメインリレーボックス24に電気的に連結されて充電を制御する。また、メインリレーボックス24はインバータ22と電気的に連結されてインバータ22を制御する。
【0018】
この時、エンジンルームにモータ21とインバータ22が位置するため、メインリレーボックス24、メインバッテリマネジメントシステム(25、BMS:Battery Management System)は1列シートの間において前方に位置するように配置する。
第1バッテリモジュール31は、エンジンで駆動する従来の自動車において、燃料タンクが位置する空間、すなわち2列シートの下部に位置する。電気自動車においては、燃料タンクが取り除かれるため、この空間を活用し、第1バッテリモジュール31を2列シートの下部に位置する。
この時、前記第1バッテリモジュール31は、複数のバッテリセルを直列に連結する。
【0019】
メインハウジング41は、車両の室内において、1列シートの間を横切ってコンソールボックス部分と2列シートの下部に位置する形態で形成され、全体的にはT字形態を有する。第1バッテリモジュール31をはじめとし、メインリレーボックス24、メインBMS25を収容する。
メインハウジング41はその周りに締結孔41aが形成され、締結孔41aを利用し、メインハウジング41を車体フロア側に形成し、車体の剛性を維持する車体メンバー11に固定する。
【0020】
メインハウジング41の一側には、稼動によって加熱された第1バッテリモジュール31冷却のために、外部の空気を流入する第1冷却ファン51が備えられることが好ましい。
一方、車両のバッテリ容量を増やすために、1列シートの間に第1バッテリモジュール31と電気的に連結される第2バッテリモジュール32がさらに備えられることが好ましい。例えば、4人乗車両の場合には、メインリレーボックス24、メインBMS25と第1バッテリモジュール31の間の空間、すなわち、コンソールボックス部分に第2バッテリモジュール32を装着することによって運行距離を伸ばすことができる。第2バッテリモジュール32もメインハウジング41の内部に収容して外部に露出しないようにする。
【0021】
第2バッテリモジュール32もメインハウジング41の内部に収容して外部に露出しないようにする。一方、メインハウジング41が全体的にT字形態を有し、メインハウジング41に第1バッテリモジュール31と第2バッテリモジュール32が収容されるが、第1バッテリモジュール31と第2バッテリモジュール32もT字形態で配列される。
一方、通常のセダン型自動車は、トランクルームの一側にスペアタイヤを保管するためのトランクウェルが形成されるが、この部分に追加的にバッテリモジュールを装着することにより、電気自動車に装着されるバッテリの容量を極大化する。
【0022】
第3バッテリモジュール33も複数のバッテリセルを直列させる形態で配列される。第3バッテリモジュール33は、上述した第1バッテリモジュール31および第2バッテリモジュール32と電気的に連結されることによって、電気自動車のバッテリ容量を極大化させる。
サブハウジング42は車体に固定され、第3バッテリモジュール33を収容する。サブハウジング42は車両のトランクの内部に位置するが、特にスペアタイヤが積載されるタイヤウェルに備えられるようにする。サブハウジング42の周りにも締結孔42aが形成され、サブハウジング42をトランクルームのタイヤウェルに位置させた状態で、締結孔42aを利用してサブハウジング42を車体メンバー11に固定させることができる。
【0023】
また、サブハウジング42の一側にも第3バッテリモジュール33の冷却のために外部の空気を流入させる第2冷却ファン52が備えられる。
それと共に、サブハウジング42の内部に収容される第3バッテリモジュール33を制御するためのサブBMS26、回路を保護するためのヒューズ28が備えられる。
一方、本発明に係る電気自動車のバッテリ装着構造において、複数で装着される第1バッテリモジュール31、第2バッテリモジュール32および第3バッテリモジュール33の電気的な連結関係は、図4に示す通りである。
また、第1バッテリモジュール31と第2バッテリモジュール32はトランクの内部に位置する第3バッテリモジュール33に比べて相対的に前方に位置しているので前方バッテリモジュール(A)となり、第3バッテリモジュール33は後方バッテリモジュール(B)となる。
【0024】
前記構成を有する本発明に係る電気自動車のバッテリ装着構造によれば、従来の車体を最限活用しつつ、内部に積載するバッテリモジュールの容量を最大化することができる。
また、車両内部の遊休空間を活用することによって、別の車体を開発せず、従来の車体を最大限活用しつつ、フットルーム、ヘッドルームの空間縮小なしに車両1に搭載可能なバッテリを最大化することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 ・・・電気自動車
11 ・・・車体メンバー
21 ・・・モータ
22 ・・・インバータ
23 ・・・急速充電ユニット
23a ・・・サブリレーボックス
24 ・・・メインリレーボックス
25 ・・・メインBMS
26 ・・・サブBMS
28 ・・・ヒューズ
31 ・・・第1バッテリモジュール
32 ・・・第2バッテリモジュール
33 ・・・第3バッテリモジュール
41 ・・・メインハウジング
41a ・・・締結孔
42 ・・・サブハウジング
42a ・・・締結孔
51 ・・・第1冷却ファン
52 ・・・第2冷却ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンルームにモータとインバータが備えられる電気自動車において、
前記インバータと電気的に連結されるメインリレーボックスと、
車両の2列シートの下部に装着される複数の第1バッテリモジュールと、
1列シートの間と2列シートの下部に位置し、前記メインリレーボックスと第1バッテリモジュールを内部に収容するメインハウジングとが車体に固定されることを特徴とする電気自動車のバッテリ装着構造。
【請求項2】
前記メインハウジングの内部には、前記第1バッテリモジュールの前方に位置して、前記メインリレーボックスと第1バッテリモジュールに電気的に連結される第2バッテリモジュールがさらに備えられることを特徴とする請求項1に記載の電気自動車のバッテリ装着構造。
【請求項3】
前記第2バッテリモジュールは1列シートの間のコンソールボックス部分に装着され、前記第1バッテリモジュールと第2バッテリモジュールはT字形態で配列されることを特徴とする請求項2に記載の電気自動車のバッテリ装着構造。
【請求項4】
前記メインリレーボックスは、急速充電モジュールと電気的に連結されることを特徴とする請求項1に記載の電気自動車のバッテリ装着構造。
【請求項5】
前記メインハウジングの一側には、第1冷却ファンが備えられることを特徴とする請求項1に記載の電気自動車のバッテリ装着構造。
【請求項6】
前記第1バッテリモジュールに電気的に連結され、車両トランクルームのタイヤウェルに設置される第3バッテリモジュールと、
車両トランクルームのタイヤウェルの内部に周りが締結され、前記第3バッテリモジュールを収容するサブハウジングとがさらに備えられることを特徴とする請求項1に記載の電気自動車のバッテリ装着構造。
【請求項7】
前記サブハウジングの一側には、第2冷却ファンが備えられることを特徴とする請求項6に記載の電気自動車のバッテリ装着構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−23206(P2013−23206A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231753(P2011−231753)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【出願人】(500518050)起亞自動車株式会社 (449)
【Fターム(参考)】