説明

電気自動車の車体構造

【課題】 車体フレームに電気部品を取り付ける取付け作業の容易化を図ることができる電気自動車の車体構造を提供する。
【解決手段】 電気自動車の車体構造10は、前後の電気部品13,14を収納する空間27を備えるために略矩形状の枠体に形成し、車体フレーム11の主要部位を構成するメインフレーム15と、メインフレーム15に下方から組み付け可能で、メインフレーム15に連結することで車体フレーム11の一部を構成する左右のフレーム部材36,37およびクロスフレーム部材38を備え、前後の電気部品13,14を取り付け可能なサブフレーム16と、からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気自動車の車体構造に係り、特に、フロア下方の車体フレームに電気部品を設ける電気自動車の車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車のなかには、フロア下方の車体フレームに燃料電池ユニットなどの電気部品を取り付けたものがある。この電気自動車の車体構造として、左右のサイドメンバー間に複数の支持フレームを掛け渡し、これらの支持フレームに電気部品を取り付けたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−205754号公報
【0003】
特許文献1の車体構造によれば、左右のサイドメンバーを車体前後方向に延ばし、左右のサイドメンバー間に複数の支持フレームを掛け渡すことで車体フレームを構成する。
この支持フレームに燃料電池ユニットなどの電気部品を載せ、載せた電気部品を支持ベルトで支えることで、支持フレームに電気部品を取り付ける。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1の車体構造では、支持フレームに燃料電池ユニットなどの電気部品を取り付けた後、支持フレームを車体フレームに取り付けることにより、電気部品を車体フレームに搭載させている。
そこで、支持フレームに電気部品を取り付ける際の作業性や、支持フレームを車体フレームに取り付けて電気部品を車体フレームに搭載させる際の作業性を向上させるために、支持フレームの剛性を高める必要があった。
【0005】
そこで、支持フレームの剛性を高めるために、支持フレームの厚みを厚くしたり、電気部品を取り付ける部位を段差形状に形成したりする必要がある。
しかし、支持フレームを厚くしたり、支持フレームを段差形状に形成したりすると、電気自動車の車高を低く抑えることが困難であった。
【0006】
本発明は、車体フレームに電気部品を取り付ける取付け作業性を向上させることができ、電気自動車の車高を低く抑えることができる電気自動車の車体構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、フロア下方の車体フレームにバッテリや燃料電池などの電気部品を設けた電気自動車の車体構造において、前記電気部品を収納する空間を備えるために略矩形状の枠体に形成し、前記車体フレームの主要部位を構成するメインフレームと、このメインフレームに下方から組み付け可能で、メインフレームに連結することで前記車体フレームの一部を構成するフレーム部材を備え、前記電気部品を取り付け可能なサブフレームと、からなることを特徴とする。
【0008】
車体フレームを、メインフレームとサブフレームとに分割し、サブフレームに電気部品を取り付け可能とした。
車体フレームを、メインフレームとサブフレームとに分割することで、サブフレームをコンパクトに抑える。そして、コンパクトに抑えたサブフレームに電気部品を搭載した後、サブフレームをメインフレームに取り付ける。
【0009】
サブフレームのコンパクト化を図ることで、電気部品を搭載する際に、サブフレームを取り付け易い姿勢に保持することが可能になる。
よって、電気部品が複数個の場合でも、複数校の電気部品をサブフレームに容易に取り付けることができる。
【0010】
電気部品を取り付けたサブフレームを、メインフレームに下方から取り付けることで、電気部品を車体フレームに取り付ける。
このように、サブフレームに複数の電気部品をまとめて取り付け、そのサブフレームをメインフレームに取り付けることで、車体フレームに複数の電気部品を取り付ける作業の容易化を図ることができる。
【0011】
また、サブフレームにフレーム部材を備え、このフレーム部材をメインフレームに連結することで、フレーム部材で車体フレームの一部を構成する。
これにより、メインフレームにサブフレームに取り付けることで、車体フレームの剛性を確保することができる。
【0012】
さらに、電気部品を保持するためのサブフレームにフレーム部材を備えることで、サブフレームの剛性を向上させることができる。これにより、サブフレームに電気部品を取り付ける際の作業性や、サブフレームをメインフレームに取り付けてメインフレームに電気部品を搭載する際の作業性の向上が図れる。
加えて、サブフレームの剛性が高まることから、サブフレームの厚みを薄くすることができ、電気自動車の車高を低く抑えることができる。
【0013】
請求項2において、前記サブフレームは、前記フレーム部材を所定間隔をおいて少なくとも2個備え、フレーム部材間に前記電気部品を配置するとともに、電気部品をそれぞれのフレーム部材に取り付けたことを特徴とする。
【0014】
フレーム部材間に電気部品を配置し、電気部品をフレーム部材に取り付けた。
これにより、電気部品を、フレーム部材の補強部材として兼用することができる。
【0015】
請求項3において、前記サブフレームは、前記空間を下方側から塞ぐパネル部材を前記フレーム部材に設け、このパネル部材の底面に下方に隆起する隆起部を備え、この隆起部に、前記フレーム部材が前記メインフレームに連結される部位を取り付けたことを特徴とする。
【0016】
パネル部材に隆起部を設けることで、隆起部の肉厚を厚くする。そして、肉厚の厚い隆起部に、フレーム部材がメインフレームに連結される部位を取り付けた。
これにより、フレーム部材がメインフレームに連結される部位を、隆起部で強固に支えることができる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明では、サブフレームに電気部品を取り付ける際に、サブフレームを取り付け易い姿勢に保持することで、電気部品をサブフレームに取り付ける作業が容易になり、生産性の向上を図ることができるという利点がある。
【0018】
さらに、請求項1に係る発明では、メインフレームにサブフレームに取り付けた際に、フレーム部材で車体フレームの一部を構成することで、車体フレームの剛性を確保することができるという利点がある。
【0019】
また、請求項1に係る発明では、サブフレームにフレーム部材を備えてサブフレームの剛性を高めることで、サブフレームに電気部品を取り付ける際の作業性や、サブフレームをメインフレームに取り付けてメインフレームに電気部品を搭載する際の作業性の向上を図ることができ、かつ、サブフレームの厚みを薄くして電気自動車の車高を低く抑えることができるという利点がある。
【0020】
請求項2に係る発明では、電気部品をフレーム部材に取り付けて、電気部品をフレーム部材の補強部材として兼用することで、車体フレームの剛性を一層好適に確保することができるという利点がある。
【0021】
請求項3に係る発明では、フレーム部材がメインフレームに連結される部位を、隆起部で強固に支えることで、車体フレームの剛性をより一層好適に確保することができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は運転者から見た方向に従い、Frは前側、Rrは後側、Lは左側、Rは右側を示す。
【0023】
図1は本発明に係る電気自動車の車体構造を示す斜視図である。
電気自動車の車体構造10は、車体フレーム11の上部にフロア12を備え、フロア12下方の車体フレーム11に前後の電気部品(電気部品)13,14を設けたもので、車体フレーム11をメインフレーム15とサブフレーム16との2部材に分割したものである。
前後の電気部品13,14は、一例として、バッテリや燃料電池などが該当する。
【0024】
車体フレーム11の前クロスメンバー21から左右のフロントフレーム22,22が車体前方に向けて延びている。
また、車体フレーム11の後クロスメンバー24から左右のリヤフレーム25,25が車体後方に向けて延びている。
【0025】
図2は本発明に係る電気自動車の車体構造を示す分解斜視図である。
メインフレーム15は、前後の電気部品13,14を収納する空間27を備えるために略矩形状の枠体に形成され、車体フレーム11の主要部位を構成する部材である。
【0026】
このメインフレーム15は、左右のサイドシル28,29が略車体幅の間隔をおいて配置され、左右のサイドシル28,29の前端部28a,29aが前クロスメンバー21で連結され、左右のサイドシル28,29の後端部28b,29bが後クロスメンバー24で連結されることで略矩形状の枠体が形成される。
メインフレーム15を枠体に形成することで、枠体内に空間27を形成する。
【0027】
左サイドシル28の内壁28cに左取付ブラケット31を備え、右サイドシル29の内壁29cに右取付ブラケット32を備える。
前クロスメンバー21の内壁21aに一対の前取付ブラケット33,33を備え、後クロスメンバー24の内壁24aに一対の後取付ブラケット34,34を備える。
【0028】
サブフレーム16は、メインフレーム15に下方から組み付け可能に、左右のフレーム部材(フレーム部材)36,37、クロスフレーム部材(フレーム部材)38およびパネル部材41を、一例としてCFRP(カーボン・ファイバー・リインフォースド・プラスチック)で一体成形した部材である。
CFRPは、カーボンファイバーを型に貼り込んで積層した炭素繊維強化樹脂である。
サブフレーム16をCFRPで成形することで、軽量化を図るとともに、剛性を高めることができる。
【0029】
サブフレーム16には、前後の電気部品13,14が搭載される。
左右のフレーム部材36,37およびクロスフレーム部材38は、メインフレーム15に連結することで車体フレーム11の一部を構成する部材である。
【0030】
このサブフレーム16は、パネル部材41の底面41aに下方に隆起させた隆起部42を備える。
なお、隆起部42については、図4で詳しく説明する。
【0031】
図3は本発明に係る車体構造のサブフレームを示す斜視図である。
左右のフレーム部材36,37を、所定間隔Lをおいて互いに平行に配置する。左右のフレーム部材36,37の車体前後方向中央に、左右のフレーム部材36,37に渡ってクロスフレーム部材38を設ける。左右のフレーム部材36,37およびクロスフレーム部材38で略H字形を形成する。
【0032】
右フレーム部材37は、断面略矩形状に形成し、パネル部材41の上面41bに設けた部材である。
この右フレーム部材37は、前端部37aに前組付段部44を設け、この前組付段部44に前取付孔44aを形成し、前端部37bに後組付段部45を設け、この後組付段部45に後取付孔45aを形成したものである。
また、右フレーム部材37は、内壁37cの前半分に前支え片47を設け、この前支え片47に一対の取付孔47a,47aを形成し、内壁37cの後半分に後支え片48を設け、この後支え片48に一対の取付孔48a,48aを形成した部材である。
【0033】
前後の取付孔44a,45aは、パネル部材41の隆起部42を貫通する孔である。
前後の支え片47,48は、パネル部材41の上面41bに設けた部材である。
前後の支え片47,48に設けた取付孔47a,48aは、パネル部材41を貫通する孔である。
【0034】
左フレーム部材36は、右フレーム部材37と左右対称の部材であり、各構成部に、右フレーム部材37と同じ符号を付して説明を省略する。
【0035】
クロスフレーム部材38は、左右のフレーム部材36,37間に中央連結部51を設け、左フレーム部材36の外壁36dから左側に左突出部52を突出し、右フレーム部材37の外壁37dから右側に右突出部53を突出したものである。
【0036】
中央連結部51は、断面略矩形状に形成し、パネル部材41の上面41bに設け、中央部51aに取付孔51bを形成した部材である。
取付孔51bは、パネル部材41の隆起部42を貫通する孔である。
【0037】
左突出部52は、断面略矩形状に形成し、パネル部材41の上面41bに設け、端部に左組付段部55を設け、この左組付段部55に取付孔55aを形成した部材である。
左取付孔55aは、パネル部材41を貫通する孔である。
【0038】
右突出部53は、左突出部52と同様に、断面略矩形状に形成し、パネル部材41の上面41bに設け、端部に右組付段部56を設け、この右組付段部56に取付孔56aを形成した部材である。
取付孔56aは、パネル部材41を貫通する孔である。
【0039】
パネル部材41は、メインフレーム15の空間27(図2参照)より一回り大きな略矩形状に形成した部材で、前述した取付孔44a,45a,47a,48a,55a,56aに加えて、四隅にそれぞれ取付孔57…(…は複数個を示す)を形成したものである。
パネル部材41をメインフレーム15に取り付けることで、空間27の下方を塞ぐ。
【0040】
前電気部材13は、略矩形体に形成した部材で、左側壁に左取付部材61が設けられ、右側壁に右取付部材62が設けられている。
左取付部材61は、水平片61aを備え、水平片61aに一対の取付孔61b,61bが形成されている。
【0041】
右取付部材62は、左取付部材61と左右対称の部材であり、各構成部に、左取付部材61と同じ符号を付して説明を省略する。
【0042】
前電気部材13を搭載する際には、左右の水平片61a,61aを、左右の前支え片47,47にそれぞれ載せて、左右の取付部材61,62の取付孔61b…を左右の前支え片47,47の取付孔47a…に一致する。
【0043】
この状態で、取付孔61b…,47a…にボルト64…を差し込み、パネル部材41の底面41aから突出したねじ部にナット65…をねじ結合する。
これにより、前電気部材13が左右の前支え片47,47(すなわち、左右のフレーム部材36,37)に取り付けられる。
【0044】
後電気部材14は、前電気部材13と同様の部材であり、各構成部に、前電気部材13と同じ符号を付して説明を省略する。
後電気部材14は、前電気部材13と同様に、左右の後支え片48,48(すなわち、左右のフレーム部材36,37)にボルト64…およびナット65…で取り付けられる。
【0045】
すなわち、サブフレーム16は、左右のフレーム部材36,37が所定間隔Lをおいて備えられ、左右のフレーム部材36,37間に前後の電気部品13,14が配置されるとともに、前後の電気部品13,14が左右のフレーム部材36,37に取り付けられている。
【0046】
以上説明したように、車体フレーム11を、メインフレーム15とサブフレーム16とに分割し、サブフレーム16に前後の電気部品13,14を取り付けた。
車体フレーム11を、メインフレーム15とサブフレーム16とに分割することで、サブフレーム16をコンパクトに抑える。
【0047】
サブフレーム16のコンパクト化を図ることで、前後の電気部品13,14を搭載する際に、サブフレーム16を取り付け易い姿勢に保持することが可能になる。
よって、前後の電気部品13,14が複数個の場合でも、複数校の電気部品13,14をサブフレーム16に容易に取り付けることが可能になる。
【0048】
加えて、左右のフレーム部材36,37間に前後の電気部品13,14を配置し、配置した電気部品13,14を左右のフレーム部材36,37に取り付けた。
これにより、左右の電気部品13,14を、左右のフレーム部材36,37の補強部材として兼用することができる。
【0049】
また、前後の電気部品13,14を保持するためのサブフレーム16に左右のフレーム部材36,37およびクロスフレーム部材38を備えることで、サブフレーム16の剛性を向上させることができる。
これにより、サブフレーム16に前後の電気部品13,14を取り付ける際の作業性や、サブフレーム16をメインフレーム15(図2参照)に取り付けてメインフレーム15に前後の電気部品13,14を搭載する際の作業性の向上が図れる。
【0050】
さらに、サブフレーム16の剛性が高まることから、サブフレーム16の厚みを薄くすることができ、電気自動車の車高を低く抑えることができる。
【0051】
図2に戻って、フロア12は、メインフレーム15の空間27より一回り大きく略矩形状に形成した板状部材で、複数の取付孔71…が形成されている。
フロア12をメインフレーム15に取り付けることで、空間27の上方を塞ぐ。
【0052】
このフロア12は、上下の板材の間を複数のリブ12a…によって補強することで、剛性を高めている。
なお、フロア12は、図示の形状に限定するものではなく、上下の板材によってハニカム材をサンドイッチした板状部材や、上下の板材の間に複数のリブを波板状に形成した板状部材なども好適に利用することができる。
このように、リブ12a…やハニカム材などによって補強された板状部材でフロア12を形成し、このフロア12をメインフレーム15に取り付けることで、メインフレーム15をフロア12で良好に補強する。
【0053】
複数の取付孔71…は、左右の取付ブラケット31,32の取付孔31a,32a、前取付ブラケット33,33の取付孔33a,33a、後取付ブラケット34,34の取付孔34a,34a、中央連結部51の取付孔51b、パネル部材41の四隅の取付孔57…に対応する位置に形成されている。
【0054】
サブフレーム16に前後の電気部品13,14を搭載した状態で、サブフレーム16を下方からメインフレーム15にセットする。
これにより、左右のフレーム部材36,37の前組付段部44,44がメインフレーム15の前取付ブラケット33,33に係合する。
【0055】
さらに、左右のフレーム部材36,37の後組付段部45,45がメインフレーム15の後取付ブラケット34,34に係合する。
加えて、クロスフレーム部材38の左右の組付段部55,56がメインフレーム15の左右の取付ブラケット31,32に係合する。
【0056】
この状態において、前組付段部44,44の取付孔44a,44aおよび前取付ブラケット33,33の取付孔33a,33aに、ボルト73,73をそれぞれ差し込む。
後組付段部45,45の取付孔45a,45aおよび後取付ブラケット34,34の取付孔34a,34aに、ボルト73,73をそれぞれ差し込む。
【0057】
左組付段部55の取付孔55aおよび左取付ブラケット31の取付孔31aにボルト73を差し込む。
右組付段部56の取付孔56aに、右取付ブラケット32の取付孔32aにボルト73を差し込む。
パネル部材41の四隅の取付孔57…にボルト73…を差し込み、これらのボルト73…にスペーサ74…を嵌め込む。
この状態を、図1に示す。
【0058】
それぞれのボルト73…を、フロア12の取付孔71…に差し込み、フロア12から突出したねじ部にナット75…をねじ結合する。
これにより、メインフレーム15に、サブフレーム16およびフロア12を取り付ける。
【0059】
このように、サブフレーム16に前後の電気部品13,14を取り付けた後、サブフレーム16を、メインフレーム15に下方から取り付ける。この際に、複数の電気部品13,14をメインフレーム15に同時に取り付けることができる。
よって、車体フレーム11に複数の電気部品13,14を簡単に取り付けることができる。
【0060】
また、サブフレーム16に左右のフレーム部材36,37およびクロスフレーム部材38を備えた。そして、これらのフレーム部材36,37,38をメインフレーム15に連結することで、それぞれのフレーム部材36,37,38で車体フレーム11の一部を構成するようにした。
これにより、メインフレーム15にサブフレーム16に取り付ける(連結する)ことで、車体フレーム11の剛性を確保することが可能になった。
【0061】
図4は本発明に係る電気自動車の車体構造を底面側から見た斜視図である。図4において、前述した隆起部42について詳しく説明する。
パネル部材41の底面41から隆起部42を下方に隆起し、隆起部42をクロス状(略X字状)に形成する。
【0062】
隆起部42の左右の前端部42a,42aを、左右のフレーム部材36,37の前端部37a,37bの下方に設け、前端部42a,42aをボルト73,73で前端部37a,37bに取り付ける。
【0063】
さらに、隆起部42の左右の後端部42b,42bを、左右のフレーム部材36,37の前端部37b,37cの下方に設け、後端部42b,42bをボルト73,73で前端部37b,37cに取り付ける。
加えて、隆起部42の中央部42cを、中央連結部51の中央部51aの下方に設け、中央部42cをボルト73で中央連結部51に取り付ける。
【0064】
ここで、左右のフレーム部材36,37の前端部37a,37a(図3参照)は、フレーム部材36,37がメインフレーム15に連結される部位である。
また、左右のフレーム部材36,37の後端部37b,37b(図3参照)も、フレーム部材36,37がメインフレーム15に連結される部位である。
これにより、隆起部42で、フレーム部材36,37がメインフレーム15に連結される部位を強固に支えることができる。
【0065】
図5は図1の5−5線断面図であり、車体フレームにフロアを取り付けた状態を示す。図6は本発明に係る電気自動車の車体構造を示す分解断面図である。
クロスフレーム部材38の左組付段部55は、一例として水平面である。メインフレーム15の左取付ブラケット31は、左組付段部55に重なり合う段部31bを備える。
段部31bは、左組付段部55に重なり合うように、一例として水平に形成されている。
【0066】
クロスフレーム部材38の右組付段部56は、一例として水平面である。メインフレーム15の右取付ブラケット32は、右組付段部56に重なり合う段部32bを備える。
段部32bは、右組付段部56に重なり合うように、一例として水平に形成されている。
【0067】
この構成によれば、サブフレーム16をメインフレーム15の取付位置にセットすることで、クロスフレーム部材38の左組付段部55が、左取付ブラケット31の段部31bに係合する。
同時に、クロスフレーム部材38の右組付段部56が右取付ブラケット32の段部332bに係合する。
【0068】
左組付段部55の取付孔55aおよび左取付ブラケット31の取付孔31aにボルト73を差し込む。
右組付段部56の取付孔56aに、右取付ブラケット32の取付孔32aにボルト73を差し込む。
【0069】
ボルト73,73のねじ部が、左右の取付ブラケット31,32を経てフロア12から上方に突出する。突出したねじ部にナット75,75をねじ結合する。
これにより、左右の組付段部55,56を左右の取付ブラケット31,32にそれぞれ取り付けて、クロスフレーム部材38をメインフレーム15に連結する。
【0070】
図5、図6においては、左右の組付段部55,56および左右の取付ブラケット段部31,32の構造について説明したが、これらの構造は、図2に示す前後の組付段部44,45および前後の取付ブラケット33,34も同様である。
【0071】
よって、クロスフレーム部材38と同様に、前組付段部44,44を前取付ブラケット33,33に取り付けるとともに、後組付段部45,45を後取付ブラケット34,34に取り付けて、左右のフレーム部材36,37をメインフレーム15に連結することができる。
【0072】
さらに、中央部連結部51の取付孔51bにもボルト73が差し込まれ、中央部連結部51を経てフロア12から上方に突出したねじ部にナット75がねじ結合される。
【0073】
なお、図5、図6では、左右の組付段部55,56および段部31b,32bを、それぞれ水平面として説明するが、これに限定するものではなく、例えば傾斜面でもよい。
【0074】
次に、電気自動車の車体構造の組み付け工程を図7〜図8に基づいて説明する。なお、図7、図8においては理解を容易にするために、クロスフレーム部材38をメインフレーム15に連結する例について説明し、左右のフレーム部材36,37をメインフレーム15に連結する説明は省略する。
【0075】
図7(a),(b)は本発明に係る電気自動車の車体構造のサブフレームに電気部材を搭載する例を説明する図である。
(a)において、左右のフレーム部材36,37の前支え片47,47に、前電気部品13をボルト64…・ナット65…で矢印Aの如く取り付けることで、サブフレーム16に前電気部品13を搭載する。
同様に、サブフレーム16に後電気部品14(図2参照)を搭載する。
【0076】
(b)において、サブフレーム16をメインフレーム15の取付位置に下方から矢印Bの如くセットする。
【0077】
図8(a),(b)は本発明に係る電気自動車の車体構造のメインフレームにサブフレームを取り付ける例を説明する図である。
(a)において、クロスフレーム部材38の左組付段部55が、左取付ブラケット31の段部31bに係合する。同時に、クロスフレーム部材38の右組付段部56が右取付ブラケット32の段部32bに係合する。
【0078】
左組付段部55の取付孔55aおよび左取付ブラケット31の取付孔31aにボルト73を矢印Cの如く差し込む。
右組付段部56の取付孔56aに、右取付ブラケット32の取付孔32aにボルト73を矢印Cの如く差し込む。
次に、フロア12をメインフレーム15の上部に矢印Dの如くセットする。
【0079】
(b)において、ボルト73,73のねじ部がフロア12から上方に突出する。突出したねじ部にナット75,75をねじ結合する。
これにより、左組付段部55を左取付ブラケット31に取り付けるとともに、右組付段部56を右取付ブラケット32に取り付けて、クロスフレーム部材38をメインフレーム15に連結し、車体フレーム10を得る。
【0080】
なお、前記実施の形態では、サブフレームに、フレーム部材として左右のフレーム部材およびクロスフレーム部材の3個の部材を備えた例について説明したが、これに限らないで、サブフレームに左右のフレーム部材のみを備えることも可能である。
【0081】
また、前記実施の形態では、サブフレーム16に前後の電気部品13,14を2個搭載した例について説明したが、1個や3個以上の複数個の電気部品に対応することも可能である。
【0082】
さらに、前記実施の形態では、サブフレーム16のパネル部材41に隆起部42を備えた例について説明したが、これに限らないで、パネル部材41に隆起部42を備えなくてもよい。
【0083】
また、前記実施の形態では、左右のフレーム部材36,37、クロスフレーム部材38およびパネル部材41をCFRPで一体成形した例について説明したが、これに限らないで、アルミニウムなどの他の材料で形成することも可能である。
さらに、左右のフレーム部材36,37およびクロスフレーム部材38とパネル部材41とを個別に形成し、形成後に一体化することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、フロア下方の車体フレームに電気部品を設ける電気自動車の車体構造への適用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明に係る電気自動車の車体構造を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る電気自動車の車体構造を示す分解斜視図である。
【図3】本発明に係る車体構造のサブフレームを示す斜視図である。
【図4】本発明に係る電気自動車の車体構造を底面側から見た斜視図である。
【図5】図5は図1の5−5線断面図である。
【図6】本発明に係る電気自動車の車体構造を示す分解断面図である。
【図7】本発明に係る電気自動車の車体構造のサブフレームに電気部材を搭載する例を説明する図である。
【図8】本発明に係る電気自動車の車体構造のメインフレームにサブフレームを取り付ける例を説明する図である。
【符号の説明】
【0086】
10…電気自動車の車体構造、11…車体フレーム、12…フロア、13…前電気部品(電気部品)、14…後電気部品(電気部品)、15…メインフレーム、16…サブフレーム、27…空間、36…左フレーム部材(フレーム部材)、37…右フレーム部材(フレーム部材)、39…クロスフレーム部材(フレーム部材)、41…パネル部材、41a…パネル部材の底面、42…隆起部、37a,37a…左右のフレーム部材36,37の前端部(フレーム部材36,37がメインフレーム15に連結される部位)、37b,37b…左右のフレーム部材36,37の後端部(フレーム部材36,37がメインフレーム15に連結される部位)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロア下方の車体フレームにバッテリや燃料電池などの電気部品を設けた電気自動車の車体構造において、
前記電気部品を収納する空間を備えるために略矩形状の枠体に形成し、前記車体フレームの主要部位を構成するメインフレームと、
このメインフレームに下方から組み付け可能で、メインフレームに連結することで前記車体フレームの一部を構成するフレーム部材を備え、前記電気部品を取り付け可能なサブフレームと、からなることを特徴とする電気自動車の車体構造。
【請求項2】
前記サブフレームは、前記フレーム部材を所定間隔をおいて少なくとも2個備え、フレーム部材間に前記電気部品を配置するとともに、電気部品をそれぞれのフレーム部材に取り付けたことを特徴とする請求項1記載の電気自動車の車体構造。
【請求項3】
前記サブフレームは、前記空間を下方側から塞ぐパネル部材を前記フレーム部材に設け、
このパネル部材の底面に下方に隆起する隆起部を備え、
この隆起部に、前記フレーム部材が前記メインフレームに連結される部位を取り付けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気自動車の車体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−182295(P2006−182295A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−380689(P2004−380689)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】