説明

電気融着装置

【課題】作業者が施工手順を間違えたり、作業工程を抜かしてしまうことがなく、接続施工終了後に施工工程の進行状況を確認できる電気融着装置を提供する。
【解決手段】電気融着装置3には、樹脂管1と電気融着継手2A,2Bとの接続施工の進行状況を確認するための確認ボタン6cと、電気融着継手2A,2Bに対応する接続施工の施工手順を工程毎に記憶する記憶部12とが設けられ、制御部10は製品情報コードCが入力されたときに、入力された製品情報コードCに基づいて、製品情報コードCに対応する電気融着継手の接続施工の施工手順を表示可能な状態とし、確認ボタン6cが押される毎とに順次工程毎の施工手順を表示部6eに表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気融着継手を使用して樹脂管を接続する際に、電気融着継手に電熱融着のための電力を供給する電気融着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、水道管やガス管に、ポリオレフィンなどの樹脂素材によって形成された樹脂管が多く使用されており、樹脂管の接続は、主に電気融着継手によって行われている。
【0003】
樹脂管同士を接続するには、例えば、ソケット型の電気融着継手が使用され、支管から枝管への分岐部分には、例えば、サドル型の電気融着継手が使用される。
【0004】
ソケット型の電気融着継手の本体部は略円筒状を呈しており、本体部の内周面側には熱溶融性の樹脂層が設けられている。
【0005】
また、サドル型の電気融着継手の本体部は略鞍形状を呈しており、本体部の下面側には熱溶融性の樹脂層が設けられている。
【0006】
熱溶融性の樹脂層には電熱線が埋設されており、電熱線の両端は電極ターミナルに接続されている。
【0007】
サドル型とソケット型とのどちらの継手にも棒状の一対のインジケーターが設けられており、融着が正常に完了した際にインジケーターの先端部が電気融着継手の本体部表面から僅かに突出するようになっている。
【0008】
ソケット型やサドル型の電気融着継手の他にも、エルボ型やチーズ型など、多くの種類の電気融着継手が製品化されている。
【0009】
従来から、電気融着継手を使用して樹脂管を接続する際に、電気融着継手に電熱融着のための電力を供給する電気融着装置が知られている。
【0010】
ところで、電気融着継手の電熱線に通電すべき電力量は、個々の電気融着継手の種類や大きさなどによって異なっている。
【0011】
電気融着継手の種類や大きさの情報や融着に必要とされる電力量などの情報はバーコードに記録され、このバーコードが表示されたシールが電気融着継手本体に貼り付けられている。
【0012】
電気融着装置のバーコードリーダーにより電気融着継手に付されたバーコードを読み取ることによって、電気融着装置はバーコードに含まれている製品情報コードを基に、その電気融着継手に適した電力量を自動的に供給するようになっている。
【0013】
次に、ソケット型の電気融着継手による樹脂管の接続を例にして、接続工程の工程手順を説明する。
【0014】
まず、樹脂管の接続部分に付着している土や汚れをペーパータオルで拭き取る。
【0015】
そして、樹脂管の接続側端部から樹脂管の径に応じた所定の範囲を油性マジックインキによって塗りつぶし、専用の切削工具を用いて塗りつぶした部分を油性マジックインキのインクが消えるまで切削する。
【0016】
次に、溶剤を染み込ませたペーパータオルを使用して、樹脂管の融着面と電気融着継手の融着面とを拭いて油分を除去し、樹脂管と電気融着継手とを専用のクランプ器具で固定する。
【0017】
そして、電気融着装置の出力ケーブルのコネクターを電気融着継手の電極ターミナルに接続し、電気融着装置の電源を入れ、電気融着装置の表示部の指示に従い、通電開始ボタンを押して電気融着継手への通電を開始する。
【0018】
電気融着装置への通電が終了したら、電気融着継手のインジケーターが突出して正常に融着されているか否か確認した上で接続工程を終了する。
【0019】
なお、接続工程の作業内容や工程手順は、電気融着継手の種類や大きさなどによってそれぞれ異なっている。
【0020】
本従来例の電気融着装置は、バーコードに記録された製品情報コードを基に使用される電気融着継手に適した電力量を供給し安定した融着品質を保つことができる。
【0021】
この他に、汚れなどによりバーコードが読み取れない場合に、接続に必要な電力量などの情報を簡単な数字コードで表し、この数字コードをキー入力することによって、接続に必要な電力量などの情報を入力する電気融着装置が出願人自らによって提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−062924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
ところで、電気融着継手による樹脂管の接続作業では、融着の工程の前に多数の準備工程があり、しかも、それらが煩雑であるため、実際の現場では、作業者の工程忘れや、勝手な工程の短縮により接続不良が発生するなどの不具合が生じている。
【0023】
しかしながら、従来例の電気融着装置では、融着に必要とされる電力量だけが管理されているので、この電気融着装置によって電気融着継手に最適な電力量が供給されても、接続の準備工程に不備があると、融着品質に著しい劣化が生じてしまうという問題があった。
【0024】
また、作業者の工程忘れや、勝手な短縮を防ぐためには、作業者の作業を常時管理する必要があるが、現場には多数の作業者がおり、常時管理するのは困難であった。
【0025】
そこで本発明では、作業者が施工手順を間違えたり、作業工程を抜かしてしまうことがなく、接続施工終了後に施工工程の進行状況を確認できる電気融着装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記目的を達成するために請求項1に記載された発明は、樹脂管を接続する電気融着継手に付されかつ該電気融着継手の種類と大きさと接続時に必要な電力量とに関するデータを少なくとも含む製品情報コードを入力する製品コード入力手段と、
前記製品情報コードに含まれる情報を少なくとも表示する表示部と、
前記電気融着継手に電力を供給する融着電力供給部と、
前記製品情報コードに含まれる情報を前記表示部に表示させると共に前記製品情報コードに基づいて前記電気融着継手に必要とされる電力量を供給する制御を行う制御部と、
を有する電気融着装置であって、
前記樹脂管と前記電気融着継手との接続施工の進行状況を確認するための確認スイッチと、
前記電気融着継手に対応する接続施工の施工手順を工程毎に記憶する記憶部と、
が設けられ、
前記制御部は前記製品情報コードが入力されたときに、該入力された製品情報コードに基づいて、該製品情報コードに対応する前記電気融着継手の接続施工の施工手順を表示可能な状態とし、前記確認スイッチが押される毎に順次前記工程毎の施工手順を前記表示部に表示させる電気融着装置を特徴としている。
【0027】
そして、請求項2に記載された発明は、年月日を含めて計時可能な時計部が設けられ、
前記製品情報コードと、
該製品情報コードが入力された時刻を示すデータと、
前記確認スイッチが押された時刻を示すデータと、
が前記記憶部に記憶されて、
前記製品情報コードと、
該製品情報コードが入力された時刻と、
前記確認スイッチが押された時刻と、
が前記接続施工の終了後に確認可能とされている請求項1に記載された電気融着装置を特徴としている。
【発明の効果】
【0028】
このように構成された本発明の請求項1に記載されたものは、電気融着継手に対応する接続施工の施工手順が工程毎に記憶されており、確認スイッチを押す毎に製品情報コードに対応した接続施工の施工手順を表示できるので、作業者は工程毎の施工手順を確認しつつ作業を進めて行くことができ、施工手順を確認しつつ作業を進めて行くことにより、各工程の施工手順の誤りを解消することができるだけでなく、施工工程自体を抜かしてしまう可能性を低減することができる。
【0029】
そして、請求項2に記載されたものは、製品情報コードと、製品情報コードが入力された時刻と、確認スイッチが押された時刻とが記憶され、接続施工の終了後に確認可能なので、どの種類の電気融着継手が、いつ接続されたか否か接続施工終了後に確認でき、施工工程が順調に行われたかなどの施工管理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明に係る実施の形態を実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0031】
〈構成〉
図1(a)において、1はポリオレフィン樹脂製の樹脂管であり、2Aはソケット型の電気融着継手である。
【0032】
ソケット型の電気融着継手2Aの本体部2Aaは略円筒形状を呈しており、本体部2Aaの内周面側には熱溶融性の樹脂層2Abが設けられ、本体部2Aaの外周面側には管路方向に沿って一対の電極ターミナル2Ac,2Acが設けられている。
【0033】
熱溶融性の樹脂層2Abには、電熱線が埋め込まれており、この電熱線の両端は一対の電極ターミナル2Ac,2Acに接続されている。
【0034】
電極ターミナル2Ac,2Acの間には、一対のインジケーター2Ad,2Adが管路方向に沿って設けられ、更にインジケーター2Ad,2Adの間には、バーコードが印刷されたシール2Aeが貼り付けられている。
【0035】
インジケーター2Adは、本体部2Aaの周壁に設けられた孔と、樹脂製の棒とによって構成されており、この棒の下端部が熱溶融性の樹脂層2Abの外周面側に取り付けられている。
【0036】
電熱線による加熱によって樹脂層2Abが溶融して膨張すると、樹脂層2Abの膨張に伴い、樹脂製の棒が本体部2Aaの周壁に設けられた孔から飛び出すので、この棒の先端部が孔から飛び出しているのを作業者が確認することによって、融着が正常に行われたかどうかが確認できる。
【0037】
図1(b)において、2Bはサドル型の電気融着継手である。
【0038】
サドル型の電気融着継手2Bの本体部2Baは略鞍形状を呈しており、本体部2Baの下面側には熱溶融性の樹脂層2Bbが設けられ、本体部2Baの上部には管路方向に沿って一対の電極ターミナル2Bc,2Bcが設けられている。
【0039】
熱溶融性の樹脂層2Bbには、電熱線が埋め込まれており、この電熱線の両端は一対の電極ターミナル2Bc,2Bcに接続されている。
【0040】
電極ターミナル2Bc,2Bcの間には、一対のインジケーター2Bd,2Bdが管路方向に沿って設けられ、更にインジケーター2Bd,2Bdの間には、分岐部2Beが設けられている。
【0041】
また、本体部2Baの側壁には、バーコードが印刷されたシール2Bfが貼り付けられている。
【0042】
インジケーター2Bdは、本体部2Baの上部に設けられた孔と、樹脂製の棒とによって構成されており、この棒の下端部が熱溶融性の樹脂層2Bbの上面側に取り付けられている。
【0043】
電熱線による加熱によって樹脂層2Bbが溶融して膨張すると、樹脂層2Bbの膨張に伴い、樹脂製の棒が本体部2Baの上部に設けられた孔から飛び出すので、この棒の先端部が孔から飛び出しているのを作業者が確認することによって、融着が正常に行われたかどうかが確認できる。
【0044】
ソケット型やサドル型の電気融着継手の他にも、エルボ型やチーズ型の電気融着継手など多くの種類の電気融着継手が製品化されている。
【0045】
図2において、3は電気融着装置であり、電気融着装置3は、本体部4と、本体部4を支持するラック部5と、本体部4の上面にパネル部6とが設けられている。
【0046】
本体部4の下部側からは、接続ケーブルを介してバーコードリーダー7(製品コード入力手段)と、融着のための電力を出力する出力ケーブル8とが接続されている。
【0047】
パネル部6には、電源入切ボタン6aと、非常停止/リセットボタン6bと、確認ボタン6cと、入力キー6d(製品コード入力手段)と、表示部6eとが設けられている。
【0048】
例えば、樹脂管1にサドル型の電気融着継手2Bを接続するには、後述する接続工程のうち融着のための準備工程を経てから、出力ケーブル8に設けられた一対のコネクタ部8a,8aをそれぞれサドル型の電気融着継手2Bの電極ターミナル2Bc,2Bcに接続してから電気融着継手2Bへの通電を行う。
【0049】
なお、非常停止/リセットボタン6bは、非常時に通電を停止したり、作業を中断するときに押す。
【0050】
図3に示すように、電気融着装置3の本体部4には、融着電力供給部9と、制御部10と、時計部11と、記憶部12とが設けられている。
【0051】
融着電力供給部9は、出力ケーブル8に接続された電気融着継手に融着のための電力を供給する。
【0052】
融着電力供給部9は、制御部10によって制御されており、電気融着継手の種類に応じて供給電圧値と供給時間とを変えて、その電気融着継手に最適な電力量を供給するようになっている。
【0053】
制御部10は、主にマイクロコンピューター10aと、ROM10b(Read Only Memory)と、RAM10c(Random Access Memory)とによって構成されている。
【0054】
ROM10cには、主にOS(オペレーションシステム)などの基本プログラムが搭載されており、RAMは、主にプログラムを実行する際の作業用メモリー領域を確保するために利用される。
【0055】
時計部11は、バックアップバッテリーによって常時電源が供給されており、年月日を含む時刻を設定しておくと、制御部10からの要求により、いつでも要求された時点での年月日を含む時刻の情報を有する時刻データを出力できるようになっている。
【0056】
記憶部12は、本実施例では不揮発性の半導体メモリーを使用しており、各種の電気融着継手に対応した接続工程の施工手順を工程毎にテキストデータとして記憶しており、これらテキストデータは、制御部10からの要求により表示部6eに表示される。
【0057】
記憶部12のメモリーにはテキストデータ用のメモリー領域が確保されており、例えば、図4に示されている文章に対応したテキストデータDijが記憶されている。
【0058】
以下では、接続工程の施工手順の各工程を説明する一連のテキストデータ(図4の縦の列のテキストデータ)をデータ系列と呼ぶことにし、データ系列内の個々のテキストデータをデータブロックと呼ぶことにする。
【0059】
例えば、テキストデータD1jのデータ系列には、ソケット型継手(品番:HES75N)の施工手順が収められており、テキストデータD2jのデータ系列には、サドル型継手(品番:HBS755H)の施工手順が収められているものとする。
【0060】
本実施例では、ソケット型継手のデータ系列とサドル型継手のデータ系列とだけが、図4に示されているが、記憶部12には、これらのデータ系列以外にも、多くの種類の継手に対応した施工手順のデータ系列が記憶されている。
【0061】
〈制御部10の制御の流れ〉
制御部10による制御の流れを、図5に示されるフローチャート図に基づいて説明する。
【0062】
図5のフローチャート図は制御部10の制御のメインルーチンのフローチャート図である。
【0063】
S1では、制御部10による制御を開始する。
【0064】
S2では、表示部6eに「接続作業を開始します。」という文章を数秒間表示する。
【0065】
S3では、表示部6eに「製品のバーコードを読み込んでください。」という文章を表示する。
【0066】
S4では、バーコードリーダー7から製品情報コードCが入力されたか否か制御部10で判断して、製品情報コードCが入力されていなければ製品情報コードCの入力を待機し、製品情報コードCが入力されたらS5に進む。
【0067】
S5では、バーコードリーダー7から入力された製品情報コードCをRAM10c内に一時記憶する。
【0068】
S6では、RAM10c内に一時記憶された製品情報コードCの内、製品を確認するために必要な一部の製品データを表示部6eに表示する。
【0069】
S7では、RAM10c内に一時記憶された製品情報コードCと時計部11から取得された時刻データT1とを記憶部12に記憶する。
【0070】
Rでは、後述するように、確認ボタン6cが押される毎に、順次、次の施工手順を表示部6eに表示させる作業確認フロー(図6参照)を実行する。
【0071】
S8では、表示部6eに「通電を開始して下さい。」という文章を表示する。
【0072】
S9では、確認ボタン6cが押されたか否か制御部10で判断して、押されていなければ確認ボタン6cが入力されるのを待機し、押されたらS10に進む。
【0073】
S10では、製品情報コードCに含まれる電力量に関するデータに基づいて、接続される電気融着継手に適した電力量を融着電力供給部9によって通電する。通電が完了したらS11に進む。
【0074】
S11では、表示部6eに「通電を完了しました。」という文章を表示する。
【0075】
Rでは、再び、作業確認フローを実行する。
【0076】
S12では、入力キー6dの「0」キーか、または「1」キーが押されたか否か制御部10で判断して、「0」キーが押されたときはS13に進み、「1」キーが押されたときはS14に進む。
【0077】
S13では、表示部6eに「接続作業をやり直して下さい。」という文章を数秒間表示し、S15に進む。
【0078】
S14では、表示部6eに「接続作業を終了します。」という文章を数秒間表示し、S15に進む。
【0079】
S15では、制御部10による制御を終了する。
【0080】
図6のフローチャート図は、制御部10の制御のサブルーチン(作業確認フロー)のフローチャート図である。
【0081】
次に、作業確認フローを図6に示すフローチャート図に基づいて説明する。
【0082】
R1では、作業確認フローの制御が開始される。
【0083】
R2では、製品情報コードCに基づいて、接続する電気融着継手に対応するデータ系列のうち、最初のデータブロックのテキストデータを表示部6eに表示する。
【0084】
R3では、確認ボタン6cが押されたか否か制御部10で判断して、確認ボタン6cが押されていなければ確認ボタン6cが入力されるのを待機し、確認ボタン6cが押されたらR4に進む。
【0085】
R4では、時計部11から取得された時刻データT2を記憶部12に記憶する。
【0086】
R5では、製品情報コードCに基づいて、接続する電気融着継手に対応するデータ系列のうち、次のデータブロックのテキストデータを表示部6eに表示する。
【0087】
R6では、データブロックの内容がnull(空データ)であるか否かを制御部10で判断して、データブロックの内容がnullでなければR5に戻り、データブロックの内容がnullならばS7に進む。
【0088】
本実施例に係る制御部10の制御では、データ系列内にnull(空データ)があるときに一連のデータ系列の読み込みが中断されるようになっている。
【0089】
R7では、作業確認フローの制御を終了して、メインルーチンに戻る。
【0090】
〈使用方法〉
品番がHES75Nのソケット型の電気融着継手を用いて樹脂管1,1同士を接続する場合を例にして電気融着装置3の使用方法を説明する。
【0091】
まず、作業者が電源入切ボタン6aを押すと、電気融着装置3の電源が入り、表示部6eに「接続作業を開始します。」と数秒間表示された後に、「製品のバーコードを読み込んでください。」と表示される。
【0092】
作業者が電気融着継手に貼設されたシール2Ae上のバーコードをバーコードリーダー7によってなぞると、バーコードによって記載された製品情報コードCが電気融着装置3に読み込まれ、製品情報コードCに含まれる製品データの内、製品を確認するために必要な一部の情報、例えば、「品番 HES75N ソケット型 呼び径 75mm」などの情報が数秒間表示される。
【0093】
そして、「管の接続部分に付着している土や汚れをペーパータオルで清掃して下さい。」と表示されるので、この指示に従い樹脂管1,1の接続部分と電気融着継手2Aの接続部分とをペーパータオルで清掃し、清掃が完了したら、電気融着装置3の確認ボタン6cを押す。
【0094】
確認ボタン6cを押すと「管の接続側端部から65mmの範囲全体を油性マジックでマーキングして下さい。」と表示されるので、この指示に従い樹脂管1,1の接続部分にマーキングを行ない、マーキングが完了したら、電気融着装置3の確認ボタン6cを押す。
【0095】
確認ボタン6cを押すと「専用切削工具を使用してマーキングが完全に消えるまで管の表面を切削して下さい。」と表示されるので、この指示に従い、専用切削工具でマーキングした部分の切削を行ない、切削が完了したら、電気融着装置3の確認ボタン6cを押す。
【0096】
確認ボタン6cを押すと「溶剤を浸み込ませたペーパータオルを使用して管と継手の融着面を清掃して下さい。」と表示されるので、この指示に従い、樹脂管1,1の接続部分と電気融着継手2Aの接続部分とを溶剤を浸み込ませたペーパータオルで清掃し、清掃が完了したら、電気融着装置3の確認ボタン6cを押す。
【0097】
確認ボタン6cを押すと「専用クランプを使用して管と継手を固定して下さい。」と表示されるので、この指示に従い、樹脂管1,1と電気融着継手2Aとを専用クランプで固定し、専用クランプによる固定が完了したら、電気融着装置3の確認ボタン6cを押す。
【0098】
確認ボタン6cを押すと「出力ケーブルのコネクターを継手のターミナルピンに接続して下さい。」と表示されるので、この指示に従い、出力ケーブル8のコネクター8a,8aを電気融着継手2Aの電極ターミナル2Ac,2Acに接続し、コネクター8a,8aと電極ターミナル2Ac,2Acとの接続が完了したら、電気融着装置3の確認ボタン6cを押す。
【0099】
確認ボタン6cを押すと「通電を開始してください。」と表示されるので、この指示に従い、確認ボタン6cを押す。
【0100】
確認ボタン6cを押すと「ただいま通電中です。」と表示され、約140秒経過すると通電が完了し、「通電を完了しました。」と数秒間表示される。
【0101】
そして、「継手のインジケーターが左右ともに継手表面から突出していることを確認して下さい。」と表示されるので、この指示に従い、電気融着継手2Aのインジケーターを確認し、電気融着装置3の確認ボタン6cを押す。
【0102】
確認ボタン6cを押すと「接続は正常に行われました。」と数秒間表示され、その後、「冷却時間は2分20秒です。 冷却完了時刻を継手表面に記入して下さい。冷却完了後にクランプを取り外すことができます。」と数秒間表示されるので、この指示に従い、冷却完了時刻を電気融着継手2Aの表面にマジックインキによって記入する。
【0103】
そして、「継手のターミナルピンから出力ケーブルのコネクターを取り外して下さい。」と数秒間表示されるので、この指示に従い、コネクター8a,8aを電極ターミナル2Ac,2Acから取り外す。
【0104】
その後、「接続は正常に行われましたか? Yes(1) or No(0)?」と表示されるので、接続が正常に行われていれば入力キーから「1」を入力する。
【0105】
入力キー6dから「1」が入力されると、「接続作業を終了します。」と数秒間表示された後に電源を投入した直後の状態に戻る。
【0106】
もし、接続が正常に行われていなければ入力キー6dから「0」を入力する。
【0107】
入力キー6dから「0」が入力されると、「接続作業をやり直して下さい。」と数秒間表示された後に電源を投入した直後の状態に戻る。
【0108】
品番がHBS755Hのサドル型の電気融着継手を樹脂管1に接続する場合は、図4に示すように、製品データの表示内容が、例えば、「品番 HBS755H サドル型 呼び径 主管 75mm 枝管 25mm」に変わり、手順2の内容が「サドルが取り付けられる範囲全体を油性マジック等でマーキングして下さい。」に変わり、手順9の内容が「分岐管接続後に専用工具を用いて穿孔を行って下さい。穿孔後にはキャップを取り付けて下さい。」に変わる。
【0109】
また、品番がHES75Nのソケット型の電気融着継手よりも、品番がHBS755Hのサドル型の電気融着継手の方が作業工程が1工程多く、手順11として「分岐管接続後に専用工具を用いて穿孔を行って下さい。穿孔後にはキャップを取り付けて下さい。」という文章が更に表示される。
【0110】
〈施工管理の方法〉
本実施例の電気融着装置3は、接続施工が完了した後に、入力キー6dを操作することにより、記憶部12に記憶された製品情報コードC及び時刻データT1,T2を表示部6eに表示させることができるようになっている。
【0111】
この表示内容を施工管理者が確認し、これらのデータを基にして、例えば、時系列に従って作業履歴を表示した施工管理表などを作成することができる。
【0112】
〈作用効果〉
電気融着継手に対応する接続施工の施工手順が工程毎に記憶されており、確認ボタン6cを押す毎に製品情報コードCに対応した接続施工の施工手順を表示できるので、作業者は工程毎の施工手順を確認しつつ作業を進めて行くことができ、施工手順を確認しつつ作業を進めて行くことにより、各工程の施工手順の誤りを解消することができるだけでなく、施工工程自体を抜かしてしまう可能性を低減することができる。
【0113】
そして、製品情報コードCと、製品情報コードCが入力された時刻(時刻データT1)と、確認ボタン6cが押された時刻(時刻データT2)とが記憶され、接続施工の終了後に確認可能なので、どの種類の電気融着継手が、いつ接続されたかを接続施工終了後に確認でき、後から時系列に従って表などを作成して調査することにより、施工工程が順調に行われたかなど施工管理者が施工管理を行うことができる。
【0114】
しかも、調査により、各工程における作業者の作業時間が、各工程の標準的な作業時間と比較して著しく短時間であることが判明すれば、作業者が正しい作業方法で作業を行わなかったか、或いは、確認ボタン6cの押下操作を誤ったかのどちらかであることが分かる。
【0115】
また、逆に、調査により各工程の作業者による作業時間が、各工程の標準的な作業時間と比較して著しく長時間で作業が終了していることが判明すれば、作業者の作業ペースが遅いことが分かり、施工管理者は施工方法や施工手順について作業者に注意を促すことができる。
【0116】
以上、図面を参照して、本発明の最良の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は本発明に含まれる。
【0117】
なお、本実施例では、製品情報コードCの入力をバーコードリーダー7によって行ったが、製品情報コードCの入力方法は、バーコードに限るものではない。例えば、入力キー6d(製品コード入力手段)から製品情報コードCを入力してもよい。
【0118】
そして、本実施例では、記憶部12は不揮発性の半導体メモリーを使用しているが、必ずしも半導体メモリーである必要はない。例えば、ハードディスクであってもよい。
【0119】
また、本実施例では、作業履歴を表示部6eに表示させているが、作業履歴のデータをパソコンに転送してパソコンの画面上で作業履歴を表示したり管理してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】樹脂管と電気融着継手を表した斜視図であり、(a)はソケット型の電気融着継手に両側から樹脂管を挿入する様子を表し、(b)はサドル型の電気融着継手を樹脂管上に取り付ける様子を表している。
【図2】本発明の電気融着装置の上面図である。
【図3】本発明の電気融着装置のブロック図である。
【図4】本発明に係る記憶部に記憶されているテキストデータの内容を表す表図である。
【図5】本発明に係る制御部の制御に関するフローチャート図であり、メインルーチンのフローチャート図である。
【図6】本発明に係る制御部の制御に関するフローチャート図であり、サブルーチン(作業確認フロー)のフローチャート図である。
【符号の説明】
【0121】
1 樹脂管
2A ソケット型の電気融着継手(電気融着継手)
2B サドル型の電気融着継手(電気融着継手)
3 電気融着装置
6c 確認ボタン(確認スイッチ)
6d 入力キー(製品コード入力手段)
6e 表示部
7 バーコードリーダー(製品コード入力手段)
9 融着電力供給部
10 制御部
11 時計部
C 製品情報コード
Dij テキストデータ(施工手順)
T1 製品情報コードが入力された時刻を示すデータ
T2 確認スイッチが押された時刻を示すデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂管を接続する電気融着継手に付されかつ該電気融着継手の種類と大きさと接続時に必要な電力量とに関するデータを少なくとも含む製品情報コードを入力する製品コード入力手段と、
前記製品情報コードに含まれる情報を少なくとも表示する表示部と、
前記電気融着継手に電力を供給する融着電力供給部と、
前記製品情報コードに含まれる情報を前記表示部に表示させると共に前記製品情報コードに基づいて前記電気融着継手に必要とされる電力量を供給する制御を行う制御部と、
を有する電気融着装置であって、
前記樹脂管と前記電気融着継手との接続施工の進行状況を確認するための確認スイッチと、
前記電気融着継手に対応する接続施工の施工手順を工程毎に記憶する記憶部と、
が設けられ、
前記制御部は前記製品情報コードが入力されたときに、該入力された製品情報コードに基づいて、該製品情報コードに対応する前記電気融着継手の接続施工の施工手順を表示可能な状態とし、前記確認スイッチが押される毎に順次前記工程毎の施工手順を前記表示部に表示させることを特徴とする電気融着装置。
【請求項2】
年月日を含めて計時可能な時計部が設けられ、
前記製品情報コードと、
該製品情報コードが入力された時刻を示すデータと、
前記確認スイッチが押された時刻を示すデータと、
が前記記憶部に記憶されて、
前記製品情報コードと、
該製品情報コードが入力された時刻と、
前記確認スイッチが押された時刻と、
が前記接続施工の終了後に確認可能とされていることを特徴とする請求項1に記載された電気融着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−80589(P2008−80589A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−261772(P2006−261772)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】