説明

電気車駆動装置

【課題】本発明は、当該電気車駆動装置から漏れるノイズの軽減、VVVFインバータと
主電動機間の配線の容易化、更に電気車の機器の搭載スペースを有効に利用することの出
来る電気車駆動装置を提供することを目的とする。
【解決手段】直流電力を交流電力に変換するインバータと、前記インバータから供給され
る交流電力により駆動される主電動機とを有し、前記インバータは、前記主電動機の近傍
に配置されたことを特徴とする電気車駆動装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気車駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気車駆動装置について、図を参照し詳細に説明する。図21は、従来の電気車
の構成図である。図22は、従来の電気車のブロック図である。
【0003】
従来の電気車は、架線1と接触するパンタグラフ2、パンタグラフ1と接続されたフィ
ルタリアクトル3、フィルターリアクトル3と接続されたVVVFインバータ4、VVV
Fインバータ4と接続された主電動機5、主電動機5を懸架した台車6、主電動機5によ
り回転する車輪7から構成されている。
【0004】
架線1からパンタグラフ2に供給された架線電力は、フィルタリアクトル3を介してV
VVFインバータ4に供給される。VVVFインバータ4は、架線電力を3相交流電力に
変換し、主電動機5に供給する。主電動機5は、VVVFインバータ4から供給された3
相交流電力により駆動し、車輪7を回転させる。
【0005】
このように構成された電気車は、VVVFインバータ4及び主電動機5から構成される
電気車駆動装置が駆動することにより、運行をすることが出来た。
【特許文献1】特開平11−252714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら従来の電気車に今まで搭載していない新たな機器を搭載しようとする場合
、VVVFインバータ4や台車6に搭載された主電動機5等から構成される電気車の駆動
装置が、機器の搭載可能なスペース(車両の床下)の大部分を占有しているため、他の機
器を搭載できるスペースが少なく、小さな機器しか搭載をすることは出来なかった。
【0007】
また、VVVFインバータ4が各々離れた場所に配置される複数の主電動機5を駆動さ
せるため、結果的にVVVFインバータ4と複数の主電動機5間の距離が長くなるので、
配線のぎ装が複雑になったり、VVVFインバータの出力線からノイズが漏れるという問
題がある。
【0008】
そこで、本発明は、当該電気車駆動装置から漏れるノイズの軽減、VVVFインバータ
と主電動機間の配線の容易化、更に電気車の機器の搭載スペースを有効に利用することの
出来る電気車駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、直流電力を交流電力に変換するインバータと、前記インバータから供給さ
れる交流電力により駆動される主電動機とを有し、前記インバータは、前記主電動機の近
傍に配置されたことにより達成することが出来る。
【0010】
上記課題は、直流電力を交流電力に変換する小容量のインバータと、複数の前記小容量イ
ンバータにより構成されるインバータと、前記インバータから供給される交流電力により
駆動される多相形の電動機とを有し、前記インバータは、前記主電動機の近傍に配置され
たことにより達成することが出来る。
【0011】
上記課題は、直流電力を交流電力に変換する小容量のインバータと、複数の前記小容量イ
ンバータにより構成される複数の単位インバータと、前記複数の単位インバータ毎に設け
られ、前記単位インバータを開放する開放手段と、前記単位インバータから供給される交
流電力により駆動される多相形電動機とを有し、前記複数の単位インバータは、前記主電
動機の近傍に配置されたことにより達成することが出来る。
【0012】
上記課題は、直流電力を交流電力に変換するインバータと、前記インバータから供給され
る交流電力により駆動されるダイレクトドライブ方式の電動機とを有し、前記インバータ
と前記電動機は一体化され、前記インバータの冷却部は車両の枕器方向の中央部側に配置
されていることにより達成することが出来る。
【0013】
上記課題は、直流電力を交流電力に変換するインバータと、前記インバータから供給され
る交流電力により駆動されるダイレクトドライブ方式の電動機と、前記インバータと前記
電動機が一体化された複数のインバータ一体型電動機とを有し、前記複数のインバータ一
体型電動機のインバータ同士が直列接続され、前記インバータの冷却部は車両の枕器方向
の中央部側に配置されていることにより達成することが出来る。
【0014】
上記課題は、直流電力を交流電力に変換するインバータと、前記インバータから供給され
る交流電力により駆動されるダイレクトドライブ方式の電動機と、前記インバータと前記
電動機が一体化された複数のインバータ一体型電動機とを有し、前記複数のインバータ一
体型電動機のインバータ同士が並列接続され、前記インバータの冷却部は車両の枕器方向
の中央部側に配置されていることにより達成することが出来る。
【0015】
上記課題は、インバータや主電動機が収納される1台の台車と直流電力を交流電力に変換
する1台のインバータと、前記1台のインバータから供給される交流電力により駆動され
る一台の主電動機とを有し、前記1台の台車には、1台のインバータと1台の主電動機と
が収納されることにより達成することが出来る。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、当該電気車駆動装置から漏れるノイズの軽減、VVVFインバータと主
電動機間の配線の容易化、更に電気車の機器の搭載スペースを有効に利用することの出来
る電気車駆動装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1の実施の形態)
本発明に基づく第1の実施の形態の電気車駆動装置について図を参照し詳細に説明する
。図1は、本発明に基づく第1の実施の形態の電気車駆動装置を搭載した電気車の構成図
である。図2は、本発明に基づく第1の実施の形態の電気車駆動装置を搭載した電気車の
ブロック図である。図3は、本発明に基づく第1の実施の形態の電気車駆動装置が搭載さ
れる台車のA矢視図である。図4は、図3の上面図である。
【0018】
本明細書において、電気車とは、鉄道、LRT、機関車を意味するものと定義する。
【0019】
本発明に基づく第1の実施の形態の電気車駆動装置を搭載した電気車は、架線1と接触
するパンタグラフ2、パンタグラフ1と接続されたフィルタリアクトル3、フィルターリ
アクトル3と接続され台車6の枠内に搭載されたVVVFインバータ4、VVVFインバ
ータ4と接続された主電動機5、VVVFインバータ4と主電動機5を搭載した台車6、
主電動機5により回転する車輪7から構成されている。
【0020】
このように構成された電気車において、架線1からパンタグラフ2に供給された架線電
力は、フィルタリアクトル3を介してVVVFインバータ4に供給される。VVVFイン
バータ4は、台車枠11と溶接若しくはボルト接続されている。VVVFインバータ4の
上方部には冷却部4aが設けられており、VVVFインバータ4を冷却する。VVVFイ
ンバータ4は、架線電力を3相交流電力に変換し、主電動機5に供給する。主電動機5は
、VVVFインバータ4から供給された3相交流電力により駆動し、車輪7を回転させる

【0021】
このように構成された電気車において、主電動機5は主電動機5の回転軸と車軸8が平
行になるように配置され、歯車や継ぎ手を介して車軸8と接続される。車軸8は台車枠1
0と接続される。台車枠11は、その長手方向の一辺が、車軸8と略平行になるように配
置され、台車枠10の上面と接続される。空気バネ12は、台車枠11の上面と接続され
、車体と接続される。VVVFインバータ4は、主電動機5の略上側の空間に配置され、
配線13を介して主電動機5と接続される。
【0022】
このように構成された電気車駆動装置は、VVVFインバータ4が電動機5の略上側の
台車内に配置されるので、VVVFインバータ4と電動機5の間の距離も短くすることが
出来る。そのため、電気車駆動装置から漏れるノイズを軽減することが出来、更にVVV
Fインバータ4と主電動機5間の配線も簡略化(容易化)することが出来る。
【0023】
また、本発明に基づく第1の実施の形態の電気車駆動装置は、従来電気車両の床下の中
央部(レール方向)に配置されていたVVVFインバータ4を、主電動機5の略上側に配
置しているため、電気車両の床下の中央部には他の新たな機器を配置することが出来る。
【0024】
また、このように構成された電気車駆動装置は、当該電気車駆動装置から漏れるノイズ
を軽減することが出来、VVVFインバータと主電動機間の配線を容易化し、更に電気車
の機器の搭載スペースを有効に利用することが出来る。
【0025】
尚、本実施の形態の電気車駆動装置の説明では、VVVFインバータ4が台車枠内にあ
ると説明をしているが、VVVFインバータ4の一部が台車枠11よりもはみ出ていても
VVVFインバータ4が電動機5の近傍に配置されていれば同様の効果を奏することが出
来るので、VVVFインバータ4が台車枠11よりも内側になければならないという限定
がされないことは言うまでもない。
【0026】
(第2の実施の形態)
本発明に基づく第2の実施の形態の電気車駆動装置について図を参照し詳細に説明する
図5は、本発明に基づく第2の実施の形態の電気車駆動装置が搭載される台車のA矢視図
である。図6は、図5の上面図である。尚、図1乃至図4に記載したものと構造上同一の
ものについては、同符号を付して説明を省略する。
【0027】
本発明に基づく第2の実施の形態の電気車駆動装置において、VVVFインバータ4は
、車軸8の外側に設けられ、冷却部4aが電動機5よりも下に突き出ている。冷却部4a
を電動機5よりも下側に突き出すことによって、電気車の走行時に生ずる走行風を効果的
に冷却部4aに取り込むことが出来、冷却効率を向上させることが出来る。
【0028】
このように構成された第2の実施の形態の電気車の駆動装置は、第1の実施の形態の電気
車駆動装置と同様に、VVVFインバータ4が電動機5の近傍に配置されるので、VVV
Fインバータ4と電動機5の間の距離も短くすることが出来、電気車両の床下の中央部に
は他の新たな機器を配置することが出来る。
【0029】
そのため、電気車駆動装置から漏れるノイズを軽減することが出来、更にVVVFインバ
ータ4と主電動機5間の配線も簡略化(容易化)することが出来る。
【0030】
このように構成された電気車駆動装置は、当該電気車駆動装置から漏れるノイズを軽減
することが出来、VVVFインバータと主電動機間の配線を容易化し、更に電気車の機器
の搭載スペースを有効に利用することが出来る。
【0031】
(第3の実施の形態)
本発明に基づく第3の実施の形態の電気車駆動装置について図を参照し詳細に説明する
図7は、本発明に基づく第3の実施の形態の電気車駆動装置を搭載した電気車の構成図で
ある。図8は、本発明に基づく第3の実施の形態の電気車駆動装置を搭載した電気車のブ
ロック図である。尚、図1乃至図6に記載したものと構造上同一のものについては、同符
号を付して説明を省略する。
【0032】
本発明に基づく第3の実施の形態の電気車駆動装置において、小容量のインバータ14a
の直流側入力端はリアクトル3と接続され、小容量のインバータ14aの直流側出力端は
小容量のインバータ14bの直流側入力端と接続される。小容量のインバータ14bの直
流側出力端は、小容量のインバータ14cの直流側入力端と接続される。小容量インバー
タ14a〜14cの交流側出力端はそれぞれ多相式主電動機5aと接続されている。
【0033】
このように構成された電気車駆動装置において、インバータは、小容量のインバータ14
を多数直並列に接続して構成され、主電動機5aは多相巻線15へ接続される。複数の小
容量のインバータ14a〜14cを直並列に接続してインバータを構成することによって
、各小容量のインバータ14の出力電圧高調波に位相差を持って運転することが可能にな
り、高調波を低減し磁歪音も低減されるので、モータを低騒音化することができる。
【0034】
このように構成された電気車駆動装置は、主電動機5aを低損失化することが出来るので
、電気車駆動装置の効率を向上する事、主電動機5aの出力の向上、主電動機5aを全密
閉化し低騒音化やメンテナンスの省力化をすることが出来る。
【0035】
また、本実施の形態の電気車駆動装置も、他の実施の形態の電気車駆動装置と同様に、
当該電気車駆動装置から漏れるノイズの軽減、VVVFインバータと主電動機間の配線の
容易化、更に電気車の機器の搭載スペースを有効に利用することが出来る。
【0036】
(第4の実施の形態)
本発明に基づく第4の実施の形態の電気車駆動装置について図を参照し詳細に説明する。
図9は、本発明に基づく第4の実施の形態の電気車駆動装置のブロック図である。尚、図
1乃至図8に記載したものと構造上同一のものについては、同符号を付して説明を省略す
る。
【0037】
本発明に基づく第4の実施の形態の電気車駆動装置は、複数の少容量のインバータ14
から構成され三相交流にて駆動可能な単位インバータ16を複数備えている。各単位イン
バータ16には、単位インバータ16毎に開放できるように開放手段17が各々設けられ
ている。
【0038】
このように構成された電気車駆動装置において、単位インバータ16aが故障した場合
でも、開放手段17aにより単位インバータ16aを切り離し、単位インバータ16bか
ら主電動機5aに交流電力を供給することにが出来る。これにより、電気車も継続して運
転することが可能となる。
【0039】
また、本実施の形態の電気車駆動装置においても、他の実施の形態の電気車駆動装置と
同様に、当該電気車駆動装置から漏れるノイズの軽減、VVVFインバータと主電動機間
の配線の容易化、更に電気車の機器の搭載スペースを有効に利用することが出来る。
【0040】
(第5の実施の形態)
本発明に基づく第5の実施の形態の電気車駆動装置について図を参照し詳細に説明する。
図10は、本発明に基づく第5の実施の形態の電気車駆動装置を搭載した電気車の構成図
である。図11は、本発明に基づく第5の実施の形態の電気車駆動装置を搭載した電気車
のブロック図である。尚、図1乃至図9に記載したものと構造上同一のものについては、
同符号を付して説明を省略する。
【0041】
本発明に基づく第5の実施の形態の電気車駆動装置は、第1〜第4の実施の形態の電気
車駆動装置では別装置となっていた主電動機とインバータを一体化しインバータ一体型電
動機9としたことを特徴としている。インバータ19は、主電動機18の反駆動側側面に
設けられ、主電動機18とインバータ19が一体化されている。
【0042】
このように構成された電気車駆動装置は、主電動機18とインバータ19を一体化して
いるので、ぎ装配線を簡素化することが出来る。また、電気車にぎ装する場合にも、電動
機18のみ台車に取付ければ良いので、第1〜第4の実施の形態の電気車駆動装置のよう
に、主電動機とインバータについて別々に配置する必要がなくなり、ぎ装作業も軽減する
ことが出きる。メンテナンスする場合にも主電動機単位で諸性能を確認すれば良いため、
第1〜第4の実施の形態の電気車駆動装置に比べ、メンテンス作業を軽減することが出来
る。
【0043】
このように構成された電気車駆動装置は、主電動機18とインバータ19を一体化してい
るので、主電動機18とインバータ19間の距離が短くなり、当該電気車駆動装置から漏
れるノイズを軽減することが出来るとともに、VVVFインバータと主電動機間の配線の
容易化を実現することが出来る。更に主電動機18とインバータ19を一体化しているの
で、電気車両の中央の機器の搭載スペースを有効に利用することが出来る。
【0044】
尚、本実施の形態のインバータ一体型電動機の主電動機の側面(軸方向、周方向の側面等
)に、インバータ19を相毎に分割配置するという構成にするという構成にすると、各相
に分割されたインバータを均一に冷却することが出来るので好ましい。
【0045】
(第6の実施の形態)
本発明に基づく第6の実施の形態の電気車駆動装置について図を参照し詳細に説明する。
図12は、本発明に基づく第6の実施の形態の電気車駆動装置を搭載した電気車の構成図
である。尚、図1乃至図11に記載したものと構造上同一のものについては、同符号を付
して説明を省略する。
【0046】
本発明に基づく第6の実施の形態の電気車駆動装置は、複数の単位インバータ16から
構成されるインバータ郡20と主電動機18を一体化し、インバータ郡20と主電動機5
の冷却器についても一体化したことを特徴としている。
【0047】
本発明に基づく第6の実施の形態の電気車駆動装置において、単位インバータ16を構
成する小容量インバータ14及び主電動機18には、内部に冷却液が流れる冷却管が接続
されている。小容量インバータ14及び主電動機18と接続される冷却管はラジエター2
1と接続される。
【0048】
このように構成された電気車駆動装置において、小容量インバータ14や主電動機18
を冷却した冷却液は、ラジエター21へと流入し冷却され、再び小容量インバータ14や
主電動機15を冷却する。冷却液は、主電動機18の回転を利用し循環する。
【0049】
このように構成された電気車駆動装置は、複数の機器(主電動機18やインバータ16
)を同一の冷却器により冷却することが出来るので、機器の大きさ、重量、コストの点か
らは効率的な装置となる。
【0050】
このように構成された電気車駆動装置は、主電動機18とインバータ19を一体化してい
るので、主電動機18とインバータ19間の距離が短くなり、当該電気車駆動装置から漏
れるノイズを軽減することが出来るとともに、VVVFインバータと主電動機間の配線の
容易化を実現することが出来る。更に主電動機18とインバータ19を一体化しているの
で、電気車両の中央の機器の搭載スペースを有効に利用することが出来る。
【0051】
尚、本実施の形態の電気車駆動装置において、冷却液は主電動機18の回転を利用し循
環するものとしたが、ポンプを取り付け冷却液を循環させる構成としても良い。
【0052】
(第7の実施の形態)
本発明に基づく第7の実施の形態の電気車駆動装置について図を参照し詳細に説明する。
図13は、本発明に基づく第7の実施の形態の電気車駆動装置を搭載した電気車の構成図
である。図14は、第7の実施の形態の電気車駆動装置の変形例である。図15は、第7
の実施の形態の電気車駆動装置の変形例である。尚、図1乃至図12に記載したものと構
造上同一のものについては、同符号を付して説明を省略する。
【0053】
本発明に基づく第7の実施の形態の電気車駆動装置は、ダイレクトドライブ方式の主電
動機22とインバータ19を一体化し、インバータ19を車両の枕木方向の中央部側に配
置し、インバータ19を直列接続したことを特徴としている。
【0054】
このように構成された電気車駆動装置において、インバータ19の冷却器19aは車両
の枕器方向の中央部側に配置されている。
【0055】
このように構成された電気車駆動装置は、冷却器19aが車両の中央部側に配置されてい
るので、スカート等が装備された高速電気車においては、走行風を効率的に取り込むこと
が可能となる。スカート等が装備された高速電気車に本実施形態の電気車駆動装置を採用
することによって、防音効果も向上することが出来る。
【0056】
このように構成された電気車駆動装置は、主電動機18とインバータ19を一体化してい
るので、主電動機18とインバータ19間の距離が短くなり、当該電気車駆動装置から漏
れるノイズを軽減することが出来るとともに、VVVFインバータと主電動機間の配線の
容易化を実現することが出来る。更に主電動機18とインバータ19を一体化しているの
で、電気車両の中央の機器の搭載スペースを有効に利用することが出来る。
【0057】
図14及び図15には、本実施の形態の電気車駆動装置の変形例である。図14に示し
た電気車駆動装置は、インバータ19を並列接続している点で図13に示した電気車駆動
装置と異なる。図15は、ダイレクトドライブ方式の主電動機22が、各車輪毎ではなく
両輪に対して設けられている点が異なる。
【0058】
尚、他の変形例としては、主電動機とインバータが一体化された電気車駆動装置と、本
発明に基づく第2の実施の形態の電気車駆動装置を組み合わせて、冷却器を電動機の下側
に設け走行風を効果的に取り込むという構成が考えられる。
【0059】
(第8の実施の形態)
本発明に基づく第8の実施の形態の電気車駆動装置について図を参照し詳細に説明する。
図16は、本発明に基づく第8の実施の形態の電気車駆動装置を搭載した台車の構成図で
ある。図17は、第8の実施の形態の電気車駆動装置を搭載した電気車の一例である。図
18は、第8の実施の形態の電気車駆動装置を搭載した電気車の一例である。尚、図1乃
至図15に記載したものと構造上同一のものについては、同符号を付して説明を省略する

【0060】
本発明に基づく第7の実施の形態の電気車駆動装置が、本発明に基づく第1乃至第6の
実施の形態の電気車駆動装置と異なる点は、一台の台車6に一台のインバータ4と一台の
主電動機5を搭載した点である。
【0061】
本発明に基づく第7の実施の形態の電気車駆動装置において、インバータ4は、台車枠
11とボルト締結若しくは溶接により接続され、主電動機5に電力を供給する。
【0062】
このように構成された電気車駆動装置は、一台の台車6に一台のインバータ4と一台の
主電動機5を搭載しているので、インバータ4及び主電動機5を大きくすることが出来る

【0063】
このように構成された第8の実施の形態の電気車の駆動装置は、VVVFインバータ4が
電動機5の近傍に配置されるので、VVVFインバータ4と電動機5の間の距離も短くす
ることが出来、電気車両の床下の中央部には他の新たな機器を配置することが出来る。
【0064】
そのため、電気車駆動装置から漏れるノイズを軽減することが出来、更にVVVFインバ
ータ4と主電動機5間の配線も簡略化(容易化)することが出来る。
【0065】
このように構成された電気車駆動装置は、当該電気車駆動装置から漏れるノイズを軽減
することが出来、VVVFインバータと主電動機間の配線を容易化し、更に電気車の機器
の搭載スペースを有効に利用することが出来る。
【0066】
本実施の形態の電気車駆動装置を搭載した電気車の一例を図17に示す。図17に記載
した電気車では、従来の電気車のように動力車と付随車という切り分けをせずに、すべて
の台車6にインバータ4及び主電動機5が搭載されている。
【0067】
このように電気車を構成することによって、電気車両を規格化することが出来、製造コ
ストや部品管理費等を削減することが出来る。
【0068】
また、従来の電気車では、一軸が空転した場合に台車の振動が発生し、結果として他の
軸の空転も引き起こしてしまい駆動力が低下してしまうという現象が起きていたが、本実
施の形態の電気車駆動装置の場合は、このような現象は起こらない。
【0069】
次に、本実施の形態の電気車駆動装置を搭載した電気車の他の例を図18に示す。図18
は、本実施の形態の電気車駆動装置を連接台車に適用した電気車の構成図である。
【0070】
連接台車に本実施の形態の電気車駆動装置を適用することによって、インバータ4から
生じる電磁騒音が客室から遠ざかるので、客室内を低騒音化することが出来る。
【0071】
尚、本実施の形態の電気車駆動装置は、インバータ4と主電動機5を別の装置として説
明しているが、第5乃至第7の実施の形態の電気車駆動装置のようにインバータ4と主電
動機5を一体化していても、同様の効果を得られるためインバータ一体型電動機一台を、
一台の台車に配置するという構成でも良い。また、主電動機5を多相式の主電動機5aに
しても同様の効果が得られるので、一台の台車に一台のインバータ(単位インバータ16
から構成されるものでも良いし、小容量のインバータ14aから構成されるものでも良い
)と主電動機5aという構成にしても良い。
【0072】
(第9の実施の形態)
本発明に基づく第9の実施の形態の電気車駆動装置について図を参照し詳細に説明する。
図19は、本発明に基づく第9の実施の形態の電気車駆動装置を搭載した台車の構成図で
ある。図20は、インバータに設定されるIPアドレスの一例である。尚、図1乃至図1
8に記載したものと構造上同一のものについては、同符号を付して説明を省略する。
【0073】
本発明に基づく第9の実施の形態の電気車駆動装置は、集中制御器23が車内ネットワ
ークを利用して複数のインバータ5aを集中的に制御することを特徴としている。
【0074】
本実施の形態の電気車駆動装置において、集中制御器23と複数のインバータ5aとは
伝送線24を介して接続されている。集中制御器23は、各インバータに設定されたIP
アドレスに基づき、各機器からの機器情報を判別し、出力の制御を行う。
【0075】
各インバータに設定されるIPアドレスは、図22に示すように、編成番号を下位16
ビット中のビット15〜8の8ビットに割り振り、最下位4bitに機器番号を割り振り
、下位8ビット中のビット7〜4の4ビットに号車番号を割り振ることにより構成されて
いる。そのため、最下位8bitによって表されるアドレスの最後の数字(192.16
8.10.3の場合は、3の事)は、号車番号と機器番号により算出される。IPアドレ
スが設定されていない各インバータにIPアドレスを設定する際には、車両に搭載された
号車設定器(図示しない)から号車番号を受け取り、号車番号を最下位4bitに割り振
る。次に、車両に搭載された編成番号設定器(図示)から編成番号を受け取り、下位16
ビット中のビット15〜8の8ビットに編成番号を割り振る。最後に、機器番号を設定す
る。
【0076】
このように構成された電気車駆動装置において集中制御器23は、各インバータからの
機器情報に基づき、集中的に各インバータを制御することが出来るので、たとえば故障等
があった場合でも、故障していないインバータの出力を少しずつ上げることによって電気
車全体の出力を維持することが可能となる。
【0077】
尚、本実施の形態の電気車駆動装置においても、当該電気車駆動装置から漏れるノイズを
軽減することが出来、VVVFインバータと主電動機間の配線を容易化し、更に電気車の
機器の搭載スペースを有効に利用することが出来る。
【0078】
本実施の形態の電気車駆動装置では、伝送線を用いてインバータ5aと集中制御器23
を接続しているが、インバータ5aと集中制御器23間を無線により接続すれば、各イン
バータに伝送線を引き通す必要がなくなるので、ぎ装が簡易化され、機器の搭載スペース
をより有効に利用することが出来る。また、集中制御器23からインバータ5aへの指令
やインバータ5aから集中制御器23への機器情報の送受信を、動力線に信号を用いて行
うようにしても、機器の搭載スペースを有効に利用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明に基づく第1の実施の形態の電気車駆動装置を搭載した電気車の構成図である。
【図2】本発明に基づく第1の実施の形態の電気車駆動装置を搭載した電気車のブロック図である。
【図3】本発明に基づく第1の実施の形態の電気車駆動装置が搭載される台車のA矢視図である。
【図4】図3の上面図である。
【図5】本発明に基づく第2の実施の形態の電気車駆動装置が搭載される台車のA矢視図である。
【図6】図5の上面図である。
【図7】本発明に基づく第3の実施の形態の電気車駆動装置を搭載した電気車の構成図である。
【図8】本発明に基づく第3の実施の形態の電気車駆動装置を搭載した電気車のブロック図である。
【図9】本発明に基づく第4の実施の形態の電気車駆動装置のブロック図である。
【図10】本発明に基づく第5の実施の形態の電気車駆動装置を搭載した電気車の構成図である。
【図11】本発明に基づく第5の実施の形態の電気車駆動装置を搭載した電気車のブロック図である。
【図12】本発明に基づく第6の実施の形態の電気車駆動装置を搭載した電気車の構成図である。
【図13】本発明に基づく第7の実施の形態の電気車駆動装置を搭載した電気車の構成図である。
【図14】第7の実施の形態の電気車駆動装置の変形例である。
【図15】第7の実施の形態の電気車駆動装置の変形例である。
【図16】本発明に基づく第8の実施の形態の電気車駆動装置を搭載した台車の構成図である。
【図17】第8の実施の形態の電気車駆動装置を搭載した電気車の一例である。
【図18】第8の実施の形態の電気車駆動装置を搭載した電気車の一例である。
【図19】本発明に基づく第9の実施の形態の電気車駆動装置を搭載した台車の構成図である。
【図20】インバータに設定されるIPアドレスの一例である。
【図21】従来の電気車の構成図である。
【図22】従来の電気車のブロック図である。
【符号の説明】
【0080】
1 架線
2 パンタグラフ
3 フィルタリアクトル
4 VVVFインバータ
5 主電動機
6 台車
7 車輪
8 車軸
9 インバータ一体型電動機
10 台車枠
11 台車枠
12 空気バネ
13 配線
14 小容量インバータ
15 多相巻線
16 単位インバータ
17 開放手段
18 主電動機
19 インバータ
20 インバータ
21 ラジエター
22 インバータ
23 集中制御器
24 伝送線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力を交流電力に変換するインバータと、
前記インバータから供給される交流電力により駆動される主電動機とを有し、
前記インバータは、前記主電動機の近傍に配置されたことを特徴とする電気車駆動装置。
【請求項2】
直流電力を交流電力に変換する小容量のインバータと、
複数の前記小容量インバータにより構成されるインバータと、
前記インバータから供給される交流電力により駆動される多相形の電動機とを有し、
前記インバータは、前記主電動機の近傍に配置されたことを特徴とする電気車駆動装置。
【請求項3】
直流電力を交流電力に変換する小容量のインバータと、
複数の前記小容量インバータにより構成される複数の単位インバータと、
前記複数の単位インバータ毎に設けられ、前記単位インバータを開放する開放手段と、
前記単位インバータから供給される交流電力により駆動される多相形電動機とを有し、
前記複数の単位インバータは、前記主電動機の近傍に配置されたことを特徴とする電気車
駆動装置。
【請求項4】
前記請求項1乃至請求項2記載の電気車駆動装置において、
前記インバータの冷却部が前記電動機よりも下側に突き出て配置されていることを特徴と
する電気車駆動装置。
【請求項5】
前記請求項3記載の電気車駆動装置において、
前記単位インバータの冷却部が前記電動機よりも下側に突き出て配置されていることを特
徴とする電気車駆動装置。
【請求項6】
前記請求項1乃至請求項2記載の電気車駆動装置において、
前記インバータと前記電動機を一体化して構成したことを特徴とする電気車駆動装置。
【請求項7】
前記請求項3記載の電気車駆動装置において、
前記単位インバータと前記電動機を一体化して構成したことを特徴とする電気車駆動装置

【請求項8】
前記請求項6記載の電気車制御装置において、
前記インバータと前記電動機と係合し、内部に冷却液が流れる冷却管と、
前記冷却管と係合し、冷却液を冷却するラジエターとを有し、
前記冷却管を流れる冷却液が循環することを特徴とする電気車駆動装置。
【請求項9】
前記請求項7記載の電気車制御装置において、
前記単位インバータと前記電動機と係合し、内部に冷却液が流れる冷却管と、
前記冷却管と係合し、冷却液を冷却するラジエターとを有し、
前記冷却管を流れる冷却液が循環することを特徴とする電気車駆動装置。
【請求項10】
直流電力を交流電力に変換するインバータと、
前記インバータから供給される交流電力により駆動されるダイレクトドライブ方式の電動
機とを有し、
前記インバータと前記電動機は一体化され、前記インバータの冷却部は車両の枕器方向の
中央部側に配置されていることを特徴とする電気車駆動装置。
【請求項11】
直流電力を交流電力に変換するインバータと、
前記インバータから供給される交流電力により駆動されるダイレクトドライブ方式の電動
機と、
前記インバータと前記電動機が一体化された複数のインバータ一体型電動機とを有し、
前記複数のインバータ一体型電動機のインバータ同士が直列接続され、
前記インバータの冷却部は車両の枕器方向の中央部側に配置されていることを特徴とする
電気車駆動装置。
【請求項12】
直流電力を交流電力に変換するインバータと、
前記インバータから供給される交流電力により駆動されるダイレクトドライブ方式の電動
機と、
前記インバータと前記電動機が一体化された複数のインバータ一体型電動機とを有し、
前記複数のインバータ一体型電動機のインバータ同士が並列接続され、
前記インバータの冷却部は車両の枕器方向の中央部側に配置されていることを特徴とする
電気車駆動装置。
【請求項13】
インバータや主電動機が収納される1台の台車と
直流電力を交流電力に変換する1台のインバータと、
前記1台のインバータから供給される交流電力により駆動される一台の主電動機と
を有し、
前記1台の台車には、1台のインバータと1台の主電動機とが収納されることを特徴とす
る電気車駆動装置
【請求項14】
前記請求項13記載の電気車駆動装置において、
前記1台のインバータと前記1台の主電動機は一体化されていることを特徴とする電気車
駆動装置。
【請求項15】
前記請求項13記載の電気車駆動装置において、
複数の前記インバータ毎に個別のIPアドレスを設け、
前記インバータ毎の個別のIPアドレスを利用し、複数の前記インバータを集中制御する
集中制御器とを備えたことを特徴とする電気車駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−271029(P2006−271029A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−81985(P2005−81985)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】