説明

電気音響的構成素子

本発明は、ガイドされる体積波の案内に適した層システム(3)と、支持体基板(2)と、圧電特性を備えた圧電基板(1)を含んでいる電気音響的構成素子に関している。前記層システム(3)は2つの基板(2,1)の間に配設されている。圧電基板(1)の厚さは最大で支持体基板(2)の厚さの半分の値に等しい。第2の有利な実施形態によれば、前記圧電基板(1)が単結晶構造を有し、最大で50λ分の厚さを有し、この場合前記λは、構成素子の中間周波数のもとでガイドされる体積波の波長である第3の有利な実施形態によれば、前記圧電基板(1)は、機械的な手法によって薄膜化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気音響的構成素子、特にガイドされた体積波で動作する構成素子に関している。
【0002】
ガイドされた体積波で動作する構成素子はドイツ連邦共和国特許出願公開第10325281号、米国特許公開第2005/0099091号, 米国特許第6046656号,国際公開第01/29964号パンフレット,国際公開第03/088475号パンフレット、国際公開第03/088482号パンフレットからも公知である。
【0003】
本発明の課題は、その線形な熱膨張係数に関して良好な特性を備えた堅固な電気音響的構成素子を提供することである。
【0004】
この電気音響的構成素子は、ガイドされたバルク弾性波(以下では単にGBAW;Guided Bulk Acoustic Waveとも称する)に適した層システムと、支持体基板と、この支持体基板に対向する比較的薄い圧電基板とを備えている。前記層システムは2つの基板の間に配置されている。
【0005】
圧電基板の厚さは第1の有利な実施形態によれば、最大で支持体基板の1/2の厚みである。
【0006】
第2の有利な実施形態によれば、圧電基板は単結晶構造を有しており、その際最大で50λ分の厚さ、有利な変化実施例によれば30λ分の厚さを有している。この場合前記λとは、例えば当該構成素子の作動周波数又は中間周波数におけるガイドされたバルク弾性波GBAWの波長である。
【0007】
第3の有利な実施形態によれば、この圧電基板は機械的方法によって薄膜化される。この薄膜化とは、支持体基板、層システム及び圧電基板からなる層構造部の形成後の基板材料の一部の研削と理解されたい。圧電基板は有利な変化例によれば、5λ分の厚さまで薄膜化可能である。
【0008】
支持体基板の材料としてはコスト的な理由から珪素が適している。この材料は当該構成素子の集積密度向上に対しても有利である。Si結晶の結晶方向は100または111が有利である。しかしながらその他に Al23, ガラス、(有機)プラスチック(例えばFR4)も可能である。支持体基板はまた圧電特性を有していてもよい。(圧電基板と比較して)小さな熱膨張係数を有する材料は、支持体基板に適している。支持体基板の熱膨張係数は例えば圧電基板の熱膨張係数の少なくとも50%の値であってもよい。
【0009】
圧電基板とは、ここでは圧電特性を有する材料からなる基板と理解されたい。この圧電基板は有利には、単結晶から切削されている。単結晶として例えばLiTaO, LiNbO3, ZnO, KNbO3, NaKNbO3, 石英があげられるが、その他の圧電材料も可能である。この圧電基板は例えば切削角φ rot YX のLiTaO3 からなっていてもよい。この場合前記切削角φは 7° < φ < 24°である。有利な変化例では 12° < φ < 21°である。基板として LiTaO3を有し前記のような切削角φを有する電気音響的構成素子は、電気的に広い帯域幅を実現することができる
以下では前述した構成素子の機能形式と有利な実施例を説明する。
【0010】
構成素子構造部(すなわち変換器の電極)に印加される電気信号は圧電基板中の原子の変位を引き起こす。ここではバルク弾性波が励起され、これは水平面、特に誘電層とこの層の近傍に案内される。
【0011】
ガイドされたバルク弾性波(GBAW)で動作する構成素子中の弾性波エネルギーは主にこの弾性波が励起される領域に集中し、このような構成素子の層構造部に対して垂直な両方向に向けて減衰する。この減衰は導波路構造、すなわち垂直方向における速度プロファイルによって達成される。その際に有利には弾性波の励起面近傍における薄膜層(誘電層)において最も低い伝播速度が生じる。この層は比較的高い弾性波伝播速度を有する基板間に配置されている。
【0012】
ガイドされたバルク弾性波(GBAW)は層システムにおいて、ないしは圧電基板との境界面において励起され、この層システム内に導かれる。この層システムは、有利な変化実施例によれば、ガイドされたバルク弾性波(GBAW)を励起する素子構造部が形成されている金属化層を含み、弾性波の最低伝播速度を有する比較的薄い誘電層を含んでいる。
【0013】
この誘電層は有利には二酸化珪素 SiO2 からなる。それ故この二酸化珪素SiO2は、誘電層のための材料としても有利である。なぜなら二酸化珪素の表面はダイレクトウエハボンディングに適しているからである。この二酸化珪素に対しては代替的に例えばTeOも適している。誘電層に対する材料としては基本的には(材料層の音響インピーダンスに対して)比較的低い音響インピーダンスを有する任意の材料が考慮される。
【0014】
誘電層の品質は、その光学的屈折率に基づいて評価され得る。有利には二酸化珪素 SiO2 からなる誘電層の屈折率は、1.44〜1.48の間である。この誘電層の二酸化珪素SiO2 は、有利には化学量論的である。
【0015】
内部に形成される構成素子構造部を有する金属化層は有利には圧電基板上に直接配置される。この構成素子構造部は圧電基板と誘電層の間に埋め込まれる。
【0016】
この金属化層は、高い導電性と比較的高い音響インピーダンスを有する唯一の層からなっている。金属化層は有利な変化実施例によれば複数の部分層を含み、これらの部分層のもとでは第1の部分層が高い導電性を有し、第2の部分層は高い音響インピーダンスを有する。この金属化層はAIからなる部分層を有し、さらに例えばW又はPtからなるさらなる部分層を有する。金属化層の部分層は基本的には金属、金属合金、またはその他の導波材料からなっていてもよい。
【0017】
当該構成素子の典型的な基準面は 500x700μm2である。当該構成素子全体の厚みは、変化例によれば約200μmであり、さらに有利には100λを超えることはない。しかしながら構成素子全体の厚みは、200μmより小さくでもよい。
【0018】
構成素子の層構造部においては温度変化が生じた場合に、2つの基板の線形の膨張係数が異なっていることに基づいて機械的な緊張が生じる。この緊張は圧電基板と総システムの境界面において特に大きくなり得る。
【0019】
圧電基板の厚さは有利には次のように選定される。すなわち2つの基板の線形の膨張係数の相違に基づいて機械的な緊張が圧電基板の容積全体に広がり始めるように選定される。それにより圧電基板が支持体基板の膨張に追従し得る。それに伴って全構造部(以下では圧電基板とも称する)の線形の熱膨張係数が支持体基板の熱膨張係数に適合化され得る。
【0020】
圧電基板の厚さは有利には3〜30波長の間であり、有利な実施例によれば最大で70μmである。この圧電基板は層列の層の被着の際には比較的肉厚に存在し、その後の方法ステップにおいて前述したような値の厚さまで薄膜化されるようにしてもよい。
【0021】
誘電層の形成に対しては、その弾性係数において圧電基板の弾性係数の温度経過特性に対抗する温度経過特性(TCF)を有する材料を用いてもよい。その場合誘電層の温度変動特性は、そのつどの基板の温度経過特性が正の特性である場合には負の特性であり、これとは逆のケースでは反対になる。隣接層におけるTCFが反対に設定されているならば、構成素子全体の温度経過特性を僅かに維持することができるようになる。
【0022】
圧電基板と支持体基板の間に配設された層システムの層厚さは有利には誘電層の厚さと同じである。なぜなら金属化層の素子構造部が誘電層内に埋め込まれており、それらが有利には突出していないからである。この層厚さは0.1λ〜1λの間、有利には0.15λ〜0.5λの間であるか若しくは0.3〜1μmの間である。支持体基板と層システムを合わせた全体の厚さは、有利には100波長若しくは200μmを超えない。
【0023】
前述したような基板と層システムに対する厚さを用いることによって、構成素子の僅かな温度経過特性、有利な変化実施例によれば|TCF|<40ppm/Kを達成することが可能となる。それにより幅広い温度範囲に亘って構成素子の安定した電気的特性が補償されるようになる。
【0024】
(外側に向かって)露出する圧電基板裏側は、有利には広範に亘って金属化される。この金属化部は有利にはアースと接続され、 当該構成素子構造部に対する電磁波遮蔽部として用いられる。この金属化部においては構成素子の端子として設けられる金属面及び/又は構成素子のラベルが形成されてもよい。
【0025】
支持体基板内には有利には複数の貫通コンタクトが形成され、それらの支持体基板表面に配設されている端子がコンタクト面に導通接続されている。これらの貫通コンタクトは、管路(場合によってはテーパー状の断面を有する)として、ないしはその内壁が金属化されている開口部として形成されてもよい。また貫通コンタクトのために設けられる支持体基板の開口部は、金属で充填されていてもよい。
【0026】
前述した構成素子は例えば以下の方法において生成され得る。まず第1のウエハ(例えばLiTaO3-ウエハ)を準備する。このウエハは複数の構成素子ないし構成素子領域に複数の圧電基板を同時に形成するのに適している。そして第2のウエハ(例えばSi-ウエハ)を準備する。このウエハは支持体基板を形成するのに適している。構成素子領域のために設けられたそれぞれの基板の領域は、有利には規則的なマトリックスを形成している。
【0027】
第1のウエハ上には構成素子領域毎に有利にはフォトリソグラフィックな素子構造部、特に電気音響的変換器が形成され、これらに接続されたコンタクト面と導通される。これらの素子構造部を支持している圧電基板の表面には、広い範囲に亘って誘電層、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)方式で若しくはスパッタリングを用いて被着されている。
【0028】
この誘電層は、有利な変化実施例によれば、例えばCMP法を用いて平坦化される。このCMP法とは化学的機械的研磨法である。
【0029】
有利には、誘電層は例えば素子構造部の周波数状態を変更するために薄膜化されてもよい。このことは平坦化ステップにおいて行ってもよい。素子構造部に周波数状態ないしは誘電層の層厚さは、この場合次のように設定される。すなわち第2のウエハとの接続の後で当該構成素子のために設けられた周波数状態が結果として得られるように設定される。
【0030】
第1のウエハはここにおいて第2のウエハと例えばダイレクトウエハボンディングによって接続される。このウエハボンディングは有利には比較的低い温度のもとで、例えば室内温度のもとで実施される。その際には個別化される素子領域を備えた結合ウエハが形成される。
【0031】
全ウエハの第1のウエハ側は薄膜化されてもよい。この全ウエハの圧電基板側は、分離ラインに沿って、すなわち素子領域間で少なくとも支持体基板までV字状に切削される。その場合有利には支持体基板も所定の深さまで切削される。その際特に圧電基板と層システムの傾斜エッジが形成され、それが(フラットな)圧電基板裏側と共に金属化され、さらに気密にカプセル化される。これによって当該構成素子の素子構造部が腐食から保護され、さらに外部電磁界から遮蔽される。
【0032】
支持体基板の側では例えばエッチングとその後の開口部(コンタクト用孔部)の金属化によって、コンタクト面とコンタクトするための貫通コンタクトが形成される。有利には同じ方法ステップにおいて当該構成素子の外部端子が第2のウエハの外方に向いた表面に形成される。
【0033】
支持体基板としては、圧電基板とのボンディングのための事前形成されたコンタクト孔部を備えた薄いSiウエハが使用されてもよい。この支持体基板内若しくはその表面上には、事前形成された例えばダイオードやトランジスタのような半導体構造部が形成されてもよい。
【0034】
有利な実施形態によれば、圧電基板は層システムとカバー基板の間に配置してもよい。このカバー基板は支持体基板と比肩し得る物理的な特性、例えば弾性係数の温度経過特性を有している。有利には圧電基板は2つの基板(支持体基板とカバー基板)の間に配置され、それらの両方は圧電基板の弾性係数の温度経過特性に対して対抗的に設定され得る特性を有するか及び/又は圧電基板よりも小さい膨張係数を有する。
【0035】
圧電基板の厚さは有利にはカバー基板の厚さよりも小さい。その場合有利には圧電基板の厚さはカバー基板と支持体基板を合わせた総厚さよりも小さくなるように選定される。例えば圧電基板の厚さは、カバー基板の厚さと支持体基板の厚さを合わせた和の半分になるように選定されてもよい。
【0036】
カバー基板に対する材料としては例えばガラス、珪素、酸化珪素などが適している。また有利にはカバー基板と支持体基板に対してダイレクトウエハボンディングに適した有利には同じ材料が用いられ得る。
【0037】
カバー基板の露出した表面は例えば電気的な遮蔽及び/又は電気的な接続の形成のために金属化されてもよい。また別の側面からは次のような手段、すなわちカバー基板が、前記支持体基板と一緒に説明したような構造的特性、例えばコンタクト孔部や集積された半導体構造部を有するようにしてもよい。これらのコンタクト孔部はこのケースでは有利にはカバー基板と圧電基板を通って層システム内に含まれる金属化層まで貫通される。
【0038】
圧電基板とカバー基板の間には基本的に金属化層が設けられ得る。例えばコンタクト面において、及び場合によって弾性波の生成とガイドに適した電気音響的構成素子構造部が形成される。さらに介在層も可能である。
【0039】
さらなる変化実施例によれば、第1のウエハとして存在する支持体基板、層システム、場合によって圧電基板の結合部が第2のウエハとして存在するカバー基板に接続され得る。
【0040】
さらに別の変化実施例によれば、圧電基板をまずカバー基板に接続させるかないしはボンディングさせ、このカバー基板に対向している圧電基板側に、既に前述した層システムを形成することも可能である。それと共に生じるウエハは、支持体基板として設けられたウエハと接続され、例えばボンディングされる。この圧電基板は層システムの被着の前に有利には薄膜化され、その表面は研磨される。それらは構成素子構造部(変換器、コンタクト面、電気的接続部)の被着に適している。
【0041】
以下では本発明による構成素子とその製造方法を概略的な図面に基づいて詳細に説明する。なおこれらの図面は必ずしも縮尺通りのものではない。
【0042】
図面
図1Aから図1Gは本発明よる製造方法の方法ステップを表した図であり、
図2は支持体基板とカバー層基板を有するGBAW構成素子の基本的構造を概略的に表した図である。
【0043】
実施例
ガイドされたバルク弾性波(以下ではガイドバルク弾性波若しくは単にGBAWとも称する)で動作する素子は図1Gに示されている。圧電性の圧電基板1と明らかに厚い支持体基板2の間には層システム3が配設されている。圧電基板の僅かな厚さに比べて支持体基板の厚さは有利には、当該構成素子の機械的安定が十分となるように選定される。
【0044】
支持体基板2は有利には圧電基板1のものよりも小さな熱膨張係数を有している。
【0045】
第1及び支持体基板の厚さは、変化例において50μm〜150μmである。層システムの厚さは変化例において0.6μmである。
【0046】
層システム3は(上方から下方への方向で見て)圧電基板1に配設される金属化層31を含んでいる。この金属化層31は構造化されており、さらに電気音響的に活性化される素子構造部42、例えば変換器を含んでおり、さらにこれらと接続されるコンタクト面41を有している。金属化層31の構造部41,42は、圧電基板1と誘電層32、例えばSiO2からなる誘電層の間でカプセル化される。
【0047】
圧電基板1は有利には例えばLiTaO3からなり圧電性である。これは別の変化実施例ではLiTaO3 αrotYXからなり、この場合前記αは、15°<α<20°である。支持体基板1は有利には高抵抗な珪素からなる。音響速度は前記基板1,2内では明らかであり、例えば誘電層内の音響速度よりも少なくとも20%は高い。
【0048】
支持体基板2と誘電層32の接合部には、露出されたコンタクト面41を有するコンタクト孔部20が設けられている。コンタクト孔部20の領域には金属化部60が設けられており、この金属化部60はコンタクト孔部の内壁とコンタクト面の開放側領域を覆っている。さらに金属化部60の一部は、支持体基板2の下方側に配設され、外部端子61を形成している。
【0049】
図1Aには第1のウエハが示されている。この第1のウエハの製造の際には第1の基板1上にまず構造化された金属化層31が被着される。この圧電基板1の上では金属化層31の上に誘電層32が被着される。
【0050】
誘電層32は有利には平坦化される。次のステップ(図1B)では特にコンタクト面41を少なくとも部分的に露出させるために誘電層32の一部領域320がエッチングによって除去される。それにより当該構成素子領域の電気的なパラメータを測定することが可能となる。このパラメータの実際値が目標値からずれている場合には、層システムがこの学習に基づいて一方では電気的にそして他方では機械的に後調整される。電気的な調整の際には、例えばここでは図示されていない調整構造部と素子構造部の電気的インピーダンスが変更される。機械的な調整の際には、誘電層が薄膜化される。
【0051】
次のステップとして第1のウエハ1,3が第2のウエハないし支持体基板2と有利にはダイレクトウエハボンディングによって接続される(図1C参照)。図1Cでは波線によって圧電基板が薄膜化される様子が表されている。
【0052】
圧電基板(これは通常は支持体基板よりも高い熱膨張係数を有している)の薄膜化によって構成素子全体の熱膨張係数は改善される。またSi及びLiTaO3からなる基板が組み合わされているケースでは温度経過特性も同じように改善される。
【0053】
図1A〜図1Cによる描写と、図1D〜図1Gによる描写は、180°回転させて位置をいれかえたものであり、そのため図1D〜図1Gにおいては支持体基板2が下になり、そして圧電基板1は上になっている。
【0054】
図1Dの圧電基板1は既に薄膜化されている。図1Dにおいては波線によって、圧電基板1のエッジと層システム3のエッジ、さらに支持体基板2の一部のエッジが例えば2つの素子領域の間V字形の切削によって斜めに切り落とされている様子が表されている。
【0055】
圧電基板の裏側と、特に図1Dにおいて層システム3と基板1,2の間のまだ開放されていた端面が金属化され(図1Eの金属化層5)、それによって有害な周辺環境の影響から遮蔽される。
【0056】
支持体基板2において、有利には斜めに切り落とされた壁部を有するコンタクト孔部20が形成される(図1F)。このコンタクト孔部20は、この場合誘電層の開口領域内へ開口している。
【0057】
それによりコンタクト面が再び露出する。支持体基板の表面の一部と、コンタクト孔部20の内壁、及びコンタクト面41の露出領域には、金属化部60,61が被着される。
【0058】
図2にはGBAW構成素子が示されており、これは図1Gに示されている変化実施例と異なって付加的にカバー基板7を有している。このカバー基板7は圧電基板1よりも厚い。
【0059】
この場合基板2,7の膨張係数は圧電基板1の膨張係数よりも小さい。この基板2,7は有利には同じ材料からなり、それらの膨張特性が、これらの基板の総厚さが圧電基板1の厚さよりも大きいことに基づいて実質的に当該構成素子全体の温度経過特性を定めている。それにより構成素子全体の熱膨張特性を僅かに保つことが達成される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1A】本発明よる製造方法の方法ステップを表した図
【図1B】本発明よる製造方法の方法ステップを表した図
【図1C】本発明よる製造方法の方法ステップを表した図
【図1D】本発明よる製造方法の方法ステップを表した図
【図1E】本発明よる製造方法の方法ステップを表した図
【図1F】本発明よる製造方法の方法ステップを表した図
【図1G】本発明よる製造方法の方法ステップを表した図
【図2】支持体基板とカバー層基板を有するGBAW構成素子の基本的構造を概略的に表した図
【符号の説明】
【0061】
1 第1の基板
2 第2の基板
20 コンタクト孔部
3 層システム
31 層システムの金属化層
32 誘電層
320 誘電層内の開口部
41 コンタクト面
42 素子構造部(変換器)
5 第1の基板裏側の金属化層
60 コンタクト孔部の金属化部
61 外部端子
7 カバー基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドされる体積波の案内に適した層システム(3)と、
支持体基板(2)と、
圧電特性を備えた圧電基板(1)を含んでいる電気音響的構成素子において、
前記層システム(3)が2つの基板(2,1)の間に配設されており、
圧電基板(1)の厚さが最大で支持体基板(2)の厚さの半分の値に等しいことを特徴とする電気音響的構成素子。
【請求項2】
前記圧電基板(1)の厚さは、最大で支持体基板(2)の厚さの30%の値に等しい、請求項1記載の電気音響的構成素子。
【請求項3】
ガイドされる体積波の案内に適した層システム(3)と、
支持体基板(2)と、
圧電特性を備えた圧電基板(1)を含んでいる電気音響的構成素子において、
前記圧電基板が単結晶構造を有し、最大で50λ分の厚さを有しており、この場合前記λは、構成素子の中間周波数のもとでガイドされる体積波の波長であることを特徴とする電気音響的構成素子。
【請求項4】
前記圧電基板(1)は、機械的な手法によって薄膜化されている、請求項1または3記載の電気音響的構成素子。
【請求項5】
ガイドされる体積波の案内に適した層システム(3)と、
支持体基板(2)と、
圧電特性を備えた圧電基板(1)を含んでいる電気音響的構成素子において、
前記圧電基板(1)が機械的な手法において薄膜化されていることを特徴とする電気音響的構成素子。
【請求項6】
前記圧電基板(1)の厚さは、最大で支持体基板(2)の厚さの半分の値に等しい、請求項5記載の電気音響的構成素子。
【請求項7】
前記圧電基板(1)の厚さは、最大で支持体基板(2)の厚さの30%の値に等しい、請求項5記載の電気音響的構成素子。
【請求項8】
前記層システム(3)は金属化層(31)であり、さらに誘電層(32)を含んでおり、前記金属化層(31)には変換器とコンタクト面(KF)が形成されている、請求項1から7いずれか1項記載の電気音響的構成素子。
【請求項9】
前記誘電層(32)は平坦な境界面を有している、請求項8記載の電気音響的構成素子。
【請求項10】
前記誘電層(32)の層厚さは、0.01λ〜λの間である、請求項8または9記載の電気音響的構成素子。
【請求項11】
前記誘電層(32)は弾性係数において支持体基板(2)とは反対の温度依存性を有している、請求項8から10いずれか1項記載の電気音響的構成素子。
【請求項12】
前記誘電層(32)は二酸化珪素又は二酸化テルルからなる、請求項8から11いずれか1項記載の電気音響的構成素子。
【請求項13】
前記圧電基板(1)はLiTaO3 からなり、前記支持体基板(2)は Si からなる、請求項1から12いずれか1項記載の電気音響的構成素子。
【請求項14】
前記支持体基板(2)の材料は、圧電基板(1)の材料よりも小さい線形の熱膨張係数を有している、請求項1から12いずれか1項記載の電気音響的構成素子。
【請求項15】
カバー基板(7)を有し、該カバー基板の熱膨張係数は圧電基板(1)の熱膨張係数よりも小さく、前記圧電基板はカバー基板と層システムの間に配設されている、請求項1から14いずれか1項記載の電気音響的構成素子。
【請求項16】
ガイドされる体積波の案内に適した層システム(3)と、
支持体基板(2)と、
カバー基板(7)と、
圧電特性を備えた圧電基板(1)を含んでいる電気音響的構成素子において、
前記層システム(3)が支持体基板(2)と圧電基板(1)の間に配設されており、
前記圧電基板(1)はカバー基板(7)と層システム(3)の間に配設されており、
前記カバー基板(7)と支持体基板(2)の熱膨張係数は、圧電基板(1)の熱膨張係数よりも小さいことを特徴とする電気音響的構成素子。
【請求項17】
前記カバー基板(7)と支持体基板(2)は弾性係数において圧電基板(1)とはそれぞれ反対の温度依存性を有している、請求項16記載の電気音響的構成素子。
【請求項18】
前記圧電基板(1)の厚さは、カバー基板(7)の厚さよりも小さい、請求項16または17記載の電気音響的構成素子。
【請求項19】
前記圧電基板(1)の厚さは、カバー基板(7)と支持体基板(2)の厚さの和よりも小さい、請求項16または17記載の電気音響的構成素子。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図1D】
image rotate

【図1E】
image rotate

【図1F】
image rotate

【図1G】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2009−516966(P2009−516966A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541578(P2008−541578)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【国際出願番号】PCT/DE2006/002005
【国際公開番号】WO2007/059733
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(300002160)エプコス アクチエンゲゼルシャフト (318)
【氏名又は名称原語表記】EPCOS  AG
【住所又は居所原語表記】St.−Martin−Strasse 53, D−81669 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】