説明

電池パックを固定するシステム及び関連する組付/分解の自動化方法

本発明は、電池パック(20)を収容体(11)に嵌合する方法に関し、前記電池パック(20)はハウジング(3)を含み、このハウジング(3)は、ハウジング(3)を収容体(11)に固定するための少なくとも1つの装置(18)を有し、この装置は、収容体(11)の相補的形状(14)と協働可能な位置合わせ形状(13)と、回転駆動するツール(12)を受け入れる空洞部(15)とを有する回転シャフト(1)、及びシャフト(1)によって回転駆動し、収容体(11)のハウジング(16)に出し入れできる延伸部(17)を有するカム(4)を備えている。前記収容体(11)には、各固定装置(18)の向かい側に相補的形状(14)とハウジング(16)とが設けられている。また、このような固定システムを含む電池パック(20)の組付/分解を自動化する方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックを自動車のボディシェル等のボディシェルに装着するシステムに関し、このような電池パックを着脱する自動化可能な方法に関する。
【0002】
車両に電源電池を装着する分野では、自動化可能な着脱が可能なシステム/方法は全く知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明では、電源電池の初期取付け及び交換を自動化可能にする、即ち、例えば給油所で、人手による技術的介入なしに行えるようにすることを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の主題は、電池パックをボディシェルに装着するためのシステムであり、前記電池パックはハウジングを含み、ハウジングとボディシェルとが互いの間に電池を受容可能な空間を画定するシステムであって、前記ハウジングは、軸に沿ってボディシェルにハウジングを装着するための装置を少なくとも1つ備え、各装置は、
− 前記ハウジングに固定されて、ハウジングに対して自在に回転できるシャフトであって、一方の端部に、ボディシェルに存在する相補的形状と対応可能な軸周りに回転するセンタリング形状を有し、他方の端部に、軸周りに回転するためのツールを受容可能な凹部を有するシャフトと、
− シャフトに固定されて、軸周りに回転するカムであって、前記シャフトの回転角度に応じて、ボディシェルに形成したケーシングに出し入れ可能な、軸に垂直な平面内で略平坦な延伸部を有し、ケーシングが略平坦で軸に垂直とする、カムと
を含み、
ボディシェルは、同じ相補的形状と、各装着装置に対向するケーシングとを複数備えている。
【0005】
また、別の有利な特徴によると、各装着装置は弾性手段を含み、弾性手段は、弛緩すると前記カムの延伸部を前記ケーシングの壁部に押し付ける支持力を生成するように、カムをケーシング内に配置したとき、軸上の、ハウジングとボディシェルとの間で圧縮されるように配置されている。
【0006】
また、本発明は、このような装着システムを含む電池パックを装着する自動化可能な方法に関し、この方法は、
− 電池を嵌合したハウジングを、デッキ上の、ボディシェル近くに配置するステップと、
− ハウジングの複数の装着装置の各センタリング形状を、対応するボディシェルの相補的形状と位置合わせするために、デッキを移動させるステップと、
− ハウジングの複数の装着装置の各センタリング形状を、ボディシェルの対応する相補的形状に挿入するために、軸に沿ってデッキを移動させるステップと、
− 複数のカムの各々を対応する各ケーシングに配置するように、各凹部に係合させたツールによって各シャフトを回転させるステップと、
− デッキを除去するステップと
を含む。
【0007】
また、本発明は、このような装着システムを含む電池パックを取外す自動化可能な方法に関し、この方法は、
− ハウジングに接触させてデッキを配置するステップと、
− 各シャフトを、各凹部に係合させたツールによって回転させることにより、複数のカムの各々を各対応するケーシングから外すステップと、
− ハウジングの複数の装着装置の各センタリング形状を、ボディシェルの対応する相補的形状から取出すために、デッキを軸に沿って移動させるステップと、
− デッキを除去して電池パックを取去るステップと
を含む。
【0008】
また、本発明の別の特徴によると、着脱方法は、必要に応じて各弾性手段を圧縮することにより、デッキを軸に沿って移動させることと、デッキの除去を、必要に応じて各弾性手段を弛緩させることにより行うこととを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明による装置の一つの効果は、電源電池パックの取付け及び交換を自動化可能にする点である。
【0010】
本システムの別の効果は、単純な機械的要素に基づいており、そのため良好なロバスト性を有し、産業上での利用が容易である点である。
【0011】
本発明の他の特徴、詳細及び効果については、以下で図面を参照して示す詳細な説明により更に明確となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】電池パックの実施例の上面図である。
【図2】同じ電池パックの側面図であり、電池パックの車両への取付けを示している。
【図3】本発明による装着装置の斜視図である。
【図4】同装置の分解図である。
【図5】装置の上面図であり、断面1及び2を示している。
【図6】本発明による装着装置の断面1に沿った断面図である。
【図7】本発明による装着装置の断面2に沿った断面図である。
【図8】装着装置をボディシェルに取付ける際の1ステップを説明している。
【図9】装着装置をボディシェルに取付ける際の1ステップを説明している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示すように、電池パック20の形は複雑となる場合がある。本発明によると、電池パック20は、電池パック20をボディシェル11に装着可能にするために、少なくとも一つの、本実施例では8つの、電池パックの周縁部に分散させた装着装置18を備える。
【0014】
図2は、分かり易く示すために、車両19の真下に前記電池パック20を取付ける実施例を示している。このような取付けを、有利には可動デッキ10を用いて行う。
【0015】
図3及び図4は、装着装置18の好適な実施形態の、それぞれ斜視図(図3)及び分解図(図4)であり、図6及び図7は同実施形態の二つの垂直断面図であり、電池パック20に固定されたハウジング3も部分的に示されている。前記ハウジング3には丸穴9を穿孔する。この穴9に、必要に応じて、センタリングリング2を用いて、回転軸Zを有する円形シャフト1を取付ける。このようにして、前記シャフト1は軸Z周りに回転自在となる。図示のように、前記シャフト1は、ハウジング3に接するための肩部を有する。シャフト1は、その一方の端部に、軸Z周りに回転するセンタリング形状13を有する。このセンタリング形状13は、ボディシェル11に形成された相補的形状14と相互作用できる。図示の実施例では、センタリング形状13を筒状凸形とし、相補的形状14を、センタリング形状13を受容して軸Zに沿った並進移動を可能にするために若干直径を大きくした筒状凹形とする。形状13、14をそれぞれ、他の回転形状(例えば、円錐)としてもよく、二つの形状13、14が互いに相補的である限り、センタリング形状13を凹形とし、相補的形状14を凸形とすることができる。シャフト1は、他方の端部に、軸Z周りに回転するためのツール12を受容できる凹部15を含む。この凹部は、図6〜図9に明示されている。
【0016】
また、シャフト1上の、ハウジング3に対する肩部の反対側に、カム4を取付ける。このカム4を、シャフト1に対して回転可能な状態で固定する。このような固定は、シャフト1とカム4をそれらの接合部分で相補的な柱体形状にすることにより達成できる(解決手段については図示せず)。また、このような固定は、図示の実施例のように、二本のネジ7によりカム4をシャフト1に装着することでも達成できる。このような装着では、カム4とシャフト1の間にハウジング3が捕捉されており、装着装置18をハウジング3に固定する。
【0017】
カム4は、軸Zに垂直な平面内で略平坦とし、主に径方向に延伸する延伸部17以外は、この同じ平面で略円形とする。
【0018】
次に、図8及び図9を参照して、前記装着装置18の動作方法について更に詳細に説明する。延伸部17は、カム4と前記シャフト1の回転角度に応じて、ボディシェル11内に形成されたケーシング16に出し入れ可能であり、このケーシングは、略平坦で軸Zに垂直であり、装着装置18のシャフト1のセンタリング形状13が相補的形状14に係合するとカム4と対向するように配置される。
【0019】
図8及び図9では、ボディシェル11の詳部に対して、側面から見た装着装置18を断面図で示しており、ボディシェル11は、シャフト1のセンタリング形状13を受容できる相補的形状14と、ケーシング16とを備える。図8では、カム4の方向が、延伸部17がケーシング16から外れるように向けられており、その結果装着装置が解除されている。一方、図9では、カム4の方向は、延伸部17がケーシング16内に留まるように向けられており、その結果装着装置が係止されている。
【0020】
また、好適な実施形態では、装着装置18は、弾性手段5、この場合エラストマ部品を含む。弾性手段5は、弛緩すると前記カム4の延伸部17を前記ケーシング16の壁部に押し付ける支持力を生成するように、カム4をケーシング16内に配置したとき、軸Z上のハウジング3とボディシェル11との間で圧縮されるように配置される。したがって、図8で説明するように、装置18は、軸Z方向の圧力により、図面の上部の平面に移動され、これにより、弾性手段5が圧縮され、且つカム4がケーシング16と対向して配置されることにより所定の位置に配置される。図9に示すように、このような回転が実行されると、前記圧力が緩和されて弾性手段5が部分的に弛緩する。カム4の延伸部17が、軸Zに沿ってケーシング16の一面と接触する。その結果、弾性手段5の残留圧力が、前記カム4の延伸部17の前記ケーシング16の壁部に対する圧力となる。センタリング形状13を相補的形状14に対してセンタリングする作用と、カム4をケーシング16内に接触させる作用を組合せて、ボディシェル11に対して装着装置18を所定位置に保持する。弾性手段5による更なる圧力で、この位置保持力を強化し、車両19で発生し得る衝撃や振動に対する装着の耐性が向上する。
【0021】
エラストマ部品5を、ネジ7によってシャフト1に組付ける。二個の挿入スペーサ6は、ネジ7を螺着しても部品5を変形させないように、装着と同じレベルにおいて前記部品5の厚さと略同じ高さを有する。
【0022】
有利には、エラストマ部品5を保護して、圧縮を分散するためにエラストマ部品5の上にプレート8を配置する。プレート8は、任意の既知の手段、例えば、接着又は加硫によって、部品5に組付けられる。
【0023】
有利な構成によると、電池パック20及びハウジング3をボディシェル11の下に配置する。したがって、電池パック20は保護され、例えばホイストによって車両の下に、又はピットに、着脱可能である。
【0024】
相補的形状14に対してセンタリング形状13をセンタリングできるように、複数の装着装置18のZ軸は、有利には平行である。
【0025】
下からアクセスできることと、更には重力を利用できることとの効果を組合せることで、電池パック20をハウジング3に簡単に取付ける/交換するために、有利には、装着装置18の軸Zは垂直である。
【0026】
上述したように、装着システム18により、有利には、人手の介入なしに自動的に着脱する方法を開発することが可能になる。
【0027】
装着は、以下のステップを連続して含む。ハウジング3からなる、電池を備えた電池パック20を、デッキ10上のボディシェル11の近くに、好適には車両19の取付け領域の近くに配置する。装着装置18の各センタリング形状13の軸をボディシェル11に形成された対応する相補的形状14の軸と位置合わせするために、デッキ10は、移動可能であり、移動される。次に、デッキ10をボディシェル11に接近させるために、軸Zに沿った並進移動によって、ボディシェル11に対して平行移動させる。これにより、前記センタリング形状13がボディシェル11の前記相補的形状14に挿入される。弾性手段5を有する実施形態の場合には、この移動中に弾性手段5が圧縮される。このようにして電池パック20を保持しながら、カム4の延伸部17をボディシェル11の対応するケーシング16に係合させるために、各装着装置18のシャフト1を、例えば凹部15に係合させたツール12によって、回転させる。1つのツール12だけで、全てのカム4を連続的に回転できる。或いは、装置18一つにつき一つのツールを使用できる。電池パック20をこの段階でボディシェル11に装着し、デッキ10を除去できる。弾性手段5を使用した場合、デッキを除去することで、前記弾性手段5は部分的に弛緩されるものの、弾性手段5がまだ部分的に圧縮状態のままとなるため、ケーシング16内のカム4からの圧力がかかり、装着が強化される。
【0028】
取外しは、装着とは略反対のステップを含む。取り外しは、以下のステップを連続的に含む。デッキ10を、電池パック20のハウジング3と接した状態に配置する。弾性手段5を使用した場合、追加ステップにより、カム4の係脱を容易にするように前述した圧力を除去するために、弾性手段5を圧縮し、カム4をケーシング16と位置合わせするために、デッキ10を軸Zに沿ってボディシェル11に接近させる。次に、延伸部17を対応するケーシング16から外すようにカム4を回転させるために、装着装置18のシャフト1を、例えばそれぞれ凹部15に係合させた1つ又は複数のツール12によって、回転させる。次に、センタリング形状13をボディシェル11の対応する相補的形状14から取出すために、デッキ10を軸Zに沿って、ボディシェル11から離隔するよう移動させる。その後、電池パック20をボディシェル11から分離し、デッキ10を除去することで、電池パック20を回収できる。
【0029】
当業者には、手動でだけでなく、有利には完全に自動化しても着脱ステップを実行できることが明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パック(20)をボディシェル(11)に装着するためのシステムであり、前記電池パック(20)がハウジング(3)を含んでおり、ハウジング(3)とボディシェル(11)とが互いの間に電池を受容可能な空間を画定しているシステムであって、
前記ハウジングには、軸(Z)に沿ってボディシェル(11)にハウジング(3)を装着するための少なくとも1つの装置(18)が設けられ、各装着装置(18)が、
− ハウジング(3)に固定されて、ハウジング(3)に対して軸(Z)周りに自在に回転可能なシャフト(1)であって、一方の端部に、ボディシェル(11)に存在する相補的形状(14)と相互作用可能な、軸(Z)周りに回転するセンタリング形状(13)を有し、他方の端部に、軸(Z)周りに回転するためのツール(12)を受容可能な凹部(15)を有するシャフト(1)と、
− シャフト(1)に固定されて、シャフト(1)によって軸(Z)周りに回転されるカム(4)であって、前記シャフト(1)の回転角度に応じて、ボディシェル(11)に形成されたケーシング(16)に出し入れ可能な、軸(Z)に垂直な平面内で略平坦な延伸部(17)を有し、ケーシングが略平坦で軸(Z)に垂直であるカム(4)と
を含むこと、並びに
ボディシェル(11)が、同じ相補的形状(14)と、各装着装置(18)に対向するケーシング(16)とを、複数備えること
を特徴とする、システム。
【請求項2】
各装着装置(18)が弾性手段(5)も含み、弾性手段(5)が、弛緩するとカム(4)の延伸部(17)を前記ケーシング(16)の壁部に押し付ける支持力を生成させるように、カム(4)をケーシング(16)に配置したとき、軸(Z)上で、ハウジング(3)とボディシェル(11)との間で圧縮されるように配置されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
ハウジング(3)がボディシェル(11)の真下に配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
複数の装着装置(18)の軸(Z)が平行であることを特徴とする、請求項1ないし3の何れか1項に記載のシステム。
【請求項5】
装着装置(18)の軸(Z)が垂直であることを特徴とする、請求項1ないし4の何れか1項に記載のシステム。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1項に記載の装着システムを含む電池パック(20)を装着するための自動化可能な方法であって、
− 電池を嵌合したハウジング(3)をデッキ(10)上のボディシェル(11)近くに配置するステップと、
− ハウジング(3)の複数の装着装置(18)の各センタリング形状(13)を、ボディシェル(11)の対応する相補的形状(14)と位置合わせするために、デッキ(10)を移動させるステップと、
− ハウジング(3)の複数の装着装置(18)の各センタリング形状(13)を、ボディシェル(11)の対応する相補的形状(14)に挿入するために、軸(Z)に沿ってデッキ(10)を移動させるステップと、
− 複数のカム(4)の各々を、対応する各ケーシング(16)内に配置するように、各凹部(15)に係合させたツール(12)によって各シャフト(1)を回転させるステップと、
− デッキ(10)を除去するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
軸(Z)に沿ったデッキ(10)の移動を、必要に応じて、各弾性手段(5)を圧縮させることによって行うこと、及びデッキ(10)の除去を、必要に応じて、各弾性手段(5)を弛緩させることによって行うことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
請求項1ないし5の何れか1項に記載の装着システムを含む電池パック(20)を取外すための自動化可能な方法であって、
− ハウジング(3)に接触させてデッキ(10)を配置するステップと、
− 各シャフト(1)を、各凹部(15)に係合させたツール(12)によって回転させることにより、複数のカム(4)の各々を対応するケーシング(16)の各々から外すステップと、
− ハウジング(3)の複数の装着装置(18)の各センタリング形状(13)を、ボディシェル(11)の対応する相補的形状(14)から取出すために、デッキ(10)を軸(Z)に沿って移動させるステップと、
− デッキ(10)を除去して電池パック(20)を取去るステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
回転ステップに先立って、必要に応じて各弾性手段(5)を圧縮することにより、デッキ(10)を軸(Z)に沿って移動させるステップを行うこと、及びデッキ(10)の除去を、必要に応じて各弾性手段(5)を弛緩させることにより行うことを特徴とする、請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−505494(P2012−505494A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529603(P2011−529603)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051856
【国際公開番号】WO2010/040931
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(507308902)ルノー・エス・アー・エス (281)
【Fターム(参考)】