説明

電池寿命表示装置及び発光表示器の発光制御方法

電池の寿命末期に寿命警告用のLEDで消費される電力を低減する。
【課題】
【解決手段】電池11を電源として動作する簡易プリンタの筐体にメイン表示用LED29を設ける。電池11の出力電圧を検出する電圧検出回路65を設ける。LED29の点灯を制御するLED制御部69を設ける。電池11が消耗してその出力電圧が一定電圧以下になったら、LED29を常時点灯状態から、点灯状態と消灯状態とに交互に周期的に切り替わる点滅状態に切り替える。電池11の出力電圧の低下に従い1周期におけるLED29の点灯時間を段階的に短くしていく。これにより、電池11の寿命末期にLED29で消費される電力を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池を電源として動作する電子機器の電池寿命表示装置及び発光表示器の発光制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラ付き携帯電話機などで撮影された画像を屋外でプリント可能な簡易プリンタが発売されている。簡易プリンタは、カメラ付き携帯電話機から例えば赤外線通信で送信されてくる画像データを受信して画像をプリントする。この簡易プリンタは、屋外にも携帯できるように電池を電源として動作する。従って、プリントを繰り返すうちに電池が消耗し、やがてはプリントができなくなる。このため、ユーザに電池切れを警告するための寿命警告用LED(以下、単に警告用LEDという)がプリンタの筐体表面に設けられている。
【0003】
警告用LEDは、電池の電力残量が所定量以下、例えば満充電時の1/4程度まで減少したら点灯される。この警告用LEDもプリンタの各部と同様に電池を電源としている。このため、プリンタの省電力化を図るために警告用LEDの輝度を定常的に落とす方法がよく知られているが、この場合には警告用LEDの明るさが定常的に暗くなってしまう。その結果、周囲の明るさによっては視認性が悪くなるので、ユーザがLEDの点灯を見落としてしまうおそれがある。
【0004】
このようなユーザの見落としを防止するため、警告用LEDは予め規定された以上の明るさで点灯されるのが通常である。この際に、電池の出力電圧は電池の使用(消耗)に伴い低下する。従って、警告用LEDは、電池の出力電圧が低下したときでもLEDが規定された以上の明るさで点灯するように制御されている。このため、電池の電力残量にある程度余裕がある場合、つまり、電池の出力電圧が高い場合にはこれに応じて出力電流も増えるので、警告用LEDが必要以上に明るく点灯されてしまう。その結果、電池の電力が無駄に消費されてしまうため、電池の寿命が短くなってしまう。
【0005】
そこで、電池の出力電圧の大きさに関わらず警告用LEDを常に一定の明るさで点灯させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、警告用LEDを人の視認限界を超える周波数で周期的に点滅させる。また、この際に、警告用LEDに単位時間当たりに流れる電流量が一定となるように、電池の出力電圧に低下に応じてLEDに電流を流す時間(ON時間)を長くする。これにより、警告用LEDを常に一定の明るさで点灯させることができるので、電池の無駄な消費を抑えてその寿命を延ばすことができる。
【特許文献1】特開2000−4048号公報(第3頁参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1に記載のように、電池の出力電圧が低くなるのに従い警告用LEDに電流を流す時間(ON時間)を長くすると、電池の寿命が少なくなるのに従い電流供給量が増加してしまう。このため、電池の寿命末期でその出力電圧が大きくドロップしてしまうおそれがある。このように、電池の出力電圧が一時的にでも大きくドロップすると、プリント途中でプリント不能になってしまう。その結果、例えば記録紙(インスタントフイルム)の途中でプリントが中止されたりすると記録紙が無駄になるという問題が発生する。
【0007】
本発明は上記問題を解決するためのものであり、電池の出力電圧の低下に応じて警告用LED等の発光表示器で消費される電力を低減することで電池の寿命を延ばしつつ、且つユーザが電池の寿命が少ないことを容易に確認できるようにした電池寿命表示装置及び発光表示器の発光制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、電池を電源として動作する電子機器の電池寿命を表示する電池寿命表示装置において、発光表示器と、前記電池の出力電圧を検出する電圧検出部と、前記電圧検出部の電圧検出結果に基づき、前記出力電圧が一定電圧以下となったときに、視認可能な周期で前記発光表示器を点滅させる発光制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
前記発光表示器は、前記電子機器が電源オンであるときに発光される電源オン表示用発光表示器であり、この発光表示器は、前記発光制御部により、前記電子機器が電源オンであるときに通常発光パターンで発光表示され、前記出力電圧が一定電圧以下となったときに、前記通常発光パターンよりも発光時間が短くされた点滅による電池寿命表示パターンで発光表示されることが好ましい。また、前記電池寿命表示パターンは、前記出力電圧の低下に従い、1周期における点灯時間が段階的に短くされることが好ましい。
【0010】
前記通常発光パターンは常時点灯状態であることが好ましい。また、前記発光制御部は、前記出力電圧と、前記発光表示器の前記1周期における点灯時間及び消灯時間とを関連付けたデータテーブルまたは演算式に基づき、前記点滅状態時には前記出力電圧の低下に応じて前記1周期における前記点灯時間を短くすることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、電池を電源として動作する電子機器に設けられ、前記電子機器の電池寿命を表示するための発光表示器の発光制御方法において、前記電池の出力電圧を検出し、この電圧検出結果に基づき、前記出力電圧が一定電圧以下となったときに、視認可能な周期で前記発光表示器を点滅させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電池寿命表示装置は、発光表示器と、電池の出力電圧を検出する電圧検出部と、前記出力電圧が一定電圧以下となったときに、視認可能な周期で前記発光表示器を点滅させる発光制御部とを備えるようにしたので、前記電池の電力残量が少なくなったときに、前記発光表示器で消費される消費電力を減らすことができる。その結果、前記電池の寿命を延ばすことができるので、プリント可能枚数を増やすことができる。また、ユーザに前記電池の電力残量が少ないことを確実に認識させることができる。
【0013】
また、前記出力電圧の低下に従い1周期における前記発光表示器の点灯時間を段階的に短くするようにしたので、前記電池の電力残量が少なくなるのに応じて前記発光表示器の消費電力を減らすことができる。
【0014】
本発明の発光表示器の発光制御方法は、電子機器の電源である電池の出力電圧を検出し、この出力電圧が一定電圧以下となったときに視認可能な周期で前記発光表示器を点滅させるようにしたので、同様に前記電池の電力残量が少なくなったときに、前記発光表示器で消費される消費電力を減らすことができる。また。ユーザに前記電池の電力残量が少ないことを確実に認識させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の電子機器に相当する簡易プリンタ10の概略図である。この簡易プリンタ10は、カメラ付き携帯電話機(図示せず)等で撮影された画像をプリントするものであり、屋外でも使用できるように2個の電池11を電源としている。電池11として、マンガン乾電池やアルカリ乾電池のような1次電池や、リチウムイオン電池のような2次電池などが使用される。なお、本実施形態では電池11として円筒形状のリチウムイオン電池が用いられているが、例えばコイン形状の二酸化マンガンリチウム電池(CR電池)を使用してもよい。
【0016】
簡易プリンタ10は、筐体13と、この筐体13内に組み込まれたプリント部14(図2参照)と、筐体13内に設けられた電池室(図示せず)とから構成されている。筐体13には、赤外線受信センサ16と、プリント残枚数表示窓18と、液晶モニタ19と、筐体排紙口20と、操作部21と、プリンタ状態表示部22とが設けられている。また、図示は省略するが、筐体13には電池室(図示せず)に連通する電池挿入口、及びこの挿入口を開閉する装填蓋が設けられている。
【0017】
赤外線受信センサ16は、カメラ付き携帯電話機(図示せず)より赤外線通信で送信されてくる画像データを受信する。プリント残枚数表示窓18には、プリント可能な枚数が表示される。液晶モニタ19には、メニュー画面や送信されてくる画像のスルー画等が表示される。筐体排紙口20からは、詳しくは後述するが画像のプリントが完了したインスタントフイルム(以下、単にフイルムという)24が排出される。
【0018】
操作部21には、電源ボタン26と、焼き増しボタン27とが設けられている。電源ボタン26は、簡易プリンタ10の電源をオン・オフする。焼き増しボタン27は、直近にプリントした画像を再度プリントする場合に押圧操作される。
【0019】
プリンタ状態表示部22には、詳しくは後述するが、エラー表示用LED(発光素子)28と、プリンタ10の電源がONであるときに発光される電源ON表示用LED(以下、メイン表示用LEDという)29とが設けられている。エラー表示用LED28は、プリンタ10の各部に異常が生じたときに点灯される。メイン表示用LED29は、本発明の発光表示器に相当するものであり、詳しくは後述するがプリンタ10のモードや電池11の電力残量(寿命)をユーザに知らせるのに用いられる。
【0020】
図2は、簡易プリンタ10のプリント部14の外観斜視図を示したものである。プリント部14は、フイルムパック装填室(図示せず)と、露光ヘッド30と、ヘッド移動機構31と、第1モータ32と、クロー爪35と、爪移動機構36と、第2モータ37と、展開ローラ対38と、ローラ駆動機構39とから構成される。
【0021】
フイルムパック装填室(図示せず)には、フイルムパック41が収納される。このフイルムパック41には、フイルム24が例えば10枚収納されている。フイルムパック41の上面には、フイルム24の露光面を露呈させる露光開口42と、クロー爪35が入り込む切り欠き43とが形成されている。また、フイルムパック41の筐体排紙口20側の側面には、露光済みのフイルム24を排出するパック排紙口44が形成されている。
【0022】
フイルム24は、所謂モノシートタイプのフイルムである。このフイルム24のパック排紙口44側の先端部には、図示は省略するが、現像液を内包する現像液ポッドが設けられている。
【0023】
露光ヘッド30は、プリントする画像の1ライン分の画像データに基づいて、フイルム24の露光面(感光層)に主走査方向(フイルム幅方向)のライン画像を露光する。この露光ヘッド30は、光源ユニット46と、液晶シャッタ47と、セルフォックレンズ(登録商標)[以下、単にレンズという]48とから構成される。光源ユニット46は、液晶シャッタ47に向けてR(赤)光、G(緑)光、B(青)光を順次照射する。光源ユニット46より照射される各光は、液晶シャッタ47により光量が調整された後、レンズ48を介してフイルム24の露光面に照射される。
【0024】
液晶シャッタ47は、主走査方向にライン状に配列された複数の液晶シャッタ素子(図示せず)を有している。各シャッタ素子は、光源ユニット46より照射される光を透過させる光透過状態と、照射される光を遮光する遮光状態とに切替可能である。このため、各シャッタ素子を1ライン分の画像データに基づいて個々に切替制御することで、各シャッタ素子を透過する光の光量を調整することができる。これにより、R光、G光、B光が順次照射される度に液晶シャッタ47の各シャッタ素子を切替制御することで、画像データに応じた階調を有するライン画像がフイルム24に露光される。
【0025】
露光ヘッド30は、ヘッド移動機構31により主走査方向に直交する副走査方向にスライド移動自在に保持されている。このヘッド移動機構31は、露光ヘッド30を保持するヘッド保持カバー53と、ネジ溝付きの回転軸54と、ガイド軸55とから構成される。回転軸54は、副走査方向に延び、筐体13の内壁に回動自在に取り付けられている。この回転軸54は、ヘッド保持カバー53の一端部に形成された図示しないネジ孔に螺合している。また、ヘッド保持カバー53の他端部には、回転軸54に対して平行なガイド軸55が挿通される貫通孔が形成されている。
【0026】
回転軸54には、図示しない駆動連結機構を介して第1モータ32が連結されている。この第1モータ32の回転を制御することで、露光ヘッド30が副走査方向に移動される。これにより、露光ヘッド30は、フイルム24の露光面の副走査方向一端と対向する露光開始位置から、副走査方向他端と対向する露光終了位置まで移動される。このように、露光ヘッド30を露光開始位置から露光終了位置に向けて1ラインずつ移動させつつ、露光ヘッド30によりライン画像をフイルム24に順次露光させることで、露光面に1画面分の画像(潜像)が露光される。
【0027】
クロー爪35は、その爪部35aが切り欠き43内に入り込んでフイルム24の排紙口44側の端部とは反対側の端部に係合する。このクロー爪35は、カムやギヤ等から構成される爪移動機構36により、副走査方向に往復移動自在に保持されている。
【0028】
爪移動機構36は、第2モータ37により駆動され、露光終了後にクロー爪35をパック排紙口44側に往動させる。これにより、露光済みのフイルム24がパック排紙口44よりフイルムパック41外にかき出される。この爪移動機構36は、引き続き第2モータ32により駆動され、クロー爪35を元の位置に復動させて次のフイルム24の端部に係合させる。
【0029】
展開ローラ対38は、一対のローラから構成され、パック排紙口44の近傍に配置されている。この展開ローラ対38は、複数のギヤ等から構成されるローラ駆動機構39を介して上述の第2モータ37に接続されている。このため、クロー爪35が往復動されているときに、展開ローラ対38も回転駆動される。従って、クロー爪35によりパック排紙口44からかき出されたフイルム24は、展開ローラ対38により筐体排紙口20を経て筐体13の外に排出される。この際に、フイルム24の現像液ポッドが展開ローラ対38によって押し潰される。これにより、現像液がフイルム24の露光面(感光層)に展開され、露光済みの画像が現像される。
【0030】
図3は、簡易プリンタ10の電気的構成を示したブロック図である。簡易プリンタ10の各部の駆動はCPU61により制御される。このCPU61には、上述の赤外受信センサ16及び操作部21の他に、メモリ63と、レギュレータ64と、電圧検出回路65と、ヘッド駆動制御部66と、第1及び第2モータ駆動制御部67,68と、LED制御部69とが接続されている。
【0031】
メモリ63は、図示は省略するが、プリンタ10の各部を制御する制御プログラム等が記憶されたROMや、赤外線受信センサ16を介して受信した画像データを一時的に記憶するRAMなどから構成されている。このメモリ63には、詳しくは後述するデータテーブル70が記憶されている。
【0032】
レギュレータ64は、電池11より出力される出力電流の電圧(出力電圧)をCPU61、露光ヘッド30、第1及び第2モータ32,37等の駆動電圧に応じた大きさに変換する。そして、これらCPU61等にはレギュレータ64により定電圧に変換された電流が供給される。この際に、電池11の出力電圧は電池11の使用(消耗)に伴い低下する。このため、電池11の出力電圧がレギュレータ64で変換可能な下限電圧を下回ると、上述したようにプリント途中でプリント不能になってしまう。従って、本実施形態の簡易プリンタ10のような電子機器では、後述する電圧検出回路65を用いて電池11の出力電圧を検出する。
【0033】
電圧検出回路65は、本発明の電圧検出部に相当するものであり、電池11の出力電圧を検出してその検出結果をCPU61に入力する。この電圧検出回路65は、抵抗及びCPU61に付属のA/Dポート等から構成されるものが用いられている。そして、CPU61は、電圧検出回路65で検出される出力電圧が所定の下限電圧を下回ったら寿命警告を行い、さらに出力電圧が低下したらシステムのリセット、強制パワーダウン等を行う。なお、電池11の出力電圧の検出は電圧検出回路65に限定されるものではなく、各種検出回路、検出装置(器)を用いても良い。
【0034】
ヘッド駆動制御部66は、露光ヘッド30の駆動を制御するものであり、光源ユニット46の駆動と、液晶シャッタ47の各シャッタ素子の切替とを制御する。第1モータ駆動制御部67は、第1モータ32の駆動を制御することで露光ヘッド30の移動を制御する。第2モータ駆動制御部68は、第2モータ37の駆動を制御することでフイルム24の排出を制御する。
【0035】
LED制御部69は、本発明の発光制御部に相当するものであり、エラー表示用LED28及びメイン表示用LED29への電流供給を制御することで両LED28,29の点灯を制御する。LED制御部69は、CPU61等の駆動電圧の急激な低下や、プリンタ10の各部の異常がCPU61を介して検出されたら、エラー表示用LED28を点灯させる。また、LED制御部69は、プリンタ10のモード及び電池11の電力残量に応じてメイン表示用LED29への電流供給を制御してこのLED29を点灯、点滅、消灯させる。以下、具体的にLED制御部69によるメイン表示用LED29の点灯制御について具体的に説明する。
【0036】
LED制御部69は、電池11が満充電状態で、且つ簡易プリンタ10の電源がONされ、さらにその動作モードが画像データを受信可能な待機モードにあるときは、メイン表示用LED29が通常発光パターンで発光、つまり、常時点灯するようにLED29への電流供給を行う。なお、メイン表示用LED29(LED28も同様)の輝度は、周囲の光量に関係なくユーザが点灯を確認できるレベルであれば特に規定はされない。そして、簡易プリンタ10の動作モードがプリントモードに切り替わったら、LED制御部69は、メイン表示用LED29を点灯状態、消灯状態、点灯状態、・・・に交互に周期的に切り替わる第1点滅状態に切り替える。
【0037】
この際に、メイン表示用LED29も電池11からの電流供給により点灯される。上述したように、電池11の寿命末期にメイン表示用LED29への電流供給量が大きくなると、電池11の出力電圧が大きくドロップしてプリントの途中でプリント不能になってしまうおそれがある。
【0038】
そこで、本発明では、電池11の電力残量(寿命)が少なくなるのに応じてメイン表示用LED29で消費される電力を低減することで、電池の寿命を延ばす。また、これと同時に、ユーザが電池の寿命が少ないことを容易に確認できるようにする。この電池11の電力残量(寿命)は、上述したように電池11の出力電圧を検出することで間接的に検出することができる。例えば、電池11として用いられるリチウムイオン電池は、満充電時の出力電圧が約4.5Vであり、消耗するのに従って次第に出力電圧が低下する。そして、電池11の出力電圧が2.7Vまで下がったら、プリントに要する電力残量が無くなったと判定することができる。以下、電池11の出力電圧の低下に応じてメイン表示用LED29の消費電力を低減させる方法について詳しく説明を行う。
【0039】
本実施形態では、電池11の出力電圧が3.7Vを下回ったら、メイン表示用LED29を電池寿命表示パターンで点滅表示させて寿命警告を開始する。具体的には、メイン表示用LED29を常時点灯状態から、第1点滅状態とは異なる周期で点滅する第2点滅状態に切り替えて寿命警告を開始する。この第2点滅状態時にLED制御部69は、点灯中のLED29に単位時間当たりに供給される電流量を一定に保つ(図4参照)。これにより、電池11の出力電圧が低下しても点灯時のLED29の輝度は変わらないので、LED29の視認性が低下するおそれはない。
【0040】
また、LED制御部69は、第2点滅状態時にメイン表示用LED29を視認可能な周期(周波数)で点滅させつつ、電池11の出力電圧の低下に応じて段階的に1周期におけるLED29の点灯時間(ON時間)を短くする。具体的には、出力電圧の低下に応じて1周期におけるON時間を視認可能な範囲で短くし、逆に消灯時間(OFF時間)を視認可能な範囲で長くする。これにより、LED29に電流を流す時間が段階的に短くなるので、LED29の消費電力を小さくすることができる(図4参照)。さらに、LED29のON時間を段階的に短くすることで、電池11の電力残量が少ないことをユーザに認識させることができる。
【0041】
上述のような第2点滅状態時のメイン表示用LED29の点滅制御は、メモリ63に記憶されたデータテーブル70に従って行われる。データテーブル70は、電池11の出力電圧と、LED29の1周期におけるON時間及びOFF時間とを関連付けたものである。下記表1にデータテーブル70の一例を示す。このデータテーブル70では、電池11の出力電圧が低くなるほどLED29の消費電力が少なくなるようにON/OFF時間が設定されている。なお、本実施形態では、第2点滅状態時の点滅の周期T(図4参照)を5秒に設定している。また、第1点滅状態時(プリントモード時)の点滅の周期を2秒(ON時間:1秒、OFF時間:1秒)に設定している。
【0042】
【表1】

【0043】
データテーブル70には、電池11の出力電圧Vが3.7(V)以上、3.5(V)以上3.7(V)未満、3.3(V)以上3.5(V)未満、3.0(V)以上3.3(V)未満、2.7(V)以上3.3(V)未満、2.7(V)未満の計6つのグループが形成されている。電池11の出力電圧Vが3.7(V)以上ある場合には、ON時間を5秒(OFF時間:0秒)に設定して、メイン表示用LED29を常時点灯させる。
【0044】
電池11の出力電圧Vが3.7(V)未満2.7(V)以上のとき、つまり、第2点滅状態時には、出力電圧Vが低くなるのに応じてメイン表示用LED29のON時間を、4秒(OFF時間:1秒)、3秒(OFF時間:2秒)、2秒(OFF時間:3秒)、1秒(OFF時間:4秒)の順に短くしている。そして、出力電圧Vが2.7(V)未満になったらON時間を0秒(OFF時間:5秒)に設定して、LED29を常時消灯させる。
【0045】
上述のLED制御部69は、簡易プリンタ10の電源がONされ、その動作モードが待機モードであるときに、電圧検出回路65よりCPU61に入力された電池11の出力電圧と、メモリ63内からCPU61に読み出されたデータテーブル70とに基づいて、メイン表示用LED29への電流供給を制御する。図4に示すように、出力電圧Vが3.7(V)以上のときに、LED制御部69はメイン表示用LED29への電流供給を常時ONにして、LED29を常時点灯(ON)させる。
【0046】
次いで、LED制御部69は、電池11の出力電圧Vが3.7(V)を下回ったら、メイン表示用LED29への電流供給をON、OFF、ON、・・・することでLED29を点滅させる。上述したように、電流供給ON時にLED29に供給される電流量は一定に保たれているので、点灯時のLED29の輝度も一定に保たれる。
【0047】
LED制御部69は、電池11の出力電圧Vとデータテーブル70とに基づいて、出力電圧Vが低下するのに応じて1周期Tあたりの電流供給ON時間を短くしていく。これにより、LED29のON時間を段階的に短くすることができるので、電池11の電力残量が少なくなるのに応じて、LED29の消費電力を少なくすることができる。また、電池11の電力残量が少なくなっていることをユーザに認識させることができる。
【0048】
ユーザは、点滅中のメイン表示用LED29の1周期TにおけるON時間が短くなったら電池11を交換する。特にLED29の点灯時間が1秒、つまり、電池11の出力電圧が2.7(V)以上3.0(V)未満のときには、電池11の電力残量がプリントを数枚可能な分しか残っていないので、早急に電池11の交換を行う。
【0049】
LED制御部69は、電池11の出力電圧Vが2.7(V)を下回ったら、メイン表示用LED29への電流供給をOFFしてLED29を常時消灯させる。これにより、ユーザは電池切れしたこと、つまり、電池11にプリント可能な電力が残っていないことを認識することができる。また、これと同時にCPU61は、システムのリセット、強制パワーダウン等を行う。
【0050】
このように、本実施形態ではデータテーブル70に従ってメイン表示用LED29を点滅制御することで、LED29の消費電力を抑えつつ、ユーザに電池11の電力残量が少ないことを確実に伝えることができる。
【0051】
次に、本実施形態の簡易プリンタ10の作用について説明を行う。簡易プリンタ10は、電源がONされた後、画像データを受信するまでは待機モードにある。このとき、LED制御部69は、電圧検出回路65よりCPU61に入力された電池11の出力電圧Vと、メモリ63内からCPU61に読み出されたデータテーブル70とに基づいて、メイン表示用LED29への電流供給を制御する。
【0052】
LED制御部69は、電池11の出力電圧Vが3.7(V)以上であれば、メイン表示用LED29への電流供給を常時ONにして、LED29を常時点灯させる。また、LED制御部69は、電池11の出力電圧Vが3.7(V)を下回っていたら、出力電圧Vとデータテーブル70とに基づいて、LED29への電流供給をON、OFF、ON、・・・させる。これにより、LED29が第2点滅状態に切り替わって、電池11の寿命警告が行われる。そして、電池11の出力電圧Vが2.7(V)を下回っていたら、LED制御部69は、メイン表示用LED29への電流供給を常時OFFにして、このLED29を常時消灯させる。なお、この場合には、CPU61によりシステムのリセット、強制パワーダウン等が行われる。
【0053】
ユーザは、メイン表示用LED29を確認して、このLED29が常時消灯されている場合には電池11の交換を行う。また、ユーザは、LED29が第2点滅状態に切り替わり、且つON時間が短くなっている場合にも、同様に電池11の交換を行う。そして、ユーザは、LED29が常時点灯されている場合や、またはLED29が第2点滅状態に切り替わっていてもON時間が長い場合には、カメラ付き携帯電話機を操作して画像データの送信を開始する。
【0054】
CPU61は、赤外線受信センサ16で受信した画像データがメモリ63に一時的に記憶されたら、簡易プリンタ10の動作モードをプリントモードに切り替えて、プリント作業を開始する。これと同時に、LED制御部69は、メイン表示用LED29を第1点滅状態に切り替える。
【0055】
プリント作業が開始されると、第1モータ制御部67は、第1モータ32を駆動し、ヘッド移動機構31を介して露光ヘッド30を上述の露光開始位置に移動させる。この移動が完了したら、ヘッド駆動制御部66は光源ユニット46を制御して、R光、G光、B光を液晶シャッタ47に向けて照射させる。ヘッド駆動制御部66は、R光、G光、B光が順次照射される度に、液晶シャッタ47の各シャッタ素子を切替制御する。これにより、画像データに応じた1ライン分のライン画像がフイルム24に露光される。
【0056】
ライン画像の露光が完了したら、第1モータ制御部67は、第1モータ32を回転駆動させ、露光ヘッド30を露光終了位置に向けて1ライン分だけ移動させる。次いで、ヘッド駆動制御部66は、露光ヘッド30を駆動して次のライン画像をフイルム24に露光させる。以下同様にして、露光ヘッド30を露光終了位置に向けて1ラインずつ移動させつつ、この露光ヘッド30でライン画像を順次露光させる。これにより、フイルム24の露光面に1画面分の画像(潜像)が露光される。
【0057】
フイルム24の露光が終了したら、第2モータ制御部68は、第2モータ37を回転駆動させて、クロー爪35を往復動させるとともに、展開ローラ対38を回転させる。これにより、露光済みのフイルム24は、クロー爪35によりフイルムパック41のパック排紙口44から排出された後、展開ローラ対38により筐体排紙口20を経て筐体13の外に排出される。この際に、フイルム24の現像液ポッドが展開ローラ対38によって押し潰される。こうして、現像液が展開されて露光済みの画像が現像される。この一連のプリント作業が終了したら、CPU61は、簡易プリンタ10の動作モードを再び待機モードに切り替える。
【0058】
LED制御部69は、簡易プリンタ10の動作モードが待機モードに切り替わったら、電池11の出力電圧Vに応じて、第1点滅状態にあるメイン表示用LED29を常時点灯状態、第2点滅状態、常時消灯状態のいずれかに切り替える。そして、カメラ付き携帯電話機(図示せず)で撮影した別の画像をプリントする場合や、焼き増しボタン27を押圧して再度プリントする場合には、上述の処理を繰り返せばよい。
【0059】
以上のように、本実施形態では、電池11の出力電圧、つまり、電力残量の低下に応じてメイン表示用LED29を、常時点灯状態から第2点滅状態を経て常時消灯状態に切り替える。そして、この第2点滅状態時には、LED29を点滅させつつ、電池11の出力電圧の低下に応じて段階的に1周期中のON時間を短くするようにしたので、特に電池11の電力残量が少なくなったときに、LED29の消費電力を抑えることができる。その結果、電池11の寿命を延ばすことができるため、プリント可能枚数を増やすことができる。また、電池11の寿命末期におけるLED29への電流供給の増加を防止できるので、電池11の出力電圧が大きくドロップするおそれはなくなる。これにより、プリントの途中でプリント不能になってしまうことが防止される。
【0060】
さらに、本実施形態では、第2点滅状態時にはメイン表示用LED29を視認可能な周期(周波数)で点滅させる。そして、電池11の出力電圧の低下に応じて、LED29の輝度は変えずに1周期におけるON時間を視認可能な範囲で短くするようにしたので、ユーザに電池11の電力残量が少ないことを確実に認識させることができる。
【0061】
なお、上記実施形態では、露光時にフイルム24に対して露光ヘッド30を相対移動させるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、露光ヘッド30を固定してフイルム24を移動させるようにしてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、データテーブル70に基づいて第2点滅状態時(寿命警告時)のメイン表示用LED29の点滅制御を行うようにしているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、データテーブル70の代わりに、電池11の出力電圧と、LED29の1周期におけるON時間及びOFF時間とを関連付けた演算式を用いるようにしてもよい。
【0063】
なお、上記実施形態では、メイン表示用LED29を確認することで簡易プリンタ10の動作モードと電池11の電力残量(寿命)との両方を認識可能にしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、電池11の寿命警告用のLEDを別途設けてもよい。この場合には、別途LEDが必要となるためプリンタの製造コストが高くなってしまう。このため、本実施形態のように1つのLEDでプリンタ10の動作モードと電池11の電力残量との両方を認識可能にすることが好ましい。さらに、プリンタ10の各部の異常が発生したときに、LED29を第1及び第2点滅状態時とは異なる周期(周波数)またはパターンで点滅させてもよい。これにより、エラー表示用LED28を設ける必要が無くなるので、プリンタ10の製造コストをさらに削減することができる。
【0064】
また、上記実施形態では、電池切れ等を警告するための発光表示器としてLEDを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、各種小型ランプ(電球)や有機EL(エレクトロルミネッセンス)等を用いてもよい。さらに、上記実施形態のように筐体表面に液晶モニタ19が設けられている場合には、そのバックライトを点滅させることで寿命警告を行うようにしてもよい。
【0065】
なお、上記実施形態では、簡易プリンタ10が待機モードに切り替えられている時にのみ、メイン表示用LED29を第2点滅状態に切り替えるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、プリントモード時にもLED29を第2点滅状態に切り替えることで、ユーザはプリント中でも電池11の電力残量が少ないことを認識することができる。
【0066】
また、上記実施形態では、露光ヘッドを用いてフイルム24に画像を露光する簡易プリンタを例に説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではない。電池を電源して動作し、筐体表面にLED等の発光表示器を備えるサーマルプリンタ、インクジェットプリンタ等の各種プリンタに本発明を適用することができる。また、本発明はプリンタの電池寿命の表示に限定されるものではなく、電池を電源として動作するデジタルカメラ、携帯電話機、PDA等の各種電子機器の電池寿命の表示に本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の簡易プリンタの斜視図である。
【図2】簡易プリンタのプリント部の斜視図である。
【図3】簡易プリンタの電気的構成を示したブロック図である。
【図4】寿命警告時のLEDの点滅制御を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0068】
10 簡易プリンタ
11 電池
13 筐体
24 インスタントフイルム
29 メイン表示用LED
30 露光ヘッド
61 CPU
65 電圧検出回路
69 LED制御部
70 データテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を電源として動作する電子機器の電池寿命を表示する電池寿命表示装置において、
発光表示器と、
前記電池の出力電圧を検出する電圧検出部と、
前記電圧検出部の電圧検出結果に基づき、前記出力電圧が一定電圧以下となったときに、視認可能な周期で前記発光表示器を点滅させる発光制御部とを備えることを特徴とする電池寿命表示装置。
【請求項2】
前記発光表示器は、前記電子機器が電源オンであるときに発光される電源オン表示用発光表示器であり、この発光表示器は、前記発光制御部により、前記電子機器が電源オンであるときに通常発光パターンで発光表示され、前記出力電圧が一定電圧以下となったときに、前記通常発光パターンよりも発光時間が短くされた点滅による電池寿命表示パターンで発光表示されることを特徴とする請求項1記載の電池寿命表示装置。
【請求項3】
前記電池寿命表示パターンは、前記出力電圧の低下に従い、1周期における点灯時間が段階的に短くされることを特徴とする請求項2記載の電池寿命表示装置。
【請求項4】
前記通常発光パターンは常時点灯状態であることを特徴とする請求項2または3記載の電池寿命表示装置。
【請求項5】
前記発光制御部は、前記出力電圧と、前記発光部材の前記1周期における点灯時間及び消灯時間とを関連付けたデータテーブルまたは演算式に基づき、前記点滅状態時には前記出力電圧の低下に応じて前記1周期における前記点灯時間を短くすることを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載の電池寿命表示装置。
【請求項6】
電池を電源として動作する電子機器に設けられ、前記電子機器の電池寿命を表示するための発光表示器の発光制御方法において、
前記電池の出力電圧を検出し、この電圧検出結果に基づき、前記出力電圧が一定電圧以下となったときに、視認可能な周期で前記発光表示器を点滅させることを特徴とする発光表示器の発光制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−194131(P2007−194131A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−12832(P2006−12832)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】