説明

電流形インバータのPWM制御方法とPWM信号発生装置およびこれらを用いた電力貯蔵装置

【課題】 電流形インバータの出力電圧・電流中の高調波を低減させる、汎用性のある簡易なPWMパルスパターン発生法を提供し、さらに双方向DCコンバータと電流形インバータを有する電力貯蔵装置を提供する。
【解決手段】 系統線の各相電圧と同期し系統周波数の2倍の周波数を有する三角波からなる変調波Wmodと、三角波の第1搬送波Sc1とこれと逆位相の第2搬送波Sc2とで大きさを比較し、搬送波が大きい部分をそれぞれ各相の第1,第2パルス信号波形PW1,PW2とし、第1,第2パルス信号波形を系統電圧の1周期毎に切り換えるように組み合わせて第1,第2の中間信号波形Pb1,Pb2を得て、この第1,第2信号波形と系統の各相電圧に同期し各相電圧と同じ周波数をもつ正弦波信号より大きな出力を持つ部分を各相の上下アームにPWMパルス信号Wpとして供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流形インバータのPWM制御方法およびPWM信号発生装置に関し、特に風力発電など自然エネルギーから得た電力を利用する電力貯蔵装置に使用する電流形インバータのPWM制御方法とPWM信号発生装置および電力貯蔵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
温室効果ガス排出削減のために自然エネルギー導入が推進されている。我が国では欧米と比べて風速変動が激しいため、風力発電の導入が遅れている。連系系統容量に対する風力発電設備容量比が大きくなると風速変動が連系系統の電力品質に影響を及ぼすので、特に導入が期待される離島や過疎地などにおいて風力発電設備容量比が大きいことから導入量に限界が生じる。
電力貯蔵装置を併用することにより、風力発電設備の出力平準化が可能となり、また負荷の時間的偏在が大きく負荷率が悪い我が国においては負荷平準化にも効果がある。
【0003】
近年、数1000F以上という驚異的な静電容量値を持つ電気二重層キャパシタ(EDLC)素子が出現し、これを用いた二次電池に匹敵する程度のエネルギー密度・出力密度を有する電力貯蔵装置(ECS)の開発が進んでいる。
EDLCは、サイクル寿命が長く、保守が容易で、環境負荷もないなどの利点を有する。
ECSの交直変換器として、通常、電圧形インバータが用いられるが、EDLC単セルの耐電圧は3V以下と低く、さらにエネルギー放出による端子電圧の低下に伴い、ECSの出力も低下して出力制御を難しくする。また、EDLC素子を直列接続したものでも、直流電流の増加に伴いEDLCの内部抵抗損失が電流の2乗に比例して増加してしまう。
【0004】
そこで、電流形インバータを利用する方法を検討する。電流形インバータにも一般に三角波あるいは鋸歯状波を搬送波とするPWM制御法が用いられる。しかし、相電流の転流および上位アームの2つを同時にオンすることができないという転流スイッチング制約が存在する。転流スイッチング制約を満たすため、普通の基準信号として正弦波を用いる方式ではパルス発生方法が複雑になり、簡易な装置に採用することができない。一方、基準信号として台形波を用いたサブハーモニック方式では、決定方法が比較的簡単で変調度、PWMパルス数すなわちスイッチング周波数、出力端コンデンサを適度の値に設定することにより高調波低減を達成できる。しかし、サブハーモニック方式における搬送波の形は特殊であって、転流スイッチング制約を満たすために変調波位相と同期させ、またパルス数の変化に応じて搬送波形状を調整するため、複雑な機構が必要となる。
【0005】
さらに、新エネルギー導入促進策として、上位系統への逆潮流を前提として大規模な風力発電システムを配電系統末端に設置する例も多くなっている。このような分散電源では直流を交流に変換する電力変換器が不可欠である。
しかし、電力変換器によって高調波電流が増加するため供給電力の品質低下をもたらすことから、特に分散電源の集中連系、または離島などの小規模独立系統における逆潮流は障害が多い。したがって、電力変換器の高調波低減は喫緊の要請である。
【0006】
特許文献1には、自然エネルギーを利用する太陽発電装置や風力発電装置などで得られる直流電力を交流電力に変換して配電線に供給するシステムで、補助電源として化石燃料により運転する発電機と、余剰電力を貯蔵して必要時に供給するキャパシタを備えて、電力の安定供給を可能としたものが開示されている。このシステムで使用されるキャパシタも、電気二重層キャパシタと双方向コンバータで構成されるが、補助電源に切り換える期間のみ配電線に給電するため、電力品質についての配慮は見られない。
【0007】
また、特許文献2には、直流電源を系統電源に同期した交流電力に変換して系統負荷等に給電する分散型電源装置が開示されている。ここでは、インバータのスイッチング周波数が高いため、地絡漏洩電流を介して他の機器に高周波ノイズの悪影響を与えるおそれがあったので、これを高価なトランスでなく半導体スイッチを用いて電気的に絶縁することによって解決した発明が開示されている。しかし、開示された発明は、高周波ノイズの発生源を改良して高調波を減少させる効果を有するものではない。
【特許文献1】特開2001−136681号公報
【特許文献2】特開2001−022457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、電流形インバータの出力電圧・電流に含まれる高調波を低減させることができる、汎用性のある簡易なPWMパルスパターン発生法を提供することであり、さらに、双方向DC/DCコンバータに電流形インバータを接続した電力貯蔵装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の三相電流形インバータのPWM制御方法は、三角波からなる第1搬送波と、第1搬送波と位相が180度異なる同じ第2搬送波を用い、系統の各相電圧と同期し系統周波数の2倍の周波数を有する三角波からなる各変調波と前記第1、第2搬送波と大きさを比較し、搬送波の電圧が大きい部分をそれぞれ各相の第1、第2パルス信号波形として出力し、第1パルス信号波形と第2パルス信号波形を系統電圧の1周期毎に切り換えるように組み合わせて第1,第2の信号波形を得て、この第1,第2信号波形と系統の各相電圧に同期し各相電圧と同じ周波数をもつ正弦波信号より大きな出力を持つ部分を各相の上下アームにPWMパルス信号として供給することを特徴とする。
各変調波の振幅は搬送波の振幅の1.5倍以下にしないことが好ましい。
【0010】
また、上記課題を解決するため、本発明の三相電流形インバータのPWM信号発生装置は、各相毎に、変調波用三角波発生回路と、位相反転器と、1対の比較器と、パルス選択器とを備えて、前記変調波用三角波発生回路が系統電圧と同期し2倍の周波数を有する同期信号を入力して、同期信号に同期し所定の変調度を有する振幅を持つ三角波からなる変調波を発生し、位相反転器が入力される搬送波を反転して反転搬送波を出力し、一方の比較器が変調波と搬送波を入力して比較し搬送波より変調波の電圧が高い部分が出力パルスとなる第1のパルス信号波形を出力し、他方の比較器が変調波と反転搬送波を入力して比較し反転搬送波より変調波の電圧が高い部分が出力パルスとなる第2のパルス信号波形を出力し、パルス選択器が第1,第2パルス信号波形を入力し、さらに系統周波数と同じ周波数を有する第1周期波と半分の周波数を有する第2周期波を入力して、第2周期波の半周期毎に第1,第2パルス信号波形を交替して第1および第2の信号波形とし、第1周期波の半周期毎に第1および第2の信号波形をそれぞれ第1および第2PWMパルス信号として出力することを特徴とする。
各変調波の振幅は搬送波の振幅の1.5倍以下にしないことが好ましい。
【0011】
また、上記課題を解決するため、本発明の電力貯蔵装置の運転方法は、キャパシタバンクに双方向直流直流コンバータを接続し、さらに電流形インバータを接続し、トランスを介して系統に接続する電力貯蔵装置において、電流形インバータに対して上に記載したPWM制御方法を適用することを特徴とする。
さらに、本発明の電力貯蔵装置は、キャパシタバンクに双方向直流直流コンバータを接続し、さらに電流形インバータを接続し、トランスを介して系統に接続する電力貯蔵装置において、電流形インバータのPWM制御装置に対して上に記載したPWM信号発生装置を適用することを特徴とする。
なお、キャパシタバンクは、電気二重層キャパシタ素子を組み合わせて構成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の三相電流形インバータのPWM制御方法および本発明の三相電流形インバータのPWM信号発生装置は、簡単な論理を使ってパルス周波数、パルス数および位相を可変にした制御パルスを発生することによって、相間で同時にオンしないPWM制御を行い、電流形インバータにおける転流スイッチング制約を充足することができる。また、高調波含有率の低いインバータ出力を得ることができる。
したがって、風力発電機などの分散型電源装置であって、電気二重層キャパシタなどを使った蓄電器に双方向DC/DCコンバータを接続し、これに本発明の三相電流形インバータを組み合わせることによって、放電によってキャパシタの出力電圧が低下したときでも定出力を継続することができ内部抵抗損失を低減した電力貯蔵装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
図1から図3は本実施例の電流形インバータを適用した電力貯蔵装置を説明する図面、図4から図10は本実施例の電流形インバータのPWM制御方法を説明する波形図、図11から図14は本実施例に係る電流形インバータのPWM信号発生装置を表すブロック図である。
本実施例の電流形インバータのPWM制御方法は、例えば、風力発電の出力平準化、負荷平準化に使用される電力貯蔵装置などに利用することができるもので、特に電気二重層キャパシタなどの高性能なキャパシタを蓄電素子として利用した装置に最適に適用することができる。
【0014】
図1は電流形インバータを適用した電流形電力貯蔵装置(ECS)の主要回路構成を示すブロック図である。
図1に示した電流形ECSは、キャパシタバンク1、双方向DC/DCコンバータ2、直流リアクタンス3、電流形インバータ4、出力端コンデンサ5、連系トランス6を備え、系統7に接続して使用される。
キャパシタバンク1の直流電極端子は双方向DC/DCコンバータ2の一方の端子に接続され、DC/DCコンバータ2の他方の端子は直流リアクタンス3を介して電流形インバータ4の直流端子に接続される。電流形インバータ4の交流端子は線間に出力端コンデンサ5を備えて連系トランス6の一方の端子に接続され、連系トランス6の他方の端子が系統7のバスに接続される。
出力端コンデンサ5のキャパシタンスCacと連系トランス6のインダクタンスのフィルタ効果により系統側電圧vtの高調波成分が変化するので、最適な出力端キャパシタンス5を選択することによって高調波含有率を小さくすることができる。
【0015】
キャパシタンスバンク1は、たとえば、電気二重層キャパシタ(EDLC)素子を70個直列に積層したものを5式並列接続して形成した、バンク出力電圧の定格値が189V、定格出力100kWのものなどが使用できる。
双方向DC/DCコンバータ2は、2個のスイッチSW1,SW2と2個のダイオードD1,D2から構成され、力行時に降圧コンバータとして動作し回生時に昇圧コンバータとして動作する、いわゆる第1−4象限DC/DCコンバータである。
図2は双方向DC/DCコンバータ2の第1象限の放電時(力行時)の動作を示す動作原理図で、コンバータ2はSW2を閉成し、SW1とD1によって降圧チョッパ回路として動作させている。また、図3は第4象限の充電時(回生時)の動作を示す動作原理図で、コンバータ2はSW1を開成し、SW2とダイオードD2によって昇圧チョッパ回路として動作させている。図3の右側に示した図面は、等価回路図である。
放電時と充電時のいずれも、直流リアクタンス3を通ってインバータに供給される直流電流idcの向きは変わらず、直流電圧の極性が反転するところが異なる。
【0016】
電流形インバータ4は、3相電流形インバータで、上位アームにUp,Vp,Wpの3個のGTOサイリスタ、下位アームにUn,Vn,Wnの3個のGTOサイリスタが設けられて、パルス発生装置で発生させるPWMパルスにより適宜選択してオンオフし直流電流側と交流電流側を導通することにより、放電時には直流電流idcを入力し3相交流電流ipに変換して系統7側に出力し、充電時には3相交流電流ipを入力し直流電流idcに変換してDC/DCコンバータ2側に出力する。放電時と充電時のいずれにおいてもインバータに通電する直流電流idcの向きは変わらない。
本実施例の電流形インバータ4は、図8から図13により説明する生成原理に基づいた簡易PWMパルス発生メカニズムを用いることにより、スイッチング周波数や高調波割合などの条件を変更しても転流スイッチング制約が満たされるようにした、汎用性の高いインバータである。
【0017】
なお、図4は電流形インバータ4のGTOサイリスタを駆動するパルスを供給して本実施例の簡易PWMパルス発生メカニズムを実現するPWMパルス発生回路の全体図、図5は搬送波発生回路、図6は変調波発生回路、図7はパルス選択回路を示す回路図である。
図4において、出力端子UpおよびUn、VpおよびVn、WpおよびWnは、図1に示した同じ符号を有するGTOサイリスタのスイッチングパルス信号を表す。
3相交流電力の各相は位相が120度ずつずれているだけで同じ回路で構成されるので、ここでは、簡単のため、代表としてW相の回路について説明する。
図中、Sc1は第1搬送波、Sc2は第2搬送波、WmodはWアームのPWM制御に関する変調波である。
【0018】
PWMパルス発生回路は、変調波Wmodを生成する変調波発生器11、変調波Wmodを第1搬送波Sc1と比較して搬送波の電圧が大きい部分を第1パルス信号波形PW1として出力する第1比較器12、第2搬送波Sc2と比較して搬送波の電圧が大きい部分を第2パルス信号波形PW2として出力する第2比較器13、第1パルス信号波形PW1と第2パルス信号波形PW2と東日本では50Hz、西日本では60Hzとされる系統電圧と同期した第1正弦波sin 60Hzとこの正弦波の周波数を1/2にした第2正弦波sin 30Hzを入力して各相各アームに適合するPWMパルスを選択するパルス選択器14を備える。
【0019】
なお、各相に共通の補助回路として、設定した周波数を入力して三角波を生成し第1搬送波Sc1として出力する搬送波発生回路21、第1搬送波Sc1の位相を反転する反転器22と反転器の出力を0から1の出力に水準修正して第2搬送波Sc2を出力する加算器23、後に説明する位相指令値αrefで位相修正した系統電圧vtを出力する加算器25、位相修正後の系統電圧vtと同じ周波数を持った位相信号を各相の変調波発生器11に供給する演算器26、系統電圧vtの各相毎に同期した第1正弦波sin60Hzを発生する第1正弦波発生回路27、系統電圧vtの周波数を1/2演算器28で半分にしたものを入力して各相毎に同期した第2正弦波sin30Hzを発生する第2正弦波発生回路29、さらに、変調波の波高を調整するための係数設定器24などがある。
【0020】
搬送波発生回路21は、図5のブロック図に示すように構成され、入力された周波数信号に同期し、0から1の間を往復する三角波を、たとえば12時34分丁度など所定の基準時刻に位相を合わせて発生させて第1搬送波Sc1として出力する。第2搬送波Sc2は第1搬送波Sc1を反転器22と加算器23を用いて反転させベース位置を修正したものである。
また、変調波発生器11は、図6のブロック図に示すような回路構成を持ち、対象とする相に対応した位相と搬送波に対する振幅の倍率(変調度)を入力すると、与えられた変調度を持ち、系統電圧と同じ周波数60Hz(西日本)を有する三角波で、各相毎に系統電圧と同期した変調波搬送波Wmodを出力する。
【0021】
図8は、搬送波と変調波からパルス信号波形を生成する論理を説明する波形図である。図は、横軸に時間、縦軸に電圧をとって電圧波形変化を表したものである。
第1搬送波Sc1と変調波Wmodの関係は図8(a)の上図に、また第2搬送波Sc2と変調波Wmodの関係は図8(b)の上図に、それぞれ重ねて示すとおりである。
変調波Wmodの振幅は、搬送波に対して調整できるが、図では最も好ましい1.5倍が選択されている。搬送波の位相は適当な基準時刻に対して決められるが、変調波Wmodの位相は対象とするW位相に対応して決まる。
【0022】
第1比較器12は、図8(a)の下図に示すように、変調波Wmodを第1搬送波Sc1と比較して搬送波の電圧が大きい部分でオンするようにした第1パルス信号波形PW1を出力する。また、第2比較器13は、図8(b)の下図に示すように、第2搬送波Sc2と比較して搬送波の電圧が大きい部分でオンするようにした第2パルス信号波形PW2を出力する。
搬送波の三角波は0に近いほど幅が広がるので、パルス信号波形は、変調波が1に近いほどオン期間が長く、0に近いほどオン期間が短いパルス信号となる。変調度を1.5に選んだものでは、変調波の振幅が搬送波の1.5倍あるため、継続してオン信号を発生する期間が1/3以上確保されている。
【0023】
第1パルス信号波形PW1と第2パルス信号波形PW2はパルス選択器14に供給される。パルス選択器14は、図7に示すように、第1から第4の切替器31,32,33,34とゼロ信号発生器35を備えて、さらに系統電圧と同期した第1正弦波sin60Hzと第2正弦波sin30Hzを入力して、GTOサイリスタWpおよびWnのスイッチングパルス信号を生成し、電流形インバータ14に供給する。切替器は中央の端子に入力された信号と設定された閾値を比較した結果によって、両側の端子に入力された信号の一方を選択して出力する機構を持っている。
図9と図10を用いて、さらに詳しくパルス生成論理を説明する。図9はパルス信号波形と第2正弦波sin30Hzから中間波形信号を生成する論理を説明する波形図、図10は中間波形信号と第1正弦波sin60HzからPWMのスイッチングパルス信号を生成する論理を説明する波形図である。
【0024】
第1切替器31には第1パルス信号波形PW1と第2パルス信号波形PW2と第2正弦波sin30Hzが入力され、図9に示されるように、0から1の間で変化する第2正弦波sin30Hzが0.5より大きい半周期分で第1パルス信号波形PW1を選択し、0.5より小さい半周期で第2パルス信号波形PW2を選択して第1中間波形信号Pb1とする。一方、第2切替器32にも同じ信号が入力されるが、第2正弦波sin30Hzの大きさに基づいて第1切替器31と逆のパルス信号波形を選択して生成される第2中間波形信号Pb2を出力する。
図9の下側の波形図は、点線で囲んだ部分が第1パルス信号波形PW1から選択された部分、1点鎖線で囲んだ部分が第2パルス信号波形PW2から選択された部分を示し、第2正弦波sin30Hzの半周期毎に、すなわち系統電圧の1周期毎に、相互に交替することが分かる。
【0025】
また、第3と第4の切替器33,34も第1切替器31と同じ構造を有するが、第3切替器33には第1正弦波sin60Hzと、ゼロ信号発生器35で生成された0値を持つゼロ信号と、第1中間波形信号Pb1が入力され、図10(a)に示されるように、第1正弦波sin60Hzが0.5より小さい半周期で第1中間波形信号Pb1を選択し、0.5より大きい半周期でゼロ信号を選択することにより、W相の上位アームのGTOサイリスタを駆動するスイッチングパルス信号Wpとして出力する。
また、第4切替器34には、第1正弦波sin60Hzとゼロ信号と第2中間波形信号Pb2が入力され、図10(b)に示されるように、第3切替器33とは逆に第1正弦波sin60Hzが0.5より大きい半周期で第2中間波形信号Pb2を選択し、0.5より小さい半周期でゼロ信号を選択し、W相の下位アームのGTOサイリスタを駆動するスイッチングパルス信号Wnとして出力する。
【0026】
図11は、第1と第2の搬送波と3相の変調波を一緒に描いた説明図である。
三相交流電気の各相は120度ずつ位相がずれているため、図4に示したように、同じ搬送波および同じ逆位相の搬送波に対して各相毎に120度ずつ移相した三角波の変調波で切り出してスイッチングパルス信号を生成する。
したがって、特に変調度が1.5の変調波を用いたときには変調波が搬送波の領域に1/3ずつ重なるので、図11に模式的に示すとおり、ある相において変調波が0になるときに他の相の変調波が搬送波の最大振幅位置を横切るようになっていて、3相は互いに転流期間を共有する。しかも、搬送波も変調波も昇圧と降圧では同じ傾斜を持つ三角波であるから、1相における搬送波と変調波の交差状態は、反対方向に傾斜する変調波と逆相の搬送波の交差状態と同じものになる。
【0027】
図12は、三相交流電源のU,V,W各相について、PWMパルス信号を同じ時間軸に対して展開した波形図である。
図において、W相の上位アームパルス信号Wpの始めの転流期間の信号波形と、U相におけるパルス信号Upが丁度反転するように選択されていて、V相のサイリスタは遮断されている。このような選択は、各相のパルス選択器14において上で説明した方法によって行われる。
次のU相とV相の転流期間でも互いに信号が反転するように選択されている。以下同様に、転流期間では必ず2つの相間で反転信号を用いて、オン期間が重ならないようになっている。下位アームに関しても同様に転流期間中は2相ずつ互いに反転したパルス信号を与えるように選択されている。
【0028】
図13は、図12に示されたPWMパルスにより制御された交流側三相電流の波形を示す。上段はU相の電流iu、中段はV相の電流iv、下段はW相の電流iwを表す。直流電流idcの大きさは200Aである。
電流は上位アームと下位アームの通電しているサイリスタを流れる。たとえば、U相電流iuについてみると、U相上位アームのパルス信号Upがオンになっているときは、下位アームのV相またはW相いずれかのパルス信号Vn,WnがオンになっているのでU相の上位アームを電流が流れ、U相下位アームのパルス信号Unがオンになっているときは、上位アームのV相またはW相いずれかのパルス信号Vp,WpがオンになっているのでU相の下位アームを電流が流れて、結局U相上位アームPWMパルス信号Upと下位アームPWMパルス信号Unがオンになっている期間に電流が流れるので、系列電圧と同期しパルス変調された正弦波状のU相電流iuが流れることになる。
他の相についても同様である。
【0029】
このように、本実施例のPWMパルス発生法によって転流スイッチング制約を満足する電流形インバータに関するPWMパルスを決定することができる。また、本実施例のPWMパルス発生法では、搬送波の周波数を選択することで、パルス数を任意に設定することができる。
なお、変調波の振幅の搬送波の振幅に対する値、すなわち変調度を1.5以下にすると三相交流における転流スイッチング制約を満足することができなくなり、また変調度を1.5より大きくすると高調波成分が急激に増加する。したがって、変調度は1.5に保持することが好ましい。
【0030】
図14は、電流形インバータ14の制御系構成を示すブロック図である。
電流形電力貯蔵装置(ECS)の交流側電圧vtおよび電流ieを平衡三相電圧および電流と仮定し、設置母線電圧位相を基準軸としてd−q変換を行う。d−q軸座標系で電流形ECSの出力電力を表すと、(1)式となる。
Pe+jqe=vd・id+jvd・iq=√3Vid+j√3Viq (1)
直流電流idcと有効電力、無効電力は比例関係にあるので、直流電流指令値idcrefと位相指令値αrefは、(2)式により有効電力操作量pim,pαmと無効電力操作量qim,qαmから決定する。なお、操作量を決定するPI制御器と1次遅れフィルタそれぞれのパラメータは試行錯誤により選択した。
αref=tan-1(qαm/pαm
dcref=√((pim)2+(qim)2) (2)
【0031】
しかし、(2)式により得られるαrefの値は−π/2からπ/2の第1象限と第4象限の領域内に限られるので、π/2から−π/2までの第2象限と第3象限の領域でも使えるように、位相指令値の最終出力α*を、スイッチ回路を用いて通常はαrefの値を取るが、Perefが負の値になったときには(3)式に示す操作を選択するようにした。
α*=π−αref (3)
こうして決定したPWM制御における変調波位相指令値α*は、PLL(phase locked loop)回路を用いてECSの設置母線電圧vtと同期を取る。なお、変調波発生器に与えられる変調波周波数指令値fmodも、PLL回路で設置母線電圧vtと同期を取ったものを用いる。
【0032】
本実施例の電流形インバータの簡易PWMパルス発生法の有効性と高調波低減効果を確認するため、フーリエ解析によって、従来用いられている120度導通方式電流形インバータおよび2レベル多重化インバータの諸量と比較した。
図15と図16は、瞬時シミュレーションによる高調波解析の結果をグラフに表したもので、横軸に高調波次数をプロットし、縦軸に基本波成分の振幅を100%としたときの電流電圧の振幅をプロットしている。図15は、図1に示すインバータ出力電流ip、連系トランス端子電流if、系統への供給電流itにおける高調波成分を表示したもので、図16は、同じくインバータ出力電圧vpと系統電圧vtにおける高調波成分を示したものである。図中、太線が本実施例における電流形インバータ、破線が2レベル多重化インバータ、点線が120度導通方式電流形インバータの結果を示している。
【0033】
ここで、別途試験に基づいて、本実施例のPWM方式電流形インバータについては、出力端コンデンサCacは10μF以上が好ましく、パルス数Mは増大するとスイッチング損失が増大することを考慮に入れて、50(スイッチング周波数約10kHzに対応する)から110(スイッチング周波数約20kHzに対応する)の範囲内にあることが好ましいことが分かっている。そこで、本解析においては、出力端コンデンサCacは30μF、パルス数Mは80(スイッチング周波数約15kHzに対応する)とした。なお、2レベル多重化インバータと120度導通方式電流形インバータでは出力端コンデンサCacを5μFとした。
【0034】
図15から、電流振幅は、120度導通方式では、5,7次高調波成分が20%程度と極端に大きく、高調波次数が大きくなるにつれて徐々に減少するが、65,67次になっても振幅が十分減衰しないこと、また多重化方式では、11,13次高調波成分に大きな振幅が表れ、次数が大きくなるにつれて徐々に減少するが、やはり59,61次になっても120度導通方式と同程度の振幅が観察されることなどが読み取れる。
これに対して、本実施例のPWM方式では、5,7次の低次高調波成分に4%程度の山が見られるが、次数が大きくなるにつれて急激に減衰して、19,21次を越えると殆ど振幅が無くなることが分かる。
【0035】
また、図16の電圧振幅からは、120度導通方式や多重化方式では、低次高調波成分でも4%程度の振幅を有し、次数が上がるにつれて徐々に振幅が増大する傾向が見られるのに対して、本実施例のPWM方式では、5,7次の低次高調波で1%弱の振幅しか無い上、次数が上がると急速に振幅が減少することが分かる。
このように、本実施例のPWM制御方式電流形インバータは、従来型と比較して高調波低減効果が著しく優れていることが分かった。
【0036】
次に、本実施例の電流形インバータのPWM制御方法およびPWMパルス発生装置を適用した電気二重層キャパシタバンク活用電力貯蔵装置ECSの性能を確認するため、図17に示す電力系統モデルを想定したシミュレーションをおこなった。
一般に、風力発電に用いられる発電機は、低コスト、堅牢で、メンテナンスが容易なかご形誘導発電機IGである。しかし、誘導発電機は系統から励磁電流を受け、風エネルギーが風速の3乗に比例することに起因して、設置母線電圧と系統周波数が大きく変動する。
【0037】
ECSは、このように不安定な出力品質を平準化するため、600kVA出力の風力発電機IG端に設置し、風速変動による母線電圧変動と連系線電力動揺を補償し、風力発電設備導入限界量の増加と利用率向上を図る。
母線には2.5MVAの同期発電機SGから電力が供給されている。母線の主負荷は1.5MWであり、誘導発電機IGとECSが接続された配電網に接続される負荷は300kWとする。
風力発電機の出力特性を図18に示す。図は、横軸に誘導発電機の回転子速度、縦軸に出力電力を取る。誘導発電機の出力電力は回転子回転速度により決定される。また、風車ブレードは高速なピッチ角制御ができないと想定するので、風速変化に応じて風車効率が変化している。
【0038】
図17に示すように、配電系統の末端に連係された風力発電機は同一配電網に接続される負荷以上の容量を有するため、風速9m/s以上の運転時には上位系統へ逆潮流する。逆潮流の場合に、インバータから流出する高調波電流の増加に起因して連系系統の電力品質低下が懸念される。
なお、シミュレーションでは、電子二重層キャパシタ(EDLC)のバンク構成を70セル直列5並列接続とし、セルをC+R集中定数回路を3層直列接続した分布定数モデルで近似した。各層の抵抗値と静電容量値は、集中定数パラメータに所定の比率を掛けて決定した。
【0039】
風速変動とEDLCセルの故障に対する挙動をシミュレーションすることによって、電力貯蔵装置ECSの有効性を検討する。
シミュレーションシーケンスを下のようにした。
(1)5.0s≦t:周波数1Hzの風速変動
(2)t=7.0s:EDLCのセルが1個故障
(3)7.0s≦t:4並列接続キャパシタバンクで運転。
【0040】
図19は、風力発電機の状態を示すグラフである。横軸は4sから12sにかけての経過時間を示す。
図19(a)は風速Vw、図19(b)は風車の機械的入力トルクTmech、図19(c)はロータの回転速度Nの変化を示す。風速は、時刻5sの時点で9m/s定速状態から±2m/s変動する状態に変化させている。
図20から図24は、シミュレーション結果を示す図面である。いずれも横軸に経過時間をとっている。
【0041】
図20(a)は系統線の電力Pt、図20(b)は系の周波数fの変化を示す。実線が簡易PWMパルス発生法を適用して補償した場合、破線が補償のない場合を示す。周波数fは補償により安定性が極めて向上することが分かる。また系統線電力Ptの変化を見ると、補償前にはロータ回転数の変化にしたがって増大している分が、補償によりECSに分配された結果、系統線電力Ptとしては低下していることが分かる。
図21(a)(b)はそれぞれ風力発電機端母線のd−q軸電圧Vtd,Vtqの変化を示す。実線が簡易PWMパルス発生法を適用して補償した場合、破線が補償のない場合を示す。発電機端母線電圧の変動が極めてよく抑制されていることが分かる。
【0042】
図22(a)はECSの有効出力電力pe、図22(b)はECSの無効出力電力qeの変化を示す。図20と合わせて検討すると、ECSの補償により、誘導発電機の出力変動と逆極性の有効電力または無効電力を吸放出することで連系線電力の変動を抑制し、系統周波数が一定に維持されることが分かる。また、図21と合わせて検討すると、ECSの無効電力補償によって発電機端母線電圧変動が抑制されることが分かる。
【0043】
図23(a)はキャパシタバンクの端子電圧vbankとDC−DCコンバータの端子電圧vdcの変化、図23(b)はDC−DCコンバータの直流電流idcの変化、図23(c)はキャパシタバンクの貯蔵電力量Wの変化を示す。
図23により、第1−4象限DCコンバータの直流電流idcの制御によってキャパシタバンクに電気エネルギーが充放電されていることが確認できる。たとえば、9.5sから11.5sの期間において、直流リンク電圧vdcが正であって放電期間なのに、キャパシタバンクの貯蔵電力量Wが増加している。
【0044】
この貯蔵電力量Wの増加の原因は、風速Vwがこの期間で大きくなったことに伴って、機械的入力トルクTmechが増加すると共にECS出力の有効電力peが減少していることによる。有効出力電力peの減少に伴い直流リアクトルLdcに流れる直流電流idcが減少し、直流リアクトルLdcの蓄積エネルギーがキャパシタバンクに充電されることになるからである。
また、貯蔵電力量Wの波形には、7.0sの時点でEDLCセルの一つが故障しキャパシタバンクが4並列に減少したため貯蔵電力量が減少したことが表れている。しかし、セルの故障にもかかわらず、7.0s以降においても電力貯蔵装置ECSは変動補償を継続していることが確認できた。
【0045】
図24(a)は変動補償時の負荷の瞬時電圧波形vL、図24(b)は変動補償時の風力発電機の連系線の瞬時電流波形itを示す。
瞬時電流波形itの歪みが小さいのに対して瞬時電圧波形vLの歪みが大きいことが確認できる。図から瞬時電圧波形vLの総合歪み率の計算を行って4.7%という結果を得た。これは、家電・汎用品高調波抑制対策ガイドに定められている配電系統の総合電圧歪みの目標値(5%以下)を満たしている。
【0046】
以上のシミュレーションの結果から、PWM方式電流形インバータに本発明の簡易PWMパルス発生法を用いることにより、高調波成分の小さい電圧・電流を出力できることが分かった。また、本発明を適用した電流形インバータをキャパシタバンクを用いた電力貯蔵装置に組み込むことにより、風速変動にかかわらず風力発電機端母線の周波数・電圧・電流を安定化させることができ、またキャパシタバンクの故障に対しても出力変動および発電機端電圧変動の補償を継続できることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る実施例の電流形インバータを適用した電流形電力貯蔵装置(ECS)の主要回路構成を示すブロック図である。
【図2】本実施例を用いたECSにおける双方向DC/DCコンバータの第1象限の放電時の動作を示す動作原理図である。
【図3】図2における双方向DC/DCコンバータの第4象限の充電時の動作を示す動作原理図である。
【図4】本実施例における電流形インバータのPWMパルス発生回路の全体図である。
【図5】本実施例のPWMパルス発生回路における搬送波発生回路の回路図である。
【図6】本実施例のPWMパルス発生回路における変調波発生回路の回路図である。
【図7】本実施例のPWMパルス発生回路におけるパルス選択回路を示す回路図である。
【図8】本実施例においてパルス信号波形を生成する論理を説明する波形図である。
【図9】本実施例において中間波形信号を生成する論理を説明する波形図である。
【図10】本実施例においてPWMのスイッチングパルス信号を生成する論理を説明する波形図である。
【図11】本実施例における搬送波と変調波の関係を説明する説明図である。
【図12】本実施例における三相交流電源の各相について、PWMパルス信号を同じ時間軸に対して展開した波形図である。
【図13】図12に示されたPWMパルスにより制御された交流側三相電流の波形図である。
【図14】本実施例の電流形インバータの制御系構成を示すブロック図である。
【図15】本実施例の電流形インバータのシミュレーションにより得た各所の電流の高調波解析図である。
【図16】本実施例の電流形インバータのシミュレーションにより得た各所の電圧の高調波解析図である。
【図17】本実施例の電流形インバータをシミュレーションするために想定した電力系統モデルを表すブロック図である。
【図18】シミュレーションに使用した風力発電機の出力特性を示すグラフである。
【図19】シミュレーションにおける風力発電機の状態を示すグラフである。
【図20】図17の電力系統モデルのシミュレーションにより得た系統線電力と系の周波数変化をを示す波形図である。
【図21】図17の電力系統モデルのシミュレーションにより得た風力発電機端母線のd−q軸電圧の変化を示す波形図である。
【図22】図17の電力系統モデルのシミュレーションにより得たECSの有効無効出力電力を示す波形図である。
【図23】図17の電力系統モデルのシミュレーションにより得たキャパシタバンク周りの諸量を示す波形図である。
【図24】図17の電力系統モデルのシミュレーションにより得た、変動補償時の負荷の瞬時電圧波形と風力発電機の連系線の瞬時電流波形を示す波形図である。
【符号の説明】
【0048】
1 キャパシタバンク
2 双方向DC/DCコンバータ
3 直流リアクタンス
4 電流形インバータ
5 出力端コンデンサ
6 連系トランス
7 系統
11 変調波発生器
12 第1比較器
13 第2比較器
14 パルス選択器
21 搬送波発生回路
22 反転器
23 加算器
24 係数設定器
25 加算器
26 演算器
27 第1正弦波発生回路
28 1/2演算器
29 第2正弦波発生回路
31 第1切替器
32 第2切替器
33 第3切替器
34 第4切替器
35 ゼロ信号発生器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三角波からなる第1の搬送波と、該第1搬送波の位相を反転した第2の搬送波を用い、系統の各相電圧と同期し系統周波数の2倍の周波数を有する三角波からなる各相の変調波と前記第1、第2搬送波と大きさを比較し、該搬送波の電圧が高い部分をそれぞれ各相の第1、第2パルス信号波形として出力し、該第1パルス信号波形と第2パルス信号波形を系統電圧の1周期毎に切り換えるように組み合わせて第1,第2の中間信号波形を得て、該第1,第2中間信号波形と系統の各相電圧に同期し各相電圧と同じ周波数をもつ正弦波信号より大きな出力を持つ部分を各相の上下アームにPWMパルス信号として供給することを特徴とする三相電流形インバータのPWM制御方法。
【請求項2】
前記各変調波の振幅は前記搬送波の振幅の1.5倍以下にしないことを特徴とする請求項1記載の三相電流形インバータのPWM制御方法。
【請求項3】
キャパシタバンクに双方向直流直流コンバータを接続し、さらに電流形インバータを接続し、トランスを介して系統に接続する電力貯蔵装置において、前記電流形インバータに対して請求項1または2記載のPWM制御方法を適用することを特徴とする電力貯蔵装置の運転方法。
【請求項4】
前記キャパシタバンクは電気二重層キャパシタ素子を組み合わせて構成したものであることを特徴とする請求項3記載の電力貯蔵装置の運転方法。
【請求項5】
前記双方向直流直流コンバータは、第1−4象限直流直流コンバータであることを特徴とする請求項3または4記載の電力貯蔵装置の運転方法。
【請求項6】
各相毎に、変調波用三角波発生回路と、位相反転器と、1対の比較器と、パルス選択器とを備えて、前記変調波用三角波発生回路が系統電圧と同期し2倍の周波数を有する同期信号を入力して、該同期信号に同期し所定の変調度を有する振幅を持つ三角波からなる変調波を発生し、前記位相反転器が入力される搬送波を反転して反転搬送波を出力し、前記比較器の一方が前記変調波と前記搬送波を入力して比較し該搬送波より該変調波の電圧が高い部分が出力パルスとなる第1のパルス信号波形を出力し、前記比較器の他方が前記変調波と前記反転搬送波を入力して比較し該反転搬送波より該変調波の電圧が高い部分が出力パルスとなる第2のパルス信号波形を出力し、前記パルス選択器が前記第1,第2パルス信号波形を入力し、さらに系統周波数と同じ周波数を有する第1周期波と半分の周波数を有する第2周期波を入力して、該第2周期波の半周期毎に前記第1,第2パルス信号波形を交替して第1および第2の信号波形とし、前記第1周期波の半周期毎に該第1および第2の信号波形をそれぞれ第1および第2PWMパルス信号として出力することを特徴とする三相電流形インバータのPWM信号発生装置。
【請求項7】
前記変調波の変調度は1.5倍以下にしないことを特徴とする請求項6記載の三相電流形インバータのPWM信号発生装置。
【請求項8】
前記相毎に供給する前記同期信号は、それぞれ120度および240度位相をシフトして他の2相に供給するものであることを特徴とする請求項6または7記載の三相電流形インバータのPWM信号発生装置。
【請求項9】
キャパシタバンクに双方向直流直流コンバータを接続し、さらに電流形インバータを接続し、トランスを介して系統に接続する電力貯蔵装置において、前記電流形インバータのPWM制御装置に対して請求項6から8のいずれかに記載のPWM信号発生装置を適用することを特徴とする電力貯蔵装置。
【請求項10】
前記電キャパシタバンクは電気二重層キャパシタ素子を組み合わせて構成したものであることを特徴とする請求項9記載の電力貯蔵装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2006−42504(P2006−42504A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−219369(P2004−219369)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(504145308)国立大学法人 琉球大学 (100)
【Fターム(参考)】