電源供給制御装置、電源供給制御方法、プログラムおよび電源装置
【課題】電源装置の過負荷状態が解消されると直ちに電源供給を再開すること。
【解決手段】出力側の負荷19と並列に接続されるダイオード15を有する回路の電圧を測定することにより負荷19の短絡状態を判断する短絡検出部21を備える電源供給制御装置20において、出力側と並列に接続されるダイオード15を有する回路のダイオード15の順バイアス方向に定電流を供給する定電流供給部23を備え、短絡検出部21は、定電流供給部23から定電流の供給を受けている出力側と並列に接続されるダイオード15を有する回路の電圧が所定の閾値以上または所定の閾値を超えたときに負荷19の短絡状態が解消されたと判断する。
【解決手段】出力側の負荷19と並列に接続されるダイオード15を有する回路の電圧を測定することにより負荷19の短絡状態を判断する短絡検出部21を備える電源供給制御装置20において、出力側と並列に接続されるダイオード15を有する回路のダイオード15の順バイアス方向に定電流を供給する定電流供給部23を備え、短絡検出部21は、定電流供給部23から定電流の供給を受けている出力側と並列に接続されるダイオード15を有する回路の電圧が所定の閾値以上または所定の閾値を超えたときに負荷19の短絡状態が解消されたと判断する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源供給制御装置、電源供給制御方法、プログラムおよび電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電源装置の過負荷保護について、たとえば特許文献1に提案がなされている。特許文献1では、電源装置の過負荷時に電源供給を停止する過負荷保護回路が開示されている。なお、電源装置が過負荷状態となる一般的な原因として負荷の短絡が考えられる。
【0003】
また、特許文献1の過負荷保護回路では、過負荷が解消されたか否かを検出するためにタイマを用い、定期的に電源供給を再開することにより電源装置の過負荷状態を確認している。このときに、電源装置の過負荷状態が解消していれば、電源供給を再開する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−28532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の過負荷保護回路では、タイマを用い定期的に電源供給を再開することにより電源装置の過負荷状態を確認している。よって、タイマにより設定されている周期の時刻が来ないと電源装置の過負荷状態の確認はできない。すなわち、タイマにより設定されている周期の時刻の合間において電源装置の過負荷状態が解消していたとしても特許文献1の過負荷保護回路では、それを検出できない。
【0006】
これにより、特許文献1の過負荷保護回路では、既に電源装置の過負荷状態が解消しているにも関わらずタイマの周期の時刻が来ていないために、電源供給の再開が遅れるという状況が発生する。このような状況は、できる限り速やかな電源供給の再開を望むユーザにとってユーザの要求を満足しないものである。
【0007】
本発明は、このような背景の下に行われたものであって、電源装置の過負荷状態が解消されると直ちに電源供給を再開することができる電源供給制御装置、電源供給制御方法、プログラムおよび電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の観点は、電源供給制御装置としての観点である。すなわち、本発明の電源供給制御装置は、出力側と並列に接続されるダイオードを有する回路の電圧を測定することにより出力側の短絡状態を判断する短絡検出部を備える電源供給制御装置において、出力側と並列に接続されるダイオードを有する回路のダイオードの順バイアス方向に定電流を供給する定電流供給部を備え、短絡検出部は、定電流供給部から定電流の供給を受けている出力側と並列に接続されるダイオードを有する回路の電圧が所定の閾値以上または所定の閾値を超えたときに出力側の短絡状態が解消されたと判断するものである。
【0009】
本発明の第二の観点は、電源装置としての観点である。すなわち、本発明の電源装置は、本発明の電源供給制御装置と、バッテリと、電源供給制御装置の制御に基づきバッテリの出力を切断または接続するスイッチと、を備え、スイッチは、電源供給制御装置が出力側の短絡を検出したときにはバッテリの出力を停止し、電源供給制御装置が出力側の短絡解消を検出したときにはバッテリの出力の停止を復旧するものである。
【0010】
本発明の第三の観点は、電源供給制御方法としての観点である。すなわち、本発明の電源供給制御方法は、出力側と並列に接続されるダイオードを有する回路の電圧を測定することにより出力側の短絡状態を判断する短絡検出ステップを有する電源供給制御方法において、出力側と並列に接続されるダイオードを有する回路のダイオードの順バイアス方向に定電流を供給する定電流供給ステップを有し、短絡検出ステップの処理として、定電流供給ステップの処理により定電流の供給を受けている出力側と並列に接続されるダイオードを有する回路の電圧が所定の閾値以上または所定の閾値を超えたときに出力側の短絡状態が解消されたと判断するステップを有するものである。
【0011】
本発明の第四の観点は、プログラムとしての観点である。すなわち、本発明のプログラムは、情報処理装置にインストールすることにより、その情報処理装置に、本発明の電源供給制御方法を実行させるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電源装置の過負荷状態が解消されると直ちに電源供給を再開することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係る電源装置の要部構成図である。
【図2】図1の電源供給制御装置の動作原理を説明するための図であり、負荷が正常である場合を示す図である。
【図3】図1の電源供給制御装置の動作原理を説明するための図であり、負荷に短絡が発生した場合を示す図である。
【図4】図2、図3に示す電圧測定部において計測される電圧値と短絡の有無との関係を説明するための図である。
【図5】図1の電源供給制御装置の動作原理を説明するための図であり、スイッチが短絡によりOFF状態となった場合を示す図である。
【図6】図1の電源供給制御装置の動作原理を説明するための図であり、負荷の短絡解消を測定する場合を示す図である。
【図7】図1の電源供給制御装置の動作原理を説明するための図であり、負荷の短絡状態が解消された場合を示す図である。
【図8】図6、図7に示す電圧測定部において計測される電圧値と短絡の有無との関係を説明するための図である。
【図9】図1の電源供給制御装置の動作手順を示すフローチャートである。
【図10】図1の電源供給制御装置の動作を示すタイムチャートである。
【図11】本発明の第二の実施の形態に係る電源装置の要部構成図である。
【図12】図11の電源供給制御装置の動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(本発明の第一の実施の形態に係る電源装置1の要部構成について)
本発明の第一の実施の形態に係る電源装置1の要部構成について図1を参照して説明する。図1は、電源装置1の要部構成図である。電源装置1は、図1に示すように、バッテリ10、ダイオード11、スイッチ12、抵抗13、抵抗14、ダイオード15、端子16、端子17、接地18、電源供給制御装置20を備える。また、電源供給制御装置20は、短絡検出部21、電圧測定部22、定電流供給部23を備える。また、電源装置1には、負荷19が端子16、17を介して接続されている。また、バッテリ10を充電するための充電制御部41を備えるが、以下の説明には直接関係が無いので説明を省略する。なお、以下に説明において、抵抗値、電圧値、電流値については、それぞれ単位Ω(オーム)、V(ボルト)、A(アンペア)の記載および図示を省略することとする。
【0015】
バッテリ10は直流電源であり、たとえばリチウムバッテリである。ダイオード11は、バッテリ10に対して電流が逆流することを阻止する部材である。スイッチ12は、バッテリ10による負荷19への電源供給をON(開始)/OFF(停止)する部材である。抵抗13および抵抗14は、スイッチ12がON状態のときに、バッテリ10から負荷19に供給される電流の一部が分岐点40により分岐されて流れることによって電圧を発生させる部材である。ダイオード15は、端子16側から電源供給制御装置20側への電流が逆流することを阻止する部材である。
【0016】
なお、ダイオード15は、抵抗13の抵抗値r1が大きい値に設定されているので、定電流供給部23が動作して定電流を出力側に供給する場合に定電流isを、端子16側に流す役割を果たしている。
【0017】
端子16および端子17は、負荷19が接続される部材である。接地18は、電源装置1に接地電位をもたらす部材である。負荷19は、通常は、バッテリ10により駆動される機器などである。ここで、負荷19によって端子16と端子17との間が短絡される場合とは、たとえば、ユーザが誤って負荷19が接続されている端子16、17にドライバーの先端などの金属を接触させるような場合が考えられる。あるいは、負荷19と端子16、17とを接続するための導線同士をユーザが誤って接触させてしまったような場合などが考えられる。
【0018】
電源供給制御装置20は、負荷19の短絡検出または短絡解消検出した場合のスイッチ12の制御を行う部材である。電源供給制御装置20の短絡検出部21は、負荷19の短絡の有無を検出する部材である。電源供給制御装置20の電圧測定部22は、抵抗13、抵抗14によって発生する電圧を測定する部材である。定電流供給部23は、定電流を抵抗13と抵抗14との接続部に供給する部材である。これにより、定電流供給部23によりダイオード15の順バイアス方向に定電流が供給される。
【0019】
(電源供給制御装置20の動作原理について)
次に、電源供給制御装置20の動作原理について図1〜図8を参照して説明する。まず、電源供給制御装置20が短絡を検出する動作原理について図2〜図4を参照して説明する。抵抗13の抵抗値をr1とし、抵抗14の抵抗値をr2とする。以下では、r1+r2=Rとして説明する。このときに、抵抗13の抵抗値r1と抵抗14の抵抗値r2との和Rは、負荷19の内部抵抗値rLと比較してきわめて大きくなるように設定することが好ましい(rL<<R)。すなわち、バッテリ10から負荷19に電源が供給される際、分岐点40によって抵抗13および抵抗14の方向に分岐される電流は、負荷19を駆動するためには使われないため、負荷19の方向に流れる電流と比較してきわめて小さいことが好ましい。一方で、電圧測定部22が測定可能な電圧値は、電圧測定部22の設計上、所定の値に決められている。よって、抵抗14の抵抗値r2は、電圧測定部22が測定可能な電圧値となるように設定されている。
【0020】
このように、2つの抵抗13および抵抗14による分圧回路を用いることにより、電圧測定部22が測定可能な電圧値を抵抗14の抵抗値を調整することによって実現しつつ抵抗13の抵抗値を調整することによって抵抗13と抵抗14の抵抗値の和Rを所望する大きな抵抗値とすることができる。
【0021】
また、電圧測定部22を直流電圧計の記号によって表記する。さらに、図2、図3、図5、図6、図7では、動作原理の説明に直接関係の無いダイオード11の図示は省略する。
【0022】
状況1:負荷19が正常である場合(図2)
バッテリ10は、スイッチ12、端子16、端子17を介して負荷19に電源を供給している。この場合には、図2に示すように、分岐点40によって負荷19に流れる電流i1(一点鎖線)の一部が分岐され、抵抗13、14側に電流値i2の電流(二点鎖線)が流れる。この電流値i2の電流によって抵抗13と抵抗14との接続点にはi2×r2=v1の電圧値が発生する。よって、電圧測定部22は、電圧値v1を短絡検出部21に出力する。このときには、負荷19の内部抵抗値rLは、抵抗13、14による抵抗値Rと比較してきわめて小さい抵抗値(rL<<R)となるため、電流値i2は電流値i1と比較してきわめて小さい電流値(i2<<i1)となる。
【0023】
状況2:負荷19に短絡が発生した場合(図3)
負荷19で短絡が発生すると、図3に示すように、負荷19が有する抵抗値r0Lは、ほぼ“0”になる(r0L≒0)。よって、負荷19に流れる電流値i3は、図2に示す電流値i1よりも増加する(i3>i1)。一方、抵抗13、14の分圧回路の間の電圧はほぼなくなるので、電圧測定部22は、電圧値“0”を短絡検出部21に出力する。
【0024】
ここで、短絡検出部21は、図4に示すように、電圧測定部22の測定する電圧値v1が閾値Th♯1以下の“0”となったことを検出することにより、負荷19に短絡が発生したことを検出することができる。このようにして、短絡検出部21は、電圧測定部22により測定される電圧値によって負荷19の短絡の有無を検出することができる。これにより、短絡検出部21は、スイッチ12をOFF状態とすべく制御を実施する。この短絡検出の原理とスイッチ12をOFF状態にする動作は従来の短絡検出方法と同じである。なお、図示は省略するがスイッチ12には、電源供給制御装置20からの指示によってスイッチ12をON/OFFするためのスイッチ駆動機構を有する。なお、閾値Th♯2について後述する。この閾値Th♯2は請求項でいう所定の閾値に相当する。
【0025】
状況3:スイッチ12が短絡によりOFF状態となった場合(図5)
短絡検出部21が負荷19で発生した短絡を検出すると、図3に示すように、スイッチ12をOFF状態となるように制御する。これにより、図5に示すように、電源装置1は、負荷19に対する電源供給を停止する。このときに、電圧測定部22は、電圧値“0”を短絡検出部21に出力する。
【0026】
状況4:負荷19の短絡解消を検出する場合(図6)
負荷19で短絡が発生し、図5に示すように、スイッチ12がOFF状態になると、これを受けて、定電流供給部23は、図6に示すように、抵抗13と抵抗14との接続点に電流値isの定電流の供給を開始する。これにより、定電流供給部23は、ダイオード15の順バイアス方向に定電流を供給する。この電流値isは、たとえば10μAなどのきわめて小さい電流値である。この電流値isの定電流は、抵抗13の抵抗値r1をダイオード15の内部抵抗値よりも十分大きく設定しているので、ダイオード15、端子16、負荷19、端子17を介して接地18に流れる。この電流値isの定電流によって、ダイオード15には、is×(ダイオード15の内部抵抗)=v2の電圧値が発生する。なお、抵抗13の抵抗値r1はダイオード15の内部抵抗値より数千倍以上大きいことが好ましい。よって、電圧測定部22は、電圧値v2を短絡検出部21に出力する。また、電圧値v2は、ダイオード15の順方向電圧降下(Vf)に相当する。
【0027】
状況5:負荷19の短絡が解消された場合(図7)
負荷19で発生した短絡が解消すると、図7に示すように、負荷19は、正常時の抵抗値rLに戻る。あるいは負荷19が接続状態となる。抵抗値r0L≒0であったので、rL>>r0Lとなる。これによって、抵抗14には、電流値i4の電流が流れる。これにより、抵抗14には、i4×r2=v3の電圧値が発生する。この抵抗14に流れる電流値i4の電流は出力側がオープン状態であれば電流値isの定電流と等しい。よって、電圧測定部22は、電圧値v3を短絡検出部21に出力する。なお、図7において負荷19を流れる電流値i5は、(=is−i4)になる。
【0028】
ここで、短絡検出部21には、図8に示すように、閾値Th♯2が設定されている。この閾値Th♯2は、負荷19が短絡状態であるときには、v2≦Th♯2となり、負荷19の短絡が解消したときには、v3>Th♯2となるように設定されている。また、図4で説明した閾値Th♯1と比べると高い値である。すなわち、図4で説明した閾値Th♯1は、電圧値“0”よりも高ければよいのに対し、図8の閾値Th♯2は、電圧値v2(=Vf)よりも高くなければならないからである。
【0029】
このようにして、短絡検出部21は、電圧測定部22により計測される電圧値によって負荷19の短絡の解消を検出することができる。負荷19の短絡の解消を検出した短絡検出部21は、スイッチ12をON状態にすべく制御を実施する。これにより、電源装置1は、再び図2に示す状態に復帰する。また、このときに、定電流供給部23による電流値isの定電流の供給を停止する。
【0030】
このようにして、電源供給制御装置20は、負荷19の短絡発生および短絡解消を検出し、スイッチ12のON/OFF制御を行うことができる。
【0031】
以上の電源供給制御装置20の動作手順を図9のフローチャートに示す。
START:電源供給制御装置20は、電源装置1が稼働を開始すると、ステップS1の処理へ移行する。なお、電源装置1が稼働を開始するとは、不図示の電源装置1の起動スイッチがON状態となる。あるいは、バッテリ10が電源装置1に装着されるなどの状態をいう。
【0032】
ステップS1:短絡検出部21は、電圧測定部22の測定する電圧値が閾値Th♯1以下になったか否かを判断する。短絡検出部21は、電圧測定部22から出力される電圧値が短絡が発生したことを判断する閾値Th♯1よりも高いv1であれば(ステップS1でNo)、ステップS1の処理を繰り返す。一方、短絡検出部21は、電圧測定部22から出力される電圧値が閾値Th♯1以下である“0”であれば(ステップS1でYes)、ステップS2の処理へ移行する。
【0033】
ステップS2:短絡検出部21は、負荷19が短絡状態と判断してスイッチ12をOFF状態に制御し、ステップS3の処理へ移行する。
【0034】
ステップS3:短絡検出部21は、定電流供給部23に指示を行い、定電流の供給を開始し、ステップS4の処理へ移行する。
【0035】
ステップS4:短絡検出部21は、電圧測定部22から出力される電圧値が閾値Th♯2以上か否かを判断する。短絡検出部21は、電圧測定部22から出力される電圧値が閾値Th♯2未満であれば(ステップS4でNo)、ステップS4の処理を繰り返す。一方、短絡検出部21は、電圧測定部22から出力される電圧値が閾値Th♯2以上であれば(ステップS4でYes)、ステップS5の処理へ移行する。
【0036】
ステップS5:短絡検出部21は、負荷19の短絡状態が解消したと判断してスイッチ12をON状態に制御すると共に定電流供給部23に指示を行い、定電流の供給を停止してステップS1の処理へ戻る。
【0037】
次に、電源供給制御装置20の動作をタイムチャートとして図10に示す。図10では、電圧測定部22による測定電圧値、短絡検出部21によるスイッチ制御および定電流供給部23による定電流供給について併記する。さらに、参考として、端子16、17における端子電圧についても併記する。
【0038】
T1:短絡無し
電圧測定部22は、電圧値v1を出力する。このとき短絡検出部21は、短絡を検出していないため、スイッチ12をON状態としている。また、短絡検出部21は、定電流供給部23に対して定電流供給を指示していない。また、このときの端子16、17の電圧値はvTとする。
【0039】
T2:短絡発生
電圧測定部22は、電圧値“0”を出力する。短絡検出部21は、閾値Th♯1よりも低い電圧値“0”が電圧測定部22から出力されたので短絡を検出する。ここで、短絡状態と判断された場合、バッテリ(電源)10を保護する必要があるので、スイッチ12をOFF状態に移行する時間は速い方が好ましく、スイッチ12をOFF状態に移行する時間は、たとえば500μsec(マイクロセコンド)以下が好ましい。このとき短絡検出部21は、バッテリ10にとって影響の無い瞬間的な短絡については無視したいので多少の監視時間を設けてある。この監視時間は、たとえば250μsecである。また、このときの端子16、17の電圧値は“0”になる。したがって、スイッチ12をOFF状態に移行する時間は、たとえば250μsec〜500μsec以下が好ましい。
【0040】
T3:スイッチOFF制御実施、定電流供給開始
短絡検出部21は、監視時間(たとえば250μsec)が経過すると、スイッチ12をOFF状態に制御する。また、短絡検出部21は、スイッチ12をOFF状態に制御すると共に、定電流供給部23に定電流供給の指示を出す。定電流供給部23は、短絡検出部21からの指示を受けて定電流の供給を開始する。また、このときの端子16、17の電圧値は“0”のままである。
【0041】
T4:短絡継続
負荷19の短絡が継続している状態では、定電流供給部23がダイオード15の順バイアス方向に供給する定電流によってダイオード15にはダイオード15の順方向電圧降下Vfに相当する電圧値v2が発生し続ける。電圧測定部22は、この電圧値v2を短絡検出部21に出力する。短絡検出部21は、電圧測定部22からの電圧値v2と閾値Th♯2とを比較し、電圧値v2が閾値Th♯2未満であるので短絡が解消していないと判断する。また、このときの端子16、17の電圧値は“0”のままである。
【0042】
T5:短絡解消検出
負荷19の短絡が解消すると、定電流供給部23が供給する定電流は抵抗14側に流れるようになる。これにより、電圧測定部22は、閾値Th♯2以上の電圧値v3を短絡検出部21に出力する。短絡検出部21は、電圧値v3と閾値Th♯2とを比較し、電圧値v3(V)がTh♯2以上であるので負荷19の短絡解消を検出する。このとき短絡検出部21は、瞬間的な短絡解消については無視したいので多少の監視時間を設けてある。この監視時間は、たとえば250μsec(マイクロセコンド)である。また、このときの端子16、17の電圧値vtは、(i5×rL)となる。
【0043】
T6:スイッチON制御実施、定電流供給停止
短絡検出部21は、監視時間(たとえば250μsec)が経過すると、スイッチ12をON状態に制御すると共に定電流供給部23に対して定電流供給の停止を指示する。定電流供給部23は、短絡検出部21からの定電流供給の停止指示を受け取ると定電流の供給を停止する。
【0044】
これにより、電源装置1は、負荷19の短絡が解消されると直ちに負荷19への電源供給を再開することができる。これは、できる限り速やかな電源供給の再開を望むユーザにとってユーザの要求を満足するものである。また、特許文献1の過負荷保護回路のように、短絡解消をスイッチ12を定期的にON状態に戻して判断すると、短絡状態が解消していなければ、短時間ではあるがバッテリ10から大きな電流が流れることになる。これはバッテリ10の容量を急速に低下させる原因となる。電源装置1では、ごく微小な定電流(たとえば10μA)によって短絡解消の検出を行うため、短絡解消検出のためにバッテリ10の容量を低下させるといったことも回避できる。
【0045】
(本発明の第二の実施の形態に係る電源装置1Aの要部構成について)
本発明の第二の実施の形態に係る電源装置1Aの要部構成について図11を参照して説明する。図11は、電源装置1Aの要部構成図である。電源装置1Aは、電源装置1とは一部が異なる。以下では、第一の実施の形態と同一または同種の部材は同一または同一系の符号を用いて説明し、その説明を省略または簡略化し、かつ異なる部材について主として説明する。
【0046】
電源装置1Aは、電源装置1が備える抵抗13、抵抗14を備えない。また、電源装置1Aは、電源供給制御装置20Aを備える。電源供給制御装置20Aは、短絡検出部21A、電圧測定部22A、定電流供給部23Aを備える。
【0047】
短絡検出部21Aの処理および動作については第一の実施の形態における短絡検出部21と同じである。
【0048】
定電流供給部23Aは、電源装置1Aが稼働中であれば常時、電流値isの定電流をダイオード15の順バイアス方向に対して供給し続ける。これにより、電圧測定部22Aは、ダイオード15および負荷19の内部抵抗と定電流供給部23Aがダイオード15の順バイアス方向に対して供給する電流値isの定電流とによって生じる電圧値を測定する。
【0049】
(電源供給制御装置20Aの動作原理について)
次に、電源供給制御装置20Aの動作原理について図12を参照して説明する。負荷19が正常(短絡無し)である場合(図12のT1)、電圧測定部22Aは、ダイオード15および負荷19の内部抵抗と定電流供給部23Aがダイオード15の順バイアス方向に対して供給する電流値isの定電流とによって生じる電圧値v1Aを測定している。
【0050】
電圧測定部22Aの測定結果は、短絡検出部21Aに出力される。短絡検出部21Aは、電圧測定部22Aの測定結果が電圧値v1Aである場合、負荷19は正常(短絡無し)と判定する。
【0051】
ここで、負荷19に短絡が発生すると(図12のT2)、ダイオード15の分岐41側は接地18と同電位となる。これにより、電圧測定部22Aが測定する電圧値は、ダイオード15の内部抵抗と定電流供給部23Aがダイオード15の順バイアス方向に対して供給する定電流とによって生じるダイオード15の順方向電圧降下Vfに相当する電圧値v2となる。
【0052】
短絡検出部21Aは、電圧測定部22Aの測定結果が電圧値v2となったことを受け、負荷19における短絡発生を検出し、スイッチ12をOFF状態に制御する(図12のT3)。短絡検出部21Aは、電圧測定部22Aの測定結果が電圧値v2である内は短絡継続としてスイッチ12をOFF状態のまま待機する(図12のT4)。
【0053】
ここで、負荷19の短絡が解消すると、電圧測定部22Aは、再びダイオード15および負荷19の内部抵抗と定電流供給部23Aがダイオード15の順バイアス方向に対して供給する電流値isの定電流とによって生じる電圧値v1Aを測定するようになる。短絡検出部21Aは、電圧測定部22Aの測定結果が電圧値v1Aに復帰したことを受けて短絡解消を検出する(図12のT5)。
【0054】
短絡検出部21Aは、短絡解消を検出するとスイッチ12をON状態に制御する(図12のT6)。
【0055】
電源供給制御装置20Aの動作手順を示すフローチャートは、図9に示した電源供給制御装置20の動作手順を示すフローチャートの内、ステップS3の「定電流供給開始」を削除したものと同じになる。すなわち、電源供給制御装置20Aでは、電源装置1Aの稼働中には常時、定電流供給部23Aからダイオード15の順バイアス方向に対して定電流を供給し続けている。このため、図9のステップS3の処理は不要である。なお、図4に示すv1は、第二の実施の形態ではv1Aに置き替えられる。また、図8に示すv3は、第二の実施の形態ではv1Aに置き替えられる。
【0056】
(ICおよびプログラムを用いる実施の形態)
電源供給制御装置20は、短絡検出部21、電圧測定部22、定電流供給部23の3つの機能ブロックからなる構成として説明したが、これらの機能を併せ持つ1つの電子回路を構成し、この電子回路をIC(Integrated Circuit)として実現することができる。
【0057】
あるいは、電源供給制御装置20の短絡検出部21、電圧測定部22、定電流供給部23は、所定のプログラムにより動作する汎用の情報処理装置(CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal
Processor)、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)など)によって構成されてもよい。例えば、汎用の情報処理装置は、メモリ、CPU、入出力ポートなどを有する。汎用の情報処理装置のCPUは、メモリなどから所定のプログラムとして制御プログラムを読み込んで実行する。これにより、汎用の情報処理装置には、電源供給制御装置20の短絡検出部21、電圧測定部22、定電流供給部23の機能が実現される。
【0058】
なお、汎用の情報処理装置が実行する制御プログラムは、電源供給制御装置20の出荷前に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであっても、電源供給制御装置20の出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであってもよい。また、制御プログラムの一部が、電源供給制御装置20の出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであってもよい。電源供給制御装置20の出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶される制御プログラムは、例えば、CD−ROMなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶されているものをインストールしたものであっても、インターネットなどの伝送媒体を介してダウンロードしたものをインストールしたものであってもよい。
【0059】
また、制御プログラムは、汎用の情報処理装置によって直接実行可能なものだけでなく、ハードディスクなどにインストールすることによって実行可能となるものも含む。また、圧縮されたり、暗号化されたりしたものも含む。
【0060】
また、電源供給制御装置20を、上述したように、ICあるいは汎用の情報処理装置(CPU、DSP、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)など)によって構成して小型化することにより、バッテリ10を内蔵するバッテリパック内部に組み込むことができる。
【0061】
これにより、電源装置1をバッテリパックなどに内蔵可能な小型な構成としながら電源装置1の過負荷状態が検出されると電源供給を停止し、電源装置1の過負荷状態が解消されると直ちに電源供給を再開することができる電源装置1を実現することができる。
【0062】
(その他の実施の形態)
本発明の実施の形態は、その要旨を逸脱しない限り、様々に変更が可能である。たとえば、図9のフローチャートにおいて、ステップS1の電圧値が閾値Th♯1以下であるか否かを判断する処理を、電圧値が閾値Th♯1未満であるか否かを判断する処理に変更してもよい。ステップS4の電圧値が閾値Th♯2以上であるか否かを判断する処理を、電圧値が閾値Th♯2を超えたか否かを判断する処理に変更してもよい。
【0063】
また、第一の実施の形態における定電流供給部23が供給する定電流については、きわめて微小な電流値であるため、電源装置1が稼働中には常時流すようにしてもバッテリ10の寿命に対する影響は少ない。よって、定電流供給部23が供給する定電流については、第二の実施の形態と同様に、第一の実施の形態においても電源装置1の稼働中には常時流すようにしてもよい。この場合、図9のフローチャートにおけるステップS3の処理「定電流供給開始」は削除される。
【0064】
この場合には、図3に示した負荷19の短絡発生時において、電圧測定部22の出力は“0”にはならない。すなわち、負荷19に短絡が発生した場合には、定電流供給部23からの定電流がダイオード15の順バイアス方向に供給されるので、電圧測定部22に表れる電圧はv2(=Vt)である。なお、この場合でも電流値isは微小であるため、閾値Th♯2>閾値Th♯1の関係には変わりはない。
【符号の説明】
【0065】
1、1A…電源装置、10…バッテリ(電源)、13、14…抵抗(出力側と並列に接続される回路)、15…ダイオード(出力側と並列に接続される回路)、16、17…端子、19…負荷、20、20A…電源供給制御装置、21、21A…短絡検出部、22、22A…電圧測定部、23、23A…定電流供給部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源供給制御装置、電源供給制御方法、プログラムおよび電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電源装置の過負荷保護について、たとえば特許文献1に提案がなされている。特許文献1では、電源装置の過負荷時に電源供給を停止する過負荷保護回路が開示されている。なお、電源装置が過負荷状態となる一般的な原因として負荷の短絡が考えられる。
【0003】
また、特許文献1の過負荷保護回路では、過負荷が解消されたか否かを検出するためにタイマを用い、定期的に電源供給を再開することにより電源装置の過負荷状態を確認している。このときに、電源装置の過負荷状態が解消していれば、電源供給を再開する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−28532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の過負荷保護回路では、タイマを用い定期的に電源供給を再開することにより電源装置の過負荷状態を確認している。よって、タイマにより設定されている周期の時刻が来ないと電源装置の過負荷状態の確認はできない。すなわち、タイマにより設定されている周期の時刻の合間において電源装置の過負荷状態が解消していたとしても特許文献1の過負荷保護回路では、それを検出できない。
【0006】
これにより、特許文献1の過負荷保護回路では、既に電源装置の過負荷状態が解消しているにも関わらずタイマの周期の時刻が来ていないために、電源供給の再開が遅れるという状況が発生する。このような状況は、できる限り速やかな電源供給の再開を望むユーザにとってユーザの要求を満足しないものである。
【0007】
本発明は、このような背景の下に行われたものであって、電源装置の過負荷状態が解消されると直ちに電源供給を再開することができる電源供給制御装置、電源供給制御方法、プログラムおよび電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の観点は、電源供給制御装置としての観点である。すなわち、本発明の電源供給制御装置は、出力側と並列に接続されるダイオードを有する回路の電圧を測定することにより出力側の短絡状態を判断する短絡検出部を備える電源供給制御装置において、出力側と並列に接続されるダイオードを有する回路のダイオードの順バイアス方向に定電流を供給する定電流供給部を備え、短絡検出部は、定電流供給部から定電流の供給を受けている出力側と並列に接続されるダイオードを有する回路の電圧が所定の閾値以上または所定の閾値を超えたときに出力側の短絡状態が解消されたと判断するものである。
【0009】
本発明の第二の観点は、電源装置としての観点である。すなわち、本発明の電源装置は、本発明の電源供給制御装置と、バッテリと、電源供給制御装置の制御に基づきバッテリの出力を切断または接続するスイッチと、を備え、スイッチは、電源供給制御装置が出力側の短絡を検出したときにはバッテリの出力を停止し、電源供給制御装置が出力側の短絡解消を検出したときにはバッテリの出力の停止を復旧するものである。
【0010】
本発明の第三の観点は、電源供給制御方法としての観点である。すなわち、本発明の電源供給制御方法は、出力側と並列に接続されるダイオードを有する回路の電圧を測定することにより出力側の短絡状態を判断する短絡検出ステップを有する電源供給制御方法において、出力側と並列に接続されるダイオードを有する回路のダイオードの順バイアス方向に定電流を供給する定電流供給ステップを有し、短絡検出ステップの処理として、定電流供給ステップの処理により定電流の供給を受けている出力側と並列に接続されるダイオードを有する回路の電圧が所定の閾値以上または所定の閾値を超えたときに出力側の短絡状態が解消されたと判断するステップを有するものである。
【0011】
本発明の第四の観点は、プログラムとしての観点である。すなわち、本発明のプログラムは、情報処理装置にインストールすることにより、その情報処理装置に、本発明の電源供給制御方法を実行させるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電源装置の過負荷状態が解消されると直ちに電源供給を再開することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係る電源装置の要部構成図である。
【図2】図1の電源供給制御装置の動作原理を説明するための図であり、負荷が正常である場合を示す図である。
【図3】図1の電源供給制御装置の動作原理を説明するための図であり、負荷に短絡が発生した場合を示す図である。
【図4】図2、図3に示す電圧測定部において計測される電圧値と短絡の有無との関係を説明するための図である。
【図5】図1の電源供給制御装置の動作原理を説明するための図であり、スイッチが短絡によりOFF状態となった場合を示す図である。
【図6】図1の電源供給制御装置の動作原理を説明するための図であり、負荷の短絡解消を測定する場合を示す図である。
【図7】図1の電源供給制御装置の動作原理を説明するための図であり、負荷の短絡状態が解消された場合を示す図である。
【図8】図6、図7に示す電圧測定部において計測される電圧値と短絡の有無との関係を説明するための図である。
【図9】図1の電源供給制御装置の動作手順を示すフローチャートである。
【図10】図1の電源供給制御装置の動作を示すタイムチャートである。
【図11】本発明の第二の実施の形態に係る電源装置の要部構成図である。
【図12】図11の電源供給制御装置の動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(本発明の第一の実施の形態に係る電源装置1の要部構成について)
本発明の第一の実施の形態に係る電源装置1の要部構成について図1を参照して説明する。図1は、電源装置1の要部構成図である。電源装置1は、図1に示すように、バッテリ10、ダイオード11、スイッチ12、抵抗13、抵抗14、ダイオード15、端子16、端子17、接地18、電源供給制御装置20を備える。また、電源供給制御装置20は、短絡検出部21、電圧測定部22、定電流供給部23を備える。また、電源装置1には、負荷19が端子16、17を介して接続されている。また、バッテリ10を充電するための充電制御部41を備えるが、以下の説明には直接関係が無いので説明を省略する。なお、以下に説明において、抵抗値、電圧値、電流値については、それぞれ単位Ω(オーム)、V(ボルト)、A(アンペア)の記載および図示を省略することとする。
【0015】
バッテリ10は直流電源であり、たとえばリチウムバッテリである。ダイオード11は、バッテリ10に対して電流が逆流することを阻止する部材である。スイッチ12は、バッテリ10による負荷19への電源供給をON(開始)/OFF(停止)する部材である。抵抗13および抵抗14は、スイッチ12がON状態のときに、バッテリ10から負荷19に供給される電流の一部が分岐点40により分岐されて流れることによって電圧を発生させる部材である。ダイオード15は、端子16側から電源供給制御装置20側への電流が逆流することを阻止する部材である。
【0016】
なお、ダイオード15は、抵抗13の抵抗値r1が大きい値に設定されているので、定電流供給部23が動作して定電流を出力側に供給する場合に定電流isを、端子16側に流す役割を果たしている。
【0017】
端子16および端子17は、負荷19が接続される部材である。接地18は、電源装置1に接地電位をもたらす部材である。負荷19は、通常は、バッテリ10により駆動される機器などである。ここで、負荷19によって端子16と端子17との間が短絡される場合とは、たとえば、ユーザが誤って負荷19が接続されている端子16、17にドライバーの先端などの金属を接触させるような場合が考えられる。あるいは、負荷19と端子16、17とを接続するための導線同士をユーザが誤って接触させてしまったような場合などが考えられる。
【0018】
電源供給制御装置20は、負荷19の短絡検出または短絡解消検出した場合のスイッチ12の制御を行う部材である。電源供給制御装置20の短絡検出部21は、負荷19の短絡の有無を検出する部材である。電源供給制御装置20の電圧測定部22は、抵抗13、抵抗14によって発生する電圧を測定する部材である。定電流供給部23は、定電流を抵抗13と抵抗14との接続部に供給する部材である。これにより、定電流供給部23によりダイオード15の順バイアス方向に定電流が供給される。
【0019】
(電源供給制御装置20の動作原理について)
次に、電源供給制御装置20の動作原理について図1〜図8を参照して説明する。まず、電源供給制御装置20が短絡を検出する動作原理について図2〜図4を参照して説明する。抵抗13の抵抗値をr1とし、抵抗14の抵抗値をr2とする。以下では、r1+r2=Rとして説明する。このときに、抵抗13の抵抗値r1と抵抗14の抵抗値r2との和Rは、負荷19の内部抵抗値rLと比較してきわめて大きくなるように設定することが好ましい(rL<<R)。すなわち、バッテリ10から負荷19に電源が供給される際、分岐点40によって抵抗13および抵抗14の方向に分岐される電流は、負荷19を駆動するためには使われないため、負荷19の方向に流れる電流と比較してきわめて小さいことが好ましい。一方で、電圧測定部22が測定可能な電圧値は、電圧測定部22の設計上、所定の値に決められている。よって、抵抗14の抵抗値r2は、電圧測定部22が測定可能な電圧値となるように設定されている。
【0020】
このように、2つの抵抗13および抵抗14による分圧回路を用いることにより、電圧測定部22が測定可能な電圧値を抵抗14の抵抗値を調整することによって実現しつつ抵抗13の抵抗値を調整することによって抵抗13と抵抗14の抵抗値の和Rを所望する大きな抵抗値とすることができる。
【0021】
また、電圧測定部22を直流電圧計の記号によって表記する。さらに、図2、図3、図5、図6、図7では、動作原理の説明に直接関係の無いダイオード11の図示は省略する。
【0022】
状況1:負荷19が正常である場合(図2)
バッテリ10は、スイッチ12、端子16、端子17を介して負荷19に電源を供給している。この場合には、図2に示すように、分岐点40によって負荷19に流れる電流i1(一点鎖線)の一部が分岐され、抵抗13、14側に電流値i2の電流(二点鎖線)が流れる。この電流値i2の電流によって抵抗13と抵抗14との接続点にはi2×r2=v1の電圧値が発生する。よって、電圧測定部22は、電圧値v1を短絡検出部21に出力する。このときには、負荷19の内部抵抗値rLは、抵抗13、14による抵抗値Rと比較してきわめて小さい抵抗値(rL<<R)となるため、電流値i2は電流値i1と比較してきわめて小さい電流値(i2<<i1)となる。
【0023】
状況2:負荷19に短絡が発生した場合(図3)
負荷19で短絡が発生すると、図3に示すように、負荷19が有する抵抗値r0Lは、ほぼ“0”になる(r0L≒0)。よって、負荷19に流れる電流値i3は、図2に示す電流値i1よりも増加する(i3>i1)。一方、抵抗13、14の分圧回路の間の電圧はほぼなくなるので、電圧測定部22は、電圧値“0”を短絡検出部21に出力する。
【0024】
ここで、短絡検出部21は、図4に示すように、電圧測定部22の測定する電圧値v1が閾値Th♯1以下の“0”となったことを検出することにより、負荷19に短絡が発生したことを検出することができる。このようにして、短絡検出部21は、電圧測定部22により測定される電圧値によって負荷19の短絡の有無を検出することができる。これにより、短絡検出部21は、スイッチ12をOFF状態とすべく制御を実施する。この短絡検出の原理とスイッチ12をOFF状態にする動作は従来の短絡検出方法と同じである。なお、図示は省略するがスイッチ12には、電源供給制御装置20からの指示によってスイッチ12をON/OFFするためのスイッチ駆動機構を有する。なお、閾値Th♯2について後述する。この閾値Th♯2は請求項でいう所定の閾値に相当する。
【0025】
状況3:スイッチ12が短絡によりOFF状態となった場合(図5)
短絡検出部21が負荷19で発生した短絡を検出すると、図3に示すように、スイッチ12をOFF状態となるように制御する。これにより、図5に示すように、電源装置1は、負荷19に対する電源供給を停止する。このときに、電圧測定部22は、電圧値“0”を短絡検出部21に出力する。
【0026】
状況4:負荷19の短絡解消を検出する場合(図6)
負荷19で短絡が発生し、図5に示すように、スイッチ12がOFF状態になると、これを受けて、定電流供給部23は、図6に示すように、抵抗13と抵抗14との接続点に電流値isの定電流の供給を開始する。これにより、定電流供給部23は、ダイオード15の順バイアス方向に定電流を供給する。この電流値isは、たとえば10μAなどのきわめて小さい電流値である。この電流値isの定電流は、抵抗13の抵抗値r1をダイオード15の内部抵抗値よりも十分大きく設定しているので、ダイオード15、端子16、負荷19、端子17を介して接地18に流れる。この電流値isの定電流によって、ダイオード15には、is×(ダイオード15の内部抵抗)=v2の電圧値が発生する。なお、抵抗13の抵抗値r1はダイオード15の内部抵抗値より数千倍以上大きいことが好ましい。よって、電圧測定部22は、電圧値v2を短絡検出部21に出力する。また、電圧値v2は、ダイオード15の順方向電圧降下(Vf)に相当する。
【0027】
状況5:負荷19の短絡が解消された場合(図7)
負荷19で発生した短絡が解消すると、図7に示すように、負荷19は、正常時の抵抗値rLに戻る。あるいは負荷19が接続状態となる。抵抗値r0L≒0であったので、rL>>r0Lとなる。これによって、抵抗14には、電流値i4の電流が流れる。これにより、抵抗14には、i4×r2=v3の電圧値が発生する。この抵抗14に流れる電流値i4の電流は出力側がオープン状態であれば電流値isの定電流と等しい。よって、電圧測定部22は、電圧値v3を短絡検出部21に出力する。なお、図7において負荷19を流れる電流値i5は、(=is−i4)になる。
【0028】
ここで、短絡検出部21には、図8に示すように、閾値Th♯2が設定されている。この閾値Th♯2は、負荷19が短絡状態であるときには、v2≦Th♯2となり、負荷19の短絡が解消したときには、v3>Th♯2となるように設定されている。また、図4で説明した閾値Th♯1と比べると高い値である。すなわち、図4で説明した閾値Th♯1は、電圧値“0”よりも高ければよいのに対し、図8の閾値Th♯2は、電圧値v2(=Vf)よりも高くなければならないからである。
【0029】
このようにして、短絡検出部21は、電圧測定部22により計測される電圧値によって負荷19の短絡の解消を検出することができる。負荷19の短絡の解消を検出した短絡検出部21は、スイッチ12をON状態にすべく制御を実施する。これにより、電源装置1は、再び図2に示す状態に復帰する。また、このときに、定電流供給部23による電流値isの定電流の供給を停止する。
【0030】
このようにして、電源供給制御装置20は、負荷19の短絡発生および短絡解消を検出し、スイッチ12のON/OFF制御を行うことができる。
【0031】
以上の電源供給制御装置20の動作手順を図9のフローチャートに示す。
START:電源供給制御装置20は、電源装置1が稼働を開始すると、ステップS1の処理へ移行する。なお、電源装置1が稼働を開始するとは、不図示の電源装置1の起動スイッチがON状態となる。あるいは、バッテリ10が電源装置1に装着されるなどの状態をいう。
【0032】
ステップS1:短絡検出部21は、電圧測定部22の測定する電圧値が閾値Th♯1以下になったか否かを判断する。短絡検出部21は、電圧測定部22から出力される電圧値が短絡が発生したことを判断する閾値Th♯1よりも高いv1であれば(ステップS1でNo)、ステップS1の処理を繰り返す。一方、短絡検出部21は、電圧測定部22から出力される電圧値が閾値Th♯1以下である“0”であれば(ステップS1でYes)、ステップS2の処理へ移行する。
【0033】
ステップS2:短絡検出部21は、負荷19が短絡状態と判断してスイッチ12をOFF状態に制御し、ステップS3の処理へ移行する。
【0034】
ステップS3:短絡検出部21は、定電流供給部23に指示を行い、定電流の供給を開始し、ステップS4の処理へ移行する。
【0035】
ステップS4:短絡検出部21は、電圧測定部22から出力される電圧値が閾値Th♯2以上か否かを判断する。短絡検出部21は、電圧測定部22から出力される電圧値が閾値Th♯2未満であれば(ステップS4でNo)、ステップS4の処理を繰り返す。一方、短絡検出部21は、電圧測定部22から出力される電圧値が閾値Th♯2以上であれば(ステップS4でYes)、ステップS5の処理へ移行する。
【0036】
ステップS5:短絡検出部21は、負荷19の短絡状態が解消したと判断してスイッチ12をON状態に制御すると共に定電流供給部23に指示を行い、定電流の供給を停止してステップS1の処理へ戻る。
【0037】
次に、電源供給制御装置20の動作をタイムチャートとして図10に示す。図10では、電圧測定部22による測定電圧値、短絡検出部21によるスイッチ制御および定電流供給部23による定電流供給について併記する。さらに、参考として、端子16、17における端子電圧についても併記する。
【0038】
T1:短絡無し
電圧測定部22は、電圧値v1を出力する。このとき短絡検出部21は、短絡を検出していないため、スイッチ12をON状態としている。また、短絡検出部21は、定電流供給部23に対して定電流供給を指示していない。また、このときの端子16、17の電圧値はvTとする。
【0039】
T2:短絡発生
電圧測定部22は、電圧値“0”を出力する。短絡検出部21は、閾値Th♯1よりも低い電圧値“0”が電圧測定部22から出力されたので短絡を検出する。ここで、短絡状態と判断された場合、バッテリ(電源)10を保護する必要があるので、スイッチ12をOFF状態に移行する時間は速い方が好ましく、スイッチ12をOFF状態に移行する時間は、たとえば500μsec(マイクロセコンド)以下が好ましい。このとき短絡検出部21は、バッテリ10にとって影響の無い瞬間的な短絡については無視したいので多少の監視時間を設けてある。この監視時間は、たとえば250μsecである。また、このときの端子16、17の電圧値は“0”になる。したがって、スイッチ12をOFF状態に移行する時間は、たとえば250μsec〜500μsec以下が好ましい。
【0040】
T3:スイッチOFF制御実施、定電流供給開始
短絡検出部21は、監視時間(たとえば250μsec)が経過すると、スイッチ12をOFF状態に制御する。また、短絡検出部21は、スイッチ12をOFF状態に制御すると共に、定電流供給部23に定電流供給の指示を出す。定電流供給部23は、短絡検出部21からの指示を受けて定電流の供給を開始する。また、このときの端子16、17の電圧値は“0”のままである。
【0041】
T4:短絡継続
負荷19の短絡が継続している状態では、定電流供給部23がダイオード15の順バイアス方向に供給する定電流によってダイオード15にはダイオード15の順方向電圧降下Vfに相当する電圧値v2が発生し続ける。電圧測定部22は、この電圧値v2を短絡検出部21に出力する。短絡検出部21は、電圧測定部22からの電圧値v2と閾値Th♯2とを比較し、電圧値v2が閾値Th♯2未満であるので短絡が解消していないと判断する。また、このときの端子16、17の電圧値は“0”のままである。
【0042】
T5:短絡解消検出
負荷19の短絡が解消すると、定電流供給部23が供給する定電流は抵抗14側に流れるようになる。これにより、電圧測定部22は、閾値Th♯2以上の電圧値v3を短絡検出部21に出力する。短絡検出部21は、電圧値v3と閾値Th♯2とを比較し、電圧値v3(V)がTh♯2以上であるので負荷19の短絡解消を検出する。このとき短絡検出部21は、瞬間的な短絡解消については無視したいので多少の監視時間を設けてある。この監視時間は、たとえば250μsec(マイクロセコンド)である。また、このときの端子16、17の電圧値vtは、(i5×rL)となる。
【0043】
T6:スイッチON制御実施、定電流供給停止
短絡検出部21は、監視時間(たとえば250μsec)が経過すると、スイッチ12をON状態に制御すると共に定電流供給部23に対して定電流供給の停止を指示する。定電流供給部23は、短絡検出部21からの定電流供給の停止指示を受け取ると定電流の供給を停止する。
【0044】
これにより、電源装置1は、負荷19の短絡が解消されると直ちに負荷19への電源供給を再開することができる。これは、できる限り速やかな電源供給の再開を望むユーザにとってユーザの要求を満足するものである。また、特許文献1の過負荷保護回路のように、短絡解消をスイッチ12を定期的にON状態に戻して判断すると、短絡状態が解消していなければ、短時間ではあるがバッテリ10から大きな電流が流れることになる。これはバッテリ10の容量を急速に低下させる原因となる。電源装置1では、ごく微小な定電流(たとえば10μA)によって短絡解消の検出を行うため、短絡解消検出のためにバッテリ10の容量を低下させるといったことも回避できる。
【0045】
(本発明の第二の実施の形態に係る電源装置1Aの要部構成について)
本発明の第二の実施の形態に係る電源装置1Aの要部構成について図11を参照して説明する。図11は、電源装置1Aの要部構成図である。電源装置1Aは、電源装置1とは一部が異なる。以下では、第一の実施の形態と同一または同種の部材は同一または同一系の符号を用いて説明し、その説明を省略または簡略化し、かつ異なる部材について主として説明する。
【0046】
電源装置1Aは、電源装置1が備える抵抗13、抵抗14を備えない。また、電源装置1Aは、電源供給制御装置20Aを備える。電源供給制御装置20Aは、短絡検出部21A、電圧測定部22A、定電流供給部23Aを備える。
【0047】
短絡検出部21Aの処理および動作については第一の実施の形態における短絡検出部21と同じである。
【0048】
定電流供給部23Aは、電源装置1Aが稼働中であれば常時、電流値isの定電流をダイオード15の順バイアス方向に対して供給し続ける。これにより、電圧測定部22Aは、ダイオード15および負荷19の内部抵抗と定電流供給部23Aがダイオード15の順バイアス方向に対して供給する電流値isの定電流とによって生じる電圧値を測定する。
【0049】
(電源供給制御装置20Aの動作原理について)
次に、電源供給制御装置20Aの動作原理について図12を参照して説明する。負荷19が正常(短絡無し)である場合(図12のT1)、電圧測定部22Aは、ダイオード15および負荷19の内部抵抗と定電流供給部23Aがダイオード15の順バイアス方向に対して供給する電流値isの定電流とによって生じる電圧値v1Aを測定している。
【0050】
電圧測定部22Aの測定結果は、短絡検出部21Aに出力される。短絡検出部21Aは、電圧測定部22Aの測定結果が電圧値v1Aである場合、負荷19は正常(短絡無し)と判定する。
【0051】
ここで、負荷19に短絡が発生すると(図12のT2)、ダイオード15の分岐41側は接地18と同電位となる。これにより、電圧測定部22Aが測定する電圧値は、ダイオード15の内部抵抗と定電流供給部23Aがダイオード15の順バイアス方向に対して供給する定電流とによって生じるダイオード15の順方向電圧降下Vfに相当する電圧値v2となる。
【0052】
短絡検出部21Aは、電圧測定部22Aの測定結果が電圧値v2となったことを受け、負荷19における短絡発生を検出し、スイッチ12をOFF状態に制御する(図12のT3)。短絡検出部21Aは、電圧測定部22Aの測定結果が電圧値v2である内は短絡継続としてスイッチ12をOFF状態のまま待機する(図12のT4)。
【0053】
ここで、負荷19の短絡が解消すると、電圧測定部22Aは、再びダイオード15および負荷19の内部抵抗と定電流供給部23Aがダイオード15の順バイアス方向に対して供給する電流値isの定電流とによって生じる電圧値v1Aを測定するようになる。短絡検出部21Aは、電圧測定部22Aの測定結果が電圧値v1Aに復帰したことを受けて短絡解消を検出する(図12のT5)。
【0054】
短絡検出部21Aは、短絡解消を検出するとスイッチ12をON状態に制御する(図12のT6)。
【0055】
電源供給制御装置20Aの動作手順を示すフローチャートは、図9に示した電源供給制御装置20の動作手順を示すフローチャートの内、ステップS3の「定電流供給開始」を削除したものと同じになる。すなわち、電源供給制御装置20Aでは、電源装置1Aの稼働中には常時、定電流供給部23Aからダイオード15の順バイアス方向に対して定電流を供給し続けている。このため、図9のステップS3の処理は不要である。なお、図4に示すv1は、第二の実施の形態ではv1Aに置き替えられる。また、図8に示すv3は、第二の実施の形態ではv1Aに置き替えられる。
【0056】
(ICおよびプログラムを用いる実施の形態)
電源供給制御装置20は、短絡検出部21、電圧測定部22、定電流供給部23の3つの機能ブロックからなる構成として説明したが、これらの機能を併せ持つ1つの電子回路を構成し、この電子回路をIC(Integrated Circuit)として実現することができる。
【0057】
あるいは、電源供給制御装置20の短絡検出部21、電圧測定部22、定電流供給部23は、所定のプログラムにより動作する汎用の情報処理装置(CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal
Processor)、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)など)によって構成されてもよい。例えば、汎用の情報処理装置は、メモリ、CPU、入出力ポートなどを有する。汎用の情報処理装置のCPUは、メモリなどから所定のプログラムとして制御プログラムを読み込んで実行する。これにより、汎用の情報処理装置には、電源供給制御装置20の短絡検出部21、電圧測定部22、定電流供給部23の機能が実現される。
【0058】
なお、汎用の情報処理装置が実行する制御プログラムは、電源供給制御装置20の出荷前に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであっても、電源供給制御装置20の出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであってもよい。また、制御プログラムの一部が、電源供給制御装置20の出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであってもよい。電源供給制御装置20の出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶される制御プログラムは、例えば、CD−ROMなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶されているものをインストールしたものであっても、インターネットなどの伝送媒体を介してダウンロードしたものをインストールしたものであってもよい。
【0059】
また、制御プログラムは、汎用の情報処理装置によって直接実行可能なものだけでなく、ハードディスクなどにインストールすることによって実行可能となるものも含む。また、圧縮されたり、暗号化されたりしたものも含む。
【0060】
また、電源供給制御装置20を、上述したように、ICあるいは汎用の情報処理装置(CPU、DSP、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)など)によって構成して小型化することにより、バッテリ10を内蔵するバッテリパック内部に組み込むことができる。
【0061】
これにより、電源装置1をバッテリパックなどに内蔵可能な小型な構成としながら電源装置1の過負荷状態が検出されると電源供給を停止し、電源装置1の過負荷状態が解消されると直ちに電源供給を再開することができる電源装置1を実現することができる。
【0062】
(その他の実施の形態)
本発明の実施の形態は、その要旨を逸脱しない限り、様々に変更が可能である。たとえば、図9のフローチャートにおいて、ステップS1の電圧値が閾値Th♯1以下であるか否かを判断する処理を、電圧値が閾値Th♯1未満であるか否かを判断する処理に変更してもよい。ステップS4の電圧値が閾値Th♯2以上であるか否かを判断する処理を、電圧値が閾値Th♯2を超えたか否かを判断する処理に変更してもよい。
【0063】
また、第一の実施の形態における定電流供給部23が供給する定電流については、きわめて微小な電流値であるため、電源装置1が稼働中には常時流すようにしてもバッテリ10の寿命に対する影響は少ない。よって、定電流供給部23が供給する定電流については、第二の実施の形態と同様に、第一の実施の形態においても電源装置1の稼働中には常時流すようにしてもよい。この場合、図9のフローチャートにおけるステップS3の処理「定電流供給開始」は削除される。
【0064】
この場合には、図3に示した負荷19の短絡発生時において、電圧測定部22の出力は“0”にはならない。すなわち、負荷19に短絡が発生した場合には、定電流供給部23からの定電流がダイオード15の順バイアス方向に供給されるので、電圧測定部22に表れる電圧はv2(=Vt)である。なお、この場合でも電流値isは微小であるため、閾値Th♯2>閾値Th♯1の関係には変わりはない。
【符号の説明】
【0065】
1、1A…電源装置、10…バッテリ(電源)、13、14…抵抗(出力側と並列に接続される回路)、15…ダイオード(出力側と並列に接続される回路)、16、17…端子、19…負荷、20、20A…電源供給制御装置、21、21A…短絡検出部、22、22A…電圧測定部、23、23A…定電流供給部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力側と並列に接続されるダイオードを有する回路の電圧を測定することにより上記出力側の短絡状態を判断する短絡検出部を備える電源供給制御装置において、
上記出力側と並列に接続される上記ダイオードを有する回路の上記ダイオードの順バイアス方向に定電流を供給する定電流供給部を備え、
上記短絡検出部は、上記定電流供給部から定電流の供給を受けている上記出力側と並列に接続される上記ダイオードを有する回路の電圧が所定の閾値以上または所定の閾値を超えたときに上記出力側の短絡状態が解消されたと判断する、
ことを特徴とする電源供給制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の電源供給制御装置と、
バッテリと、
前記電源供給制御装置の制御に基づき上記バッテリの出力を切断または接続するスイッチと、
を備え、
上記スイッチは、上記電源供給制御装置が出力側の短絡を検出したときには上記バッテリの出力を停止し、上記電源供給制御装置が出力側の短絡解消を検出したときには上記バッテリの出力の停止を復旧する、
ことを特徴とする電源装置。
【請求項3】
出力側と並列に接続されるダイオードを有する回路の電圧を測定することにより上記出力側の短絡状態を判断する短絡検出ステップを有する電源供給制御方法において、
上記出力側と並列に接続される上記ダイオードを有する回路の上記ダイオードの順バイアス方向に定電流を供給する定電流供給ステップを有し、
上記短絡検出ステップの処理として、上記定電流供給ステップの処理により定電流の供給を受けている上記出力側と並列に接続される上記ダイオードを有する回路の電圧が所定の閾値以上または所定の閾値を超えたときに上記出力側の短絡状態が解消されたと判断するステップを有する、
ことを特徴とする電源供給制御方法。
【請求項4】
情報処理装置にインストールすることにより、その情報処理装置に、請求項3記載の電源供給制御方法を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項1】
出力側と並列に接続されるダイオードを有する回路の電圧を測定することにより上記出力側の短絡状態を判断する短絡検出部を備える電源供給制御装置において、
上記出力側と並列に接続される上記ダイオードを有する回路の上記ダイオードの順バイアス方向に定電流を供給する定電流供給部を備え、
上記短絡検出部は、上記定電流供給部から定電流の供給を受けている上記出力側と並列に接続される上記ダイオードを有する回路の電圧が所定の閾値以上または所定の閾値を超えたときに上記出力側の短絡状態が解消されたと判断する、
ことを特徴とする電源供給制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の電源供給制御装置と、
バッテリと、
前記電源供給制御装置の制御に基づき上記バッテリの出力を切断または接続するスイッチと、
を備え、
上記スイッチは、上記電源供給制御装置が出力側の短絡を検出したときには上記バッテリの出力を停止し、上記電源供給制御装置が出力側の短絡解消を検出したときには上記バッテリの出力の停止を復旧する、
ことを特徴とする電源装置。
【請求項3】
出力側と並列に接続されるダイオードを有する回路の電圧を測定することにより上記出力側の短絡状態を判断する短絡検出ステップを有する電源供給制御方法において、
上記出力側と並列に接続される上記ダイオードを有する回路の上記ダイオードの順バイアス方向に定電流を供給する定電流供給ステップを有し、
上記短絡検出ステップの処理として、上記定電流供給ステップの処理により定電流の供給を受けている上記出力側と並列に接続される上記ダイオードを有する回路の電圧が所定の閾値以上または所定の閾値を超えたときに上記出力側の短絡状態が解消されたと判断するステップを有する、
ことを特徴とする電源供給制御方法。
【請求項4】
情報処理装置にインストールすることにより、その情報処理装置に、請求項3記載の電源供給制御方法を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−233389(P2010−233389A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79798(P2009−79798)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(390013723)TDKラムダ株式会社 (272)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(390013723)TDKラムダ株式会社 (272)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
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