説明

電源供給装置

【課題】電源として燃料電池を用いた場合であっても、追従性よく直流電力を負荷機器に供給し、最終的には環境負荷も低減する。
【解決手段】監視装置7の負荷電流検出部70は負荷電流Iを検出する。負荷電流Iが変化したと判定部72で判定されると、制御部73は、第2の期間が経過するまで、燃料電池163が接続されている第2の電源機器6(FCコンバータ6c)の出力電流Io2(Ioc)を一定にする。このとき、商用電源ACが接続されている第1の電源機器5の出力電流Io1が負荷電流Iの変化に追従する。第2の期間が経過した後、制御部73は、第1の期間が経過するまでに、出力電流Iocが負荷電流Iの変化に追従するような指示値をFCコンバータ6cに送信する。FCコンバータ6cは、制御部73から指示値を受け取ると、調整手段を用いて出力電流−出力電圧特性をシフトし、指示値通りの出力電流Iocを直流機器102に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数台の電源機器が並列運転して直流電力を負荷機器に供給する電源供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数台の電源機器が並列運転して直流電力を負荷機器に供給する電源供給装置として、さまざまな方式のものが知られている。
【0003】
従来の電源供給装置の一例として、出力電流が大きくなると出力電圧が単調に小さくなる電源機器を2台備える電源供給装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この電源供給装置では、2台の電源機器の出力電流−出力電圧特性の傾斜角度が異なっている。つまり、出力電流が同じ大きさだけ変化したときに、一方の電源機器の出力電圧の変化量と他方の電源機器の出力電圧の変化量とが異なる。
【0004】
上記のような電源供給装置では、すべての負荷機器の総使用電流(負荷電流)の大きさに応じて、各電源機器がそれぞれ出力電流−出力電圧特性と負荷電流のバランス点で落ち着くことによって、各電源機器から任意の出力電圧で任意の出力電流を出力することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−248253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、2台の電源機器の出力電流−出力電圧特性の傾斜角度が異なっている電源供給装置は、負荷電流の大きさに応じて各電源機器の出力電圧つまり負荷機器への供給電圧が変動してしまうため、負荷機器への供給電圧を安定に保つことができないという問題があった。仮に、このような電源供給装置に対して、各電源機器の出力電流を所望の電流値に変更したときに、出力電流の変更前後において負荷機器への供給電圧を定電圧に保つためには、2台の電源機器の出力電流−出力電圧特性の両方を水平移動する必要があり、構成が複雑になってしまう。
【0007】
ここで、上記問題を解決するための手段として、並列運転する複数台の電源機器のうち、1台の電源機器が定電圧制御であり、残りの電源機器が、出力電流が大きくなるにつれて単調に小さくなる直流電圧を出力電圧とする傾斜制御である電源供給装置が考えられる。このような電源供給装置では、傾斜制御の電源機器の出力電圧が定電圧制御の電源機器の出力電圧(基準電圧)に合わせ込まれた状態で、傾斜制御の電源機器が電流を負荷機器に出力する。このとき、負荷電流の不足分は、定電圧制御の電源機器から負荷機器に出力される。これにより、この電源供給装置では、負荷電流がある程度変化しても、負荷機器への供給電圧を定電圧(定電圧制御の電源機器の出力電圧)に保ったまま、負荷機器への電力供給を安定に行うことができる。
【0008】
ところで、上記のような電源機器に接続される電源として、燃料電池が用いられる場合がある。電源供給装置において、できるだけ燃料電池を用いて直流電力を負荷機器に供給するほうが、商用電源を入力電源とする商用電源用電源機器の出力電流つまり交流系統からの消費電力をできるだけ小さくすることができるので、環境負荷を低減することができる。
【0009】
しかしながら、燃料電池による発電は、燃料電池で用いられる水素が改質器によって都市ガスから作られ、燃料電池による発電量を変更するのに、改質器への都市ガスの供給量の調整などを機械的に制御する必要があるため、商用電源などに比べて負荷電流の増減に対する追従性が遅いという問題があった。
【0010】
また、負荷電流が急激に変動した場合に、急峻な負荷変動に対して燃料電池の動作を追従させることによって、燃料電池の耐久性を低下させるという問題があった。例えば燃料電池の出力が急激に減少した場合、燃料電池では、供給されたガス量が余り、電圧が上昇してしまう。そうすると、過電圧により、膜の耐電圧劣化が起こるため、燃料電池の耐久性を低下させてしまう。一方、燃料電池の出力が急激に増加した場合、燃料電池では、反応が追いつかず、その結果、燃料電池の耐久性を低下させる可能性がある。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、その目的は、電源として燃料電池を用いた場合であっても、追従性よく直流電力を負荷機器に供給することができ、最終的には環境負荷も低減することができる電源供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、商用電源を入力電源とし出力電流の大きさに関わらず定電圧となる直流電圧を出力電圧とする商用電源用電源機器と、燃料電池を入力電源とし出力電流が大きくなるにつれて単調に小さくなる直流電圧を出力電圧とし前記商用電源用電源機器と並列運転して直流電力を負荷機器に供給する燃料電池用電源機器と、前記負荷機器に供給される負荷電流の電流値を検出する負荷電流検出手段と、前記負荷電流検出手段で検出された負荷電流が変化したか否かを判定する判定手段と、前記燃料電池用電源機器の出力電圧が前記商用電源用電源機器の出力電圧に合わせ込まれたときの当該燃料電池用電源機器の出力電流の電流値を制御する制御手段とを備え、前記燃料電池用電源機器は、前記負荷機器への電力供給時に出力電流と出力電圧の関係を示す出力電流−出力電圧特性をシフトする調整手段を有し、前記制御手段は、前記判定手段で前記負荷電流が変化したと判定された場合、前記燃料電池用電源機器の出力電流の変化率が予め設定された値より小さくなるように第1の期間を設定し、前記負荷電流の変化後、前記第1の期間で前記燃料電池用電源機器の出力電流が前記負荷電流に追従するように前記調整手段を制御して当該燃料電池用電源機器の出力電流−出力電圧特性をシフトさせることを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記負荷電流検出手段で検出された前記負荷電流の単位時間あたりの変化量を負荷電流変化率とし、前記制御手段は、前記負荷電流変化率が大きいほど前記第1の期間を長く設定することを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記制御手段は、前記判定手段で前記負荷電流が変化したと判定された場合、前記燃料電池用電源機器の出力電流を前記負荷電流が変化した時点から第2の期間、一定に保ち、前記第2の期間が経過した後、前記第1の期間で前記燃料電池用電源機器の出力電流が前記負荷電流に追従するように前記調整手段を制御して当該燃料電池用電源機器の出力電流−出力電圧特性をシフトさせることを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1または2の発明において、前記負荷電流検出手段で検出された前記負荷電流の単位時間あたりの変化量を負荷電流変化率とし、前記負荷電流変化率が予め設定された閾値以上であるか否かを判定する変化率判定手段を備え、前記制御手段は、前記変化率判定手段で前記負荷電流変化率が前記閾値未満であると判定された場合、前記負荷電流が変化した時点から前記第1の期間で前記燃料電池用電源機器の出力電流が前記負荷電流の変化に追従するように前記調整手段を制御して当該燃料電池用電源機器の出力電流−出力電圧特性をシフトさせる一方、前記変化率判定手段で前記負荷電流変化率が前記閾値以上であると判定された場合、前記燃料電池用電源機器の出力電流を前記負荷電流が変化した時点から第2の期間、一定に保ち、前記第2の期間が経過した後、前記第1の期間で前記燃料電池用電源機器の出力電流が前記負荷電流に追従するように前記調整手段を制御して当該燃料電池用電源機器の出力電流−出力電圧特性をシフトさせることを特徴とする。
【0016】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記制御手段は、前記第1の期間における前記燃料電池用電源機器の出力電流の変化率が前記閾値より小さくなるように当該第1の期間を設定することを特徴とする。
【0017】
請求項6の発明は、商用電源を入力電源とし出力電流の大きさに関わらず定電圧となる直流電圧を出力電圧とする商用電源用電源機器と、燃料電池を入力電源とし出力電流が大きくなるにつれて単調に小さくなる直流電圧を出力電圧とし前記商用電源用電源機器と並列運転して直流電力を負荷機器に供給する燃料電池用電源機器と、前記負荷機器に供給される負荷電流の電流値を検出する負荷電流検出手段と、前記負荷電流検出手段で検出された負荷電流の単位時間あたりの変化量である負荷電流変化率が予め設定された閾値以上であるか否かを判定する変化率判定手段と、前記燃料電池用電源機器の出力電圧が前記商用電源用電源機器の出力電圧に合わせ込まれたときの当該燃料電池用電源機器の出力電流の電流値を制御する制御手段とを備え、前記燃料電池用電源機器は、前記負荷機器への電力供給時に出力電流と出力電圧の関係を示す出力電流−出力電圧特性をシフトする調整手段を有し、前記制御手段は、前記変化率判定手段で前記負荷電流変化率が前記閾値以上であると判定された場合、前記燃料電池用電源機器の出力電流の変化率が前記閾値より小さくなるように第1の期間を設定し、前記負荷電流の変化後、前記第1の期間で前記燃料電池用電源機器の出力電流が前記負荷電流に追従するように前記調整手段を制御して当該燃料電池用電源機器の出力電流−出力電圧特性をシフトさせることを特徴とする。
【0018】
請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記制御手段は、前記変化率判定手段で前記負荷電流変化率が前記閾値以上であると判定された場合、前記燃料電池用電源機器の出力電流を前記負荷電流が変化した時点から第2の期間、一定に保ち、前記第2の期間が経過した後、前記第1の期間で前記燃料電池用電源機器の出力電流が前記負荷電流に追従するように前記調整手段を制御して当該燃料電池用電源機器の出力電流−出力電圧特性をシフトさせることを特徴とする。
【0019】
請求項8の発明は、請求項3〜5,7のいずれか1項の発明において、前記第2の期間は予め固定されていることを特徴とする。
【0020】
請求項9の発明は、請求項1〜8のいずれか1項の発明において、二次電池が接続され、前記燃料電池用電源機器は、前記負荷電流の減少によって前記商用電源用電源機器の電流出力が停止したときに前記燃料電池用電源機器の出力電流が前記負荷電流より大きい場合、前記燃料電池用電源機器の出力電流のうち、少なくとも当該燃料電池用電源機器の出力電流と前記負荷電流との差分電流を前記二次電池の充電電流とし、当該燃料電池用電源機器の残りの出力電流を前記負荷機器に出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明によれば、負荷電流が変化したときに、第1の期間における燃料電池用電源機器の出力電流の変化率が予め設定された値より小さくなるように第1の期間を設定することによって、燃料電池を入力電源とする燃料電池用電源機器の出力電流を負荷電流に比べて緩やかに変化させて負荷電流に追従させることができるので、燃料電池の追従が遅くても、燃料電池用電源装置の出力電流が負荷電流に追従するまでの間、商用電源を入力電源とする商用電源用電源機器が補償することができる。その結果、電源供給装置としてみれば、追従性よく直流電力を負荷機器に供給することができるとともに、最終的には商用電源用電源機器の出力電流つまり交流系統からの消費電力をできるだけ小さくすることができるので、環境負荷を低減することができ、電気代も安価にすることができる。
【0022】
また、請求項1の発明によれば、燃料電池用電源機器の出力電流を負荷電流に比べて緩やかに変化させることによって、燃料電池の動作を急峻に変化させることがないので、燃料電池の耐久性の低下を抑えることができる。
【0023】
請求項2の発明によれば、負荷電流変化率が大きいほど第1の期間を長く設定することによって、第1の期間において燃料電池用電源機器の出力電流の急激な変化をより確実に防止することができるので、燃料電池の耐久性の低下をさらに抑えることができる。
【0024】
請求項3の発明によれば、負荷電流が変化したときに常に第2の期間が経過してから燃料電池用電源機器の出力電流を負荷電流に追従させることによって、燃料電池用電源機器の出力電流が負荷電流の変化と同時に急激に変化するのを防止することができる。
【0025】
請求項4の発明によれば、緩やかな負荷電流の変化に対しては燃料電池用電源機器の出力電流を最初から変化させる一方、急激な負荷電流の変化に対しては負荷電流が変化した時点から第2の期間、燃料電池用電源機器の出力電流を一定にし、一時的に商用電源用電源機器において負荷変動を吸収し、その後、燃料電池用電源機器の出力電流を変化させて、燃料電池用電源機器の出力電流を負荷電流に追従させることができるので、最終的には負荷機器との電力バランスを得ることができる。
【0026】
請求項5の発明によれば、第1の期間における燃料電池用電源機器の出力電流の変化率が負荷電流変化率の閾値より小さくなるように第1の期間を設定することによって、第1の期間において燃料電池用電源機器の出力電流の急激な変化をより確実に防止することができるので、燃料電池の耐久性の低下をさらに抑えることができる。
【0027】
請求項6の発明によれば、負荷電流変化率が閾値以上となったときに、第1の期間における燃料電池用電源機器の出力電流の変化率が閾値より小さくなるように第1の期間を設定することによって、燃料電池を入力電源とする燃料電池用電源機器の出力電流を負荷電流に比べて緩やかに変化させて負荷電流に追従させることができ、燃料電池の動作を急峻に変化させることがないので、燃料電池の耐久性の低下を抑えることができる。また、燃料電池の追従が遅くても、燃料電池用電源装置の出力電流が負荷電流に追従するまでの間、商用電源を入力電源とする商用電源用電源機器が補償することができるので、電源供給装置としてみれば、追従性よく直流電力を負荷機器に供給することができる。
【0028】
一方、負荷電流変化率が閾値未満である場合、燃料電池用電源機器の出力電流を負荷電流にそのまま追従させることによって、商用電源用電源機器の出力電流つまり交流系統からの消費電力をできるだけ小さくすることができるので、環境負荷を低減することができ、電気代も安価にすることができる。
【0029】
請求項7の発明によれば、負荷電流が変化した時点から第2の期間、燃料電池用電源機器の出力電流を一定にし、一時的に商用電源用電源機器において負荷変動を吸収し、その後、燃料電池用電源機器の出力電流を変化させて、燃料電池用電源機器の出力電流を負荷電流に追従させることができるので、最終的には負荷機器との電力バランスを得ることができる。
【0030】
請求項8の発明によれば、例えば第2の期間が数ミリ秒間〜数十ミリ秒間に予め固定されることによって、負荷電流の変化による商用電源用電源機器の動作が安定していない間に燃料電池用電源機器の出力電流が変動して商用電源用電源機器が安定出力するまでにさらに時間がかかってしまうのを低減することができるので、負荷機器へ電力供給をより安定にすることができる。一方、例えば第2の期間が数十秒間〜数分間に予め固定されることによって、すぐに停止させられる負荷機器の使用の場合(負荷機器の一時使用の場合)に、あえて燃料電池用電源機器の出力電流を変化させないようにすることができるので、燃料電池の負荷を増加させないようにすることができ、燃料電池の劣化を防止することができる。
【0031】
請求項9の発明によれば、負荷電流の減少によって商用電源用電源機器の電流出力が停止したときに燃料電池用電源機器の出力電流が負荷電流より大きい場合に、燃料電池用電源機器の出力電流の一部を二次電池の充電電流とすることによって、燃料電池の定出力性を保つことができるので、燃料電池の劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態の要部を示すブロック図である。
【図2】同上の構成図である。
【図3】同上に係る第1の電源機器の回路図である。
【図4】同上に係る第2の電源機器の回路図である。
【図5】同上に係る電源供給装置において、(a)が第2の電源機器の出力電流−出力電圧特性を示す図、(b)が第1の電源機器の出力電流−出力電圧特性を示す図、(c)が第2の電源機器の出力電流について説明する図である。
【図6】同上に係る第2の電源機器の動作を説明する図である。
【図7】同上に係る第2の電源機器の出力電流−出力電圧特性のシフトについて説明する図である。
【図8】同上に係る電源供給装置の動作を説明するフローチャートである。
【図9】同上に係る電源供給装置において、(a)がFCコンバータの出力電流−出力電圧特性を示す図、(b)が第1の電源機器の出力電流−出力電圧特性を示す図である。
【図10】同上に係る電源供給装置において、(a)がFCコンバータの出力電流−出力電圧特性を示す図、(b)が第1の電源機器の出力電流−出力電圧特性を示す図である。
【図11】同上に係る電源供給装置の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(実施形態1)
以下に説明する形態は、本発明を適用する建物として戸建て住宅の家屋を想定して説明するが、本発明の技術思想を集合住宅に適用することを妨げるものではない。家屋Hには、図2に示すように、直流電力を出力する直流電力供給部101と、直流電力により駆動される負荷としての直流機器(負荷機器)102とが設けられ、直流電力供給部101の出力端部に接続した直流供給線路Wdcを通して直流機器102に直流電力が供給される。直流電力供給部101と直流機器102との間には、直流供給線路Wdcに流れる電流を監視し、異常を検知したときに直流供給線路Wdc上で直流電力供給部101から直流機器102への給電を制限ないし遮断する直流ブレーカ114が設けられる。
【0034】
直流供給線路Wdcは、直流電力の給電路であるとともに通信路としても兼用されており、高周波の搬送波を用いてデータを伝送する通信信号を直流電圧に重畳することにより直流供給線路Wdcに接続された機器間での通信を可能にしている。この技術は、交流電力を供給する電力線において交流電圧に通信信号を重畳させる電力線搬送技術と類似した技術である。
【0035】
直流供給線路Wdcは、直流電力供給部101を介して宅内サーバ116に接続される。宅内サーバ116は、宅内の通信網(以下「宅内網」という)を構築する主装置であり、宅内網において直流機器102が構築するサブシステムなどと通信を行う。
【0036】
図示例では、サブシステムとして、パーソナルコンピュータ、無線アクセスポイント、ルータ、IP電話機のような情報系の直流機器102からなる情報機器システムK101、照明器具のような照明系の直流機器102からなる照明システムK102,K105、来客対応や侵入者の監視などを行う直流機器102からなる玄関システムK103、火災感知器のような警報系の直流機器102からなる住警器システムK104などがある。各サブシステムは、自立分散システムを構成しており、サブシステム単独でも動作が可能になっている。
【0037】
上述した直流ブレーカ114は、サブシステムに関連付けて設けられており、図示例では、情報機器システムK101、照明システムK102および玄関システムK103、住警器システムK104、照明システムK105に関連付けて4個の直流ブレーカ114を設けている。1台の直流ブレーカ114に複数個のサブシステムを関連付ける場合には、サブシステムごとに直流供給線路Wdcの系統を分割する接続ボックス121が設けられる。図示例においては、照明システムK102と玄関システムK103との間に接続ボックス121が設けられている。
【0038】
情報機器システムK101としては、壁コンセントあるいは床コンセントの形態で家屋Hに先行配置(家屋Hの建築時に施工)される直流コンセント131に接続される直流機器102からなる情報機器システムK101が設けられる。
【0039】
照明システムK102,K105としては、家屋Hに先行配置される照明器具(直流機器102)からなる照明システムK102と、天井に先行配置される引掛シーリング132に接続する照明器具(直流機器102)からなる照明システムK105とが設けられる。引掛シーリング132には、家屋Hの内装施工時に施工業者が照明器具を取り付けるか、または家人自身が照明器具を取り付ける。
【0040】
照明システムK102を構成する直流機器102である照明器具に対する制御の指示は、赤外線リモコン装置を用いて与えるほか、直流供給線路Wdcに接続されたスイッチ141から通信信号を用いて与えることができる。照明システムK105を構成する直流機器102である照明器具に対する制御の指示は、赤外線リモコン装置を用いて与えるほか、直流供給線路Wdcに接続されたスイッチ142から通信信号を用いて与えることができる。すなわち、スイッチ141,142は直流機器102とともに通信の機能を有している。また、スイッチ141,142の操作によらず、宅内網の別の直流機器102あるいは宅内サーバ116から通信信号により制御の指示がなされることもある。照明器具への指示には、点灯、消灯、調光、点滅点灯などがある。
【0041】
上述した直流コンセント131、引掛シーリング132には、任意の直流機器102を接続することができ、接続された直流機器102に直流電力を出力するから、以下では直流コンセント131、引掛シーリング132を区別する必要がない場合には「直流アウトレット」と呼ぶ。
【0042】
これらの直流アウトレットは、直流機器102に直接設けた接触子(図示せず)または接続線を介して設けた接触子(図示せず)が差し込まれる差込式の接続口が器体に開口し、接続口に差し込まれた接触子に直接接触する接触子受けが器体に保持された構造を有している。すなわち、直流アウトレットは接触式で給電を行う。直流アウトレットに接続された直流機器102が通信機能を有する場合には、直流供給線路Wdcを通して通信信号を伝送することが可能になる。直流機器102だけではなく直流アウトレットにも通信機能が設けられている。
【0043】
宅内サーバ116は、宅内網に接続されるだけではなく、インターネットを構築する広域網NTに接続される接続口を有している。宅内サーバ116が広域網NTに接続されている場合には、広域網NTに接続されたコンピュータサーバであるセンタサーバ200によるサービスを享受することができる。
【0044】
センタサーバ200が提供するサービスには、広域網NTを通して宅内網に接続された機器(主として直流機器102であるが通信機能を有した他の機器も含む)の監視や制御を可能にするサービスがある。このサービスにより、パーソナルコンピュータ、インターネットTV、移動体電話機などのブラウザ機能を備える通信端末(図示せず)を用いて宅内網に接続された機器の監視や制御が可能になる。
【0045】
宅内サーバ116は、広域網NTに接続されたセンタサーバ200との間の通信と、宅内網に接続された機器との間の通信との両方の機能を備え、宅内網の機器に関する識別情報(ここでは、IPアドレスを用いるものとする)の取得の機能を備える。
【0046】
宅内サーバ116は、センタサーバ200との通信機能を用いることにより、広域網NTに接続された通信端末からセンタサーバ200を通して宅内の機器の監視や制御を可能にする。センタサーバ200は、宅内の機器と広域網NT上の通信端末とを仲介する。
【0047】
通信端末から宅内の機器の監視や制御を行う場合は、監視や制御の要求をセンタサーバ200に記憶させ、宅内の機器は定期的に片方向のポーリング通信を行うことにより、通信端末からの監視や制御の要求を受信する。この動作により、通信端末から宅内の機器の監視や制御が可能になる。
【0048】
また、宅内の機器において火災検知など通信端末に通知すべきイベントが生じたときには、宅内の機器からセンタサーバ200に通知し、センタサーバ200から通信端末に対して電子メールによる通知を行う。
【0049】
宅内サーバ116における宅内網との通信機能のうち重要な機能は、宅内網を構成する機器の検出と管理である。宅内サーバ116では、UPnP(Universal Plug and Play)を応用して宅内網に接続された機器を自動的に検出する。宅内サーバ116はブラウザ機能を有する表示器117を備え、検出した機器の一覧を表示器117に表示する。この表示器117はタッチパネル式もしくは操作部が付設された構成を有し、表示器117の画面に表示された選択肢から所望の内容を選択する操作が可能になっている。したがって、宅内サーバ116の利用者(施工業者あるいは家人)は、表示器117の画面上で機器の監視ないし制御が可能になる。表示器117は宅内サーバ116とは分離して設けてもよい。
【0050】
宅内サーバ116では、機器の接続に関する情報を管理しており、宅内網に接続された機器の種類や機能とアドレスとを把握する。したがって、宅内網の機器を連動動作させることができる。機器の接続に関する情報は上述のように自動的に検出されるが、機器を連動動作させるには、機器自身が保有する属性により自動的に関係付けを行うほか、宅内サーバ116にパーソナルコンピュータのような情報端末を接続し、情報端末のブラウザ機能を利用して機器の関係付けを行うこともできる。
【0051】
機器の連動動作の関係は各機器がそれぞれ保持する。したがって、機器は宅内サーバ116を通すことなく連動動作することができる。各機器について、連動動作の関係付けを行うことにより、例えば、機器であるスイッチの操作により、機器である照明器具の点灯あるいは消灯の動作を行うことが可能になる。また、連動動作の関係付けはサブシステム内で行うことが多いが、サブシステムを超える関係付けも可能である。
【0052】
ところで、直流電力供給部101は、基本的には、宅外から供給される商用電源ACの電力変換により直流電力を生成する。図示する構成では、商用電源ACは、分電盤110に内器として取り付けられた主幹ブレーカ111を通して、スイッチング電源を含むAC/DCコンバータ112に入力される。AC/DCコンバータ112から出力される直流電力は、協調制御部113を通して各直流ブレーカ114に接続される。
【0053】
直流電力供給部101には、商用電源ACから電力が供給されない期間(例えば商用電源ACの停電期間)に備えて二次電池162が設けられている。二次電池162としては、例えばリチウムイオン二次電池などが用いられる。また、直流電力を生成する太陽電池161や燃料電池163を併用することも可能になっている。商用電源ACから直流電力を生成するAC/DCコンバータ112を備える主電源に対して、太陽電池161や二次電池162や燃料電池163は分散電源になる。なお、図示していないが、二次電池162は、充電を制御する回路部を含んでいる。
【0054】
二次電池162は、商用電源ACや太陽電池161、燃料電池163によって適時充電され、二次電池162の放電は、商用電源ACから電力が供給されない期間だけではなく必要に応じて適時に行われる。二次電池162の充放電や主電源と分散電源との協調は、協調制御部113により行われる。すなわち、協調制御部113は、直流電力供給部101を構成する主電源および分散電源から直流機器102への電力の配分を制御する直流電力制御部として機能する。
【0055】
直流機器102の駆動電圧は機器に応じた複数種類の電圧から選択されるから、協調制御部113にDC/DCコンバータを設け、主電源および分散電源から得られる直流電圧を必要な電圧に変換するのが望ましい。通常は、1系統のサブシステム(もしくは1台の直流ブレーカ114に接続された直流機器102)に対して1種類の電圧が供給されるが、1系統のサブシステムに対して3線以上を用いて複数種類の電圧を供給するように構成してもよい。また、直流供給線路Wdcを2線式とし、線間に印加する電圧を時間経過に伴って変化させる構成を採用することも可能である。DC/DCコンバータは、直流ブレーカと同様に複数に分散して設けてもよい。
【0056】
上述の構成例では、AC/DCコンバータ112を1個だけ図示しているが、複数個のAC/DCコンバータ112を並設することが可能であり、複数個のAC/DCコンバータ112を設けるときには、負荷の大きさに応じて運転するAC/DCコンバータ112の台数を増減させるのが望ましい。
【0057】
上述したAC/DCコンバータ112、協調制御部113、直流ブレーカ114、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163には通信機能が設けられており、主電源および分散電源や直流機器102を含む負荷の状態に対処する連携動作を行うことを可能にしている。この通信に用いる通信信号は、直流機器102に用いる通信信号と同様に直流電圧に重畳する形式で伝送する。
【0058】
上述の例では主幹ブレーカ111から出力された交流電力をAC/DCコンバータ112により直流電力に変換するために、AC/DCコンバータ112を分電盤110内に配置しているが、主幹ブレーカ111の出力側において分電盤110内に設けた分岐ブレーカ(図示せず)で交流供給線路を複数系統に分岐し、各系統の交流供給線路にAC/DCコンバータを設けて系統ごとに直流電力に変換する構成を採用してもよい。
【0059】
この場合、家屋Hの各階や各部屋を単位として直流電力供給部101を設けることができるから、直流電力供給部101を系統別に管理することができ、しかも、直流電力を利用する直流機器102との間の直流供給線路Wdcの距離が小さくなるから、直流供給線路Wdcでの電圧降下による電力損失を低減させることができる。また、主幹ブレーカ111および分岐ブレーカを分電盤110に収納し、AC/DCコンバータ112と協調制御部113と直流ブレーカ114と宅内サーバ116とを分電盤110とは別の盤に収納してもよい。
【0060】
続いて、直流電力供給部101に収納されている電源供給装置3について図1を用いて説明する。電源供給装置3は、並列運転して直流電力を直流機器(負荷機器)102に供給する複数台(図示例では4台)の電源機器4(5,6)と、直流電力供給のシステム全体を監視する監視装置7とを備えている。
【0061】
複数台の電源機器4は、1台の第1の電源機器5と、複数台(図示例では3台)の第2の電源機器6(6a〜6c)とで構成されている。
【0062】
第1の電源機器5は、出力電流Io1の大きさに関わらず常に定電圧となる直流電圧を出力電圧Vo1とするものである(図5(b)参照)。第1の電源機器5には、商用電源ACからの電源電圧が入力電圧Vi1(図3参照)として入力される。つまり、第1の電源機器5は、商用電源ACを入力電源として直流電力を直流機器102に供給する商用電源用電源機器である。
【0063】
この第1の電源機器5は、図3に示すように、出力電圧Vo1を検出する電圧検出手段50と、基準電圧V2と電圧検出手段50の検出電圧V1とに応じてオンデューティ幅が設定されたパルス幅変調信号S1を生成するスイッチング制御手段51と、スイッチング制御手段51からのパルス幅変調信号S1のオンデューティ幅に応じてオンオフ動作するスイッチング素子520を有するDC/DCコンバータ52とを備えている。
【0064】
電圧検出手段50は、直列接続の2つの抵抗器500,501と、抵抗器500,501による分割電圧が入力される電圧ホロア502とを備えており、第1の電源機器5の出力電圧Vo1を検出する。
【0065】
スイッチング制御手段51は、電圧検出手段50の検出電圧(電圧ホロア502の出力電圧)V1および基準電圧V2が入力されるスイッチングIC510を備えている。
【0066】
スイッチングIC510は、基準電圧V2と検出電圧V1との差分電圧(V2−V1)が一定となるようにオンデューティ幅が設定されたパルス幅変調信号S1をスイッチング素子520に出力する。つまり、スイッチングIC510は、出力電圧Vo1(検出電圧V1)が常に一定となるように、パルス幅変調信号S1のオンデューティ幅を設定する。
【0067】
DC/DCコンバータ52は、入力側から順に、平滑コンデンサ521と、インダクタ522と、スイッチング素子520と、ダイオード523と、平滑コンデンサ524とを備えており、スイッチング素子520のオンオフ動作によって入力電圧Vi1を昇圧する。
【0068】
スイッチング素子520は、例えば電界効果トランジスタなどであり、スイッチングIC510からのパルス幅変調信号S1が抵抗器525を介してゲートに入力される。スイッチング素子520がオンになると、ソースとドレインの間が導通し、インダクタ522には電磁エネルギーが蓄えられる。その後、スイッチング素子520がオフになると、インダクタ522に蓄えられた電磁エネルギーが放出されることによって昇圧する。昇圧された電圧は平滑コンデンサ524で平滑される。平滑コンデンサ524で平滑された直流電圧は、出力電圧Vo1として直流機器102(図1参照)に出力される。
【0069】
上記の動作により、第1の電源機器5は、図5(b)に示すように、出力電流Io1の大きさに関わらず出力電圧Vo1を一定の直流電圧とする出力電流−出力電圧特性から外れないようにフィードバック制御を行うことができる。
【0070】
第2の電源機器6は、図5(a)に示すように、出力電流Io2が大きくなるにつれて単調に小さくなる直流電圧を出力電圧Vo2とするものである。このような第2の電源機器6の出力電流−出力電圧特性を、Vo2=−αIo2+V0(α>0、V0>0)と表わすことができる。上記の出力電流−出力電圧特性では、Vo2+αIo2はV0で一定値となる。αは、第2の電源機器6ごとに異なった値であってもよいし、同じ値であってもよい。
【0071】
図1に示すように、第2の電源機器6aには太陽電池161が接続され、第2の電源機器6bには二次電池162が接続され、第2の電源機器6cには燃料電池163が接続されている。各第2の電源機器6は、それぞれ接続されている電池161〜163から入力電圧Vi2(図4参照)が入力される。つまり、第2の電源機器6aは、太陽電池161を入力電源として直流電力を直流機器102に供給する太陽電池用電源機器(PVコンバータ)であり、第2の電源機器6bは、二次電池162を入力電源として直流電力を直流機器102に供給する二次電池用電源機器(BATコンバータ)であり、第2の電源機器6cは、燃料電池163を入力電源として直流電力を直流機器102に供給する燃料電池用電源機器(FCコンバータ)である。
【0072】
各第2の電源機器6は、図4に示すように、出力電流Io2を検出する電流検出手段60と、出力電圧Vo2を検出する電圧検出手段61と、電圧検出手段61の検出電圧V5と電流検出手段60から出力される電圧V8とに応じてオンデューティ幅が設定されたパルス幅変調信号S2を生成するスイッチング制御手段62と、スイッチング制御手段62からのパルス幅変調信号S2のオンデューティ幅に応じてオンオフ動作するスイッチング素子630を有するDC/DCコンバータ63と、後述の制御部73(図1参照)の制御によって出力電流Io2の大きさを調整する調整手段64とを備えている。
【0073】
電流検出手段60は、抵抗器600,605と、抵抗器600の両端電圧を検出する電流IC601と、電流IC601の出力電圧V3を分割する抵抗器602,603と、抵抗器602,603で分割された分割電圧が入力される電圧ホロア604とを備えており、出力電流Io2を検出する。
【0074】
電圧検出手段61は、直列接続の2つの抵抗器610,611と、抵抗器610,611による分割電圧が入力される電圧ホロア612とを備えており、出力電圧Vo2を検出する。
【0075】
スイッチング制御手段62は、電圧検出手段61の検出電圧(電圧ホロア612の出力電圧)V5および後述の電圧V8が入力されるスイッチングIC620を備えている。
【0076】
DC/DCコンバータ63は、入力側から順に、平滑コンデンサ631と、インダクタ632と、スイッチング素子630と、ダイオード633と、平滑コンデンサ634とを備えており、スイッチング素子630のオンオフ動作によって入力電圧Vi2を昇圧する。
【0077】
調整手段64は、後述の制御部73(図1参照)から出力電流Io2の指示値を取得するCPU640と、CPU640の出力電圧V6を分割する2つの抵抗器641,642と、抵抗器641,642による分割電圧が入力される非反転増幅回路643とを備えている。
【0078】
CPU640では、電源供給装置3の動作中において、つまり電源供給装置3による直流機器102への電力供給時において、制御部73からの指示値に基づいて、出力電流Io2の大きさを変動するための制御が行われる。
【0079】
監視装置7は、図1に示すように、直流機器102に供給される負荷電流Iの電流値を検出する負荷電流検出部(負荷電流検出手段)70と、太陽電池161および燃料電池163の供給可能範囲ならびに二次電池162の残量を検出する残量検出部71と、負荷電流検出部70で検出された負荷電流Iが変化したか否かを判定する判定部(判定手段)72と、各第2の電源機器6の出力電流Io2の大きさを制御する制御部(制御手段)73とを備えている。
【0080】
負荷電流検出部70は、電源供給装置3が動作中において、つまり電源供給装置3による直流機器102への電力供給時において、予め設定された時間間隔で各直流機器102から必要な電流を検出して、直流機器102側の総使用電流である負荷電流Iを検出する。予め設定された時間間隔は、負荷追従を満足する時間間隔(例えば数ミリ秒間)である。
【0081】
残量検出部71は、電源供給装置3が動作中(電源供給装置3による直流機器102への電力供給時)において、上記時間間隔で二次電池162の出力電圧および出力電流を検出し、検出結果を用いて二次電池162の残量を検出する。
【0082】
判定部72は、上述したように負荷電流Iの変化の有無を判定するとともに、負荷電流Iが変化したと判定した場合、負荷電流変化率が予め設定された閾値より小さいか否かを判定する。判定部72は、本発明の判定手段および変化率判定手段に相当する。本実施形態において、負荷電流変化率とは、負荷電流Iの単位時間あたりの変化量をいう。閾値は、燃料電池163の種類と性能によって適宜選択され、例えば100W/数分などの値である。燃料電池163の定格が40Vである場合、閾値は2.5A/数分つまり約1A/分である。
【0083】
制御部73は、システム全体としていずれの電源機器5,6からどれだけの電力を各直流機器102に供給すればよいのかを求め、それに応じて各電源機器5,6の出力を調整する。制御部73は、各第2の電源機器6の調整手段64のそれぞれに対して、出力電流Io2の電流値を指示するための指示値を送信する。なお、指示値は、出力電流Io2の電流値を直接表わす値であってもよいし、出力電流Io2の電流値を換算した電圧値であってもよい。また、指示値は、各第2の電源機器6における出力電流Io2の電流値を指示するための値に限定されるものではなく、各第2の電源機器6における出力電力の大きさを指示するための値であってもよい。
【0084】
図4に示すCPU640は、制御部73(図1参照)からの指示値に応じた大きさの出力電圧V6を出力する。非反転増幅回路643の出力電圧V7は、CPU640の出力電圧V6が大きくなるにつれて大きくなっていき、CPU640の出力電圧V6が小さくなるにつれて小さくなっていく。
【0085】
また、電流検出手段60には、電圧ホロア604と抵抗器605との間に差動増幅回路606が挿入されている。差動増幅回路606は、非反転増幅回路643の出力電圧V7と電流検出手段60の検出電圧(電圧ホロア604の出力電圧)V4との差分電圧(V7−V4)に比例した電圧V8(=β(V7−V4)(β>0))をスイッチングIC620に出力する。したがって、検出電圧V4が同じ大きさであっても、制御部73からの指示値に応じて出力電圧V6および出力電圧V7が大きくなった場合、スイッチングIC620に出力される電圧V8も大きくなる。逆に、出力電圧V6および出力電圧V7が小さくなった場合、スイッチングIC620に出力される電圧V8も小さくなる。なお、βの大きさは、後述のスイッチングIC620において、電圧V8が検出電圧V5と演算できるように設定される。
【0086】
スイッチングIC620は、電圧V8と検出電圧V5との差分電圧(V8−V5)つまり電圧(βV7−(V5+βV4))が一定となるようにオンデューティ幅が設定(変更)されたパルス幅変調信号S2をスイッチング素子630に出力する。具体的には、電圧(βV7−(V5+βV4))がこれまでよりも大きくなると、スイッチングIC620は、電圧(βV7−(V5+βV4))が小さくなるように(電圧(βV7−(V5+βV4))がこれまでと同じ大きさになるように)、パルス幅変調信号S2のオンデューティ幅を広く設定する。逆に、電圧(βV7−(V5+βV4))がこれまでよりも小さくなると、スイッチングIC620は、電圧(βV7−(V5+βV4))が大きくなるように(電圧(βV7−(V5+βV4))がこれまでと同じ大きさになるように)、パルス幅変調信号S2のオンデューティ幅を狭く設定する。
【0087】
スイッチング素子630は、例えば電界効果トランジスタなどであり、スイッチングIC620からのパルス幅変調信号S2が抵抗器635を介してゲートに入力される。スイッチング素子630がオンになると、ソースとドレインの間が導通し、インダクタ632には電磁エネルギーが蓄えられる。その後、スイッチング素子630がオフになると、インダクタ632に蓄えられた電磁エネルギーが放出されることによって昇圧する。昇圧された電圧は、平滑コンデンサ634で平滑される。平滑コンデンサ634で平滑された直流電圧は、出力電圧Vo2として直流機器102(図1参照)に出力される。
【0088】
上記の動作により、出力電流Io2(検出電圧V4)がこれまでよりも大きくなると、電圧(βV7−(V5+βV4))がこれまでよりも小さくなるが、電圧(βV7−(V5+βV4))がこれまでと同じ大きさになるようにオンデューティ幅を狭く設定して昇圧を小さくすることによって、出力電圧Vo2(検出電圧V5)をこれまでよりも小さくすることができる。一方、出力電流Io2(検出電圧V4)がこれまでよりも小さくなると、電圧(βV7−(V5+βV4))がこれまでよりも大きくなるが、電圧(βV7−(V5+βV4))がこれまでと同じ大きさになるようにオンデューティ幅を広く設定して昇圧を大きくすることによって、出力電圧Vo2(検出電圧V5)をこれまでよりも大きくすることができる。
【0089】
よって、このような構成の各第2の電源機器6は、電圧(βV7−(V5+βV4))を一定とすることによって、図5(a)に示すように、出力電流Io2が大きくなると出力電圧Vo2が単調(直線上)に小さくなる出力電流−出力電圧特性(Vo2+αIo2が一定値である特性)から外れないようにフィードバック制御を行うことができる。
【0090】
このような出力電流−出力電圧特性を持つ各第2の電源機器6は、第1の電源機器5とともに用いられた交点を持つ状態において、出力電圧Vo2が第1の電源機器5の出力電圧Vo1に合わせ込まれ、出力電圧Vo2が出力電圧Vo1に合わせ込まれたときの出力電流Io2を出力する。
【0091】
ここで、出力電流Io2が減少した場合、出力電圧Vo2は、図6の出力電流−出力電圧特性にしたがって変動し、一時的に大きくなる(図6の(A))。出力電圧Vo2が大きくなると、出力電流Io2は大きくなり、その結果、検出電圧V4も大きくなる(図6の(B))。検出電圧V4が大きくなると、電圧(βV7−(V5+βV4))が小さくなることにより、パルス幅変調信号S2のオンデューティ幅が狭くなり、出力電圧Vo2(検出電圧V5)は小さくなる(図6の(C))。これにより、出力電圧Vo2は出力電圧Vo1に合わせ込まれる。
【0092】
一方、出力電流Io2が増加した場合、出力電圧Vo2は、図6の出力電流−出力電圧特性にしたがって変動し、一時的に小さくなる(図6の(D))。出力電圧Vo2が小さくなると、出力電流Io2は小さくなり、その結果、検出電圧V4も小さくなる(図6の(E))。検出電圧V4が小さくなると、電圧(βV7−(V5+βV4))が大きくなることにより、パルス幅変調信号S2のオンデューティ幅が広くなり、出力電圧Vo2(検出電圧V5)は大きくなる(図6の(F))。これにより、出力電圧Vo2は出力電圧Vo1に合わせ込まれる。
【0093】
続いて、このような第2の電源機器6に対して、直流機器102側の総使用電流(負荷電流I)が大きくなり、出力電圧Vo2(検出電圧V5)が一定のもとで、出力電流Io2を大きくする指示値が制御部73からあった場合について図7を用いて説明する。まず、上記指示値があると、出力電圧V7および電圧V8(=β(V7−V4))が大きくなる。このとき、電圧(βV7−(V5+βV4))が大きくなるので、パルス幅変調信号S2のオンデューティ幅は広くなり、出力電圧Vo2は一時的に出力電圧Vo1より大きくなる(図7の(A))。この動作は、第2の電源機器6の出力電圧Vo2に所定電圧を加算することに相当する。出力電圧Vo2が大きくなると、出力電流Io2(検出電圧V4)も大きくなる(図7の(B))。検出電圧V4が大きくなると、電圧(βV7−(V5+βV4))は小さくなるので、パルス幅変調信号S2のオンデューティ幅は狭くなる。その結果、出力電圧Vo2は小さくなる(図7の(C))。上記の動作を繰り返した後、出力電圧Vo2は出力電圧Vo1になる。これにより、第2の電源機器6は、定電圧特性(第1の電源機器5の出力電流−出力電圧特性)との交点の出力電流Io2が指示値(電流値I1)になるように第2の電源機器6の出力電流−出力電圧特性をシフトしたことになり、指示値通りの出力電流Io2を出力する。
【0094】
これに対して、負荷電流Iが小さくなり、出力電圧Vo2(検出電圧V5)が一定のもとで、出力電流Io2を小さくする指示値が制御部73からあった場合、出力電圧V7および電圧V8(=β(V7−V4))が小さくなる。このとき、電圧(βV7−(V5+βV4))が小さくなるので、パルス幅変調信号S2のオンデューティ幅は狭くなり、出力電圧Vo2は一時的に出力電圧Vo1より小さくなる(図7の(D))。この動作は、第2の電源機器6の出力電圧Vo2に所定電圧を減算することに相当する。出力電圧Vo2が小さくなると、出力電流Io2(検出電圧V4)も小さくなる(図7の(E))。検出電圧V4が小さくなると、電圧(βV7−(V5+βV4))は大きくなるので、パルス幅変調信号S2のオンデューティ幅は広くなる。その結果、出力電圧Vo2は大きくなる(図7の(F))。上記の動作を繰り返した後、出力電圧Vo2は出力電圧Vo1になる。これにより、第2の電源機器6は、定電圧特性(第1の電源機器5の出力電流−出力電圧特性)との交点の出力電流Io2が指示値(電流値I0)になるように第2の電源機器6の出力電流−出力電圧特性をシフトしたことになり、指示値通りの出力電流Io2を出力する。
【0095】
上記のように第2の電源機器6の出力電流−出力電圧特性がシフトした後も、シフト前と同様、第2の電源機器6の出力電圧Vo2が第1の電源機器5の出力電圧Vo1に合わせ込まれ、出力電圧Vo2が出力電圧Vo1に合わせ込まれたときの出力電流Io2を出力する。
【0096】
上記より、負荷電流Iが変化したときに、各第2の電源機器6において、制御部73からの指示値に基づいて、図7に示すように、出力電流−出力電圧特性をシフトすることができる。シフトさせた後においても、各第2の電源機器6は、出力電圧Vo2が第1の電源機器5の出力電圧Vo1に合わせ込まれ、出力電圧Vo2が出力電圧Vo1と同じ大きさであるときの出力電流Io2を直流機器102に出力することができる。これにより、負荷電流Iが変化しても、電源供給装置3は各第2の電源機器6を負荷電流Iに応じた出力電流Io2に設定することができるとともに、負荷電流Iが変化しても、第2の電源機器6の出力電圧Vo2が第1の電源機器5の出力電圧Vo1に合わせ込まれることで、上記出力電圧Vo2を定電圧に保つことができる。その結果、直流機器102への電力供給を安定に行うことができる。
【0097】
以下に一例を示す。図5では、(a)が第2の電源機器6の出力電流−出力電圧特性を示し、(b)が第1の電源機器5の出力電流−出力電圧特性を示す。ここで、図5(c)に示すように、制御部73からの指示値としてI11が指示されて第2の電源機器6の出力電流−出力電圧特性を図5(c)の矢印のようにシフトさせた場合、第2の電源機器6の出力電流Io2をI12からI11に増加させることができる。
【0098】
また、本実施形態によれば、安定した電力を供給する商用電源ACからの電源電圧が第1の電源機器5に入力されることによって、直流機器102のオンオフによる負荷変動の影響を低減することができ、直流機器102への電力供給をより安定に行うことができる。これに対して、第1の電源機器5に太陽電池161や二次電池162が接続されると、直流機器102への電力供給は、太陽電池161の場合は日射に影響し、二次電池162の場合は蓄電状況に影響してしまう。
【0099】
さらに、第2の電源機器6において、出力電流Io2が大きくなるにつれて単調に出力電圧Vo2が小さくなる関係を、第1の電源機器5の構成から部品点数をほとんど増やすことなく、容易に実現することができる。
【0100】
続いて、図1に示す監視装置7について詳細に説明する。監視装置7の制御部73は、判定部72で負荷電流Iが変化したと判定された場合、燃料電池163が接続されている第2の電源機器6(FCコンバータ6c)の出力電圧Vocが第1の電源機器5の出力電圧Vo1に合わせ込まれたときのFCコンバータ6cの出力電流Iocが変化後の負荷電流Iに追従するように、FCコンバータ6cの調整手段64(図4参照)をフィードバック制御する。
【0101】
具体的には、制御部73は、判定部72で負荷電流変化率が閾値未満であると判定された場合、図11(a)に示すように負荷電流Iが変化した時点から後述の第1の期間T1で、FCコンバータ6cの出力電圧Vocが第1の電源機器5の出力電圧Vo1に合わせ込まれたときのFCコンバータ6cの出力電流Iocが負荷電流Iの変化に追従するように、調整手段64を制御してFCコンバータ6cの出力電流−出力電圧特性をシフトさせる。
【0102】
一方、判定部72で負荷電流変化率が閾値以上であると判定された場合、制御部73は、図11(b)に示すようにFCコンバータ6cの出力電圧Vocが第1の電源機器5の出力電圧Vo1に合わせ込まれたときのFCコンバータ6cの出力電流Iocを負荷電流Iが変化した時点から第2の期間T2、一定に保つように、FCコンバータ6cの調整手段64をフィードバック制御する。第2の期間T2が経過した後、制御部73は、第1の期間T1でFCコンバータ6cの出力電流Iocが変化後の負荷電流Iに追従するように、調整手段64をフィードバック制御してFCコンバータ6cの出力電流−出力電圧特性をシフトさせる。
【0103】
第1の期間T1は、燃料電池163の耐久性が低下しない変化率(数分間で100W以下の変化率)を保つように設定される。つまり、制御部73は、第1の期間T1におけるFCコンバータ6cの出力電流Iocを負荷電流Iに比べて緩やかに変化させるために、出力電流Iocの変化率が負荷電流変化率の閾値より小さくなるように第1の期間T1を可変させる。このとき、第1の期間T1は、制御部73によって、負荷電流変化率が大きくなるほど長く設定され、負荷電流変化率が小さくなるほど短く設定されることになる。制御部73は、負荷電流変化率と第1の期間T1との対応関係が設定されている対応テーブルを有している。対応テーブルでは、負荷電流変化率の所定範囲ごとに第1の期間T1が対応付けられている。なお、制御部73は、対応テーブルではなく、負荷電流変化率から第1の期間T1を求める関数を有していてもよい。制御部73は、上記関数を用いた場合、負荷電流変化率から第1の期間T1を一意に決定することができる。
【0104】
第2の期間T2は、第1の電源機器5の出力電流Io1が安定するのに要する期間(数ミリ秒間〜数十ミリ秒間)であり、予め固定して設定されている。
【0105】
また、制御部73は、FCコンバータ6cの出力電流Iocが負荷電流Iより大きい場合、二次電池162を充電するようにFCコンバータ6cを制御する。つまり、制御部73は、上記の場合に、二次電池162の放電モードと充電モードとを切り替える。FCコンバータ6cは、出力電流Iocから直流機器102への出力分を差し引いた残りの出力分で二次電池162を充電する。
【0106】
上記より、制御部73は、燃料電池163の供給可能能力が高いときに、出力電流Iocから直流機器102への出力分を差し引いた残りの出力分で二次電池162を充電することによって、燃料電池163による供給の無駄をなくすことができるので、燃料電池163の利用効率を高めることができる。
【0107】
次に、本実施形態に係る電源供給装置3の動作について図8〜11を用いて説明する。以下、負荷電流Iが増加した場合の動作について説明する。
【0108】
まず、負荷電流検出部70が負荷電流Iの電流値I0を検出する(図8のS1)。FCコンバータ6cの出力電流Iocの電流値がI1であり、第1の電源機器5の出力電流Io1の電流値がI2である場合、電流値の関係はI0=I1+I2となる。通常はI2=0であることが望ましい。続いて、負荷電流Iの電流値がI0からI5に変化した場合(図11参照)、負荷電流変化率が閾値以上であるか否かを判定部72が判定する(S2)。負荷電流変化率が閾値以上である場合、制御部73は、負荷電流Iが変化してから第2の期間T2が経過するまで図9(a),図11(b)に示すようにFCコンバータ6cの出力電流Iocが電流値I1で固定されるようにFCコンバータ6cを制御する(S3)。第1の電源機器5の出力電流Io1は、図9(b),図11(b)に示すように負荷電流Iの変化に追従して電流値がI2からI3に増加する。電流値の関係はI5=I1+I3となる。
【0109】
第2の期間T2が経過した後、制御部73は、第1の期間T1が経過するまでに、FCコンバータ6cの出力電流Iocが負荷電流Iの変化に追従するような指示値をFCコンバータ6cに送信する(S4)。つまり、上記指示値は、第1の電源機器5の最初の電流値I2が0である場合、電流値I2を0に戻すような値であることが望ましい。また、上記指示値は、最初の電流値I2が0以外の値(I2>0)であっても同様に、電流値I2を最初の値に戻すような値であることが望ましい。FCコンバータ6cは、制御部73から指示値を受け取ると、調整手段64を用いてFCコンバータ6cの出力電流−出力電圧特性をシフトし、指示値の大きさの出力電流Iocを直流機器102に供給する。FCコンバータ6cの出力電流Iocは、図11(b)に示すように増加していく。このとき、第1の電源機器5の出力電流Io1は減少していく。なお、上記指示値は、電流値I2を最初の値に戻すことが望ましいのであって、電流値I2を最初の値に必ず戻す必要はない。
【0110】
一方、ステップS2において、負荷電流変化率が閾値未満である場合、制御部73は、図11(a)に示すようにすぐにFCコンバータ6cの出力電流Iocが負荷電流Iの変化に追従するような指示値をFCコンバータ6cに送信する(S4)。FCコンバータ6cは、制御部73から指示値を受け取ると、負荷電流Iが変化した時点から第1の期間T1が経過するまでに、調整手段64を用いてFCコンバータ6cの出力電流−出力電圧特性をシフトし、図10(a)に示すように指示値通りの電流値I4の出力電流Iocを直流機器102に供給する。第1の期間T1が経過した時点における第1の電源機器5の出力電流Io1は、図10(b)に示すように電流値I2である。
【0111】
負荷電流Iが減少した場合の動作についても、負荷電流Iが増加した場合と同様にステップS1からステップS4までの動作を行えばよい。ただし、負荷電流Iが非常に小さくなって第1の電源機器5の電流出力が停止し(出力電流Io1が0になり)、さらにFCコンバータ6cの出力電流Iocが負荷電流Iに追従しきれなくなった場合(すなわち、負荷電流Iが出力電流Iocの可変幅の最下限以下になった場合)、出力電流Iocが負荷電流Iより大きくなり(S5)、FCコンバータ6cは、二次電池162を充電モードにし、出力電流Iocから直流機器102への出力分を差し引いた残りの出力分で二次電池162を充電する(S6)。
【0112】
電源供給装置3は、ステップS1からステップS6までの動作を定期的(予め設定された時間間隔)に行えば、燃料電池163の供給能力が変動した場合や負荷電流Iの大きさが変動した場合であっても、変動に対応した出力電流Iocの設定を行うことができる。予め設定された時間間隔は、負荷追従を満足する時間間隔(例えば数ミリ秒間)である。なお、電源供給装置3は、ステップS1からステップS6までの動作を、予め設定された時間間隔以外に行ってもよい。
【0113】
以上、本実施形態によれば、負荷電流Iが変化したときに、第1の期間T1におけるFCコンバータ6cの出力電流Iocの変化率が予め設定された値より小さくなるように第1の期間T1を設定することによって、燃料電池163を入力電源とするFCコンバータ6cの出力電流Iocを負荷電流Iに比べて緩やかに変化させて負荷電流Iに追従させることができるので、燃料電池163の追従が遅くても、FCコンバータ6cの出力電流Iocが負荷電流Iに追従するまでの間、商用電源ACを入力電源とする第1の電源機器5が補償することができる。その結果、電源供給装置3としてみれば、追従性よく直流電力を直流機器102に供給することができるとともに、最終的には第1の電源機器5の出力電流Io1つまり交流系統からの消費電力をできるだけ小さくすることができるので、環境負荷を低減することができ、電気代も安価にすることができる。なお、FCコンバータ6cの出力電流Iocが負荷電流Iに追従する場合、必ずしも出力電流Iocが変化後の負荷電流Iと同じ電流値になる必要はないが、出力電流Iocが変化後の負荷電流Iと同じ電流値になることが望ましい。
【0114】
また、本実施形態によれば、第1の期間T1におけるFCコンバータ6cの出力電流Iocを負荷電流Iに比べて緩やかに変化させるように、負荷電流変化率が大きいほど第1の期間T1を長く設定することによって、第1の期間T1においてFCコンバータ6cの出力電流Iocの急激な変化をより確実に防止することができるので、燃料電池163の耐久性の低下をさらに抑えることができる。
【0115】
さらに、本実施形態によれば、緩やかな負荷電流Iの変化に対してはFCコンバータ6cの出力電流Iocを最初から変化させる一方、急激な負荷電流Iの変化に対しては負荷電流Iが変化した時点から第2の期間T2、FCコンバータ6cの出力電流Iocを一定にし、一時的に第1の電源機器5において負荷変動を吸収し、その後、FCコンバータ5の出力電流Iocを変化させて、FCコンバータ6cの出力電流Iocを負荷電流Iに追従させることができるので、最終的には直流機器102との電力バランスを得ることができる。
【0116】
また、本実施形態によれば、第2の期間T2が数ミリ秒間〜数十ミリ秒間に予め固定されることによって、負荷電流Iの変化による第1の電源機器5の動作が安定していない間にFCコンバータ6cの出力電流Iocが変動して第1の電源機器5が安定出力するまでにさらに時間がかかってしまうのを低減することができるので、直流機器102へ電力供給をより安定にすることができる。
【0117】
さらに、燃料電池163は、出力電力が頻繁に変化すると劣化しやすいが、本実施形態によれば、負荷電流Iの減少によってFCコンバータ6cの出力電流Iocが負荷電流Iより大きくなった場合であっても、出力電流Iocの残り出力分で二次電池162を充電することによって、燃料電池163の定出力性を保つことができるので、燃料電池163の劣化を防止することができる。
【0118】
(実施形態2)
実施形態2に係る電源供給装置3は、負荷電流Iが変化した場合、図11(b)に示すようにFCコンバータ6cの出力電流Iocの電流値を常に第2の期間T2、一定に保つ点で、実施形態1に係る電源供給装置3と相違する。
【0119】
本実施形態の制御部73は、判定部72で負荷電流Iが変化したと判定された場合、FCコンバータ6cの出力電流Iocを負荷電流Iが変化した時点から第2の期間T2、一定に保つように、FCコンバータ6cの調整手段64をフィードバック制御する。第2の期間T2が経過した後、制御部73は、第1の期間T1が経過するまでに出力電流Iocが変化後の負荷電流Iに追従するように、調整手段64をフィードバック制御してFCコンバータ6cの出力電流−出力電圧特性をシフトさせる。
【0120】
なお、本実施形態においても、実施形態1と同様に、第1の期間T1は、燃料電池163の耐久性が低下しない変化率(数分間で100W以下の変化率)を保つように設定される。つまり、制御部73は、第1の期間T1におけるFCコンバータ6cの出力電流Iocを負荷電流Iに比べて緩やかに変化させるために、出力電流Iocの変化率が負荷電流変化率の閾値より小さくなるように第1の期間T1を可変させる。このとき、第1の期間T1は、制御部73によって、負荷電流変化率が大きくなるほど長く設定され、負荷電流変化率が小さくなるほど短く設定されることになる。第2の期間T2は、第1の電源機器5の出力電流Io1が安定するのに要する期間(数ミリ秒間〜数十ミリ秒間)であり、予め固定して設定されている。
【0121】
次に、本実施形態に係る電源供給装置3の動作について図9〜11を用いて説明する。以下、負荷電流Iが増加した場合の動作について説明する。
【0122】
まず、負荷電流検出部70が負荷電流Iの電流値I0を検出する。FCコンバータ6cの出力電流Iocの電流値がI1であり、第1の電源機器5の出力電流Io1の電流値がI2である場合、電流値の関係はI0=I1+I2となる。通常はI2=0であることが望ましい。続いて、負荷電流Iの電流値がI0からI5に変化した場合(図11参照)、制御部73は、負荷電流Iが変化してから第2の期間T2が経過するまで図9(a),図11(b)に示すようにFCコンバータ6cの出力電流Iocが電流値I1で固定されるようにFCコンバータ6cを制御する。第1の電源機器5の出力電流Io1は、図9(b),図11(b)に示すように負荷電流Iの変化に追従して電流値がI2からI3に増加する。電流値の関係はI5=I1+I3となる。
【0123】
第2の期間T2が経過した後、制御部73は、第1の期間T1が経過するまでに、FCコンバータ6cの出力電流Iocが負荷電流Iの変化に追従するような指示値をFCコンバータ6cに送信する。つまり、上記指示値は、第1の電源機器5の最初の電流値I2が0である場合、電流値I2を0に戻すような値であることが望ましい。また、上記指示値は、最初の電流値I2が0以外の値(I2>0)であっても同様に、電流値I2を最初の値に戻すような値であることが望ましい。FCコンバータ6cは、制御部73から指示値を受け取ると、調整手段64を用いてFCコンバータ6cの出力電流−出力電圧特性をシフトし、指示値の大きさの出力電流Iocを直流機器102に供給する。FCコンバータ6cの出力電流Iocは、図11(b)に示すように増加していく。このとき、第1の電源機器5の出力電流Io1は減少していく。なお、上記指示値は、電流値I2を最初の値に戻すことが望ましいのであって、電流値I2を最初の値に必ず戻す必要はない。
【0124】
負荷電流Iが減少した場合の動作についても、負荷電流Iが増加した場合と同様である。ただし、負荷電流Iが非常に小さくなって第1の電源機器5の電流出力が停止し(出力電流Io1が0になり)、さらにFCコンバータ6cの出力電流Iocが負荷電流Iに追従しきれなくなった場合(すなわち、負荷電流Iが出力電流Iocの可変幅の最低下限以下になった場合)、出力電流Iocが負荷電流Iより大きくなり、FCコンバータ6cは、二次電池162を充電モードにし、出力電流Iocから直流機器102への出力分を差し引いた残りの出力分で二次電池162を充電する。
【0125】
以上、本実施形態においても、負荷電流Iが変化したときに、燃料電池163を入力電源とするFCコンバータ6cの出力電流Iocを負荷電流Iに比べて緩やかに変化させて負荷電流Iに追従させることによって、燃料電池163の追従が遅くても、FCコンバータ6cの出力電流Iocが負荷電流Iに追従するまでの間、商用電源ACを入力電源とする第1の電源機器5が補償することができる。その結果、電源供給装置3としてみれば、追従性よく直流電力を直流機器102に供給することができるとともに、最終的には第1の電源機器5の出力電流Io1つまり交流系統からの消費電力をできるだけ小さくすることができるので、環境負荷を低減することができ、電気代も安価にすることができる。
【0126】
また、本実施形態によれば、負荷電流Iが変化したときに常に第2の期間T2が経過してからFCコンバータ6cの出力電流Iocを負荷電流Iに追従させることによって、FCコンバータ6cの出力電流Iocが負荷電流Iの変化と同時に急激に変化するのを防止することができる。
【0127】
(実施形態3)
実施形態3に係る電源供給装置3は、FCコンバータ6cの出力電流Iocを一定にする第2の期間T2が設けられていない点で、実施形態1に係る電源供給装置3と相違する。
【0128】
本実施形態の制御部73は、判定部72で負荷電流変化率が閾値以上であっても閾値未満であっても、図11(a)に示すように負荷電流Iが変化した時点から第1の期間T1にかけて、FCコンバータ6cの出力電流Iocが負荷電流Iの変化に追従するように、調整手段64を制御してFCコンバータ6cの出力電流−出力電圧特性をシフトさせる。その結果、FCコンバータ6cの出力電流Iocは、負荷電流Iが変化した時点から徐々に変動して負荷電流Iに追従する。
【0129】
なお、本実施形態においても、実施形態1と同様に、第1の期間T1は、燃料電池163の耐久性が低下しない変化率(数分間で100W以下の変化率)を保つように設定される。つまり、制御部73は、第1の期間T1におけるFCコンバータ6cの出力電流Iocを負荷電流Iに比べて緩やかに変化させるために、出力電流Iocの変化率が負荷電流変化率の閾値より小さくなるように第1の期間T1を可変させる。このとき、第1の期間T1は、制御部73によって、負荷電流変化率が大きくなるほど長く設定され、負荷電流変化率が小さくなるほど短く設定されることになる。
【0130】
以上、本実施形態によれば、負荷電流Iが変化したときにFCコンバータ6cの出力電流Iocを一定にする第2の期間T2が設けられていなくても、燃料電池163の動作を急峻に変化させることがないため、燃料電池163の耐久性の低下を抑えることができる。
【0131】
(実施形態4)
実施形態4に係る電源供給装置3は、負荷電流変化率が閾値以上である場合のみ、FCコンバータ6cの出力電流Iocの変化率が上記閾値より小さくなるようにして上記出力電流Iocを負荷電流Iに追従させる点で、実施形態1に係る電源供給装置3と相違する。
【0132】
本実施形態の制御部73は、判定部72で負荷電流変化率が閾値以上であると判定された場合、FCコンバータ6cの出力電流Iocの変化率が予め設定された値(例えば負荷電流変化率の閾値)より小さくなるように第1の期間T1を設定する。上記予め設定された値は、負荷電流変化率の閾値であってもよいし、上記閾値よりも小さい値であってもよい。制御部73は、負荷電流Iの変化後、第1の期間T1でFCコンバータ6cの出力電流Iocが負荷電流Iに追従するように、FCコンバータ6cの調整手段64を制御してFCコンバータ6cの出力電流−出力電圧特性をシフトさせる。一方、判定部72で負荷電流変化率が閾値未満であると判定された場合、制御部73は、上記のような動作を行わない。
【0133】
なお、本実施形態においても、実施形態1と同様に、第1の期間T1は、燃料電池163の耐久性が低下しない変化率(数分間で100W以下の変化率)を保つように設定される。つまり、制御部73は、第1の期間T1におけるFCコンバータ6cの出力電流Iocを負荷電流Iに比べて緩やかに変化させるために、出力電流Iocの変化率が負荷電流変化率の閾値より小さくなるように第1の期間T1を可変させる。このとき、第1の期間T1は、制御部73によって、負荷電流変化率が大きくなるほど長く設定され、負荷電流変化率が小さくなるほど短く設定されることになる。
【0134】
以上、本実施形態によれば、負荷電流変化率が閾値以上となったときに、第1の期間T1におけるFCコンバータ6cの出力電流Iocの変化率が閾値より小さくなるように第1の期間T1を設定することによって、燃料電池163を入力電源とするFCコンバータ6cの出力電流Iocを負荷電流Iに比べて緩やかに変化させて負荷電流Iに追従させることができ、燃料電池163の動作を急峻に変化させることがないので、燃料電池163の耐久性の低下を抑えることができる。
【0135】
また、燃料電池163の追従が遅くても、FCコンバータ6cの出力電流Iocが負荷電流Iに追従するまでの間、商用電源ACを入力電源とする第1の電源機器5が補償することができるので、電源供給装置3としてみれば、追従性よく直流電力を直流機器102に供給することができる。
【0136】
一方、負荷電流変化率が閾値未満である場合、FCコンバータ6cの出力電流Iocを負荷電流Iにそのまま追従させることによって、第1の電源機器5の出力電流Io1つまり交流系統からの消費電力をできるだけ小さくすることができるので、環境負荷を低減することができ、電気代も安価にすることができる。
【0137】
(実施形態5)
実施形態5に係る電源供給装置3は、FCコンバータ6cの出力電流Iocを一定にする第2の期間T2を設定する点で、実施形態4に係る電源供給装置3と相違する。
【0138】
本実施形態の制御部73は、判定部72で負荷電流変化率が閾値以上であると判定された場合、すぐにFCコンバータ6cの出力電流Iocを負荷電流Iに追従させるのではなく、負荷電流Iが変化した時点から第2の期間T2、出力電流Iocを一定に保つように、FCコンバータ6cの調整手段64を制御する。第2の期間T2が経過した後、制御部73は、第1の期間T1でFCコンバータ6cの出力電流Iocが変化後の負荷電流Iに追従するように、調整手段64を制御してFCコンバータ6cの出力電流−出力電圧特性をシフトさせる。
【0139】
第2の期間T2は、第1の電源機器5の出力電流Io1が安定するのに要する期間(数ミリ秒間〜数十ミリ秒間)であり、予め固定して設定されている。
【0140】
なお、本実施形態においても、実施形態4と同様に、第1の期間T1は、燃料電池163の耐久性が低下しない変化率(数分間で100W以下の変化率)を保つように設定される。つまり、制御部73は、第1の期間T1におけるFCコンバータ6cの出力電流Iocを負荷電流Iに比べて緩やかに変化させるために、出力電流Iocの変化率が負荷電流変化率の閾値より小さくなるように第1の期間T1を可変させる。このとき、第1の期間T1は、制御部73によって、負荷電流変化率が大きくなるほど長く設定され、負荷電流変化率が小さくなるほど短く設定されることになる。
【0141】
以上、本実施形態によれば、負荷電流Iが変化した時点から第2の期間T2、FCコンバータ6cの出力電流Iocを一定にし、一時的に第1の電源機器5において負荷変動を吸収し、その後、FCコンバータ6cの出力電流Iocを変化させて、FCコンバータ6cの出力電流Iocを負荷電流Iに追従させることができるので、最終的には負荷機器Iとの電力バランスを得ることができる。
【0142】
なお、実施形態1〜5では、負荷電流変化率に応じて第1の期間T1を可変させている。しかしながら、負荷電流Iが想定できる最大範囲で変化してもFCコンバータ6cの出力電流Iocを負荷電流Iに比べて緩やかに変化させることができれば、第1の期間T1は可変である必要はない。したがって、実施形態1〜5の変形例として、負荷電流Iが想定できる最大範囲で変化しても出力電流Iocを負荷電流Iに比べて緩やかに変化させる範囲で、第1の期間T1を固定してもよい。
【0143】
また、実施形態1〜5の他の変形例として、燃料電池163の耐久性の低下を抑えることができる範囲で、第1の期間T1を固定してもよい。具体的には、燃料電池163が最小定格電力から最大定格電力に変化する場合であってもFCコンバータ6cの出力電流Iocの変化率が上述の閾値より小さくなるような期間を第1の期間T1として固定する。
【0144】
さらに、実施形態1〜5の他の変形例として、第2の期間T2が数十秒間〜数分間に予め固定されていてもよい。上記のような範囲に第2の期間T2が設定されることによって、すぐに停止させられる直流機器102の使用の場合(直流機器102の一時使用の場合)に、あえてFCコンバータ6cの出力電流Iocを変化させないようにすることができるので、燃料電池163の負荷を増加させないようにすることができ、燃料電池163の劣化を防止することができる。
【符号の説明】
【0145】
102 直流機器(負荷機器)
162 二次電池
163 燃料電池
3 電源供給装置
4 複数台の電源機器
5 第1の電源機器(商用電源用電源機器)
6 第2の電源機器
6c FCコンバータ(燃料電池用電源機器)
64 調整手段
7 監視装置
70 負荷電流検出部(負荷電流検出手段)
72 判定部(判定手段,変化率判定手段)
73 制御部(制御手段)
AC 商用電源
負荷電流
Io1,Io2(Ioa〜Ioc) 出力電流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源を入力電源とし出力電流の大きさに関わらず定電圧となる直流電圧を出力電圧とする商用電源用電源機器と、
燃料電池を入力電源とし出力電流が大きくなるにつれて単調に小さくなる直流電圧を出力電圧とし前記商用電源用電源機器と並列運転して直流電力を負荷機器に供給する燃料電池用電源機器と、
前記負荷機器に供給される負荷電流の電流値を検出する負荷電流検出手段と、
前記負荷電流検出手段で検出された負荷電流が変化したか否かを判定する判定手段と、
前記燃料電池用電源機器の出力電圧が前記商用電源用電源機器の出力電圧に合わせ込まれたときの当該燃料電池用電源機器の出力電流の電流値を制御する制御手段とを備え、
前記燃料電池用電源機器は、前記負荷機器への電力供給時に出力電流と出力電圧の関係を示す出力電流−出力電圧特性をシフトする調整手段を有し、
前記制御手段は、前記判定手段で前記負荷電流が変化したと判定された場合、前記燃料電池用電源機器の出力電流の変化率が予め設定された値より小さくなるように第1の期間を設定し、前記負荷電流の変化後、前記第1の期間で前記燃料電池用電源機器の出力電流が前記負荷電流に追従するように前記調整手段を制御して当該燃料電池用電源機器の出力電流−出力電圧特性をシフトさせる
ことを特徴とする電源供給装置。
【請求項2】
前記負荷電流検出手段で検出された前記負荷電流の単位時間あたりの変化量を負荷電流変化率とし、
前記制御手段は、前記負荷電流変化率が大きいほど前記第1の期間を長く設定する
ことを特徴とする請求項1記載の電源供給装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記判定手段で前記負荷電流が変化したと判定された場合、前記燃料電池用電源機器の出力電流を前記負荷電流が変化した時点から第2の期間、一定に保ち、前記第2の期間が経過した後、前記第1の期間で前記燃料電池用電源機器の出力電流が前記負荷電流に追従するように前記調整手段を制御して当該燃料電池用電源機器の出力電流−出力電圧特性をシフトさせることを特徴とする請求項1または2記載の電源供給装置。
【請求項4】
前記負荷電流検出手段で検出された前記負荷電流の単位時間あたりの変化量を負荷電流変化率とし、
前記負荷電流変化率が予め設定された閾値以上であるか否かを判定する変化率判定手段を備え、
前記制御手段は、前記変化率判定手段で前記負荷電流変化率が前記閾値未満であると判定された場合、前記負荷電流が変化した時点から前記第1の期間で前記燃料電池用電源機器の出力電流が前記負荷電流の変化に追従するように前記調整手段を制御して当該燃料電池用電源機器の出力電流−出力電圧特性をシフトさせる一方、前記変化率判定手段で前記負荷電流変化率が前記閾値以上であると判定された場合、前記燃料電池用電源機器の出力電流を前記負荷電流が変化した時点から第2の期間、一定に保ち、前記第2の期間が経過した後、前記第1の期間で前記燃料電池用電源機器の出力電流が前記負荷電流に追従するように前記調整手段を制御して当該燃料電池用電源機器の出力電流−出力電圧特性をシフトさせる
ことを特徴とする請求項1または2記載の電源供給装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第1の期間における前記燃料電池用電源機器の出力電流の変化率が前記閾値より小さくなるように当該第1の期間を設定することを特徴とする請求項4記載の電源供給装置。
【請求項6】
商用電源を入力電源とし出力電流の大きさに関わらず定電圧となる直流電圧を出力電圧とする商用電源用電源機器と、
燃料電池を入力電源とし出力電流が大きくなるにつれて単調に小さくなる直流電圧を出力電圧とし前記商用電源用電源機器と並列運転して直流電力を負荷機器に供給する燃料電池用電源機器と、
前記負荷機器に供給される負荷電流の電流値を検出する負荷電流検出手段と、
前記負荷電流検出手段で検出された負荷電流の単位時間あたりの変化量である負荷電流変化率が予め設定された閾値以上であるか否かを判定する変化率判定手段と、
前記燃料電池用電源機器の出力電圧が前記商用電源用電源機器の出力電圧に合わせ込まれたときの当該燃料電池用電源機器の出力電流の電流値を制御する制御手段とを備え、
前記燃料電池用電源機器は、前記負荷機器への電力供給時に出力電流と出力電圧の関係を示す出力電流−出力電圧特性をシフトする調整手段を有し、
前記制御手段は、前記変化率判定手段で前記負荷電流変化率が前記閾値以上であると判定された場合、前記燃料電池用電源機器の出力電流の変化率が前記閾値より小さくなるように第1の期間を設定し、前記負荷電流の変化後、前記第1の期間で前記燃料電池用電源機器の出力電流が前記負荷電流に追従するように前記調整手段を制御して当該燃料電池用電源機器の出力電流−出力電圧特性をシフトさせる
ことを特徴とする電源供給装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記変化率判定手段で前記負荷電流変化率が前記閾値以上であると判定された場合、前記燃料電池用電源機器の出力電流を前記負荷電流が変化した時点から第2の期間、一定に保ち、前記第2の期間が経過した後、前記第1の期間で前記燃料電池用電源機器の出力電流が前記負荷電流に追従するように前記調整手段を制御して当該燃料電池用電源機器の出力電流−出力電圧特性をシフトさせることを特徴とする請求項6記載の電源供給装置。
【請求項8】
前記第2の期間は予め固定されていることを特徴とする請求項3〜5,7のいずれか1項に記載の電源供給装置。
【請求項9】
二次電池が接続され、
前記燃料電池用電源機器は、前記負荷電流の減少によって前記商用電源用電源機器の電流出力が停止したときに前記燃料電池用電源機器の出力電流が前記負荷電流より大きい場合、前記燃料電池用電源機器の出力電流のうち、少なくとも当該燃料電池用電源機器の出力電流と前記負荷電流との差分電流を前記二次電池の充電電流とし、当該燃料電池用電源機器の残りの出力電流を前記負荷機器に出力する
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電源供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−55652(P2011−55652A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202877(P2009−202877)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、環境省、地球温暖化対策技術開発事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】