電源回路及び照明装置
【課題】駆動電流の異なる複数の負荷回路に対して電力を供給する電源回路において、製造コストを削減し、電力効率を高め、信頼性を向上させる。
【解決手段】直列負荷回路は、発光素子ユニット851(第一の負荷回路)と、発光素子ユニット852(第二の負荷回路)とを直列に接続した回路である。定電流回路110は、直列負荷回路に対して、発光素子ユニット851の駆動電流を供給する。電流減算回路170は、直列負荷回路を流れる電流から、発光素子ユニット851の駆動電流から発光素子ユニット852の駆動電流を差し引いた差に相当する電流を分流して、発光素子ユニット852を流れる電流を削減する。
【解決手段】直列負荷回路は、発光素子ユニット851(第一の負荷回路)と、発光素子ユニット852(第二の負荷回路)とを直列に接続した回路である。定電流回路110は、直列負荷回路に対して、発光素子ユニット851の駆動電流を供給する。電流減算回路170は、直列負荷回路を流れる電流から、発光素子ユニット851の駆動電流から発光素子ユニット852の駆動電流を差し引いた差に相当する電流を分流して、発光素子ユニット852を流れる電流を削減する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、駆動電流の異なる複数の負荷回路に電力を供給する電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(発光ダイオード)など、定電流制御すべき負荷が複数ある場合、複数の負荷の駆動電流が同じであれば、複数の負荷を直列接続して負荷回路を構成し、電源回路に接続して、複数の負荷に同じ電流を流す。
複数の負荷の駆動電流が異なる場合には、複数の負荷を駆動電流ごとに分けて、駆動電流が同じ負荷だけを直列接続して複数の負荷回路を構成し、それぞれ異なる電源回路に接続する。
電源回路の構成としては、共通の電源回路から直列に抵抗を接続して各々の負荷に供給する駆動電流を制限する構成や、駆動電流をフィードバックして、各々にバックコンバータなどを用いて定電流駆動制御する構成などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−244103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、駆動電流の異なる複数の負荷を駆動する場合は、共通の電源回路を用いて抵抗で電流制限をする構成や、各々に異なる定電流駆動回路を用意する必要があった。
共通の電源回路に直列に抵抗を接続した構成は、構成が簡易であり、回路の小型化・製造コストの削減が図れる反面、電力効率が悪い。
また、各々にフライバックコンバータなどを用いる構成は、電力効率が高い反面、構成が複雑であり、回路が大型化し、製造コストが高くなる。
この発明は、例えば、上記のような課題を解決するためになされたものであり、駆動電流が異なる複数の負荷回路に電力を供給する電源回路において、製造コストを低く、電力効率を高く、信頼性を高くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明にかかる電源回路は、第一の駆動電流の電流で動作する第一の負荷回路と、上記第一の駆動電流よりも小さい第二の駆動電流の電流で動作する第二の負荷回路とに対して電力を供給する電源回路において、
上記電源回路は、定電流回路と、電流減算回路とを有し、
上記定電流回路は、上記第一の負荷回路と上記第二の負荷回路とを直列に電気接続した直列負荷回路に対して、第一の駆動電流を供給し、
上記電流減算回路は、上記直列負荷回路を流れる電流を分流して、上記第二の負荷回路を流れる電流を削減することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明にかかる電源回路によれば、定電流回路が複数の負荷回路を直列に接続した直列負荷回路に対して電流を供給し、電流減算回路が、複数の負荷回路のうち一部の負荷回路にとって余分な電流を削減する。したがって、駆動電流の異なる負荷回路ごとに定電流駆動回路を設ける必要がなく、電源回路の部品点数を減らすことができ、製造コストを削減し、信頼性を高め、電力効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施の形態1における照明装置800の機能ブロックの構成を示すブロック構成図。
【図2】実施の形態1における電源回路100の回路構成を示す電気回路図。
【図3】実施の形態1における各部の電圧及び電流の関係を示す図。
【図4】実施の形態1における発光素子ユニット852及び電流減算回路170の電圧電流特性の一例を示す図。
【図5】実施の形態1における電流減算回路170の変形例を示す電気回路図。
【図6】実施の形態1における電流減算回路170の別の変形例を示す電気回路図。
【図7】実施の形態2における電源回路100の回路構成を示す電気回路図。
【図8】実施の形態3における電源回路100の回路構成を示す電気回路図。
【図9】実施の形態4における電源回路100の回路構成を示す電気回路図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
実施の形態1について、図1〜図6を用いて説明する。
【0009】
図1は、この実施の形態における照明装置800の機能ブロックの構成の一例を示すブロック構成図である。
照明装置800は、例えば、白色LEDと赤色LEDなど、複数種類の発光素子を有する。照明装置800は、複数種類の発光素子が発した光を混合することにより、演色性が高く、電球色など所望の色温度の光を発する。
発光素子は、種類ごとに電気的特性が異なり、例えば、駆動電流値が異なっている。
【0010】
照明装置800は、複数の発光素子ユニット851,852と、電源回路100とを有する。
それぞれの発光素子ユニット851,852(負荷回路、発光素子直列回路)は、単一種類の発光素子を有する。発光素子ユニット851,852が有する発光素子が複数の場合、発光素子は、互いに直列に電気接続されている。
【0011】
電源回路100は、発光素子ユニット851,852を点灯するための電力を、発光素子ユニット851,852に対して供給する。電源回路100は、定電流回路110、電流減算回路170を有する。
定電流回路110は、複数の発光素子ユニット851,852を直列に電気接続した回路(以下「直列負荷回路」または「発光素子直列回路」と呼ぶ。)に対して、電流を供給する。
電流減算回路170は、複数の発光素子ユニット851,852のうち一部の発光素子ユニット852に並列に電気接続されている。電流減算回路170は、直列負荷回路を流れる電流を分流することにより、並列に接続された負荷回路(以下「削減対象回路」と呼ぶ。)を流れる電流を削減する。
この例では、発光素子ユニット851(第一の負荷回路)には、定電流回路110から供給された電流が流れ、発光素子ユニット852(第二の負荷回路)には、定電流回路110から供給された電流から電流減算回路170が分流した電流を差し引いた電流が流れる。
定電流回路110は、発光素子ユニット851の発光素子を所望の明るさで点灯させる駆動電流値(以下「第一の駆動電流」と呼ぶ。)の電流を生成し、発光素子直列回路に対して第一の駆動電流を流す。電流減算回路170は、発光素子ユニット852の発光素子を所望の明るさで点灯させる駆動電流値の電流(以下「第二の駆動電流」と呼ぶ。)になるように、第一の駆動電流から差し引いた差にあたる電流値の電流(第一の駆動電流と第二の駆動電流との差分の電流)を分流する。
これにより、発光素子ユニット851には、第一の駆動電流が流れ、発光素子ユニット852には、第二の駆動電流が流れ、それぞれの発光素子が所望の明るさで点灯する。
【0012】
定電流回路110は、電圧生成回路111、電流検出回路112、制御回路114を有する。
電圧生成回路111は、直列負荷回路に印加する電圧を生成する。
電流検出回路112は、発光素子ユニット851を流れる電流(第一の駆動電流)を検出する。なお、電流検出回路112は、発光素子ユニット851ではなく、発光素子ユニット852を流れる電流を検出する構成としてもよい。以下、電流検出回路112が電流検出の対象とする回路を、電流検出対象回路と呼ぶ。
制御回路114は、電流検出回路112が検出した電流に基づいて、電圧生成回路111を制御する。具体的に言えば、制御回路114は、電流検出回路112が検出した電流が所定の電流値(以下「目標電流値」と呼ぶ。)となるよう、電圧生成回路111が生成する電圧を調整する。すなわち、電流検出回路112が検出した電流が目標電流値より少ない場合、制御回路114は、電圧生成回路111が生成する電圧を高くする。逆に、電流検出回路112が検出した電流が目標電流値より多い場合には、制御回路114は、電圧生成回路111が生成する電圧を低くする。
この例では、目標電流値は、第一の駆動電流値である。また、電流検出対象回路が発光素子ユニット852である場合には、目標電流値は、第二の駆動電流値である。
【0013】
図2は、この実施の形態における電源回路100の回路構成の一例を示す電気回路図である。
電源回路100は、直流あるいは脈流電圧を入力して、発光素子ユニット851,852に電力を供給する。
電圧生成回路111は、例えば、フライバックコンバータである。フライバックコンバータは、オンオフ動作を行う絶縁型スイッチング電源である。電圧生成回路111は、入力コンデンサC11、スイッチング素子Q12、トランスT60、整流素子D13、平滑コンデンサC14を有する。
入力コンデンサC11は、電源回路100の入力端子間に電気接続されている。入力コンデンサC11は、電源を入力する。入力コンデンサC11は、電源回路100が入力した電圧のリプルを除去して平滑するとともに、電源回路100内で発生したスイッチングノイズが外部に漏れるのを防ぐ。
スイッチング素子Q12は、例えばMOSFETであり、制御回路114からの指示を表わす信号にしたがって、開閉する。
トランスT60は、一次巻線L63と、二次巻線L61とを有する。トランスT60は、一次側の電力を絶縁して二次側へ伝達する。
一次巻線L63は、スイッチング素子Q12を介して、電源回路100の入力端子間に電気接続されている。スイッチング素子Q12は、入力された電圧のスイッチングを行い、必要なエネルギーをトランスT60に蓄積させる。
整流素子D13のアノード端子は、二次巻線L61の一端に電気接続している。整流素子D13のカソード端子は、平滑コンデンサC14の陽極端子と電気接続している。平滑コンデンサC14の陰極端子は、二次巻線L61の他端に電気接続している。すなわち、二次巻線L61・整流素子D13・平滑コンデンサC14は、閉ループを構成する。整流素子D13は、二次巻線L61の出力を整流する。平滑コンデンサC14は、整流素子D13が整流した二次巻線L61の出力を平滑する。すなわち、二次巻線L61を流れる電流が、整流素子D13により整流され、平滑コンデンサC14を充電する。
【0014】
直列負荷回路(発光素子直列回路)の陽極側端子(発光素子ユニット851の陽極側端子)は、平滑コンデンサC14の陽極端子に電気接続されている。直列負荷回路の陰極側端子(発光素子ユニット852の陰極側端子)は、電流検出回路112を介して、平滑コンデンサC14の陰極端子に電気接続されている。これにより、平滑コンデンサC14に充電された電圧が、直列負荷回路に印加され、平滑コンデンサC14を放電する電流が、直列負荷回路を流れる。
【0015】
電流減算回路170は、例えば、抵抗R71を有する。抵抗R71は、一端が発光素子ユニット852の陽極側端子に電気接続し、他端が発光素子ユニット852の陰極側端子に電気接続している。抵抗R71には、両端電圧に比例する電流が流れる。すなわち、抵抗R71は、発光素子ユニット852の両端電圧に比例する電流を、直列負荷回路から分流する。これにより、分流された電流の分、発光素子ユニット852を流れる電流が削減される。
【0016】
電流検出回路112は、抵抗R21を有する。抵抗R21の一端は、直列負荷回路の陰極側端子に電気接続している。抵抗R21の他端は、平滑コンデンサC14の陰極端子に電気接続している。これにより、抵抗R21には、発光素子ユニット851(電流検出対象回路)を流れる電流と等しい電流が流れ、それに比例する電圧が、抵抗R21の両端に発生する。なお、抵抗R21の抵抗値は、直列負荷回路の正常動作時における等価抵抗値と比較して十分小さいものとする。
【0017】
制御回路114は、基準電圧源V41、差動増幅器A42、フォトカプラPC、制御IC145を有する。
基準電圧源V41は、所定の電圧値を有する直流電圧を生成する。差動増幅器A42は、例えば、オペアンプである。差動増幅器A42(誤差増幅器)は、抵抗R21(電流検出抵抗)に発生する電圧(電流値情報)と、基準電圧源V41の基準電圧とに基づいて演算を行い、フォトカプラPCへ出力信号を出力する。差動増幅器A42は、電流検出回路112の両端電圧と、基準電圧源V41の電圧とを比較する。差動増幅器A42の電源は、例えば、電圧生成回路111の出力電圧から取る。
フォトカプラPCは、トランスT60の一次側回路と二次側回路とを電気的に絶縁しつつ、信号を伝達する。フォトカプラPCは、差動増幅器A42(誤差増幅器)からの出力信号を絶縁して制御IC145に送る。
制御IC145は、フォトカプラPCを介して伝達された差動増幅器A42による比較結果を表わす信号に基づいて、スイッチング素子Q12を開閉する信号を生成する。
なお、制御回路114は、例えば、アナログデジタル変換回路や、マイクロコンピュータなどを用いて構成してもよい。
【0018】
スイッチング素子Q12がオンになると、入力コンデンサC11の両端電圧が、一次巻線L63に印加され、一次巻線L63を流れる電流が増えていく。このとき、二次巻線L61には、逆電圧が発生し、整流素子D13の働きにより、二次巻線L61には、電流が流れない。スイッチング素子Q12がオフになると、一次巻線L63を流れる電流が0になり、磁束を維持するため、二次巻線L61に電流が流れる。整流素子D13がオンになり、二次巻線L61には、平滑コンデンサC14の両端電圧とほぼ等しい電圧が印加される。これにより、二次巻線L61を流れる電流は、減少していき、0になる。これを繰り返すことにより、トランスT60の一次巻線L63に供給されたエネルギーが、二次側へ伝達され、二次巻線L61を流れる電流により、平滑コンデンサC14が充電される。
トランスT60の一次巻線L63に供給されるエネルギーは、スイッチング素子Q12をオンにしている時間の割合が多い方が大きくなり、平滑コンデンサC14に充電される電圧が高くなる。制御IC145は、このように、スイッチング素子Q12をオンする期間の割合制御することによって、平滑コンデンサC14に充電される電圧を調整する。
【0019】
電流検出回路112が出力した電圧が、基準電圧源V41の電圧値より低い場合、制御IC145は、スイッチング素子Q12のオン期間の割合を増やし、平滑コンデンサC14に充電される電圧を高くする。これにより、発光素子ユニット851,852を流れる電流が増加する。
電流検出回路112が出力した電圧が、基準電圧源V41の電圧値より高い場合、制御IC145は、スイッチング素子Q12のオン期間の割合を減らし、平滑コンデンサC14に充電される電圧を低くする。これにより、発光素子ユニット851,852を流れる電流が減少する。
このようにして、制御回路114は、電流検出回路112が検出する電流が、所定の電流(目標電流値)となるように、電圧生成回路111が生成する電圧を調整する。
電圧生成回路111の出力電圧が直列負荷回路(発光素子ユニット851、852)に駆動電流を流し、電流検出回路112の検出した駆動電流と目標電流値が一致するように、制御回路114が電圧生成回路111のスイッチング素子Q12のオンオフの開閉割合を制御するため、(電圧生成回路111と電流検出回路112と制御回路114によって構成される)定電流回路110は、直列負荷回路(発光素子直列回路)に所定の電流(目標電流値。この例では、第一の駆動電流。)を流す定電流駆動回路として動作する。
この例において、直列負荷回路(発光素子直列回路)を構成する第一の負荷回路(発光素子ユニット851)と第二の負荷回路(発光素子ユニット852)とには、各々、第一の駆動電流と第二の駆動電流が流れている。第二の駆動電流は、第一の駆動電流から、電流減算回路170が余分な電流を削減した電流値であるため、定電流回路110としては、直列負荷回路(発光素子直列回路)を第一の駆動電流で定電流駆動すればよい。
したがって、この例では、定電流回路110が供給する定電流の目標電流値を第一の駆動電流とするため、電流検出回路112の電流検出対象回路を、第一の駆動電流で駆動する第一の負荷回路(発光素子ユニット851)としている。
【0020】
なお、整流素子D13に代えて、MOSFETなどのスイッチング素子を用い、スイッチング素子Q12の開閉に同期して開閉する同期整流式の構成としてもよい。
【0021】
直列負荷回路(発光素子直列回路)は、複数の発光素子ユニット851,852を直列に接続したものである。第一の発光素子ユニット851は、主たる発光出力となる。第二の発光素子ユニット852は、従たる発光出力となる。発光素子ユニット851は、例えば、4個の白色発光ダイオードが直列に接続されている。発光素子ユニット852は、従となるため、発光出力が少なくてよく、例えば、1個の赤色発光ダイオードが用いられる。白色発光ダイオードには、例えば、350mAの駆動電流(第一の駆動電流)を流し、赤色発光ダイオードには、例えば、300mAの駆動電流(第二の駆動電流)を流す。すなわち、発光素子ユニット852を駆動する電流(第二の駆動電流)は、発光素子ユニット851を駆動する電流(第一の駆動電流)よりも50mA小さい。
【0022】
定電流回路110が生成する電流は、二次巻線L61から、整流素子D13を通って、平滑コンデンサC14を充電し、平滑コンデンサC14から、発光素子ユニット851、発光素子ユニット852、電流検出回路112を通るループを流れる。
しかし、発光素子ユニット852には、並列に電流減算回路170が接続しているので、定電流回路110が生成する電流の一部は、電流減算回路170を流れる。
このため、発光素子ユニット851には、定電流回路110が生成した電流(第一の駆動電流)が流れ、発光素子ユニット852には、定電流回路110が生成した電流(第一の駆動電流)から、電流減算回路170を流れる電流(第一の駆動電流と第二の駆動電流との差分の電流)を差し引いた電流(第二の駆動電流)が流れる。また、電流検出回路112には、定電流回路110が生成した電流(第一の駆動電流)が流れる。
例えば、定電流回路110が350mAの電流を生成し、電流減算回路170を50mAの電流が流れれば、発光素子ユニット851を流れる電流(第一の駆動電流)は350mAになり、発光素子ユニット852を流れる電流(第二の駆動電流)は300mAになる。
【0023】
図3は、この実施の形態における各部の電圧及び電流の関係の一例を示す図である。
横軸は、直列負荷回路及び電流検出回路112の両端電圧を示す。縦軸は、直列負荷回路及び電流検出回路112を流れる電流を示す。曲線511は、直列負荷回路の電圧電流特性を示す。直線512は、電流検出回路112の電圧電流特性を示す。
【0024】
制御回路114は、電流検出回路112が検出した電流によって発生する電圧が、基準電圧源V41の基準電圧値VREFに一致するよう、電圧生成回路111が生成する電圧を調整する。電圧生成回路111が生成する電圧が電圧値VSに調整されると、直列負荷回路を流れる電流I1が電流値Ig1になり、電流検出回路112が検出した電流によって発生する電圧が基準電圧値VREF(この例では、基準電圧源V41)に一致する。このときの電流値Ig1が目標電流値である。
【0025】
なお、電流検出回路112は、可変抵抗であってもよい。その場合、可変抵抗を操作することにより、直線512の傾きが変化するので、目標電流値を変えることができる。
【0026】
図4は、この実施の形態における発光素子ユニット852及び電流減算回路170の電圧電流特性の一例を示す図である。
横軸は、発光素子ユニット852及び電流減算回路170の両端電圧を示す。縦軸は、発光素子ユニット852及び電流減算回路170を流れる電流を示す。曲線521は、発光素子ユニット852の電圧電流特性を示す。直線522は、点531を原点とした電流減算回路170の電圧電流特性を示す。
【0027】
発光素子ユニット852と電流減算回路170とは、並列に電気接続されているので、両端電圧は常に等しく、発光素子ユニット852を流れる電流と電流減算回路170を流れる電流との合計は、発光素子ユニット851を流れる電流の電流値I1と等しい。このため、発光素子ユニット852及び電流減算回路170の両端電圧及び電流は、曲線521と直線522との交点によって定まる。このとき、発光素子ユニット852及び電流減算回路170の両端電圧は、電圧値V2となり、発光素子ユニット852を流れる電流は電流値I2、電流減算回路170を流れる電流は電流値ΔIとなる。
【0028】
発光素子ユニット852の発光素子の個体差や、周辺温度の変化などにより、発光素子ユニット852の順方向電圧が高くなると、曲線521は、右方向へ移動する。その場合、曲線521と直線522との交点は、直線522に沿って右下方向へ移動するので、電流減算回路170を流れる電流が増え、発光素子ユニット852を流れる電流が減る。
【0029】
例えば、発光素子ユニット852が、順方向電圧が3.1Vの赤色発光ダイオード1個であり、電流減算回路170を流れる電流を50mAにしたい場合、抵抗R71の抵抗値を62Ωにする。このとき、電流減算回路170を流れる電流は、約50mAとなる。
【0030】
また、発光素子ユニット851の順方向電圧が異なると、図3の曲線511が変化するが、定電流回路110は、曲線511の移動に合わせて生成する電圧VSを変化させ、一定の電流を流すよう制御するので、電流値I1は変化しない。このため、電流減算回路170を流れる電流は、発光素子ユニット851の順方向電圧の差の影響は受けない。
【0031】
図5は、この実施の形態における電流減算回路170の変形例を示す電気回路図である。
【0032】
電流減算回路170aは、可変抵抗R72を有する。これにより、可変抵抗R72の抵抗値を変化させることができるので、電流減算回路170を流れる電流を調整できる。例えば、可変抵抗R72を利用者が操作できるようにしておけば、照明装置800が発する光の色合いを利用者の好みに合わせて調整することができる。あるいは、可変抵抗R72を利用者が操作できないようにしておき、照明装置800の製造時に、色度計などを用いて照明装置800が発する光の色度を測定して、所定の色度になるよう調整してもよい。
【0033】
電流減算回路170bは、可変抵抗R72(ベース抵抗)とスイッチング素子Q73とを有する。スイッチング素子Q73は、例えば、NPN型バイポーラトランジスタであり、コレクタ端子が削減対象回路の陽極側端子に電気接続し、エミッタ端子が削減対象回路の陰極側端子に電気接続し、ベース端子が可変抵抗R72の一端に電気接続している。可変抵抗R72の他端は、例えば、平滑コンデンサC14の陽極端子に電気接続する。
可変抵抗R72には、両端電圧に比例する電流が流れ、これがスイッチング素子Q73のベース電流となる。スイッチング素子Q73のコレクタ電流は、ベース電流にスイッチング素子Q73の増幅率βを乗じた電流値となり、これが、電流減算回路170bが分流する電流である。
電圧生成回路111が生成する電圧の電圧値VSは、直列負荷回路の順方向電圧によって変化する。例えば、発光素子ユニット851が、1個あたりの順方向電圧が3.7±0.7Vの白色発光ダイオード4個直列に接続したものであり、発光素子ユニット852が、順方向電圧が3.1±0.5Vの赤色発光ダイオード1個である場合、電圧値VSは、理論的には17.9±3.3Vになる。しかし、少なくとも各発光ダイオードの個体差による誤差には、通常、プラスの誤差とマイナスの誤差とがあり、これが打ち消しあうので、電圧値VSの誤差の割合は、発光素子単体の場合より小さくなる。
可変抵抗R72の両端電圧は、電圧値VSによって決まるので、可変抵抗R72にはほぼ一定の電流が流れる。スイッチング素子Q73のベース電流がほぼ一定であるため、コレクタ電流もほぼ一定となり、電流減算回路170bは、両端電圧にかかわらず、ほぼ一定の電流を分流する。
なお、この例では、調整を可能にするため可変抵抗R72を用いているが、これを固定抵抗に置き換えてもよい。
【0034】
このように、電流減算回路にトランジスタを用いることにより、可変抵抗R72の抵抗値を変化させる変化幅が小さくても、削減する電流を大きく変化させることができる。
また、可変抵抗R72を流れる電流が小さいので、物理的に小型の抵抗を用いることができ、電源回路100全体を小型化できる。
【0035】
電流減算回路170cは、抵抗R71(定電流用抵抗)、スイッチング素子Q73、差動増幅器A74を有する。スイッチング素子Q73は、例えば、NPN型バイポーラトランジスタであり、コレクタ端子が削減対象回路の陽極側端子に電気接続し、エミッタ端子が抵抗R71を介して削減対象回路の陰極側端子に電気接続している。差動増幅器A74は、例えば、オペアンプであり、出力端子がスイッチング素子Q73のベース端子に電気接続し、負入力端子がスイッチング素子Q73のエミッタ端子と抵抗R71との接続点に電気接続している。差動増幅器A74の正入力端子は、例えば、所定の基準電圧源に電気接続する。差動増幅器A74の電源は、例えば、平滑コンデンサC14から取得する。差動増幅器A74の電源電流は、直列負荷回路を流れる電流と比較して十分に小さいので、無視できる。
抵抗R71には、両端電圧に比例する電流が流れ、これがスイッチング素子Q73のエミッタ電流となる。スイッチング素子Q73のコレクタ電流は、エミッタ電流にスイッチング素子Q73の増幅率αを乗じた電流値となり、これが、電流減算回路170cが分流する電流である。なお、スイッチング素子Q73の増幅率αはほぼ1であり、温度変化によって特性が変化するがその変化は小さい。
差動増幅器A74は、スイッチング素子Q73のエミッタ端子の電位が、所定の基準電圧源と等しくなるよう、スイッチング素子Q73を制御する。これにより、抵抗R71の両端電圧が一定となるので、電流減算回路170cは、両端電圧にかかわらず、一定の電流を分流する。
なお、この例では、抵抗R71を用いているが、調整を可能にするため、これを可変抵抗に置き換えてもよい。あるいは、基準電圧源の電圧を可変として、調整を可能にする構成であってもよい。
【0036】
電流減算回路170cに示すような定電流を流す回路を用いることにより、一定の電流を分流することができる。また、外部から与える基準電圧を変えることにより、分流する電流を容易に制御できる。
なお、定電流を流す回路は、例えば、FETやツェナーダイオードなどの半導体部品を用いて構成してもよい。
【0037】
図6は、この実施の形態における電流減算回路170の別の変形例を示す電気回路図である。
電流減算回路170dは、2つの抵抗R71,R77、二つのスイッチング素子Q73,Q78を有する。二つのスイッチング素子Q73,Q78は、例えば、電圧電流特性が等しいNPN型バイポーラトランジスタである。
スイッチング素子Q73のコレクタ端子は、削減対象回路(発光素子ユニット852)の陽極側端子に電気接続している。スイッチング素子Q73のエミッタ端子は、抵抗R71を介して、電流検出回路112に電気接続している。二つのスイッチング素子Q73,Q78のベース端子は、互いに電気接続し、スイッチング素子Q78のコレクタ端子とともに、削減対象回路の陰極側端子に電気接続している。スイッチング素子Q78のエミッタ端子は、抵抗R77を介して、電流検出回路112に電気接続している。
電流減算回路170dは、カレントミラー回路の変形であり、抵抗R77を流れる電流の電流値と抵抗R71を流れる電流の電流値との比が、抵抗R71の抵抗値と抵抗R77の抵抗値との比に等しくなる。例えば、抵抗R71の抵抗値を抵抗R77の抵抗値の10倍に設定すれば、抵抗R71を流れる電流は、抵抗R77を流れる電流の10分の1になる。
スイッチング素子Q73のベース電流を無視すれば、抵抗R77を流れる電流は、削減対象回路(発光素子ユニット852)を流れる電流と等しく、抵抗R71を流れる電流は、スイッチング素子Q73のコレクタ電流、すなわち、電流減算回路170dが分流する電流と等しい。したがって、電流減算回路170dは、直列負荷回路を流れる電流から、一定の比率の電流を分流する。
このように、電流減算回路170が分流する電流を定める基準となる基準電圧を外部から得るのではなく、削減対象回路を流れる電流から基準電圧を生成する構成としてもよい。
【0038】
この実施の形態における電源回路100は、第一の駆動電流で動作する第一の負荷回路(発光素子ユニット851)と、上記第一の駆動電流よりも小さい第二の駆動電流で動作する第二の負荷回路(発光素子ユニット852)とに対して電力を供給する。
上記電源回路100は、定電流回路110と、電流減算回路170とを有する。
上記定電流回路110は、上記第一の負荷回路(発光素子ユニット851)と上記第二の負荷回路(発光素子ユニット852)とを直列に電気接続した直列負荷回路に対して、上記第一の駆動電流を供給する。
上記電流減算回路170は、上記直列負荷回路を流れる電流を分流して、上記第二の負荷回路(発光素子ユニット852)を流れる電流を削減する。
【0039】
この実施の形態における電源回路100によれば、定電流回路110が複数の負荷回路を直列に接続した直列負荷回路に対して電流(第一の駆動電流)を供給し、電流減算回路170が、複数の負荷回路のうち一部の負荷回路にとって余分な電流を削減する。したがって、従来と異なり、駆動電流の異なる負荷回路(発光素子ユニット)に対し、各々に定電流駆動回路を設ける必要がない。一つの定電流回路110と簡易な回路(電流減算回路170)で構成する電源回路100によって、駆動電流の異なる複数の負荷回路を同時に駆動できるため、電源回路100の部品点数を減らすことができるので、製造コストを削減し、信頼性を高めることができる。また、電源回路100の電力効率も向上する。
【0040】
上記電流減算回路170は、例えば、抵抗R71(固定抵抗)や可変抵抗R72のように、所定もしくは可変の電圧電流特性を有する回路である。
その場合、削減対象回路の両端電圧が変動することにより、電流減算回路170が分流する電流が変動するが、電流減算回路170が分流する電流が、削減対象回路を流れる電流より小さければ、電流減算回路170が分流する電流の誤差による影響は小さい。例えば、電流減算回路170が分流する電流が、直列負荷回路を流れる電流の10%であれば、電流減算回路170が分流する電流に±10%の誤差があったとしても、削減対象回路を流れる電流の誤差は±1%程度に留まる。このため、電流減算回路170を、単一の抵抗素子など極めて簡単な回路で構成することができ、電源回路100の部品点数を減らし、製造コストを削減し、信頼性を高め、電力効率を向上することができる。
【0041】
あるいは、電流減算回路170は、電流減算回路170bのように、上記第一の負荷回路(発光素子ユニット851)や上記第二の負荷回路(発光素子ユニット852)や上記直列負荷回路の両端に発生する電圧により電圧電流特性が変化する回路であってもよい。
素子のバラツキによる両端電圧の誤差は、素子の数が多いほど、プラスの誤差とマイナスの誤差とが打ち消しあって、小さくなることが期待できる。したがって、電流減算回路170は、なるべく素子の数が多い回路の両端電圧を基準にして分流する電流を定める回路であるほうが、分流する電流に現れる誤差が小さくなる。
【0042】
あるいは、電流減算回路170は、電流減算回路170dのように、上記第一の負荷回路(発光素子ユニット851)や上記第二の負荷回路(発光素子ユニット852)を流れる電流により電圧電流特性が変化する回路であってもよい。
電流減算回路170が、いずれかの負荷回路を流れる電流により分流する電流が定まる回路であれば、直列負荷回路を流れる電流は、定電流回路110により一定に保たれるので、電流減算回路170は、一定の電流値を分流することができる。
【0043】
あるいは、電流減算回路170は、電流減算回路170cのように、所定もしくは可変の電流値の定電流を流す回路であってもよい。
電流減算回路170が定電流を流す回路であれば、電流減算回路170は、一定の電流値を分流することができる。
【0044】
この実施の形態における照明装置800によれば、駆動電流が異なる複数の発光素子ユニット851,852の発光素子を発光させるので、演色性が高く、所望の色温度を有する光を発することができる。
【0045】
また、照明装置800は、駆動電流の異なる複数種類の発光素子(例えば、純白色の発光ダイオードと、赤色もしくは緑色の発光ダイオードなど)を組み合わせて用いることにより、電球色(光源色)すなわち純白色よりもやや低い所望の色温度の光を発することができる。
複数の発光素子を駆動電流ごとに分け、駆動電流が同じ同種の発光素子ごとに直列に接続して複数の負荷回路を構成する。
【0046】
一般的に、複数の負荷回路ごとに駆動回路(電源回路)を接続する構成の場合、駆動回路として、安価な抵抗器や、半導体の活性領域の制御特性を利用した回路を用いると、駆動回路の効率が低下する。また、駆動回路として、比較的効率のよいスイッチモードの回路方式、例えば、フライバックコンバータなどのDC/DCコンバータを使用すると、製造コストが高くなるとともに、部品点数の増加に伴い、信頼性が低くなる。また、高効率かつ小電力のDC/DCコンバータを構成することは難しく、電気効率が低下する。
【0047】
複数の発光素子ユニットを並列に接続する構成において、定電流駆動用DC/DCコンバータを複数設けるのではなく、一つのDC/DCコンバータの出力から、電流制限抵抗を用いて、出力を分離して、一部の発光素子ユニットに電流を供給する構成も考えられるが、その構成の場合、電流制限抵抗の両端電圧が高くなるので、電流制限抵抗における電力損失が大きくなり、電気効率が低下する。
【0048】
これに対し、この実施の形態における照明装置800は、定電流回路110が、複数の負荷回路すべてを直列に接続した回路に対して電流を供給し、電流減算回路170が、複数の負荷回路のうち一部の負荷回路にとって余分な電流を分流して削減する。電流減算回路170が分流する電流は、比較的少ないので、単一の素子など、極めて簡単な構成であってもよい。このため、駆動電流の異なる複数の負荷回路(発光素子ユニット)を同時に駆動する際、従来のような、各々に定電流駆動回路を用いる構成や、共通の電源回路から各々に電流制限を行いながら電力を供給する構成と異なり、一つの定電流駆動回路(定電流回路110)と簡易な回路(電流削減回路170)のみで構成するため、電力損失を抑え、電力効率を向上させることができる。電源回路100は、一つの定電流駆動回路(定電流回路110)と簡易な回路(電流減算回路170)とで構成できるので、従来よりも、部品点数が減り、製造コストが低く、小型にすることができ、信頼性が高くなる。
【0049】
なお、照明装置800において、電流減算回路170が削減する電流は、直列負荷回路を流れる電流に比べて小さく、電流減算回路170の両端電圧も低いので、抵抗R71における電力消費は小さく、電気効率は、ほとんど低下しない。このように、主たる発光出力を得る発光ダイオードが多数、従たる発光出力を得る発光ダイオードが少数であれば、従来に比べて電気効率が一層向上する。
一般に、第二の発光素子ユニット852の発光効率が大きく、第一の発光素子ユニット851を構成する発光ダイオードの数が、第二の発光素子ユニット852を構成する発光ダイオードの数より十分に多ければ、電気効率を大きく低下させることなく、電源回路100を構成することができる。発光素子ユニット851を構成する発光ダイオードの数と発光素子ユニット852を構成する発光ダイオードの数との割合は、2:1〜10:1程度の割合で構成すると、電気効率の低下を抑えることができる。
【0050】
なお、発光素子ユニット852の駆動電流のほうが、発光素子ユニット851の駆動電流より多い場合には、電流を削減する代わりに、トランスT60にもう一つ巻線を追加するなどして、不足分の電流を生成し、電流を加算して駆動する回路方式が考えられる。その方式でも、駆動電流の異なる複数の発光素子ユニットを、一つの定電流駆動回路と簡易な回路で駆動することができる。
以上説明した照明装置800は、その方式と比較しても、トランスの第一の巻線や第一の巻線から電流を生成するための回路(整流ダイオード、平滑コンデンサなど)を必要としないので、部品点数が少なく、安価で、小型な電源回路100を構成することができる。
【0051】
以上説明した照明装置800によれば、簡易な電源回路100(定電流回路110と電流減算回路170により構成)にて駆動電流の異なる複数の発光ダイオードを駆動することができる。
また、部品点数を削減できるので、部品コストを安くし、部品の実装コストを安くし、回路規模を小型化することができる。
また、駆動する発光素子(発光ユニット852)の種類や数量を増やした場合でも、駆動回路のコストの増加を抑制することができる。
また、回路を簡潔に構成することにより、部品点数を削減できるので、信頼性を向上できる。
また、定電流駆動回路を複数設ける必要がなく、一つの定電流駆動回路と簡易な回路とで電源回路100を構成できるので、電力損失が減少し、電気効率の向上を図ることができる。
また、第一の駆動電流から発光素子ユニット852が必要とする電流を差し引いた余分な電流(第一の駆動電流と第二の駆動電流との差分の電流)を電流減算回路170が分流するので、抵抗R71での損失が小さくて済み、更に電力損失を削減し、電気効率を向上させることができる。
また、小出力の従となる発光出力用に小容量で高効率の定電流駆動用DC/DCコンバータを構成することは難しいが、以上説明した電流減算回路170は、構成が簡易であり、電気効率が向上し、省エネルギーに寄与できる。
特に、発光素子ユニット851を構成する発光素子の数が多く、発光素子ユニット852を構成する発光素子の数が少ない場合に、電気効率がより一層向上する。
また、従来のような、各々に定電流駆動回路を設ける構成と比較して、スイッチング動作を行う定電流駆動用DC/DCコンバータの数が減ることにより、ノイズが減少する。
【0052】
なお、発光素子ユニット851,852の発光素子は、白色発光ダイオードや赤色発光ダイオードに限らず、他の色の発光ダイオードでもよいし、有機EL素子など他の種類の発光素子であってもよい。また、1つの発光素子ユニットを構成する発光素子の数は、任意の数でよい。また、複数の発光素子ユニットの接続順序は、任意の順序でよい。1つの発光素子ユニットには、駆動電流が同じであれば、異なる種類の発光素子が混在してもよい。
また、発光素子ユニットの数は、3以上であってもよい。その場合、電流を削減したい発光素子ユニットごとに電流減算回路170を設けてもよいし、電流を削減したい複数の発光素子ユニットに対して1つの電流減算回路170を設け、更に電流を削減したい発光素子ユニットに対して個別に電流減算回路170を設ける構成であってもよい。
【0053】
上記電流検出回路112及び上記電流減算回路170は、例えば、可変抵抗器であってもよい。これにより、主たる発光出力を得る発光ダイオードや従たる発光出力を得る発光ダイオードの輝度を変化させることができ、発光出力の組み合わせを変えることにより色温度を変化させることができる。なお、電流検出回路112や電流制御回路のどちらか片方のみを可変抵抗器で構成してもよい。
あるいは、上記電流検出回路及び上記電流減算回路は、電流を制御する半導体素子や回路であってもよい。例えば、電流減算回路は、トランジスタやFET、定電流を流す回路などであってもよい。
また、誤差増幅器(差動増幅器A42)は、積分器などによって構成してもよい。
【0054】
実施の形態2.
実施の形態2について、図7を用いて説明する。
なお、実施の形態1と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0055】
図7は、この実施の形態における電源回路100の回路構成の一例を示す電気回路図である。
【0056】
電圧生成回路111は、非絶縁のスイッチング電源であり、例えば、バックコンバータ(降圧チョッパ回路)である。電圧生成回路111は、入力コンデンサC11、スイッチング素子Q12、整流素子D13、チョークコイルL64、平滑コンデンサC14を有する。電圧生成回路111は、直流電圧あるいは脈流電圧を入力して、降圧した電圧を生成する。
入力コンデンサC11は、電圧生成回路111の入力端子間に電気接続している。入力コンデンサC11は、電源を入力する。
スイッチング素子Q12は、制御回路114からの指示を表わす信号にしたがって開閉する。スイッチング素子Q12は、例えば、MOSFETである。スイッチング素子Q12の一端は、入力コンデンサC11の陽極端子に電気接続している。スイッチング素子Q12の他端は、整流素子D13のカソード端子に電気接続している。整流素子D13のアノード端子は、入力コンデンサC11の陰極端子と平滑コンデンサC14の陰極端子とに電気接続している。スイッチング素子Q12は、入力された電圧のスイッチングを行い、必要なエネルギーをチョークコイルL64に伝達させる。
整流素子D13は、チョークコイルL64に蓄積されたエネルギーを還流させる。
チョークコイルL64の一端は、スイッチング素子Q12と整流素子D13との接続点に電気接続している。チョークコイルL64の他端は、平滑コンデンサC14の陽極端子に電気接続している。
平滑コンデンサC14の陽極端子は、直列負荷回路の陽極側端子(発光素子ユニット851の陽極側端子)に電気接続している。平滑コンデンサC14の陰極端子は、電流検出回路112を介して、直列負荷回路の陰極側端子(発光素子ユニット852の陰極側端子)に電気接続している。平滑コンデンサC14は、チョークコイルL64の出力を平滑する。
直列負荷回路には、平滑コンデンサC14の両端に発生した電圧が印加される。
【0057】
このように、電圧生成回路111として、バックコンバータを用いても、実施の形態1と同様、製造コストの削減、電力効率の向上、信頼性の向上などの効果を得ることができる。
このほか、電圧生成回路111は、例えば、フォワードコンバータなど他の方式の絶縁型スイッチング電源であってもよいし、ブーストコンバータ(昇圧チョッパ回路)など他の方式の非絶縁型スイッチング電源であってもよい。
【0058】
あるいは、電圧生成回路111は、制御回路114の指示にしたがって生成する電圧を調整できる回路であれば、スイッチング電源以外の駆動回路であってもよい。ただし、スイッチング電源は、電力効率が高いので、電圧生成回路111は、スイッチング電源であるほうが好ましい。
【0059】
実施の形態3.
実施の形態3について、図8を用いて説明する。
なお、実施の形態1または実施の形態2と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0060】
図8は、この実施の形態における電源回路100の回路構成の一例を示す電気回路図である。
電圧生成回路111は、実施の形態2と同様のバックコンバータであるが、チョークコイルL64に代えて、トランスT60を有する。
トランスT60は、一次巻線L63と二次巻線L61とを有する。一次巻線L63は、バックコンバータにおけるチョークコイルの役割を果たす。
【0061】
電流減算回路170は、抵抗R71、コンデンサC75、スイッチング素子Q76を有する。
抵抗R71の一端は、削減対象回路である発光素子ユニット852の陽極側端子に電気接続している。抵抗R71の他端は、コンデンサC75の一端と二次巻線L61の一端とに電気接続している。コンデンサC75の他端は、スイッチング素子Q76の一端と、削減対象回路である発光素子ユニット852の陰極側端子とに電気接続している。スイッチング素子Q76は、例えば、MOSFETであり、制御回路114からの指示にしたがって、スイッチング素子Q12と同期して開閉する。スイッチング素子Q76の他端は、二次巻線L61の他端に電気接続している。
【0062】
抵抗R71は、電流減算回路170が分流する電流を制限する。電流減算回路170が分流した電流により、コンデンサC75が充電される。
二次巻線L61の両端には、一次巻線L63の両端電圧に比例する電圧が発生する。二次巻線L61の両端電圧と、一次巻線L63の両端電圧との比は、二次巻線L61と一次巻線L63との巻数比によって定まる。巻線の向きは、一次巻線L63のスイッチング素子Q12に接続した側の端子の電位が高いときに、二次巻線L61のコンデンサC75に接続した側の端子の電位が高くなる向きである。
【0063】
スイッチング素子Q12がオンのとき、一次巻線L63の両端には、入力コンデンサC11の両端電圧から平滑コンデンサC14の両端電圧を差し引いた電圧が印加される。二次巻線L61の両端には、これに比例する電圧が発生する。二次巻線L61と一次巻線L63との巻数比は、このとき二次巻線L61の両端に発生する電圧が、削減対象回路である発光素子ユニット852の両端電圧よりも低くなるような巻数比としておく。
スイッチング素子Q12がオンのときには、スイッチング素子Q76もオンであるため、コンデンサC75に充電される電圧は、このときの二次巻線L61の両端電圧によって定まり、それ以上の電圧が充電された場合には、二次巻線L61・スイッチング素子Q76を介してコンデンサC75を放電する電流が流れる。
コンデンサC75を放電するために二次巻線L61を流れる電流は、一次巻線L63を流れる電流と同じ向きの磁束を発生させ、トランスT60にエネルギーを蓄積する。
【0064】
スイッチング素子Q12,Q76がオフになると、二次巻線L61を流れる電流は0になる。これに対し、一次巻線L63には、トランスT60に蓄積されたエネルギーにより、整流素子D13を介して電流が流れる。すなわち、エネルギーがトランスT60の二次側から一次側へ伝達される。
【0065】
実施の形態1で説明した電流減算回路170では、分流した電流のエネルギーが、抵抗R71やスイッチング素子Q73で熱に変換され消費される。これに対して、この実施の形態における電流減算回路170は、分流した電流のエネルギーを、トランスT60を介して一次側に還元する。
これにより、熱として消費されるエネルギーを少なくすることができるので、更に、エネルギー効率を高くすることができる。
【0066】
この実施の形態における電源回路100は、更に、トランスT60を有する。
上記トランスT60は、第一の巻線(一次巻線L63)と、第二の巻線(二次巻線L61)とを有する。
上記定電流回路110は、上記第一の巻線を流れる電流からエネルギーを得て、上記直列負荷回路に対して印加する電圧を生成する。
上記電流減算回路170は、分流した電流からエネルギーを得て、上記第二の巻線に流す電流を生成する。
【0067】
この実施の形態における電源回路100によれば、電流減算回路170が二次巻線L61に流した電流により、エネルギーが一次側に伝達されるので、電流減算回路170が分流した電流のエネルギーを有効に利用することができ、電力効率を高くすることができる。
【0068】
この実施の形態における電流減算回路170は、分流した電流から得たエネルギーを上記定電流回路110に還元する電流還元回路である。
【0069】
なお、二次巻線L61の巻線の向きを逆にし、その代わり、スイッチング素子Q12がオフのときにスイッチング素子Q76がオンになるよう構成しても、同様の効果が得られる。
また、スイッチング素子Q76は、制御回路114からの指示に基づいて開閉するのではなく、二次巻線L61の両端電圧を検出し、検出した両端電圧に基づいて開閉するよう構成してもよい。
また、電流減算回路170が分流する電流が一定になるよう、抵抗R71に代えて、実施の形態1で説明した変形例の回路やその他の定電流を流す回路を用いる構成としてもよい。
【0070】
なお、電圧生成回路111が、ブーストコンバータなど非絶縁型のスイッチング電源である場合には、この例と同様、チョークコイルをトランスに置き換えることにより、この実施の形態と同様の電流減算回路170を構成できる。
また、電圧生成回路111が、フライバックコンバータやフォワードコンバータなど絶縁型のスイッチング電源である場合には、もとからあるトランスに第三の巻線を設けることにより、この実施の形態と同様の電流減算回路170を構成できる。
【0071】
実施の形態4.
実施の形態4について、図9を用いて説明する。
なお、実施の形態1と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0072】
図9は、この実施の形態における電源回路100の回路構成の一例を示す電気回路図である。
電源回路100は、実施の形態1で説明した構成に加えて、更に、電圧検出回路113を有する。
電圧検出回路113は、直列負荷回路に並列に電気接続されている。なお、電圧検出回路113は、直列負荷回路ではなく、発光素子ユニット851、あるいは、発光素子ユニット852に並列に電気接続されていてもよい。電圧検出回路113が並列に電気接続されている負荷回路を、電圧検出対象回路と呼ぶ。電圧検出回路113は、電圧検出対象回路の両端電圧を検出する。
電圧検出回路113は、例えば、抵抗であり、両端電圧と相関した電流が流れる。電圧検出回路113の電圧電流特性は、抵抗のように、両端電圧に比例した電流が流れるものであってもよいし、両端電圧が所定の閾値以下の場合は、ほとんど電流が流れず、両端電圧が閾値を超えた場合に、電流が流れる特性であってもよい。電圧検出回路113を流れる電流を、電圧検出電流と呼ぶ。
電流検出回路112は、電流検出対象回路を流れる電流と、電圧検出回路113を流れる電圧検出電流とを合わせた電流を検出する。
【0073】
周囲温度の低下などにより、発光素子ユニット851,852の順方向電圧が上昇すると、電流検出回路112が検出する電流が減少する。制御回路114は、電圧生成回路111が生成する電圧を上昇させる。電圧検出回路113が検出する電圧が高くなるので、電圧検出回路113を流れる電圧検出電流が増える。電流検出回路112が検出する電流が目標電流値になったとき、電流検出対象回路を流れる電流は、電圧検出回路113を流れる電圧検出電流の増加分だけ少なくなる。
すなわち、制御回路114は、電圧検出回路113が検出した電圧が所定の電圧値以下となる範囲内で、電流検出回路112が検出した電流が所定の電流値となるよう、電圧生成回路111を制御する。
【0074】
発光素子ユニット851,852の順方向電圧が上昇したので、流れる電流値が同じなら、発光素子ユニット851,852における消費電力が増加する。電圧検出回路113の働きにより、発光素子ユニット851,852を流れる電流が少なくなるので、発光素子ユニット851,852における消費電力の増加を抑制することができる。
【0075】
また、発光素子ユニット851,852が断線故障した場合など、電圧生成回路111が生成する電圧をいくら高くしても、電流検出対象回路を流れる電流が、目標電流値にならない場合がある。そのような場合も、電圧検出回路113を流れる電流が増加することにより、合計電流が目標電流値に達すれば、制御回路114は、電圧生成回路111が生成する電圧をそれ以上上昇させない。このため、過電圧による電源回路100や発光素子ユニット851,852の故障を防ぎ、信頼性を向上することができる。
【0076】
この実施の形態における電源回路100において、定電流回路110は、更に、電圧生成回路111と、電流検出回路112と、電圧検出回路113と、制御回路114とを有する。
上記電圧生成回路111は、上記直列負荷回路に対して印加する電圧を生成する。
上記電流検出回路112は、上記第一の負荷回路(発光素子ユニット851)、及び、上記第二の負荷回路(発光素子ユニット852)のうちのいずれかを電流検出対象回路とし、上記電流検出対象回路を流れる電流を検出する。
上記電圧検出回路113は、上記第一の負荷回路(発光素子ユニット851)、及び、上記第二の負荷回路(発光素子ユニット852)、及び、上記直列負荷回路のうちのいずれかを電圧検出対象回路とし、上記電圧検出対象回路の両端に発生する電圧を検出する。
上記制御回路114は、上記電圧検出回路113が検出した電圧が所定の電圧値以下となる範囲内で、上記電流検出回路112が検出した電流が所定の電流値となるよう、上記電圧生成回路111を制御する。
【0077】
この実施の形態における電源回路100によれば、負荷回路の電圧電流特性の変化による消費電力の上昇を抑えることができ、また、負荷回路の故障などにより過電圧が発生するのを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0078】
100 電源回路、110 定電流回路、111 電圧生成回路、112 電流検出回路、113 電圧検出回路、114 制御回路、145 制御IC、170 電流減算回路、511,521 曲線、512,522 直線、800 照明装置、851,852 発光素子ユニット、A42,A74 差動増幅器、C11 入力コンデンサ、C14 平滑コンデンサ、C75 コンデンサ、D13 整流素子、L61 二次巻線、L63 一次巻線、L64 チョークコイル、PC フォトカプラ、Q12,Q73,Q76,Q78 スイッチング素子、R21,R31,R71,R77 抵抗、R72 可変抵抗、T60 トランス、V41 基準電圧源。
【技術分野】
【0001】
この発明は、駆動電流の異なる複数の負荷回路に電力を供給する電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(発光ダイオード)など、定電流制御すべき負荷が複数ある場合、複数の負荷の駆動電流が同じであれば、複数の負荷を直列接続して負荷回路を構成し、電源回路に接続して、複数の負荷に同じ電流を流す。
複数の負荷の駆動電流が異なる場合には、複数の負荷を駆動電流ごとに分けて、駆動電流が同じ負荷だけを直列接続して複数の負荷回路を構成し、それぞれ異なる電源回路に接続する。
電源回路の構成としては、共通の電源回路から直列に抵抗を接続して各々の負荷に供給する駆動電流を制限する構成や、駆動電流をフィードバックして、各々にバックコンバータなどを用いて定電流駆動制御する構成などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−244103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、駆動電流の異なる複数の負荷を駆動する場合は、共通の電源回路を用いて抵抗で電流制限をする構成や、各々に異なる定電流駆動回路を用意する必要があった。
共通の電源回路に直列に抵抗を接続した構成は、構成が簡易であり、回路の小型化・製造コストの削減が図れる反面、電力効率が悪い。
また、各々にフライバックコンバータなどを用いる構成は、電力効率が高い反面、構成が複雑であり、回路が大型化し、製造コストが高くなる。
この発明は、例えば、上記のような課題を解決するためになされたものであり、駆動電流が異なる複数の負荷回路に電力を供給する電源回路において、製造コストを低く、電力効率を高く、信頼性を高くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明にかかる電源回路は、第一の駆動電流の電流で動作する第一の負荷回路と、上記第一の駆動電流よりも小さい第二の駆動電流の電流で動作する第二の負荷回路とに対して電力を供給する電源回路において、
上記電源回路は、定電流回路と、電流減算回路とを有し、
上記定電流回路は、上記第一の負荷回路と上記第二の負荷回路とを直列に電気接続した直列負荷回路に対して、第一の駆動電流を供給し、
上記電流減算回路は、上記直列負荷回路を流れる電流を分流して、上記第二の負荷回路を流れる電流を削減することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明にかかる電源回路によれば、定電流回路が複数の負荷回路を直列に接続した直列負荷回路に対して電流を供給し、電流減算回路が、複数の負荷回路のうち一部の負荷回路にとって余分な電流を削減する。したがって、駆動電流の異なる負荷回路ごとに定電流駆動回路を設ける必要がなく、電源回路の部品点数を減らすことができ、製造コストを削減し、信頼性を高め、電力効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施の形態1における照明装置800の機能ブロックの構成を示すブロック構成図。
【図2】実施の形態1における電源回路100の回路構成を示す電気回路図。
【図3】実施の形態1における各部の電圧及び電流の関係を示す図。
【図4】実施の形態1における発光素子ユニット852及び電流減算回路170の電圧電流特性の一例を示す図。
【図5】実施の形態1における電流減算回路170の変形例を示す電気回路図。
【図6】実施の形態1における電流減算回路170の別の変形例を示す電気回路図。
【図7】実施の形態2における電源回路100の回路構成を示す電気回路図。
【図8】実施の形態3における電源回路100の回路構成を示す電気回路図。
【図9】実施の形態4における電源回路100の回路構成を示す電気回路図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
実施の形態1について、図1〜図6を用いて説明する。
【0009】
図1は、この実施の形態における照明装置800の機能ブロックの構成の一例を示すブロック構成図である。
照明装置800は、例えば、白色LEDと赤色LEDなど、複数種類の発光素子を有する。照明装置800は、複数種類の発光素子が発した光を混合することにより、演色性が高く、電球色など所望の色温度の光を発する。
発光素子は、種類ごとに電気的特性が異なり、例えば、駆動電流値が異なっている。
【0010】
照明装置800は、複数の発光素子ユニット851,852と、電源回路100とを有する。
それぞれの発光素子ユニット851,852(負荷回路、発光素子直列回路)は、単一種類の発光素子を有する。発光素子ユニット851,852が有する発光素子が複数の場合、発光素子は、互いに直列に電気接続されている。
【0011】
電源回路100は、発光素子ユニット851,852を点灯するための電力を、発光素子ユニット851,852に対して供給する。電源回路100は、定電流回路110、電流減算回路170を有する。
定電流回路110は、複数の発光素子ユニット851,852を直列に電気接続した回路(以下「直列負荷回路」または「発光素子直列回路」と呼ぶ。)に対して、電流を供給する。
電流減算回路170は、複数の発光素子ユニット851,852のうち一部の発光素子ユニット852に並列に電気接続されている。電流減算回路170は、直列負荷回路を流れる電流を分流することにより、並列に接続された負荷回路(以下「削減対象回路」と呼ぶ。)を流れる電流を削減する。
この例では、発光素子ユニット851(第一の負荷回路)には、定電流回路110から供給された電流が流れ、発光素子ユニット852(第二の負荷回路)には、定電流回路110から供給された電流から電流減算回路170が分流した電流を差し引いた電流が流れる。
定電流回路110は、発光素子ユニット851の発光素子を所望の明るさで点灯させる駆動電流値(以下「第一の駆動電流」と呼ぶ。)の電流を生成し、発光素子直列回路に対して第一の駆動電流を流す。電流減算回路170は、発光素子ユニット852の発光素子を所望の明るさで点灯させる駆動電流値の電流(以下「第二の駆動電流」と呼ぶ。)になるように、第一の駆動電流から差し引いた差にあたる電流値の電流(第一の駆動電流と第二の駆動電流との差分の電流)を分流する。
これにより、発光素子ユニット851には、第一の駆動電流が流れ、発光素子ユニット852には、第二の駆動電流が流れ、それぞれの発光素子が所望の明るさで点灯する。
【0012】
定電流回路110は、電圧生成回路111、電流検出回路112、制御回路114を有する。
電圧生成回路111は、直列負荷回路に印加する電圧を生成する。
電流検出回路112は、発光素子ユニット851を流れる電流(第一の駆動電流)を検出する。なお、電流検出回路112は、発光素子ユニット851ではなく、発光素子ユニット852を流れる電流を検出する構成としてもよい。以下、電流検出回路112が電流検出の対象とする回路を、電流検出対象回路と呼ぶ。
制御回路114は、電流検出回路112が検出した電流に基づいて、電圧生成回路111を制御する。具体的に言えば、制御回路114は、電流検出回路112が検出した電流が所定の電流値(以下「目標電流値」と呼ぶ。)となるよう、電圧生成回路111が生成する電圧を調整する。すなわち、電流検出回路112が検出した電流が目標電流値より少ない場合、制御回路114は、電圧生成回路111が生成する電圧を高くする。逆に、電流検出回路112が検出した電流が目標電流値より多い場合には、制御回路114は、電圧生成回路111が生成する電圧を低くする。
この例では、目標電流値は、第一の駆動電流値である。また、電流検出対象回路が発光素子ユニット852である場合には、目標電流値は、第二の駆動電流値である。
【0013】
図2は、この実施の形態における電源回路100の回路構成の一例を示す電気回路図である。
電源回路100は、直流あるいは脈流電圧を入力して、発光素子ユニット851,852に電力を供給する。
電圧生成回路111は、例えば、フライバックコンバータである。フライバックコンバータは、オンオフ動作を行う絶縁型スイッチング電源である。電圧生成回路111は、入力コンデンサC11、スイッチング素子Q12、トランスT60、整流素子D13、平滑コンデンサC14を有する。
入力コンデンサC11は、電源回路100の入力端子間に電気接続されている。入力コンデンサC11は、電源を入力する。入力コンデンサC11は、電源回路100が入力した電圧のリプルを除去して平滑するとともに、電源回路100内で発生したスイッチングノイズが外部に漏れるのを防ぐ。
スイッチング素子Q12は、例えばMOSFETであり、制御回路114からの指示を表わす信号にしたがって、開閉する。
トランスT60は、一次巻線L63と、二次巻線L61とを有する。トランスT60は、一次側の電力を絶縁して二次側へ伝達する。
一次巻線L63は、スイッチング素子Q12を介して、電源回路100の入力端子間に電気接続されている。スイッチング素子Q12は、入力された電圧のスイッチングを行い、必要なエネルギーをトランスT60に蓄積させる。
整流素子D13のアノード端子は、二次巻線L61の一端に電気接続している。整流素子D13のカソード端子は、平滑コンデンサC14の陽極端子と電気接続している。平滑コンデンサC14の陰極端子は、二次巻線L61の他端に電気接続している。すなわち、二次巻線L61・整流素子D13・平滑コンデンサC14は、閉ループを構成する。整流素子D13は、二次巻線L61の出力を整流する。平滑コンデンサC14は、整流素子D13が整流した二次巻線L61の出力を平滑する。すなわち、二次巻線L61を流れる電流が、整流素子D13により整流され、平滑コンデンサC14を充電する。
【0014】
直列負荷回路(発光素子直列回路)の陽極側端子(発光素子ユニット851の陽極側端子)は、平滑コンデンサC14の陽極端子に電気接続されている。直列負荷回路の陰極側端子(発光素子ユニット852の陰極側端子)は、電流検出回路112を介して、平滑コンデンサC14の陰極端子に電気接続されている。これにより、平滑コンデンサC14に充電された電圧が、直列負荷回路に印加され、平滑コンデンサC14を放電する電流が、直列負荷回路を流れる。
【0015】
電流減算回路170は、例えば、抵抗R71を有する。抵抗R71は、一端が発光素子ユニット852の陽極側端子に電気接続し、他端が発光素子ユニット852の陰極側端子に電気接続している。抵抗R71には、両端電圧に比例する電流が流れる。すなわち、抵抗R71は、発光素子ユニット852の両端電圧に比例する電流を、直列負荷回路から分流する。これにより、分流された電流の分、発光素子ユニット852を流れる電流が削減される。
【0016】
電流検出回路112は、抵抗R21を有する。抵抗R21の一端は、直列負荷回路の陰極側端子に電気接続している。抵抗R21の他端は、平滑コンデンサC14の陰極端子に電気接続している。これにより、抵抗R21には、発光素子ユニット851(電流検出対象回路)を流れる電流と等しい電流が流れ、それに比例する電圧が、抵抗R21の両端に発生する。なお、抵抗R21の抵抗値は、直列負荷回路の正常動作時における等価抵抗値と比較して十分小さいものとする。
【0017】
制御回路114は、基準電圧源V41、差動増幅器A42、フォトカプラPC、制御IC145を有する。
基準電圧源V41は、所定の電圧値を有する直流電圧を生成する。差動増幅器A42は、例えば、オペアンプである。差動増幅器A42(誤差増幅器)は、抵抗R21(電流検出抵抗)に発生する電圧(電流値情報)と、基準電圧源V41の基準電圧とに基づいて演算を行い、フォトカプラPCへ出力信号を出力する。差動増幅器A42は、電流検出回路112の両端電圧と、基準電圧源V41の電圧とを比較する。差動増幅器A42の電源は、例えば、電圧生成回路111の出力電圧から取る。
フォトカプラPCは、トランスT60の一次側回路と二次側回路とを電気的に絶縁しつつ、信号を伝達する。フォトカプラPCは、差動増幅器A42(誤差増幅器)からの出力信号を絶縁して制御IC145に送る。
制御IC145は、フォトカプラPCを介して伝達された差動増幅器A42による比較結果を表わす信号に基づいて、スイッチング素子Q12を開閉する信号を生成する。
なお、制御回路114は、例えば、アナログデジタル変換回路や、マイクロコンピュータなどを用いて構成してもよい。
【0018】
スイッチング素子Q12がオンになると、入力コンデンサC11の両端電圧が、一次巻線L63に印加され、一次巻線L63を流れる電流が増えていく。このとき、二次巻線L61には、逆電圧が発生し、整流素子D13の働きにより、二次巻線L61には、電流が流れない。スイッチング素子Q12がオフになると、一次巻線L63を流れる電流が0になり、磁束を維持するため、二次巻線L61に電流が流れる。整流素子D13がオンになり、二次巻線L61には、平滑コンデンサC14の両端電圧とほぼ等しい電圧が印加される。これにより、二次巻線L61を流れる電流は、減少していき、0になる。これを繰り返すことにより、トランスT60の一次巻線L63に供給されたエネルギーが、二次側へ伝達され、二次巻線L61を流れる電流により、平滑コンデンサC14が充電される。
トランスT60の一次巻線L63に供給されるエネルギーは、スイッチング素子Q12をオンにしている時間の割合が多い方が大きくなり、平滑コンデンサC14に充電される電圧が高くなる。制御IC145は、このように、スイッチング素子Q12をオンする期間の割合制御することによって、平滑コンデンサC14に充電される電圧を調整する。
【0019】
電流検出回路112が出力した電圧が、基準電圧源V41の電圧値より低い場合、制御IC145は、スイッチング素子Q12のオン期間の割合を増やし、平滑コンデンサC14に充電される電圧を高くする。これにより、発光素子ユニット851,852を流れる電流が増加する。
電流検出回路112が出力した電圧が、基準電圧源V41の電圧値より高い場合、制御IC145は、スイッチング素子Q12のオン期間の割合を減らし、平滑コンデンサC14に充電される電圧を低くする。これにより、発光素子ユニット851,852を流れる電流が減少する。
このようにして、制御回路114は、電流検出回路112が検出する電流が、所定の電流(目標電流値)となるように、電圧生成回路111が生成する電圧を調整する。
電圧生成回路111の出力電圧が直列負荷回路(発光素子ユニット851、852)に駆動電流を流し、電流検出回路112の検出した駆動電流と目標電流値が一致するように、制御回路114が電圧生成回路111のスイッチング素子Q12のオンオフの開閉割合を制御するため、(電圧生成回路111と電流検出回路112と制御回路114によって構成される)定電流回路110は、直列負荷回路(発光素子直列回路)に所定の電流(目標電流値。この例では、第一の駆動電流。)を流す定電流駆動回路として動作する。
この例において、直列負荷回路(発光素子直列回路)を構成する第一の負荷回路(発光素子ユニット851)と第二の負荷回路(発光素子ユニット852)とには、各々、第一の駆動電流と第二の駆動電流が流れている。第二の駆動電流は、第一の駆動電流から、電流減算回路170が余分な電流を削減した電流値であるため、定電流回路110としては、直列負荷回路(発光素子直列回路)を第一の駆動電流で定電流駆動すればよい。
したがって、この例では、定電流回路110が供給する定電流の目標電流値を第一の駆動電流とするため、電流検出回路112の電流検出対象回路を、第一の駆動電流で駆動する第一の負荷回路(発光素子ユニット851)としている。
【0020】
なお、整流素子D13に代えて、MOSFETなどのスイッチング素子を用い、スイッチング素子Q12の開閉に同期して開閉する同期整流式の構成としてもよい。
【0021】
直列負荷回路(発光素子直列回路)は、複数の発光素子ユニット851,852を直列に接続したものである。第一の発光素子ユニット851は、主たる発光出力となる。第二の発光素子ユニット852は、従たる発光出力となる。発光素子ユニット851は、例えば、4個の白色発光ダイオードが直列に接続されている。発光素子ユニット852は、従となるため、発光出力が少なくてよく、例えば、1個の赤色発光ダイオードが用いられる。白色発光ダイオードには、例えば、350mAの駆動電流(第一の駆動電流)を流し、赤色発光ダイオードには、例えば、300mAの駆動電流(第二の駆動電流)を流す。すなわち、発光素子ユニット852を駆動する電流(第二の駆動電流)は、発光素子ユニット851を駆動する電流(第一の駆動電流)よりも50mA小さい。
【0022】
定電流回路110が生成する電流は、二次巻線L61から、整流素子D13を通って、平滑コンデンサC14を充電し、平滑コンデンサC14から、発光素子ユニット851、発光素子ユニット852、電流検出回路112を通るループを流れる。
しかし、発光素子ユニット852には、並列に電流減算回路170が接続しているので、定電流回路110が生成する電流の一部は、電流減算回路170を流れる。
このため、発光素子ユニット851には、定電流回路110が生成した電流(第一の駆動電流)が流れ、発光素子ユニット852には、定電流回路110が生成した電流(第一の駆動電流)から、電流減算回路170を流れる電流(第一の駆動電流と第二の駆動電流との差分の電流)を差し引いた電流(第二の駆動電流)が流れる。また、電流検出回路112には、定電流回路110が生成した電流(第一の駆動電流)が流れる。
例えば、定電流回路110が350mAの電流を生成し、電流減算回路170を50mAの電流が流れれば、発光素子ユニット851を流れる電流(第一の駆動電流)は350mAになり、発光素子ユニット852を流れる電流(第二の駆動電流)は300mAになる。
【0023】
図3は、この実施の形態における各部の電圧及び電流の関係の一例を示す図である。
横軸は、直列負荷回路及び電流検出回路112の両端電圧を示す。縦軸は、直列負荷回路及び電流検出回路112を流れる電流を示す。曲線511は、直列負荷回路の電圧電流特性を示す。直線512は、電流検出回路112の電圧電流特性を示す。
【0024】
制御回路114は、電流検出回路112が検出した電流によって発生する電圧が、基準電圧源V41の基準電圧値VREFに一致するよう、電圧生成回路111が生成する電圧を調整する。電圧生成回路111が生成する電圧が電圧値VSに調整されると、直列負荷回路を流れる電流I1が電流値Ig1になり、電流検出回路112が検出した電流によって発生する電圧が基準電圧値VREF(この例では、基準電圧源V41)に一致する。このときの電流値Ig1が目標電流値である。
【0025】
なお、電流検出回路112は、可変抵抗であってもよい。その場合、可変抵抗を操作することにより、直線512の傾きが変化するので、目標電流値を変えることができる。
【0026】
図4は、この実施の形態における発光素子ユニット852及び電流減算回路170の電圧電流特性の一例を示す図である。
横軸は、発光素子ユニット852及び電流減算回路170の両端電圧を示す。縦軸は、発光素子ユニット852及び電流減算回路170を流れる電流を示す。曲線521は、発光素子ユニット852の電圧電流特性を示す。直線522は、点531を原点とした電流減算回路170の電圧電流特性を示す。
【0027】
発光素子ユニット852と電流減算回路170とは、並列に電気接続されているので、両端電圧は常に等しく、発光素子ユニット852を流れる電流と電流減算回路170を流れる電流との合計は、発光素子ユニット851を流れる電流の電流値I1と等しい。このため、発光素子ユニット852及び電流減算回路170の両端電圧及び電流は、曲線521と直線522との交点によって定まる。このとき、発光素子ユニット852及び電流減算回路170の両端電圧は、電圧値V2となり、発光素子ユニット852を流れる電流は電流値I2、電流減算回路170を流れる電流は電流値ΔIとなる。
【0028】
発光素子ユニット852の発光素子の個体差や、周辺温度の変化などにより、発光素子ユニット852の順方向電圧が高くなると、曲線521は、右方向へ移動する。その場合、曲線521と直線522との交点は、直線522に沿って右下方向へ移動するので、電流減算回路170を流れる電流が増え、発光素子ユニット852を流れる電流が減る。
【0029】
例えば、発光素子ユニット852が、順方向電圧が3.1Vの赤色発光ダイオード1個であり、電流減算回路170を流れる電流を50mAにしたい場合、抵抗R71の抵抗値を62Ωにする。このとき、電流減算回路170を流れる電流は、約50mAとなる。
【0030】
また、発光素子ユニット851の順方向電圧が異なると、図3の曲線511が変化するが、定電流回路110は、曲線511の移動に合わせて生成する電圧VSを変化させ、一定の電流を流すよう制御するので、電流値I1は変化しない。このため、電流減算回路170を流れる電流は、発光素子ユニット851の順方向電圧の差の影響は受けない。
【0031】
図5は、この実施の形態における電流減算回路170の変形例を示す電気回路図である。
【0032】
電流減算回路170aは、可変抵抗R72を有する。これにより、可変抵抗R72の抵抗値を変化させることができるので、電流減算回路170を流れる電流を調整できる。例えば、可変抵抗R72を利用者が操作できるようにしておけば、照明装置800が発する光の色合いを利用者の好みに合わせて調整することができる。あるいは、可変抵抗R72を利用者が操作できないようにしておき、照明装置800の製造時に、色度計などを用いて照明装置800が発する光の色度を測定して、所定の色度になるよう調整してもよい。
【0033】
電流減算回路170bは、可変抵抗R72(ベース抵抗)とスイッチング素子Q73とを有する。スイッチング素子Q73は、例えば、NPN型バイポーラトランジスタであり、コレクタ端子が削減対象回路の陽極側端子に電気接続し、エミッタ端子が削減対象回路の陰極側端子に電気接続し、ベース端子が可変抵抗R72の一端に電気接続している。可変抵抗R72の他端は、例えば、平滑コンデンサC14の陽極端子に電気接続する。
可変抵抗R72には、両端電圧に比例する電流が流れ、これがスイッチング素子Q73のベース電流となる。スイッチング素子Q73のコレクタ電流は、ベース電流にスイッチング素子Q73の増幅率βを乗じた電流値となり、これが、電流減算回路170bが分流する電流である。
電圧生成回路111が生成する電圧の電圧値VSは、直列負荷回路の順方向電圧によって変化する。例えば、発光素子ユニット851が、1個あたりの順方向電圧が3.7±0.7Vの白色発光ダイオード4個直列に接続したものであり、発光素子ユニット852が、順方向電圧が3.1±0.5Vの赤色発光ダイオード1個である場合、電圧値VSは、理論的には17.9±3.3Vになる。しかし、少なくとも各発光ダイオードの個体差による誤差には、通常、プラスの誤差とマイナスの誤差とがあり、これが打ち消しあうので、電圧値VSの誤差の割合は、発光素子単体の場合より小さくなる。
可変抵抗R72の両端電圧は、電圧値VSによって決まるので、可変抵抗R72にはほぼ一定の電流が流れる。スイッチング素子Q73のベース電流がほぼ一定であるため、コレクタ電流もほぼ一定となり、電流減算回路170bは、両端電圧にかかわらず、ほぼ一定の電流を分流する。
なお、この例では、調整を可能にするため可変抵抗R72を用いているが、これを固定抵抗に置き換えてもよい。
【0034】
このように、電流減算回路にトランジスタを用いることにより、可変抵抗R72の抵抗値を変化させる変化幅が小さくても、削減する電流を大きく変化させることができる。
また、可変抵抗R72を流れる電流が小さいので、物理的に小型の抵抗を用いることができ、電源回路100全体を小型化できる。
【0035】
電流減算回路170cは、抵抗R71(定電流用抵抗)、スイッチング素子Q73、差動増幅器A74を有する。スイッチング素子Q73は、例えば、NPN型バイポーラトランジスタであり、コレクタ端子が削減対象回路の陽極側端子に電気接続し、エミッタ端子が抵抗R71を介して削減対象回路の陰極側端子に電気接続している。差動増幅器A74は、例えば、オペアンプであり、出力端子がスイッチング素子Q73のベース端子に電気接続し、負入力端子がスイッチング素子Q73のエミッタ端子と抵抗R71との接続点に電気接続している。差動増幅器A74の正入力端子は、例えば、所定の基準電圧源に電気接続する。差動増幅器A74の電源は、例えば、平滑コンデンサC14から取得する。差動増幅器A74の電源電流は、直列負荷回路を流れる電流と比較して十分に小さいので、無視できる。
抵抗R71には、両端電圧に比例する電流が流れ、これがスイッチング素子Q73のエミッタ電流となる。スイッチング素子Q73のコレクタ電流は、エミッタ電流にスイッチング素子Q73の増幅率αを乗じた電流値となり、これが、電流減算回路170cが分流する電流である。なお、スイッチング素子Q73の増幅率αはほぼ1であり、温度変化によって特性が変化するがその変化は小さい。
差動増幅器A74は、スイッチング素子Q73のエミッタ端子の電位が、所定の基準電圧源と等しくなるよう、スイッチング素子Q73を制御する。これにより、抵抗R71の両端電圧が一定となるので、電流減算回路170cは、両端電圧にかかわらず、一定の電流を分流する。
なお、この例では、抵抗R71を用いているが、調整を可能にするため、これを可変抵抗に置き換えてもよい。あるいは、基準電圧源の電圧を可変として、調整を可能にする構成であってもよい。
【0036】
電流減算回路170cに示すような定電流を流す回路を用いることにより、一定の電流を分流することができる。また、外部から与える基準電圧を変えることにより、分流する電流を容易に制御できる。
なお、定電流を流す回路は、例えば、FETやツェナーダイオードなどの半導体部品を用いて構成してもよい。
【0037】
図6は、この実施の形態における電流減算回路170の別の変形例を示す電気回路図である。
電流減算回路170dは、2つの抵抗R71,R77、二つのスイッチング素子Q73,Q78を有する。二つのスイッチング素子Q73,Q78は、例えば、電圧電流特性が等しいNPN型バイポーラトランジスタである。
スイッチング素子Q73のコレクタ端子は、削減対象回路(発光素子ユニット852)の陽極側端子に電気接続している。スイッチング素子Q73のエミッタ端子は、抵抗R71を介して、電流検出回路112に電気接続している。二つのスイッチング素子Q73,Q78のベース端子は、互いに電気接続し、スイッチング素子Q78のコレクタ端子とともに、削減対象回路の陰極側端子に電気接続している。スイッチング素子Q78のエミッタ端子は、抵抗R77を介して、電流検出回路112に電気接続している。
電流減算回路170dは、カレントミラー回路の変形であり、抵抗R77を流れる電流の電流値と抵抗R71を流れる電流の電流値との比が、抵抗R71の抵抗値と抵抗R77の抵抗値との比に等しくなる。例えば、抵抗R71の抵抗値を抵抗R77の抵抗値の10倍に設定すれば、抵抗R71を流れる電流は、抵抗R77を流れる電流の10分の1になる。
スイッチング素子Q73のベース電流を無視すれば、抵抗R77を流れる電流は、削減対象回路(発光素子ユニット852)を流れる電流と等しく、抵抗R71を流れる電流は、スイッチング素子Q73のコレクタ電流、すなわち、電流減算回路170dが分流する電流と等しい。したがって、電流減算回路170dは、直列負荷回路を流れる電流から、一定の比率の電流を分流する。
このように、電流減算回路170が分流する電流を定める基準となる基準電圧を外部から得るのではなく、削減対象回路を流れる電流から基準電圧を生成する構成としてもよい。
【0038】
この実施の形態における電源回路100は、第一の駆動電流で動作する第一の負荷回路(発光素子ユニット851)と、上記第一の駆動電流よりも小さい第二の駆動電流で動作する第二の負荷回路(発光素子ユニット852)とに対して電力を供給する。
上記電源回路100は、定電流回路110と、電流減算回路170とを有する。
上記定電流回路110は、上記第一の負荷回路(発光素子ユニット851)と上記第二の負荷回路(発光素子ユニット852)とを直列に電気接続した直列負荷回路に対して、上記第一の駆動電流を供給する。
上記電流減算回路170は、上記直列負荷回路を流れる電流を分流して、上記第二の負荷回路(発光素子ユニット852)を流れる電流を削減する。
【0039】
この実施の形態における電源回路100によれば、定電流回路110が複数の負荷回路を直列に接続した直列負荷回路に対して電流(第一の駆動電流)を供給し、電流減算回路170が、複数の負荷回路のうち一部の負荷回路にとって余分な電流を削減する。したがって、従来と異なり、駆動電流の異なる負荷回路(発光素子ユニット)に対し、各々に定電流駆動回路を設ける必要がない。一つの定電流回路110と簡易な回路(電流減算回路170)で構成する電源回路100によって、駆動電流の異なる複数の負荷回路を同時に駆動できるため、電源回路100の部品点数を減らすことができるので、製造コストを削減し、信頼性を高めることができる。また、電源回路100の電力効率も向上する。
【0040】
上記電流減算回路170は、例えば、抵抗R71(固定抵抗)や可変抵抗R72のように、所定もしくは可変の電圧電流特性を有する回路である。
その場合、削減対象回路の両端電圧が変動することにより、電流減算回路170が分流する電流が変動するが、電流減算回路170が分流する電流が、削減対象回路を流れる電流より小さければ、電流減算回路170が分流する電流の誤差による影響は小さい。例えば、電流減算回路170が分流する電流が、直列負荷回路を流れる電流の10%であれば、電流減算回路170が分流する電流に±10%の誤差があったとしても、削減対象回路を流れる電流の誤差は±1%程度に留まる。このため、電流減算回路170を、単一の抵抗素子など極めて簡単な回路で構成することができ、電源回路100の部品点数を減らし、製造コストを削減し、信頼性を高め、電力効率を向上することができる。
【0041】
あるいは、電流減算回路170は、電流減算回路170bのように、上記第一の負荷回路(発光素子ユニット851)や上記第二の負荷回路(発光素子ユニット852)や上記直列負荷回路の両端に発生する電圧により電圧電流特性が変化する回路であってもよい。
素子のバラツキによる両端電圧の誤差は、素子の数が多いほど、プラスの誤差とマイナスの誤差とが打ち消しあって、小さくなることが期待できる。したがって、電流減算回路170は、なるべく素子の数が多い回路の両端電圧を基準にして分流する電流を定める回路であるほうが、分流する電流に現れる誤差が小さくなる。
【0042】
あるいは、電流減算回路170は、電流減算回路170dのように、上記第一の負荷回路(発光素子ユニット851)や上記第二の負荷回路(発光素子ユニット852)を流れる電流により電圧電流特性が変化する回路であってもよい。
電流減算回路170が、いずれかの負荷回路を流れる電流により分流する電流が定まる回路であれば、直列負荷回路を流れる電流は、定電流回路110により一定に保たれるので、電流減算回路170は、一定の電流値を分流することができる。
【0043】
あるいは、電流減算回路170は、電流減算回路170cのように、所定もしくは可変の電流値の定電流を流す回路であってもよい。
電流減算回路170が定電流を流す回路であれば、電流減算回路170は、一定の電流値を分流することができる。
【0044】
この実施の形態における照明装置800によれば、駆動電流が異なる複数の発光素子ユニット851,852の発光素子を発光させるので、演色性が高く、所望の色温度を有する光を発することができる。
【0045】
また、照明装置800は、駆動電流の異なる複数種類の発光素子(例えば、純白色の発光ダイオードと、赤色もしくは緑色の発光ダイオードなど)を組み合わせて用いることにより、電球色(光源色)すなわち純白色よりもやや低い所望の色温度の光を発することができる。
複数の発光素子を駆動電流ごとに分け、駆動電流が同じ同種の発光素子ごとに直列に接続して複数の負荷回路を構成する。
【0046】
一般的に、複数の負荷回路ごとに駆動回路(電源回路)を接続する構成の場合、駆動回路として、安価な抵抗器や、半導体の活性領域の制御特性を利用した回路を用いると、駆動回路の効率が低下する。また、駆動回路として、比較的効率のよいスイッチモードの回路方式、例えば、フライバックコンバータなどのDC/DCコンバータを使用すると、製造コストが高くなるとともに、部品点数の増加に伴い、信頼性が低くなる。また、高効率かつ小電力のDC/DCコンバータを構成することは難しく、電気効率が低下する。
【0047】
複数の発光素子ユニットを並列に接続する構成において、定電流駆動用DC/DCコンバータを複数設けるのではなく、一つのDC/DCコンバータの出力から、電流制限抵抗を用いて、出力を分離して、一部の発光素子ユニットに電流を供給する構成も考えられるが、その構成の場合、電流制限抵抗の両端電圧が高くなるので、電流制限抵抗における電力損失が大きくなり、電気効率が低下する。
【0048】
これに対し、この実施の形態における照明装置800は、定電流回路110が、複数の負荷回路すべてを直列に接続した回路に対して電流を供給し、電流減算回路170が、複数の負荷回路のうち一部の負荷回路にとって余分な電流を分流して削減する。電流減算回路170が分流する電流は、比較的少ないので、単一の素子など、極めて簡単な構成であってもよい。このため、駆動電流の異なる複数の負荷回路(発光素子ユニット)を同時に駆動する際、従来のような、各々に定電流駆動回路を用いる構成や、共通の電源回路から各々に電流制限を行いながら電力を供給する構成と異なり、一つの定電流駆動回路(定電流回路110)と簡易な回路(電流削減回路170)のみで構成するため、電力損失を抑え、電力効率を向上させることができる。電源回路100は、一つの定電流駆動回路(定電流回路110)と簡易な回路(電流減算回路170)とで構成できるので、従来よりも、部品点数が減り、製造コストが低く、小型にすることができ、信頼性が高くなる。
【0049】
なお、照明装置800において、電流減算回路170が削減する電流は、直列負荷回路を流れる電流に比べて小さく、電流減算回路170の両端電圧も低いので、抵抗R71における電力消費は小さく、電気効率は、ほとんど低下しない。このように、主たる発光出力を得る発光ダイオードが多数、従たる発光出力を得る発光ダイオードが少数であれば、従来に比べて電気効率が一層向上する。
一般に、第二の発光素子ユニット852の発光効率が大きく、第一の発光素子ユニット851を構成する発光ダイオードの数が、第二の発光素子ユニット852を構成する発光ダイオードの数より十分に多ければ、電気効率を大きく低下させることなく、電源回路100を構成することができる。発光素子ユニット851を構成する発光ダイオードの数と発光素子ユニット852を構成する発光ダイオードの数との割合は、2:1〜10:1程度の割合で構成すると、電気効率の低下を抑えることができる。
【0050】
なお、発光素子ユニット852の駆動電流のほうが、発光素子ユニット851の駆動電流より多い場合には、電流を削減する代わりに、トランスT60にもう一つ巻線を追加するなどして、不足分の電流を生成し、電流を加算して駆動する回路方式が考えられる。その方式でも、駆動電流の異なる複数の発光素子ユニットを、一つの定電流駆動回路と簡易な回路で駆動することができる。
以上説明した照明装置800は、その方式と比較しても、トランスの第一の巻線や第一の巻線から電流を生成するための回路(整流ダイオード、平滑コンデンサなど)を必要としないので、部品点数が少なく、安価で、小型な電源回路100を構成することができる。
【0051】
以上説明した照明装置800によれば、簡易な電源回路100(定電流回路110と電流減算回路170により構成)にて駆動電流の異なる複数の発光ダイオードを駆動することができる。
また、部品点数を削減できるので、部品コストを安くし、部品の実装コストを安くし、回路規模を小型化することができる。
また、駆動する発光素子(発光ユニット852)の種類や数量を増やした場合でも、駆動回路のコストの増加を抑制することができる。
また、回路を簡潔に構成することにより、部品点数を削減できるので、信頼性を向上できる。
また、定電流駆動回路を複数設ける必要がなく、一つの定電流駆動回路と簡易な回路とで電源回路100を構成できるので、電力損失が減少し、電気効率の向上を図ることができる。
また、第一の駆動電流から発光素子ユニット852が必要とする電流を差し引いた余分な電流(第一の駆動電流と第二の駆動電流との差分の電流)を電流減算回路170が分流するので、抵抗R71での損失が小さくて済み、更に電力損失を削減し、電気効率を向上させることができる。
また、小出力の従となる発光出力用に小容量で高効率の定電流駆動用DC/DCコンバータを構成することは難しいが、以上説明した電流減算回路170は、構成が簡易であり、電気効率が向上し、省エネルギーに寄与できる。
特に、発光素子ユニット851を構成する発光素子の数が多く、発光素子ユニット852を構成する発光素子の数が少ない場合に、電気効率がより一層向上する。
また、従来のような、各々に定電流駆動回路を設ける構成と比較して、スイッチング動作を行う定電流駆動用DC/DCコンバータの数が減ることにより、ノイズが減少する。
【0052】
なお、発光素子ユニット851,852の発光素子は、白色発光ダイオードや赤色発光ダイオードに限らず、他の色の発光ダイオードでもよいし、有機EL素子など他の種類の発光素子であってもよい。また、1つの発光素子ユニットを構成する発光素子の数は、任意の数でよい。また、複数の発光素子ユニットの接続順序は、任意の順序でよい。1つの発光素子ユニットには、駆動電流が同じであれば、異なる種類の発光素子が混在してもよい。
また、発光素子ユニットの数は、3以上であってもよい。その場合、電流を削減したい発光素子ユニットごとに電流減算回路170を設けてもよいし、電流を削減したい複数の発光素子ユニットに対して1つの電流減算回路170を設け、更に電流を削減したい発光素子ユニットに対して個別に電流減算回路170を設ける構成であってもよい。
【0053】
上記電流検出回路112及び上記電流減算回路170は、例えば、可変抵抗器であってもよい。これにより、主たる発光出力を得る発光ダイオードや従たる発光出力を得る発光ダイオードの輝度を変化させることができ、発光出力の組み合わせを変えることにより色温度を変化させることができる。なお、電流検出回路112や電流制御回路のどちらか片方のみを可変抵抗器で構成してもよい。
あるいは、上記電流検出回路及び上記電流減算回路は、電流を制御する半導体素子や回路であってもよい。例えば、電流減算回路は、トランジスタやFET、定電流を流す回路などであってもよい。
また、誤差増幅器(差動増幅器A42)は、積分器などによって構成してもよい。
【0054】
実施の形態2.
実施の形態2について、図7を用いて説明する。
なお、実施の形態1と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0055】
図7は、この実施の形態における電源回路100の回路構成の一例を示す電気回路図である。
【0056】
電圧生成回路111は、非絶縁のスイッチング電源であり、例えば、バックコンバータ(降圧チョッパ回路)である。電圧生成回路111は、入力コンデンサC11、スイッチング素子Q12、整流素子D13、チョークコイルL64、平滑コンデンサC14を有する。電圧生成回路111は、直流電圧あるいは脈流電圧を入力して、降圧した電圧を生成する。
入力コンデンサC11は、電圧生成回路111の入力端子間に電気接続している。入力コンデンサC11は、電源を入力する。
スイッチング素子Q12は、制御回路114からの指示を表わす信号にしたがって開閉する。スイッチング素子Q12は、例えば、MOSFETである。スイッチング素子Q12の一端は、入力コンデンサC11の陽極端子に電気接続している。スイッチング素子Q12の他端は、整流素子D13のカソード端子に電気接続している。整流素子D13のアノード端子は、入力コンデンサC11の陰極端子と平滑コンデンサC14の陰極端子とに電気接続している。スイッチング素子Q12は、入力された電圧のスイッチングを行い、必要なエネルギーをチョークコイルL64に伝達させる。
整流素子D13は、チョークコイルL64に蓄積されたエネルギーを還流させる。
チョークコイルL64の一端は、スイッチング素子Q12と整流素子D13との接続点に電気接続している。チョークコイルL64の他端は、平滑コンデンサC14の陽極端子に電気接続している。
平滑コンデンサC14の陽極端子は、直列負荷回路の陽極側端子(発光素子ユニット851の陽極側端子)に電気接続している。平滑コンデンサC14の陰極端子は、電流検出回路112を介して、直列負荷回路の陰極側端子(発光素子ユニット852の陰極側端子)に電気接続している。平滑コンデンサC14は、チョークコイルL64の出力を平滑する。
直列負荷回路には、平滑コンデンサC14の両端に発生した電圧が印加される。
【0057】
このように、電圧生成回路111として、バックコンバータを用いても、実施の形態1と同様、製造コストの削減、電力効率の向上、信頼性の向上などの効果を得ることができる。
このほか、電圧生成回路111は、例えば、フォワードコンバータなど他の方式の絶縁型スイッチング電源であってもよいし、ブーストコンバータ(昇圧チョッパ回路)など他の方式の非絶縁型スイッチング電源であってもよい。
【0058】
あるいは、電圧生成回路111は、制御回路114の指示にしたがって生成する電圧を調整できる回路であれば、スイッチング電源以外の駆動回路であってもよい。ただし、スイッチング電源は、電力効率が高いので、電圧生成回路111は、スイッチング電源であるほうが好ましい。
【0059】
実施の形態3.
実施の形態3について、図8を用いて説明する。
なお、実施の形態1または実施の形態2と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0060】
図8は、この実施の形態における電源回路100の回路構成の一例を示す電気回路図である。
電圧生成回路111は、実施の形態2と同様のバックコンバータであるが、チョークコイルL64に代えて、トランスT60を有する。
トランスT60は、一次巻線L63と二次巻線L61とを有する。一次巻線L63は、バックコンバータにおけるチョークコイルの役割を果たす。
【0061】
電流減算回路170は、抵抗R71、コンデンサC75、スイッチング素子Q76を有する。
抵抗R71の一端は、削減対象回路である発光素子ユニット852の陽極側端子に電気接続している。抵抗R71の他端は、コンデンサC75の一端と二次巻線L61の一端とに電気接続している。コンデンサC75の他端は、スイッチング素子Q76の一端と、削減対象回路である発光素子ユニット852の陰極側端子とに電気接続している。スイッチング素子Q76は、例えば、MOSFETであり、制御回路114からの指示にしたがって、スイッチング素子Q12と同期して開閉する。スイッチング素子Q76の他端は、二次巻線L61の他端に電気接続している。
【0062】
抵抗R71は、電流減算回路170が分流する電流を制限する。電流減算回路170が分流した電流により、コンデンサC75が充電される。
二次巻線L61の両端には、一次巻線L63の両端電圧に比例する電圧が発生する。二次巻線L61の両端電圧と、一次巻線L63の両端電圧との比は、二次巻線L61と一次巻線L63との巻数比によって定まる。巻線の向きは、一次巻線L63のスイッチング素子Q12に接続した側の端子の電位が高いときに、二次巻線L61のコンデンサC75に接続した側の端子の電位が高くなる向きである。
【0063】
スイッチング素子Q12がオンのとき、一次巻線L63の両端には、入力コンデンサC11の両端電圧から平滑コンデンサC14の両端電圧を差し引いた電圧が印加される。二次巻線L61の両端には、これに比例する電圧が発生する。二次巻線L61と一次巻線L63との巻数比は、このとき二次巻線L61の両端に発生する電圧が、削減対象回路である発光素子ユニット852の両端電圧よりも低くなるような巻数比としておく。
スイッチング素子Q12がオンのときには、スイッチング素子Q76もオンであるため、コンデンサC75に充電される電圧は、このときの二次巻線L61の両端電圧によって定まり、それ以上の電圧が充電された場合には、二次巻線L61・スイッチング素子Q76を介してコンデンサC75を放電する電流が流れる。
コンデンサC75を放電するために二次巻線L61を流れる電流は、一次巻線L63を流れる電流と同じ向きの磁束を発生させ、トランスT60にエネルギーを蓄積する。
【0064】
スイッチング素子Q12,Q76がオフになると、二次巻線L61を流れる電流は0になる。これに対し、一次巻線L63には、トランスT60に蓄積されたエネルギーにより、整流素子D13を介して電流が流れる。すなわち、エネルギーがトランスT60の二次側から一次側へ伝達される。
【0065】
実施の形態1で説明した電流減算回路170では、分流した電流のエネルギーが、抵抗R71やスイッチング素子Q73で熱に変換され消費される。これに対して、この実施の形態における電流減算回路170は、分流した電流のエネルギーを、トランスT60を介して一次側に還元する。
これにより、熱として消費されるエネルギーを少なくすることができるので、更に、エネルギー効率を高くすることができる。
【0066】
この実施の形態における電源回路100は、更に、トランスT60を有する。
上記トランスT60は、第一の巻線(一次巻線L63)と、第二の巻線(二次巻線L61)とを有する。
上記定電流回路110は、上記第一の巻線を流れる電流からエネルギーを得て、上記直列負荷回路に対して印加する電圧を生成する。
上記電流減算回路170は、分流した電流からエネルギーを得て、上記第二の巻線に流す電流を生成する。
【0067】
この実施の形態における電源回路100によれば、電流減算回路170が二次巻線L61に流した電流により、エネルギーが一次側に伝達されるので、電流減算回路170が分流した電流のエネルギーを有効に利用することができ、電力効率を高くすることができる。
【0068】
この実施の形態における電流減算回路170は、分流した電流から得たエネルギーを上記定電流回路110に還元する電流還元回路である。
【0069】
なお、二次巻線L61の巻線の向きを逆にし、その代わり、スイッチング素子Q12がオフのときにスイッチング素子Q76がオンになるよう構成しても、同様の効果が得られる。
また、スイッチング素子Q76は、制御回路114からの指示に基づいて開閉するのではなく、二次巻線L61の両端電圧を検出し、検出した両端電圧に基づいて開閉するよう構成してもよい。
また、電流減算回路170が分流する電流が一定になるよう、抵抗R71に代えて、実施の形態1で説明した変形例の回路やその他の定電流を流す回路を用いる構成としてもよい。
【0070】
なお、電圧生成回路111が、ブーストコンバータなど非絶縁型のスイッチング電源である場合には、この例と同様、チョークコイルをトランスに置き換えることにより、この実施の形態と同様の電流減算回路170を構成できる。
また、電圧生成回路111が、フライバックコンバータやフォワードコンバータなど絶縁型のスイッチング電源である場合には、もとからあるトランスに第三の巻線を設けることにより、この実施の形態と同様の電流減算回路170を構成できる。
【0071】
実施の形態4.
実施の形態4について、図9を用いて説明する。
なお、実施の形態1と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0072】
図9は、この実施の形態における電源回路100の回路構成の一例を示す電気回路図である。
電源回路100は、実施の形態1で説明した構成に加えて、更に、電圧検出回路113を有する。
電圧検出回路113は、直列負荷回路に並列に電気接続されている。なお、電圧検出回路113は、直列負荷回路ではなく、発光素子ユニット851、あるいは、発光素子ユニット852に並列に電気接続されていてもよい。電圧検出回路113が並列に電気接続されている負荷回路を、電圧検出対象回路と呼ぶ。電圧検出回路113は、電圧検出対象回路の両端電圧を検出する。
電圧検出回路113は、例えば、抵抗であり、両端電圧と相関した電流が流れる。電圧検出回路113の電圧電流特性は、抵抗のように、両端電圧に比例した電流が流れるものであってもよいし、両端電圧が所定の閾値以下の場合は、ほとんど電流が流れず、両端電圧が閾値を超えた場合に、電流が流れる特性であってもよい。電圧検出回路113を流れる電流を、電圧検出電流と呼ぶ。
電流検出回路112は、電流検出対象回路を流れる電流と、電圧検出回路113を流れる電圧検出電流とを合わせた電流を検出する。
【0073】
周囲温度の低下などにより、発光素子ユニット851,852の順方向電圧が上昇すると、電流検出回路112が検出する電流が減少する。制御回路114は、電圧生成回路111が生成する電圧を上昇させる。電圧検出回路113が検出する電圧が高くなるので、電圧検出回路113を流れる電圧検出電流が増える。電流検出回路112が検出する電流が目標電流値になったとき、電流検出対象回路を流れる電流は、電圧検出回路113を流れる電圧検出電流の増加分だけ少なくなる。
すなわち、制御回路114は、電圧検出回路113が検出した電圧が所定の電圧値以下となる範囲内で、電流検出回路112が検出した電流が所定の電流値となるよう、電圧生成回路111を制御する。
【0074】
発光素子ユニット851,852の順方向電圧が上昇したので、流れる電流値が同じなら、発光素子ユニット851,852における消費電力が増加する。電圧検出回路113の働きにより、発光素子ユニット851,852を流れる電流が少なくなるので、発光素子ユニット851,852における消費電力の増加を抑制することができる。
【0075】
また、発光素子ユニット851,852が断線故障した場合など、電圧生成回路111が生成する電圧をいくら高くしても、電流検出対象回路を流れる電流が、目標電流値にならない場合がある。そのような場合も、電圧検出回路113を流れる電流が増加することにより、合計電流が目標電流値に達すれば、制御回路114は、電圧生成回路111が生成する電圧をそれ以上上昇させない。このため、過電圧による電源回路100や発光素子ユニット851,852の故障を防ぎ、信頼性を向上することができる。
【0076】
この実施の形態における電源回路100において、定電流回路110は、更に、電圧生成回路111と、電流検出回路112と、電圧検出回路113と、制御回路114とを有する。
上記電圧生成回路111は、上記直列負荷回路に対して印加する電圧を生成する。
上記電流検出回路112は、上記第一の負荷回路(発光素子ユニット851)、及び、上記第二の負荷回路(発光素子ユニット852)のうちのいずれかを電流検出対象回路とし、上記電流検出対象回路を流れる電流を検出する。
上記電圧検出回路113は、上記第一の負荷回路(発光素子ユニット851)、及び、上記第二の負荷回路(発光素子ユニット852)、及び、上記直列負荷回路のうちのいずれかを電圧検出対象回路とし、上記電圧検出対象回路の両端に発生する電圧を検出する。
上記制御回路114は、上記電圧検出回路113が検出した電圧が所定の電圧値以下となる範囲内で、上記電流検出回路112が検出した電流が所定の電流値となるよう、上記電圧生成回路111を制御する。
【0077】
この実施の形態における電源回路100によれば、負荷回路の電圧電流特性の変化による消費電力の上昇を抑えることができ、また、負荷回路の故障などにより過電圧が発生するのを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0078】
100 電源回路、110 定電流回路、111 電圧生成回路、112 電流検出回路、113 電圧検出回路、114 制御回路、145 制御IC、170 電流減算回路、511,521 曲線、512,522 直線、800 照明装置、851,852 発光素子ユニット、A42,A74 差動増幅器、C11 入力コンデンサ、C14 平滑コンデンサ、C75 コンデンサ、D13 整流素子、L61 二次巻線、L63 一次巻線、L64 チョークコイル、PC フォトカプラ、Q12,Q73,Q76,Q78 スイッチング素子、R21,R31,R71,R77 抵抗、R72 可変抵抗、T60 トランス、V41 基準電圧源。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のの駆動電流で動作する第一の負荷回路と、上記第一の駆動電流よりも小さい第二の駆動電流で動作する第二の負荷回路とに対して電力を供給する電源回路において、
上記電源回路は、定電流回路と、電流減算回路とを有し、
上記定電流回路は、上記第一の負荷回路と上記第二の負荷回路とを直列に電気接続した直列負荷回路に対して、上記第一の駆動電流を供給し、
上記電流減算回路は、上記直列負荷回路を流れる電流を分流して、上記第二の負荷回路を流れる電流を削減することを特徴とする電源回路。
【請求項2】
上記電流減算回路は、
所定もしくは可変の電圧電流特性を有する回路と、
上記第一の負荷回路、及び、上記第二の負荷回路、及び、上記直列負荷回路のうちのいずれかの両端に発生する電圧により電圧電流特性が変化する回路と、
上記第一の負荷回路、及び、上記第二の負荷回路のうちのいずれかを流れる電流により電圧電流特性が変化する回路と、
所定もしくは可変の電流値の定電流を流す回路と、
分流した電流から得たエネルギーを上記定電流回路に還元する電流還元回路と、
固定抵抗と、
可変抵抗と、
上記第二の負荷回路に直列または並列に接続した半導体素子により、上記第二の駆動電流を調整する回路と
のうちのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
上記電源回路は、更に、トランスを有し、
上記トランスは、第一の巻線と、第二の巻線とを有し、
上記定電流回路は、上記第一の巻線を流れる電流からエネルギーを得て、上記直列負荷回路に対して印加する電圧を生成し、
上記電流減算回路は、分流した電流からエネルギーを得て、上記第二の巻線に流す電流を生成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電源回路。
【請求項4】
上記定電流回路は、電圧生成回路と、電流検出回路と、電圧検出回路と、制御回路とを有し、
上記電圧生成回路は、上記直列負荷回路に対して印加する電圧を生成し、
上記電流検出回路は、上記第一の負荷回路、及び、上記第二の負荷回路のうちのいずれかを電流検出対象回路とし、上記電流検出対象回路を流れる電流を検出し、
上記電圧検出回路は、上記第一の負荷回路、及び、上記第二の負荷回路、及び、上記直列負荷回路のうちのいずれかを電圧検出対象回路とし、上記電圧検出対象回路の両端に発生する電圧を検出し、
上記制御回路は、上記電圧検出回路が検出した電圧が所定の電圧値以下となる範囲内で、上記電流検出回路が検出した電流が所定の電流値となるよう、上記電圧生成回路を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電源回路。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電源回路と、第一の発光素子ユニットと、第二の発光素子ユニットとを有し、
上記第一の発光素子ユニットは、一または直列に電気接続された複数の第一の発光素子を有し、上記第一の負荷回路として上記電源回路に電気接続され、
上記第一の発光素子は、上記第一の駆動電流の電流により発光し、
上記第二の発光素子ユニットは、一または直列に電気接続された複数の第二の発光素子を有し、上記第二の負荷回路として上記電源回路に電気接続され、
上記第二の発光素子は、上記第二の駆動電流の電流により発光することを特徴とする照明装置。
【請求項1】
第一のの駆動電流で動作する第一の負荷回路と、上記第一の駆動電流よりも小さい第二の駆動電流で動作する第二の負荷回路とに対して電力を供給する電源回路において、
上記電源回路は、定電流回路と、電流減算回路とを有し、
上記定電流回路は、上記第一の負荷回路と上記第二の負荷回路とを直列に電気接続した直列負荷回路に対して、上記第一の駆動電流を供給し、
上記電流減算回路は、上記直列負荷回路を流れる電流を分流して、上記第二の負荷回路を流れる電流を削減することを特徴とする電源回路。
【請求項2】
上記電流減算回路は、
所定もしくは可変の電圧電流特性を有する回路と、
上記第一の負荷回路、及び、上記第二の負荷回路、及び、上記直列負荷回路のうちのいずれかの両端に発生する電圧により電圧電流特性が変化する回路と、
上記第一の負荷回路、及び、上記第二の負荷回路のうちのいずれかを流れる電流により電圧電流特性が変化する回路と、
所定もしくは可変の電流値の定電流を流す回路と、
分流した電流から得たエネルギーを上記定電流回路に還元する電流還元回路と、
固定抵抗と、
可変抵抗と、
上記第二の負荷回路に直列または並列に接続した半導体素子により、上記第二の駆動電流を調整する回路と
のうちのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
上記電源回路は、更に、トランスを有し、
上記トランスは、第一の巻線と、第二の巻線とを有し、
上記定電流回路は、上記第一の巻線を流れる電流からエネルギーを得て、上記直列負荷回路に対して印加する電圧を生成し、
上記電流減算回路は、分流した電流からエネルギーを得て、上記第二の巻線に流す電流を生成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電源回路。
【請求項4】
上記定電流回路は、電圧生成回路と、電流検出回路と、電圧検出回路と、制御回路とを有し、
上記電圧生成回路は、上記直列負荷回路に対して印加する電圧を生成し、
上記電流検出回路は、上記第一の負荷回路、及び、上記第二の負荷回路のうちのいずれかを電流検出対象回路とし、上記電流検出対象回路を流れる電流を検出し、
上記電圧検出回路は、上記第一の負荷回路、及び、上記第二の負荷回路、及び、上記直列負荷回路のうちのいずれかを電圧検出対象回路とし、上記電圧検出対象回路の両端に発生する電圧を検出し、
上記制御回路は、上記電圧検出回路が検出した電圧が所定の電圧値以下となる範囲内で、上記電流検出回路が検出した電流が所定の電流値となるよう、上記電圧生成回路を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電源回路。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電源回路と、第一の発光素子ユニットと、第二の発光素子ユニットとを有し、
上記第一の発光素子ユニットは、一または直列に電気接続された複数の第一の発光素子を有し、上記第一の負荷回路として上記電源回路に電気接続され、
上記第一の発光素子は、上記第一の駆動電流の電流により発光し、
上記第二の発光素子ユニットは、一または直列に電気接続された複数の第二の発光素子を有し、上記第二の負荷回路として上記電源回路に電気接続され、
上記第二の発光素子は、上記第二の駆動電流の電流により発光することを特徴とする照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2010−187429(P2010−187429A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28142(P2009−28142)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]