説明

電源回路

【課題】過電流検出用抵抗の電源側と過電流制御回路とが遮断された場合にも、過電流保護を可能とする電源回路を提供すること。
【解決手段】負荷に対する過電流を検出した場合に、電源の供給を遮断する電源回路において、前記負荷に対する過電流を検出し、前記負荷と過電流検出用抵抗との間に設けられたスイッチ素子のオン/オフを制御する過電流制御回路と、前記過電流検出用抵抗の電源側の端子と前記過電流制御回路との遮断を検出する検出回路とを有し、前記検出回路は、前記遮断を検出したとき、前記スイッチ素子をオフとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷に対する過電流を検出した場合に、電源の供給を遮断する電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電源回路では、電源回路に接続された負荷に対する過電流又は過電圧を検出し、負荷への電源の供給を遮断するものがある。図3は、従来の電源回路の一例を示す回路図である。
【0003】
従来の電源回路10は、電源VBと接続された過電流検出用抵抗R1、負荷への電源の遮断を制御するトランジスタQ1、過電流制御回路11、過電圧検出回路12を有する。
【0004】
過電流制御回路11は、コンパレータ13、電流源14、基準電圧Vref、ダイオードD1、抵抗R2、トランジスタQ2、トランジスタQ3を有する。過電流制御回路11では、過電流検出用抵抗R1に流れる電流が過電流になると、コンパレータ13の出力がローレベル(以下、Lレベル)からハイレベル(以下、Hレベル)に反転し、トランジスタQ3がオンになる。トランジスタQ3がオンになると、トランジスタQ2はオフとなり、トランジスタQ1がオフとなる。よって負荷への電源の供給が遮断されて過電流保護が行われる。
【0005】
過電圧制御回路12は、コンパレータ15、フィードバック抵抗R3、R4、トランジスタQ4を有する。過電圧制御回路12では、電源回路10の出力電圧が図示しない定電圧源の電圧VBGを超えるとコンパレータ15の出力がLレベルからHレベルへ反転し、トランジスタQ4がオフになる。よってトランジスタQ1がオフになり、負荷への電源の供給が遮断されて、過電圧保護が行われる。
【0006】
特許文献1には、過電流検出と過電圧検出を行う半導体パワースイッチシステムが記載されている。
【特許文献1】特開平8−94695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の電源回路10において、過電流検出用抵抗R1の電源側の端子と、過電流制御回路11との接続が遮断された場合、電源VBから供給される電流はダイオードD1を介して過電流制御回路11、過電圧制御回路12内に供給される。この場合、過電圧制御回路12では正常に過電圧保護を行うことができる。
【0008】
しかしながら過電流制御回路11では、過電流検出用抵抗R1の電源側の端子と、過電流制御回路11との接続が遮断された場合、基準電圧Vrefが過電流検出用抵抗R1の電圧降下とダイオードD1の順方向電圧の分低くなる。過電流制御回路11は、この状態では過電流を検出できないため、過電流保護を行えない。よって負荷短絡時にトランジスタQ1に大電流が流れ、トランジスタQ1が破損する虞がある。
【0009】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、過電流検出用抵抗の電源側と過電流制御回路とが遮断された場合にも、過電流保護を可能とする電源回路を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の如き構成を採用した。
【0011】
本発明は、負荷に対する過電流を検出した場合に、電源の供給を遮断する電源回路において、前記負荷に対する過電流を検出し、前記負荷と過電流検出用抵抗との間に設けられたスイッチ素子のオン/オフを制御する過電流制御回路と、前記過電流検出用抵抗の電源側の端子と前記過電流制御回路との遮断を検出する検出回路とを有し、前記検出回路は、前記遮断を検出したとき、前記スイッチ素子をオフとする構成とした。
【0012】
係る構成によれば、過電流検出用抵抗の電源側と過電流制御回路とが遮断された場合にも、過電流保護を可能とすることができる。
【0013】
また本発明の電源回路は、前記過電流検出用抵抗と並列に、前記電源と逆向きに接続されたダイオードを有し、前記検出回路は、前記ダイオードの電圧降下を検出したとき、前記過電流検出用抵抗の電源側の端子と前記過電流制御回路との遮断を検出する構成とした。
【0014】
また本発明の電源回路は、所定電圧と当該電源回路の出力電圧とを比較する比較回路を有し、前記出力電圧が前記所定電圧以上となったとき、前記負荷に対する前記電源の供給を遮断する過電圧制御回路を有する構成とした。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、過電流検出用抵抗の電源側と過電流制御回路とが遮断された場合にも、過電流保護を可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、過電流検出用抵抗の電源側と過電流制御回路との遮断を検出する遮断検出回路を有し、この遮断検出回路により遮断が検出されたとき、負荷への電源の供給を遮断することにより、過電流検出用抵抗の電源側と過電流制御回路とが遮断された場合の過電流保護を行う。
【0017】
(第一の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第一の実施形態について説明する。図1は、本発明の第一の実施形態の電源回路100を示す回路図である。
【0018】
本実施形態の電源回路100は、過電流制御回路110、過電圧制御回路120、遮断検出回路130、過電流検出用抵抗R10、トランジスタQ10、位相補償コンデンサC10を有し、電源回路100に接続された負荷に対し電源を供給する。
【0019】
過電流制御回路110は、負荷に供給される電流の過電流を検出し、過電流が検出された場合に負荷への電源の供給を遮断する過電流保護制御を行う。過電圧制御回路120は、負荷に供給される電圧の過電圧を検出し、過電圧が検出された場合に負荷への電源の供給を遮断する過電圧保護制御を行う。遮断検出回路130は、過電流検出用抵抗R10の電源側の端子と、過電流制御回路110とが遮断されていることを検出する。
【0020】
以下に各回路をさらに説明する。
【0021】
本実施形態の過電流制御回路110は、コンパレータ111、電流源112、基準電圧Vref1、保護ダイオードD10、抵抗R20、トランジスタQ20、トランジスタQ30、過電流検出用抵抗R10の両端に接続される端子a、b、トランジスタQ10のベースに接続される端子cを有する。尚トランジスタQ10はPNP型トランジスタであり、トランジスタQ20、Q30はNPN型トランジスタである。
【0022】
端子aは過電流検出用抵抗R10の電源側の一端と接続されており、端子bの過電流検出用抵抗R10の負荷側の一端と接続されている。また端子aは保護ダイオードD10のカソードと接続されており、端子bは保護ダイオードD10のカソードと接続されている。
【0023】
端子aは、基準電圧Vref1と接続されており、基準電圧Vref1はコンパレータ111の非反転入力端子と接続されている。また端子bはコンパレータ111の反転入力端子と接続されている。コンパレータ111の出力は、トランジスタQ30のベースと接続されている。トランジスタQ30のエミッタは接地されており、トランジスタQ30のコレクタは電流源112と接続されている。またトランジスタQ30と電流源112との接続点は、トランジスタQ20のベースと接続されている。
【0024】
保護ダイオードD10のアノードには抵抗R20の一端が接続されており、抵抗R20の他端はトランジスタQ20のコレクタに接続されている。また抵抗R20とトランジスタQ20との接続点は、端子cと接続されている。尚抵抗R20は、トランジスタQ10のリーク抜き抵抗である。
【0025】
本実施形態の過電圧制御回路120は、コンパレータ121、フィードバック抵抗R30、R40、トランジスタQ40、位相補償コンデンサC10に接続される端子d、電源回路100の出力端子と接続される端子eを有する。尚トランジスタQ40は、PNP型トランジスタである。
【0026】
コンパレータ121の反転入力端子には、図示しない定電圧源の電圧VBGが印加される。コンパレータ121の非反転入力端子には、抵抗R40の一端と接続されている。抵抗R40の他端は接地されている。コンパレータ121の非反転入力端子と抵抗R40との接続点は、抵抗R30の一端と接続されている。抵抗R30の他端は端子eと接続されている。
【0027】
コンパレータ121の出力は、トランジスタQ40のベースに接続されている。トランジスタQ40のエミッタは、トランジスタQ20のエミッタと接続されており、トランジスタQ40のコレクタは接地されている。
【0028】
本実施形態の遮断検出回路130は、コンパレータ131を有する。コンパレータ131の反転入力端子は、保護ダイオードD10のアノードと端子bとの接続点と接続されている。コンパレータ131の非反転入力端子は、保護ダイオードD10のカソードと端子aとの接続点と接続されている。コンパレータ131の出力は、トランジスタQ20のベースに接続されている。
【0029】
以下に本実施形態の電源回路100の動作を説明する。
【0030】
まず始めに本実施形態の電源回路100において、過電流検出用抵抗R10と端子aとが接続されている場合について説明する。
【0031】
本実施形態の過電流制御回路110では、端子bの電圧が基準電圧Vref1よりも低くなったとき過電流を検出する。過電流制御回路110において過電流が検出されると、コンパレータ111の出力はレベルからHレベルへ反転し、トランジスタQ30がオンなる。トランジスタQ30がオンになると、トランジスタQ20のベース電流の供給がカットされ、トランジスタQ20がオフとなる。トランジスタQ20がオフになると、トランジスタQ10のベース電流の引き込みが無くなり、トランジスタQ10もオフとなる。よって負荷への電源の供給が遮断されて、過電流保護が行われる。
【0032】
本実施形態の過電圧制御回路120では、端子eの電圧(電源回路100の出力電圧)が図示しない定電圧源の電圧VBGより高くなったとき過電圧を検出する。過電圧制御回路120において過電圧が検出されると、コンパレータ121の出力はLレベルからHレベルへ反転し、トランジスタQ40がオフになる。トランジスタQ40がオフになるとベース電流の引き込みが無くなり、トランジスタQ10がオフになる。よって負荷への電源の供給が遮断されて、過電圧保護が行われる。
【0033】
次に、本実施形態の電源回路100において、過電流検出用抵抗R10と端子aとが遮断されている場合について説明する。
【0034】
本実施形態では、過電流検出用抵抗R10と端子aとが遮断されている場合にも、この遮断を検出し、過電流保護を行う。
【0035】
過電流検出用抵抗R10と端子aとが遮断されると、電流は端子bを介して過電流制御回路110内に供給される。本実施形態の遮断検出回路130は、端子bを介して電流が過電流制御回路110内に供給された際に生じる保護ダイオードD10の順方向電圧を検出することにより、端子aと過電流検出用抵抗R10との説明の遮断を検出する。
【0036】
端子aと過電流検出用抵抗R10とが遮断されると、保護ダイオードD10の順方向電圧分電圧降下が発生するため、端子aの電圧よりも端子bの電圧の方が高くなる。本実施形態の遮断検出回路130では、端子bの電圧が端子aの電圧より高くなったとき、端子aと過電流検出用抵抗R10との遮断を検出する。遮断検出回路130が遮断を検出すると、コンパレータ131の出力は、HレベルからLレベルに反転する。
【0037】
コンパレータ131の出力がLレベルになると、トランジスタQ20はオフとなる。トランジスタQ20がオフになると、トランジスタQ10のベース電流の引き込みが無くなり、トランジスタQ10もオフとなる。よって負荷への電源の供給が遮断されて、過電流保護が行われる。
【0038】
以上に説明したように、本実施形態によれば、過電流検出用抵抗R10と端子aとが遮断されている場合にも、この遮断を検出して過電流保護を行ってトランジスタQ10に過電流が流れることを防止することができ、電源回路100の信頼性を向上させることができる。
【0039】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照した本発明の第二の実施形態について説明する。本発明の第二の実施形態は、第一の実施形態の過電流制御回路110のトランジスタQ20と遮断検出回路130との間にトランジスタQ50を設けた点のみ第一の実施形態と相違する。よって以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0040】
図2は、本発明の第二の実施形態の電源回路100Aを示す回路図である。本実施形態の電源回路100Aの有する過電流制御回路110Aは、トランジスタQ50を有する。尚トランジスタQ50は、NPN型トランジスタである。
【0041】
また本実施形態の遮断検出回路130Aでは、端子aがコンパレータ131Aの反転入力端子と接続されており、端子bがコンパレータ131Aの非反転入力端子に接続されている。よって本実施形態の遮断検出回路130Aでは、端子aと過電流検出用抵抗R10とが遮断されて端子bの電圧が端子aの電圧よりも高くなると、コンパレータ131Aの出力はLレベルからHレベルへ反転する。
【0042】
トランジスタQ50のベースは、遮断検出回路130Aの有するコンパレータ131Aの出力と接続されている。トランジスタQ50のエミッタは接地されており、トランジスタQ50のコレクタは、電流源112と接続されている。
【0043】
本実施形態では、遮断検出回路130が端子aと過電流検出用抵抗R10との遮断を検出し、コンパレータ131Aの出力がLレベルからHレベルへ反転すると、トランジスタQ50がオンとなる。トランジスタQ50がオンになると、トランジスタQ20のベース電流の供給がカットされて、トランジスタQ20がオフになる。トランジスタQ20がオフになると、トランジスタQ10のベース電流の引き込みが無くなり、トランジスタQ10はオフになる。よって負荷への電源の供給が遮断され、過電流保護が行われる。
【0044】
したがって本実施形態によれば、本実施形態によれば、過電流検出用抵抗R10と端子aとが遮断されている場合にも、端子aと過電流検出用抵抗R10との遮断を検出して過電流保護を行ってトランジスタQ10に過電流が流れることを防止することができ、電源回路100Aの信頼性を向上させることができる。
【0045】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、過電流を検出する電源回路等に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第一の実施形態の電源回路100を示す回路図である。
【図2】本発明の第二の実施形態の電源回路100Aを示す回路図である。
【図3】従来の電源回路の一例を示す回路図である。
【符号の説明】
【0048】
100、100A 電源回路
110、110A 過電流制御回路
111、121、131 コンパレータ
120 過電圧制御回路
130、130A 遮断検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に対する過電流を検出した場合に、電源の供給を遮断する電源回路において、
前記負荷に対する過電流を検出し、前記負荷と過電流検出用抵抗との間に設けられたスイッチ素子のオン/オフを制御する過電流制御回路と、
前記過電流検出用抵抗の電源側の端子と前記過電流制御回路との遮断を検出する検出回路とを有し、
前記検出回路は、前記遮断を検出したとき、前記スイッチ素子をオフとする電源回路。
【請求項2】
前記過電流検出用抵抗と並列に、前記電源と逆向きに接続されたダイオードを有し、
前記検出回路は、
前記ダイオードの電圧降下を検出したとき、前記過電流検出用抵抗の電源側の端子と前記過電流制御回路との遮断を検出する請求項1記載の電源回路。
【請求項3】
所定電圧と当該電源回路の出力電圧とを比較する比較回路を有し、前記出力電圧が前記所定電圧以上となったとき、前記負荷に対する前記電源の供給を遮断する過電圧制御回路を有する請求項1又は2記載の電源回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−240007(P2009−240007A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−80061(P2008−80061)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】