説明

電源装置、その電源装置を備えた放電灯点灯装置およびその放電灯点灯装置を備えた照明器具

【課題】無負荷時に昇圧コンバータのインダクタンスの2次巻線から安定した電圧を生成する電源装置を提供する。
【解決手段】スイッチング素子6の動作に基づいて整流回路2の出力電圧を昇圧する昇圧チョッパ回路4と、昇圧チョッパ回路4の出力電圧を検出する電圧検出回路9と、昇圧チョッパ回路4のインダクタンス5に併設された制御電圧生成用の2次巻線5bと、2次巻線5bに発生した電圧から所定の制御電圧を生成する制御電圧生成回路26と、少なくとも、電圧検出回路9により検出された昇圧チョッパ回路4の出力電圧が予め設定された目標電圧になるようにスイッチング素子6を制御する制御回路25とを備え、制御回路25は、無負荷のとき、目標電圧の値を大きく設定し、昇圧チョッパ回路4の出力電圧がその目標電圧になるようにスイッチング素子6を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置、その電源装置を備えた放電灯点灯装置およびその放電灯点灯装置を備えた照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の放電灯点灯装置として、放電灯電圧検出回路により検出された放電灯電圧、または放電灯電流検出回路により検出された放電灯電流が所定範囲から外れた場合に、放電灯を消灯させると共に、昇圧コンバータのスイッチング素子のオンデューティを、放電灯電圧または放電灯電流が所定範囲内のときのオンデューティより小さくする制御回路を備えたものがある。その小さくなったオンデューティによる昇圧コンバータのスイッチング素子のオン・オフによって、昇圧コンバータから出力される電圧を直流電圧検出回路により放電させ、昇圧コンバータのインダクタンスの2次巻線に電圧を発生させて制御電圧を確保するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4211022号公報(第4頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
交流電源を広範囲の電圧に対応させた場合、交流電源電圧の実効値が低いときよりも、高いときの方が昇圧する電圧幅が小さくなる。このため、放電灯が点灯していない無負荷時においては、昇圧コンバータのスイッチング素子のオンデューティを、放電灯電圧または放電灯電流が所定範囲内のときのオンデューティより小さくした場合でも、交流電源電圧の瞬時値が高い箇所では、昇圧コンバータの出力電圧が短期間で所定の目標値に達してしまい、昇圧コンバータのスイッチング素子が間欠動作となる。このため、昇圧コンバータのインダクタンスに併設された2次巻線から所定の制御電圧が生成されないという課題がある。
【0005】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたもので、交流電源を広範囲の電圧に対応させた場合においても、無負荷時に昇圧コンバータのインダクタンスの2次巻線から安定した電圧を生成することができる電源装置、その電源装置を備えた放電灯点灯装置およびその放電灯点灯装置を備えた照明器具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電源装置は、交流電源電圧を整流する整流回路と、スイッチング素子を有し、スイッチング素子の動作に基づいて整流回路の出力電圧を昇圧する昇圧チョッパ回路と、昇圧チョッパ回路の出力電圧を検出する電圧検出手段と、昇圧チョッパ回路のインダクタンスに併設された制御電圧生成用の巻線と,巻線に発生した電圧から所定の制御電圧を生成する制御電圧生成回路と、少なくとも、電圧検出手段により検出された昇圧チョッパ回路の出力電圧が予め設定された目標電圧になるように前記スイッチング素子を制御する制御手段とを備え、制御手段は、無負荷のとき、昇圧チョッパ回路の出力電圧が上昇するようにスイッチング素子を制御し、巻線から制御電圧の生成に必要な電圧を得るようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電源装置によれば、無負荷のとき、昇圧チョッパ回路の出力電圧が上昇するようにスイッチング素子を制御するようにしているので、交流電源を広範囲の電圧に対応させた場合においても、昇圧チョッパ回路のインダクタンスに併設された制御電圧生成用の巻線から安定した電圧が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1に係る放電灯点灯装置の構成を示す回路図である。
【図2】実施の形態1の放電灯点灯装置における制御回路の動作を示すフローチャートである。
【図3】実施の形態2の放電灯点灯装置における制御回路の動作を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態3の放電灯点灯装置における制御回路の動作を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態4に係る照明器具の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の電源装置を備えた放電灯点灯装置および照明器具の実施の形態について図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る放電灯点灯装置の構成を示す回路図である。
実施の形態1の放電灯点灯装置は、図中に示すように、入力側には商用交流電源1が接続され、出力側には、後述する昇圧トランス20の2次巻線と高圧放電灯21とが直列に接続されてなる負荷回路が接続されている。
【0010】
その放電灯点灯装置は、商用交流電源1からの交流電力を直流電力に整流する整流回路2と、整流回路2の出力端子間に接続された電圧検出回路3と、整流回路2の出力端子に接続された昇圧チョッパ回路4と、昇圧チョッパ回路4の出力端子間に接続された電圧検出回路9と、昇圧チョッパ回路4の出力端子に接続された降圧チョッパ回路10と、降圧チョッパ回路10の出力端子間に接続された電圧検出回路23と、降圧チョッパ回路10の出力端子に接続されたインバータ回路と、負荷回路の高圧放電灯21に高圧パルスを印加する始動回路22と、降圧チョッパ回路10とインバータ回路との間に挿入された抵抗よりなる電流検出回路24と、制御回路25と、制御電圧生成回路26とを備えている。
【0011】
整流回路2の出力側の電圧検出回路3は、抵抗分圧回路により構成され、整流回路2の出力電圧を検出する。昇圧チョッパ回路4は、整流回路2の出力端子間に直列に接続されたインダクタンス5およびスイッチング素子6と、インダクタンス5およびスイッチング素子6の接続点に順方向に接続されたダイオード7と、スイッチング素子6にダイオード7を介して並列に接続された電解コンデンサ8とで構成されている。インダクタンス5は、互いに磁気的に結合された1次巻線5aと2次巻線5bとで構成されている。昇圧チョッパ回路4の出力側の電圧検出回路9は、前記と同様に抵抗分圧回路により構成され、昇圧チョッパ回路4の出力電圧を検出する。
【0012】
降圧チョッパ回路10は、昇圧チョッパ回路4のダイオード7および電解コンデンサ8の接続点に接続されたスイッチング素子11と、電解コンデンサ8にスイッチング素子11を介して並列に接続された順方向のダイオード13と、スイッチング素子11およびダイオード13の接続点に接続されたインダクタンス12と、ダイオード13にインダクタンス12を介して並列に接続されたコンデンサ14とで構成されている。降圧チョッパ回路10の出力側の電圧検出回路23は、抵抗分圧回路により構成され、降圧チョッパ回路10の出力電圧(高圧放電灯21の電圧に対応)を検出する。
【0013】
前述のインバータ回路は、降圧チョッパ回路10の出力端子間に、第1のスイッチング素子15および第2のスイッチング素子16の直列回路と、第3のスイッチング素子17および第4のスイッチング素子18の直列回路とが並列に接続されたフルブリッジ型のインバータで構成されている。そのインバータ回路の第1のスイッチング素子15と第2のスイッチング素子16の接続点および第3のスイッチング素子17と第4のスイッチング素子18の接続点の間には、前述した負荷回路が挿入されている。その負荷回路には並列にコンデンサ19が接続されている。
【0014】
始動回路22は、昇圧トランス20の2次巻線に磁気的に結合された1次巻線が接続され、高圧放電灯21の始動時に高圧パルスを発生させ、高圧放電灯21に印加して点灯させる。電流検出回路24は、降圧チョッパ回路10の出力電流(高圧放電灯21の電流に対応)を検出する。負荷回路の高圧放電灯21は、本発明における放電灯に相当し、例えばHIDランプ(高圧水銀ランプ)、高圧ナトリウムランプ、メタルハライドランプ等が用いられている。
【0015】
制御回路25は、例えばマイコン、DSP(Digital Signal Processor)等の演算装置で構成され、昇圧チョッパ回路4のスイッチング素子6、降圧チョッパ回路10のスイッチング素子11、インバータ回路の各スイッチング素子15、16、17、18の制御を行う。また、制御回路25には、前述した各電圧検出回路3、9、23および電流検出回路24と、制御電圧を生成する制御電圧生成回路26とが接続されている。
【0016】
前述の制御電圧生成回路26は、昇圧チョッパ回路4に設けられたインダクタンス5の2次巻線5bの一端に順方向に接続されたダイオード27と、そのダイオード27に接続された電解コンデンサ28と、ダイオード27および電解コンデンサ28の接続点に入力端子が接続された定電圧IC29と、整流回路2の出力端子に接続された抵抗30と、その抵抗30に接続されたツェナダイオード31と、抵抗30およびツェナダイオード31の接続点および定電圧IC29の出力端子の間に順方向に挿入されたダイオード32と、ツェナダイオード31にダイオード32を介して並列に接続された電解コンデンサ33とで構成されている。制御電圧生成回路26のダイオード32と電解コンデンサ33と定電圧IC29の出力端子との接続点が制御回路25の電源端子と接続されている。
【0017】
次に、前記のように構成された放電灯点灯装置の動作について図1を用いて説明する。 整流回路2に商用交流電源1が投入されると、全波整流された電圧が、制御電圧生成回路26の抵抗30に印加されて抵抗30に電流が流れ、ツェナダイオード31の定電圧素子により所定の直流電圧となって電解コンデンサ33を充電する。そして、電解コンデンサ33に充電された充電エネルギーにより、制御回路25に制御電圧が印加される。
【0018】
制御回路25は、制御電圧が印加されると、昇圧チョッパ回路4の動作を開始して、整流回路2により全波整流された電圧を昇圧する。この昇圧された直流電圧は、降圧チョッパ回路10を介してインバータ回路により交流に変換され、高圧放電灯21に印加される。この時、制御回路25は、始動回路22を駆動して、高圧放電灯21を始動させる高圧パルスを発生させ、高圧放電灯21に印加して点灯する。
【0019】
高圧放電灯21が点灯すると、制御回路25は、電圧検出回路23により検出された降圧チョッパ回路10の出力電圧(高圧放電灯21の電圧に対応)を検知し、この電圧から高圧放電灯21の電力が所定電力となるような高圧放電灯21の目標電流値を演算する。制御回路25は、演算した目標電流値と電流検出回路24により検出された降圧チョッパ回路10の出力電流(高圧放電灯21の電流に対応)とが一致するように、降圧チョッパ回路10のスイッチング素子11のオンデューティを制御する。
【0020】
また、制御回路25は、電圧検出回路9により検出された昇圧チョッパ回路4の出力電圧を読込み、その出力電圧と予め設定された目標電圧値とが一致するように、かつ、入力が高力率となるように、昇圧チョッパ回路4のスイッチング素子6のオンデューティを制御する。
【0021】
なお、昇圧チョッパ回路4のスイッチング素子6がオンしたとき、インダクタンス5に電流が流れ、インダクタンス5の1次巻線5aにエネルギーが蓄積される。また、スイッチング素子6がオフしたときには、インダクタンス5の1次巻線5aに蓄えられたエネルギーがダイオード7を介して電解コンデンサ8に充電される。
【0022】
この時、インダクタンス5の1次巻線5aと2次巻線5bとでトランスが構成されるので、1次巻線5aに電流が流れたときに2次巻線5bに電圧が発生する。この電圧は、制御電圧生成回路26のダイオード27と電解コンデンサ28により平滑され、定電圧IC29で所定の制御電圧となる。また、定電圧IC29で生成される制御電圧は、抵抗30とツェナダイオード31で生成される制御電圧より若干高くなるように設定されている。これは、定電圧IC29から制御電圧が供給されているときには、抵抗30に電流が流れないようにするためである。即ち、電源投入時の昇圧チョッパ回路4が動作していないときは、整流回路3の出力電圧が制御電圧生成回路26の抵抗30を介して供給されるが、昇圧チョッパ回路4が動作を開始したときには、昇圧チョッパ回路4のインダクタンス5の2次巻線5bから電圧が供給される。
【0023】
しかしながら、高圧放電灯21が点灯していない無負荷時には、昇圧チョッパ回路4から電流が流れなくなるので、昇圧チョッパ回路4の出力電圧が所定電圧に到達すると、昇圧チョッパ回路4のスイッチング素子6が停止する。その後、昇圧チョッパ回路4の出力電圧が電圧検出回路9の分圧抵抗により徐々に放電して所定電圧まで低下すると、昇圧チョッパ回路4のスイッチング素子6が再び動作を開始する。この場合、高圧放電灯21へ電流が流れないため、すぐに昇圧チョッパ回路4の出力電圧が所定電圧に到達して、昇圧チョッパ回路4のスイッチング素子6は再び停止する。このように、高圧放電灯21が点灯していない無負荷時では、昇圧チョッパ回路4のスイッチング素子6が連続的に動作しないため、昇圧チョッパ回路4のインダクタンス5の2次巻線5bから制御電圧の生成に必要な電圧が供給されなくなる。
【0024】
また、商用交流電源1の電圧(実効値)が高い場合は、低い場合と比べて昇圧される電圧幅が小さくなるため、とくに商用交流電源1の電圧(瞬時値)が高い箇所では、昇圧チョッパ回路4のスイッチング素子6が間欠動作となり、昇圧チョッパ回路4のインダクタンス5の2次巻線5bから制御電圧の生成に必要な電圧が供給されることがより困難となる。
【0025】
こうした交流電源を広範囲の電圧に対応させた場合においても、放電灯が点灯していない無負荷時に、昇圧チョッパ回路4のインダクタンス5の2次巻線5bから制御電圧の生成に必要な電圧を得るための一例を以下に説明する。
【0026】
図2は実施の形態1の放電灯点灯装置における制御回路の動作を示すフローチャートである。
制御回路25は、電圧検出回路23により検出された降圧チョッパ回路10の出力電圧(高圧放電灯21の電圧に対応)を検知し(S101)、次いで、電流検出回路24により検出された降圧チョッパ回路10の出力電流(高圧放電灯21の電流に対応)を検知する(S102)。
【0027】
その後、制御回路25は、検知した出力電圧が予め設定された電圧しきい値より低いかどうかを判定し(S103)、出力電圧が電圧しきい値以上のときには高圧放電灯21が点灯していないと判定してS106へ移行する。また、制御回路25は、出力電圧が電圧しきい値より低いときには、検知した出力電流が予め設定された電流しきい値より高いかどうかを判定する(S104)。制御回路25は、出力電流が電流しきい値以下のときには高圧放電灯21が点灯していないと判定してS106へ移行するが、出力電流が電流しきい値より高いときにはS105へ移行する。
【0028】
つまり、制御回路25は、検知した出力電圧が電圧しきい値より低く、かつ、検知した出力電流が電流しきい値より高いときには高圧放電灯21が点灯していると判定して、昇圧チョッパ回路4の目標電圧を所定値に設定する(S105)。そして、制御回路25は、電圧検出回路9により検出された昇圧チョッパ回路4の出力電圧と前述の目標電圧値とが一致するように、かつ、入力が高力率となるように、昇圧チョッパ回路4のスイッチング素子6のオン期間を制御(通常制御)し、ステップS101に戻る。
【0029】
また、制御回路25は、前述したように、検知した出力電圧が電圧しきい値以上のとき、あるいは検知した出力電流が電流しきい値以下のときには、高圧放電灯21が点灯していないと判定して、昇圧チョッパ回路4の目標電圧値を、高圧放電灯21が点灯した時の所定値よりも大きい値に設定し(S106)、ステップS101に戻る。
【0030】
以上のように実施の形態1によれば、高圧放電灯21が点灯していない無負荷時には、昇圧チョッパ回路4の目標電圧値を、高圧放電灯21が点灯した時の所定値よりも大きい値に設定するようにしている。これにより、商用交流電源1の電圧(実効値)が高い場合でも、昇圧される電圧幅が大きくなり、昇圧チョッパ回路4のスイッチング素子6を連続的にオン・オフできる。このため、昇圧チョッパ回路4のインダクタンス5に併設された制御電圧生成用の2次巻線5bから安定した電圧を生成することができる。
【0031】
実施の形態2.
実施の形態1では、商用交流電源1の電圧(実効値)に関係なく、高圧放電灯21が点灯していない無負荷時には、昇圧チョッパ回路4の目標電圧値を、高圧放電灯21が点灯した時の所定値よりも大きい値に設定するようにしたが、本実施の形態2では、商用交流電源1の電圧(実効値あるいは平均値または最大値)に応じて、昇圧チョッパ回路4の目標電圧値を設定するようにしたものである。
なお、本実施の形態における放電灯点灯装置の構成は、前述した実施の形態1(図1)と同様である。
【0032】
図3は実施の形態2の放電灯点灯装置における制御回路の動作を示すフローチャートである。
制御回路25は、前述したように、電圧検出回路23により検出された降圧チョッパ回路10の出力電圧を検知し(S201)、次いで、電流検出回路24により検出された降圧チョッパ回路10の出力電流を検知する(S202)。
【0033】
その後、制御回路25は、検知した出力電圧が予め設定された電圧しきい値より低いかどうかを判定し(S203)、出力電圧が電圧しきい値以上のときには高圧放電灯21が点灯していないと判定してS206へ移行する。また、制御回路25は、出力電圧が電圧しきい値より低いときには、検知した出力電流が予め設定された電流しきい値より高いかどうかを判定する(S204)。制御回路25は、出力電流が電流しきい値以下のときには高圧放電灯21が点灯していないと判定してS206へ移行するが、出力電流が電流しきい値より高いときにはS205へ移行する。
【0034】
制御回路25は、検知した出力電圧が電圧しきい値より低く、かつ、検知した出力電流が電流しきい値より高いときには高圧放電灯21が点灯していると判定して、昇圧チョッパ回路4の目標電圧を所定値に設定する(S205)、そして、制御回路25は、電圧検出回路9により検出された昇圧チョッパ回路4の出力電圧と前述の目標電圧値とが一致するように、かつ、入力が高力率となるように、昇圧チョッパ回路4のスイッチング素子6のオン期間を制御(通常制御)し、ステップS201に戻る。
【0035】
また、制御回路25は、検知した出力電圧が電圧しきい値以上のとき、あるいは検知した出力電流が電流しきい値以下のときには、高圧放電灯21が点灯していないと判定して、ステップS206に移行する。この時、制御回路25は、電圧検出回路3により検出された整流回路2の出力電圧から商用交流電源1の半周期間を検知する(S206)。そして、制御回路25は、検知した整流回路2の出力電圧に応じて昇圧チョッパ回路4の目標電圧値を設定し(S207)、ステップS201に移行する。この場合、検知した整流回路2の実効値あるいは平均値または最大値が大きくなるに従って目標電圧値を大きく設定する。
【0036】
以上のように実施の形態2によれば、高圧放電灯21が点灯していない無負荷時には、昇圧チョッパ回路4の目標電圧値を、整流回路2の実効値あるいは平均値または最大値に応じて設定するようにしている。これにより、商用交流電源1の電圧(実効値)が低い場合でも、昇圧される電圧幅を最適な値に設定できると共に、昇圧チョッパ回路4のスイッチング素子6を連続的にオン・オフできる。このため、昇圧チョッパ回路4のインダクタンス5に併設された制御電圧生成用の2次巻線5bから安定した電圧を生成することができる。
【0037】
実施の形態3.
実施の形態1、2では、高圧放電灯21が点灯していない無負荷時には、昇圧チョッパ回路4の目標電圧値を変動させるようにしたが、本実施の形態3では、放電灯が点灯していない無負荷時には、昇圧チョッパ回路4のスイッチング素子6のオン期間を制限するようにしたものである。
なお、本実施の形態における放電灯点灯装置の構成は、前述した実施の形態1(図1)と同様である。
【0038】
図4は実施の形態3の放電灯点灯装置における制御回路の動作を示すフローチャートである。
制御回路25は、実施の形態1と同様に、電圧検出回路23により検出された降圧チョッパ回路10の出力電圧を検知し(S301)、次いで、電流検出回路24により検出された降圧チョッパ回路10の出力電流を検知する(S302)。
【0039】
その後、制御回路25は、検知した出力電圧が予め設定された電圧しきい値より低いかどうかを判定し(S303)、出力電圧が電圧しきい値以上のときには高圧放電灯21が点灯していないと判定してS306へ移行する。また、制御回路25は、出力電圧が電圧しきい値より低いときには、検知した出力電流が予め設定された電流しきい値より高いかどうかを判定する(S304)。制御回路25は、出力電流が電流しきい値以下のときには高圧放電灯21が点灯していないと判定してS306へ移行するが、出力電流が電流しきい値より高いときにはS305へ移行する。
【0040】
制御回路25は、検知した出力電圧が電圧しきい値より低く、かつ、検知した出力電流が電流しきい値より高いときには高圧放電灯21が点灯していると判定して、昇圧チョッパ回路4の目標電圧を所定値に設定する(S305)。そして、制御回路25は、電圧検出回路9により検出された昇圧チョッパ回路4の出力電圧と前述の目標電圧値とが一致するように、かつ、入力が高力率となるように、昇圧チョッパ回路4のスイッチング素子6のオン期間を制御(通常制御)し、ステップS301に戻る。
【0041】
また、制御回路25は、検知した出力電圧が電圧しきい値以上のとき、あるいは検知した出力電流が電流しきい値以下のときには、高圧放電灯21が点灯していないと判定する。この場合、制御回路25は、電圧検出回路3により検出された整流回路2の出力電圧を検知し(S306)、検知した出力電圧に応じて昇圧チョッパ回路4のスイッチング素子6のオン期間を制限し(S307)、ステップS301に戻る。この場合、検知した整流回路2の瞬時値が大きくなるに従って、スイッチング素子6のオン期間を高圧放電灯21点灯時のオン期間(通常制御)よりも短くする。
【0042】
以上のように実施の形態3によれば、高圧放電灯21が点灯していない無負荷時には、昇圧チョッパ回路4のスイッチング素子6のオン期間を、整流回路2の瞬時値が大きくなるに従って、通常制御よりも短く設定するようにしている。これにより、商用交流電源1の電圧(瞬時値)が高い箇所でも、昇圧される電圧幅が小さくなり、昇圧チョッパ回路4のスイッチング素子6を連続的にオン・オフできる。このため、昇圧チョッパ回路4のインダクタンス5に併設された制御電圧生成用の2次巻線5bから安定した電圧を生成することができる。
【0043】
なお、制御回路25には、実施の形態1、2で説明した処理と実施の形態3で説明した処理とを任意に組み合わせた処理を行わせるようにすることができる。
【0044】
実施の形態4.
図5は実施の形態4に係る照明器具の構成を示す図である。
図中に示す照明器具300は、前述した実施の形態1〜3の何れかに記載の放電灯点灯装置100と、この放電灯点灯装置100に取り付けられた負荷回路の高圧放電灯21と、リフレクター200とを備えている。
【0045】
このような構成により、本実施の形態における照明器具300においては、高圧放電灯21が点灯していない無負荷の際、照明器具300における放電灯点灯装置100が有する制御回路25が、前述の実施の形態1〜3の何れかの処理を行う。
【0046】
以上のように実施の形態4によれば、照明器具300に実施の形態1〜3の何れかに記載の放電灯点灯装置100を設けているので、高圧放電灯21が点灯していない無負荷の際、昇圧チョッパ回路4のインダクタンス5に併設された制御電圧生成用の2次巻線5bから安定した電圧を生成することができる。
【0047】
なお、実施の形態1〜3では、降圧チョッパ回路10を用いた構成であるが、これを取り除いた構成でもよい。また、インバータ回路はフルブリッジ型で構成された例を示したが、ハーフブリッジ型で構成されてもよい。さらに、負荷回路、始動回路22、制御電圧生成回路26の構成についても、これに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の活用例として、前述した各実施の形態では、主として高圧放電灯21を点灯させる放電灯点灯装置について説明したが、これに限定されるものではなく、他の種類の放電灯を点灯させる放電灯点灯装置に適用してもよい。また、モーター駆動装置、LED電源、誘導加熱調理器などの昇圧チョッパ回路を備えた装置であれば全て適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 商用交流電源、2 整流回路、3 電圧検出回路、4 昇圧チョッパ回路、5 インダクタンス、6 スイッチング素子、7 ダイオード、8 電解コンデンサ、9 電圧検出回路、10 降圧チョッパ回路、11 スイッチング素子、12 インダクタンス、13 ダイオード、14 コンデンサ、15 第1のスイッチング素子、16 第2のスイッチング素子、17 第3のスイッチング素子、18 第4のスイッチング素子、
19 コンデンサ、20 昇圧トランス、21 高圧放電灯、22 始動回路、23 電圧検出回路、24 電流検出回路、25 制御回路、26 制御電圧生成回路、27 ダイオード、28 電解コンデンサ、29 定電圧IC、30 抵抗、31 ツェナダイオード、32 ダイオード、33 電解コンデンサ、100 放電灯点灯装置、200 リフレクター、300 照明器具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源電圧を整流する整流回路と、
スイッチング素子を有し、該スイッチング素子の動作に基づいて前記整流回路の出力電圧を昇圧する昇圧チョッパ回路と、
前記昇圧チョッパ回路の出力電圧を検出する電圧検出手段と、
前記昇圧チョッパ回路のインダクタンスに併設された制御電圧生成用の巻線と、
前記巻線に発生した電圧から所定の制御電圧を生成する制御電圧生成回路と、
少なくとも、前記電圧検出手段により検出された前記昇圧チョッパ回路の出力電圧が予め設定された目標電圧になるように前記スイッチング素子を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、無負荷のとき、前記昇圧チョッパ回路の出力電圧が上昇するように前記スイッチング素子を制御し、前記巻線から制御電圧の生成に必要な電圧を得ることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記制御手段は、無負荷のとき、前記目標電圧より値の大きい目標電圧を設定し、前記昇圧チョッパ回路の出力電圧がその目標電圧になるように前記スイッチング素子を制御することを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記制御手段は、無負荷のとき、交流電源電圧の実効値あるいは平均値または最大値が大きくなるに従って前記目標電圧より値の大きい目標電圧を設定し、前記昇圧チョッパ回路の出力電圧がその目標電圧になるように前記スイッチング素子を制御することを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項4】
前記制御手段は、無負荷のとき、交流電源電圧の瞬時値が大きくなるに従って前記スイッチング素子のオン期間を負荷接続時の通常制御のオン期間より短くし、前記昇圧チョッパ回路の出力電圧を上昇させることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の電源装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の電源装置を備えたことを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項6】
請求項5に記載の放電灯点灯装置を備えたことを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−205811(P2011−205811A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71650(P2010−71650)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】