説明

電源装置および通信システム

【課題】機器に電力線通信および無線通信の機能を付加するとともに、通信不能になる場合を回避できる電源装置を提案すること。
【解決手段】電源装置1は電力を供給しているプリンタ2との間で通信する通信手段16と、外部の機器と通信手段16との間で電力線通信する電力線通信手段17と、外部の機器と通信手段16との間で無線通信する3つの無線通信手段18〜20を有している。電源装置によってプリンタ2に電力線通信および無線通信の機能を付加できるので、プリンタ2はステータス情報などを外部に通知できる。また、各無線通信手段18〜20はそれぞれ通信規格が異なっているので、一つの無線通信手段による無線通信が通信不能に陥った場合でも、他の無線通信手段を用いて通信できる可能性がある。さらに電力線通信手段17を備えているので、通信不能になる場合を回避または低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力線通信および無線通信を行うことができる電源装置に関する。また、このような電源装置を複数用いることによって構築される通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力線通信は既設の電力線を通信媒体としてデータ通信を行うものであり、通信速度が9600bps程度の低速のものから200Mbps程度の高速なものまでが実用化されている。特許文献1では、電力線通信の機能は機器に電力を供給するACアダプターに搭載されており、機器はACアダプターを介して電力線通信ネットワークに接続されるようになっている。
【0003】
電力線通信はIEEE802.11b/g、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)など、2.4MHz帯のISMバンドを用いた通信規格のものが普及している。各通信規格における規格上の通信速度は、IEEE802.11bは11Mbpsまたは22Mbps、IEEE802.11gは54Mbps、Bluetoothはバージョン1.2で7kbps、ZigBeeは40kbps〜250kbpsの範囲となっている。
【0004】
これら電力線通信や無線通信は通信ケーブルを敷設することなく構内に通信ネットワークを構築するときに用いられる。特許文献2、3には、無線通信と電力線通信とを併用して通信ネットワークを構築した通信システムが開示されている。特許文献2には、電力線通信および無線通信の双方で同じ情報を送受信して、それらを選択或いは合成することにより、欠落した情報を補完する技術が記載されている。特許文献3には、リアルタイム性がある情報を高速な無線通信で行い、情報量の多い情報を低速な電力線通信で行うことにより、伝送効率を上げる技術が記載されている。
【特許文献1】特開2003−283389号公報
【特許文献2】特開2006−339882号公報
【特許文献3】特開2000−339551号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、電力を供給する機器に対して、電力線通信および無線通信の双方の機能を同時に付加することができるACアダプターや無停電電源装置などの電源装置は提案されていないのが現状である。
【0006】
また、電力線通信は電力線に電化製品などの機器が接続される等の通信環境によって通信不能になることがあり、無線通信は建物の構造や障害物の有無、電波干渉などによって通信不能になることがある。このため、機器に電力線通信および無線通信の双方の機能を付加しても、通信環境が変化することにより通信不能になる場合を排除しきれないという問題がある。
【0007】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、電力を供給する機器に電力線通信および無線通信の機能を付加することができる電源装置を提案することにある。また、通信不能になる場合を回避または低減することができる電源装置を提案することにある。さらに、このような電源装置を用いた通信ネットワークを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の電源装置は、
電力線からの電力を直接又は変換して、接続されている機器に供給する電力供給部と、
前記接続されている機器との間で通信する通信手段と、
外部の機器と前記通信手段との間で前記電力線を介して通信する電力線通信手段と、
外部の機器と前記通信手段との間で無線通信するもので、例えば通信規格の異なる複数の無線通信手段とを有していることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、接続されている機器に電力を直接又は変換して供給する電源装置が、電源装置と機器との間で通信を行う通信手段と、外部の機器と通信手段との間で通信を行う電力線通信手段および無線通信手段を有している。従って、電力の供給を受ける機器が電力線通信および無線通信の機能を備えていない場合でも、電源装置を介することでこの機器に電力線通信および無線通信を付加することができる。さらに、電源装置が電力線通信手段と無線通信手段を有しているので、電源装置に接続されている機器が故障した場合でも、その故障状態を、電源装置から外部の機器に通知することができる。
【0010】
また、本発明は、無線通信手段を複数備えているので、一つの無線通信手段による無線通信が通信状態の悪化や通信不能になった場合でも、他の無線通信手段による無線通信によって通信できる。さらに、例として各無線通信手段の通信規格はそれぞれ異なっているので、一つの無線通信手段が通信不能になった場合でも、他の無線通信手段によって通信できる可能性がある。加えて、電力線通信手段を備えているので、全ての通信状態が悪化したり、通信不能になったりする場合を回避または低減することができる。
【0011】
本発明において、信頼性の高い通信を行うためには、前記電力線通信手段および前記複数の無線通信手段のそれぞれによる通信品質を評価し、前記電力線通信手段および前記複数の無線通信手段のうちの最も高い通信品質の第1の通信手段に通信を行わせる通信制御手段を有していることが望ましい。通信品質として、例えば、誤り率、SNR(Signal to Noise ratio)、通信速度を評価すれば、信頼性の高い通信を行うことができる。
【0012】
ここで、一般的に、通信不能に陥る前には通信速度が低下するので、通信環境が変化して通信不能になることを回避するためには、前記第1の通信手段が前記電力線通信手段および前記複数の無線通信手段の中で、例として通信規格上の通信速度が最も遅いものでない場合に、前記第1の通信手段の通信速度がこの第1の通信手段について予め設定されている許容速度以下に陥っているか否かを監視する通信状態監視手段を有し、前記通信制御手段は、前記通信速度が前記許容速度以下に陥ると、前記第1の通信手段に替えて、前記電力線通信手段および前記複数の無線通信手段の中から例として通信規格上の通信速度が前記第1の通信手段の次に速い第2の通信手段に通信を行わせることを特徴とすることが望ましい。
【0013】
本発明において、情報を確実に送受信するためには、前記電力線通信手段および前記複数の無線通信手段の少なくとも2つに同じ内容の通信を行わせる通信制御手段を有していることが望ましい。
【0014】
この場合において、通信環境が変化することによって通信状態が劣化している通信を排除するためには、前記電力線通信手段および前記複数の無線通信手段の各通信速度が前記電力線通信手段および前記複数の無線通信手段のそれぞれについて予め設定されている各許容速度以下に陥っているか否かを監視する通信状態監視手段を有し、前記通信制御手段は、前記電力線通信手段および前記複数の無線通信手段のうち前記通信速度が前記許容速度以下に陥った第1の通信手段が検出された場合には、前記第1の通信手段が前記電力線通信手段および前記複数の無線通信手段の中で、例として、通信規格上の通信速度が最も遅いものでなければ当該第1の通信手段による通信を停止することが望ましい。
【0015】
本発明において、複数の無線通信手段が相互に干渉することがないようにするためには、前記複数の無線通信手段のそれぞれが使用する通信チャネルが同じ周波数帯に重ならないように割り当てるチャネル設定手段を有していることが望ましい。このようにすれば、各無線通信手段が異なる周波数帯を使用するので、特定の周波数帯で電波干渉が発生するなどした場合でも、他の無線通信手段を用いて通信することができる。
【0016】
本発明において、外部の機器から電源装置に接続されている機器の駆動状態を制御するためには、前記電力線通信手段および前記複数の無線通信手段のうちのいずれかを介して外部の機器から受信した制御指令に基づいて、前記接続されている機器を待機状態から起動させ、或いは、駆動状態から待機させる駆動制御手段を有していることが望ましい。
【0017】
次に、本発明の通信システムは、
上記の電源装置を少なくとも3つ備えており、
各電源装置の電力線通信手段は、相互に電力線を介した電話線通信ネットワークを構築しており、
各電源装置の前記複数の無線通信手段の少なくとも一つの第1の無線通信手段は、相互間にスター型の無線通信ネットワークを構築しており、
各電源装置の前記複数の無線通信手段の少なくとも一つの第2の無線通信手段は、相互にメッシュ型の無線通信ネットワークを構築していることを特徴とする。
【0018】
本発明の通信システムによれば、少なくとも3つの電源装置を用いることにより、電力線通信ネットワークと複数の無線通信ネットワークが構築される。また、複数の無線通信ネットワークはトポロジの異なる無線通信ネットワークを備えており、このうちの少なくとも一つがメッシュ型のトポロジを備えている。従って、通信環境が変化した場合でも、全ての通信ネットワークの通信経路が一斉に遮断されて通信不能になる場合を回避または低減することができる。
【0019】
この場合において、無線通信ネットワークのトポロジによって通信速度が低下することを低減するためには、前記第2の無線通信手段の通信規格上の通信速度は、前記第1の無線通信手段の通信規格上の通信速度よりも遅いことが望ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の電源装置によれば、接続されている機器に電力を供給する電源装置が、電源装置と機器との間で通信を行う通信手段と、外部の機器と通信手段との間で通信を行う電力線通信手段および無線通信手段を有している。従って、電力の供給を受ける機器が電力線通信および無線通信の機能を備えていない場合でも、この機器に電力線通信および無線通信を付加することができる。さらに、電源装置が電力線通信手段と無線通信手段を有しているので、電源装置に接続されている機器が故障した場合でも、その故障状態を、電源装置から外部の機器に通知することができる。
【0021】
また、本発明の電源装置は、無線通信手段を複数備えているので、一つの無線通信手段による無線通信が通信状態の悪化や通信不能になった場合でも、他の無線通信手段による無線通信によって通信できる。さらに、各無線通信手段の通信規格はそれぞれ異なっているので、一つの無線通信手段が通信不能になった場合でも、他の無線通信手段によって通信できる可能性がある。加えて、電力線通信手段を備えているので、通信不能になる場合を回避または低減することができる。
【0022】
本発明の通信システムによれば、少なくとも3つの電源装置を用いることにより、電力線通信ネットワークと複数の無線通信ネットワークが構築される。また、複数の無線通信ネットワークはトポロジの異なる無線通信ネットワークを備えており、このうちの少なくとも一つがメッシュ型のトポロジを備えている。従って、通信環境が変化した場合でも、全ての通信ネットワークの通信経路が一斉に遮断されて通信不能になる場合を回避または低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した電源装置および通信システムの実施の形態を説明する。
【0024】
(電源装置)
図1は本実施の形態に係る電源装置の外観斜視図である。本発明の電源装置1は電源装置1に接続されているプリンタ(機器)2に直流電力を供給するとともに、電力線通信と無線通信の機能を提供する。
【0025】
電源装置1はコンセントに差し込まれることにより電力線と接続される電源コード3と、直方体をしている装置本体4と、この装置本体4と機器とを接続する接続コード5を有している。接続コード5は途中で2本に分岐しており、一方のコード部分5aの先端には電源装置1と機器との間で通信を行うための通信コネクタ6が取り付けられている。他方のコード部分5bの先端には電源装置1からプリンタ2に電力を供給するための電源コネクタ7が取り付けられている。
【0026】
図2は電源装置1のブロック図である。電源装置1は電源供給部10と電源装置1に接続されているプリンタ2を通信ネットワークに接続するための通信部11を備えている。また、電力線8に接続されている電子レンジ12が放射するマイクロ波によって通信ができなくなることを回避するための電波干渉回避部13を備えている。電波干渉回避部13の詳細は後述する。
【0027】
電源供給部10はACアダプターとして機能するものであり、電力線8から電源コード3を介して供給される交流電力を所定の直流電力に変換する。また、変換された直流電力を接続コード5から電源コネクタ7を介してプリンタ2に供給する。プリンタ2が電源を持っている場合は、交流電力を直接供給してもよい。
【0028】
通信部11はCPU、ROM、RAMを備えた制御部15を中心に構成されている。制御部15のプリンタ2の側にはプリンタ2と電源装置1との間で通信する通信手段16が接続されている。通信ネットワークの側には外部の機器と通信手段16との間で電力線8を介して通信する電力線通信手段17と、外部の機器と通信手段16との間で無線通信する通信規格の異なる3つの無線通信手段18〜20が接続されている。制御部15は、チャネル設定手段21、通信状態監視手段22、通信制御手段23、駆動制御手段24を備えている。ここで、外部の機器とは通信ネットワークに接続されているサーバ14などの情報機器であり、通信ネットワークに接続されている他の電源装置および他の電源装置に接続されている機器も含まれている。
【0029】
通信手段16は接続コード5および通信コネクタ6を介してプリンタ2と有線通信を行う。本例では通信コネクタ6をLANポートに接続して通信する。通信手段16は、パラレルバス、USB(Universal Serial Bus)、シリアルポートなど、汎用の通信インターフェースに接続して通信するものとすることもできる。
【0030】
電力線通信手段17は電力線8に所定の高周波を重畳させてデータ通信を行うPLC(Power Line Communication)モデムである。電力線通信の通信規格にはPLCモデムのベンダーが提供している複数の通信規格がある。本例では、通信速度が30Mbpsとされている通信規格の電力線通信を用いる。
【0031】
3つの無線通信手段18〜20は通信規格がIEEE802.11gの高速無線通信手段18と、通信規格がIEEE802.11bの中速無線通信手段19と、通信規格がZigBeeの低速無線通信手段20である。いずれも2.4MHz帯のISMバンドを用いて通信を行う無線通信モデムである。高速無線通信手段18および中速無線通信手段19は設定スイッチ25を操作することにより無線通信ネットワークのアクセスポイントとしてとして機能させることができるようになっている。なお、IEEE802.11gの通信規格上の通信速度は54Mbpsであり、IEEE802.11bの通信規格上の通信速度は11Mbpsであり、ZigBeeの通信規格上の通信速度は250kbpsである。
【0032】
チャネル設定手段21は3つの無線通信手段18〜20がそれぞれ使用する通信チャネルの周波数帯が重ならないように割り当てる。図3(a)は2.4MHz帯におけるIEEE802.11b/gおよびZigBeeの通信チャネルの一覧である。図3(b)はチャネル設定手段21が3つの無線通信手段18〜20の通信チャネルが重ならないように設定した例である。
【0033】
図3(a)に示すように、IEEE802.11b/gは2.4MHz帯に周波数帯域を変えた14の通信チャネルを有しており、ZigBeeは周波数帯域を変えた16の通信チャネルを備えている。従って、チャネル設定手段21は、例えば、IEEE802.11gで通信する高速無線通信手段18に2412MHzの周波数帯の通信チャネルであるチャネル1を割り当て、IEEE802.11bで通信する中速無線通信手段19に2437MHzの周波数帯の通信チャネルであるチャネル6を割り当てる。また、ZigBeeには、チャネル20からチャネル26までのいずれかを割り当てる。
【0034】
ここで、各無線通信手段18〜20が、通信することが可能な通信可能チャネルを検出しながら動的に通信チャネルを変更して通信する機能を備えている場合には、チャネル設定手段21は各無線通信手段18〜20によって変更された通信チャネルを取得して、これらが同じ周波数帯に重ならないように割り当てる。
【0035】
通信状態監視手段22は、電力線通信手段17および3つの無線通信手段18〜20のいずれかで通信が行われると、通信の行われている通信手段が電力線通信手段17および無線通信手段18〜20の中で通信規格上の通信速度が最も遅い低速無線通信手段20ではない場合に、通信の行われている通信速度について予め設定されている許容速度以下に陥っているか否かを監視する。IEEE802.11gで通信を行う高速無線通信手段18の許容速度は6Mbps、電力線通信手段17の許容速度は3Mbps、IEEE802.11bで通信を行う中速無線信手段の許容速度は1Mbpsとしてある。各許容速度は電力線通信手段17および高速、中速の無線通信手段18、19において実用的な使用が可能な通信速度の1/3程度に定められている。
【0036】
通信制御手段23は電力線通信手段17および3つの無線通信手段18〜20のうちのいずれか一つの通信手段に通信を行わせるものであり、通信開始時に電力線通信手段17および3つの無線通信手段18〜20による通信品質を評価し、最も高い通信品質の一つの通信手段に通信を行わせる。通信品質は、誤り率、SNR、通信速度などに基づいて評価することができる。なお、誤り率、SNR、通信速度は周知の方法で求めることができる。これらの評価は予め設定した閾値を用いて行うことができる。
【0037】
また、通信制御手段23は通信が行われている通信手段の通信速度が許容速度以下に陥ったことが検出されると、電力線通信手段17および3つの無線通信手段18〜20の中から通信規格上の通信速度が通信の行われている通信手段の次に速い通信手段に切り替えて、通信を行わせる。
【0038】
図4は通信制御手段23が電力線通信および3つの無線通信手段18〜20を切り替えながら通信する動作を模式的に示した説明図である。図4に示すように、高速無線通信手段18で通信しているときに通信速度が許容速度以下に陥ると、高速無線通信手段18に替えて電力線通信手段17に通信を行わせる。また、電力線通信手段17の通信速度が許容速度以下に陥ると、電力線通信手段17に替えて中速無線通信手段19に通信を行わせる。中速無線通信手段19の通信速度が許容速度以下に陥ると、中速無線通信手段19に替えて低速無線通信手段20に通信を行わせる。すなわち、通信の途中で通信環境が変化して通信速度が許容速度以下になると、通信規格上の通信速度が速い通信手段から遅い通信手段へと順次に切り替えられる。なお、低速無線通信手段20により通信が行われている場合には、低速無線通信手段20による通信が維持される。
【0039】
駆動制御手段24は、電力線通信手段17および3つの無線通信手段18〜20のいずれかが通信ネットワークを介してプリンタ2を制御するための制御指令を受信すると、受信した制御指令に基づいて、プリンタ2を待機状態から起動させ、或いは、駆動状態から待機させる。
【0040】
電源装置1の電源コード3をコンセントに差し込んで接続コード5の電源コネクタ7をプリンタ2に接続すれば、電源供給部10は交流電力を所定の直流電力に変換してプリンタ2に供給する。また、接続コード5の通信コネクタ6をプリンタ2の通信インターフェースに接続すれば、電源装置1は、プリンタ2に電力線通信の機能と無線通信の機能を付加する。すなわち、プリンタ2は通信手段16および電力線通信手段17を介して電力線通信ネットワークに接続されて、外部の機器と通信可能になる。また、プリンタ2は通信手段16および周波数帯の重ならない通信チャネルを使用する3つの無線通信手段18〜20を介して、3つの無線通信ネットワークに接続されて、或いは、他の電源装置とアドホックモードで接続されて、外部の機器と通信可能になる。
【0041】
(電波干渉回避部)
ここで、電波干渉回避部13を説明する。電波干渉回避部13は、電源装置1とこの電源装置1に接続されているプリンタ2がレストランにおけるオーダエントリシステムの一部を構成しているときなどに、電力線8に接続されている電子レンジ12が放射するマイクロ波によって各無線通信手段18〜20の無線通信が通信不能に陥ってしまうことを回避するためのものである。
【0042】
図2に示すように、電波干渉回避部13は、電子レンジ動作検出手段26、チャネル特定手段27およびチャネル設定手段21を備えている。チャネル特定手段27は制御部15に構成されている。チャネル設定手段21は通信部11および電波干渉回避部13の双方において動作する。
【0043】
電子レンジ動作検出手段26は電子レンジ12の動作状態を検出するものであり、電力線8の電源電圧の変化を検出する電圧変動検出手段28と、電源電圧の変化に基づいて電子レンジ12の動作開始時点および動作停止時点を検出する動作検出手段29を備えている。動作検出手段は制御部15に構成されている。電圧変動検出手段28が電力線8の電源電圧が瞬間的に低下したことを検出すると、動作検出手段29はこれを電子レンジ12の動作開始時点として検出する。電圧変動検出手段28が電力線8の電源電圧が瞬間的に所定の時間範囲で所定値上昇したことを検出すると、動作検出手段29はこれを電子レンジ12の動作停止時点として検出する。ここで、電子レンジ動作検出手段26は、図5に示すように、電子レンジ12の電源コードに取り付けた誘導コイル30と、誘導コイル30に発生する電気的変化を所定の信号として電源装置1に送信する送信手段31と、所定の信号を受信することにより電子レンジ12の動作開始時点および動作停止時点を検出する動作検出手段とから構成することもできる。
【0044】
チャネル特定手段27は電子レンジ12が動作している間に、電波干渉を受けずに通信できる通信可能チャネルと、電波干渉により通信できない通信不可チャネルを検出し、これらを制御部15のRAMに記憶保持する。ここで、電子レンジ12のマグネトロンが発生させる2.4MHz帯のマイクロ波の周波数は長短2つの周期性を併せ持つ周期で変動している。この結果、マイクロ波の干渉を受けて通信不能に陥る各通信規格の通信チャネルは電子レンジの動作開始時点からの経過時間とともに周期的に変動するので、通信チャネル特定手段27は、電子レンジ12の動作開始時点から動作停止時点までの間、所定間隔で通信不可チャネルおよび通信可能チャネルを検出し、検出された通信不可チャネルおよび通信可能チャネルを、電子レンジ12の動作開始時点からの経過時間と対応づけたチャネル変動表として記憶保持する。
【0045】
通信不可チャネルおよび通信可能チャネルの検出には周波数ホッピングを行いながらこれらを検出する周知の技術を用いる。本例では、送信出力が小さくて電波干渉を受け易いZigBeeで通信する低速無線通信手段20をセンサとして用いて、通信不可チャネルおよび通信可能チャネルを検出する。また、電子レンジ12の動作開始時点が検出されてから100ms毎に通信不可チャネルおよび通信可能チャネルを検出している。
【0046】
なお、制御部15に記憶保持されたチャネル変動表は、この電源装置1と通信可能な他の電源装置との間で共有するために、他の電源装置からアクセス可能な状態になっている。また、他の電源装置がアクセスすると、アクセスした他の電源装置の制御部にチャネル変動表が記憶保持されるようにすることもできる。
【0047】
次に、チャネル設定手段21はチャネル変動表が制御部15に記憶保持されると、電子レンジ12が動作したときに、このチャネル変動表に基づいて各無線通信手段18〜20の通信チャネルを割り当てる。すなわち、電子レンジ12が動作すると、チャネル設定手段21は動作開始時点から所定間隔でチャネル変動表の通信不可チャネルおよび通信可能チャネルを参照する。そして、チャネル設定手段21は、通信部11の一部として動作するときと同様に各無線通信手段18〜20の通信チャネルの周波数帯が重ならないようにしながら、通信可能チャネルのいずれかを低速無線通信手段20の通信チャネルに割り当て、通信不可チャネルの周波数帯を含まない複数の通信チャネルのいずれかを高速無線通信手段18と中速無線通信手段19にそれぞれ割り当てる。
【0048】
図6は通信チャネルがマイクロ波と干渉しないように割り当てられる動作を示すフローチャートである。図6(a)は通信可能チャネルおよび通信不可チャネルをチャネル変動表として記憶保持する動作を示し、図6(b)は通信チャネルを切り替える動作を示す。図7(a)は電子レンジ12が動作している間に発生するマイクロ波を模式的に示す説明図である。図7(b)は電子レンジ12が動作している間に低速無線通信手段20によって通信不可チャネルおよび通信可能チャネルが検出される動作の例を模式的に示す説明図である。図7(c)は検出された通信不可チャネルおよび通信可能チャネルを電子レンジ12の動作開始時点からの経過時間と対応づけたチャネル変動表である。図8は通信チャネルが電波干渉を回避するように割り当てられた例を示す説明図である。
【0049】
図6(a)に示すように、電子レンジ動作検出手段26が電子レンジ12の動作開始時点を検出すると(ステップST1)、100ms経過後に(ステップST2)、チャネル特定手段27は通信不可チャネルおよび通信可能チャネルを検出する(ステップST3)。また、検出された通信不可チャネルおよび通信可能チャネルは動作開始時点からの経過時間と対応づけてチャネル変動表に記憶保持される(ステップST4)。その後は、ステップST5において電子レンジ12の動作停止時点が検出されるまで、100msの間隔で、通信不可チャネルおよび通信可能チャネルの検出と記憶保持が行われる(ステップST2〜ST4)。
【0050】
ここで、電子レンジ動作検出手段26が電子レンジ12の動作開始時点を検出すると、図7(a)に示すように、電子レンジ12からは周期的に変化するマイクロ波が放射される。また、チャネル特定手段27はこの周期性に起因して変化する通信不可チャネルおよび通信可能チャネルを検出する。図7(b)に示す例では、電子レンジ12の動作開始時点から100ms経過時点ではチャネル13、チャネル20が通信不可チャネルとして検出されており(図中の×印)、チャネル14、チャネル15、チャネル18が通信可能チャネルとして検出されている(図中の○印)。動作開始時点から200ms経過時点ではチャネル20、チャネル21が通信不可チャネルとして検出されており、チャネル12、チャネル16、チャネル19が通信可能チャネルとして検出されている。動作開始時点から300ms経過時点ではチャネル19チャネル、チャネル21が通信不可チャネルとして検出されており、チャネル11、チャネル13、チャネル26が通信可能チャネルとして検出されている。この結果、図7(c)に示されているチャネル変動表が制御部15に記憶保持される。
【0051】
次に、図6(b)に示すように、チャネル変動表が記憶保持された後に電子レンジ動作検出手段26が電子レンジ12の動作開始を検出すると(ステップST11)、100ms経過したときに(ステップST12)、チャネル設定手段21はチャネル変動表に基づいて各無線通信手段18〜20の通信チャネルを割り当てる(ステップST13)。すなわち、チャネル設定手段21は各無線通信手段18〜20の通信チャネルの周波数帯が重ならないようにしながら、通信可能チャネルのいずれかを低速無線通信手段20の通信チャネルに割り当て、通信不可チャネルの周波数帯を含まない複数の通信チャネルのいずれかを高速無線通信手段18と中速無線通信手段19にそれぞれ割り当てる。しかる後は、ステップST14において電子レンジ12の動作停止時点が検出されるまで、100msの間隔で通信チャネルの割り当てが行われる(ステップST12、ST13)。
【0052】
図7(c)のチャネル変動表が記憶保持されている場合には、図8に示すように、チャネル設定手段21は、電子レンジ12の動作開始時点から100ms経過すると、低速無線通信手段20にチャネル14を割り当て、高速無線通信手段18にチャネル6、中速無線通信手段19にチャネル14を割り当てる。動作開始時点から200ms経過すると、低速無線通信手段20にチャネル12を割り当て、高速無線通信手段18にチャネル4、中速無線通信手段19にチャネル13を割り当てる。動作開始時点から300ms経過すると、低速無線通信手段20にチャネル11を割り当て、高速無線通信手段18にチャネル3、中速無線通信手段19にチャネル13を割り当てる。なお、各無線通信手段18〜20に割り当てることができる通信チャネルの組み合わせは複数存在しているので、その中から任意の組み合わせを割り当てている。
【0053】
ここで、ステップST1からステップST5までの動作は、電源装置1で通信する前に、すなわち、電源装置1を無線通信ネットワークに接続する前に、構内にある電子レンジ12を動作させて行う。このようにしてチャネル変動表を作成しておけば、記録保持されている通信可能チャネルおよび通信不可チャネルは設置されている電子レンジ12が動作したときにマグネトロンが放射するマイクロ波の周波数変動に即したものになる。従って、マイクロ波による電波干渉によって各無線通信手段18〜20による無線通信が通信不能に陥ることを確実に回避できる。
【0054】
また、各無線通信手段18〜20に割り当てる通信チャネルの組み合わせを、チャネル変動表に基づいて組み合わせ表として予め作成しておけば、チャネル設定手段21は組み合わせ表に基づいて通信チャネルを割り当てることができる。また、通信チャネルの組み合わせは複数あるので、組み合わせ表を複数作成しておいて、電子レンジ12の動作開始時点点が検出されたときに乱数などで一つの組み合わせ表を選択してもよい。
【0055】
なお、電子レンジ動作検出手段26として、ZigBeeで通信する低速無線通信手段20を用いることもできる。この場合には、低速無線通信手段20で周波数ホッピングを行い、いずれかの通信チャネルで電波干渉が発生した時点を電子レンジ12の動作開始時点として検出し、電波干渉が無くなった時点を電子レンジ12の動作停止時点として検出する。
【0056】
また、Bluetoothで通信する無線通信手段を備えている場合には、この無線通信手段を利用して、通信不可チャネルおよび通信可能チャネルを検出することもできる。
【0057】
(通信システム)
次に電源装置1を用いた通信システムを説明する。本形態の通信システム40は電源装置1を少なくとも3つ用いて通信ネットワークを構築している。図9は電力線通信手段17および3つの無線通信手段18〜20によって構築される各通信ネットワークのトポロジを示す説明図である。
【0058】
図9(a)に示すように、各電源装置1(1)〜1(5)の電源コード3をコンセントに差し込むと、各電源装置1(1)〜1(5)の電力線通信手段17は相互間でバス型の電力線通信ネットワーク41を構築する。また、図9(b)に示すように、IEEE802.11b/gで通信する高速無線通信手段18および中速無線通信手段19はそれぞれ相互間でスター型の無線通信ネットワーク42、43を構築する。図9(c)に示すように、ZigBeeで通信する低速無線通信手段20は相互間でメッシュ型の無線通信ネットワーク44を構築する。各通信ネットワーク41〜44にはサーバ14が接続されている。
【0059】
図10は高速無線通信手段18および中速無線通信手段19でスター型の無線通信ネットワーク42を構築するための初期設定の方法を説明するための斜視図である。図10に示すように、電源タップ45に電源コード3を差し込んで各電源装置1(1)〜1(5)を至近距離に配置する。また、一つの電源装置1(1)の設定スイッチ25を操作して、この電源装置1の高速無線通信手段18および中速無線通信手段19をアクセスポイントとして機能させる。すると、この電源装置1(1)の高速無線通信手段18および中速無線通信手段19は、他の電源装置1(2)〜(5)のMACアドレスなどを取得して、スター型の無線通信ネットワークを構築する。その後に、各電源装置1(1)〜1(5)を構内の所望の場所へ配置する。
【0060】
なお、スター型の無線通信ネットワーク42のアクセスポイントを電源装置1(1)の高速無線通信手段18とし、スター型の無線通信ネットワーク43のアクセスポイントを電源装置1(2)とすることもできる。すなわち、スター型の各無線通信ネットワーク42、43の各アクセスポイントを異なる電源装置にすることができる。
【0061】
また、通信規格のIEEE802.11bとIEEE802.11gとは互換性があるので、高速無線通信手段18と中速無線通信手段19とによって、一つの無線通信ネットワークを構築することもできる。この場合には、アクセスポイントとして機能している電源装置1(1)からブロードキャストした時の応答速度により、電源装置1(1)と他の各電源装置1(2)〜(5)との間で用いる通信規格を選択する。また、電源装置1(1)と他の各電源装置1(2)〜(5)との間で選択された通信規格をアクセスポイントとして機能している電源装置1(1)に記憶保持しておけば、この無線通信ネットワークがダウンした場合でも復元が容易になる。
【0062】
(本形態の効果)
本例によれば、接続されているプリンタ2に電力を供給する電源装置1が、電源装置1とプリンタ2との間で通信を行う通信手段16と、外部のプリンタ2と通信手段16との間で通信を行う電力線通信手段17および無線通信手段18〜20を有しているので、プリンタ2が電力線通信および無線通信の機能を備えていない場合でも、このプリンタ2に電力線通信および無線通信を付加することができる。従って、プリンタ2のエラー状態やビジー状態などのステータス情報を外部の機器に通知することができる。また、電源装置1が電力線通信手段17と無線通信手段18〜20を有しているので、電源装置1に接続されているプリンタ2が故障した場合でも、その故障状態を、電源装置1から通信ネットワークおよび通信ネットワークを介して外部のサーバ14などに通知することができる。
【0063】
また、電源装置1が駆動制御手段24を有しているので、外部の機器から通信ネットワークを介してプリンタ2を待機状態から起動させることができる。或いは、駆動状態から待機させることができる。
【0064】
また、本例では、通信規格の異なる3つの無線通信手段18〜20を備えている。従って、一つの無線通信手段による無線通信が通信不能になった場合でも、他の無線通信を用いて通信することができる。さらに、各無線通信手段18〜20の通信規格はそれぞれ異なっているので、一つの無線通信手段が通信不能になった場合でも、他の無線通信手段によって通信できる可能性がある。加えて、電力線通信手段17を備えているので、通信不能になる場合を回避または低減することができる。
【0065】
また、本例では、通信制御手段23は、電力線通信手段17および3つの無線通信手段18〜20のそれぞれによる通信品質を評価し、最も高い通信品質の通信手段に通信を行わせている。従って、信頼性の高い通信を行うことができる。
【0066】
また、本例では、通信を行っている一つの通信手段の通信速度が許容速度以下になった場合には、その一つの通信手段よりも通信規格上の通信速度が遅い他の通信手段に切り替えて通信を行う。一般的に、通信不能になる前には通信速度が低下するので、このように各通信手段17〜20を切り替えれば、通信環境が変化して通信不能になることを回避することができる。
【0067】
また、本例では、3つの無線通信手段18〜20のそれぞれが使用する通信チャネルが同じ周波数帯に重ならないように設定するチャネル設定手段21を有しているので、3つの無線通信手段18〜20による通信が相互に干渉することがない。さらに、各無線通信手段18〜20が異なる周波数帯を使用しているので、特定の周波数帯で電波干渉が発生するなどした場合でも、他の無線通信手段を用いて通信することができる。
【0068】
次に、本例の通信システム40によれば、電力線通信ネットワーク41と3つの無線通信ネットワーク42〜44が構築される。また、3つの無線通信ネットワーク42〜44は、トポロジの異なるスター型の無線通信ネットワーク42、43、および、メッシュ型の無線通信ネットワーク44を備えている。従って、通信環境が変化した場合でも、全ての通信ネットワーク41〜44の通信経路が一斉に遮断されて通信不能になる場合を回避または低減することができる。
【0069】
また、低速無線通信手段20によってメッシュ型の無線通信ネットワーク44を構築し、高速無線通信手段18および中速無線通信手段19でスター型の通信ネットワーク42、43を構築しているので、通信ネットワークのトポロジによって通信速度が低下することを低減することができる。
【0070】
(その他の実施の形態)
上記の例では、通信状態監視手段22は通信が行われている通信手段の通信速度が許容速度以下に陥っているか否かを監視しているが、通信が行われている通信手段の通信品質を監視するようにしてもよい。例えば、誤り率を検出し、誤り率が予め定めた許容率以上に陥っているか否かを監視する。この場合には、誤り率が予め設定した許容誤り率以上になった場合に、通信制御手段23は通信を行っている一つの通信手段をその次に通信規格上の通信速度が早い通信手段に切り替える。このようにすれば、信頼性の高い通信を行うことができる。なお、通信品質としてSNRを検出してもよい。
【0071】
また、上記の例では、通信制御手段23は電力線通信手段17および3つの無線通信手段18〜20のうちのいずれか一つの通信手段に通信を行わせるが、通信制御手段23は電力線通信手段17および3つの無線通信手段18〜20の少なくとも2つに同じ通信を行わせるようにしてもよい。2つ以上の通信手段で同じデータを送受信すれば、通信環境が劣化することによりデータの一部が欠落した場合でも、周知の技術によって送受信したデータを選択或いは合成して、欠落部分を補完できる。
【0072】
この場合には、通信状態監視手段22は、電力線通信および3つの無線通信手段18〜20の各通信速度が各許容速度以下に陥っているか否かを監視し、通信制御手段23は通信速度が許容速度以下に陥った通信手段が検出された場合には、検出された通信手段が通信規格上の通信速度が最も遅いZigBeeによる低速無線通信手段20でなければ、検出された通信手段の通信を停止するようにしてもよい。
【0073】
図11は通信制御手段23が通信速度が許容速度以下に陥っている通信を停止する動作を模式的に示した説明図である。図11に示すように、高速無線通信手段18の通信速度が許容速度以下に陥ると、高速無線通信手段18による通信を停止して、電力線通信手段17、中速無線通信手段19、低速無線通信手段20に通信を行わせる。電力線通信手段17の通信速度が許容速度以下に陥ると、電力線通信手段17による通信を停止して中速無線通信手段19および低速無線通信手段20に通信を行わせる。中速無線通信手段19の通信速度が許容速度以下に陥ると、中速無線通信手段19による通信を停止して低速無線通信手段20に通信を行わせる。なお、低速無線通信手段20により通信が行われている場合には、低速無線通信手段20による通信が維持される。このようにすれば、通信環境が変化することによって通信状態が劣化している通信を排除することができる。
【0074】
また、上記の例では、電源装置1と機器とは別体として構成されているが、電源装置1は、機器の内部において機器から分離されるように構成されていてもよい。
【0075】
また、電源装置1に補助バッテリーおよびメモリを備えることもできる。このようにすれば、停電時においても通信が可能である。また、通信ネットワークを介して受信した機器を一時的にメモリに記憶保持しておいて電力が回復した後に機器に送信することができる。また、電源装置1を無停電電源装置とすることもできる。
【0076】
なお、上記の通信システム40では、少なくとも3つの電源装置1を用いて通信ネットワークを構築しているが、2つの電源装置1の間で通信させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本実施の形態に係る電源装置の外観斜視図である。
【図2】電源装置のブロック図である。
【図3】無線通信手段によって使用される通信チャネルの説明図である。
【図4】通信制御手段が通信手段を切り替える動作を模式的に示す説明図である。
【図5】電子レンジ動作検出部の構成例を示す説明図である。
【図6】電波干渉を回避するための動作を示すフローチャートである。
【図7】検出される通信可能チャネルおよび通信不可チャネルの説明図である。
【図8】通信チャネルが割り当てられた例を示す説明図である。
【図9】各通信手段が構築する通信ネットワークのトポロジを示す説明図である。
【図10】初期設定の方法を説明するための斜視図である。
【図11】通信制御手段が通信手段を切り替える動作の別の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0078】
1・電源装置、2・プリンタ、3・電源コード、4・装置本体、5・接続コード、6・通信コネクタ、7・電源コネクタ、8・電力線、10・電力供給部、11・通信部、12・電子レンジ、13・電波干渉回避部、14・サーバ、15・制御部、16・通信手段、17・電力線通信手段、18・高速無線通信手段、19・中速無線通信手段、20・低速無線通信手段、21・チャネル設定手段、22・通信状態監視手段、23・通信制御手段、24・駆動制御手段、25・設定スイッチ、26・電子レンジ動作検出手段、27・チャネル特定手段、28・電圧変動検出手段、29・動作検出手段、30・誘導コイル、31・送信手段、41・電力線通信ネットワーク、42,43・スター型の無線通信ネットワーク、44・メッシュ型の無線通信ネットワーク、45・電源タップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力線からの電力を直接又は変換して、接続されている機器に供給する電力供給部と、
前記接続されている機器との間で通信する通信手段と、
外部の機器と前記通信手段との間で前記電力線を介して通信する電力線通信手段と、
前記外部の機器と前記通信手段との間で無線通信するもので、異なる複数の無線通信手段とを有していることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載されている電源装置において、
前記電力線通信手段および前記複数の無線通信手段のそれぞれによる通信品質を評価し、前記電力線通信手段および前記複数の無線通信手段のうちの最も高い通信品質の第1の通信手段に通信を行わせる通信制御手段を有していることを特徴とする電源装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電源装置において、
前記第1の通信手段が前記電力線通信手段および前記複数の無線通信手段の中で通信速度が最も遅いものでない場合に、前記第1の通信手段の通信速度がこの第1の通信手段について予め設定されている許容速度以下に陥っているか否かを監視する通信状態監視手段を有し、
前記通信制御手段は、前記通信速度が前記許容速度以下に陥ると、前記第1の通信手段に替えて、前記電力線通信手段および前記複数の無線通信手段の中から通信速度が前記第1の通信手段の次に速い第2の通信手段に通信を行わせることを特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項1に記載されている電源装置において、
前記電力線通信手段および前記複数の無線通信手段の少なくとも2つに同じ通信を行わせる通信制御手段を有していることを特徴とする電源装置。
【請求項5】
請求項4に記載されている電源装置において、
前記電力線通信手段および前記複数の無線通信手段の各通信速度が前記電力線通信手段および前記複数の無線通信手段のそれぞれについて予め設定されている各許容速度以下に陥っているか否かを監視する通信状態監視手段を有し、
前記通信制御手段は、前記電力線通信手段および前記複数の無線通信手段のうち前記通信速度が前記許容速度以下に陥った第1の通信手段が検出された場合には、前記第1の通信手段が前記電力線通信手段および前記複数の無線通信手段の中で前記通信速度が最も遅いものでなければ当該第1の通信手段による通信を停止することを特徴とする電源装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のうちのいずれかの項に記載されている電源装置において、
前記複数の無線通信手段のそれぞれが使用する通信チャネルが同じ周波数帯に重ならないように割り当てるチャネル設定手段を有していることを特徴とする電源装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のうちのいずれかの項に記載されている電源装置において、
前記電力線通信手段および前記複数の無線通信手段のうちのいずれかを介して外部の機器から受信した制御指令に基づいて、前記接続されている機器を待機状態から起動させ、或いは、駆動状態から待機させる駆動制御手段を有していることを特徴とする電源装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のうちのいずれかの項に記載されている電源装置を少なくとも3つ備え、
各電源装置の電力線通信手段は、相互に電力線を介した電話線通信ネットワークを構築しており、
各電源装置の前記複数の無線通信手段の少なくとも一つの第1の無線通信手段は、相互間にスター型の無線通信ネットワークを構築しており、
各電源装置の前記複数の無線通信手段の少なくとも一つの第2の無線通信手段は、相互にメッシュ型の無線通信ネットワークを構築していることを特徴とする通信システム。
【請求項9】
請求項8に記載されている通信システムにおいて、
前記第2の無線通信手段の通信規格上の通信速度は、前記第1の無線通信手段の通信規格上の通信速度よりも遅いことを特徴とする通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−284290(P2009−284290A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135159(P2008−135159)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】