説明

電源装置および電源制御方法

【課題】負荷電圧の低い負荷回路に対し、主電源とバックアップ電源との切替を効率よく実施し、電力ロスを低減して低消費電力化を実現すること。
【解決手段】主電源13とバックアップ電源14の設定電圧を同一にし、通常時には、バックアップ電源14から負荷回路2に電力を供給しないよう、バックアップ電源13に対して電源制御部11が待機指示して主電源13の出力よりも低い電圧で待機するように動作させる。交流電源1が停止した場合には、バックアップ電源14を設定電圧で動作させて主電源13を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置および電源制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報処理装置に電源を供給する電源装置として、主電源とバックアップ電源を有する電源装置が用いられてきた。電源装置は、交流電源を直流電源に変換して負荷回路である情報処理装置に供給する。ここで、主電源は交流電源が動作中の電力供給を担うのに対し、バックアップ電源は停電などで交流電源が停止した場合の電力供給を担う。
【0003】
情報処理装置は通常の動作中には演算処理を実行しているため、負荷消費電流が大きい。主電源は、この通常の動作中での電力供給を担うため、大容量であることが求められる。
【0004】
一方、停電などで交流電源が停止した場合、情報処理装置はバックアップ状態に移行する。このバックアップ状態は、演算処理を行わず、メモリの保持など必要最小限の消費電流で動作する。このように停電などが発生した場合に消費電力を抑え、データを保持する機能は、バッテリーバックアップ機能などと呼ばれる。
【0005】
主電源のように大容量の電源では負荷電流が少ないと電力変換効率が低下する。そのため、情報処理装置がバックアップ状態となって電力の消費が落ちた場合、小容量のバックアップ電源を使用した方が電力の変換効率が良く、電力ロスを低減して全体の消費電力を下げることができる。
【0006】
しかし、通常動作中の情報処理装置にバックアップ電源から電力を供給してしまうと、電力の供給能力が間に合わずバックアップ電源が温度異常などでダウンする可能性がある。そのため、情報処理装置の通常動作中は、主電源から電力を供給することが求められる。
【0007】
一方で、情報処理装置の通常動作中にバックアップ電源を停止していると、バックアップ電源に異常が発生しても検知できない。バックアップ電源が必要となるのは停電などが発生した緊急時であり、バックアップ電源を立ち上げて始めて動作異常が判明したのでは役に立たない。
【0008】
そこで、主電源の電圧をバックアップ電源の電圧よりも高く設定し、情報処理装置の通常動作中はバックアップ電源を動作させつつ、主電源から情報処理装置への電力供給が行われるように構成されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平7−336915号公報
【特許文献2】特開平7−15888号公報
【特許文献3】特開平9−37486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
近年、LSI(Large Scale Integrated circuit)の低電圧化により、情報処理装置の負荷電圧は+1.2Vや+1.8Vなどになっている。そこで主電源の電圧をバックアップ電源の電圧に対して高めに設定しようとしても、情報処理装置の動作電圧許容範囲や電源の出力設定範囲が狭く、換言すれば高精度となり、設定が困難になるという問題があった。
【0011】
情報処理装置の通常動作時にバックアップ電源からの電源供給が発生しないようにするためには、主電源出力とバックアップ用電源出力が干渉しない、すなわち交わらないよう電位差を設定することが求められる。例えば、負荷電圧が+1.2V、電源の出力精度が±5%とすると、主電源出力が−5%,バックアップ用電源出力が+5%でも干渉しないようにするには10%以上の電位差を要する。そこで主電源の出力電圧を1.2V+0.12V=1.32V とすると、負荷電圧許容範囲1.2V±5%(1.14〜1.26V)を超えてしまう。
【0012】
このように、主電源とバックアップ電源との間に電圧差を設けることで通常動作中の情報処理装置に対するバックアップ電源からの電力供給を防ぐ従来の技術は、情報処理装置負荷電圧が低い場合に適用できないという問題点があった。
【0013】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、負荷電圧の低い負荷回路に対し、主電源とバックアップ電源との切替を効率よく実施し、電力ロスを低減して低消費電力化を実現する電源装置および電源制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願の開示する電源装置および電源制御方法は、負荷回路に電流を供給する電源装置の電源制御方法において、交流電源による交流電流の出力時には第1の電源回路に第1の電圧を出力させて第2の電源回路に第1の電圧よりも低い第3の電圧を出力させ、交流電源の停止時には第2の電源回路に第2の電圧を出力させた上で第1の電源回路による第1の電圧の出力を停止する。
【発明の効果】
【0015】
本願の開示する電源装置および電源制御方法によれば、負荷電圧の低い負荷回路に対し、第1の電源回路と第2の電源回路との切替を効率よく実施し、電力ロスを低減して低消費電力化を実現する電源装置および電源制御方法を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本実施例にかかる電源装置の概要構成図である。
【図2】図2は、図1に示した電源装置の動作の説明図である。
【図3】図3は、図1に示した構成と比較する比較例の概要構成図である。
【図4】図4は、図3に示した比較例の動作の説明図である。
【図5】図5は、主電源とバックアップ電源の効率についての説明図である。
【図6】図6は、比較例のバックアップ時における主電源とバックアップ電源のロスについての説明図である。
【図7】図7は、バックアップ電源14の回路図である。
【図8】図8は、バックアップ電源14の動作の説明図である。
【図9】図9は、バックアップへの移行における電源制御部11の処理動作を説明するフローチャートである。
【図10】図10は、バックアップからの復帰における電源制御部11の処理動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本願の開示する電源装置および電源制御方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例は開示の技術を限定するものではない。
【実施例】
【0018】
図1は、本実施例にかかる電源装置の概要構成図である。また、図2は、図1に示した電源装置の動作の説明図である。そして、図3は、図1に示した構成と比較する比較例の概要構成図であり、図4は、図3に示した比較例の動作の説明図である。
【0019】
図1に示したように、本実施例にかかる電源装置10は、交流電源(AC:Alternating Current)1および負荷回路2に接続される。負荷回路2は、例えば情報処理装置であり、負荷電圧は+1.2Vである。
【0020】
電源装置10は、その内部に電源制御部11、AC−DC変換電源12、主電源13、バックアップ電源14、バッテリ15を有する。
【0021】
電源制御部11は、電源装置10の動作を制御する制御装置であり、サービスプロセッサ(SVP:SerVice Processor)とも呼ばれる。具体的には、電源制御部11は、交流電源1が停止した場合にAC−DC変換電源12から停電通知信号を受け取り、負荷回路2にバックアップ移行指示を送るとともに、主電源13およびバックアップ電源14の動作を制御する。
【0022】
AC−DC変換電源12は、交流電源1の出力を直流(DC:Direct Current)に変換するコンバータである。AC−DC変換電源12の出力は、主電源13、バックアップ電源14およびバッテリ15に供給される。また、AC−DC変換電源12は、交流電源1の停止を検知した場合に電源制御部11に停電通知信号を送る。
【0023】
バッテリ15は、AC−DC変換電源12から提供された電力を用いて充電される充電池である。
【0024】
主電源13は、交流電源1が動作中には、AC−DC変換電源12から提供された電力を用いて負荷回路2に対して1.2V、100Aを供給する。また、交流電源1が停止中である場合、主電源13は、バッテリ15に蓄積された電力を用いて負荷回路2に対して1.2V、100Aを供給する。主電源13のオンオフは、電源制御部11からの投入切断指示によって行われる。この投入切断指示は、例えば信号の電圧値がハイ状態である場合に「投入指示」を示し、ロー状態である場合に「切断指示」を示すものとすればよい。
【0025】
バックアップ電源14は、待機状態と起動状態とで異なる電圧を出力する。この待機状態と起動状態との切替は、電源制御部11からの指示に基づいて行なう。待機状態では、バックアップ電源14は、主電源13の出力電圧に比して低い電圧を出力する。具体的には、バックアップ電源14の待機状態での出力電圧は、電圧変動の上限が主電源の出力電圧の変動幅の下限よりも小さくなるように設定する。この待機状態でのバックアップ電源14の出力電圧は負荷回路2の動作電圧許容範囲外であってよい。
【0026】
起動状態のバックアップ電源14は、交流電源1が動作中であれば、AC−DC変換電源12から提供された電力を用いて負荷回路2に対して1.2V、10Aを供給する。また、交流電源1が停止中であれば起動状態のバックアップ電源14は、バッテリ15に蓄積された電力を用いて負荷回路2に対して1.2V、10Aを供給する。
【0027】
バックアップ電源14の待機状態と起動状態との切り替えは、電源制御部11からの待機起動指示によって行われる。この待機起動指示は、例えば信号の電圧値がハイ状態である場合に「待機指示」を示し、ロー状態である場合に「起動指示」を示すものとすればよい。
【0028】
また、主電源13およびバックアップ電源14は、それぞれが逆流防止のダイオードを有し、電流方向を負荷回路2の方向に規定している。
【0029】
電源制御部11は、図2に示したように交流電源1が動作中には主電源13を動作させ、バックアップ電源14を待機状態とする。主電源13とバックアップ電源14とは、ともに負荷回路2に接続されているが、バックアップ電源14が待機状態であれば、バックアップ電源14の出力電圧は主電源13の出力電圧に比して低い。そのため、負荷回路2
に対する電力供給は主電源13が担うこととなる。また、負荷回路2は通常の動作中であり、演算処理を実行しているため、負荷電流は例えば100Aとする。
【0030】
交流電源1が停止して停電状態となると、電源制御部11は、負荷回路2にバックアップ移行指示を送出してバックアップを開始する。負荷回路2は、バックアップ移行指示を受けて演算処理を徐々に終了する。負荷電流は演算処理の終了に伴って徐々に減少し、メモリの保持に使用する電流量、図2に示した例では10Aで安定する。
【0031】
電源制御部11はバックアップ開始から所定時間経過後にバックアップ電源14を起動する。所定時間は負荷回路2の負荷電流が十分に減少するまでに要する時間であり、バックアップ開始からバックアップ電源14の起動までの所定期間は予めバックアップ移行期間として設定しておけばよい。
【0032】
バックアップ電源14は、起動されると電圧が主電源13と同じ1.2Vまで上昇する。電源制御部11は、バックアップ電源14の電圧が1.2Vまで上昇した後、主電源13を停止する。
【0033】
一方、図3に示した比較例である電源装置20は、交流電源1および負荷回路2に接続される。負荷回路3は、例えば情報処理装置であり、負荷電圧は+3.3〜3.432Vである。
【0034】
電源装置20は、その内部に電源制御部21、AC−DC変換電源22、主電源23、バックアップ電源24、バッテリ25を有する。
【0035】
電源制御部21は、電源装置20の動作を制御する制御装置、所謂サービスプロセッサである。具体的には、電源制御部21は、交流電源1が停止した場合にAC−DC変換電源22から停電通知信号を受け取り、負荷回路3にバックアップ移行指示を送るとともに、主電源23およびバックアップ電源24の動作を制御する。
【0036】
AC−DC変換電源22は、交流電源1の出力を直流に変換するコンバータである。AC−DC変換電源22の出力は、主電源23、バックアップ電源24およびバッテリ25に供給される。また、AC−DC変換電源22は、交流電源1の停止を検知した場合に電源制御部21に停電通知信号を送る。
【0037】
バッテリ25は、AC−DC変換電源22から提供された電力を用いて充電される充電池である。
【0038】
主電源23は、交流電源1が動作中には、AC−DC変換電源22から提供された電力を用いて負荷回路3に対して3.432V、100Aを供給する。また、交流電源1が停止中である場合、主電源23は、バッテリ25に蓄積された電力を用いて負荷回路3に対して3.432V、100Aを供給する。主電源23のオンオフ制御は、電源制御部21からの投入切断指示によって行われる。この投入切断指示は、例えば信号の電圧値がハイ状態である場合に「投入指示」を示し、ロー状態である場合に「切断指示」を示すものとすればよい。
【0039】
バックアップ電源24は、交流電源1が動作中であれば、AC−DC変換電源22から提供された電力を用いて負荷回路3に対して3.3V、10Aを供給する。また、交流電源1が停止中であればバックアップ電源24は、バッテリ25に蓄積された電力を用いて負荷回路3に対して3.3V、10Aを供給する。バックアップ電源24のオンオフ制御は、電源制御部21からの投入切断指示によって行われる。この投入切断指示は、例えば信号の電圧値がハイ状態である場合に「投入指示」を示し、ロー状態である場合に「切断指示」を示すものとすればよい。
【0040】
また、主電源23およびバックアップ電源24は、それぞれがダイオードを有し、電流方向を負荷回路3の方向に規定している。
【0041】
電源制御部21は、図4に示したように交流電源1が動作中には主電源23とバックアップ電源24の双方を動作状態とする。主電源23とバックアップ電源24とは、ともに負荷回路3に接続されているが、バックアップ電源24の出力電圧は主電源23の出力電圧に比して低い。そのため、主電源23が動作中であれば負荷回路3に対する電力供給は主電源23が担うこととなる。また、負荷回路3は通常の動作中であり、演算処理を実行しているため、負荷電流は100Aである。
【0042】
交流電源1が停止して停電状態となると、電源制御部21は、負荷回路3にバックアップ移行指示を送出してバックアップを開始する。負荷回路3は、バックアップ移行指示を受けて演算処理を徐々に終了する。負荷電流は演算処理の終了に伴って徐々に減少し、メモリの保持に使用する電流量、図4に示した例では10Aで安定する。
【0043】
電源制御部21はバックアップ開始から所定時間経過後に主電源23を停止する。所定時間は負荷回路3の負荷電流が十分に減少するまでに要する時間であり、バックアップ開始から主電源23の停止までの所定期間は予めバックアップ移行期間として設定しておけばよい。
【0044】
図5は、主電源とバックアップ電源の効率についての説明図である。図5に示したように、電源の消費電力が高いほど、電力変換の効率は向上する。主電源13,23は、負荷の通常運用時の消費電流である100Aを想定して設計し、バックアップ電源14,24は、バックアップ時の消費電流である10Aを想定して設計する。
【0045】
図6は、比較例のバックアップ時における主電源とバックアップ電源のロスについての説明図である。バックアップ時に主電源13から電力供給すると、負荷電流が少なすぎ、電力変換効率50%程度となり、34.3Wが電力ロスとなる。一方、バックアップ電源24では、80%程度の電力変換効率を得られ、電力ロスは8.3Wとなる。
【0046】
しかし、通常時にバックアップ電源24から負荷回路3に電力を供給してしまうと、供給能力が間に合わずバックアップ電源24が温度異常などでダウンする可能性がある。そのため、比較例では主電源23は電圧を+3.432Vのようにバックアップ電源24の電圧+3.300Vよりも4%程度高く設定し、通常時は主電源23から電力を供給する。
【0047】
比較例では、負荷電圧が大きいため、主電源23の出力電圧とバックアップ電源24の出力電圧との差を十分に大きくしても、主電源23の出力電圧とバックアップ電源24の出力電圧の双方を負荷回路3の動作電圧許容範囲に収めることができる。
【0048】
しかしながら、負荷電圧が小さくなると動作電圧の許容範囲内で主電源とバックアップ電源との電圧差を設けることが出来ない。そこで、電源装置10では、主電源13とバックアップ電源14の設定電圧を同一にし、通常時には、バックアップ電源14から負荷回路2に電力を供給しないよう、バックアップ電源13に対して電源制御部11待機指示して主電源13の出力よりも低い電圧で待機するように動作させておく。
【0049】
バックアップ電源14を待機状態であっても電圧を出力するようにする理由は、バックアップ電源14が故障していた場合、バックアップ時に起動した時に故障が分かるとバックアップ失敗になるため、通常時も故障していないことを確認可能にするためである。
【0050】
図7は、バックアップ電源14の回路図である。バックアップ電源14は、インバータ回路41、整流回路42、平滑回路43、フィードバック回路44、出力安定回路45、持ち上げ回路46、待機制御回路47を有する。
【0051】
インバータ回路41は、バックアップ電源14の入力電圧を負荷用低電圧に変換し、整流回路42と平滑回路43で直流電圧にする。フィードバック回路44は負荷電圧を検出し、出力安定化回路45で負荷電圧を一定に保つ働きをする。
【0052】
持ち上げ回路46は、バックアップ電源14の起動時に主電源13がまだオン状態にある場合、主電源13の出力設定電圧が高くてもバックアップ電源14の出力電圧を下げ過ぎて動作を停止しないよう、バックアップ電源14の出力電圧を保つ。一例として、バックアップ電源14の出力電圧をVA、主電源13の出力電圧をVKとすると、持ち上げ回路46は、VA=VK×0.75以上を保つ。
【0053】
待機制御回路47は、待機指示が来るとVAをVKの−3〜−10%に設定し、待機状態にする。また、バックアップ時に起動指示が来ると負荷用電圧である1.2Vを出力するよう設定する。
【0054】
図8は、バックアップ電源14の動作の説明図である。交流電源1から電力が供給されている通常時の動作では、待機制御回路47には、待機制御信号として待機指示が入力される。このため、トランジスタQ1はオン状態となり、待機制御回路47のオペアンプM5の出力は高くなる。その結果、フィードバック回路44のオペアンプM1の出力が高くなり、出力安定化回路45のオペアンプM2はVAを下げる方向に働く。同時に持ち上げ回路46のオペアンプM3のマイナス(−)端子電圧が高くなるため、オペアンプM3はオペアンプM2を制御しVAが下がる値を制限する。
【0055】
バックアップ電源15の出力電圧VAは、持ち上げ回路46内の抵抗R1〜R4の値によりほぼ決定される。そこで、
R1=R2=R4>R3、VA=VK×(0.97〜0.9)
となるようにR1〜R4の抵抗値を設定し、バックアップ電源14の出力を待機状態とする。
【0056】
一方、バックアップ時、待機制御回路47には待機制御信号として起動指示が入力される。その結果、トランジスタQ1がオフ状態となる。待機制御回路47のオペアンプM5の出力はフィードバック回路44のオペアンプM1のプラス(+)端子電圧、すなわち負荷電圧からのフィードバックと同じ電圧になるように定数を調整しておくことで、フィードバック回路44のオペアンプM1の出力は負荷電圧の状態をフィードバックする。出力安定化回路45のオペアンプM2は、フィードバック回路44のオペアンプM1からの負荷電圧情報に基づき、負荷電圧を一定に保つ働きをする。
【0057】
なお、図7,図8に示した例では、待機制御回路47が主電源13の出力電圧を基準として待機時の電圧を制御する場合を説明したが、例えば、負荷電圧を基準とし、負荷電圧の−20%など一定電圧を出力するよう制御してもよい。
【0058】
図9は、バックアップへの移行における電源制御部11の処理動作を説明するフローチャートである。電源制御部11は、交流電源1が動作中には主電源13を動作させ、バックアップ電源14を待機状態としつつ、停電の発生を監視している。
【0059】
電源制御部11は、停電通知信号を受け取ると(S101,Yes)、負荷回路2にバックアップ移行指示を送出してバックアップ移行処理を行なわせる(S102)。そして、バックアップ移行期間が終了したか否かを監視し、バックアップ移行期間が終了した場合に(S103,Yes)に、バックアップ電源14に対して起動信号を送信する(S104)。その後、バックアップ電源14が起動したならば(S105,Yes)、主電源13を停止して(S106)、バックアップ状態への移行を終了する。
【0060】
図10は、バックアップからの復帰における電源制御部11の処理動作を説明するフローチャートである。電源制御部11は、交流電源1が停止中には主電源13を停止させ、バックアップ電源14を起動状態としつつ、復電(停電の回復)を監視している。
【0061】
電源制御部11は、停電通知信号が解除されると(S201,Yes)、主電源13に起動信号を送信する(S202)。そして主電源13の起動を確認(S203)し、起動を成功した場合(S203,Yes)にバックアップ電源14を待機状態に移行させる(S204)。そして、バックアップ電源14が待機状態に移行した(S205,Yes)後、負荷回路2にバックアップ状態からの復元処理を行わせて(S206)、通常の動作に復帰する。
【0062】
以上説明してきたように、本実施例にかかる電源装置および電源制御方法は、主電源13とバックアップ電源14の設定電圧を同一にし、通常時には、バックアップ電源14から負荷回路2に電力を供給しないよう、バックアップ電源13に対して電源制御部11待機指示して主電源13の出力よりも低い電圧で待機するように動作させておくことで、負荷電圧が低い場合であっても主電源とバックアップ電源との切替を効率よく実施し、電力ロスを低減して低消費電力化を実現することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 交流電源
2,3 負荷回路
10,20 電源装置
11,21 電源制御部
12,22 AC−DC変換電源
13,23 主電源
14,24 バックアップ電源
15,25 バッテリ
41 インバータ回路
42 整流回路
43 平滑回路
44 フィードバック回路
45 出力安定化回路
46 持ち上げ回路
47 待機制御回路
R1〜R4 抵抗
M1〜M5 オペアンプ
Q1 トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷回路に電流を供給する電源装置において、
交流電源が出力する交流電流を直流電流に変換する変換回路と、
前記変換回路が出力する直流電流により充電されるバッテリと、
前記変換回路と前記バッテリとの何れかから、前記負荷回路の負荷電圧の許容範囲内である第1の電圧を、前記負荷回路に出力する第1の電源回路と、
前記変換回路と前記バッテリとの何れかから、前記許容範囲内である第2の電圧と前記第1の電圧に比して低い第3の電圧の何れかを、前記負荷回路に出力する第2の電源回路と、
前記交流電源による前記交流電流の出力時には、前記第1の電源回路に前記第1の電圧を出力させるとともに前記第2の電源回路に前記第3の電圧を出力させ、前記交流電源の停止時には、前記第2の電源回路に前記第2の電圧を出力させるとともに前記第1の電源回路からの前記第1の電圧の出力を停止する電源制御部と、
を有することを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記電源装置において、
前記第1の電圧と前記第2の電圧が同一の電圧であることを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記電源装置において、
前記第3の電圧が前記許容範囲における下限に比して低いことを特徴とする請求項1又は2記載の電源装置。
【請求項4】
前記電源装置において、
前記第2の電源回路は、前記第1の電圧を入力して前記第3の電圧を制御する制御回路を更に有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項5】
前記電源装置において、
前記電源制御部はさらに、
前記交流電源の停止を検知した場合に、前記負荷回路にバックアップ状態への移行を指示した後、前記第2の電源回路に前記第2の電圧を、前記負荷回路に出力させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項6】
負荷回路に電流を供給する電源装置の電源制御方法において、
前記電源装置が有する変換回路が、交流電源が出力する交流電流を直流電流に変換するステップと、
前記電源装置が有するバッテリが、前記変換回路が出力する直流電流により充電されるステップと、
前記電源装置が有する第1の電源回路が、前記変換回路と前記バッテリとの何れかから、前記負荷回路の負荷電圧の許容範囲内である第1の電圧を、前記負荷回路に出力するステップと、
前記電源装置が有する第2の電源回路が、前記変換回路と前記バッテリとの何れかから、前記許容範囲内である第2の電圧と前記第1の電圧に比して低い第3の電圧の何れかを、前記負荷回路に出力するステップと、
前記電源装置が有する電源制御部が、前記交流電源による前記交流電流の出力時には、前記第1の電源回路に前記第1の電圧を出力させるとともに前記第2の電源回路に前記第3の電圧を出力させ、前記交流電源の停止時には、前記第2の電源回路に前記第2の電圧を出力させるとともに前記第1の電源回路からの前記第1の電圧の出力を停止するステップと、
を有することを特徴とする電源制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−24288(P2011−24288A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164727(P2009−164727)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】